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  • 特許-発光装置の検査方法 図1A
  • 特許-発光装置の検査方法 図1B
  • 特許-発光装置の検査方法 図2
  • 特許-発光装置の検査方法 図3
  • 特許-発光装置の検査方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】発光装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20220104BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20220104BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01L33/00 K
H01L33/48
H01L23/08 A
H01L21/56 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017179984
(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公開番号】P2019057559
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大原 章裕
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028686(JP,A)
【文献】特開2004-157338(JP,A)
【文献】特開2008-153553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0197044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 23/08
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と底面とを備え、上面に開口部を有する凹部を備えた樹脂パッケージと、前記凹部内に配置される発光素子と、を備える発光装置を準備する工程と、
前記樹脂パッケージの幾何中心位置Pを測定する工程と、
前記開口部の幾何中心位置Pを測定する工程と、
前記Pと前記Pの差分を算出する工程と、
前記差分が、前記側壁の上面の幅の規定値の35%より大きい場合を不合格とする判定工程と、
を備える発光装置の検査方法。
【請求項2】
前記発光装置を準備する工程は、前記発光装置の集合体を切断して得る工程を経て前記発光装置を得る工程を含む、請求項1記載の発光装置の検査方法。
【請求項3】
前記樹脂パッケージは、上面視形状が四角形であり、前記開口部は、前記樹脂パッケージの上面視形状と相似形である、請求項1又は請求項2に記載の発光装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
凹部を備えた樹脂パッケージに半導体発光素子(以下、「発光素子」とも称する)が配置されたLED(Light Emitting Diode)などの発光装置が知られている。
【0003】
このような発光装置は、個別に成形された樹脂パッケージを、連結するリードフレームを切断することで個片化することで得ることができる。また、複数の樹脂パッケージが繋がった状態で成形された樹脂パッケージの集合体を、リードフレームと樹脂とを同時に切断することで個片化する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
樹脂パッケージを切断する際に、意図しない位置で切断してしまう場合がある。切断位置がずれると、凹部の位置がずれてしまうため、規格から外れる場合がある。そのため、外観検査において、凹部の位置ずれを検査する必要がある。外観検査法としては、例えば、特定の部材の露出の有無を確認することによって位置ずれを検査する方法が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-3853号公報
【文献】特開2012-15176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最終的に切断することで個片化される発光装置は、上記の検査方法で凹部の位置を検査する方法は有効ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の構成を含む。
側壁と底面とを備え、上面に開口部を有する凹部を備えた樹脂パッケージと、凹部内に配置される発光素子と、を備える発光装置を準備する工程と、樹脂パッケージの幾何中心位置Pを測定する工程と、開口部の幾何中心位置Pを測定する工程と、Pと前記Pの差分を算出する工程と、差分が、側壁の上面の幅の規定値の35%より大きい場合を不合格とする判定工程と、を備える発光装置の検査方法。
【発明の効果】
【0008】
以上により、凹部の位置ずれを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本実施形態に係る検査方法で測定する発光装置の一例を示す概略上面図である。
図1B図1Aの概略断面図である。
図2】発光装置の製造方法を説明する概略上面図である。
図3】本実施形態に係る発光装置の検査製造方法を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る発光装置の検査製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置の検査方法を例示するものであって、本発明は、発光装置の検査方法を以下に限定するものではない。
【0011】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0012】
(発光装置を準備する工程)
実施形態に係る検査を行う発光装置100の一例を図1A図1Bに示す。発光装置100は、樹脂パッケージ10と、発光素子20と、を備える。樹脂パッケージ10は、正負一対の電極として機能するリード11と、リード11を一体的に保持する成形樹脂12と、を備える。樹脂パッケージ10は、凹部13を備える。凹部13は、側壁14と底面18とを備え、上面に開口部19を備える。発光素子20は凹部13の底面18上に載置されており、ワイヤ30等を用いてリード11と電気的に接続される。
【0013】
樹脂パッケージ10は、例えば、上面視形状が長方形であり、開口部19の形状も長方形である。つまり、側壁14の上面17は、樹脂パッケージ10の上面において、四角環状である。
【0014】
樹脂パッケージ10の上面視形状は、長方形のほか、正方形でもよい。また、開口部19の上面視形状は、樹脂パッケージ10と相似形とすることができる。例えは、長方形の樹脂パッケージ10に長方形の開口部19、正方形の樹脂パッケージ10に正方形の開口部19、とすることができる。このように、樹脂パッケージと開口部とが相似形の場合は、各側壁14の上面17は、全て同じ幅とすることが好ましい。
【0015】
また、開口部19の上面視形状は、円形、又は、四角形の角部が丸みを帯びた形状、トラック形状等とすることができる。上面視形状が四角形の樹脂パッケージ10に、このような円形等の開口部19を備える場合は、側壁14の上面17は、1つの辺において幅が異なる部分を備える。このような場合、側壁14の上面17の幅の規定値とは、最も幅の小さい部分の幅の規定値を指す。例えば、上面視形状が正方形の樹脂パッケージ10に、上面視形状が円形の開口部19を備える場合、各辺の中央において、側壁14の上面17の幅が最も狭くなり、この部分の幅の規定値で合否判定を行う。
【0016】
このような発光装置100は、図2に示すような、発光装置の集合体100Aを、回転刃などの切断刃50を用いて切断することで形成される。切断位置は、隣接する凹部13の間の壁部の中央になるように設定されているが、成形時の金型のズレや、基板の反り、更には切断刃の摩耗等により、中央からずれる場合がある。これにより、切断後に、側壁14の厚みが異なる、つまり、側壁14の上面17の幅の異なる発光装置100が得られる。
【0017】
樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと、開口部19の幾何中心位置Pとは、一致していることが好ましい。樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと、開口部19の幾何中心位置Pとが大きくずれると、発光装置100の上面において、発光部となる開口部19の位置が中心からずれていることになる。開口部19がずれた発光装置100を、2次基板上に実装すると、発光位置が所定の位置よりずれることになる。そのため、例えば、発光モジュール等とした場合に、レンズの光軸とずれるなどの問題が生じる。また、樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと、開口部19の幾何中心位置Pとが大きくずれると、側壁14の厚みが左右で異なることになる。側壁14は、光反射性の樹脂部材から構成されているが、厚みが薄くなると、光が漏れやすくなる。そのため、配光特性が左右で異なるなどの問題が生じる。
【0018】
そのため、樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと、開口部19の幾何中心位置Pとが、規定された範囲からずれる場合は、判定工程において不合格とする。具体的には、樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと、開口部19の幾何中心位置Pとが、以下の関係を満たさない場合は、判定工程において不合格とする。
【0019】
(樹脂パッケージの幾何中心位置を測定する工程)
発光装置100の検査方法においては、例えば、図3に示すような、検査装置を用いる。検査装置は、発光装置100を載置するための支持台200と、支持台200の上方に配置した測定カメラ300と、を備える。
【0020】
測定カメラ300は、例えば、図4に示すような四角形の撮像エリアSに設定されている。撮像エリアSは、例えば、左上角部を基準点P=(0、0)と、その対角点P=(1599、1199)とする、横1600画素、縦1200の画素を備える。1画素は、例えば、4μmに設定しており、画素数を計測することで、発光装置の長さ等を測定することができる。尚、測定カメラ300の画素サイズに応じて、撮像エリアSの画素数が決定される。測定カメラ300の画素サイズが小さいほど、1辺当りの画素数が多くなるため、解像度を高く設定することができ、これにより測定値の精度は上がる。ただし、その場合は、測定にかかる時間が長くなるため、求められる精度等に適した画素数の測定カメラを用いることが好ましい。また、測定カメラ300の画素サイズ、撮像エリアの画素数、更には、測定カメラと発光素子との距離などに応じて、1画素の長さの設定を調整することが好ましい。
【0021】
まず、樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pを測定するために、発光装置100の樹脂パッケージ10の幅(縦幅)Lと、樹脂パッケージ10の幅(横幅)W1を測定する。得られた測定値から、樹脂パッケージ10の幾何中心位置P=(X、Y)が算出される。
【0022】
(開口部の幾何中心位置を測定する工程)
次いで、開口部19の幅(縦幅)Lと、幅(横幅)Wを測定する。得られた測定値から、開口部19の幾何中心位置P=(X、Y)が算出される。
【0023】
尚、開口部19の幾何中心位置P2の測定は、樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pの測定の前に行ってもよい。また、開口部19の幾何中心位Pの測定と樹脂パッケージ10の幾何中心Pの測定を同時に行ってもよい。
【0024】
(差分を算出する工程)
樹脂パッケージ10の幾何中心位置Pと開口部19の幾何中心位置Pの差分DX及びDYは、以下の式(1)(2)から得られる。
=|X-X|…式(1)
=|Y-Y|…式(2)
【0025】
発光装置100は、あらかじめ側壁14の上面17の幅(横幅W、縦幅L)が規定されており、上記の式(1)(2)で得られた差分D、Dが、以下の式(3)(4)のいずれか、又は、両方を満たす場合は、不合格と判定する。
>W×0.35…式(3)
>L×0.35…式(4)
【0026】
例えば、発光装置100の樹脂パッケージ10が、上面視形状が縦幅1.4mm×横幅3.0mmの四角形であり、開口部10が、上面視形状が縦幅1.0mm×横幅2.6mmの四角形である発光装置100を例に挙げる。側壁14の上面17は、縦幅L及び横幅Wは、それぞれ0.2mmである。つまり、式(3)及び式(4)に当てはめると、D>0.07、D>0.07を満たす場合は不合格と判定される。
【0027】
サンプルAは、樹脂パッケージ10の幾何中心位置P=(X、Y)=(0.24mm、0.36mm、)であり、開口部19の幾何中心位置Pは=(X、Y)=(0.24mm、0.44mm、)である。つまり、PとPの差分は、式(1)よりD=0.00mmとなり、式(2)によりD=0.08mmである。つまり、D=0.08は式(4)を満たし、Dは式(3)を満たさない。そのため、サンプルAは不合格である。
【0028】
サンプルBは、樹脂パッケージ10の幾何中心位置P=(X、Y)=(0.24mm、0.36mm)であり、開口部19の幾何中心位置Pは=(X、Y)=(0.24mm、0.39mm)である。つまり、PとPの差分は、式(1)よりD=0.00mmとなり、式(2)によりD=0.03mmである。そして、Dは式(3)を満たさず、Dも式(4)を満たさない。そのため、サンプルBは合格である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る発光装置の検査方法は、凹部を備えた発光装置の検査に適用することができ、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、液晶のバックライト用光源、センサー用光源に用いられる発光装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
100…発光装置
100A…発光装置の集合体
10…樹脂パッケージ
11…リード
12…成形樹脂
13…凹部
14…側壁(15…内側面、16…外側面、17…上面)
18…底面
19…開口部
20…発光素子
30…ワイヤ
40…封止部材
50…切断刃
…樹脂パッケージの縦幅
…樹脂パッケージの横幅
…樹脂パッケージの幾何中心位置
…開口部の縦幅
…開口部の横幅
…開口部の幾何中心位置
…側壁の上面の縦幅
…側壁の上面の横幅
200…支持台
300…測定カメラ
S…撮像エリア
…基準点
…対角点
図1A
図1B
図2
図3
図4