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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】発光装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20220127BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20220127BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220127BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220127BHJP
   F21S 41/151 20180101ALI20220127BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220127BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220127BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220127BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/58
F21V19/00 170
F21V19/00 600
F21V17/00 250
F21V17/00 500
F21V17/00 155
F21S41/151
H01L23/28 D
F21Y115:10 500
F21W102:00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020117877
(22)【出願日】2020-07-08
(62)【分割の表示】P 2017230917の分割
【原出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2020188265
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】中井 博基
(72)【発明者】
【氏名】山岡 賢介
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157638(JP,A)
【文献】特開2010-272847(JP,A)
【文献】特開2017-003751(JP,A)
【文献】特開2015-192105(JP,A)
【文献】特開2013-105877(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013870(WO,A1)
【文献】特開2012-059939(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03142158(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
上面と、前記上面より大きい面積の下面とを有し、該下面が前記発光素子の発光面に対向するように設けられた板状の透光性部材と、
前記発光素子の側面と前記透光性部材の側面とを覆う光反射性部材と、
前記透光性部材の周りの前記光反射性部材の上面に設けられ、前記光反射性部材を介して前記透光性部材の側面と離れて配置される遮光フレームと、
を備え、
前記遮光フレームは開口部を有し、上方から平面視したときに、前記透光性部材の上面の外周は前記開口部の内周の内側に位置し、前記透光性部材の下面の外周は前記開口部の内周の外側に位置し、
前記透光性部材の側面と前記開口部の内周との間に前記光反射性部材が介在している発光装置。
【請求項2】
前記透光性部材の上面の外周は、上方から平面視したときに前記発光素子の外周の内側に位置する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記透光性部材の上面と前記遮光フレームの上面とは、実質的に同一平面上に位置する請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記透光性部材の上面と前記遮光フレームの上面とは、互いに平行な異なる平面上に位置する請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記遮光フレームの外周は、発光装置の外周の内側に位置する請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記遮光フレームは、光を吸収する金属からなる金属フレーム又は表面に光を吸収する金属膜を備えたフレームからなる請求項1~5のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
上端が前記遮光フレームの下面に接する樹脂壁をさらに含む請求項1~6のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記遮光フレームの外周の一部に内側に窪んだ窪み部が設けられており、該窪み部に前記光反射性部材の表面が露出している請求項1~7のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記光反射性部材に埋設された保護素子をさらに備える請求項1~8のうちいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記透光性部材は、蛍光体を含む請求項1~9のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
上方からの平面視において、前記遮光フレームの開口部の内周と、前記透光性部材の上面の外周との間隔は5μm以上150μm以下である請求項1~10のうちのいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用途等の光源としてLED等の発光素子を用いて構成した高出力の発光装置が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には、車載用の光源として用いられる高出力の発光装置において、発光素子の発光面の周縁部を覆うように放熱層を形成して、放熱効果を高めた発光装置が開示されている。特許文献1によれば、特許文献1の発光装置は、発光素子の発光面の周縁部を覆って放熱層を形成していることから、放熱特性の向上に加えシャープエッジの配光特性を得ることができ、例えば、車載用ヘッドランプ用途に適しているとされている。ここで、特許文献1における、シャープエッジの配光特性とは、光出射面の内側と外側における輝度差が大きいことと解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-127679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車載用途等の高出力の光源としての使用される発光装置には発光素子が発光した光をより効率よく取り出すことが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本発明に係る一実施形態の発光装置は、
基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
上面と下面とを有し、該下面が前記発光素子の発光面に対向するように設けられた板状の透光性部材と、
前記発光素子の側面と前記透光性部材の側面とを覆う光反射性部材と、
前記透光性部材の周りの前記光反射性部材の上面に設けられた遮光フレームと、
を備え、
前記遮光フレームは開口部を有し、上方から平面視したときに、前記開口部の内周は透光性部材の上面の外周から離れて位置し、前記開口部の内周と前記透光性部材の上面の外周の間に前記光反射性部材が介在している。
【0007】
また、本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を実装する実装工程と、
前記実装した発光素子の発光面に下面が対向するように板状の透光性部材を接合する透光性部材接合工程と、
前記発光素子及び透光性部材から所定の間隔を隔てかつ発光素子及び透光性部材を挟んで対向する位置に、上端が透光性部材の上面より高い樹脂壁を、押圧による変形が可能な柔軟性を維持した状態で形成する樹脂壁形成工程と、
開口部を有する遮光フレームを、前記開口部の内周が透光性部材の上面の外周の外側に位置するように前記樹脂壁の上端に接触させて押圧することにより、前記基板から所定の高さに位置決めして載置する遮光フレーム載置工程と、
光反射性樹脂を、前記基板と前記遮光フレームの間の空間に充填することにより、前記基板と前記遮光フレームの間で前記発光素子と前記透光性部材とを囲む光反射性部材を形成する光反射性部材形成工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の発光装置は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる。
また、本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法によれば、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる発光装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態の発光装置の平面図である。
図2図1のA-A線についての断面図である。
図3】実施形態の変形例1に係る発光装置の断面図である。
図4】実施形態の変形例2に係る発光装置の断面図である。
図5】実施形態の変形例3に係る発光装置の断面図である。
図6】実施形態の変形例4に係る発光装置の断面図である。
図7A】実施形態の発光装置の製造方法において、発光素子を実装したときの断面図である。
図7B】実施形態の発光装置の製造方法において、実装した発光素子の上に透光性部材を接合したときの断面図である。
図7C】実施形態の発光装置の製造方法において、発光素子及び透光性部材から所定の間隔を隔て樹脂壁を形成したときの断面図である。
図7D】実施形態の発光装置の製造方法において、樹脂壁の上に遮光フレームを載置したときの断面図である。
図7E】実施形態の発光装置の製造方法において、光反射性樹脂を充填する様子を示す断面図である。
図8】実施形態の発光装置の製造方法において、樹脂壁の上に遮光フレームを、遮光フレームの上面が透光性部材の上面より高くなるように載置するときの断面図である。
図9】実施形態の発光装置の製造方法において、樹脂壁の上に遮光フレームを、遮光フレームの上面が透光性部材の上面より低くなるように載置するときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできる発光装置を得るために、種々の検討を行った。ここでは、まず、基板上に発光素子を実装し、その発光素子の発光面の上に板状の透光性部材を設けて発光素子の側面と透光性部材の側面とを光反射性部材により覆うことにより、発光素子の側面及び透光性部材の側面から出射される光を効率よく上方に取り出すことができる発光装置を準備した。そして、この準備した発光装置において、発光面の内側と外側での輝度の差が大きくなるように、発光素子及び透光性部材の周りの光反射性部材の上面に透光性部材の外周に接するように遮光フレームを設けたところ、予想通り、発光面の内側と外側で輝度差を大きくできた。
【0011】
しかしながら、発光素子及び透光性部材の周りの光反射性部材の上面に遮光フレームを設けると、遮光フレームを設けていない発光装置に比較して、光の取りだし効率が低下することが確認された。さらに検討を進めた結果、この光の取りだし効率の低下は、遮光フレームの光の吸収が原因であることが分かった。すなわち、発光面の内側と外側での輝度差が大きくなるように設ける遮光フレームは、光を吸収する性質があり、透光性部材と遮光フレームの接触部分の近傍にあける遮光フレームによる光の吸収により光の取りだし効率が低下しているのである。そこで、本発明者らは、透光性部材と遮光フレームの間に光反射性部材を介在させるようにしたところ、光の取りだし効率の低下が抑制された。
本発明は、以上のような本願発明者が独自に得た上記知見に基づいて成されたものである。
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の発光装置とその製造方法について図面を参照しながら説明する。
<実施形態の発光装置>
実施形態の発光装置は、図1及び図2に示すように、基板10と基板10上に設けられた発光素子1と、下面が発光素子1の発光面に対向するように設けられた板状の透光性部材3と、を含み、さらに光反射性部材9が発光装置の光出射面である透光性部材3の上面3aを露出させて発光素子1の側面と透光性部材3の側面とを覆うように設けられている。そして、実施形態の発光装置では、透光性部材3の周りの光反射性部材9の上面に、開口部を有する遮光フレーム5が開口部5aの内側に透光性部材3の上面3aが位置するように設けられ、透光性部材3の上面3aが光反射性部材9及び遮光フレーム5から露出している。
【0013】
ここで特に、実施形態の発光装置では、上方から(つまり光出射面3a側から)平面視したときに、開口部5aの内周が光出射面(つまり透光性部材3の上面)3aの外周から離れて位置し、開口部5aの内周と光出射面3aの外周の間に光反射性部材9が露出している。このようにして、発光装置の上面において、光出射面3aと遮光フレーム5の開口部の内周との間を、光反射性部材の表面を介在させることにより分離し、かつ発光素子1の側面及び透光性部材3の側面と遮光フレーム5との間を、光反射性部材9を介在させることにより分離している。
【0014】
以上のように構成された実施形態の発光装置は、光出射面3aと光出射面3aを取り囲む領域における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる。実施形態の発光装置において、開口部5aの内周と光出射面3aの外周の間隔は、光出射面3aの内側と外側における輝度差を大きくすることと発光素子が発光した光を効率よく取り出すこととを両立させるために5μm以上150μm以下であることが好ましく、より好ましくは40μm以上60μm以下とする。
【0015】
以下、実施形態の発光装置の種々の形態について説明する。
(形態1)
実施形態の発光装置では、透光性部材3の下面3bの面積は透光性部材3の上面(つまり発光装置の光出射面)3aの面積より大きくなっている。
透光性部材3の上面3aの面積を下面3bよりも小さくすることにより、透光性部材3の下面3bから入射される発光素子1からの出射光を、より小さな面積である上面3a(つまり発光装置の発光面)から放出させることができる。つまり、透光性部材3を通過することにより発光面の面積が絞られて、高輝度でより遠くを照らすことが可能となる。正面輝度の高い発光装置は、特にヘッドライト等の車載照明に適している。なお、車載照明においては、その灯火類の色についての様々な規定が有り、例えば前照灯(ヘッドライト)の灯光の色は白色または淡黄色であり、そのすべてが同一であることが定められている。
さらに、透光性部材3の下面3bの外周は、上方から平面視したときに遮光フレーム5の開口部5aの内周の外側に位置することが好ましい。また、この場合、透光性部材3の側面は、図2等に示すように、厚さが一定の鍔部が形成されるように段差を有していても良いし、図6に示すように、一部又は全部が傾斜した面になっていても良い。透光性部材3の側面が傾斜面を有する場合、傾斜面は平面でもよいし曲面でもよい。
このように、透光性部材3の下面3bの外周が上方から平面視したときに開口部5aの内周の外側に位置するようにし、透光性部材3の上面3aの外周が平面視したときに開口部5aの内周の内側に位置するようにすると、以下のような効果が得られる。
つまり、発光装置を上方(つまり発光面側)から平面視したときに、開口部5aの内側には、透光性部材3の上面3aと透光性部材3の上面3aの外周を取り囲む光反射性部材9の上面を視認することができる。この際、開口部5aの内側の領域において、光反射性部材9の下方には、透光性部材3の傾斜面及び/又は鍔部が位置する。これにより、仮に光反射性部材9にクラックや剥離等が生じたとしても、開口部5aから漏れる光は透光性部材3から出射される光のみとすることができる。さらに、遮光フレーム5に覆われる領域では光反射性部材からの漏れ光は遮光されるため、例えば発光素子1の側方に位置する光反射性部材9にクラックや剥離が生じたとしても、発光素子1の側面から出射された光がクラックや剥離箇所を通過して発光面側に漏れ伝わることをより一層効果的に抑制することができる。例えば、発光素子1から出射された青色光と、その青色光の一部が波長変換された黄色光とを混色させることにより白色光を発する発光装置を車両照明として用いた際に、発光面から出射される白色光の他に、発光素子1から出射された青色光が漏れると、開口部5a内において色度差が生じ、照射エリア内に発光色むらが生じる虞がある。さらに、青色の漏れ光が視認されると、上述した車載照明としての規定が満たされず、車両の安全性が損なわれる虞がある。
【0016】
(形態2)
実施形態の発光装置では、透光性部材3の上面3aの外周は、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置することが好ましい。ここで、図1に示すように、複数の発光素子1を含む発光装置において発光素子1の外周という場合には、複数の発光素子1を一体として見て外周を規定するものとし、隣接する発光素子間で対向する個々の発光素子の外周は含まない。
このようにすると、複数の発光素子1から出た光を集光して、透光性部材3の上面3aから出射することができる。これにより、発光素子1が発光した光をより光束密度の高い状態で出射面3aから出射することができる。
【0017】
(形態3)
実施形態の発光装置では、透光性部材3の上面3aと遮光フレーム5の上面とは、図2に示すように、実質的に同一平面上に位置していても良いし、図3及び図4に示すように、異なる平面上に位置していてもよい。透光性部材3の上面3aと遮光フレーム5の上面とが異なる平面上に位置している場合、その異なる平面は互いに平行であることが好ましい。透光性部材3の上面3aと遮光フレーム5の上面とが異なる平面上に位置している場合、透光性部材3の上面3aが遮光フレーム5の上面より高い場合、低い場合、どちらの場合でも、光反射性部材9は発光装置の光出射面である透光性部材3の上面3aを露出させて発光素子1の側面と透光性部材3の側面とを覆うように設けられていることが好ましい。
【0018】
(形態4)
実施形態の発光装置では、遮光フレーム5は、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周と一致するように設けられていても良いが、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように設けられていていることが好ましい。これにより、後述する発光装置を単位領域ごと(つまり個々の発光装置ごと)に分割する分割工程において、分割線上に遮光フレームが配置されないため、分割時の遮光フレームの位置ずれ等が抑制される。
ここで、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられていているとは、遮光フレーム5の外周の一部分が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられていていることを含む。
平面視における遮光フレームの幅は、光出射面3aの内側と外側における輝度差を大きくすることを考慮して、少なくとも130μm以上であることが好ましい。また、製造工程における取り扱いの容易さを考慮すると、500μm以上であることがより好ましい。遮光フレームの幅は、全周に亘って一定の幅であってもよいが、部分的に異なっていてもよく、遮光フレームの幅が部分的に異なる場合、少なくとも全周に亘って130μm以上の幅を有し、かつ、部分的に500μm以上の幅を有することがより好ましい。
【0019】
以下に、本実施形態の発光装置の各構成部材について説明する。
(基板10)
基板10は、発光素子1等を支持する部材であり、図示はしていないが、発光素子1の外部電極に電気的に接続される配線を有する。基板10の主な材料としては、絶縁性材料であって、発光素子1からの光及び外からの光が透過しにくい材料が好ましい。具体的には、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド等の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂を用いる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ等の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上や熱膨張率の低減、光反射率の向上を図ることができる。また、基板10は、金属部材の表面に絶縁性材料を形成したものでもよい。配線は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成される。配線の材料として、金、銀、銅およびアルミニウムから選択された少なくとも一種とすることができる。配線は、めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0020】
(発光素子1)
発光素子1としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やZnSe、GaPを用いたものを用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0021】
実施形態の発光装置に用いる発光素子1は、例えば、同一面側に正負の電極を有するものであり、図2に示すように、正負の電極が導電性接合部材11を介して基板10上にフリップチップ実装されている。尚、図2では、発光素子1の正負の電極を区別することなく簡略化して描いているが、実際には、同一面側に設けられた正負の電極的に分離するように設けられており、その電気的に分離された正負の電極がそれぞれ導電性接合部材11を介して基板10上に設けられた正負の配線に接続されている。また、発光素子1は、電極の形成された下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子1は、上述したように、バンプや導電ペーストなどの導電性接合部材を用いて基板上に接続されるため、金属ワイヤなどで接続される発光素子と比較して、電極と基板との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
【0022】
発光素子1は、例えば、透光性の成長用のサファイア基板上に窒化物半導体層を積層させて形成された発光素子であり、サファイア基板が発光素子1の上面側となり、主な光出射面となる。なお、成長用基板は除去してもよく、例えば、研磨、LLO(Laser Lift Off)等で除去することができる。
【0023】
(遮光フレーム5)
遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。光出射面を除いた部分の輝度を下げるためには、光反射性部材9から漏れる光を遮光する必要がある。この機能を考慮すると、遮光フレーム5は、例えば、光を透過させずに、反射及び/又は吸収する材料からなる部材または表面に光を反射及び/又は吸収する材料からなる膜を備えた部材により構成することが好ましい。
遮光フレーム5を構成する材料としては、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、セラミックス、ガラス、紙、金属等、及びこれらの材料の2種以上からなる複合材料などから選択して構成することができる。具体的には、遮光性に優れ、劣化しにくい材料として、例えば、遮光フレーム5は、金属からなる金属フレームまたは表面に金属膜を備えたフレームにより構成されることが好ましい。金属材料としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、チタン、またはこれらの合金等が挙げられる。さらに、遮光フレーム5は、外部からの光の反射を抑制する機能を備えていることがより好ましく、少なくとも光出射面側の表面に光吸収率の高い材料を用いることがより好ましい。
また、遮光フレーム5の厚み(つまり遮光フレーム5の下面から上面までの高さ)は、発光装置として使用するときの強度を保ちつつ、軽さ、変形しにくさ、等を考慮して、20μm~200μm程度とすることが好ましく、30~80μm程度とすることがより好ましい。
【0024】
また、詳細後述するように、製造過程で遮光フレーム5は、樹脂壁7により保持された状態で樹脂壁7と基板10の間の空間に光反射性部材9を構成する材料が注入される。このため、遮光フレーム5の下面の、樹脂壁7に接する部分には凹凸が形成されていることが好ましく、その凹部に樹脂壁7を構成する樹脂が入り込んで硬化されることにより、遮光フレーム5と樹脂壁7とを強固に固定できる。また、製造後においても、遮光フレーム5の樹脂壁7に接する部分には凹凸が形成され、その凹部に樹脂壁7を構成する樹脂が入り込んで硬化されていると、遮光フレーム5の剥離を防止することができる。尚、遮光フレームの上面は、光反射性部材9が這いあがりにくいように、その表面が平坦であることが好ましい。
樹脂壁7は、光反射性部材9の外側に、例えば、光反射性部材9の周りを囲むように、または光反射性部材9を間において対向するように設けられる。また、遮光フレーム5は、外周の一部に内側に窪んだ窪み部5bが設けられていてもよい。これにより、製造時に、例えば、その窪み部5bを介して樹脂壁7と基板10の間の空間に光反射性部材9を構成する材料を注入することができる。また、窪み部5bに光反射性部材9の表面が露出していてもよい。
尚、遮光フレーム5の開口部の内周端面は、図5及び図6に示すように傾斜していてもよい。
【0025】
(透光性部材3)
透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に放出する部材である。透光性部材3は、光拡散材や、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有させてもよい。透光性部材3は、例えば、樹脂、ガラス、無機物等により形成することができる。蛍光体を含有する透光性部材は、例えば、蛍光体の焼結体や、樹脂、ガラス、セラミック又は他の無機物に蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。また、樹脂、ガラス、セラミック等の成形体の表面に蛍光体を含有する樹脂層を形成したものでもよい。透光性部材3の厚みは、例えば、50~300μm程度である。
透光性部材3と発光素子との接合は、図2に示すように、例えば、導光部材13を介して接合することができる。また、透光性部材3と発光素子1との接合には、導光部材13を用いることなく、圧着、焼結、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合による直接接合法を用いてもよい。
【0026】
(蛍光体)
上述したように、透光性部材3は、蛍光体を含んでいても良い。透光性部材3に含有させることができる蛍光体としては、発光素子1からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al-SiO);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)SiO);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(KSiF:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0027】
(光反射性部材9)
光反射性部材9は、発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆し、発光素子1の側面および透光性部材3の側面から出射される光を反射して光発光面から出射させる。このように発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆する光反射性部材9を設けることにより光の取りだし効率を高くできる。光反射性部材9は、例えば、光反射率の高い光反射性材料から形成する。具体的には、光反射性部材9は、発光素子からの光に対する反射率が60%以上、より好ましくは80%又は90%以上である光反射性材料を用いることができる。光反射性材料は、例えば、光反射性物質を含む樹脂からなる。
【0028】
光反射性部材9を構成する母体の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができ、その樹脂からなる母材に反射性物質を含有させることで形成することができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどを用いることができる。好ましくは酸化チタン(TiO2)を用いる。また、好ましくは、光反射性物質として、母材の樹脂の屈折率と異なる粒子を母材の樹脂中に分散させる。光反射性物質の含有濃度、密度により光の反射量、透過量が異なるため、発光装置の形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整することができる。また、光反射性部材9は光反射性物質に加え、その他の顔料、蛍光体等を含有してもよい。
【0029】
(導光部材13)
発光装置において、上述したように、透光性部材3と発光素子との接合は、例えば、導光部材13を介して接合される。導光部材13は、図2に示すように、発光素子1の側面の一部または全部を被覆していてもよい。透光性部材3の下面の一部が発光素子1の主な光出射面である上面に対向していないような場合、導光部材13は、発光素子の上面と対向していない透光性部材3の一部を被覆するように形成することが好ましい。なお、導光部材13は発光素子と透光性部材3との間にも介在し、両者を接合する。以上のように構成された導光部材13は、発光素子1の上面及び側面からの出射光を透光性部材3へと効率よく導光させることができる。
【0030】
導光部材13は、取り扱いおよび加工が容易であるという観点から、樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂またはハイブリッド樹脂等からなる樹脂材料を用いることができる。導光部材13は、導光部材13を形成するための樹脂材料の粘性、樹脂材料と発光素子1との濡れ性を適宜調整して上述した形状に形成することができる。
【0031】
(その他の部材)
発光装置は、任意に、保護素子等の別の素子、電子部品等を有していてもよい。これらの素子及び電子部品は、光反射性部材9内に埋設されていることが好ましい。
【0032】
<実施形態の発光装置の製造方法>
以下、実施形態の発光装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
(発光素子実装工程)
ここでは、図7Aに示すように、基板10上に発光素子1をフリップチップ実装する。
具体的には、例えば、同一面側の下面に正負の電極を有する発光素子1を、正の電極が基板10上に設けられた正の配線に対向し、負の電極が基板10上に設けられた負の配線に対向するようにそれぞれ導電性接合部材11により接合する。尚、図7A~7Eでは、図2と同様、発光素子1の正負の電極及び基板10上に設けられた正負の配線を区別することなく簡略化して描いている。
【0033】
(透光性部材接合工程)
ここでは、図7Bに示すように、実装した発光素子1の発光面に下面が対向するように板状の透光性部材を接合する。
まず、例えば、透光性部材3の下面3bが透光性部材3の上面3aより大きくなった板状の透光性部材3を準備する。
次に、準備した透光性部材3を発光素子1に対して位置合わせをして、透光性部材3を、例えば、導光部材13により発光素子1の発光面に接合する。
透光性部材3は、例えば、
(i)透光性部材3の下面3bの外周が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の外側に位置するように、
(ii)透光性部材3の上面3aの外周が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置するように、
位置合わせをする。
【0034】
透光性部材3と発光素子1とを接合する際、予め下面に導光部材13を塗布した透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてもよいし、発光素子1の上面に導光部材13を塗布した後に透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてもよい。導光部材13の塗布量、透光性部材3を発光素子1上に載置して押圧する際の荷重、導光部材13として樹脂材料を用いる場合にはその塗布時の粘度等は、透光性部材3を発光素子1上に接合した後の導光部材13の望ましい形状を考慮して適宜設定する。
【0035】
(樹脂壁形成工程)
未硬化及び/又は半硬化の樹脂材料を基板10上に塗布し、樹脂壁7を形成する。樹脂壁7は、樹脂壁7上に遮光フレームを載置した状態で、その形状を保持可能な粘度の樹脂材料を用いて形成される。なお、この樹脂壁形成工程では、樹脂壁7は完全に硬化されておらず、押圧による変形が可能な柔軟性を維持した状態で樹脂壁7を形成する。
この樹脂壁7は、図7Cに示すように、発光素子1及び透光性部材3から所定の間隔を隔てかつ発光素子1及び透光性部材3を挟んで対向する位置に、上端が透光性部材3の上面より高くなるように形成する。ここで、発光素子1及び透光性部材3を挟んで対向する位置とは、分離された2つの樹脂壁7が対向するように設けられている形態だけではなく、例えば、1つの樹脂壁7が環状に形成され、その環状の樹脂壁7の一部と他の一部が発光素子1及び透光性部材3を挟んで対向している場合も含む。すなわち、樹脂壁7は、例えば、発光素子1及び透光性部材3を挟んで対向するように互いに平行になるように形成するようにしてもよいし、発光素子1及び透光性部材3を囲むように形成するようにしてもよい。また、樹脂壁7は、複数の発光装置間を跨ぐように、具体的には後述する分割線を跨ぐように配置してもよい。もしくは、遮光フレームを保持可能な位置に点状に複数配置してもよい。
【0036】
また、樹脂壁7は、例えば、上述した光反射性部材9と同様にシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂材料を用いることができ、その樹脂からなる母材に反射性物質等の各種フィラーを含有させることで形成することができる。樹脂材料の粘度は、例えば樹脂材料中に含有させるフィラーの量により調整することができる。
樹脂壁7の形成方法は、例えば、基板10の上方に樹脂吐出装置のノズルを配置し、ノズルの先端から基板10上に未硬化の樹脂材料を吐出させながら、ノズルが樹脂壁載置領域を移動することにより形成される。ノズルから吐出された未硬化の樹脂材料は基板10上で濡れ広がり、断面視形状が略半円形状の樹脂壁7として基板10上に配置される。なお、樹脂壁は、複数の樹脂壁を積み重ねて形成してもよく、これにより、所望の高さの樹脂壁を形成することができる。
【0037】
(遮光フレーム載置工程)
ここでは、開口部5aを有する遮光フレーム5を準備し、遮光フレーム5を位置決めして基板10から所定の高さに載置して固定する。
例えば、吸着コレット30に遮光フレーム5を吸着して、遮光フレーム5の開口部5aの内周が透光性部材の上面の外周の外側に位置するように位置決めして吸着コレット30を下方に移動させる。吸着コレット30は、遮光フレーム5が樹脂壁7の上端に接触した後も、図7Dに示すように、遮光フレーム5の上面が透光性部材3の上面と同一平面上に位置するまで下方に移動させる。このように、遮光フレーム5により、樹脂壁7を押圧して変形させて、遮光フレーム5を基板10から所定の高さ位置に載置する。その後、樹脂壁7を形成している未硬化の樹脂材料を本硬化することにより、遮光フレーム5を所定の高さに固定する。
このように、未硬化の樹脂材料を用いた樹脂壁7で遮光フレーム5を保持し、遮光フレーム5を押圧して樹脂壁7を変形させた状態で硬化する。これにより、遮光フレーム5を所定の高さ位置に固定することができるため、発光装置の製造工程において、各発光装置の高さばらつきを抑えることができる。
【0038】
ここでは、図7Dを参照しながら、遮光フレーム5の上面が透光性部材3の上面と実質的に同一平面上に位置するように遮光フレームを位置決めする場合の例を示した。
しかしながら、遮光フレーム載置工程において、以下のようにすれば、遮光フレーム5の上面が透光性部材3の上面と異なる平面上に位置するように遮光フレーム5を位置決めすることもできる。
遮光フレーム5の上面が透光性部材3の上面より高くなるように位置決めする場合には、例えば、図8に示すように、吸着コレット30の吸着面において、遮光フレーム5の開口部5aが配置される部分に、透光性部材3の上面に対向する上面を有する凸部を設け、その凸部の周りで遮光フレーム5を吸着して基板10から所定の高さに位置に載置するようにすればよい。
また、遮光フレーム5の上面が透光性部材3の上面より低くなるように位置決めする場合には、例えば、図9に示すように、吸着コレット30の吸着面において、遮光フレーム5の開口部5aが配置される部分に、透光性部材3の上面に対向する底面を有する凹部を設け、その凹部の周りで遮光フレーム5を吸着して基板10から所定の高さに位置に載置するようにすればよい。
【0039】
(光反射性部材形成工程)
ここでは、光反射性部材を形成する未硬化の樹脂材料を、基板10と遮光フレーム5の間の空間に充填することにより、基板10と遮光フレーム5の間で発光素子1と透光性部材3とを囲む光反射性部材9を形成する。実施形態の発光装置の製造方法では、例えば、外周の一部に内側に窪んだ窪み部5bを有する遮光フレーム5を用い、その窪み部5bを介して基板10と遮光フレーム5の間の空間に光反射性樹脂9aを充填する。具体的には、例えば、遮光フレーム5の窪み部5bに、図7Eに示すように、樹脂吐出装置のノズル35を挿入し、そのノズル35の先端から光反射性樹脂9aを吐出して基板10と遮光フレーム5の間の空間に光反射性樹脂を充填する。窪み部5bを介して基板10と遮光フレーム5の間の空間に光反射性樹脂9aを充填する場合、遮光フレーム5の窪み部5bは、図1に示すように、2箇所、好ましくは対称の位置に2箇所形成することが好ましい。遮光フレーム5に2箇所の窪み部5bを形成しておくと、光反射性樹脂9aを充填する際、一方の窪み部5bから光反射性樹脂9aを充填し他方の窪み部5bから空気を排出でき、容易にボイドの発生を抑制できる。また、遮光フレーム5の開口部の内周が透光性部材の上面の外周から離れて位置することにより、ボイドが排出されるとともに、樹脂材料の充填を目視により観察することができる。
基板10と遮光フレーム5の間の空間に光反射性樹脂9aを充填した後、充填した光反射性樹脂を硬化させる。
以上のようにして、実施形態の発光装置は製造される。
【0040】
以上の説明では、1つの発光装置を図示した図面を参照しながら説明した。
しかしながら、実施形態の発光装置の製造方法では、基板10として、それぞれ個々の発光装置に対応する複数の単位領域に区分された基板を用いて複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離するようにすることが好ましい。
例えば、基板10として、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む基板を用いる場合、以下のようにする。
【0041】
(1)発光素子実装工程において、各単位領域にそれぞれ1又は2以上の発光素子1を実装する。
(2)透光性部材接合工程において、各単位領域に実装された1又は2以上の発光素子1を一括して覆うようにそれぞれ透光性部材3を接合する。
【0042】
(3)樹脂壁形成工程において、単位領域に実装された1又は2以上の発光素子1と透光性部材3とを挟んで対向する位置に単位領域ごとに樹脂壁を形成する。
基板10として、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む基板を用いる場合、例えば、互いに平行な複数の樹脂壁を列方向に形成することにより、列方向に配列された複数の単位領域の樹脂壁を連続した一本の樹脂壁により形成することが可能になり、効率良く樹脂壁を形成することができる。
(4)光反射性部材形成工程において、各単位領域の基板10と遮光フレーム5の間の空間にそれぞれ光反射性樹脂を充填する。
そして、光反射性部材形成工程後に、分割工程において、光反射性部材及び基板を単位領域ごとに分割することで、発光装置を個片化する。分割は、例えばブレード等を用いた切断により行うことができる。
この単位領域ごとに分割することを考慮すると、単位領域ごとに分割する際の分割位置が遮光フレーム5の外周から離れていることが好ましい。言い換えれば、遮光フレーム5は、発光装置の外形より一回り小さいことが好ましい。
【0043】
以上の発光装置の製造方法によれば、基板10上に複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離するようにしているので、発光装置を安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 発光素子
3 透光性部材
3a 上面(発光装置の光出射面)
5 遮光フレーム
5a 開口部
5b 窪み部
7 樹脂壁
9 光反射性部材
10 基板
11 導電性接合部材
13 導光部材
30 吸着コレット
35 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9