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  • 特許-液体クロマトグラフ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20220104BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20220104BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20220104BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20220104BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20220104BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/46 E
G01N30/26 M
G01N30/86 V
G01N30/34 A
G01N30/88 F
G01N30/88 C
G01N30/88 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017070076
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018173302
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】成松 郁子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正人
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-115854(JP,A)
【文献】特開昭63-003535(JP,A)
【文献】特開平05-005730(JP,A)
【文献】特開2014-029270(JP,A)
【文献】特開平09-072911(JP,A)
【文献】特開2015-017924(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102967681(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の測定試料を測定可能な単一の液体クロマトグラフ装置であって、
前記2種以上の測定試料は、第1の種と、前記第1の種とは測定条件が異なる第2の種とを含み、
前記測定試料を含む試料溶液を注入する単一の試料溶液注入部と、注入された前記試料溶液を送液する単一の送液系とを備えると共に、
溶離液槽、分離カラム、及び検出器を有する測定要素を前記第1の種と前記第2の種とで別個に備え、
さらに、前記送液系と前記測定要素とを選択的に送液可能に接続するための流路切替部と、
一の前記測定試料が指定されたときに、対応する前記流路切替部の切替情報を表示させる表示制御手段と、
を備えてなる液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
2種以上の測定試料を測定可能な単一の液体クロマトグラフ装置であって、
前記2種以上の測定試料は、第1の種と、前記第1の種とは測定条件が異なる第2の種とを含み、
前記測定試料を含む試料溶液を注入する単一の試料溶液注入部と、注入された前記試料溶液を送液する単一の送液系とを備えると共に、
溶離液槽、分離カラム、及び検出器を有する測定要素を前記第1の種と前記第2の種とで別個に備え、
さらに、前記送液系と前記測定要素とを選択的に送液可能に接続するための流路切替部と、
前記流路切替部を駆動する流路切替部駆動手段と、
一の前記測定試料が指定されたときに、前記送液系と対応する前記測定要素との間で選択的に送液するよう、前記流路切替部駆動手段を制御する駆動制御手段と、
を備えてなる液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記測定要素毎の電源入切情報を取得する電源情報取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、対応する前記流路切替部の切替情報に基づく前記測定要素の電源入切状態が、前記電源入切情報と異なる場合に、所定の報知処理を行う請求項1に記載の液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
前記2種以上の測定試料は、それぞれアミノ酸、糖及び有機酸の群から選ばれる請求項1~3のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アミノ酸分析は、液体クロマトグラフ装置にてイオン交換カラムを用い、ニンヒドリン試薬に分析対象を反応させて呈色させ、特定波長光により検出して行われている(特許文献1)。
このようなアミノ酸分析に用いる液体クロマトグラフ装置は、測定精度及び測定効率を高めるため、アミノ酸および類縁物質の分析に特化した測定条件(溶離液、分離カラム、検出器等)を設定して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5084428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食品に含まれる有機酸とアミノ酸を合わせて分析したい場合がある。この場合、有機酸とアミノ酸では上述の測定条件(溶離液、分離カラム、検出器等)が重ならないため、アミノ酸分析専用の液体クロマトグラフ装置では有機酸を分析できない。しかしながら、別個に2つの液体クロマトグラフ装置を用意することはコスト上、及び設備スペース上から難があると共に、測定作業や試料溶液の準備のために2つの装置に一々移動して作業するので作業性も悪い。
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、単一の液体クロマトグラフ装置で2種以上の測定試料を高い作業性で測定可能にした液体クロマトグラフ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の液体クロマトグラフ装置は、2種以上の測定試料を測定可能な単一の液体クロマトグラフ装置であって、前記2種以上の測定試料は、第1の種と、前記第1の種とは測定条件が異なる第2の種とを含み、前記測定試料を含む試料溶液を注入する単一の試料溶液注入部と、注入された前記試料溶液を送液する単一の送液系とを備えると共に、溶離液槽、分離カラム、及び検出器を有する測定要素を前記第1の種と前記第2の種とで別個に備え、さらに、前記送液系と前記測定要素とを選択的に送液可能に接続するための流路切替部と、一の前記測定試料が指定されたときに、対応する前記流路切替部の切替情報を表示させる表示制御手段と、を備えてなる。
この液体クロマトグラフ装置によれば、試料溶液注入部及び送液系を共通化することで、省スペース化、測定作業や試料溶液の準備の作業性の向上を図り、別個に液体クロマトグラフ装置を用意することに比べて低コストかつ省スペースで2種以上の測定試料を測定できる。
【0006】
又、本発明の第1の態様の液体クロマトグラフ装置によれば、測定者が流路切替部の切替を誤って測定ミスをすることを安価に防止できる。
【0007】
本発明の液体クロマトグラフ装置は、前記測定要素毎の電源入切情報を取得する電源情報取得手段をさらに備え、前記表示制御手段は、対応する前記流路切替部の切替情報に基づく前記測定要素の電源入切状態が、前記電源入切情報と異なる場合に、所定の報知処理を行ってもよい。
この液体クロマトグラフ装置によれば、測定者が流路切替部の切替を誤ったときに報知するので測定ミスを安価かつ確実に防止できる。
【0008】
本発明の第2の態様の液体クロマトグラフ装置は、2種以上の測定試料を測定可能な単一の液体クロマトグラフ装置であって、前記2種以上の測定試料は、第1の種と、前記第1の種とは測定条件が異なる第2の種とを含み、前記測定試料を含む試料溶液を注入する単一の試料溶液注入部と、注入された前記試料溶液を送液する単一の送液系とを備えると共に、溶離液槽、分離カラム、及び検出器を有する測定要素を前記第1の種と前記第2の種とで別個に備え、さらに、前記送液系と前記測定要素とを選択的に送液可能に接続するための流路切替部と、前記流路切替部を駆動する流路切替部駆動手段と、一の前記測定試料が指定されたときに、前記送液系と対応する前記測定要素との間で選択的に送液するよう、前記流路切替部駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備えてなる。
この液体クロマトグラフ装置によれば、試料溶液注入部及び送液系を共通化することで、省スペース化、測定作業や試料溶液の準備の作業性の向上を図り、別個に液体クロマトグラフ装置を用意することに比べて低コストかつ省スペースで2種以上の測定試料を測定できる。
又、この液体クロマトグラフ装置によれば、流路切替部の切替を誤ることを自動的に防止できる。


【0009】
本発明の液体クロマトグラフ装置において、前記2種以上の測定試料は、それぞれアミノ酸、糖及び有機酸の群から選ばれるものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単一の液体クロマトグラフ装置で2種以上の測定試料を高い作業性で測定可能にした液体クロマトグラフ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置の構成を示す図である。
図2】測定試料(アミノ酸と有機酸)毎の流路切替部の切替情報のデータ構成を示す図である。
図3】流路切替部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置100の構成を示す図であり、具体的にはアミノ酸と有機酸を分析可能である。
液体クロマトグラフ装置100は、全体を制御するデータ処理装置50、それぞれ異なる2つの溶離液槽2a、2b、溶離液槽2a、2bからそれぞれ溶離液を送液する送液ポンプ3a、3b、反応液槽9a、反応液槽9aから反応液を送液する送液ポンプ9b、バルブ31、32、33、35、オートサンプラ10、それぞれ異なる分離カラム5a、5bを収容するカラムオーブン4a、4b、及び、それぞれ異なる検出器6a、6b、反応装置8、ミキサー9c等を備える。
又、液体クロマトグラフ装置100は、オートサンプラ10で調製された試料溶液を下流側へ送液する単一の送液系(配管)22を備える。溶離液槽2a、2b、反応液槽9a、分離カラム5a、5b、検出器6a、6b、反応装置8、ミキサー9cが特許請求の範囲の「測定要素」に相当する。オートサンプラ10が特許請求の範囲の「単一の試料溶液注入部」に相当する。
なお、試料溶液を構成する各成分をオートサンプラが採取して混合し、試料溶液を調製してもよい。又、試料溶液を手動で調製して作業者がオートサンプラに配置してもよい。要は、オートサンプラ10は、液体クロマトグラフ装置100に試料溶液を注入する構成であればよい。
【0013】
データ処理装置50は例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(中央制御装置)52、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段(図示せず)、並びにモニタ等の表示手段54、作業者の指示が入力されるキーボード等の入力手段56、スピーカ58等を備える。又、CPU52は、特許請求の範囲の「表示制御手段」、「駆動制御手段」、「電源情報取得手段」にも相当する。
【0014】
アミノ酸を測定試料11a、有機酸を測定試料11bとする。
アミノ酸を例えばNBD-F法(「4-Fluoro-7-nitrobenzofurazan(NBD-F)を用いたプレカラム誘導体化アミノ酸分析法」)で測定する場合、アミノ酸の標準試料12aを用意した後、作業者が入力手段56によりアミノ酸の測定開始の指示を入力すると、データ処理装置50からの命令により、サンプラ10が、標準試料12aを吸引し、送液ポンプ3aから送液された溶離液槽2aの溶離液と共に、送液系22を通って、アミノ酸用カラムオーブン4a内の分離カラム5aに送り込まれて分離展開され、最後に蛍光(FL)検出器6aで検出される。この検出データであるクロマトグラムはデータ処理装置50の記憶手段に記憶される。
なお、NBD-F法では、手動で測定対象となるアミノ酸が所定量含まれる試料、反応緩衝液、NBD-Fを含む蛍光ラベル化剤溶液を混合し、蛍光ラベル化反応を起こさせた後、サンプラ10の標準試料12aの区画に滴下する。
【0015】
ここで、アミノ酸を測定する前に、作業者は、送液系22に溶離液槽2aの溶離液を選択的に送液するよう送液ポンプ3aをONに、送液ポンプ3bをOFFに操作し、送液系22と分離カラム5aとを選択的に送液可能に接続するようバルブ33を操作し、及び、送液系22と検出器6aとを選択的に送液可能に接続するようバルブ35を操作する。
次に、測定試料11aについても同様にして測定し、標準試料12aのデータと比較することで、分析を行う。
【0016】
送液ポンプ3a、3bは本例では低圧グラジエント用のプランジャポンプであり、ポンプヘッド前段(溶離液槽側)には、ポンプのOn/Offに連動する電磁弁が設置されている。従って、送液ポンプ3aをONに、送液ポンプ3bをOFFにするだけで、流路21を介して送液系22と溶離液槽2a、2bとを選択的に送液可能に接続する。従って、送液ポンプ3a、3bが特許請求の範囲の「流路切替部」に相当する。
又、バルブ33,35が特許請求の範囲の「流路切替部」に相当する。
そして、混合室14の混合液が特許請求の範囲の「試料溶液」に相当する。
【0017】
なお、本例では、溶離液槽2aは複数種(溶離液槽2a1、2a2)配置され、バルブ32を介して各溶離液槽2a1、2a2の溶離液を順次送液系22に送ったり、各溶離液槽2a1、2a2の溶離液を所定の混合比で混合して送液系22に送ることができる。このバルブ32は特許請求の範囲の「流路切替部」には該当しない。
【0018】
一方、有機酸を例えばBTB法(「Bromothymol blue(BTB)を用いたポストカラム誘導体化有機酸分析法」)で測定する場合、有機酸の標準試料12bを用意した後、作業者が入力手段56により有機酸の測定開始の指示を入力すると、データ処理装置50からの命令により、サンプラ10が、標準試料12bを吸引し混合室14内に吐出する。標準試料12bには、測定対象となる有機酸が所定量含まれている。混合室14の試料溶液は、送液ポンプ3bから送液された溶離液槽2bの溶離液と共に、送液系22を通って、有機酸用カラムオーブン4b内の分離カラム5bに送り込まれて分離展開された後、ミキサー9cに送液される。
一方、反応液槽9aのpH指示薬(BTB:ブロモチモールブルー液)が送液ポンプ9bによりミキサー9cに送液され、ミキサー9c内で標準試料12bと混合され、酸性成分がUV可視光検出器6bで検出される。この検出データであるクロマトグラムはデータ処理装置50の記憶手段に記憶される。
【0019】
なお、BTB法では反応が早いため、ミキサー9cの混合液を反応させるために加温する必要がなく、反応装置8を用いず(単に通過させて)、UV可視光検出器6bへ導入される。但し、ニンヒドリン法、糖分析法などでは、ミキサー9cの混合液を反応装置8で加温する。
又、溶離液槽2aと同様に、反応液槽9aは複数種配置され、バルブ31を介して各反応液槽の反応液を選択的にミキサー9cに送ることができる。例えば、BTB法では用いる反応液は1種類であるが、ニンヒドリン法では2種類の反応液を混合して使用する。このバルブ31は、異なる2種以上の測定試料毎に反応液を切り替える場合は、特許請求の範囲の「流路切替部」に該当する。
【0020】
ここで、有機酸を測定する前に、作業者は、送液系22に溶離液槽2bの溶離液を選択的に送液するよう送液ポンプ3aをOFFに、送液ポンプ3bをONにし、送液系22と分離カラム5bとを選択的に送液可能に接続するようバルブ33を操作し、及び、送液系22と反応装置8及び検出器6bとを選択的に送液可能に接続するようバルブ35を操作する。
次に、測定試料11bについても同様にして測定し、標準試料12bのデータと比較することで、分析を行う。
【0021】
本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置100においては、アミノ酸の測定に必要な溶離液槽2a、分離カラム5a(及びカラムオーブン4a)、検出器6aと、有機酸の測定に必要な溶離液槽2b、分離カラム5b(及びカラムオーブン4b)、反応装置8、検出器6bと、を単一の液体クロマトグラフ装置内に併設しているので、2種以上の測定試料であるアミノ酸と有機酸をそれぞれ一台の装置で分析可能である。
又、オートサンプラ10、及びオートサンプラ10で調製された試料溶液を下流側へ送液する送液系22を共通としている。
そして、送液系22に溶離液槽2a又は溶離液槽2bの溶離液を選択的に送液する送液ポンプ3a、3b、送液系22と分離カラム5a又は分離カラム5bとを選択的に送液可能に接続するバルブ33、及び、送液系22と検出器6a又は検出器6bとを選択的に送液可能に接続するバルブ35をそれぞれ備えている。
【0022】
以上により、オートサンプラ10及び送液系22を共通化することで、省スペース化、測定作業や試料溶液の準備の作業性の向上を図り、別個に液体クロマトグラフ装置を用意することに比べて低コストかつ省スペースで2種以上の測定試料を測定できる。
【0023】
なお、流路切替部(送液ポンプ3a、3b、バルブ33、35)の切替を作業者が手動で行っても良いが、測定試料11a、11b(アミノ酸と有機酸)毎の切替を間違うおそれもある。
そこで、予め測定試料11a、11b(アミノ酸と有機酸)毎の上記流路切替部3a、3b、33、35の切替情報を表示手段54に表示させるようにすると、作業者の切替ミスを防止できる。
この場合、図2に示すように、予め測定試料11a、11b(アミノ酸と有機酸)毎の流路切替部3a、3b、33、35の操作に関する切替情報(例えば、送液ポンプ3a、3bのON/OFF、バルブ33、35の切替位置、又は、測定要素である溶離液槽2a、2bのどちらを選択するか)をROM等に記憶しておく。そして、作業者が入力手段56により測定試料の種類(例えばアミノ酸)の測定開始の指示を入力すると、表示制御手段52aは対応する測定試料の切替情報を読み出し、表示手段54に表示させる処理を行えばよい。
【0024】
又、例えばバルブ33、35の切替をサーボモータ等で自動的に行ったり、送液ポンプ3a、3bのON/OFFを電気制御で自動的に行えるようにすれば、作業者の切替作業が不要となって作業性が向上する。この場合、作業者が入力手段56により測定試料の種類(例えばアミノ酸)の測定開始の指示を入力すると、駆動制御手段52bが対応する測定試料の上記切替情報を読み出し、サーボモータを制御したり、送液ポンプ3a、3bのON/OFFを電気的に制御することで、流路切替部3a、3b、3335の自動切替が可能となる。
なお、サーボモータや、送液ポンプ3a、3bのON/OFFを制御する電子回路若しくはマイコン等が、特許請求の範囲の「流路切替部駆動手段」に相当する。
【0025】
但し、サーボモータ等は高価であり、設置が困難な場合がある。そこで、電源情報取得手段52cが各測定要素毎の電源入切情報を取得し、流路切替部3a、3b、3335の切替を誤った場合に表示制御手段52aが報知処理を行うようにすると、誤測定を安価に防止できる。
ここで、各測定要素毎の電源入切情報は、送液ポンプ3a、3bの電源、分離カラム5a、5bを収容するカラムオーブン4a、4bのヒータの電源、及び検出器6a、6bの電源のON/OFFをモニタすれば容易に取得できる。
【0026】
表示制御手段52aは、作業者が測定対象成分を選択すると、分析法及びカラム、検出器等の測定条件に即した機器構成をガイド表示することができる。このガイド表示に従って作業者は接続を切り換えることができる。
そして、表示制御手段52aは、図2の切替情報に基づく測定要素の電源入切状態が、電源情報取得手段52cが取得した電源入切情報と異なる場合に、所定の報知処理を行う。
例えば、いま、作業者が入力手段56によりアミノ酸の測定開始の指示を入力した場合、図2によれば送液ポンプ3aが切り替わる(ポンプの電源ON)はずであるが、送液ポンプ3bの電源がONであれば、流路切替部の切替を誤ったことを検知できる。そこで、表示制御手段52aは、スピーカ58から音声を鳴動させたり、表示手段54に注意を喚起する表示を行うことで、作業者への報知処理を行うことができる。
【0027】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
測定試料は限定されず、例えばアミノ酸、有機酸、糖、ビタミン類、シアン化合物、カルバメート系農薬が例示される。測定要素としては、溶離液槽、分離カラム、及び検出器の他、上述の反応装置が挙げられる。又アミノ酸分析の場合は、反応試薬(ニンヒドリン)を用い、NBD-F法では蛍光ラベル化剤溶液を用いることができる。
各測定試料を測定する方法も限定されない。例えば、アミノ酸分析に、ニンヒドリン法(ニンヒドリンポストカラム誘導体化アミノ酸分析法)を用いることもできる。この場合、溶離液槽2aは5槽あり、5種類の溶離液を用いる。又、ニンヒドリン法では反応装置8を用いる。
【0028】
流路切替部は、流路が切替わる構成、機能であれば、上述の送液ポンプ、バルブや弁に限定されない。例えば、図3に示すように、送液ポンプ30a、30bを溶離液槽2a、2bよりも上に配置して各溶離液を吸い上げるようにした場合、送液ポンプ30a、30bがバルブを内蔵しなくとも特許請求の範囲の「流路切替部」として機能する。例えば、送液ポンプ30aをON,送液ポンプ30bをOFFにすると、溶離液槽2bから送液ポンプ30bを通り、各送液ポンプ30a、30bが流路21に集合する部位Cまでの溶離液が重力で溶離液槽2bに戻り、溶離液槽2aの溶離液のみが送液ポンプ30aで流路21を経由して送液系22へ送液されることになる。
但し、高圧グラジエント用のプランジャポンプなどの電磁弁が内蔵されていない送液ポンプであって、図3のような重力を利用しない場合には、送液ポンプの前段もしくは後段にそれぞれバルブを配置するか、各送液ポンプが流路21に集合する部位Cに1個のバルブを配置する。この場合には、当該バルブが特許請求の範囲の「流路切替部」に相当する。
以上のように、「流路切替部」とは、外部からの動作(ポンプの電源ON、バルブのサーボモータによる切替のような自動的な動作の他、手動でバルブを切り替えること等も含む)に応じて流路が切り替わる部材をいう。
【符号の説明】
【0029】
2a、2b 溶離液槽
5a、5b 分離カラム
6a、6b 検出器
11a、11b 測定試料
10 試料溶液注入部(オートサンプラ)
22 送液系(配管)
3a、3b、33、35 流路切替部
52a 表示制御手段
52b 駆動制御手段
52c 電源情報取得手段
100 液体クロマトグラフ装置
図1
図2
図3