(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】恒温装置、及びそれを備えた分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 30/24 20060101AFI20220127BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20220127BHJP
F25B 21/02 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
G01N30/24 Z
G01N1/28 L
F25B21/02 A
(21)【出願番号】P 2017161961
(22)【出願日】2017-08-25
【審査請求日】2020-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503460323
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森崎 敦己
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正人
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-141860(JP,U)
【文献】特開平10-192719(JP,A)
【文献】特開2013-190245(JP,A)
【文献】特開2011-099705(JP,A)
【文献】特開2000-137031(JP,A)
【文献】実開昭63-109649(JP,U)
【文献】特表2009-543064(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/24
G01N 1/28
F25B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を保持する複数の試料容器を恒温保持する恒温装置であって、
前記複数の試料容器を収容して保持すると共に、前記恒温装置に着脱自在の試料ラックと、
一定温度に制御され、前記試料容器に熱を伝える熱伝導部材と、を備え、
前記試料ラックには、
前記試料容器を保持して上下に貫通する貫通孔を有すると共に、該貫通孔の開口部が
底面に形成され、
かつ前記試料容器の脱落を防止するために前記試料容器の底面を支持するストッパが前記開口部の一部を覆うように配置され、
前記熱伝導部材は前記試料ラックの下側に取り付けられ、前記熱伝導部材における前記ストッパの周囲には、該ストッパを収容するように溝部が形成され、
前記試料ラックを前記恒温装置に装着した際、前記熱伝導部材の一部をなす接触部が、前記開口部を通して前記試料容器に直接接触するか、
又は前記開口部から突出する前記試料容器に直接接触することを特徴とする恒温装置。
【請求項2】
試料を保持する複数の試料容器を恒温保持する恒温装置であって、
前記複数の試料容器を収容して保持すると共に、前記恒温装置に着脱自在の試料ラックと、
一定温度に制御され、前記試料容器に熱を伝える熱伝導部材と、を備え、
前記試料ラックには、前記試料容器を保持して上下に貫通する貫通孔を有すると共に、該貫通孔の開口部が側面に形成され、かつ前記試料容器の脱落を防止するために前記試料容器の底面を支持するストッパが前記貫通孔の底面の一部を覆うように配置され、
上下方向に見て、前記熱伝導部材は前記試料ラックの内側に取り付けられ、
前記試料ラックを前記恒温装置に装着した際、前記熱伝導部材の一部をなす接触部が、前記開口部を通して前記試料容器に直接接触するか、
又は前記開口部から突出する前記試料容器に直接接触することを特徴とする恒温装置。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、前記試料ラックよりも下方に位置する底面を有し、該底面には一方向に向かって下がり、前記試料容器の冷却時に生じる結露水を外部に排出する流路をなす請求項1又は2に記載の恒温装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の恒温装置を備えた分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、恒温装置、及びそれを備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ装置では、試料を保持する複数の試料容器を試料ラックに収容し、試料ラック毎オートサンプラに装着し、オートサンプラの吸引ニードルにより試料容器内の試料を吸引して液体クロマトグラフ装置に導入して分析を行っている。
ここで、試料の変質や、試料を溶解させた溶媒の揮発などを防止するため、試料容器を冷却することがある。そこで、試料ラックを熱伝導に優れた金属から形成し、試料ラックの底面に冷却部を接触させて試料容器(試料)を冷却する技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料ラックの底面に冷却部を接触させた場合、主に熱伝導により試料ラックから冷却部へ熱が伝わり(奪われ)、冷却が行われる。
しかしながら、試料ラックや冷却部の表面は完全な平面でなく細かい凹凸があるため、両者の間には空気層が存在し、熱伝導が阻害される。また、一般に試料ラックは、多数の試料容器を収容できるよう大型であるため、熱容量も大きく、試料ラックが冷却されるまで時間が掛かるという問題がある。さらに、一般に試料ラックは上面や側面が外部に露出しているため、これらの部位で試料ラックが外気によって温められ、冷却効率が低下する。
一方、試料ラックの冷却時間を短縮するためには、冷却部の冷却能力を向上させればよいが、装置の大型化や消費電力の増大を招く。
又、試料容器を冷却すると、試料容器の表面に結露水が生じることがあるが、結露水が試料ラックから排出し難く、結露水による水分が分析精度に影響を与えるおそれがある。このため、特許文献1の技術では、冷却部と別に測定雰囲気の空気を除湿する装置も設けているが、コストアップに繋がる。
【0005】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、装置の大型化や消費電力の増大を抑制して試料容器を恒温保持することを可能にし、冷却時には結露水を排出し易くした恒温装置、及びそれを備えた分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の恒温装置は、試料を保持する複数の試料容器を恒温保持する恒温装置であって、前記複数の試料容器を収容して保持すると共に、前記恒温装置に着脱自在の試料ラックと、一定温度に制御され、前記試料容器に熱を伝える熱伝導部材と、を備え、前記試料ラックには、前記試料容器を保持して上下に貫通する貫通孔を有すると共に、該貫通孔の開口部が底面に形成され、かつ前記試料容器の脱落を防止するために前記試料容器の底面を支持するストッパが前記開口部の一部を覆うように配置され、前記熱伝導部材は前記試料ラックの下側に取り付けられ、前記熱伝導部材における前記ストッパの周囲には、該ストッパを収容するように溝部が形成され、前記試料ラックを前記恒温装置に装着した際、前記熱伝導部材の一部をなす接触部が、前記開口部を通して前記試料容器に直接接触するか、又は前記開口部から突出する前記試料容器に直接接触することを特徴とする。
【0007】
この恒温装置によれば、試料ラックを恒温装置に装着すると、開口部を介して、又は開口部から突出する試料容器に接触部が直接接触するので、試料ラックに熱伝導部材を接触させて試料容器に間接的に熱を伝える(又は奪う)場合に比べ、試料容器に有効に熱を伝える(又は奪う)ことができ、装置の大型化や消費電力の増大を抑制しつつ、試料容器を迅速に恒温保持することが可能となる。
又、試料ラックには、開口部が形成されているので、試料容器を冷却した際に試料容器の表面に結露水が生じても、結露水が開口部を通って排出し易くなる。
【0008】
また、本発明の恒温装置は、試料を保持する複数の試料容器を恒温保持する恒温装置であって、前記複数の試料容器を収容して保持すると共に、前記恒温装置に着脱自在の試料ラックと、一定温度に制御され、前記試料容器に熱を伝える熱伝導部材と、を備え、前記試料ラックには、前記試料容器を保持して上下に貫通する貫通孔を有すると共に、該貫通孔の開口部が側面に形成され、かつ前記試料容器の脱落を防止するために前記試料容器の底面を支持するストッパが前記貫通孔の底面の一部を覆うように配置され、上下方向に見て、前記熱伝導部材は前記試料ラックの内側に取り付けられ、前記試料ラックを前記恒温装置に装着した際、前記熱伝導部材の一部をなす接触部が、前記開口部を通して前記試料容器に直接接触するか、又は前記開口部から突出する前記試料容器に直接接触することを特徴とする。
【0009】
本発明の恒温装置において、前記熱伝導部材は、前記試料ラックよりも下方に位置する底面を有し、該底面には一方向に向かって下がり、前記試料容器の冷却時に生じる結露水を外部に排出する流路をなしてもよい。
この恒温装置によれば、試料容器の冷却時に生じる結露水は、開口部から熱伝導部材の底面に落下し、その傾斜に沿って流れて外部に排出されるので、結露水をより迅速に外部に排出することができる。
【0010】
本発明の分析装置は、前記恒温装置を備えてなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、恒温装置の大型化や消費電力の増大を抑制して試料容器を恒温保持することを可能にし、冷却時には結露水を排出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る恒温装置、及びそれを備えた分析装置の構成を示す図である。
【
図6】試料ラックを水平方向にスライドさせて熱伝導部材に装着する態様を示す図である。
【
図7】試料容器の底面が試料ラックよりも下方に突出した状態を示す図である。
【
図8】試料ラックを熱伝導部材に装着した際、熱伝導部材が試料容器に直接接触する状態を示す図である。
【
図10】本発明の変形例に係る試料ラックの斜視図である。
【
図12】
図11の試料ラックを熱伝導部材に装着した状態を示す図である。
【
図13】本発明の別の変形例に係る試料ラックの斜視図である。
【
図14】本発明のさらに別の変形例に係る試料ラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液体クロマトグラフ装置(分析装置)100の構成を示す図、
図2は恒温装置20の構成を示す図、
図3は恒温装置20の拡大斜視図である。
【0014】
液体クロマトグラフ装置100は、移動相1(溶媒)を収容する移動相容器2、オートサンプラ4、移動相容器2からオートサンプラ4へ移動相1を送液するポンプ3、オートサンプラ4に取り付けられる恒温装置20、分離カラム5及びそれを収納するカラムオーブン6、検出器7、廃液容器8、コンピュータ10等を備える。コンピュータ10は、演算処理部(CPU)10a、ハードディスク等からなるデータ保持部10b、及び表示部10cを有する。
オートサンプラ4には吸引ニードル(シリンジ)4aが設けられ、吸引ニードル4aは、恒温装置20に配置された試料容器50(
図2参照)から試料を吸引し、移動相1と共に分離カラム5へ送り込む。分離カラム5へ送液された試料は検出器7で検出され、検出信号(クロマトグラム)がコンピュータ10で解析、表示等される。
【0015】
図2、
図3に示すように、恒温装置20は、複数の試料容器50を収容し、オートサンプラ4から着脱自在の試料ラック21と、オートサンプラ4に取り付けらた熱伝導部材23と、熱伝導部材23を一定温度に制御する恒温部25と、を備えている。
本実施形態では、恒温部25は、ペルチェ素子などの冷却部材と、ペルチェ素子の発熱部を冷却するファンと、制御回路等を備える。又、ペルチェ素子の冷却面は熱伝導部材23の下面に熱的に接し、熱伝導部材23の熱を奪うことで一定温度(例えば4℃)に冷却が行われる。
試料容器50は円筒形のガラス瓶及び蓋からなる。試料ラック21は略箱型であり、各試料容器50の直径よりやや径大の貫通孔21hが上下に開口して複数個設けられており、各貫通孔21hに上から試料容器50を挿入するようになっている。なお、貫通孔21hの下側には、試料容器50の抜けを防止するストッパ21s(
図4参照)が複数個取り付けられている。
貫通孔21hが特許請求の範囲の「開口部」に相当する。
【0016】
図4に示すように、ストッパ21sは、試料ラック21の裏面21bから離間しつつ、上下方向から見て貫通孔21hと重なる短冊状の部材である。本実施形態では、ストッパ21sは試料ラック21の一方向に延び、この方向に沿った一列の各貫通孔21hの中心と重なるように配置されている。そして、後述する
図7に示すように、貫通孔21hよりも下側に落ちた試料容器50の底面がストッパ21sで支持されることで、試料容器50の底面が露出する。
なお、ストッパ21sは、ロの字状に切り抜いたステンレス板を長手方向が平行になるようにコ字状に曲げ、ストッパ21sの長手方向両端を試料ラック21の裏面21bにネジ止めして取り付けられている。そして、ストッパ21sは試料ラック21の裏面21bと離間しつつ、裏面21bよりも突出している。
【0017】
そして、試料ラック21を水平方向にスライドさせながら(
図2の手前から奥への矢印参照)、熱伝導部材23の上に試料ラック21を装着し、熱伝導部材23と試料ラック21とを熱的に接触させる。
このため、熱伝導部材23と試料ラック21とは、熱伝導の良いアルミニウムから形成されている。
なお、吸引ニードル(シリンジ)4aで試料容器50から試料を吸引する際には、適宜シリンジ切換バルブ4b及びインジェクション切換バルブ4cが切り替わるようになっている。
【0018】
一方、
図5に示すように、熱伝導部材23の上面23fに、一方向に延びる溝23rを複数有すると共に、位置決め孔23gを有する。この溝23rの延びる方向、及び溝23rの個数はストッパ21sと同一である。
従って、
図6に示すように、試料ラック21を水平方向にスライドさせながら、熱伝導部材23の上に試料ラック21を装着すると、各溝23rにそれぞれ対応するストッパ21sが収容されるようになっている。そして、試料ラック21を装着後、試料ラック21の図示しない位置決めピンを位置決め孔23gに挿入することで、試料ラック21と熱伝導部材23とが位置決めされる。
【0019】
次に、
図7~
図9を参照し、本発明の特徴部分である、熱伝導部材23と試料容器50との接触状態について説明する。
図7に示すように、試料容器50を試料ラック21の貫通孔21hに挿入すると、貫通孔21hよりも下側に落ちた試料容器50の底面50bがストッパ21sの上面で支持される。そして、試料容器50の底面50bは、試料ラック21の裏面21bよりも下方にやや突出する。
このとき、試料ラック21の装着位置において、熱伝導部材23のうち、溝23rがストッパ21sに対向すると共に、溝23rの両隣の上面23fが試料容器50の底面50bに対向する(
図7の矢印参照)。
【0020】
従って、
図6に示したように、試料ラック21を水平方向にスライドさせながら、熱伝導部材23の上に試料ラック21を装着すると、
図8のように各溝23rに各ストッパ21sが収容されると共に、溝23rの両隣の上面23fが試料容器50の底面50bを若干押し上げながら、底面50bに直接接触する。
これにより、試料ラック21に熱伝導部材23を接触させて試料容器50に間接的に熱を伝える(又は奪う)場合に比べ、試料容器50に有効に熱を伝える(又は奪う)ことができ、装置の大型化や消費電力の増大を抑制しつつ、試料容器50を迅速に恒温保持することが可能となる。
又、試料ラック21には、個々の試料容器50毎に貫通孔21hが形成されているので、試料容器50を冷却した際に試料容器50の表面に結露水が生じても、結露水が貫通孔21hを通って排出し易くなる。その結果、結露水による水分が分析精度に影響を与えることを抑制できる。
なお、熱伝導部材23の上面23fが、特許請求の範囲の「接触部」に相当する。
【0021】
又、
図9に示すように、本実施形態では、熱伝導部材23の各溝23rの底面23cは、試料ラック21よりも下方に位置すると共に、一方向(各ストッパ21sの延びる方向、
図9では右側)に向かって下がっている。このため、試料容器50の冷却時に生じる結露水は、貫通孔21hから底面23cに落下し、その傾斜に沿って
図9の右側へ流れて外部に排出される。つまり、底面23cは結露水の排出流路をなしている。
これにより、結露水をより迅速に外部に排出することができる。
【0022】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、
図10に示すように、試料ラック210の側面に、一方向(
図10の手前から奥)に延びるスリット210kを複数個形成し、このスリット210kに
図11に示す熱伝導部材230の突部230pを挿入することで、試料容器50を恒温保持してもよい。
【0023】
具体的には、
図11に示すように、スリット210kは、各試料容器50を収容する貫通孔210h(
図3の貫通孔21hと同一)と別個のものであり、上記一方向と垂直な方向に隣接する貫通孔210hの間の試料ラック210を貫通して上記一方向に延びる矩形の貫通孔となっている。又、スリット210kは貫通孔210hに連通しており、貫通孔210hの側壁の一部が開口してスリット210kに繋がっている。
図11ではスリット210kは合計9個設けられている。
一方、熱伝導部材230の突部230pは、各スリット210kに対向するように櫛歯状に9個設けられ、突部230pの基部がベース230vに一体に接続されている。そして、ベース230vが図示しない恒温部に熱的に接触して恒温に保たれ、その熱が各スリット210kに伝わるようになっている。
【0024】
そして、
図12に示すように、熱伝導部材230を水平にスライドさせ、各スリット210kに各突部230pを挿入すると、各スリット210kに連通した貫通孔210hを通して各突部230pが各試料容器50の側面に直接接触する。
このようにして、試料ラック210に熱伝導部材230を接触させて試料容器50に間接的に熱を伝える(又は奪う)場合に比べ、試料容器50に有効に熱を伝える(又は奪う)ことができる。又、スリット210kから結露水を排出させ易くなる。
なお、スリット210k及び貫通孔210hが特許請求の範囲の「開口部」に相当し、突部230pが特許請求の範囲の「接触部」に相当する。
【0025】
以上のように、
図3、
図4の試料ラック21の場合、開口部(貫通孔21h)から試料容器50の底面が突出し、この突出部位に接触部(上面23f)が直接接触する態様である。
一方、
図10、
図11の試料ラック210の場合、開口部(スリット210k、貫通孔210h)から試料容器50は突出せず、接触部(突部230p)が開口部を通して(開口部内に入って)試料容器50に直接接触する態様である。
なお、例えば試料ラック21において、開口部(貫通孔21h)と試料容器50の底面とが面一の場合は、接触部(上面23f)が開口部を通って直接接触する態様とみなす。
【0026】
さらに、「開口部」は個々の試料容器50毎に形成されていなくてもよく、例えば
図13に示すように、試料ラック240の一方向に延びる長円状の貫通孔(開口部)240hを複数個設け、この貫通孔240hの短径を試料容器50の直径よりわずかに大きくし、長径を試料容器50の直径の複数倍よりわずかに大きくすれば、1つの貫通孔240hの長手方向に沿って複数の試料容器50を収容及び保持できることになる。
なお、試料ラック240には
図4のストッパ21sと同一のストッパ240sが取り付けられ、試料容器50の底面を保持している。
【0027】
同様に、例えば
図14に示すように、試料ラック250の外周のみを枠状に残し、この外周の内側に1つの大きな矩形状の貫通孔(開口部)250hを設け、この貫通孔250h上に、さらに複数のワイヤ250wを縦横に間隔を空けて碁盤目状に配置し、各碁盤目の中に個々の試料容器50が丁度収容されるようにしてもよい。これにより、1つの貫通孔250hの中に、ワイヤ250wで支持されて複数の試料容器50を収容及び保持できることになる。
なお、試料ラック250には
図4のストッパ21sと同一のストッパ250sが取り付けられ、試料容器50の底面を保持している。
【0028】
試料ラックが「試料容器を保持」するとは、試料ラックに収容された試料容器が落下しないように、かつ試料ラックを試料容器ごと移動できるようにすることをいう。例えば、
図4の場合、開口部21h及びストッパ21sが「試料容器を保持」する機能を有している。
熱伝導部材と試料ラックは、アルミニウム以外の熱伝導の良い金属または樹脂から形成されていてもよい。
又、恒温装置としては、試料容器を一定温度に冷却するものに限らず、一定温度に加熱(例えば37℃)するものでもよい。又、恒温装置の恒温部は、ペルチェ素子などの冷却部材の他、ヒータ等の加熱部材を備えてもよく、冷却部材と加熱部材の両方を備えてもよい。
恒温装置を備えた分析装置は液体クロマトグラフ装置に限られない。
【符号の説明】
【0029】
20 恒温装置
21、210、240,250 試料ラック
21h、210h、210k、240h,250h 開口部
23、230 熱伝導部材
23f、230p 接触部
23c 熱伝導部材の溝の底面
50 試料容器
50b 試料容器の底面
100 分析装置