(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】保護回路モジュール、電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20220104BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220104BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H05K1/11 E
H05K1/02 P
H05K1/18 S
(21)【出願番号】P 2017245577
(22)【出願日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】傳田 達明
(72)【発明者】
【氏名】今野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】細井 みのり
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-096697(JP,A)
【文献】特開2005-183410(JP,A)
【文献】特開2001-111232(JP,A)
【文献】特開平09-064508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 1/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板の一方の面に形成された一対の第1パッドに実装された第1耐サージチップ抵抗と、
前記絶縁性基板の他方の面の前記第1耐サージチップ抵抗と平面視で重複する位置に配置され、前記絶縁性基板の他方の面に形成された一対の第2パッドに実装された第2耐サージチップ抵抗と、
前記第1パッドの一方と接続された第1配線と、
前記第2パッドの一方と接続された第2配線と、
前記第1パッドの他方と前記第2パッドの他方とを同電位に接続する第3配線と、
前記絶縁性基板の内層に設けられ、少なくとも前記第1パッドの一方と前記第2パッドの一方とが対向する領域に配置されたシールド配線と、を有する保護回路モジュール。
【請求項2】
前記第1パッドの一方と前記シールド配線との対向する面間の距離は、前記第2パッドの一方と前記シールド配線との対向する面間の距離よりも短い請求項1に記載の保護回路モジュール。
【請求項3】
前記絶縁性基板は、前記絶縁性基板の一方の面をなす第1面に前記第1パッドが形成された第1絶縁層と、前記絶縁性基板の他方の面をなす第2面に前記第2パッドが形成された第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とを接着する第3絶縁層と、を有し、
前記シールド配線は、前記第1絶縁層の前記第1面の反対面に形成され、前記第3絶縁層に被覆されている請求項2に記載の保護回路モジュール。
【請求項4】
前記第1配線は、第1信号を供給する配線であり、
前記第2配線は、第2信号を供給する配線であり、
前記第1信号の振幅は前記第2信号の振幅よりも小さい請求項1乃至3の何れか一項に記載の保護回路モジュール。
【請求項5】
前記シールド配線は、前記第1パッドの一方と前記第2パッドの一方とが対向する領域から周囲に延在し、
前記第1配線及び前記第2配線は、平面視で前記シールド配線と重複する領域に配置されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の保護回路モジュール。
【請求項6】
前記第1パッド、前記第1耐サージチップ抵抗、前記第2パッド、前記第2耐サージチップ抵抗、前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、及び前記シールド配線は、一組の保護回路を構成し、
前記絶縁性基板に、前記保護回路と同一構造の他の保護回路が設けられた請求項1乃至5の何れか一項に記載の保護回路モジュール。
【請求項7】
前記シールド配線は、複数の前記保護回路間で共有される請求項6に記載の保護回路モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の保護回路モジュールと、
前記保護回路モジュールの前記第1パッドの他方に第1信号を供給するメインモジュールと、
前記第1信号を前記第1耐サージチップ抵抗及び前記第1配線を経由して取得すると共に、前記第2配線に第2信号を供給するサブモジュールと、を有し、
前記保護回路モジュールの前記シールド配線は、前記メインモジュール及び/又は前記サブモジュールの基準電位と接続されている電子装置。
【請求項9】
前記第2信号は交流信号である請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記第1信号の振幅は前記第2信号の振幅よりも小さい請求項8又は9に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路モジュール、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信機器に搭載される高周波回路モジュール等の様々な回路モジュールが開発されている。2つのモジュール間に介在し、周辺回路を保護する機能を備えた保護回路モジュールもそのうちの一つである。
【0003】
近年、保護回路モジュールの小型化の要求が高まり、それに伴って生じる配線間のクロストーク対策が重要となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、配線間のクロストークを低減した保護回路モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本保護回路モジュールは、絶縁性基板と、前記絶縁性基板の一方の面に形成された一対の第1パッドに実装された第1耐サージチップ抵抗と、前記絶縁性基板の他方の面の前記第1耐サージチップ抵抗と平面視で重複する位置に配置され、前記絶縁性基板の他方の面に形成された一対の第2パッドに実装された第2耐サージチップ抵抗と、前記第1パッドの一方と接続された第1配線と、前記第2パッドの一方と接続された第2配線と、前記第1パッドの他方と前記第2パッドの他方とを同電位に接続する第3配線と、前記絶縁性基板の内層に設けられ、少なくとも前記第1パッドの一方と前記第2パッドの一方とが対向する領域に配置されたシールド配線と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、配線間のクロストークを低減した保護回路モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る電子装置を例示する断面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る電子装置を例示する平面図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る電子装置を例示する底面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る電子装置の信号の流れを説明する図である。
【
図5】比較例に係る電子装置の信号の流れを説明する図である。
【
図6】比較例に係る電子装置の信号波形及びノイズ波形を例示する図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る電子装置の信号波形及びノイズ波形を例示する図である。
【
図8】第1の実施の形態の変形例1に係る電子装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る電子装置を例示する断面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る電子装置を例示する平面図である。
図3は、第1の実施の形態に係る電子装置を例示する底面図である。なお、
図1は、
図2及び
図3のA-A線に沿う断面を示している。又、
図2及び
図3ではソルダーレジスト層103及び113の図示が省略されており、内層となるシールド配線を梨地模様で示している。又、
図3に示す底面図は、第1の実施の形態に係る電子装置を絶縁層110の他方の面110bの法線方向から視た図である。
【0011】
図1~
図3を参照するに、電子装置1は、保護回路モジュール10と、メインモジュール20と、サブモジュール30とを有している。電子装置1は、必要に応じ、電源、コネクタ、ケーブル等の他の構成要素を有しても構わない。保護回路モジュール10は、メインモジュール20とサブモジュール30との間に介在し、両者と電気的に接続されている。但し、保護回路モジュール10は、メインモジュール20及びサブモジュール30と着脱自在とすることができる。
【0012】
保護回路モジュール10は、瞬間的に大電流が流れたときに周辺回路を保護する機能を備えたモジュールである。保護回路モジュール10は、絶縁層100と、パッド101と、配線102と、ソルダーレジスト層103と、耐サージチップ抵抗105と、シールド配線108と、絶縁層110と、パッド111と、配線112と、ソルダーレジスト層113と、耐サージチップ抵抗115と、絶縁層120と、配線121とを有している。なお、絶縁層100と絶縁層110と絶縁層120とが積層された構造体を、便宜上、絶縁性基板S1と称する。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、保護回路モジュール10のソルダーレジスト層103側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層113側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層103側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層113側の面を他方の面又は下面とする。但し、保護回路モジュール10は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層100の一方の面100aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層100の一方の面100aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
絶縁層100は、例えば、ポリイミド系樹脂等の可撓性を有する絶縁性樹脂から形成されている。絶縁層100の厚さは、例えば、10~50μm程度とすることができる。
【0015】
パッド101及び配線102は、絶縁層100の一方の面100a(絶縁性基板S1の一方の面)に形成されている。パッド101は、2端子の電子部品を実装するための一対のパッド1011及び1012からなる。パッド101には、図示しないはんだや導電性ペースト等を用いて、耐サージチップ抵抗105が実装されている。パッド101の一方であるパッド1011は、配線102と電気的に接続されている。パッド101及び配線102の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。パッド101及び配線102の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。必要に応じ、パッド101及び配線102の表面に、金(Au)めっき等を施してもよい。
【0016】
ソルダーレジスト層103は、絶縁層100の一方の面100aに、配線102を被覆するように形成されている。但し、前述のように、
図2では、ソルダーレジスト層103の図示は省略されている。ソルダーレジスト層103の材料としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等を用いることができる。ソルダーレジスト層103の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0017】
シールド配線108は、絶縁層100の他方の面100bに形成されている。シールド配線108は、パッド1011と1111よりもメインモジュール20側にはり出して形成されている。シールド配線108は、メインモジュール20及び/又はサブモジュール30の基準電位と接続されている。ここで、基準電位とは、GNDや電源、又はそれに準じた安定した電位を指す。シールド配線108の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。シールド配線108の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0018】
絶縁層110は、例えば、ポリイミド系樹脂等の可撓性を有する絶縁性樹脂から形成されている。絶縁層110の厚さは、例えば、10~50μm程度とすることができる。
【0019】
パッド111及び配線112は、絶縁層110の他方の面110b(絶縁性基板S1の他方の面)に形成されている。パッド111は、2端子の電子部品を実装するための一対のパッド1111及び1112からなる。パッド111には、図示しないはんだや導電性ペースト等を用いて、耐サージチップ抵抗115が実装されている。パッド111の一方であるパッド1111は、配線112と電気的に接続されている。パッド111及び配線112の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。パッド111及び配線112の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。必要に応じ、パッド111及び配線112の表面に、金(Au)めっき等を施してもよい。
【0020】
耐サージチップ抵抗105及び115の大きさは、流れる電流等の仕様や規格の有無等に基づいて決定されるが、例えば、6332サイズ(平面形状が6.3mm×3.2mm)を用いることができる。
【0021】
ソルダーレジスト層113は、絶縁層110の他方の面110bに、配線112を被覆するように形成されている。但し、前述のように、
図3では、ソルダーレジスト層113の図示は省略されている。ソルダーレジスト層113の材料としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂等を用いることができる。ソルダーレジスト層113の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0022】
絶縁層120は、絶縁層100と絶縁層110との間に配置され、絶縁層100の他方の面100bと絶縁層110の一方の面110aとを接着している。絶縁層120は、シールド配線108を被覆している。絶縁層120の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層120の厚さは、例えば、20~70μm程度とすることができる。
【0023】
配線121は、パッド1012、絶縁層100、絶縁層120、絶縁層110、及びパッド1112を貫通し、パッド101の他方であるパッド1012とパッド111の他方であるパッド1112とを同電位に接続する貫通配線である。配線121の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。なお、配線121はパッド1012とパッド1112とを同電位に接続する配線の一例であり、必ずしも貫通配線である必要はない。配線121は、例えば、絶縁性基板S1の側面等に形成され、パッド1012とパッド1112とを同電位に接続してもよい。
【0024】
保護回路モジュール10において、耐サージチップ抵抗105と耐サージチップ抵抗115とは、平面視で重複する位置に実装されている。又、シールド配線108は、絶縁性基板S1の内層に設けられ、少なくともパッド1011とパッド1111とが対向する領域に配置されている。
【0025】
なお、保護回路モジュール10において、パッド101、配線102、耐サージチップ抵抗105、パッド111、配線112、耐サージチップ抵抗115、配線121、及びシールド配線108は、一組の保護回路を構成している。絶縁性基板S1に、上記の保護回路と同一構造の複数組の保護回路が設けられてもよく、
図2及び
図3では、絶縁性基板S1に2組の保護回路が設けられた例を示している。
【0026】
なお、シールド配線108は複数の保護回路に跨って形成されていても良い。その場合、シールド配線108を共有して用いる、複数のパッド101、配線102、耐サージチップ抵抗105、パッド111、配線112、耐サージチップ抵抗115、及び配線121が設けられる。
【0027】
保護回路モジュール10を作製するには、例えば、ポリイミド系樹脂等からなる絶縁層100の両面に銅箔が形成された基材を準備し、両面の銅箔をエッチングしてパッド101及び配線102並びにシールド配線108を形成する。そして、パッド101及び配線102を被覆するように感光性樹脂を塗布し、露光及び現像してパッド101を露出して配線102を被覆するソルダーレジスト層103を形成する。
【0028】
同様にして、パッド111、配線112、ソルダーレジスト層113を有する絶縁層110を形成する。そして、配線102と配線112が外側を向くように、例えば半硬化状態のフィルム状の絶縁性樹脂等からなる絶縁層120を挟んで絶縁層100と絶縁層110を配置し、絶縁層120を硬化させる。次に、パッド1012、絶縁層100、絶縁層120、絶縁層110、及びパッド1112を貫通する貫通孔をドリル加工法やレーザ加工法で形成し、めっき等により貫通孔内に銅等を充填して配線121を形成する。その後、はんだや導電性ペースト等を用いて、パッド101に耐サージチップ抵抗105を、パッド111に耐サージチップ抵抗115を実装することより、保護回路モジュール10が完成する。
【0029】
図4に示すように、電子装置1において、メインモジュール20からパッド101
2に第1信号Fが供給される。パッド101
2に供給された第1信号Fは、耐サージチップ抵抗105、パッド101
1、及び配線102を経由してサブモジュール30に取得される。一方、サブモジュール30から配線112に第2信号IMPFが供給される。配線112に供給された第2信号IMPFは、パッド111
1を経由して耐サージチップ抵抗115に達する。
【0030】
第2信号IMPFは所定の周波数(例えば、数10kHz程度)の交流信号であり、振幅が比較的大きい。これに対して、第1信号Fはメインモジュール20から出力される被検出信号であり、第1信号Fの振幅は第2信号IMPFの振幅よりも小さく、第1信号Fは微弱な信号である。
【0031】
ここで、
図5のような保護回路モジュール10Xを備えた電子装置1X(比較例)を考える。保護回路モジュール10Xは、シールド配線108が設けられていない点を除いて保護回路モジュール10と同じである。電子装置1Xにおいて、サブモジュール30から配線112に第2信号IMPFが供給され、メインモジュール20からパッド101
2に第1信号Fが供給されていない場合を考える。この場合、シールド配線108が存在しないため、パッド111
1とパッド101
1との間には容量性結合が生じている。そのため、振幅が比較的大きい第2信号IMPFが配線112を経由してパッド111
1に達すると、クロストークが発生し、パッド111
1に達した第2信号IMPFが矢印Lに示すようにパッド101
1に伝搬し、パッド101
1にノイズが現れる。
【0032】
図6は、保護回路モジュール10Xのパッド101
1及びパッド111
1で観測される波形を例示する図である。
図6において、上側がパッド111
1に達した第2信号IMPFの波形であり、下側がパッド101
1に伝搬したノイズ波形である。NLは、パッド101
1に伝搬したノイズ波形の振幅である。
【0033】
これに対して、保護回路モジュール10を備えた電子装置1では、シールド配線108が少なくともパッド1011とパッド1111とが対向する領域に配置されている。そのため、パッド1111とパッド1011との間の容量性結合が切れて、パッド1111とパッド1011との間のクロストークを低減することができる。
【0034】
図7は、保護回路モジュール10のパッド101
1及びパッド111
1で観測される波形を例示する図であり、
図6と同じレンジで波形を示している。
図7において、上側がパッド111
1に達した第2信号IMPFの波形であり、下側がパッド101
1に伝搬したノイズ波形である。
図7に示すように、シールド配線108が少なくともパッド101
1とパッド111
1とが対向する領域に配置されていることで、パッド101
1に伝搬したノイズ波形の振幅NLを
図6の場合の1/7程度に低減することができる。
【0035】
特に、耐サージチップ抵抗105及び115として比較的大型である6332サイズを用いた場合には、パッド1011及び1111のサイズも必然的に大きくなるため、両者の間に強い容量性結合が生じる。そのため、シールド配線108を少なくともパッド1011とパッド1111とが対向する領域に配置する効果が特に顕著となる。
【0036】
又、シールド配線108は、パッド1011とパッド1111とが対向する領域から周囲に延在し、絶縁層100の他方の面100bのできるだけ広いエリアに形成されることが好ましい。配線102及び112が平面視でシールド配線108と重複する領域に配置されることで、配線102と配線112との間に生じるノイズを低減でき、又、外部から飛来するノイズの影響も低減できる。
【0037】
又、パッド1011とシールド配線108との対向する面間の距離は、パッド1111とシールド配線108との対向する面間の距離よりも短い方が好ましい。シールド配線108をノイズを低減する対象となるパッド1011に近づける方が、より大きなノイズ低減効果が得られるからである。
【0038】
但し、設計都合等により、パッド1011とシールド配線108との対向する面間の距離と、パッド1111とシールド配線108との対向する面間の距離とを等しくしてもよい。
【0039】
又、シールド配線108に加え、絶縁層110の一方の面110aにもシールド配線108と同様の平面形状のシールド配線を設けてもよい。但し、保護回路モジュール10の可撓性を重視する場合には、シールド配線108のみを設ける構造の方が好適である。
【0040】
このように、保護回路モジュール10では、耐サージチップ抵抗105と耐サージチップ抵抗115とを平面視で重複する位置に実装することにより小型化を実現している。又、保護回路モジュール10では、小型化の弊害として生じるクロストークノイズの発生を、シールド配線108を少なくともパッド1011とパッド1111とが対向する領域に配置することにより低減している。これにより、メインモジュール20から供給される被検出信号がノイズに埋もれることを防止できる。
【0041】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、保護回路モジュールを構成する絶縁層としてリジッドな基板を用いる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0042】
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る電子装置を例示する断面図である。
図8を参照するに、電子装置1Aは、保護回路モジュール10が保護回路モジュール10Aに置換された点が、電子装置1(
図1~
図3等参照)と相違する。
【0043】
保護回路モジュール10Aにおいて、絶縁性基板S2を構成する絶縁層140及び150は、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等のリジッドな材料を用いて形成されている。絶縁層140及び150の各々の厚さは、例えば、10~50μm程度とすることができる。
【0044】
絶縁層140の一方の面140a(絶縁性基板S2の一方の面)には、保護回路モジュール10の場合と同様に、パッド101、配線102、及びソルダーレジスト層103が形成されている。パッド101には、図示しないはんだや導電性ペースト等を用いて、耐サージチップ抵抗105が実装されている。
【0045】
絶縁層140の他方の面140b側には、ビア受けパッド141とシールド配線148とが埋設されている。パッド1012とビア受けパッド141とは、ビア配線142を介して電気的に接続されている。ビア受けパッド141、ビア配線142、及びシールド配線148の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア受けパッド141及びシールド配線148の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0046】
ビア受けパッド141及び151の外周縁は、パッド1012及び1112の外周縁よりも平面視で内側に形成されている。すなわち、ビア受けパッド141及び151は、パッド1012及び1112と平面視で重なり合う領域にあり、且つビア受けパッド141及び151の直径は、パッド1012及び1112の直径よりも小さい。
【0047】
絶縁層150の他方の面150b(絶縁性基板S2の他方の面)には、保護回路モジュール10の場合と同様に、パッド111、配線112、及びソルダーレジスト層113が形成されている。パッド111には、図示しないはんだや導電性ペースト等を用いて、耐サージチップ抵抗115が実装されている。
【0048】
絶縁層150の一方の面150a側には、ビア受けパッド151とシールド配線158とが埋設されている。パッド1112とビア受けパッド151とは、ビア配線152を介して電気的に接続されている。ビア受けパッド151、ビア配線152、及びシールド配線158の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア受けパッド151及びシールド配線158の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。
【0049】
ビア受けパッド141と151とは平面視で重複する位置に配置され、両者は電気的に接続されている。又、シールド配線148とシールド配線158とは平面視で重複する位置に配置され、両者は電気的に接続されている。シールド配線148とシールド配線158との積層体は、絶縁性基板S2の厚さ方向の中央に配置されている。すなわち、パッド1011とシールド配線148との対向する面間の距離と、パッド1111とシールド配線158との対向する面間の距離は等しい。
【0050】
このように、保護回路モジュール10Aを構成する絶縁層140及び150としてリジッドな基板を用いてもよい。この場合にも、耐サージチップ抵抗105と耐サージチップ抵抗115とを平面視で重複する位置に実装することにより保護回路モジュール10Aの小型化を実現することができる。
【0051】
又、小型化の弊害として生じるクロストークノイズの発生を、シールド配線148とシールド配線158の積層体を少なくともパッド1011とパッド1111とが対向する領域に配置することにより低減することができる。これにより、メインモジュール20から供給される被検出信号がノイズに埋もれることを防止できる。
【0052】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、保護回路モジュール10Aにおいて、ビア受けパッド141と151は一体の金属からなっても良い。同様に、シールド配線148と158は、一体の金属からなっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1、1A 電子装置
10、10A 保護回路モジュール
20 メインモジュール
30 サブモジュール
100、110、120、140、150 絶縁層
101、1011、1012、111、1111、1112 パッド
102、112、121 配線
103、113 ソルダーレジスト層
105、115 耐サージチップ抵抗
108、148、158 シールド配線
141、151 ビア受けパッド
142、152 ビア配線
S1、S2 絶縁性基板