(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】超吸収体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20220104BHJP
C08F 220/00 20060101ALI20220104BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20220104BHJP
C08F 220/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08F220/00
C08F8/00
C08F220/04
(21)【出願番号】P 2018562525
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2017062327
(87)【国際公開番号】W WO2017207330
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト グリューネヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】リューディガー フンク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴァイスマンテル
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/114058(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/119756(WO,A1)
【文献】特開2008-106218(JP,A)
【文献】特表2012-505273(JP,A)
【文献】国際公開第2010/032694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00-3/28、99/00、
C08C19/00-19/44、C08F6/00-246/00、301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分的に中和されており、酸基を持つエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合性のエチレン性不飽和モノマー及び
e)任意に、1種以上の水溶性のポリマー
を含有するモノマー溶液又は懸濁液の重合により超吸収体を製造する方法であって、以下の工程:
i)モノマー溶液又は懸濁液を重合する工程、
ii)任意に、工程i)において得られたポリマーゲルを粉砕する工程、
iii)工程i)又は工程ii)において得られたポリマーゲルを、複数の加熱ゾーン及び少なくとも1つの冷却ゾーンを有する空気循環バンド乾燥機中で乾燥させる工程、
iv)工程iii)において得られた乾燥させたポリマーゲルを破砕する工程、
v)任意に、工程iv)において得られたポリマー粒子を粗砕する工程、
vi)工程iv)又は工程v)において得られたポリマー粒子を空気輸送する工程、
vii)任意に、不完全乾燥のポリマー粒子を、工程vi)において得られたポリマー粒子から除去する工程、ここで、残りの乾燥されたポリマー粒子は、工程viii)、工程ix)又は工程x)においてさらに加工される、
viii)任意に、工程vi)又は工程vii)において得られたポリマー粒子を分級する工程、ここで、その粗粒分は、前記工程ix)又は工程x)に供給される、
ix)任意に、工程vi)、工程vii)又は工程viii)において得られたポリマー粒子を中間貯蔵する工程、
x)工程vi)、工程vii)、工程viii)又は工程ix)において得られたポリマー粒子を粉砕する工程、
xi)任意に、工程x)において得られたポリマー粒子を空気輸送する工程、
xii)工程x)又は工程xi)において得られたポリマー粒子を分級する工程及び
xiii)任意に、工程viii)及び/又は工程xii)において得られた分級されたポリマー粒子を表面後架橋する工程
を含み、
工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度が、50~95℃である
ことを特徴とする、超吸収体を製造する方法。
【請求項2】
工程vi)において得られたポリマー粒子又は工程vii)において不完全乾燥のポリマー粒子の除去後の残りのポリマー粒子を、工程viii)において分級し、ここで、その粗粒分を、前記工程ix)又は工程x)に供給することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度が、53~90℃であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度が、56~85℃であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度が、59~80℃であることを特徴とする、請求項1
~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程iii)における乾燥の終了と工程vi)における空気輸送の終了との間の前記ポリマー粒子の滞留時間が、30分未満であることを特徴とする、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程x)における前記ポリマー粒子の含水量が、1~10質量%であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程iii)における少なくとも1つの冷却ゾーンの冷却出力を、工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度の調節に使用することを特徴とする、請求項1~
7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
乾燥させた前記ポリマーゲルを、工程iv)において、スパイク付ローラー又は十字型ブレード式破砕機を用いて破砕することを特徴とする、請求項1~
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー粒子を、工程x)において、少なくとも1つの多段ロールミルを用いて粉砕することを特徴とする、請求項1~
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー粒子を、工程viii)及び/又は工程xii)において、少なくとも1つのタンブラーふるい機を用いて分級することを特徴とする、請求項1~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
工程iv)において得られたポリマー粒子を、工程v)において、少なくとも1つのロールクラッシャーを用いて粗砕することを特徴とする、請求項1~
11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
工程x)において得られたポリマー粒子を、工程xi)において空気輸送することを特徴とする、請求項1~
12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
工程vi)において得られたポリマー粒子から、工程vii)において、不完全乾燥のポリマー粒子を除去することを特徴とする、請求項1~
13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程vii)において得られたポリマー粒子を、工程viii)において分級することを特徴とする、請求項1~
14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程viii)及び/又は工程xii)において得られたポリマー粒子を、工程xiii)において表面後架橋することを特徴とする、請求項1~
15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心機保持容量を有することを特徴とする、請求項1~
16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合、乾燥、破砕、空気輸送、粉砕及び分級を含む超吸収体の製造方法に関し、ここで、該空気輸送の終了時のガス温度は、50~95℃である。
【0002】
超吸収体は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及びその他の衛生用品の製造に、しかし市場園芸における保水材としても、使用される。該超吸収体は吸水性ポリマーとも呼ばれる。
【0003】
超吸収体の製造は、モノグラフ“Modern Superabsorbent Polymer Technology”, F.L. Buchholz及びA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, p.71-103に記載されている。
【0004】
該超吸収体の性質は、例えば、使用される架橋剤量を通じて調節することができる。架橋剤量が増大するにつれて、その遠心機保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の荷重下吸収量(AUL0.3psi)は、最大値を通過する。
【0005】
その性能特性、例えばおむつ中での膨潤したゲル床の透過性(SFC)及び49.2g/cm2の荷重下吸収量(AUL0.7psi)の改善のために、超吸収体粒子は、一般に表面後架橋される。それにより、該粒子表面の架橋度は増大し、それにより49.2g/cm2の荷重下吸収量(AUL0.7psi)及び遠心機保持容量(CRC)の連動を少なくとも部分的に断ち切ることができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかし、好ましくは、乾燥され、粉砕され、かつふるい分けされたポリマー粒子(ベースポリマー)はその表面上で表面後架橋剤で被覆され、かつ熱により表面後架橋される。そのために適した架橋剤は、該ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボキシレート基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
欧州特許出願公開第1118633号明細書(EP 1 118 633 A2)、欧州特許出願公開第1130045号明細書(EP 1 130 045 A2)、欧州特許出願公開第2258749号明細書(EP 2 258 749 A1)及び国際公開第2012/119969号(WO 2012/119969 A1)には、超吸収体の製造方法が開示されている。
【0007】
欧州特許出願公開第1118633号明細書(EP 1 118 633 A2)には、超吸収体の貯蔵及び輸送の際の表面の加熱が教示されている。
【0008】
欧州特許出願公開第1130045号明細書(EP 1 130 045 A2)には、水性ポリマーゲルの乾燥と、続く粉砕との間の冷却が教示されている。
【0009】
欧州特許出願公開第2258749号明細書(EP 2 258 749 A1)には、空気輸送の際の乾燥した気体及び平滑な配管の使用が教示されている。
【0010】
国際公開第2012/119969号(WO 2012/119969 A1)には、粉砕と分級との間の空気輸送が教示されている。
【0011】
本発明の課題は、超吸収体を製造するための改良された方法を提供することであり、殊に、該ベースポリマーの分級の際の障害を減らすべきである。
【0012】
前記課題は、
a)少なくとも部分的に中和されており、酸基を持つエチレン性不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合性のエチレン性不飽和モノマー及び
e)任意に、1種以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又は懸濁液の重合による超吸収体の製造方法であって、
i)前記モノマー溶液又は懸濁液を重合する工程、
ii)任意に、工程i)において得られたポリマーゲルを粉砕する工程、
iii)工程i)又は工程ii)において得られたポリマーゲルを、複数の加熱ゾーン及び少なくとも1つの冷却ゾーンを有する空気循環バンド乾燥機中で乾燥させる工程、
iv)工程iii)において得られた乾燥させたポリマーゲルを破砕する工程、
v)任意に、工程iv)において得られたポリマー粒子を粗砕する工程、
vi)工程iv)又は工程v)において得られたポリマー粒子を空気輸送する工程、
vii)任意に、不完全乾燥のポリマー粒子を、工程vi)において得られたポリマー粒子から除去する工程、ここで、残りの乾燥されたポリマー粒子は、工程viii)、工程ix)又は工程x)においてさらに加工される、
viii)任意に、工程vi)又は工程vii)において得られたポリマー粒子を分級する工程、ここで、その粗粒分は、工程ix)又は工程x)に供給される、
ix)任意に、工程vi)、工程vii)又は工程viii)において得られたポリマー粒子を中間貯蔵する工程、
x)工程vi)、工程vii)、工程viii)又は工程ix)において得られたポリマー粒子のポリマー粒子を粉砕する工程、
xi)任意に、工程x)において得られたポリマー粒子を空気輸送する工程、
xii)工程x)又は工程xi)において得られたポリマー粒子を分級する工程及び
xiii)任意に、工程viii)及び/又は工程xii)において得られた分級されたポリマー粒子を表面後架橋する工程
を含み、
工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度が、50~95℃、好ましくは53~90℃、特に好ましくは56~85℃、極めて特に好ましくは59~80℃であることによって特徴付けられる、
前記方法によって解決される。
【0013】
該空気輸送は、例えば、国際公開第2007/104657号(WO 2007/104657 A2)、国際公開第2007/104673号(WO 2007/104673 A2)、国際公開第2007/104676号(WO 2007/104676 A1)、欧州特許出願公開第2471847号明細書(EP 2 471 847 A1)及び欧州特許出願公開第2471848号明細書(EP 2 471 848 A1)に記載されている。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、工程vi)において得られたポリマー粒子、又は工程vii)において不完全乾燥のポリマー粒子の除去後の残りのポリマー粒子は、工程viii)において分級され、ここで、その粗粒分は、工程ix)又は工程x)に供給される。
【0015】
工程iii)における乾燥の終了と工程vi)における空気輸送の終了との間の滞留時間は、好ましくは30分未満、特に好ましくは20分未満、極めて特に好ましくは10分未満である。
【0016】
該空気輸送における滞留時間は、輸送配管の長さ[m]及び平均ガス速度[m/s]の比として求めることができ、ここで、該平均ガス速度は、ガス初期速度及びガス最終速度の算術平均である。工程iii)における乾燥の終了と工程vi)における空気輸送との間の任意の中間容器中での滞留時間は付け加えるべきである。より正確には、該滞留時間は、マーキング実験、例えば着色されたポリマー粒子によって決定することができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様において、工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度及び工程iii)における乾燥の終了と工程vi)における空気輸送の終了との間の滞留時間は、例えば、50~95℃及び30分未満もしくは50~95℃及び20分未満もしくは50~95℃及び10分未満もしくは53~90℃及び30分未満もしくは53~90℃及び20分未満もしくは53~90℃及び10分未満もしくは56~85℃及び30分未満もしくは56~85℃及び20分未満もしくは56~85℃及び10分未満もしくは59~80℃及び30分未満もしくは59~80℃及び20分未満もしくは59~80℃及び10分未満である。
【0018】
工程x)における該ポリマー粒子の含水量は、好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは1~6質量%、極めて特に好ましくは1.5~4質量%であり、ここで、該含水量は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨される試験方法番号WSP 230.2-05 “Mass Loss Upon Heating”に従って求められる。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様において、工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度、工程iii)における乾燥の終了と工程vi)における空気輸送の終了との間の滞留時間及び工程x)における該ポリマー粒子の含水量は、例えば、50~95℃、30分未満及び0.5~10質量%もしくは50~95℃、30分未満及び1~6質量%もしくは50~95℃、30分未満及び1.5~4質量%もしくは50~95℃、20分未満及び0.5~10質量%もしくは50~95℃、20分未満及び1~6質量%もしくは50~95℃、20分未満及び1.5~4質量%もしくは50~95℃、10分未満及び0.5~10質量%もしくは50~95℃、10分未満及び1~6質量%もしくは50~95℃、10分未満及び1.5~4質量%もしくは53~90℃、30分未満及び0.5~10質量%もしくは53~90℃、30分未満及び1~6質量%もしくは53~90℃、30分未満及び1.5~4質量%もしくは53~90℃、20分未満及び0.5~10質量%もしくは53~90℃、20分未満及び1~6質量%もしくは53~90℃、20分未満及び1.5~4質量%もしくは53~90℃、10分未満及び0.5~10質量%もしくは53~90℃、10分未満及び1~6質量%もしくは53~90℃、10分未満及び1.5~4質量%もしくは56~85℃、30分未満及び0.5~10質量%もしくは56~85℃、30分未満及び1~6質量%もしくは56~85℃、30分未満及び1.5~4質量%もしくは56~85℃、20分未満及び0.5~10質量%もしくは56~85℃、20分未満及び1~6質量%もしくは56~85℃、20分未満及び1.5~4質量%もしくは56~85℃、10分未満及び0.5~10質量%もしくは56~85℃、10分未満及び1~6質量%もしくは56~85℃、10分未満及び1.5~4質量%もしくは59~80℃、30分未満及び0.5~10質量%もしくは59~80℃、30分未満及び1~6質量%もしくは59~80℃、30分未満及び1.5~4質量%もしくは59~80℃、20分未満及び0.5~10質量%もしくは59~80℃、20分未満及び1~6質量%もしくは59~80℃、20分未満及び1.5~4質量%もしくは59~80℃、10分未満及び0.5~10質量%もしくは59~80℃、10分未満及び1~6質量%もしくは59~80℃、10分未満及び1.5~4質量%である。
【0020】
本発明の特に好ましい実施態様において、工程iii)における少なくとも1つの冷却ゾーンの冷却出力は、工程vi)における空気輸送の終了時のガス温度の制御に使用される。
【0021】
本発明は、該空気輸送の終了時のガス温度が、続く分級の障害のない操作に決定的な影響を及ぼすという知見に基づいている。この温度は、該ポリマーゲルの乾燥に使用される空気循環バンド乾燥機の終了時の冷却出力を通じて容易に調節されうる。
【0022】
乾燥させた該ポリマーゲルは、工程iv)において、好ましくはスパイク付ローラー又は十字型ブレード式破砕機(Kreuzfluegelzerkleinerer)を用いて破砕される。十字型ブレード式破砕機はシャフトを含み、該シャフト上に多数のバーが収容されている。該シャフト上に配置されたバーに加えて、該十字型ブレード式破砕機は、堅固に取り付けられた多数のバーを含み、該バーは、該シャフト上に配置されたバーの隙間にかみ合う。該十字型ブレード式破砕機へ導入される乾燥させた該ポリマーゲルは、堅固に取り付けられたバー上へ落下し、これらのバー上にそのまま残る。該シャフトと一緒に回転するバーにより、乾燥させた該ポリマーゲルは破砕される。
【0023】
該ポリマー粒子は、工程x)において、好ましくは多段ロールミルを用いて粉砕される。適したロールミルは、例えば、モノグラフ“Modern Superabsorbent Polymer Technology”, F.L. Buchholz及びA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, p.93-95に記載されている。
【0024】
該ポリマー粒子は、工程viii)及び/又は工程xii)において、好ましくはタンブラーふるい機を用いて、分級される。適したタンブラーふるい機は、例えば、欧州特許出願公開第0855232号明細書(EP 0 855 232 A2)及び国際公開第2006/0574816号(WO 2006/0574816 A1)に記載されている。
【0025】
工程iv)において得られたポリマー粒子は、好ましくは工程v)においてロールクラッシャーを用いて粗砕される。ロールクラッシャーは、任意に歯又はピンを備え、互いに逆方向に回転する2本のロールからなり、該ロール間で該ポリマー粒子を砕くことができる。該ロールクラッシャーのロールは、本質的に平滑な表面を有するので、該ポリマー粒子は、粉砕又は粉末化されない。
【0026】
工程x)において得られたポリマー粒子は、続いて、工程xi)において空気輸送することができる。
【0027】
工程vi)において得られたポリマー粒子から、好ましくは、工程vii)において不完全乾燥のポリマー粒子が除去される。不完全乾燥のポリマー粒子の除去は、例えば、欧州特許出願公開第0948997号明細書(EP 0 948 997 A2)及び国際公開第2007/057350号(WO 2007/057350 A1)に記載されている。
【0028】
工程vii)において得られたポリマー粒子は、工程viii)において分級することができる。
【0029】
工程vi)、工程vii)又は工程viii)において得られたポリマー粒子は、続いて、工程ix)において中間貯蔵することができる。このために適した容器又はサイロは、何ら限定されない。
【0030】
工程viii)及び/又は工程xii)において得られたポリマー粒子は、好ましくは、工程xiii)において表面後架橋される。
【0031】
以下に、該超吸収体の製造がより詳細に説明される:
該超吸収体は、工程i)において、モノマー溶液又は懸濁液の重合により製造され、通常、水不溶性である。
【0032】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃での水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g水、好ましくは少なくとも5g/100g水、特に好ましくは少なくとも25g/100g水、極めて特に好ましくは少なくとも35g/100g水である。
【0033】
適したモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。極めて特に好ましいのはアクリル酸である。
【0034】
さらに適したモノマーa)は、例えば、エチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0035】
不純物は、該重合にかなりの影響を及ぼしうる。したがって、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきである。したがって、モノマーa)を特別に精製することはしばしば有利である。適した精製方法は、例えば、国際公開第02/055469号(WO 02/055469 A1)、国際公開第03/078378号(WO 03/078378 A1)及び国際公開第2004/035514号(WO 2004/035514 A1)に記載されている。適したモノマーa)は、例えば、国際公開第2004/035514号(WO 2004/035514 A1)に従って精製され、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール類0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有するアクリル酸である。
【0036】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、極めて特に好ましくは少なくとも95mol%である。
【0037】
モノマーa)は、通常、重合防止剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを貯蔵安定剤として含有する。
【0038】
該モノマー溶液は、それぞれ、未中和の該モノマーa)を基準として、好ましくは、250質量ppmまで、より好ましくは多くとも130質量ppm、特に好ましくは多くとも70質量ppm、より好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppmの、ヒドロキノンモノエーテルを含有する。例えば、該モノマー溶液の製造のために、対応する含量のヒドロキノンモノエーテルを有し、酸基を持つエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
【0039】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0040】
適した架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2つの基を有する化合物である。そのような基は、例えば、該ポリマー鎖中へラジカル重合により導入することができるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も、架橋剤b)として適している。
【0041】
架橋剤b)は、好ましくは、該ポリマーネットワーク中へラジカル重合により導入することができる、少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えば、欧州特許出願公開第0530438号明細書(EP 0 530 438 A1)に記載されたような、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開第0547847号明細書(EP 0 547 847 A1)、欧州特許出願公開第0559476号明細書(EP 0 559 476 A1)、欧州特許出願公開第0632068号明細書(EP 0 632 068 A1)、国際公開第93/21237号(WO 93/21237 A1)、国際公開第03/104299号(WO 03/104299 A1)、国際公開第03/104300号(WO 03/104300 A1)、国際公開第03/104301号(WO 03/104301 A1)及び独国特許出願公開第10331450号明細書(DE 103 31 450 A1)に記載されたような、ジアクリレート及びトリアクリレート、独国特許出願公開第10331456号明細書(DE 103 31 456 A1)及び独国特許出願公開第10355401号明細書(DE 103 55 401 A1)に記載されたような、アクリレート基に加え、さらにエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート、又は例えば独国特許出願公開第19543368号明細書(DE 195 43 368 A1)、独国特許出願公開第19646484号明細書(DE 196 46 484 A1)、国際公開第90/15830号(WO 90/15830 A1)及び国際公開第02/032962号(WO 02/032962 A2)に記載されたような、架橋剤混合物である。
【0042】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0043】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化してジアクリレート又はトリアクリレートにしたポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化グリセリンであり、これらは例えば国際公開第03/104301号(WO 03/104301 A1)に記載されている。特に有利であるのは、3~10エトキシル化グリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。極めて特に好ましいのは、1~5エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートである。最も好ましいのは、3~5エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセリンのトリアクリレート、殊に3エトキシル化グリセリンのトリアクリレートである。
【0044】
架橋剤b)の量は、それぞれ、未中和の該モノマーa)を基準として、好ましくは0.25~1.5質量%、特に好ましくは0.3~1.2質量%、極めて特に好ましくは0.4~0.8質量%である。架橋剤含量が増大するにつれて、その遠心機保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の荷重下吸収量は、最大値を通過する。
【0045】
開始剤c)として、該重合条件下でラジカルを発生するあらゆる化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用することができる。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。還元成分として、好ましくは、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩と、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と、重亜硫酸ナトリウムとの混合物が使用される。そのような混合物は、Brueggolite(登録商標) FF6及びBrueggolite(登録商標) FF7(Brueggemann Chemicals;ハイルブロン;ドイツ)として入手可能である。
【0046】
酸基を持つエチレン性不飽和モノマーa)と共重合性のエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0047】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用することができる。
【0048】
通常、モノマー水溶液が使用される。該モノマー溶液の含水量は、好ましくは40~75質量%、特に好ましくは45~70質量%、極めて特に好ましくは50~65質量%である。モノマー懸濁液、すなわちその溶解度を超えるモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを有するモノマー溶液を使用することも可能である。含水量が増大するにつれて、続く乾燥の際のエネルギー消費が増大し、かつ含水量が低下するにつれて、その重合熱がもはや不十分にのみ除去できる。
【0049】
好ましい重合防止剤は、最適な作用のために溶存酸素を必要とする。したがって、該モノマー溶液は、該重合前に、不活性にすることにより、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素での貫流により、溶存酸素を不含にすることができる。好ましくは、該モノマー溶液の酸素含量は、該重合前に、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満、極めて特に好ましくは0.1質量ppm未満に、低下される。
【0050】
工程i)における重合に適した反応器は、例えば、ニーダー反応器又はベルト式反応器である。該ニーダー中で、モノマー水溶液又は水性懸濁液の重合の際に生じる該ポリマーゲルは、国際公開第2001/038402号(WO 2001/038402 A1)に記載されたような、例えば互いに逆方向の撹拌軸により、連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えば、独国特許出願公開第3825366号明細書(DE 38 25 366 A1)及び米国特許第6241928号明細書(US 6,241,928)に記載されている。ベルト式反応器中での重合の場合に、さらなる工程ii)において、例えば押出機又はニーダー中で、粉砕しなければならないポリマーゲルが生じる。
【0051】
該乾燥特性の改善のために、ニーダーを用いて得られた粉砕されたポリマーゲルは、工程ii)において付加的に押し出されてよい。
【0052】
得られる該ポリマーゲルの酸基は、通常、部分的に中和されている。該中和は、好ましくは、該モノマーの段階で実施される。これは、通常、水溶液として又は好ましくは固体としてのその中和剤の混入により行われる。その中和度は、好ましくは25~85mol%、特に好ましくは30~80mol%、極めて特に好ましくは40~75mol%であり、ここで、通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物が使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましいが、しかしながら極めて特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物である。
【0053】
該ポリマーゲルは、ついで、工程iii)において、空気循環バンド乾燥機を用いて、その残留含水量が好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは1~6質量%、極めて特に好ましくは1.5~4質量%になるまで乾燥され、ここで、該残留含水量は、EDANAにより推奨される試験方法番号WSP 230.2-05“Mass Loss Upon Heating”に従って決定される。高すぎる残留含水量では、乾燥させた該ポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、かつ困難を伴ってのみ、さらに加工することができる。低すぎる残留含水量では、乾燥させた該ポリマーゲルは脆すぎ、かつ続く粉砕工程において、望ましくない大量の、低すぎる粒度を有するポリマー粒子(“微粉”)が生じる。該ポリマーゲルの固形分は、該乾燥前に、好ましくは25~90質量%、特に好ましくは35~70質量%、極めて特に好ましくは40~60質量%である。続いて、乾燥させた該ポリマーゲルは、工程iv)において破砕され、かつ任意に工程v)において粗砕される。
【0054】
乾燥させた該ポリマーゲルは、この後に、工程vi)において空気輸送され、工程x)において粉砕され、かつ工程xii)において分級され、ここで、該粉砕のために、通常、一段又は多段のロールミル、好ましくは二段又は三段のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルを使用することができる。
【0055】
生成物フラクションとして工程xii)において除去されるポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは150~850μm、特に好ましくは250~600μm、極めて特に300~500μmである。該生成物フラクションの平均粒度は、EDANAにより推奨される試験方法番号WSP 220.2-05 “Particle Size Distribution”によって求めることができ、ここで、そのふるい分級物の質量割合が累積してプロットされ、かつ該平均粒度はグラフを用いて決定される。該平均粒度は、この場合に、累積50質量%となるメッシュサイズの値である。
【0056】
150μmを超える粒度を有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0057】
低すぎる粒度を有するポリマー粒子は、その透過性(SFC)を低下させる。したがって、小さすぎるポリマー粒子(“微粉”)の割合は低いべきである。
【0058】
したがって、小さすぎるポリマー粒子は通常、除去され、かつ該方法へ、好ましくは、工程i)における重合の前、最中又は直後、すなわち工程iii)におけるポリマーゲルの乾燥前に、返送される。小さすぎる該ポリマー粒子は、該返送の前又は最中に、水及び/又は水を含む界面活性剤で給湿することができる。
【0059】
後の方法工程において、例えば工程xiii)における表面後架橋又は別の被覆工程の後に、小さすぎるポリマー粒子を除去することも可能である。この場合に、返送された小さすぎるポリマー粒子は、表面後架橋されているかもしくは他の方法で、例えばヒュームドシリカで被覆されている。
【0060】
該重合のためにニーダー反応器が使用される場合には、小さすぎる該ポリマー粒子は、好ましくは、工程i)における重合の最後の三分の一の間に添加される。しかし、小さすぎる該ポリマー粒子を、該重合反応器に後接続された工程ii)において、例えばニーダー又は押出機中で、該ポリマーゲル中へ導入することも可能である。
【0061】
小さすぎる該ポリマー粒子が、極めて早期に、例えばすでに該モノマー溶液に、添加される場合には、それにより、得られるポリマー粒子の遠心機保持容量(CRC)は低下される。しかし、これは、例えば架橋剤b)の使用量を適合させることにより、補償することができる。
【0062】
多くとも850μmの粒度を有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0063】
多くとも600μmの粒度を有するポリマー粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0064】
大きすぎる粒度を有するポリマー粒子は、その自由膨潤速度を低下させる。したがって、大きすぎるポリマー粒子の割合は同様に低いべきである。
【0065】
したがって、大きすぎるポリマー粒子は、通常、除去され、かつ工程x)における粉砕へ返送される。該ポリマー粒子が、工程x)における粉砕前に、工程ix)において中間貯蔵される場合には、除去された大きすぎるポリマー粒子は、好ましくは、工程ix)における中間貯蔵へ返送される。
【0066】
該ポリマー粒子は、その性質のさらなる改善のために、工程xiii)において表面後架橋することができる。適した表面後架橋剤は、該ポリマー粒子の少なくとも2つのカルボキシレート基と共有結合を形成することができる基を有する化合物である。適した化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0083022号明細書(EP 0 083 022 A2)、欧州特許出願公開第0543303号明細書(EP 0 543 303 A1)及び欧州特許出願公開第0937736号明細書(EP 0 937 736 A2)に記載されたような、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、独国特許出願公開第3314019号明細書(DE 33 14 019 A1)、独国特許出願公開第3523617号明細書(DE 35 23 617 A1)及び欧州特許出願公開第0450922号明細書(EP 0 450 922 A2)に記載されたような二官能性又は多官能性のアルコール、又は独国特許出願公開第10204938号明細書(DE 102 04 938 A1)及び米国特許第6239230号明細書(US 6,239,230)に記載されたようなβ-ヒドロキシアルキルアミドである。
【0067】
さらに、独国特許発明第4020780号明細書(DE 40 20 780 C1)には環状カーボネートが、独国特許出願公開第19807502号明細書(DE 198 07 502 A1)には2-オキサゾリジノン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノンが、独国特許発明第19807992号明細書(DE 198 07 992 C1)にはビス-及びポリ-2-オキサゾリジノンが、独国特許出願公開第19854573号明細書(DE 198 54 573 A1)には2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジン及びその誘導体が、独国特許出願公開第19854574号明細書(DE 198 54 574 A1)にはN-アシル-2-オキサゾリジノンが、独国特許出願公開第10204937号明細書(DE 102 04 937 A1)には環状尿素が、独国特許出願公開第10334584号明細書(DE 103 34 584 A1)には二環式アミドアセタールが、欧州特許出願公開第1199327号明細書(EP 1 199 327 A2)にはオキセタン及び環状尿素が、及び国際公開第03/031482号(WO 03/031482 A1)にはモルホリン-2,3-ジオン及びその誘導体が、適した表面後架橋剤として記載されている。
【0068】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4-ブタンジオールとの混合物である。
【0069】
極めて特に好ましい表面後架橋剤は、2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリジノン、2-オキサゾリジノン及び1,3-プロパンジオールである。
【0070】
さらに、独国特許出願公開第3713601号明細書(DE 37 13 601 A1)に記載されたような、付加的な重合性のエチレン性不飽和基を有する表面後架橋剤を使用することもできる。
【0071】
表面後架橋剤の量は、それぞれ、該ポリマー粒子を基準として、好ましくは0.001~2質量%、特に好ましくは0.02~1質量%、極めて特に好ましくは0.05~0.2質量%である。
【0072】
本発明の好ましい実施態様において、該表面後架橋の前、最中又は後に、該表面後架橋剤に加えて、多価カチオンが該粒子表面上へ適用される。
【0073】
本発明による方法において使用できる多価カチオンは、例えば、2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、3価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、4価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン、クエン酸イオン及び乳酸イオンが可能である。異なる対イオンを有する塩、例えば塩基性アルミニウム塩、例えばアルミニウムモノアセテート又はアルミニウムモノラクテートも可能である。硫酸アルミニウム、アルミニウムモノアセテート及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、ポリアミンを多価カチオンとして使用することもできる。
【0074】
多価カチオンの使用量は、それぞれ、該ポリマー粒子を基準として、例えば0.001~1.5質量%、好ましくは0.005~1質量%、特に好ましくは0.01~0.8質量%である。
【0075】
該表面後架橋は、通常、該表面後架橋剤の溶液が、乾燥させた該ポリマー粒子上へ吹き付けられるように実施される。該吹付けに続いて、表面後架橋剤で被覆された該ポリマー粒子は、表面後架橋及び乾燥され、その際に、該表面後架橋反応は、該乾燥前並びに最中に行うことができる。
【0076】
該表面後架橋剤の溶液の吹付けは、好ましくは、運動する混合器具を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー及びパドルミキサー中で、実施される。特に好ましいのは、ホリゾンタルミキサー、例えばパドルミキサーであり、極めて特に好ましいのはバーチカルミキサーである。ホリゾンタルミキサーとバーチカルミキサーとは、その混合軸の位置によって区別され、すなわちホリゾンタルミキサーは、水平に取り付けられた混合軸を有し、かつバーチカルミキサーは、垂直に取り付けられた混合軸を有する。適したミキサーは、例えば、Horizontale Pflugschar(登録商標) ミキサー(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH;パーダーボルン;ドイツ)、Vrieco-Nauta Continuous Mixer(Hosokawa Micron BV;ドゥーティンヘム;オランダ)、Processall Mixmill Mixer(Processall Incorporated;シンシナティ;USA)及びSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV;ドゥーティンヘム;オランダ)である。しかし、該表面後架橋剤溶液を流動床中で吹き付けることも可能である。
【0077】
該表面後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。非水溶剤の含有もしくは全溶剤量を通じて、該ポリマー粒子中への該表面後架橋剤の浸透深さを調節することができる。
【0078】
もっぱら水が溶剤として使用される場合には、有利に、界面活性剤が添加される。それにより、その湿潤挙動は改善され、かつ塊を形成する傾向は減少される。しかし、好ましくは、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3-プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、ここで、その混合質量比は、好ましくは20:80~40:60である。
【0079】
該表面後架橋は、好ましくは、接触式乾燥機、特に好ましくはパドル乾燥機、極めて特に好ましくはディスク乾燥機中で、実施される。適した乾燥機は、例えば、Hosokawa Bepex(登録商標) Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH;ラインガルテン;ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標) Disc Dryer(Hosokawa Micron GmbH;ラインガルテン;ドイツ)、Holo-Flite(登録商標) 乾燥機(Metso Minerals Industries Inc.;ダンビル;USA)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe;フレッヒェン;ドイツ)である。そのうえ、流動層乾燥機を使用することもできる。
【0080】
該表面後架橋は、該ミキサー自体中でそのジャケットの加熱又は温風の吹き込みにより、行うことができる。同じように適しているのは、後接続された乾燥機、例えば箱型乾燥機、回転式管状炉又は加熱可能なスクリューである。特に有利には、流動層乾燥機中で混合され、かつ熱により表面後架橋される。
【0081】
好ましい反応温度は、100~250℃、好ましくは120~220℃、特に好ましくは130~210℃、極めて特に好ましくは150~200℃の範囲内である。この温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分、及び通常多くとも60分である。
【0082】
本発明の好ましい実施態様において、該ポリマー粒子は、該表面後架橋後に冷却される。該冷却は、好ましくは接触式冷却機、特に好ましくはパドル冷却機、極めて特に好ましくはディスク冷却機中で、実施される。適した冷却機は、例えば、Hosokawa Bepex(登録商標) Horizontal Paddle Cooler(Hosokawa Micron GmbH;ラインガルテン;ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標) Disc Cooler(Hosokawa Micron GmbH;ラインガルテン;ドイツ)、Holo-Flite(登録商標) 冷却機(Metso Minerals Industries Inc.;ダンビル;USA)及びNara Paddle Cooler(NARA Machinery Europe;フレッヒェン;ドイツ)である。そのうえ、流動層冷却機を使用することもできる。
【0083】
該冷却機中で、該ポリマー粒子は、好ましくは40~90℃、特に好ましくは45~80℃、極めて特に好ましくは50~70℃に、冷却される。
【0084】
続いて、表面後架橋された該ポリマー粒子は、改めて分級することができ、その際に、小さすぎる及び/又は大きすぎるポリマー粒子は除去され、かつ該方法へ返送される。
【0085】
表面後架橋された該ポリマー粒子は、その性質のさらなる改善のために被覆又は後給湿することができる。
【0086】
該後給湿は、好ましくは40~120℃で、特に好ましくは50~110℃で、極めて特に好ましくは60~100℃で、実施される。低すぎる温度では、該ポリマー粒子は、塊を形成する傾向があり、より高い温度では、すでに著しく水が蒸発する。該後給湿に使用される水量は、好ましくは1~10質量%、特に好ましくは2~8質量%、極めて特に好ましくは3~5質量%である。該後給湿により、該ポリマー粒子の機械的安定性は高められ、かつそれらの静電帯電する傾向は低下される。有利に、該後給湿は、該冷却機中で、熱による該表面後架橋後に実施される。
【0087】
該膨潤速度並びに該透過性(SFC)の改善に適した被覆は、例えば、無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに2価又はより多価の金属カチオンである。粉じん結合に適した被覆は、例えばポリオールである。該ポリマー粒子の望ましくないケーキング傾向に対抗する適した被覆は、例えばヒュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標) 200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標) 20である。
【実施例】
【0088】
例1
脱イオン水、50質量%カセイソーダ液及びアクリル酸の連続混合により、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造したので、その中和度は71.3mol%に相当していた。該モノマー溶液の固形分は38.8質量%であった。
【0089】
ポリエチレン性不飽和架橋剤として、ポリエチレングリコール-400-ジアクリレート(400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールから出発するジアクリレート)を使用した。その使用量は、モノマー溶液1tあたり架橋剤2kgであった。
【0090】
そのラジカル重合の開始のために、モノマー溶液1tあたり、0.25質量%過酸化水素水溶液1.03kg、15質量%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液3.10kg及び1質量%アスコルビン酸水溶液1.05kgを使用した。
【0091】
該モノマー溶液の処理量は20t/hであった。その反応溶液は、供給部で23.5℃の温度を有していた。
【0092】
個々の該成分を、次の量で連続的に、容量6.3m3を有する型式List Contiニーダー(連続ニーダー、LIST AG、アリスドルフ、スイス)の反応器中へ配量した:
モノマー溶液 20t/h
ポリエチレングリコール-400-ジアクリレート 40kg/h
過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液 82.6kg/h
アスコルビン酸溶液 21kg/h。
【0093】
該架橋剤の添加点と該開始剤の添加箇所との間で、該モノマー溶液を窒素で不活性にした。
【0094】
その滞留時間の約50%後に、該方法において生じた150μm未満の粒度を有するポリマー粒子(1000kg/h)を該反応器中へ配量した。該反応器中の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0095】
得られたポリマーゲルを、空気循環バンド乾燥機上へ装入した。該空気循環バンド乾燥機は、6つの加熱ゾーン及び1つの冷却ゾーンを有していた。該空気循環バンド乾燥機上で、該ポリマーゲルの周りに連続的に空気/ガス混合物を流し、かつ該ポリマーゲルを乾燥させた。該バンド乾燥機中の滞留時間は37分であった。該空気循環バンド乾燥機の冷却ゾーン中で、該ポリマーゲルを100℃に冷却した。
【0096】
乾燥させた該ポリマーゲルを、十字型ブレード式破砕機を用いて破砕し、かつロールクラッシャーを用いて粗砕した。続いて、該ポリマー粒子を空気輸送し(空気輸送1)、かつ不完全乾燥のポリマー粒子を除去した。該空気輸送1の終了時のガス温度は、75℃であった。該乾燥の終了と該空気輸送1の終了との間の滞留時間は、約2分であった。
【0097】
不完全乾燥のポリマー粒子の除去のために、振動ふるい機を用いて分級した。8mm及び12mmのメッシュサイズを有するふるいを使用した。8mm未満の粒度を有するポリマー粒子をサイロ中で中間貯蔵した。
【0098】
続いて、該ポリマー粒子を、2段ロールミルを用いて粉砕し、空気輸送し(空気輸送2)、かつタンブラーふるい機を用いて分級した。該ポリマー粒子の含水量は、2.5質量%であった。
【0099】
150μm未満の粒度を有するポリマー粒子を、該反応器中へ返送した。850μmを超える粒度を有するポリマー粒子を、該サイロ中へ返送した。150~850μmの範囲内の粒度を有するポリマー粒子を表面後架橋させた。該分級は、数週間支障なく行われた。
【0100】
該ポリマー粒子を、Schugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron B.V.、ドゥーティンヘム、オランダ)中で表面後架橋剤溶液で被覆し、続いてNARA Paddle Dryer(GMF Gouda、ワディンクスフェーン、オランダ)中で190℃で45分乾燥させた。
【0101】
次の量を、該Schugi Flexomix(登録商標)中へ配量した:
ポリマー粒子 7.5t/h
表面後架橋剤溶液 270.0kg/h。
【0102】
該表面後架橋剤溶液は、2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリドン2.8質量%、硫酸アルミニウム2.8質量%、脱イオン水66.1質量%及びイソプロパノール28.3質量%を含有していた。
【0103】
該乾燥後に、表面後架橋された該ベースポリマーを、NARA Paddle-Cooler(GMF Gouda、ワディンクスフェーン、オランダ)中で約60℃に冷却した。
【0104】
得られた該吸水性ポリマー粒子は、28.4g/gの遠心機保持容量(CRC)を有していた。
【0105】
例2
手順は例1の通りであった。該ポリマーゲルを、該空気循環バンド乾燥機の冷却ゾーン中で、100℃の代わりに80°に冷却した。該空気輸送1の終了時のガス温度は、75℃の代わりに60℃であった。
【0106】
該分級は、数週間支障なく行われた。
【0107】
例3(比較例)
手順は例1の通りであった。該ポリマーゲルを、該空気循環バンド乾燥機の冷却ゾーン中で、100℃の代わりに60°に冷却した。該空気輸送1の終了時のガス温度は、75℃の代わりに40℃であった。
【0108】
数時間以内に、150~850μmの粒度フラクション中でより大きなアグロメレートが、かつ該タンブラーふるい機中でその壁上での付着が、観察された。
【0109】
例4(比較例)
手順は例1の通りであった。該ポリマーゲルを、該空気循環バンド乾燥機の冷却ゾーン中で、100℃の代わりに140°に冷却した。該空気輸送1の終了時のガス温度は、75℃の代わりに110℃であった。
【0110】
数日以内に、該タンブラーふるい機の個々のふるいを損傷に基づき交換しなければならなかった。