(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】受信機およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/434 20110101AFI20220104BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20220104BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20220104BHJP
H04H 20/91 20080101ALI20220104BHJP
H04H 20/93 20080101ALI20220104BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20220104BHJP
【FI】
H04N21/434
H04N21/435
H04H20/28
H04H20/91
H04H20/93
H04H40/18
(21)【出願番号】P 2020144929
(22)【出願日】2020-08-28
(62)【分割の表示】P 2019045051の分割
【原出願日】2015-10-28
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2014220706
(32)【優先日】2014-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省、「平成26年度電波資源拡大のための研究開発」における「超高精細度衛星・地上放送の周波数有効利用技術の研究開発」に係わる委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一博
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀一
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H20/00-20/46
20/51-20/86
20/91-40/27
40/90-60/98
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を受信する放送受信部と、
前記放送受信部が受信した前記放送信号から、選択されている放送サービスに対応したパッケージに属する制御情報である記述子を抽出し、前記記述子内に含まれているアプリケーション情報テーブルロケーション情報と、前記記述子内に含まれているデータ伝送メッセージロケーション情報と、前記記述子内に含まれているイベントメッセージテーブルロケーション情報とを取得する放送信号解析部と、
前記放送信号解析部によって取得された前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報によって指し示されるアプリケーション情報テーブルを取得するアプリケーション情報テーブル取得部と、
アプリケーションを実行するアプリケーション実行部と、
前記アプリケーション情報テーブル取得部が取得した前記アプリケーション情報テーブルにしたがって選択されている放送サービスに関連付けられたアプリケーションの前記アプリケーション実行部における実行を制御するアプリケーション実行制御部と、
を具備し、
前記放送信号解析部は、前記パッケージ用のMMTパッケージテーブルに保持されている前記記述子内に含まれている前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得し、
前記MMTパッケージテーブル内には、複数件の前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報が繰り返し含まれており、
前記繰り返しの回数が前記MMTパッケージテーブル内に設けられている、
ことを特徴とする受信機。
【請求項2】
放送受信部が受信した放送信号から、選択されている放送サービスに対応したパッケージに属する制御情報である記述子を抽出し、前記記述子内に含まれているアプリケーション情報テーブルロケーション情報と、前記記述子内に含まれているデータ伝送メッセージロケーション情報と、前記記述子内に含まれているイベントメッセージテーブルロケーション情報とを取得する放送信号解析手段、
前記放送信号解析手段によって取得された前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報によって指し示されるアプリケーション情報テーブルを取得するアプリケーション情報テーブル取得手段、
前記アプリケーション情報テーブル取得手段が取得した前記アプリケーション情報テーブルにしたがって選択されている放送サービスに関連付けられたアプリケーションのアプリケーション実行手段における実行を制御するアプリケーション実行制御手段、
としてコンピューターを機能させるプログラムであり、
前記放送信号解析手段は、前記パッケージ用のMMTパッケージテーブルに保持されている前記記述子内に含まれている前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得し、
前記MMTパッケージテーブル内には、複数件の前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報が繰り返し含まれており、
前記繰り返しの回数が前記MMTパッケージテーブル内に設けられている、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機およびプログラムに関する。特に、本発明は、テレビジョン放送を受信するための受信機およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送を受信する受信機側で稼働するアプリケーションを制御するための情報を、放送局側から送る場合がある。また、受信機側で現在受信中(視聴中)のサービスにバインドされた形でアプリケーション(放送マネージドアプリケーション)のライフサイクルを制御する場合がある。既存技術では、AIT(アプリケーション情報テーブル)を放送信号内に含めて放送局側から送信し、受信機側で放送信号からAITを取得し、AIT内の記述に従ってアプリケーションの実行を制御することが行われる。
【0003】
非特許文献1の「10.16 アプリケーション情報符号化方式」(p.54-73)には、AIT(アプリケーション情報テーブル)の構成、およびAIT内の各記述子について記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「デジタル放送におけるアプリケーション実行環境 標準規格 APPLICATION EXECUTION ENGINE PLATFORM FOR DIGITAL BROADCASTING ARIB STANDARD ARIB STD-B23 1.2版」,平成21年(2009年)7月29日,社団法人電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存技術によるアプリケーション制御情報の構成では、複数のサービスが同時に伝送されている場合、AIT内で規定するアプリケーションの属性情報や制御情報を、放送チャンネルを表すサービスにマッピングできないという問題がある。受信機側で取得したアプリケーション制御情報が複数のサービスのうちのいずれかのサービスに対応付けられるべきものである場合には、そのアプリケーション制御情報が特定のどのサービスに対応するものであるかを明確にする必要がある。
【0006】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行われたものであり、アプリケーション制御情報と放送サービスとのマッピングを可能にする受信機およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による受信機は、放送信号を受信する放送受信部と、前記放送受信部が受信した前記放送信号から、選択されている放送サービスに対応したパッケージに属する制御情報を抽出し、前記制御情報内に含まれているアプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得する放送信号解析部と、前記放送信号解析部によって取得された前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報によって指し示されるアプリケーション情報テーブルを取得するアプリケーション情報テーブル取得部と、アプリケーションを実行するアプリケーション実行部と、前記アプリケーション情報テーブル取得部が取得した前記アプリケーション情報テーブルにしたがって選択されている放送サービスに関連付けられたアプリケーションの前記アプリケーション実行部における実行を制御するアプリケーション実行制御部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
この構成により、放送信号解析部は、選択されているサービスに対応した制御情報を抽出する。その制御情報は、そのサービス(パッケージ)に属する。そして、放送信号解析部は、その制御情報に含まれるアプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得する。つまり、このアプリケーション情報テーブルロケーション情報は、そのサービスに属するものである。このアプリケーション情報テーブルロケーション情報は、アプリケーション情報テーブルのロケーション(所在)に関する情報である。つまり、そのロケーション情報によって特定されるアプリケーション情報テーブルは、そのサービス(パッケージ)に属する。したがって、アプリケーション実行制御部は、そのサービス(パッケージ)に属するアプリケーション情報テーブルに基づいて、アプリケーションの実行を制御する。このように受信機は、サービス(パッケージ)からマッピングされた情報によりアプリケーションの実行を制御することができる。
【0009】
[2]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記放送信号解析部は、前記パッケージに属する前記制御情報内に含まれているデータ伝送メッセージロケーション情報をさらに取得する、ことを特徴とする。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記放送信号解析部は、前記パッケージに属する前記制御情報内に含まれているイベントメッセージテーブルロケーション情報をさらに取得する、ことを特徴とする。
【0011】
[4]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記放送信号解析部は、前記パッケージ用のMMTパッケージテーブルに保持されている前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得する、ことを特徴とする。
【0012】
[5]また、本発明の一態様は、上記の受信機において、前記制御情報内には、複数件の前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報が含まれている、ことを特徴とする。
【0013】
[6]また、本発明の一態様は、放送受信部が受信した放送信号から、選択されている放送サービスに対応したパッケージに属する制御情報を抽出し、前記制御情報内に含まれているアプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得する放送信号解析手段、前記放送信号解析手段によって取得された前記アプリケーション情報テーブルロケーション情報によって指し示されるアプリケーション情報テーブルを取得するアプリケーション情報テーブル取得手段、前記アプリケーション情報テーブル取得部が取得した前記アプリケーション情報テーブルにしたがって選択されている放送サービスに関連付けられたアプリケーションのアプリケーション実行手段における実行を制御するアプリケーション実行制御手段、としてコンピューターを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取得したアプリケーション制御情報を特定のサービスにマッピングすることが可能となる。マルチ編成の放送が行われる場合においても、サービスごとに別々のアプリケーションを指定して、自動起動させることなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態による受信機の概略機能構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態による放送信号解析部が抽出するテーブル等の関係を示す概略図である。MPTとAITやDTMやEMTとの関係を示す。
【
図3】同実施形態によるMPT内に含まれる、AITとDTMとEMTのそれぞれロケーション情報の構成を示す概略図であり、MPT内の記述子領域に含まれるアプリケーション制御記述子の構成を示す。
【
図4】同実施形態による、受信機を含むテレビシステムの構成を示す概略構成図である。
【
図5】同実施形態による送信装置の概略機能構成を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態によるアプリケーション制御記述子の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の記述において、あるいは図面において、アプリケーションプログラムのことを「アプリケーション」または「アプリ」と略称することがある。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による受信機の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、受信機1は、放送受信部11と、放送信号解析部12と、AIT取得部14と、通信送受信部15と、アプリ実行制御部16と、アプリ実行部17とを含んで構成される。
なお、この受信機1は、いわゆるテレビであり、放送信号に含まれる映像や音声などの放送コンテンツを提示する機能を有しているが、ここでは、本発明に直接関係する機能のみについて説明し、その他の機能については説明を省略する。
【0018】
放送受信部11は、外部からの放送信号を受信する。放送受信部11が受信する放送信号は、映像や音声やデータの情報とともに、制御情報が多重された信号である。本実施形態では、この放送信号は、MMT(MPEGメディアトランスポート,MPEG Media Transport)の方式により伝送される。放送受信部11が受信する放送信号には、MPT(MMTパッケージテーブル,MMT Package Table)や、AIT(アプリケーション情報テーブル, Application Information Table)や、DTM(データ伝送メッセージ,Data Transmission Message)なども含まれている。なお、DTMは、データ伝送に関するテーブルを格納するメッセージである。また、放送信号には、受信機1上で稼働させるためのアプリケーションのコードが含まれる場合もある。放送受信部11は、受信した放送信号を復調し、放送信号解析部12に渡す。
【0019】
放送信号解析部12は、放送受信部11から渡された放送信号を解析し、必要な情報を分離して抽出する。具体的には、放送信号解析部12は、映像信号、音声信号、データ、制御情報を抽出し、これらの信号を各部に供給する。放送信号解析部12が抽出する信号にアプリケーションのコードが含まれている場合には、放送信号解析部12は、抽出したコードをアプリ実行部17に渡す。
【0020】
また、放送信号解析部12は、放送信号から、選択されている放送サービスに対応したパッケージに属する制御情報を抽出し、前記制御情報内に含まれているアプリケーション情報テーブルロケーション情報を取得する。また、放送信号解析部12は、前記制御情報内に含まれているデータ伝送メッセージロケーション情報を取得する。また、放送信号解析部12は、前記制御情報内に含まれているイベントメッセージテーブルロケーション情報を取得する。ここで、制御情報の一部が、上述したMPTである。また、後で述べるとおり、MPT内には、アプリケーション情報テーブルのロケーション情報と、データ伝送メッセージのロケーション情報と、イベントメッセージテーブルのロケーション情報とを含む。
【0021】
なお、受信機1は、図示しない選局手段を備えている。受信機1は、利用者によって操作されるリモコン装置等からの信号に基づいて、放送サービスを選択(選局)する。受信機1において現在選択されているサービスを識別する情報は、受信機1内の必要な機能部に供給される。上記の処理で、放送信号解析部12が参照したMPTは、現在選択されているサービス(パッケージ)に属するMPTである。同一の伝送帯域内に複数のサービス(パッケージ)が存在するとき(マルチ編成)にも、MPTはパッケージごとに存在する。つまり、1つのMPTは特定のパッケージ用に固有のものである。
【0022】
AIT取得部14(アプリケーション情報テーブル取得部)は、放送信号解析部12によって抽出されるAITロケーション情報によって指し示されるAITを取得する。そして、AIT取得部14は、アプリケーションを制御するための情報をアプリ実行制御部16に渡す。アプリケーションを制御するための情報の典型例は、アプリケーション制御コードであり、この情報は、アプリケーションのライフサイクル(プリフェッチ、実行可能、自動実行、終了等)を制御するために用いられる。
【0023】
通信送受信部15は、通信による外部とのデータのやり取りを行うための通信機能を有する。通信送受信部15は、例えばインターネットプロトコル(IP)を用いて、外部の装置との間での通信を行う。例えば、通信送受信部15は、AIT取得部14等からの指示に基づいて、必要なアプリケーションのコードを、外部のサーバー装置に要求し、そのコードを取得する。
【0024】
アプリ実行制御部16(アプリケーション実行制御部)は、アプリ実行部17におけるアプリケーションの実行の制御を行う。具体的には、アプリ実行制御部16は、アプリ実行部17においてアプリケーションを起動する指示をしたり、アプリケーションを終了させるための指示をしたりする。このとき、アプリ実行制御部16は、AIT取得部14から渡されるAITの情報にしたがって、アプリケーションの実行を制御する。
つまり、アプリ実行制御部16は、AIT取得部14が取得したアプリケーション情報テーブルにしたがって、その時点で選択されている放送サービスに関連付けられたアプリケーションのアプリ実行部17における実行を制御するものである。
【0025】
アプリ実行部17(アプリケーション実行部)は、アプリ実行制御部16による制御の下で、アプリケーションを実行する。一例として、アプリ実行部17は、HTML5のブラウザの機能により実現される。この場合、アプリケーションは、HTML5およびJavascript(登録商標)により記述されるコードである。なお、その他の手段によりアプリ実行部17を実現しても良い。なお、アプリ実行部17は、アプリケーションコードを蓄積しておくためのキャッシュメモリを備えている。アプリ実行部17は、放送信号解析部12や通信送受信部15から受け取ったアプリケーションコードを、このキャッシュメモリに保存する。
【0026】
次に、放送信号として伝送されるパッケージと、そのパッケージに属する放送マネージドアプリケーションとの関連付けについて説明する。
図2は、放送受信部11が受信し、放送信号解析部12によって抽出されたテーブル等の関係の一部分を示す概略図である。同図に示すMPTや、AITや、DTMや、EMT(イベントメッセージテーブル,Event Message Table)は、放送信号に含まれて伝送される。そして、本実施形態によるMPTは、AITや、DTMや、EMTのロケーション(所在)を指し示すロケーション情報を格納している。図示するように、MPTは、AITとDTMに関してはそれぞれ1つのロケーション情報を保持している。また、MPTは、複数の、必要な数の分のEMTのロケーション情報を保持している。なお、ロケーション情報の詳細については後述する。
【0027】
ここで、MPTは、パッケージごとに存在するテーブルである。1つのパッケージは、1つのサービスに対応する。また、ここで、サービスとは、テレビ番組である。そして、ひとつの共通の帯域において複数のパッケージが伝送されるいわゆるマルチ編成による放送が行われるとき、パッケージごとに別のMPTが伝送される。したがって、受信機1が図示するMPTを受信したとき、放送信号解析部12は、MPTと関係づけられた形でAITを抽出することができる。同様に、放送信号解析部12は、MPTと関連付けられた形でDTMを抽出することができる。また同様に、放送信号解析部12は、MPTと関連付けられた形で複数のEMTをそれぞれ抽出することができる。
【0028】
図3は、上述したMPT内に含まれるAITとDTMとEMTのロケーション情報の構成を示す概略図である。同図では、データ構造と、そのデータ構造に含まれる各データ項目のビット数およびデータ表記を示している。このデータ構造は、ブロック構造を有する形式言語により定義されている。また、ビット数は、当該データ構造に含まれるデータ項目の長さ(ビット長)である。また、データ表記は、各データ項目の型を表す。このデータ表記における「uimsbf」は、「unsigned integer, most significant bit first」、即ち、符号なし整数であって最上位ビットが先頭であることを表す。
【0029】
同図に示す構造体の全体は、アプリケーション制御記述子(Application Control Descriptor)である。このアプリケーション制御記述子は、MPT内の第1記述子領域(MPT_descriptors_byte)に設けられる。つまり、アプリケーション制御記述子は、パッケージ(サービス)と1対1に対応して設けられる記述子であり、パッケージ内のアセットごとの属性ではない。アプリケーション制御記述子内の各データ項目は、次の(1)から(6)までの通りである。
【0030】
(1)descriptor_tag(記述子タグ)は、記述子を識別するための情報である。アプリケーション制御記述子用の記述子タグの値は、適宜、定められる。なお、記述子タグのビット長は、本実施形態においては「16」である。記述子タグのビット長は、用いるメディアトランスポートシステムにより異なっていてもよい。
(2)descriptor_length(記述子長)は、アプリケーション制御記述子内において、後続するフィールド(ait_location_infoから、private_data_byteのループの最後まで)全体のデータバイト数を保持する領域である。アプリケーション制御記述子における記述子長フィールドのビット長は「8」である。なお、他の記述子における記述子長フィールドのビット長は「8」以外の場合もある。
(3)ait_location_info()(AITロケーション情報)は、アプリケーション情報テーブル(AIT)を格納するM2セクションメッセージのロケーション情報である。
【0031】
(4)dtm_location_info()(データ伝送メッセージ(DTM)ロケーション情報)は、データ伝送メッセージのロケーション情報である。
(5)num_of_emt(EMT数)は、イベントメッセージテーブル(EMT)の数を示す。
次のデータ項目であるemt_location_info()のループの回数は、このnum_of_emtによって規定される。
(6)emt_location_info()(イベントメッセージテーブル(EMT)ロケーション情報)は、イベントメッセージテーブル(EMT)を格納するM2セクションメッセージのロケーションである。
【0032】
なお、上記のait_location_info()とdtm_location_info()とemt_location_info()のそれぞれは、それ自体がMMT_general_location_info()という型を有する構造体である。MMT_general_location_info()の具体的な実体は、適宜、規約等において規定される。例えば、MMT_general_location_info()は、ロケーションのタイプを識別するためのlocation_typeというデータ項目を含んでおり、このタイプに応じて異なるデータを保持する。MMT_general_location_info()が保持する具体的な情報は、例えば、パケットIDや、インターネットプロトコル(IPV4やIPV6)におけるアドレスとポート番号とパケットID(パケット識別)との組み合わせや、ネットワークIDとMPEG2トランスポートストリームIDとMPEG2PIDとの組み合わせや、URLなどである。
一例としては、上記のait_location_info()とdtm_location_info()とemt_location_info()のそれぞれに、ロケーション情報の実体として、パケットIDを格納するようにする。ただし、パケットID以外のロケーション情報を用いても良い。
【0033】
図示した通り、1つのパッケージについて、AITロケーション情報と、データ伝送メッセージ(DTM)ロケーション情報とは、それぞれ1つずつ指定できるようにしている。また、1つのパッケージについて、複数のイベントメッセージテーブル(EMT)ロケーション情報を指定できるようにしている。
【0034】
上述したアプリケーション制御記述子を参照することにより、受信機1は次のように動作する。即ち、放送信号解析部12は、パッケージ情報が格納されたMPTを取得する。
また、放送信号解析部12は、MPT内のアプリケーション制御記述子を参照することによって、AITロケーション情報と、DTMロケーション情報と、EMTロケーション情報とを取得する。それら各々のロケーション情報は、上でも述べたMMT_general_location_info()型の有するデータである。よって、放送信号解析部12は、各ロケーション情報により、AITとDTMとEMTのそれぞれのロケーションを知る。そして、これらのロケーション情報に基づいて、放送信号解析部12は、当該パッケージに紐づけられたAITとDTMとEMTとを特定して取得することができる。
【0035】
AIT取得部14は、放送信号解析部12から、特定のパッケージ(例えば、受信機1の利用者が現在視聴中のパッケージ(サービス))に関連付けられたAITを取得する。
そして、AIT取得部14は、そのAIT内に記述された情報に基づいて、必要な状況においては、放送受信部11経由でまたは通信送受信部15経由で、アプリケーションのコードを取得するよう指示する。また、AIT取得部14は、取得したAITをアプリ実行制御部16に渡す。アプリ実行制御部16は、渡されたAITにしたがって、特定のパッケージに関連付けられたアプリケーションのライフサイクル制御を行う。即ち、アプリ実行制御部16は、そのアプリケーションを稼働可能な状態(READY)にしたり、自動起動したり、強制的に終了させ(KILL)たりする。
【0036】
次に、受信機1を含むテレビシステムについて説明する。
図4は、上述した受信機1を含むテレビシステムの構成を示す概略構成図である。図示するように、テレビシステム100は、送信装置3と、サーバー装置5と、受信機1とを含んで構成される。
【0037】
送信装置3は、放送信号を送信する。送信装置3が送信する放送信号には、映像のデータ(映像アセット)や、音声のデータ(音声アセット)や、字幕のテキストデータ(字幕アセット)や、文字スーパーのテキストデータ(文字スーパーアセット)や、制御情報のデータなどが含まれる。送信装置3は、各種アセットおよび制御情報を、パッケージ単位で論理的にまとまった信号として送出する。送信装置3は、複数のパッケージを一つの帯域内の伝送信号として送出する場合もある。例えば、マルチ編成の場合に、送信装置3は、複数のパッケージを同時並行的に送出する。
【0038】
そして、上記の制御情報のデータの一部として、前述のMPTや、MPT内のロケーション情報によって関連付けられたAIT、DTM、EMTなども含まれる。送信装置3が送信した放送信号は、無線(地上波や衛星放送波)または有線(テレビ放送用ケーブル)によって伝送される。
【0039】
サーバー装置5は、受信機1からの要求に応じて、アプリケーションプログラムを提供する。サーバー装置5は、通信ネットワークを介して受信機1に接続されており、受信機1からのデータを受信したり、受信機1に対してデータを送信したりすることができる。
【0040】
受信機1は、送信装置3からの放送信号を受信するとともに、サーバー装置5との間の通信を行う。受信機1は、送信装置3からの放送信号の中に含まれるAITに従って、サーバー装置5からアプリケーションプログラムを受信する。受信機1は、受信したAIT内のアプリケーション制御コードに従って、アプリケーションの実行を制御する。つまり、受信機1は、受信したAIT内のアプリケーション制御コードに従って、アプリケーションを起動可能な状態にしたり、起動したり、終了させたりといった制御を行う。
【0041】
これにより、例えばマルチ編成などの状況においても、受信機1は、特定のパッケージに関するMPTと、そのMPTに紐付けられたAIT、DTM、EMTを取得する。そして、受信機1は、その特定のパッケージに紐付けられたAITに従って、アプリケーション(放送マネージドアプリケーション)のライフサイクル制御や、リアルタイム制御を行う。
つまり、パッケージ(サービス)と、AIT、DTM、EMTとのマッピングが可能となる。
【0042】
図5は、送信装置3の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、送信装置3は、映像信号取得部31と、音声信号取得部32と、データ取得部33と、制御情報設定部34と、多重化部37と、放送送信部38とを含んで構成される。また、制御情報設定部34は、内部にアプリ制御情報設定部36を含んでいる。
【0043】
映像信号取得部31は、コンテンツの映像信号を外部から取得し、符号化して、多重化部37に渡す。
音声信号取得部32は、コンテンツの音声信号を外部から取得し、符号化して、多重化部37に渡す。
データ取得部33は、サービスに付随するデータを外部から取得し、多重化部37に渡す。
【0044】
制御情報設定部34は、サービスに関する制御情報を設定し、多重化部37に渡す。ここで、制御情報設定部34が設定する制御情報は、前述のMPTや、AITや、DTMや、EMTの各テーブルおよびメッセージの情報を含む。また、制御情報設定部34は、放送信号として必要なその他の制御情報をも設定し、多重化部37に渡す。
なお、制御情報設定部34は、制御情報を設定する機能の一部として、アプリ制御情報設定部36を含んで構成される。制御情報設定部34が設定する制御情報は、
図2および
図3で説明した要件を満たすものである。つまり、制御情報設定部34が設定する制御情報においては、パッケージごとに、MPT内に、AITロケーション情報や、DTMロケーション情報や、EMTロケーション情報などを含んでいる。具体的には、制御情報設定部34が設定する制御情報において、MPTは、
図3で説明したアプリケーション制御記述子を含んでいる。制御情報設定部34は、予め定められた関係に基づいて、MPTと、AIT、DTM、EMTとを紐付ける。
【0045】
アプリ制御情報設定部36は、アプリケーションを制御するための情報を設定する。具体的には、アプリ制御情報設定部36は、AITの情報を設定する。
多重化部37は、受け取った各データを多重化する。
放送送信部38は、多重化部37によって多重化されたデータを変調し、放送信号として送信する。
【0046】
次に、送信装置3による番組送出の例について説明する。送信装置3は、マルチ編成で放送コンテンツを送出する場合がある。マルチ編成によると、1つのチャンネルで複数の番組を放送することができる。一例として1つのチャンネルで2番組(2サービス、2パッケージ)を放送するとき、そのチャンネルのメインチャンネルとサブチャンネルが使用される。これら、メインチャンネルおよびサブチャンネルの各々がサービスである。例えば、送信装置3は、いわゆる8Kテレビ(横7680ピクセルで、縦4320ピクセルの解像度)1波を送出する場合と、4Kテレビ(横3840ピクセルで、縦2160ピクセルの解像度)2波を送出する場合とを切り替えることができる。このとき、伝送に用いられるチャンネルの容量は、いずれの場合の伝送データをも収容できる。
【0047】
以上、述べたように、本実施形態によると、サービス(パッケージ)とアプリケーションとをマッピングさせることができる。つまり、本実施形態では、放送信号解析部12は、パッケージ(その時点で選択されているパッケージ)に属するMPTの中に格納されている各種ロケーション情報を参照する。これにより、放送信号解析部12は、AITのロケーションと、DTMのロケーションと、EMTのロケーションとを知る。よって、放送信号解析部12は、特定のパッケージからマッピングされているAIT、DTM、EMTを利用し、また、受信機1内の必要な機能部に、それらの情報を供給することができる。
【0048】
つまり、マルチ編成の状況においても、特定のパッケージに関連付けられたAIT、DTM、EMTを特定することができる。そして、そのようなAITを用いて、アプリケーションを制御することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、AITに新たなデータを盛り込む必要がない。よって、本実施形態の実施のためにAITの書式を変更する必要がない。これにより、従来技術によるAITを前提として受信機の設計を、変更する必要がないというメリットもある。
【0050】
また、本実施形態によれば、AIT、DTM、EMTのそれぞれのロケーションの情報をMMT_general_location_info()の形でMPT内に保持する。よって、ロケーション情報の表現形式に汎用性を持たせることができる。
【0051】
[8K1波(1サービス)の構成例]
ここで、8K1波(1サービス)の放送信号の構成例について説明する。放送信号はMMT(MPEG Media Transport)方式により多重化されている。このIPデータフロー内には、1個のサービス(パッケージ)が含まれる。そのサービスは、1個の映像アセット(映像1アセット(Video 1 Asset))と、1個の音声アセット(音声1アセット(Audio 1 Asset))と、2個のデータアセット(データ1アセット(Data 1 Asset)とデータ2アセット(Data 2 Asset))とを含む。映像1アセットは、8Kの映像である。このIPデータフロー内には、2個のPAメッセージ(Package Access message,パッケージアクセスメッセージ)を含む。各PAメッセージは、MPT(MMT Package Table,MMTパッケージテーブル)を格納している。各々のPAメッセージのMPTは、サービスID(=パッケージID)を格納している。それらのサービスIDの値は、それぞれ、「1」および「2」である。両方のMPTからは、同一のパッケージを指し示す。即ち、両MPTのそれぞれが、映像1アセットへのリンク、音声1アセットへのリンク、データ1アセットへのリンク、データ2アセットへのリンクを有する。なお、第1のPAメッセージ内にはPLT(Package List Table)が設けられている。このPLTからは、第2のPAメッセージが指し示されている。
【0052】
送信装置3から送出される放送信号が上記のような構成を有する場合、放送信号を受信した受信機1側では、サービス「1」を選択した場合にも、サービス「2」を選択した場合にも、同一のコンテンツを参照し、そのコンテンツ(映像、音声、データ)が受信機1の利用者に対して提示される。
【0053】
[4K2波(2サービス)の構成例]
次に、4K2波(2サービス)の放送信号の構成例について説明する。この例においてもMMT方式が用いられている。このIPデータフロー内には、2個のサービス(パッケージ)が含まれる。第1のサービスは、1個の映像アセット(映像1アセット)と、1個の音声アセット(音声1アセット)と、2個のデータアセット(データ1アセットとデータ2アセット)とを含む。映像1アセットは、4Kの映像である。第2のサービスは、1個の映像アセット(映像2アセット)と、1個の音声アセット(音声2アセット)と、1個のデータアセット(データ3アセット)とを含む。映像2アセットもまた、4Kの映像である。このIPデータフロー内には、2個のPAメッセージを含む。各PAメッセージは、MPTを格納している。第1のサービスにおけるMPTはパッケージID「1」を保持しており、第2のサービスにおけるMPTはパッケージID「2」を保持している。
これら両MPTから、それぞれのパッケージのアセット(映像アセット、音声アセット、データアセット)を指し示す。即ち、第1のサービスにおけるMPTは、映像1アセットへのリンク、音声1アセットへのリンク、データ1アセットへのリンク、データ2アセットへのリンクを有する。また、第2のサービスにおけるMPTは、映像2アセットへのリンク、音声2アセットへのリンク、データ3アセットへのリンクを有する。なお、第1のPAメッセージ内にはPLTが設けられている。このPLTからは、第2のPAメッセージが指し示されている。
【0054】
送信装置3から送出される放送信号が上記のような構成を有する場合、放送信号を受信した受信機1側では、サービス「1」を選択した場合にはパッケージIDが「1」であるMPTを基に各アセットにアクセスし、サービス「2」を選択した場合にはパッケージIDが「2」であるMPTを基に各アセットにアクセスする。そして、受信機1は、取得したコンテンツ(映像、音声、データ)を、利用者に対して提示する。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、前述の実施形態と同様の事項については図面および説明を省略し、主として、本実施形態に特有の事項を説明する。
本実施形態における受信機1および送信装置3の概略機能構成自体は、それぞれ、
図1と
図5で説明した通りである。
本実施形態では、送信装置3から受信機1に対して送信される放送信号に含まれる、制御情報の一部の形式が、前述の実施形態におけるそれと異なる。
【0056】
図6は、本実施形態におけるアプリケーション制御記述子の構成を示す概略図である。
第1実施形態における場合と同様に、このアプリケーション制御記述子は、AITとDTMとEMTのロケーション情報を格納するものである。また、このアプリケーション制御記述子は、MPT内の第1記述子領域に設けられる。
アプリケーション制御記述子内の各データ項目は、次の(1)から(6)までの通りである。
【0057】
(1)descriptor_tag(記述子タグ)は、記述子を識別するための情報であり、第1実施形態における記述子タグと同様のものである。
(2)descriptor_length(記述子長)は、アプリケーション制御記述子のサイズを表すデータであり、第1実施形態における記述子長と同様のものである。
(3)ait_packet_id(AITパケット識別)は、アプリケーション情報テーブル(AIT)を格納するM2セクションメッセージのパケット識別を示す。ait_packet_idは、16ビットの長さのデータである。このait_packet_idは、当該MPTに紐付けられたAITのロケーションを指し示している。
【0058】
(4)dtm_packet_id(データ伝送メッセージパケット識別)は、データ伝送メッセージ(DTM)のパケット識別を示す。dtm_packet_idは、16ビットの長さのデータである。このdtm_packet_idは、当該MPTに紐付けられたDTMのロケーションを指し示している。
(5)num_of_emt(EMT数)は、イベントメッセージテーブル(EMT)の数を示す8ビットのデータである。次のデータ項目であるemt_location_idのループの回数は、このnum_of_emtによって規定される。
(6)emt_packet_id(イベントメッセージテーブルパケット識別)は、イベントメッセージテーブル(EMT)を格納するM2セクションメッセージのパケット識別を示す。emt_packet_idは、16ビットの長さのデータである。このemt_packet_idは、当該MPTに紐付けられたEMTのロケーションを指し示している。
【0059】
図示した通り、1つのパッケージについて、AITロケーション情報と、データ伝送メッセージ(DTM)ロケーション情報とは、それぞれ1つずつ指定できるようにしている。また、1つのパッケージについて、複数のイベントメッセージテーブル(EMT)ロケーション情報を指定できるようにしている。
【0060】
MPTを受信した受信機1が、上記のAITロケーション情報とデータ伝送メッセージロケーション情報とイベントメッセージテーブルロケーション情報とを用いて、それぞれ指し示されるテーブル等を参照する点は第1実施形態と同様である。これにより、本実施形態においても、特定のパッケージに関してMPTからAIT、DTM、EMTへのマッピングを行うことが可能となる。なお、受信機1側での、取得したAIT、DTM、EMTに基づいた処理の内容は、第1実施形態における場合と同様である。つまり、第1実施形態と同様に、受信機1は、パッケージに関連付けられたアプリケーションのライフサイクル制御、アプリケーションの取得、アプリケーションのリアルタイム制御を行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、用いるロケーション情報として、MMT_general_location_info()ではなく固定的な16ビットのパケットIDを用いているため、ロケーション情報のタイプを判別する必要がない。また、ロケーション情報がMPT内で占める領域の大きさを小さくすることができる。
【0062】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態または第2実施形態と同様の事項については図面および説明を省略し、主として、本実施形態に特有の事項を説明する。
本実施形態における受信機1および送信装置3の概略機能構成自体は、それぞれ、
図1と
図5で説明した通りである。
【0063】
前述の第1実施形態および第2実施形態のそれぞれにおいては、1件のAITロケーション情報と、1件のDTMロケーション情報と、1件ないしは複数件のEMTロケーション情報とをひとまとまりとして、MPTは、それらの情報を1セット保持していた。
これに対して、本実施形態では、1つのMPTが、1件のAITロケーション情報と、1件のDTMロケーション情報と、1件ないしは複数件のEMTロケーション情報とのひとまとまりを、複数セット保持する。
【0064】
本実施形態におけるMPTの具体的な構成について説明する。
第1実施形態におけるMPTは、
図3に示した通りである。本実施形態では、この
図3に示すMPTを拡張した構成とする。具体的には、
図3においては、1つのアプリケーション制御記述子において、ait_location_info()からemt_location_info()のループまで(for構文によるブロックの最後まで)が1回だけ現れていた。本実施形態では、このait_location_info()からemt_location_info()のループまでの全体を、さらに大きなループで複数回繰り返す。また、その繰り返し回数を表すデータ項目を、descriptor_lengthの直後に設ける。
【0065】
なお、
図3に示したMPTの代わりに、
図6に示した第2実施形態のMPTを拡張した構成としても良い。この場合、具体的には、
図6におけるait_packet_idからemt_packet_id()のループまで(for構文によるブロックの最後まで)の全体を、さらに大きなループで複数回繰り返す。また、その繰り返し回数を表すデータ項目を、descriptor_lengthの直後に設ける。
【0066】
以上のように、1件のAITロケーション情報と、1件のDTMロケーション情報と、1件ないしは複数件のEMTロケーション情報のまとまりを、MPT内に複数セット保持して送信装置3側から送信する。つまり、MPT内には、複数件のアプリケーション情報テーブルロケーション情報等が含まれているこのようなMPTを含む放送信号を受信した受信機1側では、ロケーション情報のセットを適宜選択することにより、アプリケーションを複数の制御パターンで制御することができるようになる。一例として、テレビの全国放送の番組を、各地域に設けられた放送局から送信する場合に、全国放送に対応したアプリケーションまたはアプリケーション群と、地域ごと(例えば、放送局ごと)に対応したアプリケーションまたはアプリケーション群とを、別々のAIT等で制御することができる。
【0067】
また、MPT内のAITロケーション情報とDTMロケーション情報とEMTロケーション情報の複数のセットのうち、デフォルトのセットがどれであるかを示すフラグ情報を、MPT内にさらに設けても良い。このとき、受信機1は、ロケーション情報の複数のセットのうち、このフラグによって示されるセットを、デフォルトのロケーション情報として参照する。
【0068】
なお、上述したそれぞれの実施形態における受信機、送信装置、サーバー装置の機能をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、これら各装置の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0069】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。
例えば、AITロケーション情報と、DTMロケーション情報と、EMTロケーション情報の一部が別の記述子内に含まれていても良い。また、これら三者がすべて互いに別の記述子内に含まれていても良い。
また、AITロケーション情報や、DTMロケーション情報や、EMTロケーション情報が、MPT内の記述子領域以外の箇所に保持されていても良い。
いずれの場合も、パッケージに属する制御情報内に、AIT、DTM、EMTのロケーション情報が含まれていれば、パッケージとこれらのテーブル等をマッピングすることができる。
第3実施形態の変形例としては、AITロケーション情報と、DTMロケーション情報と、EMTロケーション情報の複数の(必要な数の分の)セットが、MPT内に含まれていれば、テーブル内におけるそれらの具体的な配置順等は、適宜、設計により定めて良い。
【0070】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、テレビ放送のシステム(受信機、送信装置)に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 受信機
3 送信装置
5 サーバー装置
11 放送受信部
12 放送信号解析部
14 AIT取得部(アプリケーション情報テーブル取得部)
15 通信送受信部
16 アプリ実行制御部(アプリケーション実行制御部)
17 アプリ実行部(アプリケーション実行部)
31 映像信号取得部
32 音声信号取得部
33 データ取得部
34 制御情報設定部
36 アプリ制御情報設定部
37 多重化部
38 放送送信部
100 テレビシステム