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特許6991543プラズマ生成装置及びこれを用いたプラズマ生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】プラズマ生成装置及びこれを用いたプラズマ生成方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/30 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
H05H1/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017068320
(22)【出願日】2017-03-30
(65)【公開番号】P2018170216
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】節原 裕一
(72)【発明者】
【氏名】内田 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹中 弘祐
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-303814(JP,A)
【文献】特表2017-504928(JP,A)
【文献】特開2002-008894(JP,A)
【文献】特開2005-095744(JP,A)
【文献】特開2015-026574(JP,A)
【文献】特開2016-154499(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082561(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/072390(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0007910(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/26
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と後端を有しており、前記先端側からプラズマを噴出させるための管状体と、
前記管状体に接続されて、前記管状体内に媒質ガスを供給するガス供給部と、
前記管状体の外表面に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第1電極と、
前記管状体の外表面であって前記第1電極の後端よりも後方に設けられ、100kHz以上の高周波電位が印加される第2電極と、を有し、
前記第1電極と前記第2電極はそれぞれ環状に形成されており、
前記管状体の長軸方向において、前記第1電極の長さL1が前記第2電極の長さL2よりも短く、
前記管状体内には電極が配置されていないことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項2】
前記第2電極の長さL2に対する前記第1電極の長さL1の比率(L1/L2)が0.8以下である請求項1に記載のプラズマ生成装置。
【請求項3】
前記管状体の長軸方向において、前記第1電極の長さL1が0.5mm以上50mm以下である請求項1または2に記載のプラズマ生成装置。
【請求項4】
前記管状体の長軸方向において、前記第1電極の後端から前記第2電極の先端までの長さが、前記第1電極の長さの0.1倍以上である請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ生成装置。
【請求項5】
前記管状体の長軸方向における前記第2電極の長さL2が、前記管状体の外径の1倍以上の長さである請求項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ生成装置。
【請求項6】
前記第1電極の先端が、前記管状体の先端から20mm以内の領域に設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ生成装置。
【請求項7】
前記第1電極の外表面および前記第2電極の外表面が絶縁体により被覆されている請求項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ生成装置。
【請求項8】
前記管状体の外表面であって前記第2電極の後端よりも後方に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第3電極と、
前記管状体の外表面であって前記第3電極の後端よりも後方に設けられ、直流パルス電位または低周波電位が印加される第4電極と、を有する請求項1~7のいずれか一項に記載のプラズマ生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載のプラズマ生成装置を用いて、前記管状体の前記先端からプラズマを噴出させる方法であって、
第1媒質ガスを前記管状体内に供給するステップAと、
前記第4電極に直流パルス電位または低周波電位を印加するステップBと、
さらに第2媒質ガスを前記管状体内に供給するステップCと、
前記第1媒質ガスの供給を停止するステップDと、
前記第2電極に高周波電位を印加するステップEと、
前記第4電極への直流パルス電位または低周波電位の印加を解除するステップFと、を有するプラズマ生成方法。
【請求項10】
前記第1媒質ガスがヘリウムガス、アルゴンガス、またはヘリウムとアルゴンの混合ガスであり、前記第2媒質ガスがアルゴンガスである請求項9に記載のプラズマ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極に高周波電位を印加することでプラズマを生成する装置、およびこれを用いたプラズマ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空設備を必要とせず、大気圧下で使用可能な大気圧低温プラズマジェット(プラズマ噴出流)は、ポリマーの親水化処理等の工業用のほか、止血や創傷治癒等の医療目的で使用されている。例えば、特許文献1には、管状体の外表面に設けられた電極に10kHz程度の低周波電圧を印加して放電させることにより、噴出口から細く延びる低周波プラズマジェットを生成することができるLF(低周波)プラズマジェット生成装置が開示されている。しかし、従来の装置によれば、最大約60mmのジェット長を得ることができるものの、高密度プラズマを生成することが困難である。
【0003】
そこで、MHzオーダーの周波数帯の高周波電位を印加することで駆動する高周波プラズマジェット生成装置が開発されている。非特許文献1には、石英管内に針状電極が配置され、石英管の外表面であって先端側に接地電極が配置されている高周波プラズマジェット生成装置が開示されている。非特許文献2には、石英管の外表面に単一電極が配置されている高周波プラズマジェット生成装置が開示されている。高周波プラズマジェット生成装置によれば、電子やイオンを放電空間に効率的に閉じ込めることができるため、高密度にプラズマや反応性の高い中性の活性種を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4677530号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Weltmannet al.,“Atmospheric Pressure Plasma Jet for Medical Therapy: Plasma Parameters and Risk Estimation”,Contributions to Plasma Physics,2009, vol.49,pages 631-640.
【文献】Walsh et al., “Contrasting characteristics of linear-field and cross-field atmospheric plasma jets”,Applied Physics Letters, 2008, vol.93, 111501.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献1~2に開示されているような高周波電源を用いたプラズマ生成装置により生成されたプラズマのジェット長はせいぜい10mm程度であり、高密度かつ長尺なプラズマジェットを得るという観点からは改善の余地がある。
そこで、本発明は、高密度かつ長尺なプラズマジェットを生成することができる装置を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し得た本発明のプラズマ生成装置は、先端と後端を有しており、先端側からプラズマを噴出させるための管状体と、管状体に接続されて、管状体内に媒質ガスを供給するガス供給部と、管状体の外表面に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第1電極と、管状体の外表面であって第1電極の後端よりも後方に設けられ、100kHz以上の高周波電位が印加される第2電極と、を有し、管状体の長軸方向において、第1電極の長さL1が第2電極の長さL2よりも短い点に要旨を有する。このように第1電極の長さを第2電極の長さよりも短くすることによって、管状体の先端から噴出するプラズマ(プラズマジェット)を高密度かつ長尺に生成することができる。
【0008】
第2電極の長さL2に対する第1電極の長さL1の比率(L1/L2)が0.8以下であることが好ましい。このようにL1/L2を設定することによって長尺なプラズマジェットが得られやすくなる。
【0009】
管状体の長軸方向において、第1電極の長さL1が0.5mm以上50mm以下であることが好ましい。第1電極の長さL1を上記範囲に設定することによって長尺なプラズマジェットが得られやすくなる。
【0010】
管状体の長軸方向において、第1電極の後端から第2電極の先端までの長さが、第1電極の長さの0.1倍以上であることが好ましい。このように第1電極の後端から第2電極の先端までの長さを設定することで、第1電極と第2電極の間で放電が起こりやすくなる。
【0011】
管状体の長軸方向における第2電極の長さL2が、管状体の外径の1倍以上の長さであることが好ましい。管状体の外径と第2電極の長さを上記範囲に設定することによって長尺なプラズマジェットが得られやすくなる。
【0012】
第1電極の先端が、管状体の先端から20mm以内の領域に設けられていることが好ましい。このように第1電極の先端を設けることにより、管状体の先端から噴出するプラズマジェットの長さを確保することができる。
【0013】
第1電極の外表面および第2電極の外表面が絶縁体により被覆されていることが好ましい。このように第1電極と第2電極の双方が絶縁体により被覆されていれば、管状体の外側でのプラズマジェットや他の電極との間での意図しない放電の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明のプラズマ生成装置は、管状体の外表面であって第2電極の後端よりも後方に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第3電極と、管状体の外表面であって第3電極の後端よりも後方に設けられ、直流パルス電位または低周波電位が印加される第4電極と、を有していてもよい。このように第3電極と第4電極を設けることにより、第3電極と第4電極間で放電が起こりプラズマが生成される。生成されたプラズマ中の荷電粒子や励起粒子が第2電極付近まで到達することにより、これら荷電粒子や励起粒子が第1電極と第2電極の間の放電における種火として機能するため、第1電極と第2電極との間で放電が起こりやすくなる。
【0015】
本発明はまた、プラズマ生成方法も提供する。本発明のプラズマ生成方法は、上記プラズマ生成装置を用いて、管状体の先端からプラズマを噴出させる方法であって、第1媒質ガスを管状体内に供給するステップAと、第4電極に直流パルス電位または低周波電位を印加するステップBと、さらに第2媒質ガスを管状体内に供給するステップCと、第1媒質ガスの供給を停止するステップDと、第2電極に高周波電位を印加するステップEと、第4電極への直流パルス電位または低周波電位の印加を解除するステップFと、を有するものである。上記方法により、高密度かつ長尺なプラズマジェットを生成することができる。なお、上記プラズマ生成方法において、第1媒質ガスがヘリウムガス、アルゴンガス、またはヘリウムとアルゴンの混合ガスであり、第2媒質ガスがアルゴンガスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプラズマ生成装置によれば、管状体の先端から噴出するプラズマ(プラズマジェット)を高密度かつ長尺に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のプラズマ生成装置を示す正面図を表す。
図2】本発明のプラズマ生成装置の他の例を示す正面図を表す。
図3】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図4】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図5】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図6】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図7】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図8】本発明のプラズマ生成方法を示す模式図を表す。
図9】従来のプラズマ生成装置を示す正面図を表す。
図10】第1電極および第2電極の長さ比とジェット長の関係を示すグラフを表す。
図11】第2電極への印加電圧とジェット長の関係を示すグラフを表す。
図12】アルゴンガスの流量とジェット長の関係を示すグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を参照してプラズマ生成装置の構成について説明する。本発明のプラズマ生成装置1(1A)は、先端と後端を有しており、先端側からプラズマ20(プラズマジェット21)を噴出させるための管状体2と、管状体2に接続されて、管状体2内に媒質ガスを供給するガス供給部5と、管状体2の外表面に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第1電極11と、管状体2の外表面であって第1電極11の後端よりも後方に設けられ、100kHz以上の高周波電位が印加される第2電極12と、を有し、管状体2の長軸方向において、第1電極11の長さL1が第2電極12の長さL2よりも短いものである。なお、本発明では、管状体2の長軸方向において、管状体2の先端から露出しているプラズマジェット21の長さを「プラズマジェット長」あるいは「ジェット長」と称することがある。
【0019】
管状体2は、先端と後端を有しており、先端側からプラズマ20を噴出させる。ここで、管状体2の先端側とはプラズマ20が噴出する側であり、管状体2の後端側とは先端側と反対側である。図1において、紙面上方向が管状体2の後端側に相当し、紙面下方向が管状体2の先端側に相当する。
【0020】
管状体2は、管状に形成されている誘電体であることが好ましく、例えば、石英管等のガラス管、プラスチックパイプであることが好ましく、石英管であることがより好ましい。石英管は金属の不純物が少なく耐熱温度が高いことから適している。
【0021】
管状体2の外径は、生成したいプラズマジェットの長さや径に応じて設定すればよいが、例えば、4mm以上、5mm以上、または6mm以上であってもよく、100mm以下、80mm以下、または50mm以下とすることもできる。
【0022】
ガス供給部5は、管状体2に接続されて、管状体2内に媒質ガスを供給するものである。ガス供給部5は、例えば、媒質ガスボンベと、当該媒質ガスボンベと管状体2を接続するチューブから構成される。チューブには、媒質ガスの流量を監視するための流量計や、媒質ガスの流量を制御するための制御弁が好ましく設けられる。プラズマの生成原料である媒質ガスとしてはアルゴンガスやヘリウムガスを用いることができる。ガス供給部5は、管状体2の長軸方向の中心位置よりも後方に接続されていることが好ましく、より好ましくは管状体2の後端に接続される。
【0023】
管状体2の外表面には少なくとも第1電極11と第2電極12が設けられる。以下、第1電極11と第2電極12をまとめて「電極」と称することがある。電極は、導電性を有する電極材料から構成されていればよく、例えばAl、Ag、C、Ni、Au、Cu等の金属材料から構成される。電極は、蒸着、スパッタリング、塗布、フォトリソグラフィ等の方法で形成されてもよく、別途形成されたシート状や円筒状の電極部材を管状体2の外表面に固定することで形成されていてもよい。
【0024】
電極は、管状体2の周方向の一部にのみ設けられていてもよく、周方向の全体にわたって設けられていてもよいが、周方向の全体にわたって設けられて環状に形成されていることが好ましい。これにより、管状体2の全周方向から電子を加速することができるため、効率良くプラズマを生成することができる。
【0025】
第1電極11は、管状体2の外表面に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている。第1電極11に付与される定電位は時間的に一定の電位とすることができ、第2電極12に付与される電位に対して十分低い値であることが好ましい。第1電極11は、例えば、2V以下、または1V以下の定電位に接続されていることが好ましく、より好ましくは接地電位(0V)に接続されている。
【0026】
管状体2の長軸方向において、第1電極11の長さL1は特に制限されないが、電極を容易に形成するためには例えば0.5mm以上、1mm以上、または2mm以上にすることができる。また、第1電極11の長さL1は、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、または5mm以下であってもよい。第1電極の長さL1が短い程、プラズマジェット長は増大する。このように第1電極11の長さL1を上記範囲に設定しても長尺なプラズマジェットが得られる。
【0027】
管状体2の長軸方向において、第1電極11が設けられる位置は特に制限されないが、第1電極11の先端が、管状体2の先端から20mm以内の領域に設けられていることが好ましく、より好ましくは10mm以内、さらに好ましくは8mm以内、さらにより好ましくは5mm以内の領域に設けられる。第1電極11の先端が、管状体2の先端から20mm以内の領域に設けられることにより、ジェット長を確保することができる。
【0028】
第1電極11の外表面は絶縁体により被覆されていることが好ましい。これにより、第1電極11とプラズマジェット21との間の管状体2の外側での意図しない放電の発生を抑制できる。
【0029】
第1電極11の外表面の一部のみが絶縁体に被覆されていてもよく、例えば、第1電極11の外表面の長軸方向の中心位置よりも先端側のみが被覆されていてもよい。このように第1電極11の一部のみが被覆されていることでも第1電極11とプラズマジェット21の間の管状体2の外側での意図しない放電を抑制することができる。より確実に放電を抑制するためには、第1電極11の外表面の全部が絶縁体に被覆されていることが好ましい。
【0030】
第2電極12は、管状体2の外表面であって第1電極11の後端よりも後方に設けられ、100kHz以上の高周波電位が印加されるものである。第2電極12が第1電極11の先端よりも先方に設けられた場合、プラズマジェットが管状体2の特に後端側に向かって伸びる傾向にあるため、第2電極12は、第1電極11の後端よりも後方に設けられる。
【0031】
第2電極12への印加電位の周波数は、100kHz以上であればよく、500kHz以上、1MHz以上、10MHz以上であってもよく、また、1GHz以下や100MHz以下であってもよい。印加電位の周波数が高いほど、低い電圧でも長尺なジェットが得られるため、プラズマ生成装置の小型化に有利である。第2電極12の印加電位の周波数は、可変であってもよく、一定であってもよい。第2電極12への電位印加には、公知の高周波高電圧電源を用いることができる。
【0032】
第2電極12への印加電位は特に制限されないが、0.3kV以上、0.5kV以上、または1kV以上であることが好ましい。第2電極12への印加電圧が大きいほどプラズマ密度やジェット長は増大する。また、第2電極12への印加電位は特に制限されないが、例えば100kV以下、または10kV以下であってもよい。ここで、印加電位はピークピーク値を表している。
【0033】
管状体2の長軸方向における第2電極12の長さは特に限定されないが、例えば、5mm以上、10mm以上、または15mm以上であってもよく、50mm以下、40mm以下、または30mm以下であってもよい。
【0034】
本発明のプラズマ生成装置1は、管状体2の長軸方向において、第1電極11の長さL1が第2電極12の長さL2よりも短いものである。このように第1電極11の長さを第2電極12の長さよりも短くすることによって、プラズマ20が管状体2外の空間に向かって伸びやすくなる。このため、管状体2の先端から噴出するプラズマ20(プラズマジェット21)を高密度かつ長尺に生成することができる。また、印加電位の周波数、電極の長さ等のパラメータを調整し、さらにアルゴンガスに、例えば微量の酸素ガス及び窒素ガスを添加することで、生成されたプラズマを照射した細胞培養液等の溶液に含まれる活性種濃度比(例えばNO2 -/H22)を制御することができるため、がん細胞を死滅させるのに適した活性種濃度比に調整することができ、そのためがん細胞を選択的に殺傷することも期待できる。
【0035】
第2電極12の長さL2に対する第1電極11の長さL1の比率(L1/L2)は小さければ小さいほどよく、例えば、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。第2電極12の長さL2に対する第1電極11の長さL1の比率(L1/L2)が小さいほどジェット長は増大するからである。第2電極12の長さL2に対する第1電極11の長さL1の比率(L1/L2)の下限値は特に限定されず、0を超えていればよく、0.01以上、0.05以上、あるいは0.1以上であってもよい。
【0036】
管状体2の長軸方向における第2電極12の長さL2が、管状体2の外径の1倍以上の長さであることが好ましく、より好ましくは1.3倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上、さらにより好ましくは3倍以上である。管状体2の外径と第2電極12の長さを上記範囲に設定することによって長尺なプラズマジェットが得られやすくなる。また、管状体2の外径に対して第2電極12の長さが大きいほどジェット長が増大しやすくなる。管状体2の外径に対する第2電極12の長さL2の上限は特に制限されないが、例えば、第2電極12の長さL2は管状体2の外径の10倍以下、8倍以下、または5倍以下の長さにすることもできる。
【0037】
管状体2の外径は、管状体2の長軸方向における第2電極12の長さL2よりも短く、管状体2の長軸方向における第1電極11の長さL1よりも長くてもよい。このように管状体2の外径と電極の長さを設定することにより、長尺なプラズマジェットが得られる。
【0038】
管状体2の長軸方向において、第1電極11の後端から第2電極12の先端までの長さ、すなわち第1電極11と第2電極12の間隔が、第1電極11の長さの0.1倍以上、0.5倍以上、1倍以上、または2倍以上であってもよく、10倍以下、または5倍以下であってもよい。具体的には、第1電極11の後端から第2電極12の先端までの長さは、例えば0.5mm以上、1mm以上、または2mm以上であってもよく、10mm以下、8mm以下、または5mm以下であってもよいが、より好ましくは5mm以下である。このように第1電極11の後端から第2電極12の先端までの長さを設定することで、第1電極11と第2電極12の間で放電が起こりやすくなる。
【0039】
第2電極12の外表面が絶縁体により被覆されていてもよい。これにより、管状体2の外側で他の電極との間での意図しない放電が発生することを抑制できる。第2電極12の外表面の一部のみが絶縁体に被覆されていてもよく、例えば、第2電極12の外表面の端部分が被覆されていてもよい。このように第2電極12の一部のみが被覆されていることでも管状体2の外側で第2電極12と他の電極との間での意図しない放電を抑制することができる。より確実に放電を抑制するためには、第2電極12の外表面の全部が絶縁体に被覆されていることが好ましい。また、第1電極11の外表面および第2電極12の外表面が絶縁体により被覆されていてもよい。このように第1電極11と第2電極12の双方が絶縁体により被覆されていれば、管状体2の外側でのプラズマジェットや他の電極との間の意図しない放電の発生を抑制することができる。
【0040】
次に、図2を用いて、第1電極11および第2電極12に加えてさらに複数の電極が設けられるプラズマ生成装置1の構成例を説明する。プラズマ生成装置1(1B)は、さらに管状体2の外表面であって第2電極12の後端よりも後方に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている第3電極13と、管状体2の外表面であって第3電極13の後端よりも後方に設けられ、直流パルス電位または低周波電位が印加される第4電極14と、を有していてもよい。このように第3電極13と第4電極14を設けることにより、第3電極13と第4電極14間で放電が起こりプラズマが生成される。生成されたプラズマ中の荷電粒子や励起粒子が第2電極12付近まで到達することにより、これら荷電粒子や励起粒子が第1電極11と第2電極12の間の放電における種火として機能するため、第1電極11と第2電極12との間で放電が起こりやすくなる。
【0041】
第3電極13は、管状体2の外表面に設けられ、接地電位を含む定電位に接続されている。第3電極13に付与される定電位は時間的に一定の電位とすることができ、第4電極14に付与される電位に対して十分低い値であることが好ましい。第3電極13は、例えば、2V以下、または1V以下の定電位に接続されていることが好ましく、より好ましくは接地電位(0V)に接続されている。
【0042】
第4電極14は、管状体2の外表面であって第3電極13の後端よりも後方に設けられ、直流パルス電位または低周波電位が印加されるものである。
【0043】
第4電極14への印加電位の周波数は、例えば50kHz以下であり、10kHz以下、または5kHz以下であってもよく、下限は特に限定されないが、例えば0.1kHz以上、または1kHz以上に設定することもできる。第4電極14の印加電位の周波数は、可変であってもよく、一定であってもよい。第4電極14への電位印加には、公知の直流パルス電源や低周波高電圧電源を用いることができる。
【0044】
第4電極14への印加電位は特に制限されないが、0.3kV以上、0.5kV以上、または1kV以上であってもよく、100kV以下、または10kV以下であってもよい。
【0045】
第3電極13と第4電極14は、上述した第1電極11と第2電極12と同様の材料から構成することができ、また、第1電極11および第2電極12と同様の方法で形成することができる。第3電極13と第4電極14は、それぞれ管状体2の周方向の一部にのみ設けられていてもよく、周方向の全体にわたって設けられていてもよいが、周方向の全体にわたって設けられて環状に形成されていることが好ましい。これにより、管状体2の全周方向から電子を加速することができるため、効率良くプラズマを生成することができる。
【0046】
第3電極13の外表面および第4電極14の外表面が絶縁体により被覆されていることが好ましい。このように第3電極13と第4電極14の双方が絶縁体により被覆されていれば、管状体2の外側での第3電極13と第4電極との間の意図しない放電の発生を抑制することができる。第3電極13の外表面および第4電極の外表面の一部のみが絶縁体に被覆されていてもよく、例えば、第3電極13の外表面の後端と第4電極14の先端が被覆されていてもよい。このように第3電極13および第4電極14の一部のみが被覆されていることでも管状体2の外側での意図しない放電を抑制することができる。
【0047】
管状体2の長軸方向において、第3電極13と第4電極14の長さは同じであってもよく、異なっていてもよいが、第3電極13の長さL3が第4電極14の長さL4よりも短いことが好ましい。中でも、第4電極14の長さL4に対する第3電極13の長さL3の比率(L3/L4)は0.1以上、0.25以上、0.5以上、0.75以上、または1以上であってもよい。一方、第4電極14の長さL4に対する第3電極13の長さL3の比率(L3/L4)の上限値は特に限定されないが、例えば、5以下、4以下、または3以下であってもよい。このように第3電極13と第4電極14の長さを設定することで、第3電極13および第4電極14により生成されたプラズマが第2電極12付近まで到達しやすくなり、第1電極11と第2電極12の間で放電が起こりやすくなる。
【0048】
第2電極12の後端から第3電極13の先端までの長さD2は、第1電極11の後端から第2電極12の先端までの長さD1よりも長いことが好ましい。このように第1電極11~第3電極13を配置することにより、第2電極12と第3電極13の間での意図しない放電が起こることを抑制する。第2電極12と第3電極13の放電により生成されるプラズマは管状体2の後方側に伸びる傾向にあるため、ジェット長が短くなるおそれがあるからである。D1に対するD2の比率(D2/D1)は1.2以上であることが好ましく、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上である。一方、第3電極13と第4電極14により生成されたプラズマを第2電極12付近に到達させやすくする、またはプラズマ生成装置1が過度に長尺になることを抑制するためには、D2/D1は5以下であることが好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
【0049】
管状体2の長軸方向において、第3電極13の後端から第4電極14の先端までの長さD3、すなわち第3電極13と第4電極14の間隔が、第3電極13の長さの0.1倍以上、1倍以上、または2倍以上であってもよく、10倍以下、または5倍以下であってもよい。具体的には、第3電極13の後端から第4電極14の先端までの長さは、例えば0.5mm以上、1mm以上、または2mm以上であってもよく、10mm以下、8mm以下であってもよいが、より好ましくは8mm以下である。このように第3電極13の後端から第4電極14の先端までの長さを設定することで、第3電極13と第4電極14の間で放電が起こりやすくなる。
【0050】
上記電極間隔D1~D3は、D1<D2=D3、D1<D3<D2、D3<D1<D2、D1=D3<D2、または、D1<D2<D3の関係を有していてもよい。いずれの場合であっても、第2電極12と第3電極13の間での意図しない放電を抑制することができる。
【0051】
次に、第1電極11~第4電極14を有するプラズマ生成装置1(1B)を用いて管状体2の先端からプラズマを噴出させる方法について図3図8を用いて説明する。以下の方法を第1の生成方法と称する。
【0052】
まず、図3に示すように、第1媒質ガスを管状体2内に供給する(ステップA)。第1媒質ガスは、第3電極13と第4電極14の間で放電を発生させるために供給されるものである。第1媒質ガスの供給流量は、0.5L/min以上であることが好ましく、より好ましくは1L/min以上、更に好ましくは2L/min以上、更により好ましくは3L/min以上であり、また、6L/min以下、または5L/min以下であってもよい。第1媒質ガスとしてはヘリウムガス、アルゴンガス、またはヘリウムとアルゴンの混合ガスを用いることが好ましく、ヘリウムガスを用いることがより好ましい。図3では、第1媒質ガスがヘリウムガスの例を示した。
【0053】
次いで、図4に示すように、第4電極14に直流パルス電位または低周波電位を印加する(ステップB)。具体的には直流パルス電源8または低周波高電圧電源(図示せず)をONにして第4電極14に電位を印加する。これにより、第3電極13と第4電極14の間で放電が起こり管状体2内にプラズマ20が生成される。ステップBは、第3電極13と第4電極14で放電を発生させることを意図しているため、第2電極12には高周波電位を印加していないことが好ましい。なお、ステップAとステップBはいずれのステップを先に行ってもよい。
【0054】
図5に示すように、さらに第2媒質ガスを管状体2内に供給する(ステップC)。第2媒質ガスは、第1電極11と第2電極12の間で放電を発生させるために供給されるものである。第2媒質ガスとしては、アルゴンガスを用いることが好ましい。第1媒質ガスと第2媒質ガスの混合比は特に制限されないが、例えば1:99~99:1であってもよく、30:70であってもよく、また、50:50であってもよい。ここで第1媒質ガスと第2媒質ガスの合計流量は、0.5L/min以上であることが好ましく、より好ましくは1L/min以上、更に好ましくは2L/min以上、更により好ましくは3L/min以上であり、また、10L/min以下、または8L/min以下であってもよい。
図5では、第2媒質ガスがアルゴンガスである例を示した。
【0055】
図6に示すように、第1媒質ガスの供給を停止する(ステップD)。ステップA~Bにおいて、第3電極13と第4電極14の間の放電によりプラズマ20が生成されているため、第1媒質ガスの供給を停止しても、第2媒質ガスによってプラズマ20の生成を継続できる。この場合、第2媒質ガスの流量を、ステップCで供給していた第1媒質ガスと第2媒質ガスの合計流量まで増やすことが好ましい。長尺なプラズマジェットを得るにはステップDにおける第2媒質ガスの流量は1L/min以上であることが好ましく、より好ましくは2L/min以上、さらに好ましくは3L/min以上であり、また、6L/min以下であってもよく、5L/min以下であってもよい。
【0056】
図7に示すように、第2電極12に高周波電位を印加する(ステップE)。これにより、第1電極11と第2電極12の間で放電が起こりプラズマが生成される。なお、ステップDとステップEは、いずれのステップを先に行ってもよい。
【0057】
図8に示すように、第4電極14への直流パルス電位または低周波電位の印加を解除する(ステップF)。ステップEにおいて、第1電極11と第2電極12の間で放電が起こりプラズマ20(プラズマジェット21)が生成されるため、第4電極14への電位の印加を解除しても、必要なジェット長が得られる。
【0058】
第1電極11~第2電極12を有するプラズマ生成装置1(1A)では、以下の第2の生成方法によっても管状体2の先端からプラズマを噴出させることができる。
【0059】
まず、第2媒質ガスを管状体2内に供給する(ステップG)。ステップGは、上記ステップCと同様の方法で行うことができる。
【0060】
第2電極12に高周波電位を印加する(ステップH)。ステップHは、上記ステップEと同様の方法で行うことができる。
【0061】
第2の生成方法によれば、第3電極13~第4電極14によって第1電極11と第2電極12の間の放電における種火となる荷電粒子や励起粒子を生成する必要がないため、簡易な構成のプラズマ生成装置で高密度かつ長尺なプラズマジェットを得ることが可能である。
【実施例
【0062】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0063】
(プラズマ生成装置の製造)
[実施例1~12、比較例1~3]
管状体2としては、外径6mm、内径4mmのガラス管を用いた。第1電極11~第2電極12の長さを表1のように設定した。第3電極13の長さは15mm、第4電極14の長さは45mmであった。各電極としては銅板をガラス管の外表面に周方向全体にわたって延在するように円筒状に巻き付けたものを用いた。第1電極11の先端は管状体2の先端から5mmの位置に配置した。管状体2の長軸方向における第1電極11と第2電極12の間隔は5mm、第2電極12と第3電極13の間隔は15mm以上、第3電極13と第4電極14の間隔は8mmに設定した。第2電極12は高周波高電圧電源に、第4電極14は直流パルス電源に接続した。第1電極11、第3電極13はいずれも接地電位(0V)に接続した。高周波高電圧電源は、アジレント・テクノロジー社製の型番81150Aの高周波信号発生装置とサムウェイ社製の型番T145―5768Bの高周波増幅装置で構成した。直流パルス電源としては、栗田製作所社製の型番MPS―01K01Cの直流パルス電源装置を用いた。
【0064】
[比較例4]
比較例4で製造したプラズマ生成装置100の平面図を図9に示す。管状体2としては、外径6mm、内径4mmのガラス管を用いた。先端側電極31の長さL31を45mm、後端側電極32の長さL32を15mmとした。各電極としては、銅板をガラス管の外表面に周方向全体にわたって延在するように円筒状に巻き付けたものを用いた。先端側電極31の先端は、管状体2の先端から4mmの位置に配置した。管状体2の長軸方向における先端側電極31と後端側電極32の間隔(D5)は8mmに設定した。先端側電極31は直流パルス電源8に接続し、後端側電極32は接地電位(0V)に接続した。直流パルス電源8は、エヌエフ回路設計ブロック社製の型番WF1974の電圧波形発生装置とエヌエフ回路設計ブロック社製の型番HVA4321の電圧増幅装置で構成した。
【0065】
【表1】
【0066】
(電極比依存性)
表1に示すプラズマ生成装置1について、上述したプラズマ生成方法の第1の生成方法(ステップA~F)に従って、第1電極11および第2電極12によりプラズマを生成した。第2電極12への印加電圧を1.77kV(ピークピーク値)、第2媒質ガスをアルゴンガス、第2媒質ガスの流量を3L/minとして、第1電極11と第2電極12の長さを変化させたときの第1電極11の長さ/第2電極12の長さ(L1/L2)とジェット長の関係を求めた。結果を表1および図10に示す。L1/L2が1の場合と比較して、L1/L2が1未満の場合にはジェット長が大きくなる。このようにL1をL2よりも短くすることによって、長尺なプラズマジェットを生成することができた。
【0067】
(第1電極長、ならびに印加電圧(ピークピーク値)依存性)
実施例6~7、9、比較例2で製造したプラズマ生成装置1について、上述したプラズマ生成方法の第1の生成方法(ステップA~F)に従って、第1電極11および第2電極12によりプラズマを生成した。第2電極12への印加電圧(ピークピーク値)に対するジェット長の変化を測定した。結果を表2および図11に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
(原子状酸素密度、電子密度の測定)
実施例7で製造したプラズマ生成装置について、上述したプラズマ生成方法の第1の生成方法(ステップA~F)に従って、第1電極11および第2電極12によりプラズマを生成した。このとき、第2媒質ガスとしては3L/minのアルゴンガスを用いた。また、比較例4で製造した従来型の低周波プラズマジェット生成装置について、媒質ガスとして5L/minのヘリウムガスを用いて、プラズマを生成した。実施例7、比較例4で製造したプラズマ生成装置で生成したプラズマについて、NUシステム社製の真空紫外線源(型番DPLS―NU)と分光器(型番VUV-NU)を用いて真空紫外吸収分光法により、原子状酸素密度を測定した。従来型の低周波プラズマジェット生成装置は、直流パルス電源の周波数5kHz、印加電圧10kVのときに原子状酸素密度は9.8×1012cm-3、これに対して、実施例7のプラズマ生成装置において、高周波高電圧電源の周波数13.56MHz、印加電圧3kVのときに原子状酸素密度は9.3×1014cm-3であった。また、アルゴンガス3L/minに水素ガス9sccm(1.521×10-3Pa・m3/sec)を微量添加し、水素原子からの発光スペクトル線を分光器(マクファーソン社製、型番2035)で測定し、そのスペクトル線のシュタルク広がりを用いて電子密度を測定した。実施例7のプラズマ生成装置において、周波数80MHzのときに電子密度は7×1013cm-3であった。
【0070】
(ガス流量依存性)
実施例7で製造したプラズマ生成装置について、上述したプラズマ生成方法の第1の生成方法(ステップA~F)に従って、第1電極11および第2電極12によりプラズマを生成した。高周波高電圧電源の周波数を13.56MHz、印加電圧を2.6kV(ピークピーク値)として、第2媒質ガスであるアルゴンガスの流量を変化させたときのジェット長の変化を測定した。結果を表3および図12に示す。
【0071】
【表3】
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B:プラズマ生成装置
2:管状体
5:ガス供給部
7:高周波高電圧電源
8:直流パルス電源
11:第1電極
12:第2電極
13:第3電極
14:第4電極
20:プラズマ
21:プラズマジェット
31:従来のプラズマ生成装置の先端側電極
32:従来のプラズマ生成装置の後端側電極
L1:第1電極の長さ
L2:第2電極の長さ
L3:第3電極の長さ
L4:第4電極の長さ
L31:先端側電極の長さ
L32:後端側電極の長さ
100:従来のプラズマ生成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12