(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220104BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20220104BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220104BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20220104BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/68 A
H01L21/68 F
H01L21/68 E
H05K13/04 M
(21)【出願番号】P 2020540019
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2018042296
(87)【国際公開番号】W WO2020044580
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018162737
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/147147(WO,A1)
【文献】特開2011-040489(JP,A)
【文献】特開2016-058542(JP,A)
【文献】特開2014-113633(JP,A)
【文献】特開2014-045013(JP,A)
【文献】国際公開第2012/165313(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/677
H01L 21/68
H01L 21/67
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装システムであって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記部品を前記実装面に対向させた状態で保持するヘッドと、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像する撮像部と、
前記基板保持部を駆動する基板保持部駆動部と、
前記ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが前記撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるように前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記撮像部は、前記基板における前記部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、前記部品と前記基板との間に配置された第2撮像部とを有し、
前記実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を前記第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドと、
前記部品と前記基板とが前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記搬送ヘッドを、少なくとも前記光路変換部材が前記部品と前記基板との間に配置される第1位置と、前記搬送ヘッドが前記実装面に平行な方向において前記部品から離間した第2位置と、へ移動させる搬送ヘッド駆動部と、を更に備え、
前記第2撮像部は、前記光路変換部材の前記第2方向側から前記光路変換部材を介して前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像可能であり、
前記制御部は、前記部品が前記ヘッドに移載された後において前記基板と前記部品とが前記第2距離だけ離間しており且つ前記搬送ヘッドを前記第1位置に移動させた状態で、前記複数の第1アライメントマークを前記第1撮像部または前記第2撮像部で撮像し、前記複数の第2アライメントマークを前記第2撮像部で撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるとともに、前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態まで前記部品を前記基板に相対的に近づける、
部品実装システム。
【請求項2】
前記搬送ヘッドは、更に、前記撮像部を前記光路変換部材から予め設定された距離だけ離間した状態で保持する、
請求項
1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記搬送ヘッドは、更に、前記部品を保持する部品保持部を更に有し、
前記制御部は、前記搬送ヘッド駆動部を制御して、前記搬送ヘッドを前記部品の前記部品保持部から前記ヘッドへの移載が可能な第3位置に移動させた状態で、前記ヘッド駆動部を制御して、前記部品を前記ヘッドへ移載する、
請求項
1または
2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装システムであって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記部品を前記実装面に対向させた状態で保持するヘッドと、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像する撮像部と、
前記基板保持部を駆動する基板保持部駆動部と、
前記ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが前記撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるように前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記基板保持部に前記基板が保持された状態で、前記基板の前記実装面側に、前記基板と前記ヘッドとの対向方向に直交する予め設定された方向へ流れる気流を発生させる第1気流発生部を更に備える、
部品実装システム。
【請求項5】
前記ヘッドが挿通される孔を有し、前記基板保持部に前記基板が保持された状態で前記基板の前記実装面側の領域を、前記基板保持部と前記第1気流発生部とが配置される第1領域と前記第1領域よりも前記基板から離れている第2領域とに隔てるカバーを更に備える、
請求項
4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記基板における前記第1気流発生部により発生される気流の下流側から優先的に前記部品を実装するよう前記基板保持部駆動部または前記ヘッド駆動部を制御する、
請求項
4または
5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装システムであって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記部品を前記実装面に対向させた状態で保持するヘッドと、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像する撮像部と、
前記基板保持部を駆動する基板保持部駆動部と、
前記ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが前記撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるように前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
複数の部品が貼着されたシートを保持するシート保持部と、前記シートに貼着された複数の部品の中から少なくとも1つの部品をピックアップするピックアップ機構と、を有する部品供給部を更に備え、
前記シート保持部に前記複数の部品が貼着されたシートが保持された状態で、前記シートにおける前記複数の部品側に、予め設定された方向へ流れる気流を発生させる第2気流発生部を更に備える、
部品実装システム。
【請求項8】
前記ピックアップ機構の一部が挿通される孔を有し、前記シート保持部に前記複数の部品が貼着されたシートが保持された状態で、前記シートにおける前記複数の部品側の領域を、前記シート保持部と前記第2気流発生部とが配置される第3領域と前記第3領域よりも前記基板から離れている第4領域とに隔てる第2カバーを更に備える、
請求項
7に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記基板と前記部品とが予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値を超えている限り、前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる処理を繰り返す、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、前記部品を前記基板に接触させた状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値を超えている限り、前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、前記部品を前記基板から離脱させてから、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる処理を繰り返す、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項11】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装システムであって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記部品を前記実装面に対向させた状態で保持するヘッドと、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像する撮像部と、
前記基板保持部を駆動する基板保持部駆動部と、
前記ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが前記撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるように前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記撮像部は、前記基板における前記部品側とは反対側から少なくとも前記複数の第1アライメントマークを撮像し、
前記制御部は、前記部品を前記基板へ実装する処理が完了した後、前記撮像部により撮像された撮影画像に前記複数の第1アライメントマークとともに前記複数の第2アライメントマークが含まれるか否かに応じて、前記部品が前記基板へ実装されているか否かを判定する、
部品実装システム。
【請求項12】
前記撮像部は、前記ヘッドにおける前記基板側とは反対側から撮像し、
前記制御部は、前記部品を前記基板へ実装する処理が完了した後、前記撮像部により撮像された撮影画像に前記複数の第2アライメントマークが含まれるか否かに応じて、前記部品が前記ヘッドに保持されているか否かを判定する、
請求項
11に記載の部品実装システム。
【請求項13】
前記基板には、前記部品が複数実装される、
請求項1から
12のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項14】
前記基板保持部は、前記基板における前記実装面が鉛直下方を向く姿勢で前記基板を保持し、
前記ヘッドは、前記部品を鉛直下方から支持する、
請求項1から
13のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項15】
前記基板は、連続したテープ状のフレキシブル基板である、
請求項1から
14のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項16】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装方法であって、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、撮像部により前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像する第1撮像工程と、
前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態で、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記第1位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させることにより前記部品の前記基板に対する相対的な位置を補正する第1位置補正工程と、を含み、
前記基板における前記部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、前記部品と前記基板との間に配置された第2撮像部と、が配置され、前記基板と前記部品とが、前記部品が前記部品を保持するヘッドに移載された後において前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークを前記第1撮像部により撮像し、前記複数の第2アライメントマークとを前記第2撮像部により撮像する第2撮像工程と、
前記第2撮像工程の前に、前記部品と前記基板とが前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を前記第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドを、少なくとも前記光路変換部材が前記部品と前記基板との間に配置される第1位置へ、前記光路変換部材が前記実装面に平行な方向において前記部品から離間した第2位置から移動させる搬送ヘッド移動工程を更に含み、
前記第2撮像工程において、前記撮像部により、前記光路変換部材の前記第2方向側から前記光路変換部材を介して前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像
し、
前記基板と前記部品とが前記第2距離だけ離間した状態で、前記第1撮像部および前記第2撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、
前記第2位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる第2位置補正工程と、
前記基板と前記部品とが予め設定された第1距離だけ離間した状態まで前記部品を前記基板に相対的に近づける移動工程と、を更に含む、
部品実装方法。
【請求項17】
前記第1位置は、前記部品を保持する部品保持部を更に有する前記搬送ヘッドの前記部品保持部から前記部品を前記ヘッドへの移載が可能な位置であり、
前記搬送ヘッドを前記第1位置に移動させた状態で、前記部品を前記ヘッドへ移載する移載工程を更に含む、
請求項
16に記載の部品実装方法。
【請求項18】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装方法であって、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、撮像部により前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像する第1撮像工程と、
前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態で、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記第1位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させることにより前記部品の前記基板に対する相対的な位置を補正する第1位置補正工程と、を含み、
前記基板を保持する基板保持部に前記基板が保持された状態で、前記基板の前記実装面側に、前記基板と前記部品を保持するヘッドとの対向方向に直交する予め設定された方向へ流れる気流を発生させる第1気流発生工程を更に含む、
部品実装方法。
【請求項19】
前記基板における前記第1気流発生工程において発生される気流の下流側から優先的に前記部品を実装する、
請求項
18に記載の部品実装方法。
【請求項20】
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装方法であって、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、撮像部により前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像する第1撮像工程と、
前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態で、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記第1位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させることにより前記部品の前記基板に対する相対的な位置を補正する第1位置補正工程と、を含み、
少なくとも1つの前記部品が貼着されたシートを保持するシート保持部に前記シートが保持された状態で、前記シートにおける前記部品側に、予め設定された方向へ流れる気流を発生させる第2気流発生工程を更に含む、
部品実装方法。
【請求項21】
前記第1位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以内になるまで前記第1撮像工程、前記第1位置ずれ量算出工程および前記第1位置補正工程を繰り返す、
請求項
16から
20のいずれか1項に記載の部品実装方法。
【請求項22】
前記部品を前記基板に接触させる接触工程と、
前記部品が前記基板に接触した状態で、撮像部により前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像する第3撮像工程と、
前記部品が前記基板に接触した状態で、撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第3位置ずれ量算出工程と、
前記部品を前記基板から離脱させる離脱工程と、
前記第3位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる第3位置補正工程と、を更に含み、
前記第3位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値以内になるまで前記接触工程、前記第3撮像工程、前記第3位置ずれ量算出工程、前記離脱工程および前記第3位置補正工程を繰り返す、
請求項
16から
21のいずれか1項に記載の部品実装方法。
【請求項23】
前記基板は、連続したテープからなるフレキシブル基板である、
請求項
16から
22のいずれか1項に記載の部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装システムおよび部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンディングツールに保持されたチップに対して、ボンディングツールの下方に位置するボンディングステージを支持された基板の位置を水平方向に移動させることにより基板に対するチップの相対的な位置決めを行った後、ボンディングツールを下降させるボンディング装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このボンディング装置は、上下方向を同時に撮像するいわゆる2視野カメラを備え、2視野カメラをチップと基板との間に挿入してチップと基板とのそれぞれに設けられたアライメントマークを撮像して両者の位置ずれ量を認識する。そして、ボンディング装置は、チップと基板との位置ずれ量が小さくなるようにボンディングステージを移動させることによりチップの位置決めを実行する。また、1つのチップに対するアライメントマークとそれに対応する基板に設けられたアライメントマークとが複数組存在設けられている場合がある。この場合、ボンディング装置は、複数組のアライメントマークを順に撮像してチップと基板との位置ずれ量を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたボンディング装置では、複数組のアライメントマークを順に撮像するので、2視野カメラの振動、経時的な位置変化、チップ、基板の熱膨張によるアライメントマーク位置の経時変化が、認識される位置ずれ量に影響する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、部品を高い位置精度で基板に実装できる部品実装システムおよび部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る部品実装システムは、
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装システムであって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記部品を前記実装面に対向させた状態で保持するヘッドと、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像する撮像部と、
前記基板保持部を駆動する基板保持部駆動部と、
前記ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが前記撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるように前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御する制御部と、を備え、
前記撮像部は、前記基板における前記部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、前記部品と前記基板との間に配置された第2撮像部とを有し、
前記実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を前記第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドと、
前記部品と前記基板とが前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記搬送ヘッドを、少なくとも前記光路変換部材が前記部品と前記基板との間に配置される第1位置と、前記搬送ヘッドが前記実装面に平行な方向において前記部品から離間した第2位置と、へ移動させる搬送ヘッド駆動部と、を更に備え、
前記第2撮像部は、前記光路変換部材の前記第2方向側から前記光路変換部材を介して前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像可能であり、
前記制御部は、前記部品が前記ヘッドに移載された後において前記基板と前記部品とが前記第2距離だけ離間しており且つ前記搬送ヘッドを前記第1位置に移動させた状態で、前記複数の第1アライメントマークを前記第1撮像部または前記第2撮像部で撮像し、前記複数の第2アライメントマークを前記第2撮像部で撮像するように前記撮像部を制御し、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出し、前記基板保持部駆動部と前記ヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるとともに、前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態まで前記部品を前記基板に相対的に近づける。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る部品実装方法は、
少なくとも1つの部品が実装される実装面における1つの部品が実装される領域に複数の第1アライメントマークが設けられた基板に、前記複数の第1アライメントマークに対応する複数の第2アライメントマークが設けられた部品を実装する部品実装方法であって、
前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとが撮像部の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態で、撮像部により前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを同時に撮像する第1撮像工程と、
前記基板と前記部品とが前記第1距離だけ離間した状態で、前記撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記第1位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させることにより前記部品の前記基板に対する相対的な位置を補正する第1位置補正工程と、を含み、
前記基板における前記部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、前記部品と前記基板との間に配置された第2撮像部と、が配置され、前記基板と前記部品とが、前記部品が前記部品を保持するヘッドに移載された後において前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記複数の第1アライメントマークを前記第1撮像部により撮像し、前記複数の第2アライメントマークとを前記第2撮像部により撮像する第2撮像工程と、
前記第2撮像工程の前に、前記部品と前記基板とが前記第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、前記実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を前記第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドを、少なくとも前記光路変換部材が前記部品と前記基板との間に配置される第1位置へ、前記光路変換部材が前記実装面に平行な方向において前記部品から離間した第2位置から移動させる搬送ヘッド移動工程を更に含み、
前記第2撮像工程において、前記撮像部により、前記光路変換部材の前記第2方向側から前記光路変換部材を介して前記複数の第1アライメントマークと前記複数の第2アライメントマークとを撮像し、
前記基板と前記部品とが前記第2距離だけ離間した状態で、前記第1撮像部および前記第2撮像部により撮像された前記複数の第1アライメントマークおよび前記複数の第2アライメントマークの撮影画像から前記基板と前記部品との相対的な位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、
前記第2位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、前記部品を前記基板に対して前記実装面に平行であり且つ前記位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる第2位置補正工程と、
前記基板と前記部品とが予め設定された第1距離だけ離間した状態まで前記部品を前記基板に相対的に近づける移動工程と、を更に含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る部品実装システムによれば、撮像部が、基板における部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、部品と基板との間に配置された第2撮像部とを有し、実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドと、部品と基板とが第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、搬送ヘッドを、少なくとも光路変換部材が部品と基板との間に配置される第1位置と、搬送ヘッドが実装面に平行な方向において部品から離間した第2位置と、へ移動させる搬送ヘッド駆動部と、を更に備え、第2撮像部が、光路変換部材の第2方向側から光路変換部材を介して複数の第1アライメントマークと複数の第2アライメントマークとを撮像可能である。そして、制御部が、部品がヘッドに移載された後において基板と部品とが第2距離だけ離間しており且つ搬送ヘッドを第1位置に移動させた状態で、複数の第1アライメントマークを第1撮像部または第2撮像部で撮像し、複数の第2アライメントマークを第2撮像部で撮像するように撮像部を制御し、撮像部により撮像された複数の第1アライメントマークおよび複数の第2アライメントマークの撮影画像から基板と部品との相対的な位置ずれ量を算出し、基板保持部駆動部とヘッド駆動部との少なくとも一方を制御して、算出した位置ずれ量に基づいて、部品を基板に対して実装面に平行であり且つ位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させるとともに、基板と部品とが第1距離だけ離間した状態まで部品を基板に相対的に近づける。また、本発明に係る部品実装方法によれば、基板における部品側とは反対側に配置された第1撮像部と、部品と基板との間に配置された第2撮像部と、が配置され、基板と部品とが、部品が部品を保持するヘッドに移載された後において第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、複数の第1アライメントマークを第1撮像部により撮像し、複数の第2アライメントマークとを第2撮像部により撮像する第2撮像工程と、第2撮像工程の前に、部品と基板とが第1距離よりも長い予め設定された第2距離だけ離間した状態で、実装面に直交する第1方向へ伝播する光の伝播方向を第1方向と直交する第2方向に変換する光路変換部材を保持する搬送ヘッドを、少なくとも光路変換部材が部品と基板との間に配置される第1位置へ、光路変換部材が基板の実装面に平行な方向において部品から離間した第2位置から移動させる搬送ヘッド移動工程と、を含み、第2撮像工程において、撮像部により、光路変換部材の第2方向側から光路変換部材を介して複数の第1アライメントマークと複数の第2アライメントマークとを撮像する。また、基板と部品とが第2距離だけ離間した状態で、第1撮像部および第2撮像部により撮像された複数の第1アライメントマークおよび複数の第2アライメントマークの撮影画像から基板と部品との相対的な位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、第2位置ずれ量算出工程で算出した位置ずれ量に基づいて、部品を基板に対して基板の実装面に平行であり且つ位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる第2位置補正工程と、基板と部品とが予め設定された第1距離だけ離間した状態まで部品を基板に相対的に近づける移動工程と、を更に含む。これにより、撮像部の振動および経時的な位置変化、或いは部品または基板の熱膨張による第1アライメントマーク、第2アライメントマークの位置の経時変化の、算出される位置ずれ量への影響が低減される。従って、部品を高い位置精度で基板に実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るチップ実装システムの概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るチップ実装システムを側方から見た概略構成図である。
【
図3A】実施の形態1に係るチップ保持部の平面図である。
【
図3B】実施の形態1に係るチップ搬送装置の一部を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係るボンディング装置の概略構成図である。
【
図5A】実施の形態1に係るヘッドの断面図である。
【
図5B】実施の形態1に係るヘッドの平面図である。
【
図6】実施の形態1に係るチップのアライメントマークとヘッドの中空部との位置関係を示す図である。
【
図7A】実施の形態1に係るボンディング部の一部を示す概略斜視図である。
【
図7B】実施の形態1に係るボンディング装置の
図4のA-A線における断面矢視図である。
【
図8A】実施の形態1に係るステージユニットの平面図である。
【
図8B】実施の形態1に係るステージユニットの側面図である。
【
図9A】実施の形態1に係る洗浄装置の概略側面図である。
【
図9B】実施の形態1に係る洗浄装置のチップを洗浄する様子を示す概略側面図である。
【
図10】実施の形態1に係る洗浄装置の動作説明図である。
【
図11】実施の形態1に係る部品実装システムのブロック図である。
【
図12A】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ供給部からチップが供給される様子を示す概略平面図である。
【
図12B】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ供給部からチップが供給される様子を示す概略側面図である。
【
図13A】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ保持部を洗浄部の鉛直上方へ移動させた様子を示す概略平面図である。
【
図13B】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップステージを洗浄ヘッドの鉛直下方へ移動させる様子を示す概略平面図である。
【
図14A】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ搬送装置からヘッドへチップが受け渡される様子を示す概略平面図である。
【
図14B】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ搬送装置からヘッドへチップが受け渡される様子を示す概略側面図である。
【
図15】実施の形態1に係るチップ実装システムが実行するチップ実装処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16A】実施の形態1に係るチップに設けられたアライメントマークを示す図である。
【
図16B】実施の形態1に係る基板に設けられたアライメントマークを示す図である。
【
図16C】実施の形態1に係るアライメントマークの相対的な位置ずれを示す図である。
【
図17】実施の形態1に係るヘッドの詳細を示す図である。
【
図18A】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいて、チップが基板から離間した状態を示す図である。
【
図18B】実施の形態1に係るチップ実装システムについて、チップを基板に接触させた状態を示す図である。
【
図18C】実施の形態1に係るチップ実装システムについて、チップを基板から離脱させる様子を示す図である。
【
図19】実施の形態1に係るチップ実装システムにおいてチップ搬送装置からチップ回収部へチップが受け渡される様子を示す概略平面図である。
【
図20】実施の形態2に係るチップ実装システムの概略構成図である。
【
図21A】実施の形態2に係るチップ移載ユニットの概略斜視図である。
【
図21B】実施の形態2に係る撮像ユニットの概略斜視図である。
【
図22A】実施の形態2に係るチップ移載ユニットの一部の概略図である。
【
図22B】実施の形態2に係る撮像部による撮像画像の一例を示す図である。
【
図23】実施の形態2に係る部品実装システムのブロック図である。
【
図24A】実施の形態2に係るチップ実装システムにおいて、チップ供給部からチップが供給される様子を示す概略側面図である。
【
図24B】実施の形態2に係るチップ実装システムにおいて、チップ供給部から供給されたチップが反転部へ搬送される様子を示す概略側面図である。
【
図25A】実施の形態2に係るチップ実装システムにおいて、チップが反転部から搬送ヘッドへ移載される様子を示す概略側面図である。
【
図25B】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップが搬送ヘッドに移載された状態を示す概略斜視図である。
【
図26A】実施の形態2に係るボンディング装置において、搬送ヘッドが第2位置から第1位置へ移動する様子を示す概略側面図である。
【
図26B】実施の形態2に係るボンディング装置において、搬送ヘッドが第1位置へ移動した状態を示す概略斜視図である。
【
図27A】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップが搬送ヘッドからヘッドへ移載される様子を示す概略側面図である。
【
図27B】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップが搬送ヘッドからヘッドへ移載される様子を示す概略斜視図である。
【
図28A】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップがヘッドに保持された状態を示す概略側面図である。
【
図28B】実施の形態2に係るボンディング装置において、位置ずれ量算出および位置補正を実行する様子を示す概略斜視図である。
【
図29】実施の形態2に係るチップ実装システムが実行するチップ実装処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図30】実施の形態2に係るチップおよびフレキシブル基板に設けられたアライメントマークの撮像画像を示す図である。
【
図31A】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップをフレキシブル基板に接触させた状態を示す概略側面図である。
【
図31B】実施の形態2に係るボンディング装置において、チップをフレキシブル基板に接触させた状態を示す概略斜視図である。
【
図33】変形例に係るヘッドの動作を説明するための図である。
【
図34】変形例に係るチップ実装システムが実行するチップ実装処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図35A】変形例に係るチップ実装システムについて、チップが基板から離間した状態を示す図である。
【
図35B】変形例に係るチップ実装システムについて、チップを樹脂層に接触させた状態を示す図である。
【
図35C】変形例に係るチップ実装システムについて、チップの基板に対する位置を補正する様子を示す図である。
【
図36】変形例に係るチップ実装システムが実行するチップ実装処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図37A】変形例に係るチップ実装システムについて、チップが基板から離間した状態を示す図である。
【
図37B】変形例に係るチップ実装システムについて、電極部同士を接触させた状態を示す図である。
【
図37C】変形例に係るチップ実装システムについて、チップの基板に対する位置を補正する様子を示す図である。
【
図39A】変形例に係るチップ実装装置の一部を示す概略側面図である。
【
図39B】変形例に係るチップ実装装置の動作を説明するための平面図である。
【
図40】変形例に係るチップ実装装置の一部を示す概略側面図である。
【
図41】変形例に係るチップ実装システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係るチップ実装システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係るチップ実装システムは、基板上に電子部品を実装する装置である。電子部品は、例えばダイシングされた基板から供給される半導体チップ(以下、単に「チップ」と称する。)である。このチップ実装システムは、基板におけるチップが実装される面と電子部品の接合面について活性化処理が行われた後において、チップを基板に接触させて加圧することにより、チップを基板に実装する。
【0011】
図1および
図2に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム1は、チップ供給装置10と、ボンディング装置30と、洗浄装置50と、チップ回収部60と、チップ搬送装置39と、制御部90と、を備える。チップ供給装置10は、基板をダイシングすることにより作製された複数のチップCPの中から1つのチップCPを切り出し、ボンディング装置30へチップCPを供給する。ここで、ダイシングとは、複数の電子部品が作り込まれた基板を縦方向および横方向に切削しチップ化する処理である。チップ供給装置10は、
図2に示すように、チップ供給部(部品供給部)11と供給チップ撮像部15とを有する。
【0012】
チップ供給部11は、複数のチップCPが貼着されたシートTEを保持するシート保持枠112と、シート保持枠112を保持する枠保持部119と、複数のチップCPの中から1つのチップCPをピックアップするピックアップ機構111と、カバー114と、を有する部品供給部である。また、チップ供給部11は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動する保持枠駆動部113を有する。枠保持部119は、シートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直上方(+Z方向)側となる姿勢でシート保持枠112を保持する。シート保持枠112と枠保持部119とから、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側に貼着されたシートTEを接合面CPfが鉛直上方側を向く姿勢で保持するシート保持部が構成されている。
【0013】
ピックアップ機構111は、複数のチップCPのうちの1つのチップCPを、シートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出すことにより1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。ここで、ピックアップ機構111は、チップCPの接合面CPf側とは反対側における後述のヘッド33Hにより保持される第1部位である中央部とは異なる第3部位である周部を保持して、チップCPを切り出す。ピックアップ機構111は、ニードル111aを有し、
図2の矢印AR14に示すように鉛直方向へ移動可能となっている。カバー114は、複数のチップCPの鉛直上方を覆うように配置され、ピックアップ機構111に対向する部分に孔114aが設けられている。ニードル111aは、例えば4つ存在する。但し、ニードル111aの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。ピックアップ機構111は、シートTEにおける鉛直下方(-Z方向)からニードル111aをシートTEに突き刺してチップCPを鉛直上方(+Z方向)へ持ち上げることによりチップCPを供給する。そして、シートTEに貼着された各チップCPは、ニードル111aによりカバー114の孔114aを通じて1個ずつカバー114の上方へ突き出され、チップ搬送装置39に受け渡される。保持枠駆動部113は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動することにより、ニードル111aの鉛直下方に位置するチップCPの位置を変化させる。
【0014】
供給チップ撮像部15は、チップ供給装置10におけるチップ供給部11の上方(+Z方向)に配置されている。供給チップ撮像部15は、ピックアップ機構111によりカバー114の上方へ突き出されたチップCPを撮影する。
【0015】
チップ搬送装置(ターレットとも称する)39は、チップ供給部11から供給されるチップCPを、ボンディング装置30のボンディング部33のヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する。チップ搬送装置39は、
図1に示すように、2つの長尺のプレート391と、アーム394と、アーム394の先端部に設けられたチップ保持部393と、2つのプレート391を一斉に回転駆動するプレート駆動部392と、を有する。2つのプレート391は、長尺の矩形箱状であり、チップ供給部11とヘッド33Hとの間に位置する他端部を基点として一端部が旋回する。2つのプレート391は、例えばそれらの長手方向が互いに90度の角度をなすように配置されている。なお、プレート391の数は、2枚に限定されるものではなく、3枚以上であってもよい。
【0016】
チップ保持部393は、
図3Aに示すように、アーム394の先端部に設けられ、チップCPを保持する2つの脚片393aを有する部品保持部である。プレート391は、
図3Bに示すように、内側に長尺のアーム394を収容することが可能となっている。そして、プレート391の内側には、アーム394をプレート391の長手方向に沿って駆動するアーム駆動部395が設けられている。これにより、チップ搬送装置39は、アーム駆動部395により、アーム394の先端部をプレート391の外側に突出させた状態にしたり、アーム394の先端部をプレート391の内側に没入させた状態にしたりすることができる。そして、チップ搬送装置39は、プレート391を旋回させる際、
図3Bの矢印AR15に示すように、アーム394をプレート391内へ没入させてチップ保持部393をプレート391の内側に収納する。これにより、搬送時におけるチップCPへのパーティクルの付着が抑制される。なお、2つの脚片393aには、吸着溝(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、チップCPが脚片392aに吸着保持されるので、チップCPを位置ずれなく搬送することができる。また、プレート391が旋回する際に生じる遠心力によるチップCPの飛び出しを防止するために、脚片393aの先端部に突起(図示せず)を設けてもよい。
【0017】
ここで、
図1に示すように、ピックアップ機構111とヘッド33Hとは、Z軸方向において、プレート391が回転したときにアーム394の先端部が描く軌跡OB1と重なる位置に配置されている。チップ搬送装置39は、ピックアップ機構111からチップCPを受け取ると、
図1の矢印AR1に示すように、プレート391を軸AX周りに旋回させることによりチップCPをヘッド33Hと重なる移載位置Pos1まで搬送する。
【0018】
ボンディング装置30は、
図4に示すように、ステージユニット31と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、撮像部35a、35bと、撮像部41と、カメラF方向駆動部365と、カメラZ方向駆動部363と、を有する。ボンディング部33は、Z軸方向移動部材331と、第1円盤部材332と、ピエゾアクチュエータ(部品姿勢調整部)333と、第2円盤部材334と、ミラー固定用部材336と、ミラー337と、ヘッド33Hと、を有する。
【0019】
Z軸方向移動部材331の上端部には、第1円盤部材332が固定されている。また、第1円盤部材332の上側には、第2円盤部材334が配置されている。第1円盤部材332と第2円盤部材334とは、ピエゾアクチュエータ333を介して接続されている。さらに、第2円盤部材334の上面側には、ヘッド33Hが固定されている。ヘッド33Hは、チップCPを吸着して保持する。
【0020】
ヘッド33Hは、鉛直下方(-Z方向)からチップCPを保持する。ヘッド33Hは、
図5(A)に示すように、チップツール411と、ヘッド本体部413と、チップ支持部432aと、支持部駆動部432bと、を有する。チップツール411は、撮影光(赤外光等)を透過する材料(例えばシリコン(Si))から形成されている。また、ヘッド本体部413には、セラミックヒータやコイルヒータ等が内蔵されている。また、ヘッド本体部413には、撮影光を透過(通過)させるための中空部415、416が設けられている。各中空部415、416は、撮影光を透過する透過部分であり、ヘッド本体部413を鉛直方向(Z軸方向)に貫通するように設けられている。また、各中空部415,416は、
図6に示すように、上面視において楕円形状を有している。2つの中空部415,416は、上面視略正方形形状を有するヘッド本体部413の対角部分において、軸BXを中心に点対称に配置されている。なお、撮影光を透過させるため、第2円盤部材334における中空部415、416に対応する部分にも孔部334a、334bが設けられている。ヘッド本体部413は、チップCPをチップツール411に吸着保持させるための吸着部を有する保持機構440を有する。また、ヘッド本体部413は、チップツール411を真空吸着によりヘッド本体部413に固定するための吸着部(図示せず)も有する。チップツール411は、ヘッド本体部413の保持機構440に対応する位置に形成された貫通孔411aと、チップ支持部432aが内側に挿通される貫通孔411bと、を有する。
【0021】
チップ支持部432aは、例えば筒状の吸着ポストであり、ヘッド33Hの先端部に設けられ鉛直方向へ移動自在となっている。チップ支持部432aは、チップCPの接合面CPf側とは反対側を支持する。チップ支持部432aは、例えば
図5(B)に示すように、中央部に1つ設けられている。
【0022】
支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直方向へ駆動するとともに、チップ支持部432aの先端部にチップCPが載置された状態でチップ支持部432aの内側をシ減圧することによりチップCPをチップ支持部432aの先端部に吸着させる。支持部駆動部432bは、チップ搬送装置39のチップ保持部393がチップCPを保持した状態でヘッド33Hへの移載位置(
図1のPos1参照)に位置し、チップ支持部432aの先端部でチップCPの中央部を支持した状態で、チップ支持部432aをチップ保持部393よりも鉛直上方側へ移動させる。これにより、チップCPが、チップ搬送装置39のチップ保持部393からヘッド33Hへ移載される。
【0023】
ピエゾアクチュエータ333は、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整する。ピエゾアクチュエータ333は、
図7Aに示すように、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間に3つ存在し、それぞれのZ方向に伸縮可能となっている。そして、3つのピエゾアクチュエータ333それぞれの伸縮の程度を制御することにより、水平面に対する第2円盤部材334、ひいてはヘッド33Hの傾き角度が調整される。そして、ヘッド33Hに保持されたチップCPの接合面CPfの基板WTの実装面WTfとの間の距離と、ヘッド33Hに保持されたチップCPの接合面CPfの基板WTの実装面WTfに対する傾きと、の少なくとも一方が調整される。なお、3本のピエゾアクチュエータ333は、撮像部35a、35bに関する照明光(反射光を含む)を遮らない位置(平面位置)に配置されている。
【0024】
図4に戻って、ミラー337は、ミラー固定用部材336を介して第1円盤部材332に固定され、第1円盤部材332と第2円盤部材334との間の空隙に配置されている。ミラー337は、斜め下方向き45度の傾斜角度を有する傾斜面337a、337bを有する。撮像部35a、35bからミラー337の傾斜面337a、337bへ入射した撮影光は、上方へ反射される。
【0025】
ヘッド駆動部36は、移載位置Pos1(
図2参照)において移載されたチップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを実装する。より詳細には、ヘッド駆動部36は、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを接触させて基板WTに面接合させる。ここにおいて、基板WTの実装面WTfとチップCPにおける基板WTに接合される接合面CPfとは、例えば親水化処理装置(図示せず)により親水化処理が施されている。従って、基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfを接触させることにより、基板WTにチップCPが接合される。なお、チップCPの接合面CPfは、例えば平坦な金属電極が露出した面であってもよい。
【0026】
ヘッド駆動部36は、Z方向駆動部34と、回動部材361と、θ方向駆動部37と、を有する。Z方向駆動部34は、サーボモータおよびボールネジ等を有している。Z方向駆動部34は、後述の回動部材361の下端側に設けられ、
図2の矢印AR11に示すように、ボンディング部33のZ軸方向移動部材331をZ軸方向へ駆動する。Z方向駆動部34が、Z軸方向移動部材331をZ方向に移動させると、それに伴い、ボンディング部33の上端部に設けられたヘッド33HがZ方向に移動する。即ち、ヘッド33Hは、Z方向駆動部34によりZ方向に駆動される。
【0027】
回動部材361は、円筒形状であり、
図7Bに示すように内側の中空部の断面形状が八角形である。一方、Z軸方向移動部材331は、断面形状が八角形である棒状部分を有し、回動部材361の内側に挿入されている。また、Z軸方向移動部材331の8つの側面のうちの4つの側面と回動部材361の内面との間には、Z軸方向移動部材331が回動部材361に対してZ軸方向へ摺動するかたちで配置されたリニアガイド38が設けられている。Z軸方向移動部材331は、回動部材361が軸BX周りに回転すると、回動部材361と連動して回転する。即ち、ボンディング部33と回動部材361とは、
図2の矢印AR12に示すように、軸BX周りに連動して回転する。
【0028】
θ方向駆動部37は、サーボモータおよび減速機等を有し、
図3に示すように、ボンディング装置30内に設けられた固定部材301に固定されている。θ方向駆動部37は、回動部材361を軸BX周りに回転可能に支持している。そして、θ方向駆動部37は、制御部90から入力される制御信号に応じて、回動部材361を軸BX周りに回転させる。
【0029】
撮像部35a、35bは、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、チップCPの鉛直下方(-Z方向)から、
図6に示すようなチップCPのアライメントマーク(第2アライメントマーク)MC2a、MC2bを撮像する。撮像部35aは、
図3に示すように、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。撮像部35bも、カメラZ方向駆動部363およびカメラF方向駆動部365を介して回動部材361に固定されている。これにより、撮像部35a、35bは、回動部材361と共に回転する。ここで、前述のように、ミラー337は、Z軸方向移動部材331に固定され、回動部材361とZ軸方向移動部材331とは連動して回転する。従って、撮像部35a,35bとミラー337との相対的な位置関係は不変であるので、回動部材361の回転動作に関わらず、ミラー337により反射される撮影光が撮像部35a,35bに導かれる。
【0030】
撮像部35a、35bは、それぞれチップCPに設けられたアライメントマークMC2a、MC2bの画像と、基板WTに設けられたアライメントマーク(第1アライメントマーク)MC1a、MC1bの画像と、を含む撮影画像を取得する。制御部90は、撮像部35a、35bにより取得された画像データに基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向における各チップCPの基板WTに対する相対位置を認識する。撮像部35a,35bは、それぞれ、イメージセンサ351a、351bと、光学系352a、352bと、同軸照明系(図示せず)と、を有する。撮像部35a,35bは、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。なお、撮像部35a,35bの同軸照明系から水平方向に出射された照明光は、ミラー337の傾斜面337a、337bで反射されその進行方向が鉛直上方に変更される。そして、ミラー337で反射された光は、ヘッド33Hに保持されたチップCPとチップCPに対向配置された基板WTとを含む撮影対象部分に向けて進行し各撮影対象部分で反射される。ここで、チップCPの撮像対象部分には、アライメントマークMC2a、MC2bが設けられており、基板WTの撮像対象部分には、アライメントマークMC1a、MC1bが設けられている。チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分からの反射光は、鉛直下方へ進行した後、ミラー337の傾斜面337a、337bで再び反射されその進行方向が水平方向に変更されて、撮像部35a,35bへと到達する。このようにして、撮像部35a、35bは、チップCPおよび基板WTそれぞれの撮影対象部分の画像データを取得する。
【0031】
ここにおいて、ヘッド33Hの中空部415、416は、回動部材361の回転に連動して軸BX周りに回転する。例えば、
図6に示すように、正方形形状を有するチップCPの中心を挟んで対向する角部それぞれにアライメントマークMC2a,MC2bが設けられているとする。この場合、撮像部35a,35bがチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bが設けられた2つの角部を結ぶ対角線上に位置するときに、撮像部35a、35bが中空部415、416を通じてアライメントマークMC2a、MC2bの撮影画像を取得することができる。
【0032】
カメラF方向駆動部365は、
図4の矢印AR21に示すように、撮像部35a、35bをフォーカス方向に駆動することにより、撮像部35a,35bの焦点位置を調整する。カメラZ方向駆動部363は、
図4の矢印AR22に示すように、撮像部35a、35bをZ軸方向に駆動する。ここで、カメラZ方向駆動部363は、通常、Z軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と、撮像部35a,35bのZ軸方向の移動量とが同一となるように、撮像部35a、35bを移動させる。このようにして、ヘッド33HのZ軸方向への移動時において、撮像部35a,35bの撮影対象部分が移動前後で変わらないようにしている。但し、カメラZ方向駆動部363は、撮像部35a、35bのZ軸方向の移動量がZ軸方向移動部材331のZ軸方向の移動量と異なるように、撮像部35a,35bを移動させる場合がある。この場合、撮像部35a,35bとミラー337とのZ方向における相対位置がそれぞれ変化するため、撮像部35a,35bによるチップCPおよび基板WTにおける撮影対象部分が変更される。
【0033】
ステージユニット31は、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面WTfが鉛直下方(-Z方向)を向く姿勢で基板WTを保持するステージ315と、ステージ315を駆動するステージ駆動部320と、を有する。ステージ31は、X方向、Y方向および回転方向に移動できる基板保持部である。これにより、ボンディング部33とステージ31との相対位置関係を変更することができ、基板WT上における各チップCPの実装位置を調整することができる。
【0034】
ステージ駆動部320は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、X方向移動部311とY方向移動部313とX方向駆動部321とY方向駆動部323とを有する基板保持部駆動部である。X方向移動部311は、2つのX方向駆動部321を介してボンディング装置30のベース部材302に固定されている。2つのX方向駆動部321は、それぞれX方向に延在しY方向に離間して配置されている。X方向駆動部321は、リニアモータおよびスライドレールを有し、X方向移動部311を固定部材301に対してX方向に移動させる。Y方向移動部313は、X方向移動部311の下方(-Z方向)に、2つのY方向駆動部323を介して配置されている。2つのY方向駆動部323は、それぞれY方向に延在しX方向に離間して配置されている。Y方向駆動部323は、リニアモータおよびスライドレールを有し、Y方向移動部313をX方向移動部311に対してY方向に移動させる。ステージ315は、Y方向移動部313に固定されている。
【0035】
ステージ315は、X方向駆動部321およびY方向駆動部323の移動に応じて、X方向およびY方向に移動する。また、X方向移動部311の中央部には、平面視矩形状の開口部312が設けられ、Y方向移動部313の中央部にも、平面視矩形状の開口部314が設けられている。ステージ315の中央部には、平面視円形の開口部316が設けられている。そして、これらの開口部312,314,316を通じて基板WT上のマークを撮像部41により認識する。また、赤外線照射部(図示せず)を配置することで基板WTに赤外線を照射して基板WTを加熱することもできる。
【0036】
撮像部41は、
図2および
図4に示すように、ステージ315の上方に配置されている。そして、撮像部41は、チップCPが基板WTにおけるチップCPが実装される位置に配置された状態で、基板WTの鉛直上方(+Z方向)から、基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像する、これにより、撮像部41は、基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bの画像を含む撮影画像を取得する。制御部90は、撮像部41により取得された撮影画像に基づいて、基板WTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向におけるチップCPの実装位置のヘッド33Hに対する相対位置を認識する。撮像部41は、イメージセンサ418と、光学系419と、同軸照明系(図示せず)と、を有する。撮像部41は、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。
【0037】
洗浄装置50は、
図9Aに示すように、チップCPを支持するチップステージ51と、チップステージ51を駆動するチップステージ駆動部53と、超音波またはメガソニック振動を与えた水または電極表面を還元する洗浄液を吐出する洗浄ヘッド52と、を有する。また、洗浄装置50は、チップステージ51に載置されたチップCPを撮像する洗浄チップ撮像部54を有する。チップステージ51は、チップCPを支持するチップ支持部511と、支持部駆動部512と、を有する。
【0038】
チップ支持部511は、例えば筒状の吸着ポストであり、先端部がチップステージ51の載置面から鉛直上方へ突出した状態とチップステージ51に没入した状態とをとりうる。チップ支持部511は、チップCPの接合面CPf側とは反対側を支持する。支持部駆動部512は、チップ支持部511を鉛直方向へ駆動するとともに、チップ支持部511の先端部にチップCPが載置された状態でチップ支持部511の内側を減圧することによりチップCPをチップ支持部511の先端部に吸着させる。支持部駆動部512は、チップ搬送装置39のチップ保持部393がチップCPを保持した状態で洗浄装置50への移載位置(
図1のPos10参照)に位置し、チップ支持部511の先端部でチップCPの中央部を支持した状態で、チップ支持部511をチップ保持部393よりも鉛直上方側へ移動させる。これにより、チップCPが、チップ搬送装置39のチップ保持部393からチップステージ51へ移載される。チップステージ駆動部53は、チップステージ51を鉛直方向に直交し且つ互いに直交する2方向(XY方向)へ駆動するXY方向駆動部531と、チップステージ51を鉛直方向に直交する面内で回転させる回転駆動部532と、を有する。
【0039】
洗浄装置50は、まず、チップ搬送装置39からチップステージ51にチップCPが移載されると、
図9Bの矢印AR32に示すように、チップステージ51を洗浄ヘッド52の鉛直下方の位置へ移動させる。そして、洗浄装置50は、洗浄ヘッド52により超音波を印加した水BLをチップCPに吹き付けながら、チップCPを支持するチップステージ51をXY方向へスキャンさせてチップCPの接合面CPf全面を洗浄する。このとき、洗浄装置50は、例えば
図10の矢印AR33に示すように、チップCPの接合面CPfにおいて水BLを螺旋状にスキャンさせる。そして、洗浄装置50は、洗浄ヘッド52による水の吐出を停止させてから、チップステージ51を回転させることによりチップCPをスピン乾燥する。その後、洗浄装置50は、チップステージ51を元の位置まで移動させてから、洗浄チップ撮像部54により撮像された撮像画像に基づいて、洗浄後のチップCPの姿勢を調整する。そして、洗浄装置50は、洗浄後のチップCPを再びチップ搬送装置39のチップ保持部393へ移載する。これにより、チップ供給部11でのチップCPの切り出し時においてチップCPの姿勢にずれが生じたとしても、ボンディング部33のヘッド33Hへ受け渡す直前においてチップステージ51に載置された状態で姿勢を調整することができる。従って、チップCPを位置ずれなくヘッド33Hへ移載することができる。なお、洗浄装置50は、例えば水の代わりN2のような不活性ガスをチップCPに吹き付けることにより、チップCPに付着したパーティクルを除去するものであってもよい。
【0040】
チップ回収部60は、ボンディング装置30において基板WTに接合できずヘッド33Hに残ったチップCPを回収する。チップ回収部60は、プレート391の軸AX(基点)から見てプレート391の旋回方向におけるヘッド33Hの隣の位置に配置されている。
【0041】
制御部90は、MPU(Micro Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスと、を有する。ここで、主記憶部は、揮発性メモリから構成され、MPUの作業領域として使用される。補助記憶部は、不揮発性メモリから構成され、MPUが実行するプログラムを記憶する。また、補助記憶部は、後述する第1距離、第2距離を示す情報も記憶する。制御部90は、
図11に示すように、供給チップ撮像部15、撮像部35a、35b、撮像部41、洗浄チップ撮像部54、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、支持部駆動部432b、X方向駆動部321、Y方向駆動部323、プレート駆動部392、アーム駆動部395、ピックアップ機構111、保持枠駆動部113、チップステージ駆動部53、支持部駆動部512、洗浄ヘッド52に接続されている。そして、インタフェースは、供給チップ撮像部15、撮像部35a、35b、撮像部41、洗浄チップ撮像部54から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバスへ出力する。また、MPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、支持部駆動部432b、X方向駆動部321、Y方向駆動部323、プレート駆動部392、アーム駆動部395、ピックアップ機構111、保持枠駆動部113、チップステージ駆動部53、支持部駆動部512、洗浄ヘッド52それぞれへ制御信号を出力する。
【0042】
制御部90は、基板WTとチップCPとが接触した状態で、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを撮像して得られる画像から、基板WTとチップCPとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部90は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36のZ方向駆動部34、θ方向駆動部37並びにステージ31のX方向駆動部321、Y方向駆動部323に、基板WTに対するチップCPの位置および姿勢を補正させる。また、制御部90は、ピックアップ機構111により切り出すチップCPの位置および姿勢に応じて、保持枠駆動部113に、シート保持枠112の位置およびZ軸周りの傾きを補正させる。ここで、制御部90は、供給チップ撮像部15から入力される画像データに基づいて、チップCPの位置および姿勢を認識する。更に、制御部90は、チップステージ51に載置されたチップCPの位置および姿勢に応じて、チップステージ駆動部53に、チップステージ51の位置およびZ軸周りの傾きを補正させる。ここで、制御部90は、洗浄チップ撮像部54から入力される画像データに基づいて、チップCPの位置および姿勢を認識する。
【0043】
次に、本実施の形態に係るチップ実装システム1の動作について
図12A乃至
図19を参照しながら説明する。まず、チップ実装システム1では、1つのプレート391をチップ供給部11の方向へ向けた状態になる。次に、ピックアップ機構111が鉛直上方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出し、1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。この状態で、チップ搬送装置39は、プレート391からアーム394を突出させる。このとき、チップ保持部393の2つの脚片393aの間にピックアップ機構111のニードル111aが配置された状態となる。このようにして、
図12Aおよび
図12Bに示すように、チップ保持部393にチップCPが移載できる状態となる。この状態からピックアップ機構111を鉛直下方へ移動させると、チップCPがチップ保持部393へ移載される。
【0044】
続いて、チップ実装システム1が、プレート391を
図12Aの矢印AR1の方向へ90度だけ旋回させると、プレート391が、
図13Aに示す洗浄装置50へチップCPを移載する位置Pos10に配置される。即ち、チップ搬送装置39は、チップ供給部11から供給されるチップCPを保持するチップ保持部393を洗浄装置50にチップCPに移載する位置Pos10まで搬送する。この状態で、チップ搬送装置39は、チップCPをチップ保持部393から洗浄装置50のチップステージ51へ移載する。そして、洗浄装置50は、チップCPを支持したチップステージ51を、
図13Bの矢印AR33に示すように、洗浄ヘッド52の鉛直下方へ移動させる。そして、洗浄装置50は、洗浄ヘッド52から吐出される水によりチップCPを洗浄する。その後、洗浄装置50は、洗浄後のチップCPを支持したチップステージ51を、再び位置Pos10まで移動させる。次に、洗浄装置50は、チップステージ51を移動させることにより、チップステージ51に支持されたチップCPの姿勢を調整する。続いて、洗浄装置50は、チップステージ51に支持されたチップCPを再びチップ搬送装置39のチップ保持部393へ移載する。
【0045】
その後、チップ実装システム1が、プレート391を
図14Aの矢印AR1の方向へ90度だけ旋回させる。このとき、チップ搬送装置39のアーム394の先端部のチップ保持部393がボンディング部33のヘッド33Hの鉛直上方の移載位置Pos1に配置される。即ち、チップ搬送装置39は、位置Pos10において受け取ったチップCPをヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する。そして、ヘッド駆動部36は、ボンディング部33を鉛直上方へ移動させてヘッド33Hをチップ搬送装置39のチップ保持部393へ近づける。次に、支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直上方へ移動させる。これにより、チップ保持部393に保持されたチップCPは、
図14Bに示すように、チップ支持部432aの上端部で支持された状態で、チップ保持部393よりも鉛直上方側に配置される。続いて、チップ搬送装置39は、アーム394をプレート391内へ没入させる。その後、支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直下方へ移動させる。これにより、ヘッド33Hの先端部にチップCPが保持された状態となる。
【0046】
次に、チップ実装システム1は、ボンディング装置30においてチップCPを基板WTに実装するチップ実装処理を実行する。ここで、チップ実装システム1が実行するチップ実装処理について、
図15乃至
図18を参照しながら説明する。ここで、チップCPには、例えば
図16Aに示すようなアライメントマークMC2a、MC2bが設けられている。一方、基板WTのチップCPが実装される位置には、例えば
図16Bに示すようなアライメントマークMC1a、MC1bが設けられている。また、チップ実装システム1は、チップ搬送装置39からヘッド33HへチップCPが移載された状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとの間の距離が、撮像部35a、35bの被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離よりも長い第2距離だけ離間した状態になっている。ここで、第1距離G1は、例えば10μm乃至100μmの範囲の距離に設定される。
【0047】
まず、チップ実装システム1は、チップ搬送装置39からヘッド33HへチップCPが移載され、チップCPと基板WTとが離間した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第2撮像工程を実行する(ステップS1)。ここにおいて、制御部90は、撮像部35a、35bによりチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像し、撮像部41により基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像する。即ち、制御部90は、撮像部35a、35bおよび撮像部41により、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを各別に撮像する。
【0048】
続いて、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bおよび撮像部41により各別に撮像されたアライメントマークMC1a、MC1bの撮影画像とアライメントマークMC2a、MC2bの撮影画像とから基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程を実行する(ステップS2)。
【0049】
その後、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量を解消するように、ステージ315をヘッド33Hに対して水平方向へ移動させることにより、チップCPの基板WTに対する位置の補正を行う第2位置補正工程を実行する(ステップS3)。ここで、チップ実装システム1は、ヘッド33Hを固定した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが解消するように、ステージ315をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。具体的には、制御部90が、算出した位置ずれ量に基づいて、チップCPを基板WTに対して水平方向、即ち、その実装面WTfに平行な方向へ相対的に移動させるようにステージ駆動部320を制御する。
【0050】
次に、チップ実装システム1は、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPを基板WTに更に近づける移動工程を実行する(ステップS4)。このとき、チップ実装システム1は、例えば
図18Aに示すように、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとの間の距離が、撮像部35a、35bの被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離G1だけ離間した状態になるまで、チップCPを基板WTに近づける。ここで、第1距離G1は、例えば10μm乃至100μmの範囲の距離に設定される。
【0051】
続いて、チップ実装システム1は、再度、チップCPと基板WTとが第1距離G1だけ離間した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第1撮像工程を実行する(ステップS5)。ここで、チップ実装システム1は、撮像部35aによるアライメントマークMC1a、MC2aの撮像と、撮像部35bによるアライメントマークMC1b、MC2bの撮像とを、同時に実行する。ここにおいて、
図17に示すように、撮像部35aから出射されミラー337で反射されてヘッド33Hの中空部415を通過した光の一部は、チップツール411とチップCPとを透過する。チップCPを透過した光の一部は、基板WTのアライメントマークMC1aが設けられた部分で反射される。また、ヘッド33Hの中空部415を通過した光の残りの一部は、チップCPにおけるアライメントマークMC2aが設けられた部分で反射される。基板WTのアライメントマークMC1aが設けられた部分またはチップCPにおけるアライメントマークMC2aが設けられた部分で反射された光は、チップツール411を透過してヘッド33Hの中空部415を通過する。そして、ヘッド33Hの中空部415を通過したこれらの光は、ミラー337で反射されて撮像部35aの撮像素子へ入射する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC2aの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMC1aの画像とを含む撮影画像Gaを取得する。そして、チップ実装システム1は、同一の撮像部35aにより、チップCPのアライメントマークMC1aと基板WTのアライメントマークMC2aとの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時認識する。
【0052】
また、撮像部35bから出射されミラー337で反射されてヘッド33Hの中空部416を通過した光の一部も、チップツール411とチップCPとを透過する。チップCPを透過した光の一部は、基板WTのアライメントマークMC2bが設けられた部分で反射される。また、ヘッド33Hの中空部416を通過した光の残りの一部は、チップCPにおけるアライメントマークMC2が設けられた部分で反射される。基板WTのアライメントマークMC1bが設けられた部分またはチップCPにおけるアライメントマークMC2bが設けられた部分で反射された光は、チップツール411を透過してヘッド33Hの中空部416を通過する。そして、ヘッド33Hの中空部416を通過したこれらの光は、ミラー337で反射されて撮像部35bの撮像素子へ入射する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC2bの画像と基板WTに設けられたアライメントマークMC1bの画像とを含む撮影画像Gbを取得する。そして、チップ実装システム1は、同一の撮像部35bにより、チップCPのアライメントマークMC1bと基板WTのアライメントマークMC2bとの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時認識する。
【0053】
図15に戻って、次に、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像して得られた2つの撮影画像Ga,Gbに基づいて、チップCPと基板WTとのX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する第1位置ずれ量算出工程を実行する(ステップS6)。ここでは、制御部90が、
図16Cに示すように、撮影画像Gaに基づいてチップCPと基板WTとに設けられた1組のアライメントマークMC1a、MC2aの位置を認識し、ベクトル相関法によりアライメントマークMC1a,MC2aの相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。また、チップ実装システム1は、前述と同様に、撮影画像Gbに基づいてチップCPと基板WTとに設けられた1組のアライメントマークMC1b、MC2bの位置を認識し、ベクトル相関法によりアライメントマークMC1b,MC2bの相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。そして、制御部90は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、チップCPの基板WTに対する水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0054】
図15に戻って、続いて、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを低減するようにチップCPを基板WTに対して相対的に移動させることにより、チップCPの基板WTに対する位置を補正する第1位置補正工程を実行する(ステップS7)。ここにおいて、チップ実装システム1は、ヘッド33Hを固定した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが解消するように、ステージ315をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。具体的には、制御部90が、算出した位置ずれ量に基づいて、チップCPを基板WTに対して水平方向、即ち、その実装面WTfに平行な方向へ相対的に移動させるようにステージ駆動部320を制御する。これにより、例えば
図18Aに示すように、アライメントマークMC1a、MC2aの組と、アライメントマークMC1b、MC2bの組とがそれぞれZ軸方向において揃った状態となる。
【0055】
図15に戻って、その後、チップ実装システム1は、再度、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第1撮像工程を実行する(ステップS8)。次に、チップ実装システム1は、再び、チップCPと基板WTとのX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する第1位置ずれ量算出工程を実行する(ステップS9)。続いて、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS10)。
【0056】
ここで、チップ実装システム1が、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定したとする(ステップS10:No)。この場合、チップ実装システム1は、再びステップS7の処理を実行する。一方、チップ実装システム1が、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS10:Yes)。この場合、チップ実装システム1は、ヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPの接合面CPfを基板WTの実装面WTfに接触させる接触工程を実行する(ステップS11)。次に、チップ実装システム1は、チップCPと基板WTとが接触した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第3撮像工程を実行する(ステップS12)。このとき、チップ実装システム1は、前述と同様に、撮像部35aによるアライメントマークMC1a、MC2aの撮像と、撮像部35bによるアライメントマークMC1b、MC2bの撮像とを、同時に実行する。
【0057】
次に、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像して得られた2つの撮影画像Ga,Gbに基づいて、チップCPと基板WTとのX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する第3位置ずれ量算出工程を実行する(ステップS13)。
【0058】
続いて、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS14)。ここで、例えば
図18Bの矢印AR41に示すようにチップCPを基板WTへ接触させたことに起因して、アライメントマークMC1aのアライメントマークMC2aに対する位置ずれ、或いはアライメントマークMC1bのアライメントマークMC2bに対する位置ずれが発生し得る。チップ実装システム1は、このような位置ずれの量W1が位置ずれ量閾値以下であるか否かを判定する。
【0059】
図15に戻って、その後、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定したとする(ステップS14:No)。この場合、チップ実装システム1は、チップCPを基板WTから離脱させる離脱工程を実行する(ステップS15)。ここで、チップ実装システム1は、例えば
図18Cの矢印AR42に示すように、ヘッド33Hを鉛直下方へ移動させることにより、チップCPを基板WTから離脱させる。
【0060】
図15に戻って、次に、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを全て位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするためのチップCPの基板WTに対する相対的な補正移動量を算出する(ステップS16)。ここにおいて、制御部90は、チップCPを基板WTに接触させた状態でのチップCPとWTとの位置ずれ量Δx、Δy、Δθと、チップCPが基板WTから離間した状態でのチップCPと基板WTとの位置ずれ量との差分に相当する移動量だけ移動させるような補正移動量を算出する。このように、チップCPが基板WTに接触した状態での位置ずれ量とチップCPが基板WTに接触していない状態での位置ずれ量との差分に相当する移動量だけオフセットしてアライメントすることにより、再度チップCPを基板WTに接触させたときに同様のチップCPの基板WTへの接触に起因した位置ずれが発生すればチップCPの基板WTに対する位置ずれが無くなることになる。
【0061】
その後、チップ実装システム1は、チップCPが基板WTから離間した状態において、チップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように、チップCPの基板WTに対する位置を補正する第3位置補正工程を実行する(ステップS17)。ここにおいて、チップ実装システム1は、ヘッド33Hの位置が固定された状態で、ステージ315をステップS11で算出された補正移動量だけX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向に移動させる。そして、チップ実装システム1は、再びステップS11の処理を実行する。
【0062】
一方、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS14:Yes)。この場合、チップ実装システム1は、チップCPをそのまま基板WTに押し付けることによりチップCPを基板WTへ接合する(ステップS18)。
【0063】
次に、チップ実装システム1は、ヘッド33Hを鉛直下方へ移動させた後、撮像部41により少なくともアライメントマークMC2a、MC2bを含む画像を撮像することにより、チップCPが基板WTに実装されているか否かを判定する(ステップS19)。ここで、チップ実装システム1は、撮像部41により撮像された撮影画像にアライメントマークMC2a、MC2bとともにアライメントマークMC1a、MC1bが含まれる場合、チップCPが基板WTに実装されていると判定する。一方、チップ実装システム1は、撮像部41により撮像された撮影画像にアライメントマークMC1a、MC1bが含まれていない場合、チップCPが基板WTに実装されていないと判定する。チップ実装システム1は、チップCPが基板WTに実装されていると判定すると(ステップS19:Yes)、そのままチップ実装処理を終了する。
【0064】
一方、チップ実装システム1は、チップCPが基板WTに実装されていないと判定したとする(ステップS19:No)。この場合、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像された撮影画像にアライメントマークMC2a、MC2bが含まれるか否かによりヘッド33HによるチップCPの保持状態を判定する(ステップS20)。ここで、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像された撮影画像にアライメントマークMC2a、MC2bが含まれる場合、ヘッド33HによりチップCPが保持されていると判定する。一方、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像された撮影画像にアライメントマークMC2a、MC2bが含まれない場合、ヘッド33HによりチップCPが保持されていないと判定する。そして、チップ実装システム1が、チップCPの基板WTへの接合を試みたが基板WTに接合できなかった場合に相当する。チップ実装システム1は、ヘッド33HによるチップCPの保持状態を判定した後、チップ実装処理を終了する。
【0065】
そして、チップ実装システム1は、チップCPが基板WTに実装されず且つヘッド33HによりチップCPが保持されていると判定した場合、ヘッド33Hに保持された状態のチップCPを再びチップ搬送装置39のチップ保持部393に移載する。その後、チップ実装システム1は、プレート391を
図14Aの矢印AR1の方向へ90度だけ旋回させて、
図19に示すように、チップ搬送装置39のチップ保持部393をチップ回収部60の鉛直上方に配置する。そして、チップ実装システム1は、チップ保持部393に保持されたチップCPを、チップ回収部60に回収させる。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、アライメントマークMC1a、MC1bとアライメントマークMC2a、MC2bとが撮像部35a、35bの被写界深度の範囲内に収まる第1距離G1だけ離間した状態で、撮像部35a、35bによりアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを同時に撮像する。そして、チップ実装システム1は、撮像部35a、35bにより撮像されたアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの撮影画像から基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量を算出する。これにより、撮像部35a、35bの振動および経時的な位置変化、或いは基板WT、チップCPの熱膨張によるアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの位置の経時変化の、算出される位置ずれ量への影響が低減される。従って、チップCPを高い位置精度で基板WTに実装できる。
【0067】
ところで、従来は、鉛直上方に配置されたチップCPに設けられたアライメントマークを撮像するための撮像部と、鉛直下方に配置された基板WTの認識用の撮像部と、が分離しており、チップCPに設けられたアライメントマークと基板WTに設けられたアライメントマークとの間を移動する構成が一般的であった(例えば特許公報:特開2004-22949号公報)。しかしながら、この構成の場合、チップCPのアライメントマークを撮像するための撮像部と基板WTのアライメントマークを撮像するための撮像部とが分離されているので、2つの撮像部間の相対的な位置が熱膨張または経時的な変化でずれてしまう場合がある。この場合、チップCPと基板WTとのアライメント精度が低下してしまい、撮像部の位置のキャリブレーション等が必要となる。また、日々のチップ実装システムの稼働において動作状態が安定せずに撮像部の位置が変化してしまう虞もある。これに対して、チップCPに設けられたアライメントマークと基板WTに設けられたアライメントマークとを1つの撮像部で撮像することにより撮像部の位置ずれに影響されなくなる。また、前述のようにチップCPに設けられたアライメントマークと基板WTに設けられたアライメントマークとの間を移動しながら、2つの撮像部によるアライメントマークの撮像タイミングに時間差が生じると撮像部の振動による影響が出る。これに対し、本実施の形態に係るチップ実装システムでは、アラメントマークの組毎に撮像部35a、35bを配置して、2組のアライメントマークを同時に撮像するため、撮像部35a、35bの振動による影響をキャンセルすることができる。また、前述の構成では、チップCPを基板WTに接合する際のチップCPの基板WTに対する位置ずれを補正することができない。これに対して、本実施の形態に係るチップ実装システムでは、赤外線を用いてチップCPおよび基板WTを接合する温度にまで加熱してチップCPおよび基板WTが熱膨張した状態でチップCPと基板WTとの位置ずれ量を算出することができるので、チップCPおよび基板WTの状態に関わらず、常に位置ずれ量を精度良く算出してチップCPの基板WTに対する位置ずれを補正することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、基板WTとチップCPとが第1距離よりも長い第2距離だけ離間した状態で、アライメントマークMC1a、MC1bとアライメントマークMC2a、MC2bとを撮像部35a、35b、41により各別に撮像する。これにより、アライメントマークMC1a、MC1bとアライメントマークMC2a、MC2bとが撮像部35a、35bの被写界深度の範囲内に収まらない状態で、チップCPの基板WTに対する位置補正をある程度行うことができる。
【0069】
更に、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、チップCPが基板WTに接触した状態で、撮像部35a、35bによりアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを同時に撮像し、その撮影画像から基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量を算出する。ここで、チップ実装システム1は、基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量が予め設定された位置ずれ量閾値よりも大きい場合、チップCPを基板WTから離脱させ、算出した位置ずれ量に基づいて、チップCPを基板WTに対して位置ずれ量が小さくなる方向へ相対的に移動させる。そして、チップ実装システム1は、算出した位置ずれ量が位置ずれ量閾値以内になるまで、チップCPの基板WTへの接触、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの撮像、位置ずれ量の算出、チップCPの基板WTからの離脱およびチップCPの位置補正を繰り返す。これにより、チップCPを基板WTに位置精度良く実装することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、ボンディング装置30のステージ315が、基板WTにおける実装面WTfが鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する。これにより、例えばチップCPの基板WTへの接合を試みたがチップCPが基板WTに接合されなかった場合、ヘッド33Hの鉛直下方への移動に伴いチップCPが基板WTから離脱する。従って、接合されずに基板WTの実装面WTfに残ったチップCPが、他のチップCPが接合される場所に飛ばされ、他のチップCPの基板WTへの接合時において他のチップCPと干渉してしまうことを防止できる。例えば、チップCPが、本来の実装位置から次に実装するチップCPの実装位置までずれてしまうと、次のチップCPを加圧する前の位置まで高速移動させる途中でずれたチップCPに干渉してしまう場合がある。この場合、基板が割れてしまうことがある。そうすると、それまでに基板WTに実装されたチップCPが全て無駄になってしまうため大きな問題である。
【0071】
更に、本実施の形態に係るチップ実装システム1は、チップCPを基板へ実装する処理が完了した後、撮像部41により撮像された撮影画像にアライメントマークMC1a、MC1bとともにアライメントマークMC2a、MC2bが含まれるか否かに応じて、チップCPが基板WTへ実装されているか否かを判定する。また、チップ実装システム1は、チップCPを基板WTへ実装する処理が完了した後、撮像部35a、35bにより撮像された撮影画像にアライメントマークMC2a、MC2bが含まれるか否かに応じて、チップCPがヘッド33Hに保持されているか否かを判定する。これにより、基板WTに実装できなかったチップCPがヘッド33Hに保持されていると判定された場合、そのチップCPをチップ回収部60で回収することができる。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るチップ実装システムは、フレキシブル基板上にチップCPを実装する装置である。このチップ実装システムは、基板におけるチップが実装される面と電子部品の接合面について活性化処理が行われた後において、チップをフレキシブル基板に接触させて加圧することにより、チップをフレキシブル基板に実装する。
【0073】
図20に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム7は、チップ供給装置7010と、ボンディング装置7030と、チップ移載ユニット7039と、チップ搬送ユニット7390と、反転ユニット7393と、制御部7090と、を備える。なお、
図20において、実施の形態1と同様の構成については
図2と同一の符号を付している。
【0074】
チップ搬送ユニット7390は、チップ供給部11から供給されるチップCPを、反転ユニット7393への受け渡し位置まで搬送する部品搬送ユニットである。チップ搬送ユニット7390は、ベルヌーイチャック7391と、ベルヌーイチャック7391を駆動するチャック駆動部7392と、を有する。ベルヌーイチャック7391は、ピックアップ機構111により突き出された1つのチップCPを、その接合面CPfに非接触な状態で保持する。ベルヌーイチャックは、内部に負圧を発生させるとともに気体を外部へ流出させることによりチップCPとの間に気体の層が形成された状態でチップCPを非接触で保持するものである。
【0075】
反転ユニット7393は、チップ供給部11から供給されるチップCPを反転させる部品反転ユニットである。反転ユニット7393は、チップCPを吸着する吸着部7393aと、アーム7393bと、反転駆動部7393cと、を有する。反転ユニット7393は、アーム7393bの先端部を鉛直上方へ向けて、チップ搬送ユニット7390からチップCPを吸着部7393aにより吸着して受け取る。そして、反転ユニット7393は、アーム7393bの先端部にチップCPを吸着させた状態で、反転駆動部7393cによりアーム7393bを旋回させてアーム7393bの先端部を鉛直下方へ向けてチップ移載ユニット7039へチップCPw受け渡す。反転ユニット7393は、チップCPをチップ移載ユニット7039に受け渡した後、アーム7393bを旋回させてアーム7393bの先端部が鉛直上方を向いた状態にする。
【0076】
チップ移載ユニット7039は、搬送ヘッド7394と、搬送ヘッド7394を駆動する搬送ヘッド駆動部7395と、2つの撮像部7351と、光路変換部材7352、7353と、を有する。また、チップ移載ユニット7039は、
図21Aに示すように、透明な板状でありチップCPが載置されるチップ保持部7355を有する。光路変換部材7352、7353は、2つのミラー面7352a、7353aを有する部材である。光路変換部材7353は、フレキシブル基板FTの実装面FTfに直交するZ軸に沿った方向(第1方向)へ伝播する光の伝播方向を、Z軸方向と直交するX軸に沿った方向(第2方向)に変換する。搬送ヘッド7394は、箱型であり、内側に光路変換部材7352、7353を収納した状態で光路変換部材7352、7353を保持する。また、搬送ヘッド7394におけるY軸方向で対向する側壁それぞれの撮像部7351が固定される部分には、撮像部7351から光路変換部材7352へ光を入射するとともに、光路変換部材7352で反射された光を撮像部7351に取り込むための開口部7394aが形成されている。更に、搬送ヘッド7394における+Z方向側の上壁のチップ保持部7355が配設された部分には、チップCPがヘッド7033Hに保持された状態で、チップCPで反射した光を光路変換部材7353へ入射させるとともに、光路変換部材7353で反射された光をチップCPに向けて出射させるための開口部7394bが形成されている。また、搬送ヘッド7394における-Z方向側の底壁には、搬送ヘッド7394の-Z方向側に配置されたフレキシブル基板FTで反射した光を光路変換部材7353へ入射させるとともに、光路変換部材7353で反射された光をフレキシブル基板FTに向けて出射させるための開口部7394cが形成されている。
【0077】
2つの撮像部7351は、
図22Aの矢印AR700に示すように、光路変換部材7353を移動させながら、光路変換部材7353の+Y方向側から、フレキシブル基板FTに設けられたアライメントマークMC1a、MC1bと、チップCPに設けられたアライメントマークMC2a、MC2bと、を撮像する第2撮像部である。2つの撮像部7351は、それぞれ、イメージセンサ(図示せず)と、光学系(図示せず)と、同軸照明系(図示せず)と、を有する。2つの撮像部7351は、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光の反射光に関する画像データを取得する。なお、撮像部7351の同軸照明系からY軸方向に出射された照明光は、光路変換部材7352のミラー面7352aで反射されその進行方向が-X方向に変更される。光路変換部材7352で反射された光は、光路変換部材7353に向けて進行し、光路変換部材7353のミラー面7353aで反射されその進行方向が+Z方向および-Z方向に変更される。光路変換部材7353で反射された光は、それぞれ、ヘッド7033Hに保持されたチップCPとフレキシブル基板FTとの撮影対象部分に向けて進行し各撮影対象部分で反射される。ここで、チップCPおよびフレキシブル基板FTの撮像対象部分には、アライメントマークが設けられている。チップCPおよびフレキシブル基板FTそれぞれの撮影対象部分からの反射光は、光路変換部材7353に向かって進行した後、光路変換部材7353のミラー面7353aで再び反射されその進行方向が+X方向に変更されて、光路変換部材7352に向かって進行し、光路変換部材7352のミラー面7352aで反射される。そして、光路変換部材7352で反射された光が、2つの撮像部7351へと到達する。また、撮像ユニット7041から出射してフレキシブル基板FTの撮影対象部分を透過した光も、光路変換部材7353に向かって進行した後、光路変換部材7353のミラー面7353aで再び反射されその進行方向が+X方向に変更されて、光路変換部材7352に向かって進行し、光路変換部材7352のミラー面7352aで反射される。そして、光路変換部材7352で反射された光が、2つの撮像部7351へと到達する。このようにして、2つの撮像部7351は、
図22Bに示すように、チップCPおよびフレキシブル基板FTそれぞれの撮影対象部分の画像データGAL、GARを取得する。
【0078】
図20に戻って、搬送ヘッド駆動部7395は、チップCPとフレキシブル基板FTとが予め設定された第2距離だけ離間した状態で、搬送ヘッド7394をX軸方向に沿って移動させることにより、搬送ヘッド7394を第1位置Pos71または第2位置Pos72へ移動させる。ここで、第1位置Pos71は、光路変換部材7353がチップCPとフレキシブル基板FTとの間に配置される位置に相当する。また、第2位置Pos72は、搬送ヘッド7394がX軸方向においてチップCPから離間した位置に相当する。
【0079】
ボンディング装置7030は、フレキシブル基板支持ユニット7031と、ヘッド7033Hを有するボンディング部33と、ヘッド7033Hを駆動するヘッド駆動部36と、撮像ユニット7041と、を有する。ヘッド7033Hは、先端部にチップCPを吸着するための吸着部7331が設けられている。ヘッド駆動部36は、
図20の矢印AR711、AR712に示すように、ボンディング部33をZ軸方向へ昇降させるとともに、軸BX周りに回転させる。
【0080】
撮像ユニット7041は、2つの撮像部7411と、光路変換部材7412と、を有する。また、撮像ユニット7041は、
図21Bに示すように、光路変換部材7412を収納する筐体7413と、透明な板状の窓部材7414と、を有する。光路変換部材7412は、2つのミラー面7412aを有する。筐体7413におけるY軸方向で対向する側壁それぞれの撮像部7411が固定される部分には、撮像部7411から光路変換部材7412へ光を入射するとともに、光路変換部材7412で反射された光を撮像部7411に取り込むための開口部7413aが形成されている。また、筐体7413における+Z方向側の上壁の窓部材7414が配設された部分には、チップCPまたはフレキシブル基板FTで反射した光を光路変換部材7412へ入射させるとともに、光路変換部材7412で反射された光をチップCPまたはフレキシブル基板FTに向けて出射させるための開口部7413bが形成されている。
【0081】
2つの撮像部7411は、それぞれチップCPに設けられたアライメントマークMC2a、MC2bの画像と、フレキシブル基板FTに設けられたアライメントマークMC1a、MC1bの画像と、を含む撮影画像を取得する第1撮像部である。制御部7090は、2つの撮像部7411により取得された画像データに基づいて、フレキシブル基板FTにおけるチップCPが実装される面に平行な方向における各チップCPの基板WTに対する相対位置を認識する。2つの撮像部7411は、それぞれ、イメージセンサと、光学系と、同軸照明系(図示せず)と、を有する。2つの撮像部7411は、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光に関する画像データを取得する。2つの撮像部7411は、それぞれ、同軸照明系の光源(図示せず)から出射される照明光の反射光に関する画像データを取得する。なお、撮像部7411の同軸照明系からY軸方向に出射された照明光は、光路変換部材7412のミラー面7412aで反射されその進行方向が+Z方向に変更される。光路変換部材7412で反射された光は、チップ移載ユニット7039が第2位置に配置された状態で、ヘッド7033Hに保持されたチップCPおよびフレキシブル基板FTとの撮影対象部分に向けて進行し各撮影対象部分で反射される。チップCPおよびフレキシブル基板FTそれぞれの撮影対象部分からの反射光は、光路変換部材7412に向かって進行した後、光路変換部材7412のミラー7412aで再び反射されその進行方向がY軸方向に変更されて、2つの撮像部7411へと到達する。このようにして、2つの撮像部7411は、チップCPおよびフレキシブル基板FTそれぞれの撮影対象部分の画像データを取得する。
【0082】
フレキシブル基板支持ユニット7031は、ステージ7315と、ステージ7315におけるX軸方向の両側に配置されフレキシブル基板FTを案内するガイドローラ7317と、ステージ7315、ガイドローラ7317および撮像ユニット7041を纏めて支持する支持体7316と、を有する。支持体7316は、
図20の矢印AR713に示すように、X方向、Y方向に移動可能となっている。これにより、ボンディング部33とステージ315との相対位置関係を変更することができ、フレキシブル基板FT上における各チップCPの実装位置を調整することができる。また、フレキシブル基板支持ユニット7031は、支持体7316をX軸方向およびY軸方向へ駆動する支持体駆動部(基板保持部駆動部)7320を有する。
【0083】
制御部7090は、実施の形態1で説明した制御部90と同様に、MPUと主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスと、を有する。制御部7090は、
図23に示すように、供給チップ撮像部15、撮像部7351、7411、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、吸着部7331、支持体駆動部7320、反転駆動部7393c、ピックアップ機構111、保持枠駆動部113、チャック駆動部7392、搬送ヘッド駆動部7395に接続されている。そして、インタフェースは、供給チップ撮像部15、撮像部7351、7411から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換してバスへ出力する。また、MPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、Z方向駆動部34、θ方向駆動部37、ピエゾアクチュエータ333、吸着部7331、支持体駆動部7320、反転駆動部7393c、ピックアップ機構111、保持枠駆動部113、チャック駆動部7392、搬送ヘッド駆動部7395それぞれへ制御信号を出力する。
【0084】
制御部7090は、フレキシブル基板FTとチップCPとの間に搬送ヘッド7394に保持された光路変換部材7353が配置された状態で、撮像部7351によりフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bおよびチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像して得られる画像から、フレキシブル基板FTとチップCPとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部7090は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36並びに支持体駆動部7320へ制御信号を出力することによりフレキシブル基板WTに対するチップCPの位置および姿勢を補正させる。また、制御部7090は、フレキシブル基板WTとチップCPとが接触した状態で、撮像部7411によりフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bおよびチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像して得られる画像から、フレキシブル基板FTとチップCPとの相対位置誤差を算出する。そして、制御部7090は、算出した相対位置誤差に応じて、ヘッド駆動部36並びに支持体駆動部7320へ制御信号を出力することによりフレキシブル基板WTに対するチップCPの位置および姿勢を補正させる。
【0085】
次に、本実施の形態に係るチップ実装システム7の動作について
図24A乃至
図28Aを参照しながら説明する。まず、チップ実装システム7では、
図24Aに示すように、ベルヌーイチャック7391がチップ供給部11の+Z方向側に配置された状態になる。次に、ピックアップ機構111が
図24Aの矢印AR701に示すように、+Z方向へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出し、1つのチップCPをシートTEから離脱した状態になる。この状態で、チップ搬送ユニット7390は、ベルヌーイチャック7391によりチップCPを受け取る。
【0086】
続いて、チップ搬送ユニット7390のチャック駆動部7392が、
図24Bの矢印AR702に示すように、ベルヌーイチャック7391を、反転ユニット7393への受け渡し位置まで移動させる。その後、反転ユニット7393は、
図24Bの矢印AR703に示すように、ベルヌーイチャック7391に保持されたチップCPを吸着部7393aに吸着させることでチップCPを受け取る。次に、
図25Aの矢印AR705に示すように、反転駆動部7393cが、アーム7393bを旋回させることにより、チップCPをチップ移載ユニット7039への受け渡し位置へ配置する。このとき、チャック駆動部7392は、
図25Aの矢印AR706に示すように、ベルヌーイチャック7391をチップ供給部11からチップCPを受け取る位置へ移動させる。そして、反転駆動部7393cは、吸着部7393aによるチップCPの吸着を解除することにより、
図25Aの矢印AR707に示すように、チップ移載ユニット7039へチップCPを受け渡す。このとき、
図25Bに示すように、チップ移載ユニット7039は、チップCPが搬送ヘッド7394に設けられたチップ保持部7355に載置された状態となる。そして、反転ユニット7393は、
図26Aの矢印AR708に示すように、アーム7393bを旋回させることにより、吸着部7393aをチップ搬送ユニット7390からチップCPを受け取る位置に戻す。
【0087】
続いて、チップ移載ユニット7039は、
図26Aの矢印AR709に示すように、搬送ヘッド駆動部7395により搬送ヘッド7394を第2位置Pos72から第1位置Pos71へ移動させる搬送ヘッド移動工程を実行する。これにより、
図26Bに示すように、チップCPが、ヘッド7033Hに対向する位置に配置される。その後、ヘッド駆動部36は、
図27Aおよび
図27Bの矢印AR710に示すように、ボンディング部33を-Z方向へ移動させてヘッド7033Hをチップ移載ユニット7039のチップ保持部7355へ近づける。次に、チップ実装システム7は、搬送ヘッド7394を第1位置Pos71に移動させた状態で、チップCPをヘッド7033Hへ移載する移載工程を実行する。ここでは、ヘッド駆動部36が、ヘッド7033HがチップCPに接触した状態で、吸着部7331が、チップCPを吸着することより、ヘッド7033Hの先端部にチップCPが保持された状態となる。次に、ヘッド駆動部36は、
図28Aの矢印AR711に示すように、ヘッド7033Hを+Z方向へ上昇させる。このとき、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとの間の距離が、撮像部7411の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離よりも長い第2距離だけ離間した状態になっている。
【0088】
その後、チップ実装システム7は、ボンディング装置30においてチップCPをフレキシブル基板FTに実装するチップ実装処理を実行する。ここで、チップ実装システム7が実行するチップ実装処理について、
図28B乃至
図31Bを参照しながら説明する。なお、
図29において、実施の形態1で説明したチップ実装処理と同様の処理については、
図15と同一の符号を付している。
【0089】
まず、チップ実装システム7は、
図29に示すように、チップ移載ユニット7039からヘッド7033Hへ移載された後、ヘッド7033Hが鉛直上方へ移動して、チップCPとフレキシブル基板FTとが離間した状態で、チップCPのアライメントマークとフレキシブル基板FTのアライメントマークとを撮像する第2撮像工程を実行する(ステップS701)。ここで、チップ移載ユニット7039とヘッド7033Hに保持されたチップCPとの間の距離は、ヘッド7033Hの吸着部7331によりチップCPを吸い上げて吸着できる程度の距離であれば、ヘッド7033Hの退避位置と同じであってもよい。ここにおいて、撮像部7351は、例えば
図28Bに示すように、撮像部7411から出射され光路変換部材7412で反射されてからフレキシブル基板FTを透過し、光路変換部材7353、7352で反射されて撮像部7351に到達する光L71を用いてフレキシブル基板FTに設けられたアライメントマークを撮像する。また、撮像部7351は、チップCPで反射されてから光路変換部材7353、7352で反射されて撮像部7351に到達する光L72を用いてチップCPに設けられたアライメントマークを撮像する。また、制御部7090は、撮像部7351により、例えば
図30に示すような、チップCPのアライメントマークMC2a(MC2b)の撮影画像と、フレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a(MC1b)の撮影画像とを含む画像データを取得する。ここで、チップCPのアライメントマークMC2a(MC2b)の撮影画像と、フレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a(MC1b)の撮像画像とが、基準線BL7上に存在する場合、両者の位置ずれが無いことになる。
【0090】
図29に戻って、続いて、チップ実装システム7は、撮像部7351により撮像されたアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの撮影画像から、フレキシブル基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程を実行する(ステップS2)。その後、チップ実装システム7は、算出した位置ずれ量を解消するように、支持体7316をヘッド7033Hに対して水平方向へ移動させることにより、チップCPのフレキシブル基板WTに対する位置の補正を行う第2位置補正工程を実行する(ステップS3)。
【0091】
次に、チップ実装システム1は、搬送ヘッド7394を第1位置Pos71から第2位置Pos72へ移動させてから(ステップS702)、チップCPを保持するヘッド7033Hを+Z方向へ移動させることにより、チップCPをフレキシブル基板FTに近づける移動工程を実行する(ステップS4)。ここで、搬送ヘッド駆動部7395は、
図31Aの矢印AR712に示すように、搬送ヘッド7394を第1位置Pos71から第2位置Pos72へ移動させる。そして、ヘッド駆動部36が、
図31Aの矢印AR713に示すように、ヘッド7033Hを+Z方向へ移動させる。このとき、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとの間の距離が、撮像部7411の被写界深度の範囲内に収まる予め設定された第1距離だけ離間した状態になるまで、チップCPをフレキシブル基板WTに近づける。
【0092】
図29に戻って、続いて、チップ実装システム1は、再度、チップCPとフレキシブル基板FTとが前述の第1距離だけ離間した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第1撮像工程を実行する(ステップS5)。ここでは、
図31Bに示すように、撮像部7411が、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bの撮像と、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bの撮像とを、同時に実行する。ここにおいて、撮像部7411から出射され光路変換部材7412で反射された光の一部は、フレキシブル基板FTを透過する。フレキシブル基板FTを透過した光の一部は、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bが設けられた部分で反射される。また、残りの光は、フレキシブル基板FTにおけるアライメントマークMC1a、MC1bが設けられた部分で反射される。そして、これらの反射光は、再び光路変換部材7412で反射されて撮像部7411へ入射する。これにより、チップ実装システム1は、チップCPに設けられたアライメントマークMC2a、MC2bの画像とフレキシブル基板FTに設けられたアライメントマークMC1a、MC1bの画像とを含む撮影画像を取得する。そして、チップ実装システム1は、撮像部7411により、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の画像取り込みで同時認識する。
【0093】
図29に戻って、次に、チップ実装システム1は、ステップS6乃至S11の処理を実行する。そして、チップ実装システム1は、ステップS11において、チップCPの接合面CPfをフレキシブル基板FTの実装面FTfに接触させる接触工程を実行した後、チップCPとフレキシブル基板FTとが接触した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像する第3撮像工程を実行する(ステップS12)。このとき、チップ実装システム1は、前述と同様に、撮像部7411によるフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bの撮像と、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bの撮像とを、同時に実行する。その後、ステップS13以降の処理が実行される。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム7によれば、
図21Aに示すように、一方の撮像部7351には一方のチップCPのアライメントマークMC2a(MC2b)とフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a(MC1b)とが1つの視野内に入るため1組のアライメントマークMC2a、MC1a(MC2b、MC1b)を同時に撮像できる。実施の形態1で説明した従来の構成では、チップCPのアライメントマークを撮像するための撮像部とフレキシブル基板FTのアライメントマークを撮像するための撮像部とが分離して配置されていたため、2つの撮像部間での位置ずれがチップCPのフレキシブル基板FTに対するアライメント精度に影響していた。これに対して、本実施の形態に係るチップ実装システム7によれば、チップCPのアライメントマークMC2a(MC2b)とフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a(MC1b)とを同時に撮像することができるので、アライメントマークMC2a、MC1a(MC2b、MC1b)の位置を高精度に認識できる。また、2つの撮像部7351において同時に4つのアライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bの画像を撮像するようにすれば更にアライメント精度を高めることができる。
【0095】
実施の形態1で説明した従来の構成では、チップ搬送部がチップCPをヘッドに移載した後、チップ搬送部を退避させてから、いわゆる2視野カメラからなる撮像部を挿入してフレキシブル基板FTとチップCPのアライメントマークを撮像し、撮像部を退避させた後にヘッドが鉛直下方へ移動してチップCPをフレキシブル基板FTへ接合する。これに対して、本実施の形態に係るチップ実装システム7によれば、撮像部7351によりチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像可能な位置に透光性材料から形成されたチップ保持部7355が設けられている。これにより、チップCPをヘッド7033Hへ移載すると同時にチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像することができる。そして、搬送ヘッド7394が退避した後、ヘッド7033Hをフレキシブル基板FTへ近づけてチップCPをフレキシブル基板FTに接合することができる。従って、前述の従来の構成のように、チップ搬送部がチップCPをヘッドへ移載してから退避するまでの時間が節減できる。また、チップ実装システム7の構成が簡略化できるので、製造コスタを削減することができる。
【0096】
また、いわゆるプリアライメントにおいて、撮像部7351を用いてチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを撮像し、ヘッド7033Hに保持されたチップCPをフレキシブル基板FTに近接させた状態で、再度フレキシブル基板FTの鉛直下方に配置された撮像部7411によりチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを同時に撮像することにより、チップCPのフレキシブル基板FTに対するアライメントの精度を向上させることができる。
【0097】
通常、搬送ヘッド7394がチップCPとフレキシブル基板FTとの間に挿入される場合、ヘッド7033Hは、搬送ヘッド7394の厚さ分だけ鉛直下方へ降下しないとチップCPをフレキシブル基板FTの近傍の位置に配置することができない。そこで、本実施の形態に係るチップ実装システム7では、ヘッド7033Hを下降させる間に、プリアライメントにおける位置ずれの補正を終了させることができる。従って、チップCPをフレキシブル基板FTに実装する際のタクトを短縮できるとともに、チップCPのフレキシブル基板FTに対する位置精度を向上させることができる。また、チップCPがフレキシブル基板FTに近傍して配置された状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bとフレキシブル基板FTのアライメントマークMC1a、MC1bとを同時に撮像した方が、光路変換部材7352、7353の熱膨張に起因した光路変換部材7352、7353の経時的な位置ずれ、或いは、チップCPをフレキシブル基板FYに接合する位置までヘッド7033Hを下降する量が増加することによるヘッド7033Hの中心軸の傾きまたは誤差の、チップCPのフレキシブル基板FTに対するアライメント精度への影響を小さくすることができるので、アライメント精度を高めることができる。
【0098】
また、本実施の形態に係るチップ実装システム7は、連続したテープ状のフレキシブル基板FTにチップCPを実装していくいわゆるチップオンフィルム実装システムである。そして、本実施の形態に係るチップ実装システム7によれば、高速にチップCPを連続して実装していくことができるとともに、チップCPのフレキシブル基板FTに対するアライメント精度を高めることができる。
【0099】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、
図32Aに示すように、チップCPの周部を保持した状態でチップCPの中央部を鉛直上方へ押圧する押圧機構2431が設けられたヘッド2033Hを有するボンディング装置を備える構成であってもよい。なお、
図32Aおよび
図32Bにおいて、実施の形態と同様の構成については
図5Aおよび
図5Bと同一の符号を付している。ヘッド2033Hは、チップツール2411と、ヘッド本体部2413と、チップ支持部2432aと、支持部駆動部2432bと、を有する。チップツール2411は、実施の形態に係るチップツール411と同様に撮影光(赤外光等)を透過する材料(例えばシリコン(Si))から形成されている。ヘッド本体部2413は、保持機構440と、チップCPの中央部を押圧する押圧機構2431と、を有する。押圧機構2431は、ヘッド本体部2413の先端面の中央部において鉛直方向に移動可能な押圧部2431aと、押圧部2431aを駆動する押圧駆動部2431bと、を有する。また、ヘッド本体部2413は、チップツール2411を真空吸着によりヘッド本体部2413に固定するための吸着部(図示せず)も有する。チップツール411は、ヘッド本体部413の保持機構440に対応する位置に形成された貫通孔411aと、押圧部2431aが内側に挿入される貫通孔2411bと、チップ支持部2432aが内側に挿通される貫通孔2411cと、を有する。
【0100】
チップ支持部2432aは、例えばピン状の形状を有し、ヘッド2033Hの先端部に設けられ鉛直方向へ移動自在である。チップ支持部2432aは、チップCPの接合面CPf側とは反対側を支持する。チップ支持部2432aは、例えば
図32Bに示すように、押圧部2431aを囲繞するように4つ設けられている。支持部駆動部2432bは、チップ支持部2432aを鉛直方向へ駆動する。支持部駆動部2432bは、チップ搬送装置39のチップ保持部393がチップCPを保持した状態で移載位置Pos1に位置し、チップ支持部2432aによりチップCPを支持した状態で、チップ支持部2432aをチップ支持部511よりも鉛直上方側へ移動させる。これにより、チップCPが、チップ搬送装置39のチップ保持部393からヘッド2033Hへ移載される。
【0101】
押圧駆動部2431bは、
図33に示すように、チップツール411にチップCPの周部が保持された状態で、押圧部2431aを鉛直上方へ移動させると、チップCPの中央部が鉛直上方(+Z方向)へ押圧され、チップCPの中央部がその周部に比べて鉛直上方へ撓んだ状態となる。
【0102】
本変形例に係るボンディング装置は、チップCPの周部をチップツール2411に吸着保持させた状態で(
図33の矢印AR201参照)、押圧駆動部2431bにより押圧部2413aを鉛直方向へ駆動する(
図33の矢印AR202参照)。これにより、チップCPは、その中央部がその周部よりも基板WT側に突出するように撓んだ状態となる。そして、へッド駆動部が、
図33の矢印AR203に示すように、チップCPを撓ませた状態でヘッド2033Hを基板WTに近づけることにより、チップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させる。なお、ボンディング装置は、ヘッド2033Hを鉛直方向へ移動させて基板WTに予め設定された距離まで近づけた後、チップCPを撓ませることによりチップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させてもよい。その後、ボンディング装置は、押圧部2413aを鉛直下方へ没入させつつ、ヘッド2033Hを更に基板WTへ近づけることにより、チップCPを基板WTに実装する。
【0103】
本構成によれば、チップCPを基板WTに実装する際の基板WTとチップCPとの間への空気の巻き込みが抑制されるので、チップCPを基板WTにボイド無く良好に実装することが可能となる。
【0104】
各実施の形態では、親水化処理が施されたチップCPの接合面CPfを基板WTの実装面WTfに接触させることによりチップCPを基板WTに実装するチップ実装システム1の例について説明した。但し、これに限らず、例えば基板WTの一面に樹脂層が形成された複合基板にチップCPを実装するものであってもよい。ここで、樹脂層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂等から形成される。本変形例に係るチップ実装システムでは、ボンディング装置30が、ステージ315に設けられステージ315に保持された複合基板の温度を調節する基板温度調節部(図示せず)と、ヘッド33Hに設けられヘッド33Hに保持されたチップCPの温度を調節するチップ温度調節部(図示せず)と、を有する。
【0105】
ここで、本変形例に係るチップ実装システムがボンディング装置30において実行するチップ実装処理について、
図34乃至
図35Cを参照しながら説明する。なお、
図34において実施の形態1と同様の処理については
図15と同一の符号を付している。まず、チップ実装システム1は、ステップS1乃至S10の処理を実行する。これにより、
図35Aに示すように、チップCPが複合基板WCTから第1距離G1だけ離間した状態でのチップCPの位置補正が完了する。第1距離G1は、実施の形態で説明したように、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとの間の距離が撮像部35a、35bの被写界深度の範囲内に収まる距離に相当する。
【0106】
次に、チップ実装システムは、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPを複合基板WCTの樹脂層Rに接触させる(ステップS201)。続いて、チップ実装システムは、基板温度調節部およびチップ温度調節部により、ステージ315、ヘッド33Hの温度を樹脂層Rが軟化する第1温度に調節する(ステップS202)。その後、チップ実装システムは、チップCPが樹脂層Rに接触した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを同時に撮像する(ステップS203)。次に、チップ実装システムは、チップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS204)。ここで、チップ実装システムは、実施の形態において説明した
図15のステップS8と同様の処理を行うことにより、チップCPと基板WTとのX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。
【0107】
その後、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、例えば
図35Bの矢印AR241に示すようにチップCPを樹脂層Rへ接触させたことに起因して、アライメントマークMC1aのアライメントマークMC2aに対する位置ずれ、或いはアライメントマークMC1bのアライメントマークMC2bに対する位置ずれが発生し得る。
【0108】
図34に戻って、その後、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定したとする(ステップS205:No)。この場合、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを全て位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするためのチップCPの基板WTに対する相対的な補正移動量を算出する(ステップS206)。ここで、チップ実装システムは、実施の形態において説明した
図15のステップS16と同様の処理を行うことにより補正移動量を算出する。
【0109】
その後、チップ実装システムは、チップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように、チップCPの基板WTに対する位置の補正を実行する(ステップS207)。ここにおいて、チップ実装システムは、例えば
図35Cに示すように、チップCPを樹脂層Rに接触させた状態で、チップCPの位置合わせを実行する。次に、チップ実装システムは、再びステップS203の処理を実行する。
【0110】
一方、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS205:Yes)。この場合、チップ実装システムは、基板温度調節部およびチップ温度調節部により、ステージ315、ヘッド33Hの温度を樹脂層Rが硬化する第2温度に調節し(ステップS208)、チップCPを樹脂層Rに押し付ける方向へ加圧する(ステップS209)。続いて、ステップS19以降の処理が実行される。
【0111】
また、本変形例に係るチップ実装システムは、例えば一面に金属製の電極部が形成された基板に金属製の電力部が形成されたチップCPを実装するものであってもよい。この場合、本変形例に係るチップ実装システムが、ボンディング装置30において実行するチップ実装処理について、
図36乃至
図37Cを参照しながら説明する。なお、
図36において実施の形態1と同様の処理については
図15と同一の符号を付している。まず、チップ実装システム1は、ステップS1乃至S10の処理を実行する。これにより、
図37Aに示すように、チップCPが基板WTから第1距離G1だけ離間した状態でのチップCPの位置合わせが完了する。
【0112】
次に、チップ実装システムは、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPの電極部BU2、基板WTの電極部BU1同士を接触させる(ステップS301)。続いて、チップ実装システムは、基板温度調節部およびチップ温度調節部により、電極部BU1、BU2の温度を、電極部BU1、BU2を形成する金属の融点に相当する温度まで上昇させる(ステップS302)。これにより、電極部BU1、BU2は、溶融した状態となる。その後、チップ実装システムは、電極部BU1、BU2同士が接触した状態で、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bと基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bとを同時に撮像する(ステップS303)。次に、チップ実装システムは、チップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS304)。
【0113】
その後、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、例えば
図37Bの矢印AR241に示すように電極部BU1、BU2同士を接触させたことに起因して、アライメントマークMC1aのアライメントマークMC2aに対する位置ずれ、或いはアライメントマークMC1bのアライメントマークMC2bに対する位置ずれが発生し得る。
【0114】
図36に戻って、その後、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定したとする(ステップS305:No)。この場合、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを全て位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするためのチップCPの基板WTに対する相対的な補正移動量を算出する(ステップS306)。その後、チップ実装システムは、チップCPの基板WTに対する相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように、チップCPの基板WTに対する位置の補正を実行する(ステップS307)。ここにおいて、チップ実装システムは、例えば
図37Cに示すように、電極部BU1、BU2同士を接触させた状態で、チップCPの位置合わせを実行する。次に、チップ実装システムは、再びステップS303の処理を実行する。
【0115】
一方、チップ実装システムは、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定したとする(ステップS305:Yes)。この場合、チップ実装システムは、基板温度調節部およびチップ温度調節部により、ステージ315、ヘッド33Hの温度を、電極部BU1、BU2を形成する金属の融点以下の温度まで下降させ(ステップS308)、チップCPを基板WTに押し付ける方向へ加圧する(ステップS309)。続いて、ステップS19以降の処理が実行される。
【0116】
本構成によれば、チップCPを樹脂層Rに接触させた後、チップCPを複合基板WCTから離脱させる処理を実行しない。また、チップCPの電極部BU2と基板WTの電極部BU1とを接触させた後、チップCPを基板WTから離脱させる処理を実行しない。これにより、チップ実装処理における総処理数が低減されるので、その分、処理時間が短縮される。
【0117】
実施の形態1に係るチップ実装システム1において、例えば
図38に示すように、チップツール4411におけるチップCPを保持する部分に凹部4411cが設けられたヘッド4033Hを有するボンディング装置を備えるものであってもよい。ここで、凹部4411cは、チップCPにおける、チップ供給部11のピックアップ機構111のニードル111aの先端部が接触する領域に対応する部分に設けられている。
【0118】
本構成によれば、チップCPにおけるニードル111aの接触部分に付着したパーティクルに起因してチップCPの姿勢が傾くことを抑制できる。従って、チップCPを基板WTへ良好に接合することができる。
【0119】
実施の形態1に係るボンディング装置30において、例えば
図39Aに示すように、ステージ315の鉛直下方に配置された気流発生部5042と、カバー5043と、を備える構成であってもよい。気流発生部5042は、
図39Aの矢印AR501に示すように、ステージ315に基板WTが保持された状態で、基板WTの実装面WTf側に、ステージ315とヘッド33Hとが対向する方向(Z軸方向)と直交する予め設定された方向へ気流を発生させる第1気流発生工程を実行する第1気流発生部である。
【0120】
カバー5043は、ヘッド33Hを挿通させるための貫通孔5043aが形成されている。そして、カバー5043は、ステージ315の鉛直下方の領域を、ステージ315と気流発生部5042とが配置される第1領域AREA1と、気流発生部5042よりも鉛直下方側の第2領域AREA2とに隔てる。これにより、第1領域AREA1は、第2領域AREA2に比べて陽圧となる。ここで、ボンディング部33は、ヘッド33HにチップCPを保持した状態で、ヘッド33Hを鉛直上方へ移動させて、カバー5043の貫通孔5043aに挿通させることにより、チップCPを基板WTに接合させる。
【0121】
本構成によれば、第1領域AREA1は、第2領域AREA2に比べて陽圧となるので、第2領域AREA2で発生したパーティクルの基板WTの実装面WTfへの付着が抑制される。
【0122】
実施の形態1において、ステージが基板WTを鉛直下方から支持し、ヘッドがチップCPを基板WTの鉛直上方から基板WTに近づけて接触させて接合するボンディング装置を備えるものであってもよい。この場合、ボンディング装置は、ステージの上方に基板WTが保持された状態で、基板の上方に、基板とヘッドとの対向方向に直交する予め設定された方向へ流れる気流を発生させる気流発生部を備えるものとすればよい。そして、ボンディング装置は、ヘッドが挿通される孔を有し、ステージの上方に基板WTが保持された状態で基板WTの上方の領域を、ステージと気流発生部とが配置される第1領域と第1領域よりも上方の第2領域とに隔てるカバーを備えるものとすればよい。
【0123】
また、前述の
図39Aを用いて説明した変形例において、チップ実装システムが、
図39Bの矢印AR502に示すように、基板WTにおける気流の風下に相当する位置から優先的にチップCPを実装するようにしてもよい。この場合、チップCPを基板WTに実装する際に発生したパーティクルが実装面WTfにおける他のチップCPが未だ実装されていない部分に付着することが抑制されるので、チップCPの基板WTへの接合不良の発生が低減されるという利点がある。
【0124】
また、各実施の形態に係るチップ供給装置10において、例えば
図40に示すように、カバー114の鉛直下方に配置された気流発生部6042を備える構成であってもよい。気流発生部6042は、
図40の矢印AR601に示すように、枠保持部119がシートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直上方(+Z方向)側となる姿勢でシート保持枠112を保持した状態で、チップCPの接合面CPf側に、予め設定された方向へ気流を発生させる第2気流発生工程を実行する第2気流発生部である。ここで、カバー114の鉛直上方の第3領域AREA3は、カバー114の鉛直上方の第4領域AREA4に比べて陽圧となる。
【0125】
本構成によれば、第3領域AREA3は、第4領域AREA4に比べて陽圧となるので、第4領域AREA4で発生したパーティクルのチップCPの接合面CPfへの付着が抑制される。
【0126】
各実施の形態において、複数のチップCPが貼着されたシートTEをチップCPの接合面が鉛直下方を向く姿勢で保持するシート保持部と、シートTEに貼着された複数のチップCPの中から1つのチップCPをシートTEの鉛直下方からピックアップするピックアップ機構と、を有するチップ供給部を備えるものであってもよい。この場合、チップ供給装置は、シート保持部に複数のチップCPが貼着されたシートTEがチップCPの接合面が鉛直下方を向く姿勢で保持された状態で、シートTEの下方に、予め設定された方向へ流れる気流を発生させる気流発生部を備えるものとすればよい。そして、チップ供給装置は、ピックアップ機構の一部が挿通される孔を有し、シート保持部に複数のチップCPが貼着されたシートが保持された状態で、シートTEの下方の領域を、シート保持部と気流発生部とが配置される第3領域と第3領域よりも下方の第4領域とに隔てるカバーを備えるものとすればよい。
【0127】
実施の形態1に係るチップ実装システム1は、チップCPをヘッド33Hに近づける前に、チップCPと基板WTとが第2距離だけ離間した状態で、撮像部41により基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、チップ実装システムが、ヘッド33HにチップCPを保持する前に、撮像部35a、35bにより基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像するものであってもよい。この場合、制御部90は、基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bの撮像画像を主記憶部または補助記憶部に記憶する。次に、制御部90は、撮像部35a、35bにより基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像した後、ヘッド33HにチップCPを保持した状態で撮像部35a、35bによりチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bを撮像する。そして、制御部90は、撮像部35a、35bにより撮像して得られた基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bの撮像画像とチップCPのアライメントマークMC2a、MC2bの撮像画像とを用いて相対的な位置ずれ量を算出する。また、複数のチップCPを基板WTに実装する場合、基板WTはステージ315に保持された状態を維持するため、基板WTのステージ315への移載時に1回だけ基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像して制御部90の主記憶部または補助記憶部に記憶しておき、ステージ315が移動した際には、主記憶部または補助記憶部に記憶された基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bの情報からアライメントマークMC1a、MC1bの位置を予測すればよい。この場合、チップCPを基板WTに実装する際、基板WTのアライメントマークMC1a、MC1bを撮像する必要がなく、チップCPのアライメントマークMC2a、MC2bのみを撮像すればよい。
【0128】
本構成によれば、基板WTが不透明であっても基板WTとチップCPとの相対的な位置ずれ量を算出することが可能となる。
【0129】
実施の形態では、チップ実装システム1が、
図15を用いて説明したように、ステップS3においてチップCPの基板WTに対する位置の補正を行った後、ステップS4において、チップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPを基板WTに更に近づける例について説明した。但し、チップ実装システムが、ステップS3、S4の処理を行う順番はこれに限定されるものではない。例えば、チップ実装システムが、チップCPを基板WTに更に近づけながら、チップCPの基板WTに対する位置の補正を行うものであってもよい。
【0130】
実施の形態1では、撮像部35a,35bが、それぞれ、同軸照明系の光源から出射される照明光(例えば赤外光)の反射光を利用して、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する例について記載した。但し、これに限らず、例えば、撮像部35a、35b側とは反対側に設けられた光源からチップCPを透過する透過光を利用して、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する構成であってもよい。例えば、基板WTの鉛直上方に配置された撮像部41が、チップCPの下側に入射する撮像部35a、35bの同軸光を利用して、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得する構成であってもよい。或いは、撮像部35a、35bが、基板WTの鉛直上方に配置された撮像部41から出射される同軸光を利用して、アライメントマークMC1a、MC1b、MC2a、MC2bを含む画像を取得する構成であってもよい。また、基板WTが可視光に対して透明の場合、撮像部35a、35bまたは撮像部41から出射される同軸光が、可視光であってもよい。
【0131】
また、撮像部41が、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを含む画像を取得する構成であってもよい。このように、チップCPを基板WTの実装面WTfに接触させた状態で、赤外光を利用してチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを同一の撮像部41で、アライメントマークMC1a、MC2a、アライメントマークMC1b、MC2bの組を、フォーカス軸を動かさずに1回の取り込みで同時認識することにより、チップCPと基板WTとの位置ずれを高精度に認識できる。また、チップCP側の撮像部35a、35bを用いてチップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bを同時に認識する構成でも同様である。
【0132】
実施の形態1において、ボンディング装置30が、チップCPの接合面(平坦面)CPfにおける3つ以上の箇所において、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離を測定する距離測定部(図示せず)を備えるものであってもよい。距離測定部は、例えばヘッド33Hの側方の複数箇所に配置されたレーザ光源(図示せず)と、複数のレーザ光源それぞれから出射し基板WTで反射したレーザ光を受光する受光部(図示せず)と、を有するものであってもよい。そして、ヘッド駆動部36が、距離測定部により測定された距離に基づいて、チップCPを保持するヘッド33Hを、基板WTを保持するステージ31に近づけてもよい。また、3つのピエゾアクチュエータ333が、距離測定部により測定された基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとの間の距離に基づいて、基板WTの実装面WTfとチップCPとの間の距離とチップCPの基板WTの実装面WTfに対する傾きとの少なくとも一方を調整してもよい。
【0133】
また、前述の水供給部を備える構成において、チップCPの接合面CPfへ水を供給する前に、接合面Cpfに付着したパーティクルを除去するクリーニング部を備えるものであってもよい、クリーニング部としては、例えば窒素、ヘリウム等の気体をブローする構成、超音波、メガソニック等を印加した状態の水を吹き付ける構成、或いは、接合面CPfに付着したパーティクルを機械的に擦り取る構成が挙げられる。なお、水供給部は、前述の超音波、メガソニック等を印加した状態の水を吹き付ける構成とすれば、接合面CPfへの水の供給とパーティクル除去の両方の機能を兼ね備えることになる。
【0134】
実施の形態1では、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bが接合面CPf側に設けられている例について説明したが、これに限らず、例えばアライメントマークMC1a、MC1bがチップCPにおける接合面CPf側とは反対側の面に設けられていてもよい。
【0135】
実施の形態1では、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを2つの撮像部35a、35bで撮像する方式について説明したが、これに限らない。例えば、チップCPのサイズがある程度小さい場合、1つの撮像部で、チップCPのアライメントマークMC1a、MC1bと基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bとを同時に撮像するものであってもよい。
【0136】
実施の形態2に係るチップ実装システム7では、チップCPとフレキシブル基板FTとが接触した状態で、撮像部7411により、チップCPのアライメントマークとフレキシブル基板FTのアライメントマークとを撮像する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、チップCPとフレキシブル基板FTとが接触し、ヘッド7033Hが鉛直上方へ退避した状態で、光路変換部材7353をチップCPの鉛直上方に配置し、撮像部7351により、チップCPのアライメントマークとフレキシブル基板FTのアライメントマークとを撮像するようにしてもよい。
【0137】
実施の形態2では、撮像部7411によりフレキシブル基板FTのアライメントマークを撮像し、撮像部7351によりチップCPのアライメントマークを撮像する例について説明した。但し、これに限らず、例えば撮像部7351により、チップCPおよびフレキシブル基板FTの両方のアライメントマークを撮像する構成であってもよい。
【0138】
各実施の形態では、基板WTまたはフレキシブル基板FTのアライメントマークMC2a、MC2bの形状が円形である場合について説明したが、基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bの形状は円形に限定されるものではなく、例えば矩形状、三角形状等の他の形状であってもよい。基板WTのアライメントマークMC2a、MC2bの形状が、円形でない場合、1つのアライメントマークMC2a、MC2bでXY方向と回転方向の成分を認識することができる。この場合、例えば基板WTの1つのアライメントマークとチップCPの1つのアライメントマークとを同時に撮像することにより位置ずれ量を算出するようにしてもよい。
【0139】
実施の形態2において、例えば
図41に示すように、反転ユニット8391と、反転ユニット8391から受け取ったチップCPを搬送してチップ移載ユニット7039の搬送ヘッド7394に移載するチップ搬送ユニット8392と、を備えるものであってもよい。ここで、反転ユニット8391は、チップCPを保持するチップ保持部8391aと、アーム8391bと、反転駆動部8391cと、を有する。反転ユニット8391は、アーム8391bの先端部を鉛直下方へ向けて、チップ供給部11からチップCPをチップ保持部8391aにより受け取る。そして、反転ユニット8391は、アーム8391bの先端部にチップCPを保持した状態で、反転駆動部8391cによりアーム8391bを旋回させてアーム8391bの先端部を鉛直上方へ向ける。チップ搬送ユニット8392は、反転ユニット8391から受け取ったチップCPを保持するチップ保持部8392aと、チップ保持部8392aを駆動するチップ保持部駆動部8392bと、を有する。チップ搬送ユニット8392は、チップ保持部8392aで反転ユニット8391からチップCPを受け取った後、チップ保持部8392aを-X方向へ移動させる。その後、チップ搬送ユニット載部8392は、チップ保持部8392aに保持されたチップCPをチップ移載ユニット7039の搬送ヘッド7394へ移載する。本構成によれば、反転ユニット8391がチップ供給部11の近くに設けられているため、ボンディング装置を2ヘッド化でき、チップ実装システムの量産性を高めることができる。
【0140】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0141】
本出願は、2018年8月31日に出願された日本国特許出願特願2018-162737号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2018-162737号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、例えばCMOSイメージセンサやメモリ、演算素子、MEMSの製造に好適である。
【符号の説明】
【0143】
1,7:チップ実装システム、10:チップ供給装置、11:チップ供給部、15:供給チップ撮像部、30:ボンディング装置、31:ステージユニット、33:ボンディング部、33H,2033H,4033H,7033H:ヘッド、34:Z方向駆動部、35a、35b,41,7351,7411:撮像部、36:ヘッド駆動部、37:θ方向駆動部、38:リニアガイド、39:チップ搬送装置、50:洗浄装置、51:チップステージ、52:洗浄ヘッド、53:チップステージ駆動部、54:洗浄チップ撮像部、90:制御部、111:ピックアップ機構、111a:ニードル、112:シート保持枠、113:保持枠駆動部、114,5043:カバー、114a,5043a:貫通孔、119:枠保持部、301:固定部材、302:ベース部材、311:X方向移動部、312,314,316:開口部、313:Y方向移動部、315:ステージ、321:X方向駆動部、323:Y方向駆動部、331:Z軸方向移動部材、332:第1円盤部材、333:ピエゾアクチュエータ、334:第2円盤部材、334a、334b:孔部、336:ミラー固定用部材、337:ミラー、337a,337b:傾斜面、351a,351b,418:イメージセンサ、352a,352b,419:光学系、361:回動部材、363:カメラZ方向駆動部、365:カメラF方向駆動部、391:プレート、392:プレート駆動部、393,7355:チップ保持部、394,7393b,8391b:アーム、395:アーム駆動部、411,2411,4411:チップツール、411a,411b,2411b,2411c:貫通孔、413,2413:ヘッド本体部、415,416:中空部、432a,2432a:チップ支持部、432b,512,2432b:支持部駆動部、2413:押圧機構、2413a:押圧部、2413b:押圧駆動部、4411c:凹部、5042,6042:気流発生部、7031:フレキシブル基板支持ユニット、7039:チップ移載ユニット、7041:撮像ユニット、7316:支持体、7317:ガイドローラ、7320:支持体駆動部、7331,7393a:吸着部、7352,7353,7412:光路変換部材、7390:チップ搬送ユニット、7391:ベルヌーイチャック、7392:チャック駆動部、7393,8391:反転ユニット、7393c,8391c:反転駆動部、7394:搬送ヘッド、7394a,7394b,7394c,7413a,7413b:開口部、7395:搬送ヘッド駆動部、7413:筐体、7414:窓部材、8391a:チップ保持部、8392:反転ユニット搬送部、8393:チップ移載部、CP:チップ、CPf:接合面、FT:フレキシブル基板、FTf,WTf:実装面、Ga,Gb:撮影画像、TE:シート、L71,L72:光、MC1a,MC1b,MC2a,MC2b:アライメントマーク、OB1:軌跡、WT:基板