(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】フォーム組成物およびその硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープ
(51)【国際特許分類】
C08J 9/32 20060101AFI20220104BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220104BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20220104BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20220104BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220104BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20220104BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C08J9/32 CES
C09J7/38
C09J133/04
C09J123/00
C09J11/06
C08L23/00
C08L51/06
(21)【出願番号】P 2020526594
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2018014050
(87)【国際公開番号】W WO2019098727
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0154106
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボム・ドゥ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・シク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ナム・ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・シク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フン・ジョン
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-260956(JP,A)
【文献】特表2011-522080(JP,A)
【文献】特表2016-527367(JP,A)
【文献】特開2007-289357(JP,A)
【文献】特表2001-503813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J9/00-9/42、C09J7/00-7/50、
C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14,
B29C44/00-44/60、67/20-67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.7g/cm
3以上0.9g/cm
3以下の密度、-30℃以下のガラス転移温度、および50℃以上125℃以下の融点を有するオレフィン樹脂;および中空微小球を含
み、前記オレフィン樹脂は、シラン変性ポリオレフィンを含む、フォーム組成物の硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープであって、
前記フォームテープは、前記フォーム層の少なくとも一面上に備えられた粘着層をさらに含み、
前記粘着層は、アクリル系共重合体およびオレフィン樹脂を含む粘着組成物の硬化物を含むものである、フォームテープ。
【請求項2】
前記シラン変性ポリオレフィンは
、無変性ポリオレフィンに不飽和シラン化合物に由来する重合単位がグラフト重合されたものである、請求項
1に記載のフォーム
テープ。
【請求項3】
前記無変性ポリオレフィンは、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、オレフィンブロック共重合体、およびポリオレフィン系エラストマーのうちの少なくとも1つを含むものである、請求項
2に記載のフォーム
テープ。
【請求項4】
前記不飽和シラン化合物は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、およびビニルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つを含むものである、請求項
2または3に記載のフォーム
テープ。
【請求項5】
前記中空微小球の含有量は、前記オレフィン樹脂100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下である、請求項1から
4の何れか一項に記載のフォーム
テープ。
【請求項6】
前記粘着組成物の前記オレフィン樹脂の含有量は、前記アクリル系共重合体100重量部に対して、10重量部以上60重量部以下である、請求項
1から5の何れか一項に記載のフォームテープ。
【請求項7】
前記粘着組成物は、粘着付与剤をさらに含むものである、請求項
1から6の何れか一項に記載のフォームテープ。
【請求項8】
前記粘着付与剤の含有量は、前記アクリル系共重合体および前記オレフィン樹脂の総和100重量部に対して、5重量部以上40重量部以下である、請求項
7に記載のフォームテープ。
【請求項9】
前記粘着層と前記フォーム層の厚さ比は、1:1~1:10である、請求項
1から8の何れか一項に記載のフォームテープ。
【請求項10】
前記フォーム層の厚さは、0.2mm以上5mm以下である、請求項
1から9の何れか一項に記載のフォームテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年11月17日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0154106号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フォーム組成物およびその硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープに関する。
【背景技術】
【0003】
車両用部材を接合して車体を製造するために、部材の間にフォームテープを位置させて貼り合わせる方法が使用されている。
【0004】
最近、車体の軽量化傾向に伴い、薄い厚さおよび低い密度を有するフォーム層を有するフォームテープを介して、車体の軽量化が可能でありながらも優れた耐衝撃性を実現できるフォームテープに関する研究が活発に行われている。
【0005】
このような最近の技術的傾向に符合するために、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体またはスチレン-イソプレン-スチレン共重合体などのスチレン系ゴムを用いる方法が注目されている。しかしながら、前記方法は、相対的に高い密度を有するスチレン系ゴムを用いるので、車体の軽量化性能および耐衝撃性がやや不十分であるという問題点があった。
【0006】
そこで、車体の軽量化が可能でありながらも耐衝撃性に優れたフォームテープに関する研究が必要な現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2014-0133630号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、フォーム組成物およびその硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープを提供しようとする。
【0009】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、0.7g/cm3以上0.9g/cm3以下の密度、-30℃以下のガラス転移温度、および50℃以上125℃以下の融点を有するオレフィン樹脂;および中空微小球を含むフォーム組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の実施態様は、前記フォーム組成物の硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様に係るフォームテープは、耐寒性に優れている。
【0013】
本発明の一実施態様に係るフォームテープは、耐久性に優れている。
【0014】
本発明の一実施態様に係るフォームテープは、自動車用部材の接着用に用いられる場合、自動車車体の軽量化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本明細書において、用語「単量体の重合単位」は、その単量体が重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している形態を意味することができる。
【0017】
本明細書において、単位「重量部」は、各成分間の重量比率を意味することができる。
【0018】
本明細書において、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味することができる。
【0019】
本明細書において、用語「単量体」は、重合体を形成するための単位体を意味することができ、同一の繰り返し単位からなるプレポリマーを意味することができる。
【0020】
本明細書において、ある部材の厚さは、当該部材の断面を厚さゲージ(gauge)で測定することができる。
【0021】
本明細書において、用語「アルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素鎖構造を含むものを意味することができ、炭素数1~20の直鎖状または分枝状の炭素鎖構造を含むものを意味することができる。
【0022】
本明細書において、用語「シクロアルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むものを意味することができ、炭素数2~20の単一環(monocyclic ring)または多重環(polycyclic ring)を含むものを意味することができる。
【0023】
本明細書において、用語「ガラス転移温度(Glass Transition Temperature、Tg)」は、当該試験片をDSC(Differential Scanning Calorimeter、Q-1000、TA Instrument社)を用いて、-70℃~150℃の温度範囲で加熱速度10℃/minで昇温し測定して、DSC曲線の中間点として決定された値であってもよい。
【0024】
本明細書において、用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatography)によって測定されるポリスチレンに対する換算数値で測定されたものであってもよい。
【0025】
本発明者らは、従来の方式のようにフォーム層にスチレン-ブタジエン-スチレンまたはスチレン-イソプレン-スチレンなどのスチレン系ブロック共重合体から構成されるスチレン系ゴムを含んでフォームテープを製造する場合に問題点があることを確認した。具体的には、従来の方式は、前記スチレン系ゴムの高密度特性のため、フォームテープを自動車用部材に適用する時、車体の軽量化に適切でないことを確認した。本発明者らは、これを改善するための絶え間ない努力の末に、本発明に至った。
【0026】
具体的には、本発明者らは、スチレン系ゴムの代わりに、低密度のオレフィン樹脂を用いてフォームテープを製造する場合、耐久性に優れ、高い粘着力と引張強度を有し、車体の軽量化が可能であることを確認して、本発明に至った。
【0027】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0028】
本発明の一実施態様は、0.7g/cm3以上0.9g/cm3以下の密度、-30℃以下のガラス転移温度、および50℃以上125℃以下の融点を有するオレフィン樹脂;および中空微小球を含むフォーム組成物を提供する。
【0029】
本発明の一実施態様に係るフォーム組成物は、前記オレフィン樹脂、具体的には、前記範囲内の密度およびガラス転移温度を有するオレフィン樹脂を含むことにより、これを用いて製造されるフォーム層を含むフォームテープの耐久性を確保することができ、同時に、被着部材の軽量化を実現することができる。
【0030】
また、前記フォーム組成物は、前記オレフィン樹脂を含むことにより、下記で説明するようなフォームテープの粘着層に含まれるアクリル系共重合体との物理的・化学的結合力に優れ、高い粘着力および引張強度を有するフォームテープを提供することができる。
【0031】
本明細書において、オレフィン樹脂は、二重結合を含むオレフィン単位体の二重結合が単一結合に転換されて重合単位に含まれて、鎖(Chain)を形成するものであってもよい。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記オレフィン樹脂の密度は、0.7g/cm3以上0.9g/cm3以下、0.7g/cm3以上0.85g/cm3以下、0.8g/cm3以上0.9g/cm3以下、0.85g/cm3以上0.9g/cm3以下、または0.87g/cm3以上0.89g/cm3以下であってもよい。
【0033】
また、前記オレフィン樹脂の密度は、オレフィン樹脂の体積に対する質量を意味することができ、ASTM D1505規準に基づいて測定されたものであってもよい。
【0034】
前記密度範囲内のオレフィン樹脂を含むフォーム組成物を用いて製造されたフォーム層を含むフォームテープは、自動車用部材に適用する時、車体の軽量化を実現することができる。
【0035】
具体的には、前記オレフィン樹脂の密度が前記範囲に達しない場合、前記フォームテープは耐久性に劣り、フォームテープの強度が低下する問題点が発生することがあり、前記オレフィン樹脂の密度が前記範囲を超える場合、前記フォームテープが十分な粘着力を確保できないという問題点が発生することがある。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記オレフィン樹脂のガラス転移温度は、-30℃以下であってもよく、具体的には、-100℃以上-30℃以下、-100℃以上-40℃以下、-100℃以上-50℃以下、-70℃以上-30℃以下、-70℃以上-40℃以下、-70℃以上-50℃以下、-60℃以上-30℃以下、-60℃以上-40℃以下、-55℃以上-45℃以下、または-60℃以上-50℃以下であってもよい。
【0037】
前記ガラス転移温度範囲内のオレフィン樹脂を含むフォーム組成物を用いて製造されたフォーム層は、柔軟な物性を実現することができ、フォームテープの曲げ性を向上させることができる。
【0038】
具体的には、前記オレフィン樹脂のガラス転移温度範囲に達しない場合、下記で説明するフォームテープの打抜性に問題が発生することがあり、前記オレフィン樹脂のガラス転移温度範囲を超える場合、フォーム層の柔軟物性を実現できなくなって被着部材の軽量化の実現が困難になりうる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記オレフィン樹脂の融点(melting point、Tm)は、50℃以上125℃以下、50℃以上100℃以下、50℃以上91℃以下、50℃以上80℃以下、50℃以上70℃以下、55℃以上125℃以下、55℃以上100℃以下、55℃以上80℃以下、または55℃以上70℃以下であってもよい。
【0040】
前記オレフィン樹脂の融点範囲内で、耐熱性に優れていながらも高い引張強度および粘着力を有するフォームテープを提供することができる。具体的には、前記オレフィン樹脂の融点範囲内で、前記フォームテープの熱による損傷を最小化することができ、前記フォームテープが曲面などの形態を有する多様な部材にも容易に付着できるという利点がある。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム組成物は、中空微小球を含む。
【0042】
前記フォーム組成物が中空微小球を含むことにより、前記フォーム組成物の硬化時、フォームテープに含まれるフォーム層内に気泡を形成することができ、これによって、前記フォームテープに伸縮性および耐衝撃性を付与することができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記中空微小球は、中空状高分子微小球(Hollow Polymer Microsphere)であってもよい。
【0044】
本明細書において、用語「中空(Hollow)」は、中の空いている形態を意味し、用語「微小球(Microsphere)」は、微細な大きさの球状粒子を意味することができる。この時、「球状」は、幾何学的に完璧な球の形状を意味するものではなく、通常、球の形状と認識される形状を意味することができる。また、中の空いている形態は、液体または固体成分が含まれないものを意味し、視覚的に認知されない気体成分が含まれる。
【0045】
また、前記中空状高分子微小球は、低密度の高分子組成のものであって、低い比重を有するので、軽量化が可能で、加工が容易であり、相対的に少ない含有量で投入されて生産費用を節減できるという利点がある。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記中空微小球の粒子サイズは、30μm以上200μm以下、30μm以上85μm以下、55μm以上200μm以下、または55μm以上85μm以下であってもよい。
【0047】
前記中空微小球の粒子サイズ範囲内で、前記中空微小球は前記フォーム組成物内で適切に分散することができ、前記フォーム組成物の硬化物を含むフォーム層の耐衝撃性および伸縮性を実現することができる。
【0048】
本明細書において、前記中空微小球の粒子サイズは、AkzoNobel社から提供される技術告示(Technical Bulletin)第8b号に提示された基準により測定される中空微小球の粒子径を意味することができる。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記中空微小球の密度は、0.01g/cm3以上0.05g/cm3以下、0.01g/cm3以上0.04g/cm3以下、0.03g/cm3以上0.05g/cm3以下、または0.03g/cm3以上0.04g/cm3以下であってもよい。
【0050】
前記密度範囲内の中空微小球を含む場合、前記フォーム組成物は、微小中空球の飛散を防止することができ、フォーム層内で適切に分散させることができる。
【0051】
本明細書において、前記中空微小球の密度は、AkzoNobel社から提供される技術告示第26号に提示された基準により測定される中空微小球の単位体積あたりの質量を意味することができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記中空微小球の含有量は、前記オレフィン樹脂100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下、1重量部以上5重量部以下、2重量部以上10重量部以下、または2重量部以上5重量部以下であってもよい。
【0053】
前記含有量範囲内の中空微小球を含む場合、前記フォーム組成物は、収縮が容易でありながらも高い耐久性を有するフォーム層に製造できる。具体的には、前記含有量範囲内の中空微小球を含む場合、前記中空微小球が前記フォーム組成物内に均一に分散できるので、前記フォーム層は下記で説明するような粘着層と高い結合力で貼り合わされる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記オレフィン樹脂は、無変性ポリオレフィンおよびシラン変性ポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0055】
具体的には、前記オレフィン樹脂がシラン変性ポリオレフィンを含む場合、前記フォーム組成物は、以下に説明する粘着組成物内のアクリル系共重合体と化学的に結合してフォームテープのフォーム層と粘着層の分離を防止することができ、前記アクリル系共重合体によってフォーム組成物内の架橋結合を促進できる。
【0056】
また、前記オレフィン樹脂が前記無変性ポリオレフィンを含む場合、前記フォーム組成物が硬化されながら、以下に説明する粘着組成物内のアクリル系共重合体と化学的に結合してフォームテープのフォーム層と粘着層の分離を防止することができ、フォーム組成物が硬化されながらフォーム層内の成分間の架橋結合を促進できる。
【0057】
具体的には、前記オレフィン樹脂が前記無変性ポリオレフィンを含む場合、前記フォーム組成物が電子ビーム(Electron Beam)照射により硬化されながら、以下に説明する粘着組成物内のアクリル系共重合体と化学的に結合することができ、フォーム組成物が電子ビーム照射により硬化されながらフォーム層内の成分間の架橋結合を促進できる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記無変性ポリオレフィンは、オレフィン単位体の重合時、オレフィン単位体以外の別途の官能基が結合しないものを意味することができる。
【0059】
また、前記シラン変性ポリオレフィンは、オレフィン単位体のポリオレフィンへの重合時、シランを含む官能基が結合するか、重合されたポリオレフィンにシランを含む官能基が置換あるいは追加されたものを意味することができる。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記無変性ポリオレフィンに不飽和シラン化合物に由来する重合単位がグラフト重合されたものであってもよい。
【0061】
具体的には、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記無変性ポリオレフィンに含まれたオレフィン重合単位の一側主鎖に前記不飽和シラン化合物に由来する重合単位がグラフト重合されたものを意味することができる。すなわち、前記シラン変性ポリオレフィンは、不飽和シラン化合物に由来する重合単位に変性したオレフィン重合単位を含むことができる。
【0062】
すなわち、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記無変性ポリオレフィンに含まれたオレフィン重合単位の一側主鎖の炭素ラジカルと、前記不飽和シラン化合物に由来するケイ素ラジカルとが化学的に結合したもの、具体的には、ラジカル結合したものであってもよい。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記シラン変性ポリオレフィンは、無変性ポリオレフィン、不飽和シラン化合物、およびラジカル開始剤を反応させて製造されるものであってもよい。具体的には、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記無変性ポリオレフィン、不飽和シラン化合物、およびラジカル開始剤を含むシラン変性組成物を用いて製造されるものであってもよい。より具体的には、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記シラン変性組成物を反応押出して製造されるものであってもよい。
【0064】
すなわち、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記シラン変性組成物に高温・高圧雰囲気を組成して前記シラン変性組成物内の反応を誘導し、前記反応により製造された前記シラン変性組成物を押出することにより得られたものであってもよい。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記説明したように別途のシラン変性組成物を反応押出することにより別途に製造されて、前記フォーム組成物に投入される。
【0066】
また、前記シラン変性ポリオレフィンは、前記無変性ポリオレフィンを含むフォーム組成物に、不飽和シラン化合物およびラジカル開始剤を投入して反応させて製造され、具体的には、反応押出して製造されるものであってもよい。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記ラジカル開始剤は、前記無変性ポリオレフィンおよび前記不飽和シラン化合物それぞれがラジカルを形成するように誘導することができ、ラジカルが形成された前記無変性ポリオレフィンと前記不飽和シラン化合物とが化学的に結合して前記シラン変性ポリオレフィンが製造される。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記不飽和シラン化合物は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペントキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、およびビニルトリアセトキシシランのうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、これらに限定されるものではなく、前記無変性ポリオレフィンのシラン変性を誘導することができ、シランを含む化合物であれば制限なく使用可能である。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記ラジカル開始剤は、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-パーオキシ)ヘキサン、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、およびアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)のうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、これらに限定されるものではなく、前記無変性ポリオレフィンおよび前記不飽和シラン化合物にラジカルを形成できるものであれば、当業界で知られたラジカル開始剤の中から自由に選択可能である。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、不飽和シラン化合物の含有量は、前記無変性ポリオレフィン100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下、1重量部以上6重量部以下、2重量部以上10重量部以下、または2重量部以上6重量部以下であってもよい。
【0071】
一方、前記不飽和シラン化合物の含有量は、前記シラン変性ポリオレフィンが別途のシラン変性組成物を反応押出して製造される場合、前記シラン変性組成物に対する含有量を意味することができる。
【0072】
また、前記不飽和シラン化合物の含有量は、前記シラン変性ポリオレフィンが前記無変性ポリオレフィンを含むフォーム組成物に不飽和シラン化合物およびラジカル開始剤を投入して反応させて製造される場合、前記フォーム組成物に対する含有量を意味することができる。
【0073】
前記不飽和シラン化合物の含有量範囲内で、フォーム組成物に含まれたシラン変性ポリオレフィンの粘着層内のアクリル系共重合体との相溶性を十分に確保することにより、前記粘着層との結合力を向上させることができる。また、前記不飽和シラン化合物の含有量範囲内で、前記無変性ポリオレフィンが十分に変性するようにして、フォーム層の耐久性を確保することができる。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記ラジカル開始剤の含有量は、前記無変性ポリオレフィン100重量部に対して、0.01重量部以上1重量部以下、0.01重量部以上0.2重量部以下、0.02重量部以上1重量部以下、または0.02重量部以上0.2重量部以下であってもよい。
【0075】
一方、前記ラジカル開始剤の含有量は、前記シラン変性ポリオレフィンが別途のシラン変性組成物を反応押出して製造される場合、前記シラン変性組成物に対する含有量を意味することができる。
【0076】
また、前記ラジカル開始剤の含有量は、前記シラン変性ポリオレフィンが前記無変性ポリオレフィンを含むフォーム組成物に不飽和シラン化合物およびラジカル開始剤を投入して反応させて製造される場合、前記フォーム組成物に対する含有量を意味することができる。
【0077】
前記ラジカル開始剤の含有量範囲内で、前記無変性ポリオレフィンに結合可能な重合単位、具体的には、前記不飽和シラン化合物に由来する重合単位が十分に生成されて、前記無変性ポリオレフィンを前記不飽和シラン化合物に十分に変性させることができ、前記シラン変性ポリオレフィンの化学的安定性を確保することができる。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記無変性ポリオレフィンは、超低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene;ULDPE)、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene;LDPE)、線状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene;LLDPE)、メタロセンポリエチレン、オレフィンブロック共重合体、およびポリオレフィン系エラストマーのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0079】
具体的には、前記無変性ポリオレフィンは、登録商標LUCENEの製品名LC168、LC175、LC565、LC875、LC100、LC160、LC161、LC170、LC180、LC670、LC180、およびLF100(以上、LG化学社製)のうちの少なくとも1つを含むことができる。しかし、必ずしもこれらに制限されるものではなく、三井化学、ダウ・ケミカル社などの当業界で一般的に知られた製造会社で市販の低密度のポリオレフィンエラストマーを含むことができる。
【0080】
本明細書において、超低密度ポリエチレンはASTM D792規準に基づいて測定される密度が約0.86g/cm3~0.915g/cm3のポリエチレンを、低密度ポリエチレンはASTM D792規準に基づいて測定される密度が約0.916g/cm3~0.935g/cm3のポリエチレンを意味することができる。
【0081】
また、本明細書において、用語「エラストマー」は、外力を加えると伸び、外力を除去すれば本来の長さに戻ろうとする性質を有する重合体を意味することができる。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム組成物は、着色剤をさらに含んでもよい。前記着色剤を含むことにより、最終製造物品の特性によって前記フォーム組成物を用いて製造されるフォーム層を含む多層粘着テープの色相を適切に調節することができる。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤としては、1種以上の顔料、染料、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、黒色顔料として、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、アニリンブラックからなる群より選択される1種以上を含むことができる。また、前記着色剤は、有機染料として、アゾ系染料、アントラキノン系染料、金属錯塩アゾ系染料、クロム系染料、インジゴ系染料、またはアゾイック系染料であってもよい。さらに、前記着色剤は、有機顔料として、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、レーキ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、またはキナフタロン系顔料であってもよい。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記着色剤は、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ペリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リノールイエロー(C.I.21090)、リノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T-564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.ピグメントレッド(PIGMENT RED)3、23、97、108、122、139、140、141、142、143、144、149、166、168、175、177、180、185、189、190、192、202、214、215、220、221、224、230、235、242、254、255、260、262、264、272;C.I.ピグメントグリーン(PIGMENT GREEN)7、36、58;C.I.ピグメントブルー(PIGMENT blue)15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、28、36、60、64;C.I.ピグメントイエロー(PIGMENT yellow)13、14、35、53、83、93、95、110、120、138、139、150、151、154、175、180、181、185、194、213;またはC.I.ピグメントバイオレット(PIGMENT VIOLET)15、19、23、29、32、37であってもよい。具体的には、前記着色剤は、銅を中心金属とするフタロシアニン系錯化合物、または亜鉛を中心金属とするフタロシアニン系錯化合物であってもよい。ただし、これらに限定されるものではなく、前記着色剤としては、通常の顔料または染料を使用することができる。
【0086】
本発明の他の実施態様は、フォームテープを提供する。
【0087】
具体的には、本発明の一実施態様は、前記フォーム組成物の硬化物を含むフォーム層を含むフォームテープを提供する。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム層は、前記フォーム組成物の硬化物を含むことができる。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム層は、前記フォーム組成物を用いて製造されるものであってもよく、具体的には、前記フォーム層は、前記フォーム組成物を硬化して製造されるものであってもよい。より具体的には、前記フォーム層は、前記フォーム組成物を押出してフィルム形態に加工した後、これを硬化して製造されたものであってもよい。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム層は、前記フォーム組成物を押出機、具体的には、二軸押出機(Twin Extruder)で混合した後、押出してフィルム形態に加工し、その後これを硬化して製造できる。この場合、前記フォーム層に含まれる前記ポリオレフィン樹脂および中空微小球の混合が円滑に行われ、これによって、前記フォーム層内に前記中空微小球を適切に分散することができる。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、フォームテープが前記フォーム層を含むことにより、その耐久性を増大させることができ、これを自動車用部材に適用する場合、車体の軽量化を実現することができる。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム組成物の硬化物は、シラン架橋ポリオレフィンを含むことができる。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記シラン架橋ポリオレフィンは、1つのシラン変性ポリオレフィンと他の1つのシラン変性ポリオレフィンとが架橋結合したものであってもよい。具体的には、前記シラン架橋ポリオレフィンは、1つのシラン変性ポリオレフィンの重合単位内のケイ素と他の1つのシラン変性ポリオレフィンの重合単位内のケイ素とが化学的に結合したもの、具体的には、ラジカル結合したものであってもよい。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム層の密度は、0.2g/cm3以上0.9g/cm3以下、0.2g/cm3以上0.8g/cm3以下、0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下、または0.3g/cm3以上0.8g/cm3以下であってもよい。
【0095】
前記フォームテープのフォーム層の密度範囲内で、前記フォームテープの柔軟物性を実現することができ、耐衝撃性を確保することができ、前記フォームテープが付着する部材の軽量化を可能にすることができる。
【0096】
本明細書において、前記フォーム層の密度は、当業界で一般的に知られた密度の測定方法により測定されたものであってもよい。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記フォームテープは、前記フォーム層の少なくとも一面上に備えられた粘着層をさらに含んでもよい。すなわち、前記フォームテープは、粘着層をさらに含むことができ、前記粘着層は、前記フォーム層の少なくとも一面上に備えられる。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、前記フォームテープの密度は、0.2g/cm3以上0.9g/cm3以下、0.2g/cm3以上0.8g/cm3以下、0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下、または0.3g/cm3以上0.8g/cm3以下であってもよい。前記フォームテープの密度が前記範囲内の場合、フォームテープの柔軟物性を実現することができ、耐衝撃性を確保することができ、前記フォームテープが付着する部材の軽量化を可能にすることができる。
【0099】
本明細書において、前記フォームテープの密度は、当業界で一般的に知られた密度の測定方法により測定されたものであってもよい。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、アクリル系共重合体、およびオレフィン樹脂を含む粘着組成物の硬化物を含むことができる。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、前記粘着組成物を硬化して製造されるものであってもよい。具体的には、前記粘着層は、前記粘着組成物を押出してフィルム形態に加工した後、これを硬化して製造されたものであってもよい。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、前記粘着組成物を押出機、具体的には、二軸押出機(Twin Extruder)で混合した後、押出してフィルム形態に加工し、その後これを硬化して製造できる。この場合、前記粘着組成物に含まれる前記アクリル系共重合体およびオレフィン樹脂の混合が円滑に行われる。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層のオレフィン樹脂は、前述したオレフィン樹脂と同一であってよい。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体は、当業界で一般的に知られた熱溶融(hot-melt、ホットメルト)型アクリル系樹脂を意味することができる。すなわち、前記アクリル系共重合体は、加熱される場合に溶融して、これを含む組成物内で適切に分散することができる。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0106】
また、前記アクリル系共重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、および極性官能基含有単量体のうちの少なくとも1つを重合して製造されるものであってもよい。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前述したアルキル基が(メタ)アクリレート単量体に結合したものであってもよい。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、およびイソオクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前述したシクロアルキル基が(メタ)アクリレート単量体に結合したものであってもよい。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、イソボルニルメチル(メタ)アクリレート、および3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有単量体は、極性官能基が結合した単量体であってもよい。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有単量体は、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシ基含有単量体、および窒素含有単量体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、前記ヒドロキシ基含有単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、3-カルボキシプロピルアクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、およびアクリル酸二量体のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、前記窒素含有単量体は、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリルアミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0116】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、-90℃以上-20℃以下、-90℃以上-30℃以下、-80℃以上-20℃以下、または-80℃以上-30℃以下であってもよい。
【0117】
前記アクリル系共重合体のガラス転移温度範囲内で、前記粘着組成物を用いて製造された粘着層の柔軟物性を確保することができ、前記粘着層と前記フォーム層との間の化学的結合を促進させることができ、前記フォーム層と粘着層の剥離を効果的に防止することができる。
【0118】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、50,000(g/mol)以上700,000(g/mol)以下、50,000(g/mol)以上600,000(g/mol)以下、100,000(g/mol)以上700,000(g/mol)以下、または100,000(g/mol)以上600,000(g/mol)以下であってもよい。
【0119】
前記アクリル系共重合体の重量平均分子量範囲内で、前記粘着組成物を用いて製造された粘着層は、前記フォーム層と効率的に貼り合わされ、前記粘着層を含むフォームテープは、被着対象部材に優れた接着力で付着できる。
【0120】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物に含まれる前記オレフィン樹脂の含有量は、前記アクリル系共重合体100重量部対比、10重量部以上60重量部以下、10重量部以上50重量部以下、10重量部以上45重量部以下、35重量部以上60重量部以下、35重量部以上50重量部以下、35重量部以上45重量部以下、40重量部以上60重量部以下、40重量部以上50重量部以下、または40重量部以上45重量部以下であってもよい。
【0121】
前記含有量範囲内のオレフィン樹脂を含む粘着組成物は、これを用いて製造される粘着層を含むフォームテープの高い粘着力および低密度特性を同時に実現することができる。
【0122】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、粘着付与剤をさらに含んでもよい。前記粘着組成物が粘着付与剤をさらに含むことにより、前記粘着層の前記フォーム層および/または付着対象部材に対する粘着力を向上させることができる。
【0123】
また、前記粘着付与剤の種類は特に制限されるものではなく、当業界で知られた一般的なロジン系、テルペン系、炭化水素系、フェノール系、およびケトン系粘着付与剤の中から選択された1種以上であってもよい。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物に含まれる前記粘着付与剤の含有量は、前記アクリル系共重合体および前記オレフィン樹脂の総和100重量部に対して、5重量部以上40重量部以下、5重量部以上20重量部以下、5重量部以上15重量部以下、7重量部以上40重量部以下、7重量部以上20重量部以下、7重量部以上15重量部以下、9重量部以上40重量部以下、9重量部以上20重量部以下、または9重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0125】
前記範囲内の粘着付与剤をさらに含む粘着組成物は、これを用いて製造された粘着層を含むフォームテープの粘着力の向上効果を極大化することができる。
【0126】
具体的には、前記粘着付与剤の含有量範囲内で、前記粘着層が前記フォーム層と十分に結合することにより、前記フォームテープの耐久性を確保することができ、前記粘着層の耐久性を確保することができる。
【0127】
本発明の一実施態様によれば、前記フォームテープは、前記粘着組成物および前記フォーム組成物それぞれをフィルム形態に加工した後、これを貼り合わせて製造されるものであってもよい。
【0128】
具体的には、前記フォームテープは、粘着組成物およびフォーム組成物それぞれを別途の押出機を用いて押出してフィルム形態に加工し、これを順次に積層した後、圧着して貼り合わせ、その後これを電子ビーム照射により硬化させることで製造できる。
【0129】
本発明の一実施態様によれば、前記電子ビームの線量は、40kGy以上100kGy以下、40kGy以上60kGy以下、50kGy以上100kGy以下、または50kGy以上60kGy以下であってもよい。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層と前記フォーム層の厚さ比は、1:1~1:10または1:2~1:5であってもよい。
【0131】
前記粘着層と前記フォーム層の厚さ比範囲内で、多層粘着テープの高い粘着力を確保することができ、同時に、軽量化特性を実現することができる。
【0132】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム層の厚さは、0.2mm以上5mm以下、0.2mm以上3mm以下、0.2mm以上1.5mm以下、0.5mm以上5mm以下、0.5mm以上3mm以下、0.5mm以上1.5mm以下、0.7mm以上5mm以下、0.7mm以上3mm以下、または0.7mm以上1.5mm以下であってもよい。
【0133】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層の厚さは、0.02mm以上0.5mm以下、0.02mm以上0.3mm以下、0.02mm以上0.15mm以下、0.05mm以上0.5mm以下、0.05mm以上0.3mm以下、0.05mm以上0.15mm以下、0.07mm以上0.5mm以下、0.07mm以上0.3mm以下、または0.07mm以上0.15mm以下であってもよい。
【0134】
また、前記粘着層の厚さは、前記フォーム層の厚さに応じて前記厚さ比を示すように適宜調節可能である。
【0135】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物および/または前記フォーム組成物は、無溶剤型であってもよい。すなわち、前記粘着組成物および/または前記フォーム組成物は、別途の溶媒を含まないものであってもよい。
【0136】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム組成物および/または粘着組成物は、別途の押出機に投入されて混合されるものであるので、別途の溶媒なくても円滑に混合されてそれぞれフォーム層および粘着層を形成することができる。
【0137】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層と前記フォーム層は、化学的に結合したものであってもよい。
【0138】
具体的には、前記フォーム組成物が無変性ポリオレフィンを含む場合、前記電子ビーム照射による硬化により、前記フォーム組成物に含まれた無変性ポリオレフィンと、前記粘着組成物に含まれたアクリル系共重合体とが化学的に結合したものであってもよい。
【0139】
本発明の一実施態様によれば、前記フォーム組成物がシラン変性ポリオレフィンを含む場合、前記フォーム組成物に含まれたシラン変性ポリオレフィンと、前記粘着組成物に含まれたアクリル系共重合体とは化学的に結合、具体的には、シラン縮合反応により結合することができる。
【0140】
この場合、前記粘着層と前記フォーム層とが化学的に結合するために電子ビーム照射が必ずしも要求されるものではなく、別途の電子ビーム照射がなくても化学的に結合可能である。
【実施例】
【0141】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0142】
[製造例1]-シラン変性ポリオレフィンの製造
0.87g/cm3の密度、約-55℃のガラス転移温度、および約50℃の融点を有するポリオレフィンエラストマー100重量部対比、約4重量部のビニルトリメトキシシラン(Vinyltrimethoxy Silane;VTMS)およびパーオキサイド系ラジカル開始剤約0.1重量部を反応押出してシラン変性ポリオレフィンを製造した。製造例1によるシラン変性ポリオレフィンの密度は0.88g/cm3、ガラス転移温度は約-54℃、および融点は約51℃であった。
【0143】
[製造例2]-シラン変性ポリオレフィンの製造
製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、0.89g/cm3の密度、約-45℃のガラス転移温度、および約91℃の融点を有するポリオレフィンエラストマーを用いたことを除き、製造例1と同様の方法でシラン変性ポリオレフィンを製造した。製造例2によるシラン変性ポリオレフィンの密度は0.90g/cm3、ガラス転移温度は約-46℃、および融点は約92℃であった。
【0144】
[製造例3]-シラン変性ポリオレフィンの製造
製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、0.93g/cm3の密度、約-25℃のガラス転移温度、および約130℃の融点を有する線状ポリエチレンを用いたことを除き、製造例1と同様の方法でシラン変性ポリオレフィンを製造した。製造例3によるシラン変性ポリオレフィンの密度は0.94g/cm3、ガラス転移温度は約-47℃、および融点は約93℃であった。
【0145】
[実施例1]-フォームテープの製造
製造例1によるシラン変性ポリオレフィン100重量部対比、約4.5重量部の中空微小球(Expancel 950 DE 120、AkzoNobel社)を含むフォーム組成物を製造した。
【0146】
さらに、アクリル系樹脂として2-エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸が共重合されたアクリル系共重合体、ポリオレフィン樹脂として製造例1で使用したポリオレフィンエラストマー、および粘着付与剤(regalite s1000、Eastman社)を含む粘着組成物を製造した。
【0147】
前記粘着組成物に含まれたポリオレフィン樹脂の含有量は、前記アクリル系共重合体100重量部対比、約42.85重量部であり、前記粘着付与剤の含有量は、前記アクリル系共重合体および前記オレフィン樹脂の総和100重量部対比、約10重量部であった。
【0148】
前記粘着組成物を二軸押出機を用いて約0.1mmの厚さに反応押出してフィルム形態の粘着層を形成し、前記フォーム組成物を二軸押出機を用いて約1mmの厚さに反応押出してフィルム形態のフォーム層を形成した。
【0149】
前記粘着層およびフォーム層を圧着して、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0150】
[実施例2]-フォームテープの製造
粘着組成物の製造時、ポリオレフィン樹脂として、製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態の粘着層およびフィルム形態のフォーム層を形成した。
【0151】
前記粘着層およびフォーム層を圧着し、線量60kGyの電子ビームを照射することにより、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0152】
[実施例3]-フォームテープの製造
フォーム組成物の製造時、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンの代わりに、製造例2によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態のフォーム層を形成した。
【0153】
粘着組成物の製造時、ポリオレフィン樹脂として、製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、製造例2によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態の粘着層を形成した。
【0154】
前記粘着層およびフォーム層を圧着し、線量60kGyの電子ビームを照射することにより、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0155】
[実施例4]-フォームテープの製造
フォーム組成物の製造時、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンの代わりに、製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態のフォーム層を形成した。
【0156】
粘着組成物の製造時、ポリオレフィン樹脂として、製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態の粘着層を形成した。
【0157】
前記粘着層およびフォーム層を圧着し、線量60kGyの電子ビームを照射することにより、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0158】
[比較例1]-フォームテープの製造
フォーム組成物の製造時、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンの代わりに、スチレン-イソプレン-スチレンゴム(vector4111、TRSC/Dexco社製)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態のフォーム層およびフィルム形態の粘着層を形成した。
【0159】
前記粘着層およびフォーム層を圧着し、線量60kGyの電子ビームを照射することにより、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0160】
[比較例2]-フォームテープの製造
フォーム組成物の製造時、製造例1によるシラン変性ポリオレフィンの代わりに、製造例3によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態のフォーム層を形成した。
【0161】
粘着組成物の製造時、ポリオレフィン樹脂として、製造例1で使用したポリオレフィンエラストマーの代わりに、製造例3によるシラン変性ポリオレフィンを用いたことを除き、実施例1と同様の方法でフィルム形態の粘着層を形成した。
【0162】
前記粘着層およびフォーム層を圧着し、線量60kGyの電子ビームを照射することにより、粘着層、フォーム層、および粘着層が順次に備えられた約0.5g/cm3の密度を有するフォームテープを製造した。
【0163】
架橋度の測定
実施例1~実施例4および比較例1~比較例2によるフォームテープの架橋度は、下記式1のような方法で測定された。
[式1]
架橋度(%)=(C-B)/A
式1中、
前記Aは、5cm×5cmの大きさに裁断した実施例1~実施例4および比較例1~比較例2によるフォームテープ試験片の重量であって、前記試験片が投入されたキシレン溶媒が入ったポリエチレン素材の瓶の重量と、キシレン溶媒のみ入ったポリエチレン素材の瓶の重量との差で測定されたものであり、
前記Bは、14cm×14cmの大きさに裁断した#200の鉄製網の重量を意味し、
前記Cは、前記試験片を前記鉄製網で濾過した後、前記試験片の残留物が残っている前記鉄製網を110℃の恒温条件で2時間乾燥した後に測定した重量を意味する。
【0164】
剥離強度の測定
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate;PET)フィルム上に、実施例1~実施例4および比較例1~比較例2によるフォームテープを積層した後、積層されたフォームテープの他面をテープストリップで研磨された横2.5cm×縦11cmのステンレススチール基材に付着させて、剥離強度測定のための試験片を製造した。
【0165】
前記試験片を25℃および50RH%の恒温恒湿条件で24時間保管した。そして、前記試験片をInstron測定器を用いて、25℃および50RH%の恒温恒湿条件下、300mm/minの剥離速度、90゜の剥離角度で剥離強度を測定した。
【0166】
引張強度および破断延伸率の測定
実施例1~実施例4および比較例1~比較例2によるフォームテープを中間部分で幅が0.635mmのドッグボーン形状に裁断して、引張強度および破断延伸率測定のための試験片を製造した。
【0167】
前記試験片の末端をInstron測定器に固定させた後、300mm/minの引張速度で引っ張って、前記試験片が破断する時の強度を引張強度とし、破断する時の引張された長さにより破断延伸率(%)を測定した。
【0168】
実施例1~実施例4および比較例1~比較例2による物性評価の結果は、下記表1の通りである。
【0169】
【0170】
表1によれば、実施例1~実施例4のフォームテープは、耐衝撃性を実現するのに十分な架橋度を有することを確認することができた。また、実施例1~実施例4のフォームテープは、優れた粘着物性、具体的には、高い剥離強度、引張強度および破断延伸率を有することを確認することができた。
【0171】
これに対し、オレフィン樹脂を含まず、スチレン系ゴムを含むフォーム組成物を用いて製造されたフォーム層を含む比較例1のフォームテープの場合、架橋度の面では実施例と大差はないものの、剥離強度、引張強度および破断延伸率は実施例にはるかに達していないことを確認することができた。また、0.93g/cm3の密度、約-25℃のガラス転移温度、および約130℃の融点を有する線状ポリエチレンを用いて製造したシラン変性ポリオレフィンを含むフォーム組成物を用いて製造されたフォーム層を含む比較例2のフォームテープの場合にも、架橋度の面では実施例と大差はないものの、剥離強度、引張強度および破断延伸率は実施例にはるかに達していないことを確認することができた。
【0172】
したがって、本発明に係るフォーム組成物は、密度、ガラス転移温度、および融点が調節されたポリオレフィン樹脂を含むことにより、軽量化特性を実現しながらも優れた粘着物性を有するフォームテープを実現できることが分かる。