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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 G
H05K3/46 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017015230
(22)【出願日】2017-01-31
(65)【公開番号】P2017143254
(43)【公開日】2017-08-17
【審査請求日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】15/040,564
(32)【優先日】2016-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平林 慧一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳史
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 洋一
(72)【発明者】
【氏名】エドマンド ブラックシェア
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ダブリュ.クインラン
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-194381(JP,A)
【文献】特開2009-289805(JP,A)
【文献】特開2015-225912(JP,A)
【文献】特開2013-042164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板を製造する方法であって、
第1のチップキャパシタを埋め込んだ第1のキャパシタ担持層を形成し、
第2のチップキャパシタを埋め込んだ第2のキャパシタ担持層を形成し、
前記第1のキャパシタ担持層の第1の絶縁層の上面上に配置される上部絶縁層と、前記第1のキャパシタ担持層の第2の絶縁層の下面上に配置される中央絶縁層であり、前記第2のキャパシタ担持層が当該中央絶縁層の下面上に配置される、中央絶縁層と、前記第2のキャパシタ担持層の第2の絶縁層の下面上に配置される下部絶縁層と、を有する接合ラミネートを形成し、
前記上部絶縁層の外表面及び前記下部絶縁層の外表面まで前記接合ラミネートを貫いて延在するスルーホールを形成し、且つ
前記スルーホール内に導電コーティングを形成することで、導電スルーホールを提供し、
前記第1のキャパシタ担持層は、上面、下面、及び第1の開口部分を持つ第1のコア基板と、前記第1の開口部分に埋め込まれる、第1の電極及び第2の電極を持つ前記第1のチップキャパシタと、該上面上に配置される前記第1の絶縁層と、該下面上に配置される前記第2の絶縁層と、を有し、
前記第2のキャパシタ担持層は、上面、下面、及び第2の開口部分を持つ第2のコア基板と、前記第2の開口部分に埋め込まれる、第1の電極及び第2の電極を持つ前記第2のチップキャパシタと、該上面上に配置される前記第1の絶縁層と、該下面上に配置される前記第2の絶縁層と、を有し、
前記第1のキャパシタ担持層を形成する工程は、完全に硬化されている前記第1のコア基板を第1のキャリア上に配置する工程と、前記第1の開口部分に露出する前記第1のキャリア上に前記第1のチップキャパシタを配置する工程と、前記第1のコア基板上及び前記第1のチップキャパシタ上に第1の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第1の半硬化絶縁層を押圧して前記第1のコア基板及び前記第1のチップキャパシタに接着する工程と、前記第1のキャリアを除去する工程と、前記第1のコア基板の前記第1のキャリアを除去した側に第2の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第2の半硬化絶縁層を押圧して前記第1のコア基板及び前記第1のチップキャパシタに接着する工程と、前記第1の半硬化絶縁層及び前記第2の半硬化絶縁層を同時に硬化させる工程と、を含み、
前記第2のキャパシタ担持層を形成する工程は、完全に硬化されている前記第2のコア基板を第2のキャリア上に配置する工程と、前記第2の開口部分に露出する前記第2のキャリア上に前記第2のチップキャパシタを配置する工程と、前記第2のコア基板上及び前記第2のチップキャパシタ上に第3の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第3の半硬化絶縁層を押圧して前記第2のコア基板及び前記第2のチップキャパシタに接着する工程と、前記第2のキャリアを除去する工程と、前記第2のコア基板の前記第2のキャリアを除去した側に第4の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第4の半硬化絶縁層を押圧して前記第2のコア基板及び前記第2のチップキャパシタに接着する工程と、前記第3の半硬化絶縁層及び前記第4の半硬化絶縁層を同時に硬化させる工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のキャパシタ担持層は、該第1の絶縁層を貫いて延在して該第1の電極と導電接触する第1の上部導電ビアと、該第1の絶縁層を貫いて延在して該第2の電極と導電接触する第2の上部導電ビアと、該第2の絶縁層を貫いて延在して該第1の電極と導電接触する第1の下部導電ビアと、該第2の絶縁層を貫いて延在して該第2の電極と導電接触する第2の下部導電ビアとを有し、
前記第2のキャパシタ担持層は、該第1の絶縁層を貫いて延在して該第1の電極と導電接触する第1の上部導電ビアと、該第1の絶縁層を貫いて延在して該第2の電極と導電接触する第2の上部導電ビアと、該第2の絶縁層を貫いて延在して該第1の電極と導電接触する第1の下部導電ビアと、該第2の絶縁層を貫いて延在して該第2の電極と導電接触する第2の下部導電ビアとを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電スルーホールを絶縁体で充填することで、絶縁体充填導電スルーホールを形成する、ことを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁体充填導電スルーホールを覆って上部導電キャップ及び下部導電キャップを形成する、ことを更に有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のキャパシタ担持層の、前記第1の上部導電ビア、前記第2の上部導電ビア、前記第1の下部導電ビア、及び前記第2の下部導電ビアは、前記第1のキャパシタ担持層の独立したそれぞれの導電体への独立した電気接続のために構成され、前記第2のキャパシタ担持層の、前記第1の上部導電ビア、前記第2の上部導電ビア、前記第1の下部導電ビア、及び前記第2の下部導電ビアは、前記第2のキャパシタ担持層の独立したそれぞれの導電体への独立した電気接続のために構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のチップキャパシタは、複数の離間された第1の開口部分に埋め込まれる複数の第1のチップキャパシタを有し、前記第2のチップキャパシタは、複数の離間された第2の開口部分に埋め込まれる複数の第2のチップキャパシタを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のチップキャパシタが前記第2のチップキャパシタの上に配置されるように、前記第1のキャパシタ担持層を前記第2のキャパシタ担持層に対して位置合わせする、ことを更に有する請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記配線基板は、マイクロプロセッサ接合部分を有し、前記第1のチップキャパシタ及び前記第2のチップキャパシタは、前記マイクロプロセッサ接合部分の下で前記配線基板に埋め込まれる、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接合ラミネートを形成することは、
順に、上部プリプレグ層、前記第1のキャパシタ担持層、中央プリプレグ層、前記第2のキャパシタ担持層、及び下部プリプレグ層を積み重ね、且つ
圧力及び温度の下で、前記上部プリプレグ層、前記中央プリプレグ層、及び前記下部プリプレグ層をラミネートすることで、前記接合ラミネート、並びに、前記上部絶縁層、前記中央絶縁層、及び前記下部絶縁層を形成する
ことを有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接合ラミネートを貫いて延在するスルーホールを形成することは、前記接合ラミネートを貫いて機械的に孔を開けることを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロファラッド域の低インダクタンスキャパシタンスが、マイクロプロセッサコアのデカップリングのために必要とされている。そのようなキャパシタンスを提供することには、例えば深溝(ディープトレンチ)オンボードキャパシタ、MIMcap、及びインターポーザ技術などの、マイクロプロセッサ内へのキャパシタンスの組み込み、並びに、表面実装キャパシタ、裏面キャパシタ、及び埋込キャパシタを含むマイクロプロセッサ配線基板上へのキャパシタンスの組み込みを含めて、数多くのアプローチが存在する。上述のアプローチは全て有用ではあるが、それらは、例えば16コアから24コアなどの比較的多数のコアを持つ先進マイクロプロセッサとの使用にとって望ましくないものとなり得る制限を有する。例えば、マイクロプロセッサ上にキャパシタンスを置くアプローチの使用は、多数のコアに付随する回路密度のために制限される。
【0003】
これに関連して、マイクロプロセッサの下又はその陰の中を含め、可能な限りマイクロプロセッサの近くにキャパシタを置くために、埋込キャパシタを有する配線基板の使用が望ましい。しかしながら、現行の単層埋込キャパシタを有する配線基板は、マイクロプロセッサの下に十分なキャパシタを設けることができない。積層埋込キャパシタを有する配線基板が提案されているが、それらの基板設計に関連する内部配線アーキテクチャは、十分な内部接続能力を提供せず、且つ/或いは積層された複数のキャパシタが個別にアクセスされることを可能にする柔軟さを提供しない。例えば、特許文献1に、積層埋込キャパシタを有する配線基板が開示されている。その開示において、積層されたキャパシタの最も内側の電極同士が互いに電気的に接続されている。これら内側の電極は独立アクセス可能でなく、そのことが、様々な回路設計で積層埋込キャパシタを使用するときに配線基板及びマイクロプロセッサの設計者の柔軟性を制限し、特に、多数のマイクロプロセッサコアを有するマイクロプロセッサ回路設計で必要なデカップリングキャパシタンスを提供するのに積層埋込キャパシタを使用できることを制限してしまう。
【0004】
故に、特に、大きいサイズ又はフットプリントと比較的多数のコアとを持つマイクロプロセッサとの使用のために、そして、より特には、マイクロプロセッサの下で配線基板にキャパシタが埋め込まれ得るように、個々の積層埋込キャパシタへのアクセスを高める能力を含め、キャパシタ電極への改善されたアクセスと回路設計の改善された柔軟性とを提供する積層埋込キャパシタ設計を開発することが非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2013/0105943号明細書
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、配線基板を製造する方法が開示される。当該方法は、第1のチップキャパシタを埋め込んだ第1のキャパシタ担持層を形成し、第2のチップキャパシタを埋め込んだ第2のキャパシタ担持層を形成し、前記第1のキャパシタ担持層の第1の絶縁層の上面上に配置される上部絶縁層と、前記第1のキャパシタ担持層の第2の絶縁層の下面上に配置される中央絶縁層であり、前記第2のキャパシタ担持層が当該中央絶縁層の下面上に配置される、中央絶縁層と、前記第2のキャパシタ担持層の第2の絶縁層の下面上に配置される下部絶縁層と、を有する接合ラミネートを形成し、前記上部絶縁層の外表面及び前記下部絶縁層の外表面まで前記接合ラミネートを貫いて延在するスルーホールを形成し、且つ前記スルーホール内に導電コーティングを形成することで、導電スルーホールを提供し、前記第1のキャパシタ担持層は、上面、下面、及び第1の開口部分を持つ第1のコア基板と、前記第1の開口部分に埋め込まれる、第1の電極及び第2の電極を持つ前記第1のチップキャパシタと、該上面上に配置される前記第1の絶縁層と、該下面上に配置される前記第2の絶縁層と、を有し、前記第2のキャパシタ担持層は、上面、下面、及び第2の開口部分を持つ第2のコア基板と、前記第2の開口部分に埋め込まれる、第1の電極及び第2の電極を持つ前記第2のチップキャパシタと、該上面上に配置される前記第1の絶縁層と、該下面上に配置される前記第2の絶縁層と、を有し、前記第1のキャパシタ担持層を形成する工程は、完全に硬化されている前記第1のコア基板を第1のキャリア上に配置する工程と、前記第1の開口部分に露出する前記第1のキャリア上に前記第1のチップキャパシタを配置する工程と、前記第1のコア基板上及び前記第1のチップキャパシタ上に第1の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第1の半硬化絶縁層を押圧して前記第1のコア基板及び前記第1のチップキャパシタに接着する工程と、前記第1のキャリアを除去する工程と、前記第1のコア基板の前記第1のキャリアを除去した側に第2の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第2の半硬化絶縁層を押圧して前記第1のコア基板及び前記第1のチップキャパシタに接着する工程と、前記第1の半硬化絶縁層及び前記第2の半硬化絶縁層を同時に硬化させる工程と、を含み、前記第2のキャパシタ担持層を形成する工程は、完全に硬化されている前記第2のコア基板を第2のキャリア上に配置する工程と、前記第2の開口部分に露出する前記第2のキャリア上に前記第2のチップキャパシタを配置する工程と、前記第2のコア基板上及び前記第2のチップキャパシタ上に第3の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第3の半硬化絶縁層を押圧して前記第2のコア基板及び前記第2のチップキャパシタに接着する工程と、前記第2のキャリアを除去する工程と、前記第2のコア基板の前記第2のキャリアを除去した側に第4の半硬化絶縁層を配置する工程と、前記第4の半硬化絶縁層を押圧して前記第2のコア基板及び前記第2のチップキャパシタに接着する工程と、前記第3の半硬化絶縁層及び前記第4の半硬化絶縁層を同時に硬化させる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ここに開示される配線基板を製造する方法の一実施形態を例示するフローチャートである。
図2】ここに開示される積層埋込キャパシタを有する配線基板の模式断面図である。
図3】ここに開示されるキャパシタ担持層を製造する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図4図3に示した製造方法における基板(コア基板)を用意する処理を例示する図である。
図5】基板内のスルーホール導体及び基板上の導電層を形成する第1の処理を例示する図である。
図6図5での処理に続く第2の処理を例示する図である。
図7図6での処理に続く第3の処理を例示する図である。
図8A図5-7に示した処理によって形成される導電層の形状の第1の例を示す図である。
図8B図5-7に示した処理によって形成される導電層の形状の第2の例を示す図である。
図9図3に示した製造方法におけるキャビティを形成する処理を例示する図である。
図10図3に示した製造方法においてキャビティが形成された後の基板を示す図である。
図11図3に示した製造方法におけるキャビティを有する基板をキャリアに取り付ける処理を例示する図である。
図12図3に示した製造方法におけるキャビティ内にキャパシタを位置付ける処理を例示する図である。
図13図3に示した製造方法においてキャビティ内にキャパシタが位置付けられた状態を示す図である。
図14図3に示した製造方法における絶縁基板上及びキャパシタ上に第1の層間絶縁層及び第1の銅箔を形成する処理を例示する図である。
図15A図3に示した製造方法における押圧処理を例示する図である。
図15B図15Aでの押圧後の状態を示す図である。
図16図3に示した製造方法における、キャリアが除去された後に絶縁基板上及びキャパシタ上に第2の層間絶縁層及び第2の銅箔を形成する処理を例示する図である。
図17図3に示した製造方法における、各導電層の導電パターンをキャパシタの電極に電気接続するために第1及び第2の層間絶縁層上に導電層を形成する第1の処理を例示する図である。
図18A図17での処理に続く第2の処理を例示する図である。
図18B図18Aでの処理に続く第3の処理を例示する図である。
図18C図18Bでの処理に続く第4の処理を例示する図である。
図19図18Cの処理に続く第5の処理を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面、特に図1及び2、を参照するに、例えばプリント配線基板などの配線基板500を製造する方法1が開示されている。方法1は、第1のキャパシタ担持層510を形成すること10を含んでいる。方法1はまた、第2のキャパシタ担持層520を形成すること20を含んでいる。方法1は更に、第1のキャパシタ担持層510上に配置される上部絶縁層530と、反対側で第1のキャパシタ担持層510上に配置される中央絶縁層540であり、第2のキャパシタ担持層520が、第1のキャパシタ担持層510とは反対側で中央絶縁層540上に配置される、中央絶縁層540と、中央絶縁層540とは反対側で第2のキャパシタ担持層520上に配置される下部絶縁層550とを有する接合ラミネート505を形成すること30を含んでいる。より更には、方法1は、上部絶縁層530から下部絶縁層550まで接合ラミネート505を貫いて延在するスルーホール560を形成すること40を含んでいる。方法1はまた、スルーホール560内に導電コーティング570を形成すること50で、導電スルーホール565を提供することを含んでいる。方法1は特に、非常に大きい(例えば、28mm×28mm、又は28mm×25mm)マルチコア(例えば、16-24コア)マイクロプロセッサ586用のデカップリングキャパシタとして利用されることが可能な、例えば24-48個のキャパシタなどの、多数の積層埋込キャパシタ580を含む配線基板500の構築を可能にするので有利である。さらに、多数の積層埋込キャパシタ580を用いる配線基板500の構築は、マイクロプロセッサの中又は上に組み込むことなく、可能な限りマイクロプロセッサ586の近くにキャパシタを置くことを可能にする。方法1及び配線基板500は、配線基板500上の非常に大きいサイズのマイクロプロセッサ586を効果的にデカップリングするための新たな方法及び装置を提供する。
【0010】
方法1は、第1のキャパシタ担持層510を形成すること10を含んでいる。第1のキャパシタ担持層510は、上面514と、下面516と、第1の開口部分518とを持つ第1のコア基板512を有する。第1のコア基板512は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、様々な実施形態において約150μmから約250μmを含み、より特には約175μmから約225μmを含み、一実施形態において約200μmを含む。第1の開口部分518に、第1の電極524と第2の電極526とを持つ第1のチップキャパシタ522が埋め込まれる。上面514上に第1の絶縁層528が配設される。下面516上に第2の絶縁層532が配設される。絶縁層528、532はまた、それらの外表面にそれぞれのメタライゼーション層533、535を含むことができ、メタライゼーション層533、535は、例えば、一実施形態において約21μmから約25μm(公称21μm)とし得る任意の好適厚さ(t)を持つ。第1のコア基板512は、その外表面に、一実施形態において約21μmから約25μmとし得る任意の好適厚さ(t)を持つメタライゼーション層513、515を有し得る。第1の上部導電ビア534が、第1の絶縁層528を貫いて延在して第1の電極524と導電接触している。第2の上部導電ビア536が、第1の絶縁層528を貫いて延在して第2の電極526と導電接触している。第1の下部導電ビア538が、第2の絶縁層532を貫いて延在して第1の電極524と導電接触している。第2の下部導電ビア542が、第2の絶縁層532を貫いて延在して第2の電極526と導電接触している。第1のキャパシタ担持層510は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、様々な実施形態において約350μmから約550μmの範囲、より特には約400μmから約500μmの範囲、更に特には約425μmから約475μmの範囲とすることができ、一実施形態において約450μmを含む。絶縁層528、532は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、約150μmから約250μmを含み、より特には約175μmから約225μmを含み、一実施形態において約200μmを含む。チップキャパシタ522は、如何なる好適厚さを有していてもよく、概して、メタライゼーション層513、515と第1のコア基板512との厚さの和よりも小さい厚さを有し、これは、一実施形態において、約150μmから220μmよりも小さい。
【0011】
方法1はまた、第2のキャパシタ担持層520を形成すること20を含んでいる。第2のキャパシタ担持層520は、上面554と、下面556と、第2の開口部分558とを持つ第2のコア基板552を有する。第2のコア基板552は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、様々な実施形態において約150μmから約250μmを含み、より特には約175μmから約225μmを含み、一実施形態において約200μmを含む。第2の開口部分558に、第1の電極564と第2の電極566とを持つ第2のチップキャパシタ562が埋め込まれる。上面554上に第1の絶縁層568が配設される。下面556上に第2の絶縁層572が配設される。絶縁層568、572はまた、それらの外表面にそれぞれのメタライゼーション層561、563を含むことができ、メタライゼーション層561、563は、例えば、一実施形態において約21μmから約25μm(公称21μm)とし得る任意の好適厚さを持つ。第2のコア基板552は、その外表面に、一実施形態において約21μmから約25μm(公称21μm)とし得る任意の好適厚さ(t)を持つメタライゼーション層553、555を有し得る。第1の上部導電ビア574が、第1の絶縁層568を貫いて延在して第1の電極564と導電接触している。第2の上部導電ビア576が、第1の絶縁層568を貫いて延在して第2の電極566と導電接触している。第1の下部導電ビア578が、第2の絶縁層572を貫いて延在して第1の電極564と導電接触している。第2の下部導電ビア582が、第2の絶縁層572を貫いて延在して第2の電極566と導電接触している。第2のキャパシタ担持層520は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、様々な実施形態において約350μmから約550μmの範囲、より特には約400μmから約500μmの範囲、更に特には約425μmから約475μmの範囲とすることができ、一実施形態において約450μmを含む。絶縁層568、572は、如何なる好適厚さを有していてもよく、この好適厚さは、約150μmから約250μmを含み、より特には約175μmから約225μmを含み、一実施形態において約200μmを含む。チップキャパシタ562は、如何なる好適厚さを有していてもよく、概して、メタライゼーション層553、555と第2のコア基板552との厚さの和よりも小さい厚さを有し、これは、一実施形態において、約150μmから220μmよりも小さい。
【0012】
方法1はまた、第1のキャパシタ担持層510の第1の絶縁層528の上面527上に配置された上部絶縁層530を有する接合ラミネート505を形成すること30を含んでいる。接合ラミネート505はまた、第1のキャパシタ担持層510の第2の絶縁層532の下面531上に配置された中央絶縁層540を含む。接合ラミネート505はまた、中央絶縁層540の下面539上に配置された第2のキャパシタ担持層520と、第2のキャパシタ担持層520の第2の絶縁層572の下面571上に配置された下部絶縁層550とを含む。一実施形態において、接合ラミネート505を形成すること30は、1)未硬化のポリマー樹脂を複数の繊維に埋め込んで有する上部のプリ含浸層又はプリプレグ層600と、第1のキャパシタ担持層510と、中央プリプレグ層610と、第2のキャパシタ担持層520と、下部プリプレグ層620とを順に積み重ねること32、2)積み重ねた層を押圧すること、及び3)上部プリプレグ層600、中央プリプレグ層610、及び下部プリプレグ層620の未硬化ポリマー樹脂を硬化又は重合させること36で、接合ラミネート505、上部絶縁層530、中央絶縁層540、及び下部絶縁層550を形成することを有する。例えば様々なエポキシ及びガラス繊維材料など、好適な樹脂及び繊維材料を含む如何なる好適なプリプレグ材料が使用されてもよい。
【0013】
方法1は更に、上部絶縁層530の外表面529及び下部絶縁層550の外表面549まで接合ラミネート505を貫いて延在するスルーホール560を形成すること40を含んでいる。一実施形態において、接合ラミネート505を貫いて延在するスルーホール560を形成すること40は、コンピュータ制御される機械ドリルを用いて接合ラミネート505を貫いて機械的に孔を開けること42を有する。スルーホールは、好適な直径(d)及び高さを含め、如何なる好適なサイズを有していてもよい。一実施形態において、スルーホールは直径で約200μmであり、スルーホールの高さ(h)は、一実施形態において800μmから1200μmである接合ラミネート505の厚さを貫いて延在する。スルーホール560は、所定の位置で配線基板500の至る所に位置付けられ得る複数のスルーホールを含み得る。
【0014】
方法1はまた、スルーホール560内に導電コーティング570を形成すること50で導電スルーホール565を提供することを含んでいる。一実施形態において、スルーホール内に導電コーティング570を形成すること50は、電解めっき又は無電解めっきの何れかを用いて、スルーホール560の周縁の全体の中及び周りに金属コーティング層570をめっきすることを有する。一実施形態において、金属コーティング層570は、純金属又は金属合金を有し、より特には、ここに記載されるものを含め、銅又は銅合金を有し得る。方法1はまた、導電スルーホール565を絶縁体573で充填すること60で絶縁体充填導電スルーホール575を形成することを含み得る。この絶縁体は、上部、中央及び下部のプリプレグ層を形成するのに用いられる樹脂とは異なる樹脂を含め、何らかの好適な樹脂を含み得る。絶縁体充填導電スルーホール575は、配線基板500の厚さを貫く共通の電気経路(これは、配線基板500の厚さ全体を貫く電源バス及び/又はグランドバスを供するのに有用であるとともに、配線基板500のそれぞれの層のうちの何れの間でも信号通信を可能にする)を提供するので、非常に有利である。絶縁体充填導電スルーホール575及びそれを作製するのに使用される方法1の部分はまた、第1のキャパシタ担持層510の様々な層の各々を形成すること10及び第2のキャパシタ担持層520の様々な層の各々を形成すること20の間に、一般的に中空ではない金属スルーホールで、スルーホールを構築することを必要としないので、あるいは、必要とされる非中空金属スルーホールの数を有意に削減するので、非常に有利である。一実施形態において、方法1、並びに、スルーホール560を形成すること40、導電コーティング570を形成すること50、及び導電スルーホール565を絶縁体573で充填すること60を使用することで、配線基板500が複数の絶縁体充填導電スルーホール575を含むように、複数のスルーホール560並びに対応する導電コーティング570及び絶縁体573を組み込み得る。一実施形態において、方法1はまた、絶縁体充填導電スルーホール575を覆って上部導電キャップ577及び下部導電キャップ579を形成すること70を含むことができ、また、他の実施形態において、形成すること70によって、複数の絶縁体充填導電スルーホール575を覆う複数の上部導電キャップ577及び下部導電キャップ579が作製され得る。上部導電キャップ577及び下部導電キャップ579は、例えば銅又は様々な銅合金などの金属を含むことができ、また、例えばここに記載されるようなめっきなどの、好適な如何なる方法によって形成されてもよい。
【0015】
一実施形態において、方法1及び第1のキャパシタ担持層510を形成すること10は、第1のキャパシタ担持層510の第1の上部導電ビア534、第2の上部導電ビア536、第1の下部導電ビア538、及び第2の下部導電ビア542が、第1のキャパシタ担持層510の独立したそれぞれの導電体への独立した電気接続のために構成されるようにして実行される。同様に、方法1及び第2のキャパシタ担持層520を形成すること20は、第1の上部導電ビア574、第2の上部導電ビア576、第1の下部導電ビア578、及び第2の下部導電ビア582が、第2のキャパシタ担持層520の独立したそれぞれの導電体への独立した電気接続のために構成されるようにして実行される。これは非常に有利である。というのは、積層された第1のチップキャパシタ及び第2のチップキャパシタの、それらそれぞれのビアを介した独立した電気接続が、デカップリングキャパシタとしてのこれらキャパシタの個別使用を可能にして、例えば、これらキャパシタがマルチコアマイクロプロセッサ内の複数の異なるコアをデカップリングするために使用されることが可能なようにし得るからである。これは、従来技術に係る積層キャパシタ設計(例えば、積層されたキャパシタの隣接し合う電極が互いに電気接続される)と比較して、有意に改善された回路設計柔軟性を回路設計者に提供する。
【0016】
方法1の一実施形態において、積み重ねること32は、第1のチップキャパシタ522が第2のチップキャパシタ562の上に配置されるように、第1のキャパシタ担持層510を第2のキャパシタ担持層520に対して位置合わせすること34を含む。方法1及び配線基板500の他の一実施形態において、第1のチップキャパシタ522は、複数の離間された第1の開口部分518に埋め込まれた複数の第1のチップキャパシタ522を有し、第2のチップキャパシタ562は、複数の離間された第2の開口部分558に埋め込まれた複数の第2のチップキャパシタ562を有する。この実施形態において、位置合わせすること34は、それら第1のチップキャパシタ522がそれぞれの第2のチップキャパシタ562の上に配置されるように、第1のキャパシタ担持層510を第2のキャパシタ担持層520に対して位置合わせすることを有する。方法1及び配線基板500のこの実施形態において、配線基板500はまた、例えば、配線基板500の最も外側の表面588上の、マイクロプロセッサ586の長さ及び幅におおよそ一致する所定の領域内に複数の接合コンタクト又はパッド587を組み入れることによってなどで、マイクロプロセッサ586の電気接続のために構成されたマイクロプロセッサ接合部分584を含むことができ、複数の第1のチップキャパシタ522及び複数の第2のチップキャパシタ562は、マイクロプロセッサ接合部分584の下で配線基板500に埋め込まれる。一例として、マイクロプロセッサ接合部分584のサイズは、ここに記載されるマイクロプロセッササイズ(例えば、28mm×28mm、又は28mm×25mm)と同じとしてもよく、また、好適な如何なる個数のC4コンタクト又はパッド589(図2)を含んでいてもよく、特定の実施形態において、約24000個に至る接合コンタクト又はパッド587を含む。
【0017】
第1のキャパシタ担持層510を形成すること10及び第2のキャパシタ担持層520を形成すること20は、同じ方法及び材料を用いて実行され得る。好適な如何なる方法及び材料が使用されてもよい。一実施形態において、第1のキャパシタ担持層510を形成すること10及び第2のキャパシタ担持層520を形成すること20は、米国特許第8829357号に記載された方法及び材料を用いて実行されることができ、この文献の全体をここに援用する。一実施形態において、第1のキャパシタ担持層510を形成すること10及び第2のキャパシタ担持層520を形成すること20は、後述のようにして実行され得る。
【0018】
第1のキャパシタ担持層510を形成すること10及び/又は第2のキャパシタ担持層520を形成すること20のための1つの方法を、図3及びその他の図を参照して説明する。図3は、一実施形態に従った、第1のキャパシタ担持層510を形成すること10及び/又は第2のキャパシタ担持層520を形成すること20のための内容及び処理を概略的に示すフローチャートである。
【0019】
処理(S11)にて、図4に示すような開始材料として、両面銅張りラミネート1000が用意される。両面銅張りラミネート1000は、基板100、512、552(コア基板)と、基板100、512、552の第1表面(F1、514、554)上に形成された銅箔1001と、基板100、512、552の第2表面(F2、516、556)上に形成された銅箔1002とを有している。本実施形態において、基板100、512、552は、この段階で完全に硬化されているガラスエポキシからなる。
【0020】
次に、図3の処理(S12)にて、オプションのスルーホール導体(300b)及び導電層(301、513、553、302)が、図4-19で形成される。スルーホール導体(300b)及び付随するスルーホールビア導体(312b、322b)は選択的なものである(図19)。一実施形態において、配線基板500は、図2に例示したような基板の厚さ全体を貫いて延在する導電スルーホール565のみを含む。他の実施形態において、配線基板500並びに第1のキャパシタ担持層510及び/又は第2のキャパシタ担持層520は、導電スルーホール565と、処理S12-S17にて説明されて図4-19に例示されるような、スルーホール導体(300b)及び付随するスルーホールビア導体(312b、322b)を含むこれら担持層内の導電スルーホールとの双方を含む。これら担持層内の導電スルーホールは、配線基板内の更なる内部導体経路を提供し、ボード内での高められた設計柔軟性及び回路密度を提供する。
【0021】
具体的には、図4に示すように、例えばCOレーザ900を用いて、両面銅張りラミネート1000を第1表面(F1、514、554)側から照射することで孔1003が形成され、両面銅張りラミネート1000を第2表面(F2、516、556)から照射することで孔1004が形成される(図5)。孔1003及び孔1004の形状及びサイズは、好適な如何なる形状及び/又はサイズであってもよい。孔(1003、1004)は、X-Y平面上で実質的に同じ位置に形成され、これらが最終的に接続されて、両面銅張りラミネート1000を貫通するスルーホール(300a)を形成する。スルーホール(300a)の形状は、例えば、スルーホール導体(300b)に対応して砂時計状である(図7参照)。孔1003と孔1004との境界が、最も狭い部分(300c)に相当する(図5-7参照)。第1表面(F1)でのレーザ照射及び第2表面(F2、516、556)でのレーザ照射は、同時に行われてもよいし、一度に一表面ずつ行われてもよい。スルーホール(300a)が形成された後、スルーホール(300a)表面でデスミア処理を行うことが好ましい。デスミア処理により、不所望の導通(回路短絡)が抑制される。さらに、レーザ光の吸収効率を高めるため、レーザ照射に先立って、銅箔(1001、1002)の表面で黒色酸化物(黒染め)処理を行ってもよい。レーザを用いることに代えて、スルーホール(300a)は、ドリル、エッチング、又はこれらに類するものを用いて形成されてもよい。しかしながら、レーザを用いて加工することによって、微細加工が容易にされる。とりわけ、基板100、512、552の熱膨張係数が低いときには、ドリルを用いることは困難であるので、レーザ加工が有効である。
【0022】
次に、図6に示すように、銅箔(1001、1002)上及びスルーホール(300a)内に、例えばパネルめっき法を用いて、例えば銅めっき1005が形成される。具体的には、めっきが実行される。一実施形態において、先ず無電解めっきを実行し、続いて、無電解めっきされた膜をシード層として、めっき溶液を用いて電解めっきを実行することで、めっき1005が形成される。従って、スルーホール(300a)内にめっき1005が充填されて、スルーホール導体(300b)が形成される。
【0023】
次に、例えば、基板上に付与されたエッチングレジストとエッチング溶液とを用いて、基板100、512、552の第1表面(F1、514、554)及び第2表面(F2、516、556)の上に形成された各導電層がパターニングされる。具体的には、導電層301、513、553、又は302、515、555に一致するパターンを持つエッチングレジストによって各導電層が覆われ、エッチングレジストによって覆われていない各導電層の部分(エッチングレジストの開口部分を通して露出された部分)がエッチング除去される。そうすることで、図7に示すように、基板100、512、552の第1表面(F1、514、554)及び第2表面(F2、516、556)の上に、それぞれ、導電層(301、513、553)及び導電層(302、515、555)が形成される。好適な如何なる形態の金属エッチングが使用されてもよい。エッチングは湿式に限定されず、乾式もまた使用され得る。
【0024】
本実施形態において、後に例えば図10で示すキャビティ(穴)(R10、518、558)に対応した、図8Aに示す領域(R100)内では、基板100、512、552上に導電層301、513、553は形成されない。導電層301、513、553がこのような導電パターンを有する場合、形成すべきキャビティ(R10、518、558)の位置及び形状が明らかであるので、例えばパンチ、ルーター、又はその他の穴形成ツールの使用などによる穴形成ツール511を用いた後の処理(図3の処理(S13))でキャビティを形成することが、いっそう容易である。
【0025】
しかしながら、導電層301、513、553の導電パターンは、図8Aに示すパターンに限定されるものではない。例えば、図8Bに示すように、例えばパンチ、ルーター、又はその他の穴形成ツールの使用などによる後の処理(図3の処理(S13))で除去すべき基板100、512、552の部分のみから、導電層301、513、553を除くことも1つの選択肢である。そのような場合、導電層301、513、553は、穴形成ツールによって除去されることになる部分の内側にも存在する。導電層301、513、553がこのように形成されるとき、キャビティ(図10に示すR10、518、558)を形成するときに穴形成ツールを位置合わせすることも、いっそう容易である。
【0026】
また、図8Aに示すように、本実施形態において導電層301、513、553はアライメントマーク(301a)を有している。アライメントマーク(301a)は、例えば、後の処理(図3の処理(S14))で光学的に認識可能なパターンであり、例えば、エッチング又はそれに類するものにより導電体を部分的に除去することによって形成される。本実施形態において、アライメントマーク(301a)は、領域(R100)の周り(例えば、四隅)に配置されている。しかしながら、これは唯一の選択肢ではない。好適な如何なる形状及び位置若しくは配置のアライメントマーク(301a)が使用されてもよい。アライメントマーク(301a)の位置決め及び形状は、具体的に限定されるものではない。
【0027】
次に、図3の処理(S13)にて、キャビティ(図10のR10、518、558)が基板100、512、552(コア基板)内に形成される。本実施形態において、図9に示すように、例えば機械的なパンチ、ルーター、又はその他の穴形成ツールなどの、穴形成ツール511(図9)を基板100、512、552と接触させることで、図10に示すようなキャビティ(R10、518、558)が形成される。具体的には、例えば、図8Aに示すように、穴形成ツール511を用いて例えば長方形などの形状を除去することで、キャビティ(R10、518、558)に対応する基板100、512、552の領域(R100)がその周囲部分から切り離されるようにされる。穴形成ツール511は、例えば、基板100、512、552の第1表面(F1、514、554)に対して実質的に垂直に導入される。従って、図10に示すようにキャビティ(R10、518、558)が形成される。キャビティ(R10、518、558)は穴形成ツール511によって形成されるので、本実施形態においてキャビティ(R10、518、558)を形成することは容易である。キャビティ(R10、518、558)は、チップキャパシタ200、522、562用の収容空間となる。
【0028】
次に、図3の処理(S14)にて、基板100、512、552のキャビティ(R10、518、558)内にチップキャパシタ200、522、562が位置付けられる。
【0029】
具体的には、図11に示すように、例えば粘着テープ又はPET(ポリエチレンテレフタレート)を含め、何らかの好適材料からなるキャリア1006が、基板100、512、552の片面(例えば、第2表面(F2))上に配置される。従って、キャビティ(R10、518、558)の一方の開口部がキャリア1006によって覆われる。本実施形態において、キャリア1006は粘着シート(例えばテープなど)からなり、その粘着側が基板100、512、552に面している。キャリアは、例えばラミネーションによって、基板100、512、552に接着される。
【0030】
次に、図12に示すように、キャビティ(R10、518、558)の覆われた開口部とは反対側の開口部(Z1側)からキャビティ(R10、518、558)内に、チップキャパシタ200、522、562が配置される。チップキャパシタ200、522、562は、例えば部品マウンタを用いて、キャビティ(R10、518、558)に入れられる。例えば、チップキャパシタ200、522、562は、真空チャック又はそれに類するものの上に保持され、キャビティ(R10、518、558)(Z1側)の上方の領域に搬送され、その領域から鉛直に下降され、そしてキャビティに入れられる。従って、チップキャパシタ200、522、562は、図13に示すように、キャリア1006(粘着シート)上に位置付けられる。チップキャパシタ200、522、562の位置を決めるとき、アライメントマーク(301a)(図8A、8B参照)を使用することが好ましい。そうすることで、チップキャパシタ200、522、562とキャビティ(R10、518、558)とのアライメント精度が高められる。
【0031】
本実施形態において、チップキャパシタ200、522、562の第1及び第2の電極(210、524、564、及び220、526、566)並びに導電層(301、513、553、及び302、515、555)の表面は、粗面化されていない。しかしながら、これらは、要求に応じて、エッチング又はそれに類するものによって粗面化されてもよい。
【0032】
次に、図3の処理(S15)にて、図14に示すように、基板100、512、552の第1表面(F1、514、554)の上、及びキャビティ(R10、518、558)(穴)の覆われた開口部とは反対側(Z1側)であるキャパシタ200、522、562の第3表面(F3)の上に、半硬化絶縁層101(第1の層間絶縁層の前段階のもの(プリカーサ))が配置される。また、第1の絶縁層101、528、568の上に銅箔111(第1の銅箔)が配置される。第1の絶縁層101は、例えば、ガラスエポキシプリプレグからなる。次いで、図15Aに示すように、半硬化絶縁層101を押圧することによって、絶縁層101からキャビティ(R10)に樹脂が流し込まれる。従って、図15Bに示すように、基板100、512、552とキャビティ(R10、518、558)内のチップキャパシタ200、522、562との間の隙間(R1)に絶縁体(101a)(絶縁層101の樹脂)が充填される。その時間中、基板100、512、552とチップキャパシタ200、522、562との間の隙間が狭い場合には、例えチップキャパシタがしっかりと固定されていなくても、キャビティ(R10、518、558)に流れ込む樹脂の激しさがチップキャパシタ200、522、562の位置ずれ又は望ましくない傾斜を生じさせることは殆どない。ここで、絶縁体(101a)は、基板100、512、552又はチップキャパシタ200、522、562の何れよりも大きい熱膨張係数を持つ。
【0033】
キャビティ(R10)に絶縁体(101a)が充填された後、充填樹脂(絶縁体101a)とキャパシタ200とが前もって接着される。具体的には、充填樹脂が加熱されて、それがキャパシタ200を支持することができる程度までの保持力を得る。そうすることで、キャリア1006によって支持されたキャパシタ200が、充填樹脂によって支持される。その後、キャリア1006が除去される。
【0034】
この段階において、絶縁体(101a)(充填樹脂)及び絶縁層101は、半硬化されているのみであり、完全には硬化されていない。しかしながら、これは唯一の選択肢ではなく、絶縁体(101a)及び絶縁層101は、例えば、硬化された第1の絶縁層101、528、568を形成するよう、この段階で完全に硬化されてもよい。
【0035】
次に、図3の処理(S16)にて、基板100、512、552の第2表面(F2、516、556)側にビルドアップ部分が形成される。
【0036】
具体的には、図16に示すように、基板100の第2表面(F2)上に絶縁層102(第2の層間絶縁層の前段階のもの)及び銅箔121(第2の銅箔)が位置付けられる。絶縁層102は、例えば、ガラスエポキシプリプレグからなる。次いで、例えば押圧することによって、半硬化された絶縁層102が基板100、512、552及びチップキャパシタ200、522、562に接着され、そして、絶縁層(101、102)が各々熱硬化されて、(硬化された)第1の絶縁層101、528、568及び(硬化された)第2の絶縁層103、532、572を形成する。本実施形態において、キャビティ(R10、518、558)に充填される樹脂は、粘着シート(キャリア1006)が除去された後に硬化されるので、絶縁層(101、102)を同時に硬化させることができる。両方の表面の絶縁層(101、102)を同時に硬化させることにより、基板100、512、552の反りが抑制され、より薄い基板を作製することがいっそう容易である。
【0037】
図3の後続処理(S17)にて、ビア導体及び導電層が形成される。
【0038】
特に、例えばレーザを用いることにより、図17に示すように、硬化された絶縁層101、528、568及び銅箔111の中に、孔(311a、312a)(各々がビアホール)が形成され、硬化された絶縁層102、532、572及び銅箔121の中に、孔(321a、322a)(各々がビアホール)が形成される。孔(311a、312a)は各々、硬化された絶縁層101、528、568及び銅箔111を貫通し、孔(321a、322a)は各々、硬化された絶縁層102、532、572及び銅箔121を貫通する。そして、孔(311a、321a)は各々、キャパシタ200、522、562の電極210、524、564、又は220、526、566に達し、孔(312a、322a)は各々、スルーホール導体(300b)の直上のスポットに達する。
【0039】
次に、図18A(複製した参照符号付けは、スペースの制約により図18A-19では止めているが、これらの図にも適用可能であることが当業者によって理解されるであろう)に示すように、例えば化学めっき法を用いて、銅箔(111、121)の上及び孔(311a、312a、321a、322a)の中に、例えば無電解銅めっき膜(1007、1008)などのめっき膜が形成される。無電解めっきに先立って、例えば浸漬によって、絶縁層(101、102)の表面上に、パラジウム又はそれに類するものからなる触媒を吸着させてもよい。
【0040】
次に、図18Bに示すように、リソグラフィ技術、印刷、又はこれらに類するものの使用により、第1表面(F1、514、554)側の(無電解めっき膜1007上の)主表面に、開口部分(1009a)を有するめっきレジスト1009が形成され、第2表面(F2、516、556)側の(無電解めっき膜1008上の)主表面に、開口部分(1010a)を有するめっきレジスト1010が形成される。開口部分(1009a、1010a)は、それぞれ、導電層(110、120)(図19)に対応するパターンを持つ。
【0041】
次に、図18Cに示すように、例えばパターンめっき法を用いて、例えば電解銅めっき(1011、1012)が、それぞれ、めっきレジスト(1009、1010)の開口部分(1009a、1010a)内に形成される。具体的には、めっきする材料としての銅がアノードに接続され、めっきされるべき材料としての無電解めっき膜(1007、1008)がカソードに接続され、そして、基板がめっき溶液に浸漬される。次いで、無電解めっき膜(1007、1008)の表面に銅が堆積されるように電流を流すよう、両極間にDC電圧が印加される。従って、ビアホール(311a、312a)及びビアホール(321a、322a)の中にそれぞれ電解めっき(1011、1012)が充填されて、例えば銅めっきからなるビア導体(311b、312b、321b、322b)が形成される。そして、完成した第1のキャパシタ担持層510及び/又は第2のキャパシタ担持層520が、ここに記載された配線基板を製造する方法1に従って使用され得る。
【0042】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示したものであり、網羅的であることや、開示した実施形態に限定されることを意図したものではない。記載された実施形態の範囲及び精神を逸脱することなく、数多くの変更及び変形が当業者に明らかになるであろう。ここで使用した用語は、実施形態の原理、実用的な適用、又は商業界で見出されるテクノロジーに対する技術改善を最も良く説明するために、あるいは、ここに開示した実施形態を当業者が理解することを可能にするために選んだものである。
【符号の説明】
【0043】
500 配線基板
505 接合ラミネート
510、520 キャパシタ担持層
100、512、552 キャパシタ担持層のコア基板
R10、518、558 キャビティ(コア基板の開口部分)
200、522、562 チップキャパシタ
210、524、564 チップキャパシタの第1の電極
220、526、566 チップキャパシタの第2の電極
530 上部絶縁層
540 中央絶縁層
550 下部絶縁層
560 スルーホール
565 導電スルーホール
570 導電コーティング
573 絶縁体
575 絶縁体充填導電スルーホール
577 上部導電キャップ
579 下部導電キャップ
584 マイクロプロセッサ接合部分
600 上部プリプレグ層
610 中央プリプレグ層
620 下部プリプレグ層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19