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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空間的原子層堆積用の加熱源
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20220105BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20220105BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/46
H05B3/14 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018508198
(86)(22)【出願日】2016-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 US2016047142
(87)【国際公開番号】W WO2017031102
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-08-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】62/206,247
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ギャリー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ユドフスキー, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ベラ, カロル
(72)【発明者】
【氏名】オズガン, オマー
【合議体】
【審判長】辻本 泰隆
【審判官】▲吉▼澤 雅博
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-18924(JP,A)
【文献】特開2013-183075(JP,A)
【文献】国際公開第2014/17650(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/46
H05B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面、底面、及び外縁を有し、黒鉛を含む本体と、
前記本体内に配置された材料の連続した部分を備え、複数の回転方向ゾーンのうち対応する回転方向ゾーンに配置される少なくとも1つの加熱要素と
を備える装置であって、
各回転方向ゾーンは前記装置の中心の周囲に種々の角度で配置される、装置。
【請求項2】
前記本体が、少なくとも約1150℃を超える温度に耐えることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記本体上に熱分解被覆をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱要素が熱分解黒鉛を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記本体が、前記頂面から前記底面まで前記本体を貫通する開口をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加熱要素に接続された温度測定デバイスをさらに備える装置であって、前記温度測定デバイスは電圧計または電流計のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記本体に接触している温度測定デバイスをさらに備える装置であって、前記温度測定デバイスはサーミスタ及び熱電対のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記本体が、ほぼ黒鉛のみを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前面を有するガス分配アセンブリと、
前記ガス分配アセンブリの前記前面に面する頂面、及び底面を有するサセプタアセンブリであって、前記頂面は内部に複数の凹部を有し、各凹部は処理中に基板を支持するようにサイズ決めされているサセプタアセンブリと、
黒鉛を含み且つ頂面が前記サセプタアセンブリの前記底面に面している本体を有し、前記本体内に少なくとも1つの加熱要素を含む加熱装置であって、前記少なくとも1つの加熱要素は、複数の回転方向ゾーンのうち対応する回転方向ゾーンに配置され、各回転方向ゾーンは前記加熱装置の中心の周囲に種々の角度で配置される、加熱装置と
を含む、処理チャンバ。
【請求項10】
前記加熱装置は、前記サセプタアセンブリ上に置かれた基板を約700℃よりも高い温度に加熱するのに十分な温度まで、前記サセプタアセンブリを加熱するのに有効である、請求項9に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記加熱装置は480V電源に接続されている、請求項9に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
前記480V電源と付近の部品との間にインシュレーターをさらに備える、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項13】
前記サセプタアセンブリは、支持体ポストによって支持されており、前記加熱装置の前記本体は、前記頂面から前記底面まで前記本体を貫通する開口をさらに備え、前記支持体ポストは前記本体内の前記開口を前記本体に接触することなく貫通する、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
前記サセプタアセンブリの前記頂面上の基板の温度を測定するために置かれた高温計を備える温度測定デバイスをさらに備える、請求項11に記載の処理チャンバ。
【請求項15】
前記加熱装置前記処理チャンバの側部との間に置かれたリフレクタをさらに備える、請求項11に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、半導体処理用の抵抗ヒータに関する。具体的には、本開示の実施形態は、原子層堆積バッチ処理チャンバ内で使用する黒鉛ヒータを対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス形成は一般に、クラスタツールとも呼ばれ得る、複数のチャンバを包含する基板処理用のシステムまたはプラットフォーム内で行われる。ある例では、マルチチャンバの処理プラットフォームまたはクラスタツールの目的は、制御された環境内で順次、1枚の基板に対して2つ以上の処理を実行することである。しかし他の例では、マルチチャンバ処理プラットフォームは、複数の基板に対して単一の処理ステップしか実行しないこともある。基板を処理する速度を最大化するために、追加のチャンバが用いられ得る。後者の場合、基板に対して実行される処理は通常、バッチ処理であり、比較的多数の基板、たとえば25枚または50枚の基板が、所与のチャンバ内で同時に処理される。バッチ処理は、原子層堆積(ALD)プロセス及び一部の化学気相堆積(CVD)プロセスといった、経済的に実行可能な態様で個々の基板に対して実行するには時間がかかりすぎるプロセスにとって、特に有益である。
【0003】
CVDプロセスやALDプロセスにとって、温度の均一性は重要な検討事項であり得る。CVDシステム及びALDシステムの加熱システムに、抵抗ヒータが広く用いられている。ウエハの表面にわたる、ほんの2、3°Cのオーダーのわずかな温度均一性の変動でさえ、CVD処理やALD処理に対して悪影響を及ぼし得る。バッチ処理チャンバの大きさによって、加熱源の複雑さや必要条件がさらに増大する。したがって、当該技術分野における、バッチ処理チャンバ用ヒータの改良が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つ以上の実施形態は、頂面、底面、及び外縁を有する本体を備える装置を対象とする。本体は、黒鉛を含み、内部に配置された材料の連続した部分を含む少なくとも1つの加熱要素を有する。
【0005】
本開示のさらなる実施形態は、前面を有するガス分配アセンブリと、サセプタアセンブリと、加熱装置とを備える、処理チャンバを対象としている。サセプタアセンブリは、ガス分配アセンブリの前面に面する頂面と、底面とを有する。頂面は、内部に複数の凹部を有し、各凹部は、処理中に基板を支持するようにサイズ決めされている。加熱装置は、黒鉛を含み且つ頂面がサセプタアセンブリの底面に面している、本体を有する。加熱装置は、本体内に少なくとも1つの加熱要素を有する。
【0006】
本開示のさらなる実施形態は、ガス分配アセンブリと、サセプタアセンブリと、加熱装置とを備える、処理チャンバを対象としている。ガス分配アセンブリは、前面を有する。サセプタアセンブリは、ガス分配アセンブリの前面に面する頂面と、底面とを有する。頂面は、内部に複数の凹部を有し、各凹部は、処理中に基板を支持するようにサイズ決めされている。サセプタアセンブリは、支持体ポストに接続されている。加熱装置は、ほぼ黒鉛のみを含み且つ頂面がサセプタアセンブリの底面に面している、本体を有する。加熱装置は、本体内に、100Vから500Vの電源に接続された少なくとも1つの加熱要素を含む。加熱要素は、サセプタアセンブリ上に置かれた基板を約1100°Cよりも高い温度に加熱するのに十分な温度まで、サセプタアセンブリを加熱するのに有効である。加熱装置は、頂面から底面まで本体を貫通する開口を含み、支持体ポストが、本体に接触することなく、本体内のこの開口を貫通している。
【0007】
本開示の上記の特徴を詳しく理解することができるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られてよい。一部の実施形態は、添付の図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面が例示しているのはこの開示の典型的な実施形態のみであること、したがって、添付の図面は本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの断面図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの部分斜視図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの概略図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、バッチ処理チャンバ内で使用されるくさび形ガス分配アセンブリの一部の概略図である。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの概略図である。
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、加熱装置の斜視図である。
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、加熱装置の部分断面図である。
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、処理チャンバの部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が、以下の説明で提示される構成または処理ステップの詳細に限定されないということを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。本開示の錯体及び配位子が、本書では特定の立体化学を有する構造式を用いて説明されてよいことも、また理解されるべきである。これらの説明は、例示のみを意図しており、開示される構造をいかなる特定の立体化学にも限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、説明される構造は、示される化学式を有するすべてのこうした錯体及び配位子を包含することを意図している。
【0010】
本書で使用される「基板」とは、その上で製造処理中に膜処理が実行される、任意の基板表面または基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、その上で処理が実行され得る基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素ドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電材料などの任意の他の材料を含む。基板は、限定しないが、半導体ウエハを含む。基板表面を、研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、及び/またはベークするために、基板を前処理プロセスに曝してよい。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示された任意の膜処理ステップが、以下でより詳細に開示される基板上に形成された下層上で実行されてよい。「基板表面」という用語は、文脈が示すように、こうした下層を含むように意図されている。したがって、例えば基板表面上に膜/層または部分膜/部分層が堆積している場合には、新たに堆積した膜/層の露出面が、基板表面になるのである。
【0011】
1つ以上の実施形態によると、本方法は、原子層堆積(ALD)プロセスを用いる。こうした実施形態では、基板表面は、連続して、またはほぼ連続して、前駆体(または反応性ガス)に曝される。本書全体で使用する「ほぼ連続して」という用語は、前駆体への曝露の継続時間の大半は、共試薬への曝露と重ならないが、いくらかは重なってよいことを意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「前駆体」、「反応物質」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができる任意のガス種を指すために、交換可能に使用される。
【0012】
図1は、頂部101、底部102、及び側部103を有する処理チャンバ100の断面を示す。処理チャンバ100は、注入器または注入器アセンブリとも呼ばれるガス分配アセンブリ120、及びサセプタアセンブリ140を含む。ガス分配アセンブリ120は、処理チャンバ内で使用される任意のタイプのガス供給デバイスである。ガス分配アセンブリ120は、サセプタアセンブリ140に面する前面121を含む。前面121は、サセプタアセンブリ140に向けてガス流を供給するための、任意の数または型の開口を有することができる。ガス分配アセンブリ120は、外周端124もまた含む。示される実施形態では、外周端はほぼ円形である。
【0013】
使用するガス分配アセンブリ120の具体的なタイプは、使用する特定の処理に応じて変えることができる。本開示の実施形態は、サセプタとガス分配アセンブリとの間の間隙が制御される、任意のタイプの処理システムと共に使用することができる。様々なタイプのガス分配アセンブリ(例えばシャワーヘッド)を採用することができるが、本開示の実施形態は、複数のほぼ平行なガスチャネルを有する、空間ALDガス分配アセンブリを用いると、特に有用であり得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「ほぼ平行」という用語は、ガスチャネルの長手軸が概して同じ方向に延びていることを意味する。ガスチャネル間の平行性に、わずかな不完全性はあり得る。複数のほぼ平行なガスチャネルは、少なくとも1つの第1反応性ガスAのチャネル、少なくとも1つの第2反応性ガスBのチャネル、少なくとも1つのパージガスPのチャネル、及び/または少なくとも1つの真空Vのチャネルを含むことができる。第1反応性ガスAのチャネル、第2反応性ガスBのチャネル、及びパージガスPのチャネルから流れるガスは、ウエハの頂面に向けられる。ガス流のうちの一部は、ウエハの表面をわたって水平に移動し、パージガスPのチャネルを通って処理領域の外へ移動する。ガス分配アセンブリの一端から他端へと移動している基板は、各処理ガスに順番に曝露され、基板表面上に層が形成される。
【0014】
ある実施形態では、ガス分配アセンブリ120は、単一の注入器ユニットから作られた剛性の静止物体である。1つ以上の実施形態では、図2に示すように、ガス分配アセンブリ120は複数の個別のセクター(例えば複数の注入器ユニット122)から構成されている。一体成形の本体であるか、またはマルチセクターの本体であるか、のいずれであっても、示される本開示の様々な実施形態で使用することができる。
【0015】
サセプタアセンブリ140は、ガス分配アセンブリ120の下に置かれている。サセプタアセンブリ140は、頂面141と、頂面141内にある少なくとも1つの凹部142とを含む。サセプタアセンブリ140は、底面143及び端面144もまた有する。凹部142は、処理される基板60の形状及びサイズに応じて、任意の適切な形状及びサイズであることができる。図1に示す実施形態では、凹部142は、ウエハの底部を支持するために平坦な底部を有しているが、凹部の底部は様々であることができる。ある実施形態では、凹部は、凹部の外周端の周りに段差領域を有する。段差領域は、ウエハの外周端を支持するようにサイズ決めされている。段差によって支持されるウエハの外周端の寸法は、例えば、ウエハの厚さと、ウエハの裏側に既にある特徴部の存在とに応じて、様々であることができる。
【0016】
ある実施形態では、図1に示すように、サセプタアセンブリ140の頂面141内の凹部142は、凹部142内で支持されている基板60の頂面61が、サセプタ140の頂面141とほぼ同一平面上なるようにして、サイズ決めされる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「ほぼ同一平面上」という表現は、ウエハの頂面とサセプタアセンブリの頂面が、±0.2mm以内で同一平面上にあることを意味する。ある実施形態では、これらの頂面同士は、±0.15mm、±0.10mm、または±0.05mm以内で同一平面上にある。
【0017】
図1のサセプタアセンブリ140は、サセプタアセンブリ140を上昇、下降及び回転させることが可能な、支持体ポスト160を含む。サセプタアセンブリは、支持体ポスト160の中心部内に、ヒータ105、またはガスライン(図示せず)、または電子部品(図示せず)を含んでいてよい。支持体ポスト160は、サセプタアセンブリ140を適正な位置へと移動させて、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との間の間隙を広げるかまたは狭める、主たる手段であってよい。サセプタアセンブリ140は、サセプタアセンブリ140に対してマイクロアジャストメントを行って、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との間に所定の間隙170を作製することができる、微調整アクチュエータ162もまた含んでいてよい。ある実施形態では、間隙170の距離は、約0.1mmから約5.0mmまでの範囲内、もしくは約0.1mmから約3.0mmまでの範囲内、もしくは約0.1mmから約2.0mmまで範囲内、もしくは約0.2mmから約1.8mmまでの範囲内、もしくは約0.3mmから約1.7mmまでの範囲内、もしくは約0.4mmから約1.6mmまでの範囲内、もしくは約0.5mmから約1.5mmまでの範囲内、もしくは約0.6mmから約1.4mmまでの範囲内、もしくは約0.7mmから約1.3mmまでの範囲内、もしくは約0.8mmから約1.2mmまでの範囲内、もしくは約0.9mmから約1.1mmまでの範囲内、または約1mmである。
【0018】
ヒータ105は、サセプタアセンブリ140の部品であるか、または別個の部品であることができる。図1に示すヒータ105は、サセプタアセンブリ140の底面143から距離Dだけ下方に位置している。ヒータ105からのエネルギーは、サセプタアセンブリ140に影響を与え、サセプタアセンブリ140と、サセプタアセンブリ140に支持されている基板60の温度を上昇させる。ヒータ105は、抵抗ヒータか、または複数のランプであることができる。
【0019】
ヒータ105は、サセプタアセンブリ140もしくは支持体ポスト160、または別個のヒータ支持体107に接続され、支持されることができる。ヒータ支持体107は、ヒータ105よりも小さいか、または大きいものであることができる。図1は、ヒータ105及びヒータ支持体107を断面図で示しているが、当業者は、処理チャンバ100の一部または全部の部品が三次元であることを理解するであろう。例えば、図1のヒータ105は円筒形の形状であり、中央の開口108があって、支持体ポスト160が貫通できるようになっている。この構成によって、支持体ポスト160が、ヒータ105から独立してサセプタアセンブリ140を動かすことが可能になっている。
【0020】
ある実施形態では、ヒータ105と、処理チャンバ100の底部及び/または側部(図示せず)の間に、リフレクタ109が置かれている。リフレクタ109は、処理チャンバに影響するヒータ105からの放射エネルギーの量を減少させることによって、処理チャンバに対する損傷の防止に役立つことができる。ある実施形態のヒータ支持体107はまた、リフレクタでもある。
【0021】
図面に示す処理チャンバ100は、内部でサセプタアセンブリ140が複数の基板60を保持できる、カルーセル型のチャンバである。図2に示すように、ガス分配アセンブリ120は、複数の別々の注入器ユニット122を含み得る。各注入器ユニット122は、ウエハが注入器ユニットの下方を移動する際に、ウエハ上に膜を堆積することが可能である。2つのパイ形状の注入器ユニット122が、サセプタアセンブリ140のほぼ両端に、サセプタアセンブリ140の上方に置かれて示されている。この注入器ユニット122の数は、例示目的のためにのみ示されている。含まれる注入器ユニット122の数が、より多いかまたはより少ないことが可能であるのは、理解されよう。ある実施形態では、サセプタアセンブリ140の形状に一致する形状を形成するのに十分な数の、パイ形状の注入器ユニット122が存在している。ある実施形態では、個別のパイ形状の注入器ユニット122のそれぞれは、他の注入器ユニット122のいずれかに影響を与えることなく、独立して移動させ、取り外し、及び/または交換することができる。例えば、基板60をロード/アンロードするために、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との間の領域にロボットがアクセスできるように、1つのセグメントを上昇させてよい。
【0022】
複数のウエハが同じ処理の流れを受けるようにして、これらのウエハを同時に処理するため、複数のガス注入器を有する処理チャンバを使用することができる。例えば、図3に示すように、処理チャンバ100は、4つのガス注入アセンブリ及び4つの基板60を有する。処理開始の際、基板60は、ガス分配アセンブリ120の間に置くことができる。サセプタアセンブリ140を45度回転17する結果、ガス分配アセンブリ120の間にある各基板60は、ガス分配アセンブリ120の下に点線円で示されているように、膜堆積のためにガス分配アセンブリ120のところに移動されるであろう。さらに45度回転させることによって、基板60は、ガス分配アセンブリ120から離れる方向に移動する。空間的ALD注入器によって、ウエハが注入器アセンブリに対して移動する間に、ウエハ上に膜が堆積される。ある実施形態では、サセプタアセンブリ140は、基板60がガス分配アセンブリ120の下で停止しないような増分で、回転される。基板60とガス分配アセンブリ120の数は、同一であるか、または異なっていることができる。ある実施形態では、ガス分配アセンブリと同一の数のウエハが処理される。1つ以上の実施形態では、処理されるウエハの数は、ガス分配アセンブリの数の分数または整数倍である。例えば、4つのガス分配アセンブリが存在する場合、処理されるウエハの数は4xとなる。ここでxは、1以上の整数値である。
【0023】
図3に示す処理チャンバ100は、単に1つの可能な構成を表すものであり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。ここでは、処理チャンバ100は、複数のガス分配アセンブリ120を含む。図示されている実施形態では、処理チャンバ100を取り巻いて均等に離間している、4つのガス分配アセンブリ(ガス分配アセンブリ120とも呼ばれる)が存在する。図示されている処理チャンバ100は八角形であるが、これは可能な形状の1つであり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことは、当業者には理解されよう。示されているガス分配アセンブリ120は台形であるが、ガス分配アセンブリ120は、単一の円形の部品であることもできるし、または、図2に示すもののように、複数のパイ形状のセグメントから構成されていることもできる。
【0024】
図3に示す実施形態は、ロードロックチャンバ180、またはバッファステーションのような補助チャンバを含んでいる。例えば基板(基板60とも呼ばれる)を処理チャンバ100との間でロード/アンロードするのを可能にするため、このチャンバ180は、処理チャンバ100の側面に接続されている。基板をサセプタ上に移動するため、チャンバ180内にウエハロボットが置かれてよい。
【0025】
カルーセル(例えばサセプタアセンブリ140)の回転は、連続的または非連続的であることができる。連続処理においては、ウエハがそれぞれの注入器に順に曝露されるように、ウエハは恒常的に回転している。非連続処理においては、ウエハを注入器の領域へと移動させて停止させ、次いで、注入器間の領域84へと移動させて停止させることができる。例えば、カルーセルは、ウエハが注入器間領域から注入器を越えて移動し(または、注入器に隣接して停止し)、そして次の注入器間領域へと移動し、そこでカルーセルが再度休止し得るようにして、回転することができる。注入器間で休止することにより、各層の堆積の間に追加の処理ステップ(例えば、プラズマへの曝露)のための時間が付与されてよい。
【0026】
図4は、注入器ユニット122と呼ばれ得る、ガス分配アセンブリ120の一セクターまたは一部分を示している。注入器ユニット122は、個々に、または他の注入器ユニットと組み合わせて、使用することができる。例えば、図5に示すように、図4の注入器ユニット122が4つ組み合わされて、単一のガス分配アセンブリ120を形成している(分かりやすくするため、4つの注入器ユニットを区切る線は示されていない)。図4の注入器ユニット122は、パージガスポート155及び真空ポート145に加えて、第1反応性ガスポート125と第2反応性ガスポート135の両方を有しているが、注入器ユニット122は、これらの部品の全てを必要とするわけではない。
【0027】
図4図5の両方を参照すると、1つ以上の実施形態によるガス分配アセンブリ120は、複数のセクター(または注入器ユニット122)を備えていてよく、各セクターは同一であるか、または異なっていてよい。ガス分配アセンブリ120は、処理チャンバ内に置かれており、ガス分配アセンブリ120の前面121内に、複数の長形のガスポート125、135、145を備えている。複数の長形のガスポート125、135、145、155は、内周端123に隣接したエリアから、ガス分配アセンブリ120の外周端124に隣接したエリアに向かって、延びている。図示されている複数のガスポートは、第1反応性ガスポート125、第2反応性ガスポート135、第1反応性ガスポートと第2反応性ガスポートのそれぞれを取り囲む真空ポート145、及びパージガスポート155を含む。
【0028】
図4または図5に示す実施形態に関連して、ポートが少なくとも内周領域周辺から少なくとも外周領域周辺まで延びていると述べるとき、ポートは、単に内側領域から外側領域まで径方向に延びているだけではない。ポートは、真空ポート145が反応性ガスポート125及び反応性ガスポート135を取り囲むように、接線方向に延びることができる。図4及び図5に示す実施形態では、楔形の反応性ガスポート125、135は、真空ポート145によって、内周領域及び外周領域に隣接する端面を含む、全ての端面を取り囲まれている。
【0029】
図4を参照すると、基板が経路127に沿って移動する際に、基板表面の各部分は、様々な反応性ガスに曝露される。経路127を辿ると、基板は、パージガスポート155、真空ポート145、第1反応性ガスポート125、真空ポート145、パージガスポート155、真空ポート145、第2反応性ガスポート135、そして、真空ポート145に曝露され、すなわちそれらを「経験する(see)」ことになる。こうして、基板は、図4に示す経路127の終わりには、第1反応性ガスポート125及び第2反応性ガスポート135からのガス流に曝露されており、層が形成されている。図示されている注入器ユニット122は、四分円となっているが、より大きいか、またはより小さいものであることができる。図5に示すガス分配アセンブリ120は、図4の注入器ユニット122を4つ連続して接続した、組み合わせであるとみなすことができる。
【0030】
図4の注入器ユニット122は、複数の反応性ガスを分離するガスカーテン150を示している。「ガスカーテン(gas curtain)」という用語は、反応性ガスを混合しないように分離するための、ガス流または真空の任意の組み合わせを表すために使用される。図4に示すガスカーテン150は、真空ポート145の第1反応性ガスポート125に隣接する部分、中間のパージガスポート155、及び真空ポート145の第2反応性ガスポート135に隣接する部分を含む。ガス流と真空とのこの組み合わせは、第1反応性ガスと第2反応性ガスとの気相反応を防止または最小化するために使用することができる。
【0031】
図5を参照すると、ガス分配アセンブリ120からのガス流と真空との組み合わせによって、複数の処理領域250への区切りが形成されている。250の間のガスカーテン150によって、個々の反応性ガスポート125、135の周囲に、各処理領域が大まかに画定されている。図5に示す実施形態は、8つの別々のガスカーテン150を間に備えた、8つの別々の処理領域250を構成している。1つの処理チャンバは、少なくとも2つの処理領域を有し得る。ある実施形態では、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の処理領域が存在する。
【0032】
基板は処理中の任意の所与の時点で、2つ以上の処理領域250に曝露され得る。しかし、別々の処理領域に曝露されている複数の部分は、その2つを分離するガスカーテンを有することになる。例えば、基板の前端部が第2反応性ガスポート135を含む処理領域に入る場合、基板の中央部はガスカーテン150の下にあり、かつ、基板の後端部は第1反応性ガスポート125を含む処理領域内にあることになる。
【0033】
例えばロードロックチャンバであり得るファクトリインターフェース280が、処理チャンバ100に接続されて図示されている。参照系を示すために、基板60は、ガス分配アセンブリ120の上に重ね合わされて図示されている。基板60はしばしば、サセプタアセンブリ上に置かれ、ガス分配アセンブリ120(ガス分配プレートとも呼ばれる)の前面121の近くに保持されてよい。基板60は、ファクトリインターフェース280を介して、処理チャンバ100内の基板支持体またはサセプタアセンブリ上にロードされる(図3参照)。基板60が処理領域内に置かれた状態で図示することができるが、それは、その基板が、第1反応性ガスポート125に近接して、2つのガスカーテン150a、150bの間に位置しているからである。基板60を経路127に沿って回転させることによって、基板は、処理チャンバ100を回って反時計回りに移動する。こうして、基板60は、第1の処理領域250aから第8の処理領域250hまでの処理領域に、間にある全ての処理領域を含めて、曝露される。基板60は、図示されているガス分配アセンブリを用いて、処理チャンバを回る各サイクルごとに、第1反応性ガス及び第2反応性ガスの4つのALDサイクルに露出される。
【0034】
図5に示すようなバッチプロセッサ内における従来型のALDシーケンスでは、間にあるポンプ/パージ区域によって空間的に分離された注入器それぞれからの、化学物質A及びBの流れが維持される。従来型のALDシーケンスには開始と終了のパターンがあり、その結果、堆積される膜の非均一性が生じ得る。驚くべきことに、発明者らは、空間的ALDのバッチ処理チャンバ内で実施される時間ベースのALD処理によって、より均一性の高い膜が提供されることを発見した。ガスA、非反応性ガス、ガスB、非反応性ガスに曝露する基本的プロセスは、基板を各注入器の下を掃くように通過させて表面を化学物質AとBとでそれぞれ飽和させ、膜内に開始と終了のパターンが形成されるのを回避することである。驚くべきことに発明者らは、開始と終了のパターンが面内均一性の性能に重大な影響を与える、目標膜厚が薄い(例えば20ALDサイクル未満である)場合に、時間ベースのアプローチが特に有益であることを発見した。発明者らはまた、本書に記載されるように、SiCN膜、SiCO膜、及びSiCON膜を作製する反応プロセスが、時間領域プロセスでは達成できないことも発見した。処理チャンバをパージするのに用いられる時間の量によって、基板表面から材料が除去される結果となる。記載されている空間的ALDプロセスでは、この除去は生じない。なぜならば、ガスカーテンの下にいる時間が短いからである。
【0035】
したがって、本開示の実施形態は、複数の処理領域250a~250hを有し、各処理領域がガスカーテン150によって隣接する領域から区切られている処理チャンバ100を含む、処理方法を対象としている。例えば、図5に処理チャンバが示されている。処理チャンバ内のガスカーテン及び処理領域の数は、ガス流の構成に応じて任意の適切な数であり得る。図5に示す実施形態は、8つのガスカーテン150と、8つの処理領域250a~250hを有する。ガスカーテンの数は、概して処理領域の数と等しいか、それよりも大きい。例えば、領域250aが反応性ガス流を全く有しておらず、単にロード用エリアの役割を果たしている場合、処理チャンバは7つの処理領域と、8つのガスカーテンを有することになる。
【0036】
複数の基板60が、基板支持体上に、例えば図1及び図2に示すサセプタアセンブリ140上に、置かれている。複数の基板60は、処理のために処理領域を回って回転される。概して、ガスカーテン150は、反応性ガスがチャンバ内に流入していない期間も含めて処理中ずっと、従事中である(ガスは流動しており、真空はオンになっている)。
【0037】
第1反応ガスAが1つ以上の処理領域250に流し込まれる一方、第1反応ガスAが流入してない全ての処理領域250内に、不活性ガスが流し込まれる。例えば、第1の反応性ガスが処理領域250bから処理領域250hまでの全てに流入している場合、不活性ガスは、処理領域250aに流入するであろう。不活性ガスは、第1反応性ガスポート125または第2反応性ガスポート135を通じて流し込まれることができる。
【0038】
処理領域内の不活性ガス流は、一定であるかまたは変化することができる。ある実施形態では、反応性ガスが、不活性ガスと共流することができる。不活性ガスは、キャリアガス及び希釈ガスの役割を果たす。キャリアガスに対する反応性ガスの量が少ないので、共流することによって隣接する領域間の圧力差が減少し、処理領域間のガス圧の均衡が容易になり得る。
【0039】
典型的なヒータ105では、基板の温度が有効な反応に十分なほど高くなり得ないかもしれない。例えば、支持されているウエハを加熱するためにサセプタアセンブリを加熱するのに、ランプでは、多くのエネルギーと時間がかかり得る。有利には、1つ以上の実施形態によって、従来型のヒータよりも高い温度までウエハを加熱することが可能になる。有利には、ある実施形態によって、粒子汚染を防止するか最小化するヒータが提供される。有利には、1つ以上の実施形態によって、黒鉛ヒータの酸化または反応を最小化する処理チャンバが提供される。
【0040】
本開示の1つ以上の実施形態は、従来型のアルミニウム、ステンレス鋼、またはインコネル合金といった材料によるヒータやランプに代わる加熱源として、抵抗黒鉛ヒータを使用する。ある実施形態の抵抗黒鉛ヒータによって、様々な温度要件による処理にとって十分な加熱が提供される。様々な温度要件には、低温(例えば、ウエハの温度が約75°C、抵抗ヒータの温度が約100°C)、中温(例えば、ウエハの温度が約450°C、抵抗ヒータの温度が約550~600°C)、及び高温(例えば、ウエハの温度が約550°C~700°C超、抵抗ヒータの温度が約720°C~900°C超)が含まれる。ある実施形態では、黒鉛ヒータは、粒子汚染を防止するための被覆またはインシュレーターを有する。処理中の任意の時点における黒鉛の酸化または他のガスとの反応を防止するかまたは最小化するため、密閉されたチャンバ環境を、不活性ガスまたはバリアで満たすことができる。ある実施形態は、温度測定デバイス、電流及び/または電圧測定デバイスを含む。
【0041】
図6は、本開示の1つ以上の実施形態による、加熱装置200の実施形態を示す。図7は、加熱装置200の切断図を示す。加熱装置200は、任意の加熱目的用に使用することができ、ある実施形態では、バッチ処理チャンバと共に使用するようにサイズ決めされる。加熱装置200は、頂面202、底面203、及び外縁204を有する、本体201を含む。図1に示すように、バッチ処理チャンバと共に使用する際には、加熱装置200の頂面202は、サセプタアセンブリ140に隣接して、サセプタアセンブリ140からDの距離に配置される。加熱装置200はまた、基板支持体またはサセプタアセンブリの役割を果たすこともできる。例えば、図1に示すサセプタアセンブリ140は、加熱装置200であることができる。
【0042】
サセプタアセンブリ140から加熱装置200の位置までの距離Dは、処理中に変更することもできるし、固定されていることもできる。ある実施形態では、加熱装置200が使用中に置かれている距離Dは、約30mmから約140mmの範囲であるか、または約50mmから約120mmの範囲である。
【0043】
再び図6及び図7を参照すると、図示されている加熱装置200の本体201は、開口208を有し、開口208は、本体201の頂面202から底面203に延びている。開口208によって、加熱装置をある部品の周囲に置く際に、その部品に触れずに置くことが可能になってよい。例えば、図1は、サセプタアセンブリ140の支持体シャフト160の周囲にある加熱装置を示す。加熱装置またはシャフトのどちらにも損傷を生じ得る接触を防止するため、加熱装置とシャフトとの間には、空間があってよい。ある実施形態では、加熱装置200は支持体シャフト160に接続されており、支持体シャフト160と一緒に回転する。
【0044】
加熱装置としての黒鉛は、電気的接続の形成が困難なことと、処理中の粒子の形成と、酸素反応性とによって、バッチ処理チャンバ内で使用するのには課題を抱えていた。有利には、本開示の1つ以上の実施形態は、黒鉛加熱装置をバッチ処理チャンバ内に組み込んでいる。ある実施形態によると、加熱装置200の本体201は、黒鉛製である。ある実施形態では、本体201はほぼ黒鉛のみを含んでいる。即ち、本体201の組成は、炭素が原子ベースで約95%を超えている。ある実施形態では、本体の組成は、炭素が原子ベースで約96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%を超えている。
【0045】
図7を参照すると、加熱装置200の頂面202の下に、加熱要素210が配置されている。示される実施形態では、加熱要素は、中央の領域またはゾーンを加熱する第1の抵抗加熱要素211と、外側の領域またはゾーンを加熱する第2の抵抗加熱要素212とを含む。この関連で使用する場合、「中央の」などは、加熱装置の重心付近の領域を表しており、そのため図7に示す実施形態の中央領域は、開口208の周辺である。この関連で使用する場合、「外側」などの用語は、部品の外周付近のエリアを表す。
【0046】
ある実施形態の抵抗ヒータは、本体201の凹部206内に配置された、平面、円形、または他の形状であり得る、材料の連続した部分である。ある実施形態では、抵抗ヒータは、金属線の巻回体を含む。示されている実施形態は2つのゾーンを形成する2つの抵抗ヒータを有しているが、任意の数のゾーンまたは個別の加熱要素が存在し得ることを、当業者は理解するであろう。ある実施形態では、3つの抵抗ヒータが存在して、3つのゾーンを形成している。ある実施形態では、4つの抵抗ヒータが存在して、4つのゾーンを形成している。図7は、1つ以上の実施形態の加熱装置の半分を示す。加熱装置が、マッチする半分ずつの部分によって形成されていた場合、4つのゾーン即ち2つの内側ゾーンと2つの外側ゾーンを形成する4つの抵抗ヒータが存在し、内側ゾーンは、加熱装置の中心から外側ゾーンとは異なる半径で間隔を空けて配置されていることを、当業者は理解するであろう。様々な実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれよりも多くの放射状ゾーンが存在する。様々な実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれよりも多くの回転方向ゾーンが存在する。即ち、各ゾーンは重心からほぼ等距離にあり、円周上の種々の角度に位置している。
【0047】
ある実施形態では、1つ以上の層の抵抗ヒータが存在する。例えば、2、3、または4つの抵抗ヒータが、互いの間にスペースを空けるかまたは空けずに、積み上げられていることができる。
【0048】
全部または一部の抵抗加熱要素が、当該技術分野で周知の任意の適切な材料で作られていてよい。ある実施形態では、抵抗加熱要素は、本体201と同様の熱膨張係数を有する。抵抗加熱要素の適切な材料の一例は、熱分解黒鉛を含む。抵抗加熱要素は、例えばCVDまたはALD堆積によって、本体の凹部内に堆積することができる。
【0049】
加熱装置200の本体201は、約1050°C、1100°C、1150°C、または1200°Cと等しいかまたはそれらを超える温度に耐えることが、可能であってよい。ある実施形態の加熱装置は、サセプタアセンブリ140及び、サセプタアセンブリ140の頂面141上に置かれた基板60を、約650°C、675°C、700°C、720°C、725°C、750°C、775°C、または800°C以上の温度まで加熱するのに十分である。
【0050】
本体201は、高温と、CVDプロセス及びALDプロセスに関連する腐食物質に耐える材料である、熱分解被覆によって被覆されていてよい。適切な例は、限定しないが、熱分解黒鉛、熱分解窒化ホウ素、黒鉛粉末、ケイ酸塩ガラスバインダー入りの黒鉛粉末を含む。ある実施形態では、抵抗ヒータは、水性のケイ酸塩ガラスバインダー入りの黒鉛粉末で被覆され、次いでオーブン内で高温で硬化される。1つ以上の実施形態では、例えば熱分解窒化ホウ素といった熱分解材料が、本体の頂面202のいたる所に配置される。ある実施形態では、熱分解材料は、加熱装置の頂面、底面、及び外縁を含む、加熱装置の外表面のいたる所に配置される。
【0051】
図8を参照すると、加熱装置200は、適切な電源220に接続されている。ある実施形態では、加熱装置200は、電力線222を通じて、480Vの電源220に接続されている。ある実施形態では、電源は、約100Vから約500Vの範囲の電力を有する。アーク放電を防止するため、ある実施形態では、限定しないが加熱装置200の本体201を含む、電力線222及び/または他の部品の周囲に、インシュレーター223を含んでいてよい。図8は、電力線222の周囲のインシュレーター223と、加熱装置200の周囲のインシュレーター224を示す。ある実施形態では、アーク放電を防止するため、電力線222は他の接続部から距離を置いている。
【0052】
加熱装置200が実質的にチャンバの他の部品(例えば支持体ポスト160)を加熱するのを防止するため、インシュレーターが用いられてよい。この関連で使用する場合、「実質的に加熱する」とは、その部品の耐用年数が20%を超えて短縮されないことを意味する。適切なインシュレーターは、限定しないが、石英、セラミック、酸化アルミニウム繊維、アルミナシリカ繊維、セラミック繊維、及びサファイアを含む。ある実施形態では、インシュレーターは、加熱装置200の本体201の熱膨張係数の20(相対)%以内の熱膨張係数を有する。
【0053】
各抵抗加熱要素211、212は、本体201を通って延び、各加熱要素に各電力を供給する、対応する電力線延長部(running)213(図7参照)を有する。個別の電力線のそれぞれは、独立して制御することができる。もちろん、各抵抗加熱要素の回路を完成させるため、1つ以上の接地線(図示せず)が、同様に本体201を通って設けられていてよい。
【0054】
図6を参照すると、ある実施形態の加熱装置200は、1つ以上の開口227、228を含む。図6の右側に示す開口227は、複数の(この場合には3本の)リフトピンが加熱装置200を貫通できるようにするために使用されてよい。図8を参照すると、ピン179(示されているのは1本のみ)が、サセプタアセンブリ140に届くように、加熱装置200の開口227を貫通して延び得るようにして、加熱装置200の下にリフトピンアセンブリ178が置かれている。リフトピンアセンブリは、サセプタアセンブリ140の加熱を妨げないようにして、加熱装置200の下に置かれていてよい。
【0055】
図6では、開口228は開口227よりも大きく、より大きい部品の貫通を可能にしている。例えば、開口228は、電力の接続(図示せず)が加熱装置200を貫通できるようにするために設けられていてよい。開口227、228は、部品(例えばリフトピンまたは電力の接続)が本体201に接触することなく貫通できるようにして、サイズ決めされている。
【0056】
ある実施形態は、少なくとも1つの温度測定デバイスを含む。温度測定デバイスは、加熱装置200、加熱要素211、212に接続されているか、または加熱装置から離れていることができる。図7を参照すると、温度測定デバイス214が加熱要素212に接続されているが、加熱要素の全部または一部に接続された追加の温度測定デバイス214が存在し得ることを、当業者は理解するであろう。ある実施形態では、温度測定デバイスは、個別の加熱要素211、212のそれぞれボルト数またはアンペア数を測定するため、電圧計または電流計のうちの1つ以上を備えている。
【0057】
ある実施形態では、温度測定デバイス215(図6参照)は、加熱装置200の本体201の温度を直接測定するため、加熱装置200の本体201に接触している。限定しないが、温度測定デバイスの適切な例は、サーミスタ及び熱電対を含む。
【0058】
ある実施形態では、温度測定デバイス216(図8参照)は、加熱装置200から離れて位置している。例えば、加熱装置200の本体201もしくはサセプタアセンブリ140、または基板60の温度を測定するため、光高温計が置かれていてよい。
【0059】
望ましくない粒子の形成を防止するかまたは最小化するため、ある実施形態は、加熱装置200の周囲を覆う不活性ガスを含む。図1を参照すると、パージガス注入器106が、不活性ガスの流れを加熱装置200に向けるようにして配置されている。理論に拘束されるものではないが、不活性ガスの覆いによって、粒子を形成し得るような黒鉛本体の反応は防止され得る。不活性ガスの覆いを用いることは、(もし存在する場合に)酸素と黒鉛本体201との反応を防止するのにもまた役立つ。
【0060】
ある実施形態では、加熱装置200の周囲のインシュレーター224(図8参照)によって、黒鉛本体201との反応の可能性が最小化される。ある実施形態のインシュレーター224は石英であり、本体201の周りに、電気的接続が可能な筐体を形成している。石英のインシュレーターの存在は、加熱効率に対して最小限の影響か、または無視し得る影響しか与えない。なぜならば、石英は、加熱装置200からの放射熱に対して透過的だからである。加熱装置200がサセプタアセンブリに近接し過ぎている場合には、伝導加熱の影響が検出可能であり得る。当業者には容易に理解されるように、リフトピン179または他の部品が本体201の開口227、228を貫通する必要がある場合、筐体内に適切にサイズ決めされ位置決めされた開口が存在するであろう。ある実施形態では、本体201の開口227は、リフトピン179が加熱装置本体201から約5mm~約15mmの範囲のクリアランスを有するようにして、サイズ決めされ位置決めされている。
【0061】
ある実施形態では、加熱装置200の底面203と処理チャンバ100の底部102との間に、リフレクタ109(図8参照)が置かれている。リフレクタ109は、加熱装置200からの放射熱が処理チャンバに影響するのを防止するのに有用であり得る。リフレクタ109はまた、放射エネルギーをサセプタアセンブリに向けてリダイレクトして効率を高めるのにも、有用であり得る。限定しないが、適切なリフレクタは、アルミニウム、銀、ステンレス鋼、ニッケルめっきステンレス鋼、酸化ケイ素めっきステンレス鋼、銀めっきまたは金めっきアルミニウム、銀めっきまたは金めっきステンレス鋼、高反射率または高放射率の材料、及びステンレス鋼上に塗装された高反射率または高放射率の材料を含む。リフレクタ109は、加熱装置200及びチャンバ100の底部102から、任意の適切な距離に置くことができる。ある実施形態では、リフレクタ109は、加熱装置200から約10mm~約40mmの範囲の距離に置かれている。
【0062】
図7に示すとおり、加熱装置200を制御するために、制御システム295が使用されてよい。制御システム295は、CVDシステムまたはALDシステム用の制御システムの一部であってよく、加熱装置200に電気的に接続されている。加熱装置200と制御システム295は、合わせて、加熱システムを形成している。制御システム295の物理的実装に関して、数々の可能性が利用可能であり、当業者に知られている。制御システムの任意の適切な実装が使用されてよく、本開示の読了後には、詳細な制御システム295を設けることは、当業者の日常業務となるはずである。
【0063】
一実施形態によると、制御システム295は、ユーザ入出力(I/O)システム296、温度入力297、及びフィードバック制御回路298を含む。ユーザI/Oシステム296は、ユーザが、サセプタもしくは基板の目標温度、または抵抗ヒータのボルト数もしくはアンペア数を選択することを可能にする、ユーザインターフェースを提供する。
【0064】
温度入力297は、リアルタイムで現在温度を取得するため、温度測定デバイスに電気的に接続されていてよい。その結果、温度入力297は、この現在温度をフィードバック制御回路298に渡す。フィードバック制御回路298は、当該技術分野で周知の態様で、現在温度及び目標温度を入力として受信し、加熱電力制御出力を生成する。加熱電力制御出力の目的は、抵抗ヒータに送達された電力を制御して、温度測定デバイスによって測定された温度が、目標温度を可能な限り近接して追尾するようにすることである。フィードバック制御回路298は、当該技術分野で既知の任意の適切なフィードバック制御方法を採用するように設計されていてよい。
【0065】
加熱装置を制御するためのこの制御システムが、複数の温度測定デバイスまたはセンサを備えていてよいことを、当業者は認識するであろう。各温度センサは、単一の領域またはゾーンの温度を測定してよい。温度センサは、熱電対、高温計、または他の適切な温度感知デバイスを含んでいてよい。異なるタイプの温度センサの組み合わせも、使用されてよい。
【0066】
本書の開示は具体的な実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態が本開示の原理及び用途の単なる例示であることは理解されたい。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法、装置、及びシステムに対して、様々な修正及び変形を行い得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、ステージ本体の外側領域は、4つのゾーンのみに分割されるのではなく、1よりも大きい任意の数のゾーンに分割されてよい。ある実施形態では、これらのゾーンのそれぞれに、それぞれの加熱出力比が設けられている。また、抵抗ヒータのゾーンは、互いに重なり合ってよい。様々な加熱要素は、ステージ本体の帳面にあってもよく、底面にあってもよく、ステージ本体にはめ込まれていてもよい。ゾーンごとの温度測定は、複数の温度測定デバイス(熱電対、高温計など)を利用することによってなされてよい。このように、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある、修正及び変形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8