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特許6992156処理装置、排気システム、半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】処理装置、排気システム、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220105BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L21/31 F
C23C16/44 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020505059
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2019008692
(87)【国際公開番号】W WO2019172274
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2018040194
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 正則
(72)【発明者】
【氏名】米島 利彦
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅和
(72)【発明者】
【氏名】谷内 正導
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099763(JP,A)
【文献】特開平07-240382(JP,A)
【文献】特開2002-170781(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物をガスで処理する処理炉を筐体の内部に備え、前記筐体の後方部にメンテナンスを可能とする開口部が形成されている処理ユニットと、
前記開口部の正面に前記開口部の幅より広い主メンテナンス領域を形成するように前記開口部の脇に設置され、前記処理炉から前記ガスを排気する排気ユニットと、
前記排気ユニットの後方部に隣接して配置され、前記主メンテナンス領域へ突出せず、前記排気ユニットが排気する前記ガスを排気する排気装置と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記主メンテナンス領域を挟んで前記排気ユニットと対面して配置され、前記処理炉内に前記ガスを供給するガス供給ユニットを備え
前記ガス供給ユニットは前記主メンテナンス領域へ突出しないように配置されている
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記排気ユニットは、前記処理炉内から排出される前記ガスが流れる排気配管と、前記処理炉内の圧力を検出する圧力検知器と、前記圧力検知器で検出した前記処理炉内の圧力値に基づいて前記排気配管に流れる前記排気の流量を調整して前記処理炉内の圧力を制御する圧力調整器と、を有するように構成されている、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記ガス供給ユニットは、前記処理炉内へ供給される前記ガスが流れるガス供給配管と、前記ガス供給配管に流れる前記ガスの流量を調整するガス流量制御器と、を有するように構成されている、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記排気ユニットは、前記ガスの流出を阻止可能なゲートバルブを有する配管を含むよう構成されている、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記ゲートバルブは、上下方向に移動するように構成されている、
請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記排気装置は、メカニカルブースターポンプを有するように構成されている、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記処理ユニット、前記排気ユニット、前記排気装置は、それぞれ同じフロアに配置されるように構成されている、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
前記主メンテナンス領域は、前記筐体内へ部品の運搬が可能な幅を有する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
前記部品は、前記処理炉、前記処理炉内に処理室を構成する反応管、前記被処理物を保持するボートから選択されるいずれか一つ以上である、
請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
被処理物をガスで処理する処理炉を内部に備えた筐体の後方部に形成された開口部の正面に前記開口部の幅より広い主メンテナンス領域を形成するように前記開口部の脇に設置され、前記処理炉から前記ガスを排気する排気ユニットと、
前記排気ユニットの後方部に隣接して配置され、前記主メンテナンス領域へ突出せず、前記排気ユニットが排気する前記ガスを排気する排気装置と、
を有する排気システム。
【請求項12】
被処理物をガスで処理する処理炉を内部に備えた筐体の後方部に形成された開口部の正面に前記開口部の幅より広い主メンテナンス領域を形成するように前記開口部の脇に設置され、前記処理炉から前記ガスを排気する排気ユニットと、前記排気ユニットの後方部に隣接して配置され、前記主メンテナンス領域へ突出せず、前記排気ユニットが排気する前記ガスを排気する排気装置と、を用いて、前記処理炉内から前記ガスを排気しつつ、前記被処理物を処理する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、排気システム、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の処理装置として、処理炉の設置されているフロア(例えば3階)の下層階のフロア(例えば1階)に排気装置を設置した処理装置、処理炉の設置されているフロアと同じフロアに排気装置を設置する処理装置がある。
【0003】
特開2006-190812号公報には、処理炉の設置されているフロアと同じフロアに排気装置を設置する処理装置が開示されている。しかしながら、処理炉ではなく移載室に排気装置が接続されており、排気効率の向上のためにはプロセス中に処理炉と移載室を連通する必要があり、現実的ではない。
【0004】
処理炉と排気装置とを別のフロアに設置する処理装置では、同一フロアに多くの処理炉を配置することができるが、処理炉と排気装置とを長い配管で接続しなければならず、排気のコンダクタンス(排気効率)が小さくなる問題がある。
【0005】
一方、処理炉の設置されているフロアと同じフロアに排気装置を設置する処理装置では、処理装置のレイアウトの関係で、処理炉の側面側に排気ユニット、及び排気装置を配置しなければならない場合がある。この場合、処理炉の近傍に排気ユニット、及び排気装置を配置するとメンテナンス領域を確保できなくなることがあり、何らかの対策が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、処理炉が設置されているフロアと同じフロアに排気装置を設置しても、メンテナンス領域を設けることができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、被処理物をガスで処理する処理炉を筐体の内部に備え、前記筐体の後方部にメンテナンスを可能とする開口部が形成されている処理ユニットと、前記開口部の正面に前記開口部の幅より広い主メンテナンス領域を形成するように前記開口部の脇に設置され、前記処理炉から前記ガスを排気する排気ユニットと、前記排気ユニットの後方部に隣接して配置され、前記主メンテナンス領域へ突出せず、前記排気ユニットが排気する前記ガスを排気する排気装置と、を有する処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、処理炉が設置されているフロアと同じフロアに排気装置を設置しても、メンテナンス領域を設けることができるので、装置のメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の実施形態に係る処理装置の概略構成を示した斜視図である。
図1B】本開示の実施形態に係る処理装置の後面図である。
図2】本開示の実施形態に係る処理装置の一部を示す断面図である。
図3A】本開示の実施形態に係る処理装置の内部構成の一部を示した側面図である。
図3B】本開示の実施形態に係る処理装置の排気装置に用いられるブースターポンプを示す断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る処理装置の排気ユニットに用いられるゲートバルブを示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係る処理装置の排気ユニットと排気装置との一部を示す断面図である。
図6】本開示の実施形態に係る複数の処理装置を示す平面図である。
図7】本開示の実施形態に係る処理装置に備えられた基板処理装置用コントローラを説明するためのブロック図である。
図8】本開示の実施形態に係る処理装置で実行される成膜シーケンスにおける各部の稼動タイミングを示したフローチャートである。
図9】本開示の実施形態に係る処理装置に備えられた排気システム構成の作用を理解するためのグラフを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態に係る処理装置10の構成について、図1乃至図9を参照しながら説明する。なお、図中、矢印F方向は処理装置10の正面方向を示し、矢印B方向は処理装置10の後面方向を示し、矢印R方向は処理装置10の右方向(正面から見て)、矢印L方向は処理装置10の左方向(正面から見て)を示し、矢印U方向は処理装置10の上方向を示し、矢印D方向は処理装置10の下方向を示している。
(1)処理装置の全体構成
【0011】
図1B、及び図3Aに示すように、処理装置10は、フロア124(本実施形態では、一例として3階のフロア)の上に設置されている。処理装置10は、筐体12内を構成する各部品を含む処理ユニット11を備えている。筐体12の矢印F方向側を向く正面壁には、メンテナンス可能なように設けられた開口部が開設され、この開口部には、開口部を開閉する立ち入り機構として一対の正面メンテナンス扉14が設けられている。なお、この処理装置10では、後述するシリコン等の被処理物としての基板(ウエハ)16を収納したポッド(基板収容器)18が、筐体12内外へ基板16を搬送するキャリアとして使用される。基板16は、例えば、半導体装置に用いられるものである。
【0012】
図1Aに示されるように、処理ユニット11の筐体12の正面壁には、ポッド搬入搬出口(図示せず)が、筐体12内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口には、ロードポート20が設置されている。ロードポート20上にはポッド18が載置されると共に、該ポッド18の位置合わせが行われるように構成されている。
【0013】
筐体12内の略中央部における上部には、回転式ポッド棚22が設置されている。回転式ポッド棚22上には、複数個のポッド18が保管されるように構成されている。回転式ポッド棚22は、垂直に立設されて水平面内で回転される支柱と、支柱に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板と、を備えている。
【0014】
筐体12内におけるロードポート20と回転式ポッド棚22との間には、ポッド搬送装置24が設置されている。ポッド搬送装置24は、ポッド18を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ24aとポッド搬送機構24bとの連続動作により、ロードポート20、回転式ポッド棚22、ポッドオープナ26との間で、ポッド18を相互に搬送するように構成されている。
【0015】
筐体12内の下部には、サブ筐体28が筐体12内の略中央部から後端にわたって設けられている。サブ筐体28の正面壁には、基板16をサブ筐体28内外に搬送する一対のポッドオープナ26がそれぞれ設置されている。
【0016】
各ポッドオープナ26は、ポッド18を載置する載置台と、ポッド18のキャップを着脱するキャップ着脱機構30とを備えている。ポッドオープナ26は、載置台上に載置されたポッド18の蓋をキャップ着脱機構30によって着脱することにより、ポッド18のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0017】
筐体12に構成されるサブ筐体28内には、ポッド搬送装置24や回転式ポッド棚22等が設置された空間から流体的に隔絶された移載室32が構成されている。移載室32の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)34が設置されている。基板移載機構34は、基板16を水平方向に回転ないし直動可能な基板移載装置34aと、基板移載装置34aを昇降させる基板移載装置エレベータ34bとで構成されている。基板移載装置エレベータ34bは、サブ筐体28の移載室32の前方領域右端部と筐体12右側の端部との間に設置されている。基板移載装置34aは、基板16の保持部としてのツイーザを備えている。これら基板移載装置エレベータ34b及び基板移載装置34aの連続動作により、基板16を基板保持具としてのボート36に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)することが可能に構成されている。
【0018】
図1B及び図2に示すように、サブ筐体28(移載室32)内には、ボート36を昇降させるボートエレベータ38が設置されている。ボートエレベータ38の昇降台には、アームが連結されている。アームには、蓋体40が水平に据え付けられている。蓋体40は、ボート36を垂直に支持し、処理炉42の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0019】
図1B、及び図2に示す回転式ポッド棚22,ボートエレベータ38,ポッド搬送装置24,基板移載機構34,ボート36及び回転機構44により搬送機構が構成されている。これら回転式ポッド棚22,ボートエレベータ38,ポッド搬送装置24,基板移載機構34,ボート36及び回転機構44は、それぞれ搬送コントローラ46に電気的に接続されている。
【0020】
図1Aに示すように、ボート36を収容して待機させる待機部48の上方には、処理炉42が設けられている。
【0021】
移載室32の基板移載装置エレベータ34b側とは反対側である左側端部には、クリーンユニット50が設置されている。クリーンユニット50は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア52を供給するよう構成されている。クリーンユニット50から吹き出されたクリーンエア52は、基板移載装置34a、待機部48にあるボート36の周囲を流通した後、図示しないダクトにより吸い込まれて筐体12の外部に排気されるか、もしくはクリーンユニット50の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環されてクリーンユニット50によって移載室32内に再び吹き出されるように構成されている。
【0022】
このように、図1Aに示すように処理ユニット11は、例えば、処理炉42、回転式ポッド棚22,ポッド搬送装置24,基板移載機構34,ボート36等筐体12内を構成する部品から構成され、サブ筐体28を構成する部品についても処理ユニット11に含まれる。また、ポッド18や基板16を処理ユニット11に含めてもよい。
【0023】
図2に示すように、ガス供給ユニット54には、処理ガス供給源(図示しない)、開閉バルブ(図示しない)、ガス流量制御器としてのマスフローコントローラ(以下、MFCと略する)64a、処理ガス供給管66aを含む処理ガス供給系、パージガス供給源(図示しない)、開閉バルブ(図示しない)、MFC64b、パージガス供給管66bを含むパージガス供給系が格納されている。
【0024】
排気ユニット56の筐体56Aの内部には、排気配管68、圧力検知部としての圧力センサ70、例えばAPC(Auto Pressure Controller)バルブとして構成された圧力調整部72により構成されるガス排気機構等が格納されている。なお、排気ユニット56の詳細については後述する。
【0025】
図2に示すように、排気ユニット56には、排気装置74が隣接して配置されている。なお、排気装置74の詳細については後述する。
【0026】
図2に示すように、制御部としての基板処理装置用コントローラ76は、搬送コントローラ46、温度コントローラ78、圧力コントローラ80、ガス供給コントローラ82にそれぞれ接続されている。
【0027】
(2)処理炉の構成
図2に示すように、処理炉42は、反応管84を備えている。反応管84は、内部反応管86と、その外側に設けられた外部反応管88と、を備えている。内部反応管86は、円筒形状に形成されており、内部反応管86内の筒中空部には、基板16を処理する処理室90が形成されている。処理室90は、ボート36を収容可能なように構成されている。
【0028】
反応管84の外側には、反応管84の側壁面を囲うように、円筒形状のヒータ92が設けられている。ヒータ92は、ヒータベース94に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0029】
外部反応管88の下方には、外部反応管88と同心円状になるように、円筒形状の炉口部96が配設されている。炉口部96は、内部反応管86の下端部と外部反応管88の下端部とを支持するように設けられ、内部反応管86の下端部と外部反応管88の下端部とにそれぞれ係合している。なお、炉口部96と外部反応管88との間には、シール部材としてのOリング98が設けられている。炉口部96がヒータベース94に支持されることにより、反応管84は垂直に据え付けられた状態となっている。反応管84と炉口部96とにより反応容器が形成される。
【0030】
炉口部96には、処理ガスノズル100a及びパージガスノズル100bが処理室90内に連通するように接続されている。処理ガスノズル100aには、処理ガス供給管66aが接続されている。処理ガス供給管66aの上流側には、MFC64aを介して、図示しない処理ガス供給源等が接続されている。また、パージガスノズル100bには、パージガス供給管66bが接続されている。パージガス供給管66bの上流側には、MFC64bを介して、図示しないパージガス供給源等が接続されている。MFC64a,64bには、ガス供給コントローラ82が電気的に接続されている。
【0031】
炉口部96には、処理室90の雰囲気を排気する排気配管68が接続されている。排気配管68は、内部反応管86と外部反応管88との隙間によって形成される筒状空間102の下端部に配置されている。排気配管68は、筒状空間102に連通している。
【0032】
炉口部96の下方には、炉口部96の下端開口を気密に閉塞可能な蓋体40が設けられている。蓋体40の上面には、炉口部96の下端と当接するシール部材としてのOリング104が設けられている。
【0033】
蓋体40の中心部付近であって処理室90と反対側には、ボート36を回転させる回転機構44が設置されている。回転機構44の回転軸106は、蓋体40を貫通してボート36を下方から支持している。回転機構44は、ボート36を回転させることで基板16を回転させるように構成されている。
【0034】
蓋体40は、反応管84の外部に設けられたボートエレベータ38によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。蓋体40を昇降させることにより、ボート36を処理室90内外へ搬送することが可能に構成されている。回転機構44及びボートエレベータ38には、搬送コントローラ46が電気的に接続されている。
【0035】
ボート36は、複数枚の基板16を水平姿勢でかつ多段に保持するように構成されている。ボート36の下部には、断熱部材としての断熱板107が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板107は、ヒータ92からの熱を炉口部96側に伝えにくくするために設けられている。
【0036】
反応管84内には、温度検知器としての温度センサ108が設置されている。ヒータ92と温度センサ108とには、温度コントローラ78が電気的に接続されている。
【0037】
(排気ユニット)
図3Aに示すように、排気ユニット56は、一例として金属板で箱状に形成され、長手方向(最大寸法の方向)を上下方向とした筐体120を有している。筐体120の内部には、排気配管68の下流側における配管途中にゲートバルブ付きの配管122が接続されている。
【0038】
配管122は、図4に示すように、ブロック配管としての箱配管126に収納された板状のゲートバルブとしての弁体128が流路に対して直角(上下)に移動して、開閉を行うものである。箱配管126は、矩形の箱状に形成され、上部に流入口130、側部に流出口132を備えることで、流入口130までの(上下方向の)排気配管68と流出口132から排気装置74へ向かう(水平方向の)排気配管68との位置ズレを吸収するよう構成されている。言い換えれば、流入口130の管軸と流出口132の管軸は交わらず、水平方向にオフセットしている。このように、本実施形態では、上下方向の排気配管68と水平方向の排気配管68との接続のための箱配管126を箱状に形成しているので、多少の位置ずれが生じていても流入口130、流出口132の位置により調整することができる。また、箱配管126を箱状にすることで弁体128を内部に設けることができ、流出口132の位置によらず弁体128を閉にすると、排ガスの流出を抑制でき、且つ、外気もしくは排気装置74からの逆拡散から遮断することができる。例えば、異常が発生した場合、流出口132側に配置された弁体128が上下方向にスライドして開閉を行うようになっている。弁体128を閉にすることにより、排ガスの流出を抑制することができる。また、弁体128を閉にすることにより、排気装置74を切り離し、メンテナンスが行える。この弁体128は、手動でスライドさせてもよく、アクチュエータ134によってスライドさせてもよい。また、弁体128は、無くても構わない。なお、弁体128は流入口130側に配置して流路に対して水平移動により、開閉するように構成してもよく、流入口130側と流出口132側の両方に設けるようにしてもよい。
【0039】
また、図3Aに示すように、排気ユニット56の筐体120の内部において、排気配管68には、圧力センサ70、圧力調整部72、箱配管126が上流側から順に接続されている。このような構成であるので、排気ユニット56の筐体120と排気装置74の筐体136は後述するように隣接される。なお、圧力調整部72及び圧力センサ70には、圧力コントローラ80が電気的に接続されている。
【0040】
(排気装置)
図3Aに示すように、排気装置74は、筐体136の内部に、ブースターポンプ138を収容している。筐体136は、一例として金属板で矩形の箱状に形成され、図示しないアンカー等を用いて排気ユニット56が設置されている同一のフロア124に固定されている。
【0041】
図3Bに示すように、本実施形態のブースターポンプ138は、排気速度を増大させる働きをもったポンプであり、長円形のケーシング140内にある2個のマユ型ロータ142を互いに90度の角度で高速で回転させるタイプのメカニカルなポンプである。そして、このブースターポンプ138は、後述する粗引きポンプとしてのメインポンプ(ドライポンプ)144と組み合わせて、メインポンプ144の排気速度が落ち込む圧力領域において、その排気速度を大幅にアップさせることができるものである。なお、ブースターポンプ138は、図示しない防振装置を介して筐体136の内部に支持されている。これにより、排気装置74においては、ブースターポンプ138の振動が筐体136へ伝達することを抑制したり、地震などの振動を吸収したりする等の対策(防振対策)が施されている。
【0042】
ブースターポンプ138は、長手方向(最大寸法)を鉛直方向に向けて、即ち、縦長にして筐体136の内部に配置されている。筐体136も、ブースターポンプ138の配置に合わせて縦長に形成されており、フロア124における設置面積を小さくしている。
【0043】
長手方向(最大寸法)を鉛直方向に向けたブースターポンプ138においては、吸気口146、及び排気口148が水平方向を向いている。
【0044】
図5に示すように、ブースターポンプ138の吸気口146には、排気ユニット56の排気配管68の端部が管状の振動吸収接続部材150を介して接続されている。振動吸収接続部材150は、中間部に蛇腹状のベローズ152が形成されて弾性変形可能となっており、長手方向一方側から他方側へ伝達する振動を吸収することができる。これにより、排気装置74の排気配管68と、排気ユニット56のブースターポンプ138の吸気口146との振動を振動吸収接続部材150で吸収することができる。
【0045】
振動吸収接続部材150の両端部には、各々フランジ154、156が形成されている。振動吸収接続部材150の一方側は、取付フランジ158を介して排気装置74の筐体136の側壁に固定されている。なお、取付フランジ158は、ボルト160、及びナット162を用いて筐体136の側壁に固定されている。
【0046】
振動吸収接続部材150の一方のフランジ154は、排気配管68の端部に形成されたフランジ164と共に、ボルト166を用いて取付フランジ158に固定されている。排気ユニット56の筐体120の側壁には、振動吸収接続部材150を貫通させ、かつ取付フランジ158よりも大径とされた貫通孔168が形成されている。このように、図4及び図5において、排気ユニット56の筐体120と、排気装置74の筐体136を隣接することができる。なお、排気ユニット56の筐体120と排気装置74の筐体136との間に隙間が設けられていてもよい。本実施形態において、多少の隙間(例えば、隣り合う筐体120の隙間程度)があっても隣接すると定義する。
【0047】
図3Bに示すように、ブースターポンプ138の排気口148には、排気管170の一端が接続されており、ブースターポンプ138から排出された排気は、排気管170を介して下層階(一例として1F)のフロアに設置されたメインポンプ144に送られるようになっている。なお、ブースターポンプ138、及びメインポンプ144は、ポンプ制御部171に接続されており、ポンプ制御部171によって駆動が制御される。
【0048】
このように、本実施形態の処理装置10は、処理ユニット11、ガス供給ユニット54、排気ユニット56、排気装置74を含んで構成されている。ここで、排気ユニット56および/またはガス供給ユニット54は、筐体12の外側に設ける(別体として設ける)構成に限定されるのではなく、例えば、筐体12の内部に設ける構成(つまり筐体12と筐体120を一体とする構成)にしてもよい。そして、筐体12に直接排気装置74を設けるよう構成してもよい。
【0049】
図1Bに示すように、処理装置10において、筐体12の矢印B方向側を向く後方部としての背面12Bには、メンテナンス可能なように設けられた開口部172が幅方向中央部に開設され、この開口部172には、開口部172を開閉するメンテナンス扉174が設けられている。
【0050】
図1B、及び図6に示すように、筐体12の矢印B方向側において、開口部172の矢印L方向側にはガス供給ユニット54が配置されており、開口部172の矢印R方向側には排気ユニット56が配置されている。さらに、排気ユニット56の矢印B方向には排気装置74が配置されている。
【0051】
図6は、処理装置10を装置幅方向(矢印L方向、及び矢印R方向)多連に設置したときを示す図である。隣り合う筐体120の隙間は、数cm以上(例えば、2cm以上5cm以下)である。図6に示すように、本実施形態において、ガス供給ユニット54と排気ユニット56との間の領域、及び該領域の矢印B方向側に続いて排気装置74の矢印B方向の端部に至るまでの左上がりの斜線で示す領域は、主メンテナンス領域176Aとされている。
図1B、及び図6に示すように、本実施形態の主メンテナンス領域176Aの幅W2は、開口部172の幅W3よりも幅広に設定されている。なお、本実施形態の処理装置10では、開口部172は、メンテナンスのために処理装置10の部品(処理炉42、反応管84、ボート36等)を装置外へ取り出し可能なサイズに形成されている。本実施形態では、開口部172の幅W3は、少なくとも処理炉42の幅よりも幅広に設定されている。
【0052】
また、図6に示す右上がりの斜線で示す領域は、一つの処理装置10で利用可能なメンテナンス領域176の最大領域を示している。本実施形態のメンテナンス領域176の幅W1は、処理装置10の最大幅(矢印L方向、及び矢印R方向)と同一幅である。なお、メンテナンス領域176の長さL(矢印F方向、及び矢印B方向)は、特に決められた寸法はなく、フロアに設置した他の機器との関係で決められる。なお、主メンテナンス領域176Aの矢印B方向側に設けられるスペースが、処理装置10の部品(一例として、反応管84、ボート36、処理炉42等)を矢印L方向、及び矢印R方向に運搬することが可能なように、排気装置74に対向するメンテナンス領域176の矢印B方向の幅(W4)が決定される。本実施形態では、排気ユニット56と排気装置74が隣接して設けられるので、例えば、幅W4は幅W2と同等若しくは同等以上の長さを有することができる。このように、本実施形態では、開口部172に対向する領域にスペース(例えば、メンテナンス領域)を設けることができ、少なくとも処理装置10を構成する部品(反応管84、ボート36等)の運搬が可能なスペースを設けることができる。これにより、処理装置10を構成する部品の交換などの保守作業が遅滞なく行えるので、装置稼働率の低下の軽減が可能となる。
【0053】
本実施形態では、ブースターポンプ138の吸気口146の中心と振動吸収接続部材150の排気ユニット56側の排気配管68の中心が、排気ユニット56の水平方向外側(矢印R方向側)にずれた状態で接続されるよう構成されている。これにより、例えば、排気装置74の内側面が排気ユニット56の内側面から主メンテナンス領域176A側へはみ出さない(突出しない)ようにしている。
【0054】
また、例えば、排気装置74は、矢印R方向側に隣接した他の処理装置10のガス供給ユニット54の内側面から、他の処理装置10の主メンテナンス領域176Aへはみ出さない(突出しない)ように配置されている。
【0055】
(3)基板処理装置の動作
続いて、図1及び図2を参照しながら、処理装置10を構成する各部の動作について説明する。尚、処理装置10を構成する各部の動作は基板処理装置用コントローラ76により制御される。
【0056】
ポッド18が工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート20に供給されると、基板検知センサ178によりポッド18が検知され、ポッド搬入搬出口がフロントシャッタによって開放される。そして、ロードポート20の上のポッド18が、ポッド搬送装置24によってポッド搬入搬出口から筐体12内部へと搬入される。
【0057】
筐体12内部へと搬入されたポッド18は、ポッド搬送装置24によって回転式ポッド棚22の棚板上へ自動的に搬送されて一時的に保管される。その後、ポッド18は、棚板上から一方のポッドオープナ26の載置台上に移載される。
【0058】
載置台上に載置されたポッド18は、その蓋がキャップ着脱機構30によって取り外され、ウエハ出し入れ口が開放される。その後、基板16は、基板移載装置34aのツイーザによってウエハ出し入れ口を通じてポッド18内からピックアップされ、移載室32の後方にある待機部48内へ搬入され、ボート36内に装填(チャージング)される。ボート36に基板16を装填した基板移載装置34aは、ポッド18が載置された載置台に戻り、ポッド18内から次の基板16を取り出して、ボート36内に装填する。
【0059】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ26における基板移載機構34による基板16のボート36への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ26の載置台上には、別のポッド18が回転式ポッド棚22上からポッド搬送装置24によって搬送されて、載置台に移載され、ポッドオープナ26によるポッド18の開放作業が同時進行される。
【0060】
予め指定された枚数の基板16がボート36内に装填されると、処理炉42の下端部が、炉口シャッタによって開放される。続いて、基板16群を保持したボート36は、蓋体40がボートエレベータ38によって上昇されることにより処理炉42内へ搬入(ローディング)されていく。
【0061】
上述のように、複数枚の基板16を保持したボート36が処理室90内に搬入(ローディング)されると、蓋体40は、Oリング104を介して炉口部96の下端をシールした状態となる。
【0062】
処理室90内が所望の圧力(真空度)となるように、ブースターポンプ138、及びメインポンプ144によって真空排気される。この際、圧力センサ70が測定した圧力値に基づき、圧力調整部72(APCバルブの弁の開度)がフィードバック制御される。また、処理室90が所望の温度となるように、ヒータ92によって加熱される。この際、温度センサ108が検知した温度値に基づき、ヒータ92への通電量がフィードバック制御される。続いて、回転機構44により、基板16を装填したボート36が回転させられる。
【0063】
次いで、処理ガス供給源から供給されてMFC64aにて所望の流量となるように制御された処理ガスは、処理ガス供給管66a内を流通して処理室90内に導入される。導入された処理ガスは処理室90を上昇し、内部反応管86の上端開口から筒状空間102に流出して排気配管68から排気される。処理ガスは、処理室90を通過する際に基板16の表面と接触し、この際に熱反応によって基板16の表面上に薄膜が堆積される。
【0064】
予め設定された処理時間が経過すると、パージガス供給源から供給されてMFC64bにて所望の流量となるように制御されたパージガスが処理室90に供給され、処理室90内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室90の圧力が常圧に復帰される。
【0065】
その後、ボートエレベータ38により蓋体40が下降されて炉口部96の下端が開口されるとともに、処理済の基板16を保持するボート36が炉口部96の下端から反応管84の外部へと搬出(アンローディング)される。その後、処理済の基板16はボート36より取り出され、ポッド18内へ格納される(ディスチャージ)。
【0066】
ディスチャージ後は、ノッチ合わせ装置での整合工程を除き、上述の手順とほぼ反対の手順で、処理後の基板16を格納したポッド18が筐体12外へと搬出される。
【0067】
(4)基板処理装置用コントローラの構成
図7を参照して、操作部としての基板処理装置用コントローラ76について説明する。
【0068】
該基板処理装置用コントローラ76は、主にCPU(Central Processing Unit)等の演算制御部110と、RAM111、ROM112、図示しないHDD等を備える記憶部114と、マウスやキーボード等の入力部116及びモニタ等の表示部118とから構成されている。尚、演算制御部110と、記憶部114と、入力部116と、表示部118とで各データを設定可能に構成されている。
【0069】
演算制御部110は、基板処理装置用コントローラ76の中枢を構成し、ROM112に記憶された制御プログラムを実行し、表示部118からの指示に従って、レシピ記憶部も構成する記憶部114に記憶されているレシピ(例えば、基板処理レシピとしてのプロセス用レシピ等)を実行する。
ROM112には、装置各部(ブースターポンプ138、メインポンプ144、その他)の動作の制御を行う演算制御部110の動作プログラム等が記憶されている。メモリ(RAM)は、演算制御部110のワークエリア(一時記憶部)として機能する。
【0070】
なお、演算制御部110には、光学ドライブ115が接続されている。光学ドライブ115は、例えば、記録媒体としてのCD-ROM117に記録されたプログラム等の情報を読み取ることができ、読み取ったプログラム等の情報がROM112に記録されるようになっている。なお、演算制御部110にUSBポート等を接続し、USBメモリからプログラム等の情報を読み取ってもよい。
【0071】
ここで、基板処理レシピは、基板16を処理する処理条件や処理手順等が定義されたレシピである。また、レシピファイルには、搬送コントローラ46、温度コントローラ78、圧力コントローラ80、ガス供給コントローラ82等に送信する設定値(制御値)や送信タイミング等が、基板処理のステップ毎に設定されている。
【0072】
演算制御部110は、処理室90内にローディングされた基板16に対し、所定の処理がなされる様、処理室90内の温度や圧力、該処理室90内に導入される処理ガスの流量等を制御する機能を有している。
【0073】
搬送コントローラ46は、基板を搬送する搬送機構を構成する回転式ポッド棚22、ボートエレベータ38、ポッド搬送装置24、基板移載機構34、ボート36及び回転機構44の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。また、回転式ポッド棚22、ボートエレベータ38、ポッド搬送装置24、基板移載機構34、ボート36及び回転機構44には、それぞれセンサが内蔵されている。搬送コントローラ46は、これらのセンサがそれぞれ所定の値や異常な値等を示した際に、基板処理装置用コントローラ76にその旨の通知を行うように構成されている。
【0074】
記憶部114は、各種データ等が格納されるデータ格納領域180と、基板処理レシピを含む各種プログラムが格納されるプログラム格納領域182を備えている。
【0075】
データ格納領域180は、レシピファイルに関連する各種パラメータが格納される。また、プログラム格納領域182には、上述の基板処理レシピを含む装置を制御するのに必要な各種プログラムが格納されている。
【0076】
基板処理装置用コントローラ76の表示部118には、タッチパネル(図示せず)が設けられている。タッチパネルは、上述の基板搬送系、基板処理系への操作コマンドの入力を受け付ける操作画面を表示するように構成されている。なお、基板処理装置用コントローラ76は、パソコンやモバイル等の操作端末(端末装置)のように、少なくとも表示部118と入力部116を含む構成であればよい。
【0077】
温度コントローラ78は、処理炉42のヒータ92の温度を制御することで処理炉42内の温度を調節すると共に、温度センサ108が所定の値や異常な値等を示した際、基板処理装置用コントローラ76にその旨の通知を行うように構成されている。
【0078】
圧力コントローラ80は、圧力センサ70により検知された圧力値に基づいて、処理室90内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力調整部72を制御すると共に、圧力センサ70が所定の値や異常な値等を示した際、基板処理装置用コントローラ76にその旨の通知を行うように構成されている。
【0079】
ガス供給コントローラ82は、ガス供給コントローラ82は、処理室90内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC64aを制御するように構成されている。ガス供給コントローラ82は、MFC64a等が備えるセンサ(図示せず)が所定の値や異常な値等を示した際、基板処理装置用コントローラ76にその旨の通知を行うように構成されている。
【0080】
[基板処理装置の作用、効果]
本実施形態における基板処理工程
先ず、半導体製造装置としての処理装置10を使用して、基板16を処理する基板処理工程の概略について説明する。この基板処理工程は、例えば、半導体装置(例えば、IC、LSI等)を製造するための一工程である。なお、以下の説明において、処理装置10を構成する各部の動作や処理は、基板処理装置用コントローラ76により制御される。以下、基板処理工程について図8を用いて説明する。
【0081】
ここでは、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてNH(アンモニア)を用いて基板16上にSiN(シリコン窒化)膜を形成する例について説明する。
【0082】
(基板搬入工程S102)
基板搬入工程S102では、基板16をボート36に装填し、処理室90内へ搬入する。
【0083】
(成膜工程S104)
成膜工程S104では、次の4つのステップを順次実行する。なお、ステップ1~4の間は、ヒータ92により、基板16を所定の温度に加熱しておく。
[ステップ1]
ステップ1では、処理ガス供給管66aに設けた図示しない開閉バルブと排気配管68に設けた圧力調整部72(APCバルブ)を共に開けて、HCDSガスを処理室90内に供給しつつ、排気配管68から排気する。これにより、基板16の表面にシリコン薄膜を形成する。
【0084】
[ステップ2]
ステップ2では、処理ガス供給管66aの開閉バルブを閉めてHCDSガスの供給を止め、排気配管68の圧力調整部72(APCバルブ)は開いたままにし、ブースターポンプ138、メインポンプ144により処理室90内を排気し、残留ガスを処理室90内から排除する。また、N等の不活性ガスを処理室90内に供給して処理室90内のパージを行い、処理室90内の残留ガスを処理室90外に排出する。ここでは、パージガス供給系のガス配管64bに設けられた開閉バルブを開けて、MFC64bにより流量調節されたN等の不活性ガスを処理室90内に供給する。
【0085】
[ステップ3]
ステップ3では、NHガスを処理室90内に供給しつつ、排気配管68から排気する。NHガスの供給により、基板16の表面に形成したシリコン薄膜とNHガスが表面で反応して、基板16上にSiN膜が形成される。
【0086】
[ステップ4]
ステップ4では、NHガスの供給を止める。排気配管68の圧力調整部72(APCバルブ)は開いたままにし、ブースターポンプ138、メインポンプ144により処理室90内を排気し、残留ガスを処理室90内から排除する。また、N等の不活性ガスを処理室90内に供給して処理室90内のパージを行う。
【0087】
上記ステップ1~4を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことにより基板16上に所定膜厚のSiN膜を形成する。
【0088】
(基板搬出工程S106)
基板搬出工程S106では、SiN膜が形成された基板16が載置されたボート36を、処理室90から搬出する。
【0089】
図9は、図8に示す基板処理工程で実行された従来の基板処理装置のプロセスレシピの一例を表示するものであり、ステップ毎に各処理工程の占める割合を表したものである。従来の基板処理装置は、排気ユニット56、及び排気装置74が3階のフロアに設置され、ブースターポンプ138、及びメインポンプ144が1階のフロアに設置された構成のものである。なお、図9において、原料ガスはプロセスガスAとして、反応ガスはプロセスガスBとして記載している。従来の基板処理装置では、プロセスレシピの全行程に占める排気工程(図では、排気パージ1と排気パージ2と示される工程)の割合が74%にも達している。
【0090】
本実施形態の処理装置10によれば、ブースターポンプ138を同じフロア124の処理炉42の近傍に配置しているので、ブースターポンプ138をメインポンプ144と共に他の階のフロアに配置した場合に比較して排気能力が向上し、排気工程にかかる時間を短縮することができる。これにより、基板処理におけるスループットの向上を図ることができる。
【0091】
本実施形態の処理装置10によれば、図1B、及び図6に示すように、筐体12の後面側(矢印B方向側)には、開口部172の正面側に、開口部172よりも幅広のメンテナンス領域176が設けられており、処理装置10の後面側においては、開口部172に対向する領域にメンテナンス領域176を設けるように排気装置74が設置されるように構成されている。これにより、開口部172から装置内部の部品(一例として処理炉42、反応管84、ボート36等)をメンテナンス領域176に取り出してメンテナンス作業を容易に行うことができる。つまり、本実施形態では、メンテナンス作業が十分に行えるスペースをメンテナンス領域176として確保できればよく、主メンテナンス領域176Aを確保しなければならないわけではない。
【0092】
例えば、図1B、及び図6に示すように、本実施形態の処理装置10によれば、筐体12の後面側(矢印B方向側)には、開口部172の正面側に、開口部172よりも幅広の主メンテナンス領域176Aが設けられている。処理装置10の後面側においては、主メンテナンス領域176Aにはみ出さないように排気装置74が設置されており、しかも、この排気装置74は、矢印R方向側に隣接した他の処理装置10のガス供給ユニット54の内側面から、他の処理装置10の主メンテナンス領域176Aへはみ出さないように配置されている。これにより、処理装置10を装置幅方向(矢印L方向、及び矢印R方向)多連に設置したときであっても、処理装置10のメンテナンス作業のための主メンテナンス領域176Aを、開口部172の正面側に設けることができ、例えば、開口部172から装置内部の部品(一例として処理炉42、反応管84、ボート36等)をメンテナンス領域176(特に主メンテナンス領域176A)に取り出してメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、処理装置10の後面側に十分なスペース(例えば、十分なメンテナンス領域176)を確保できるのであれば、排気装置74を主メンテナンス領域176Aにはみ出させるように構成してもよい。
【0093】
更に、本実施形態では、排気ユニット56と排気装置74が隣接して設けられるので、排気装置74とメンテナンス領域176の矢印B方向の幅(W4)は、処理装置10の部品(一例として、反応管84、ボート36、処理炉42等)を矢印L方向、及び矢印R方向に運搬することが可能なように幅W2以上保持されており、開口部172からメンテナンス領域176(特に主メンテナンス領域176A)に取り出した装置内部の交換部品(反応管84、ボート36等)を運搬することができる。
【0094】
さらに、本実施形態の処理装置10によれば、ブースターポンプ138の駆動により、ブースターポンプ138に振動が生ずるが、ブースターポンプ138は防振装置を介して筐体136に支持されているため、ブースターポンプ138の振動が筐体136に伝達されることが抑制される。
【0095】
さらに、ブースターポンプ138と排気ユニット56の排気配管68とが、振動吸収接続部材150を介して接続されており、振動吸収接続部材150の排気配管68側の端部が排気装置74の筐体136内に固定されているので、ブースターポンプ138の振動が排気配管68に伝達されることが抑制されると共に排気ユニット56の筐体120と排気装置74の筐体136とを隣接させることができる。したがって、排気装置74の後方側のメンテナンス領域176を確保することができる。
【0096】
なお、振動吸収接続部材150は、排気効率(排気のコンダクタンス)を考慮し、できるだけ短くすることや曲げ箇所を少なくすることが望ましい。
【0097】
本実施形態の処理装置10では、ブースターポンプ138を立置きにして配置しているので、ブースターポンプ138を横置き配置した場合に比較して、排気装置74のフットプリントを小さくすることができる。これにより、処理装置10の設置面積を小さくすることができる。これにより、一つのフロアに出来るだけ多くの処理装置10を設置することができ、基板16の処理効率(=生産効率)を向上させることができる。
【0098】
ブースターポンプ138をメンテナンスする際には、振動吸収接続部材150を取り外すことで、ブースターポンプ138を取り出して、容易に交換をすることができる。
【0099】
また、ゲートバルブ122は、メンテナンス時、異常停止時等に流路を閉止することが出来る。これにより、ブースターポンプ138からの処理炉42への逆拡散により生じるパーティクルを防止することができる。
【0100】
本実施形態では、ゲートバルブ122とブースターポンプ138とを、排気配管68、及び振動吸収接続部材150を用いて接続したが、ゲートバルブ122とブースターポンプ138とを振動吸収接続部材150のみで接続してもよい。
【0101】
[その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0102】
また、上述の実施形態では、基板16上に膜を堆積させる例について説明した。しかしながら、本開示は、このような態様に限定されない。例えば、基板16上に形成された膜等に対して、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、好適に適用可能である。
【0103】
また、上述の実施形態では、一度に複数枚の基板16を処理するバッチ式の縦型装置である処理装置10を用いて成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する処理装置10を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0104】
また、上述の実施形態に係る処理装置10のような半導体装置の基板16を処理する半導体製造装置などに限らず、ガラス基板を処理するLCD(Liquid Crystal Display)製造装置にも本開示を適用することができる。
【0105】
上述の実施形態の処理装置10では、排気装置74の矢印R方向側の端部が、排気ユニット56の矢印R方向側の端部よりも矢印R方向側に突出していたが、小型のブースターポンプ138を用いることで、排気装置74の矢印R方向側の端部が、排気ユニット56の矢印R方向側の端部よりも矢印R方向側に突出しないようにすることもできる。
【0106】
2018年3月6日に出願された日本国特許出願2018-040194号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載されたすべての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9