(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】有機太陽電池の製造方法およびこれを用いて製造された有機太陽電池
(51)【国際特許分類】
H01L 51/48 20060101AFI20220105BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20220105BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20220105BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L31/04 180
C08G61/12
C07D519/00
C07D519/00 311
H01L31/04 152C
H01L31/04 152G
H01L31/04 152J
(21)【出願番号】P 2019548867
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2019002356
(87)【国際公開番号】W WO2019172571
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2019-09-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026289
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ドゥーワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ソンリム
(72)【発明者】
【氏名】リム、ボギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンヒュン
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0128509(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0005920(KR,A)
【文献】特表2017-513877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037109(US,A1)
【文献】特表2018-500415(JP,A)
【文献】Xue Gong et al.,"Influence of polymer side chains on the photovoltaic performance of non-fullerene organic solar cells",Journal of Materials Chemistry C,2017年,Vol.5,pp.937-942
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を用意するステップと、
前記基板上に第1電極を形成するステップと、
前記第1電極上に光活性層を形成するステップと、
前記光活性層を0.01MPa~0.07MPaの風力で乾燥するステップと、
前記光活性層上に第2電極を形成するステップとを含み、
前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、
前記電子供与体および前記電子受容体は、バルクヘテロジャンクションを形成し、
前記電子供与体は、高分子化合物を含み、前記電子受容体は、ITICを含み、
前記高分子化合物は、下記化学式3で表される第1単位;下記化学式4で表される第2単位;および下記化学式5で表される第3単位を含む重合体を含み、
[化学式3]
【化1】
[化学式4]
【化2】
[化学式5]
【化3】
前記化学式3~5において、
X1~X5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRR'、NR、O、SiRR'、PR、S、GeRR'、Se、およびTeからなる群より選択され、
Y1~Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CR"、N、SiR"、P、およびGeR"からなる群より選択され、
R、R'、R"、Q1~Q4、R1~R4、R10およびR11は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R20およびR21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルコキシ基;または置換もしくは非置換のアリールオキシ基であり、
a、b、dおよびeは、それぞれ0~3の整数であり、
a、b、dまたはeが2以上の場合、2以上の括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1~A4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素であり、前記A1~A4のうちの少なくとも1つは、フッ素または塩素である、有機太陽電池の製造方法:
[ITIC]
。
【請求項2】
前記光活性層を形成するステップは、スロットダイ、バーコーター、ドクターブレード、またはディップコーティングを利用して行われるものである、請求項1
に記載の有機太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月6日付で韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10-2018-0026289号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、有機太陽電池の製造方法およびこれを用いて製造された有機太陽電池に関する。
【背景技術】
【0003】
世界的に太陽電池市場の約90%がシリコン材料をベースとする太陽電池である。シリコン太陽電池は、材料費と作製単価が高いことから、原子力発電、火力発電のように、大規模に電気を発電させるにはまだ限界を示している。このようなシリコン系の太陽電池の問題を解決するための方策として有機物を用いた太陽電池素子が注目されるが、これは、有機太陽電池がより安価に素子を生産できるという利点があるからである。
【0004】
有機太陽電池は、大きく、アノード(anode)と光活性層、カソード(cathode)から構成されている。一般的に、光活性層に有機物が使用され、アノードとカソードは、それぞれインジウムスズ酸化物(ITO;indium tin oxide)とアルミニウム(Al)が主に使用されるが、現在、全世界的にアノードおよびカソード電極材料まで有機物質に代替しようとする研究が活発である。また、ローバンドギャップ(low band-gap)を有する新規有機高分子の研究成果によってエネルギー変換効率が次第に増加する傾向にある。
【0005】
一般的に、有機太陽電池は、アノード電極/正孔伝達層/光活性層/電子輸送層/カソード電極から構成された構造において、前記光活性層の形成方法は、大きく、電子供与体と電子受容体を真空雰囲気で蒸着法で薄膜を製造する方法と、溶液工程を用いて薄膜を製造する方法と、の2つに分類される。さらに詳細には、蒸着を利用する方法は、電子供与体と電子受容体をすべて単分子を用いるのに対し、溶液工程を用いる方法は、一般的に、電子供与体として高分子を使用し、電子受容体としては高分子、フラーレン誘導体、ペリレン誘導体、量子ドット無機ナノ粒子などを使用する。したがって、単分子を蒸着して使用する場合よりも、高分子を使用した溶液工程を用いると、真空技術を必要とせず、大面積の素子を安価に大量生産できるため、最近は、高分子を用いた溶液工程の方に研究の重さが集中している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、有機太陽電池の製造方法およびこれを用いて製造された有機太陽電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一実施態様は、
基板を用意するステップと、
前記基板上に第1電極を形成するステップと、
前記第1電極上に光活性層を形成するステップと、
前記光活性層を0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥するステップと、
前記光活性層上に第2電極を形成するステップとを含む有機太陽電池の製造方法を提供する。
【0008】
また、本出願の他の実施態様は、前記有機太陽電池の製造方法によって製造された有機太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本出願の一実施態様に係る有機太陽電池の製造方法によれば、バー、スロットダイなどで形成された光活性層の乾燥を最適化して、電子供与体と電子受容体との間の適切な相分離を誘導することができる。
【0010】
また、本出願の一実施態様に係る有機太陽電池の製造方法によって製造された有機太陽電池は、エネルギー変換効率に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本出願の一実施態様に係る有機太陽電池を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様として、光活性層を乾燥するステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本出願についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0015】
本明細書において、「単位」とは、重合体の単量体に含まれる繰り返し構造であって、単量体が重合によって重合体内に結合した構造を意味する。
【0016】
本明細書において、「単位を含む」の意味は、重合体内の主鎖に含まれるとの意味である。
【0017】
本明細書において、エネルギー準位は、エネルギーの大きさを意味するものである。したがって、真空準位からマイナス(-)方向にエネルギー準位が表示される場合にも、エネルギー準位は、該当エネルギー値の絶対値を意味すると解釈される。例えば、HOMOエネルギー準位とは、真空準位から最高占有分子オービタル(highest occupied molecular orbital)までの距離を意味する。また、LUMOエネルギー準位とは、真空準位から最低非占有分子オービタル(lowest unoccupied molecular orbital)までの距離を意味する。
【0018】
有機太陽電池は、軽くて柔軟であり、多様な色を実現できるため、多くで研究が進められているが、ほとんどがスピンコーティング(spin-coating)を利用する単位素子(9mm2)の作製にとどまっている。このようなスピンコーティング(spin-coating)と大面積コーティング方式であるスロットダイ(slot-die)、バー(bar)、インクジェット(ink-jet)などは、光活性層の乾燥方式において基本的に大きな相違がある。
【0019】
大面積コーティング方法では、ほとんど光活性層を大気中で自然乾燥したり、熱を利用して乾燥し、乾燥方式よりは乾燥後熱処理に集中した。また、粘度の低い単分子Donor:PCBMおよび最適な光活性層の厚さが100nm以下の特性を有する高分子Donor:ITICの組み合わせでは、スピンコーティング(spin-coating)ではない方式でモジュール(module)を作製するのに困難がある。
【0020】
そこで、本出願では、大面積コーティングで用いられるバー(Bar)、スロットダイ(Slot-die)などで形成された光活性層の乾燥を最適化して、高効率の有機太陽電池モジュール(module)を製造しようとした。
【0021】
本出願の一実施態様に係る有機太陽電池の製造方法は、基板を用意するステップと、前記基板上に第1電極を形成するステップと、前記第1電極上に光活性層を形成するステップと、前記光活性層を0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥するステップと、前記光活性層上に第2電極を形成するステップとを含む。
【0022】
本出願の一実施態様によれば、有機太陽電池の光活性層のモルフォロジーを調節するために、前記光活性層を0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥するステップを含む。
【0023】
有機太陽電池は、光活性層に光を付与すると、エキシトンが生成され、拡散によって電子供与物質、電子受容物質の接合位置にエキシトンが移動する。電子供与体および電子受容体の界面に移動したエキシトンは、それぞれ電子と正孔に分離され、電荷が電極に輸送されながら電力が発生する。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記光活性層の電子供与体と電子受容体は、バルクヘテロジャンクション(BHJ)をなす。
【0025】
バルクヘテロジャンクション素子の場合、電子供与体と電子受容体とが完全ランダムに混ざると、エキシトンの電荷への分離は非常に効果的であるが、これらの分離された電荷がそれぞれの電極に移動する時、再結合の可能性が生じる問題点がある。すなわち、エキシトンのボトルネック現象を解消しかつ、分離された電荷の再結合の可能性を最小化するために、バルクヘテロジャンクション構造において電子供与体と電子受容体との間の相互作用をする表面積は高めるが、適切な相分離によって電子と正孔それぞれの輸送が円滑に行われる必要がある。
【0026】
前記適切な相分離は、光活性層のモルフォロジー制御により調節可能である。
【0027】
従来は、光活性層のモルフォロジー制御のために、乾燥後熱処理工程を行っていた。しかし、この場合、熱処理が高温で行われるため、基板自体の損傷や光活性層損傷の問題があり、追加の工程を行うことにより費用が増加する問題点があった。
【0028】
本出願の一実施態様に係る光活性層の乾燥方法によれば、追加の工程なしに、乾燥工程だけでも光活性層のモルフォロジー制御が可能で、光活性層の損傷が少ないという利点がある。
【0029】
また、従来の熱風を利用した乾燥工程の場合、ガスが注入される間に、ガスの風量によって光活性層の表面から乾燥して光活性層が均一に乾燥しない問題点があった。
【0030】
本出願の一実施態様によれば、前記光活性層を乾燥するステップが、0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥するステップを含むことにより、光活性層のモルフォロジーおよび界面を効果的に制御することができる。
【0031】
本出願の一実施態様において、前記光活性層を乾燥するステップは、前記光活性層を風で乾燥するステップを含むことができ、この時、前記風の強さは、0.01Mpa~0.07Mpaであってもよく、0.03Mpa~0.05Mpaであることがより好ましい。有機太陽電池は、電子供与体(Donor)と電子受容体(acceptor)とが適切にバルクヘテロジャンクション(BHJ)形態で混ざっていなければならないが、コーティングされた溶液が乾燥する時に形成されるモルフォロジー(morphology)が風乾燥の強さに応じて影響を受ける。本出願の一実施態様において、前記風で乾燥するステップの風の強さが0.01Mpa未満の場合には、乾燥時間が増加して物質のドメイン(domain)サイズが大きくなり、0.07Mpaを超える場合には、2つの物質が適切なドメイン(domain)サイズを形成できないという欠点が発生しうる。また、各ドメイン(domain)サイズだけでなく、各物質の分子結晶性も電子または正孔のモビリティー(mobility)に影響を与えるので重要であるが、これも風で乾燥するステップの風の強さが0.01Mpa~0.07Mpaを満足する場合に優れた効果を得ることができる。
【0032】
本出願の一実施態様において、前記光活性層を風力で乾燥するステップは、光活性層の表面として0.2cm~5cmの高さから、好ましくは1cm~3cmの高さから光活性層の表面に均一に風を吹き付ける装備を用いて行うことができる。この時、温度は22℃~27℃であり、湿度は20%~35%であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0033】
本出願の一実施態様において、前記風の方向は、上から下方向、または基板を基準として45度~90度の角度であってもよい。また、本出願の一実施態様において、前記風は、水分が含まれていない窒素またはエアを用いることができ、前記光活性層を風で乾燥するステップにおいて、空間的な条件は別途に限定されない。
【0034】
本出願の一実施態様において、前記光活性層を風で乾燥するステップは、エアレギュレータを用いることができ、前記0.01Mpa~0.07Mpaの風の強さは、エアレギュレータの圧力を利用して制御することができる。
【0035】
本出願の一実施態様として、光活性層を乾燥するステップを、下記の
図2に概略的に示した。
【0036】
本出願の一実施態様によれば、前記光活性層を形成するステップは、スロットダイ、バーコーター、ドクターブレード、またはディップコーティングを利用することができる。本出願の一実施態様によれば、前記のようにスロットダイ、バーコーター、ドクターブレード、またはディップコーティングを利用して光活性層を形成可能なため、大面積の有機太陽電池を再現性あるように生産できるという特徴がある。
【0037】
特に、本出願の一実施態様によれば、前記光活性層が単分子化合物の電子供与体とフラーレン系化合物の電子受容体とを含むか、前記光活性層が高分子化合物の電子供与体と非フラーレン系化合物の電子受容体とを含むことが好ましい。この場合に、スピンコーティングを除いた大面積コーティング方法と、前述した0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥する方法とで光活性層を形成する場合に、エネルギー変換効率に優れた有機太陽電池を製造することができる。
【0038】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、前記電子供与体は、単分子化合物を含み、前記電子受容体は、フラーレン系化合物を含むことができる。この時、前記単分子化合物は、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
m1、m2、n1およびn2は、それぞれ1~3の整数であり、
m1、m2、n1およびn2がそれぞれ2以上の場合、2以上の大括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
L2およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合;または2価の連結基であり、
R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;またはN、O、およびS原子のうちの1個以上を含む置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G1およびG2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の分枝鎖のアルキル基であり、
A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、電子受容体として作用する構造である。
【0039】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、下記の構造のうちのいずれか1つである。
【化2】
【化3】
前記構造において、
aは、1~7の整数であり、
bおよびcは、それぞれ1~4の整数であり、
aが2以上の場合、2以上のR15は、互いに同一または異なり、
bが2以上の場合、2以上のR16は、互いに同一または異なり、
cが2以上の場合、2以上のR17は、互いに同一または異なり、
R14~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;またはN、O、およびS原子のうちの1個以上を含む置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0040】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0041】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0042】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0043】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0044】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;置換もしくは非置換のオクチル基;または置換もしくは非置換の2-エチルヘキシル基である。
【0045】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R1~R12およびR21~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;オクチル基;または2-エチルヘキシル基である。
【0046】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R4、R8、R24およびR28は、2-エチルヘキシル基である。
【0047】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記R9~R12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;またはオクチル基である。
【0048】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、前記A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、
【化4】
であり、R14は、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である。
【0049】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、G1およびG2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数3~10の分枝鎖のアルキル基である。
【0050】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、G1およびG2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の2-エチルヘキシル基である。
【0051】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1において、G1およびG2は、2-エチルヘキシル基である。
【0052】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-1で表されてもよい。
[化学式1-1]
【化5】
【0053】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、前記電子供与体は、単分子化合物を含み、前記電子受容体は、フラーレン系化合物を含むことができる。この時、前記単分子化合物は、下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
[化学式2]
【化6】
化学式2において、
n1~n4は、それぞれ1~3の整数であり、
n1~n4がそれぞれ2以上の場合、2以上の括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRR'、NR、O、SiRR'、PR、S、GeRR'、Se、またはTeであり、
Y1~Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CR"、N、SiR"、P、またはGeR"であり、
R、R'、R"、R1~R8およびR10~R13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
[Push]は、電子供与体として作用する構造で、下記の構造のうちのいずれか1つであり、
【化7】
cおよびc'は、それぞれ1~3の整数であり、
cが2以上の場合、2以上のR100は、互いに同一または異なり、
c'が2以上の場合、2以上のR101は、互いに同一または異なり、
X10~X13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRaRb、NRa、O、SiRaRb、PRa、S、GeRaRb、Se、またはTeであり、
Y10およびY11は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRc、N、SiRc、P、またはGeRcであり、
Ra、Rb、RcおよびR100~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、下記の構造のうちのいずれか1つであり、
【化8】
前記構造において、
aは、1~7の整数であり、
bおよびcは、それぞれ1~4の整数であり、
aが2以上の場合、2以上のR15は、互いに同一または異なり、
bが2以上の場合、2以上のR16は、互いに同一または異なり、
cが2以上の場合、2以上のR17は、互いに同一または異なり、
R14~R20は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0054】
本出願の一実施態様において、前記化学式2において、前記[Push]は、
【化9】
である。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記化学式2において、前記[Push]は、
【化10】
である。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1または化学式2-2で表されてもよい。
[化学式2-1]
【化11】
[化学式2-2]
【化12】
前記化学式2-1および2-2において、
n1~n4、X1~X4、Y1~Y4、R1~R8、R10~R13およびAr1およびAr2は、化学式2で定義したものと同じであり、
cおよびc'は、それぞれ1~3の整数であり、
cが2以上の場合、2以上のR100は、互いに同一または異なり、
c'が2以上の場合、2以上のR101は、互いに同一または異なり、
X10~X13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRaRb、NRa、O、SiRaRb、PRa、S、GeRaRb、Se、またはTeであり、
Y10およびY11は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRc、N、SiRc、P、またはGeRcであり、
Ra、Rb、RcおよびR100~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1-1または下記化学式2-1-2で表されてもよい。
[化学式2-1-1]
【化13】
[化学式2-1-2]
【化14】
【0058】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、前記電子供与体は、高分子化合物を含み、前記電子受容体は、非フラーレン系化合物を含むことができる。この時、前記高分子化合物は、下記化学式3で表される第1単位;下記化学式4で表される第2単位;および下記化学式5で表される第3単位を含む重合体を含むことができる。
[化学式3]
【化15】
[化学式4]
【化16】
[化学式5]
【化17】
前記化学式3~5において、
X1~X5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRR'、NR、O、SiRR'、PR、S、GeRR'、Se、およびTeからなる群より選択され、
Y1~Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CR"、N、SiR"、P、およびGeR"からなる群より選択され、
R、R'、R"、Q1~Q4、R1~R4、R10およびR11は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
R20およびR21は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルコキシ基;または置換もしくは非置換のアリールオキシ基であり、
a、b、dおよびeは、それぞれ0~3の整数であり、
a、b、dまたはeが2以上の場合、2以上の括弧内の構造は、互いに同一または異なり、
A1~A4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素であり、前記A1~A4のうちの少なくとも1つは、フッ素または塩素である。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、前記化学式3で表される第1単位を含む。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記化学式3のA1~A4のうちの2個の基は、フッ素または塩素であり、互いにベンゼン環の対向する位置、すなわちパラ位置に置換されていてもよい。この場合、前記第1単位のフッ素または塩素は、第1単位のチオフェンのS原子と互いに相互作用をしたり、前記第2単位のX1および/またはX2と互いに相互作用をして、重合体の平面性が増加する。
【0061】
本明細書において、相互作用とは、化学構造または化学構造を構成する原子が互いに共有結合以外の作用によって影響のやり取りをする非共有結合性の相互作用をすることを意味し、例えば、カルコゲン(chalcogen)結合を意味することができる。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、単位内または隣り合っている他の単位と非共有結合性の相互作用により、重合体のバックボーン(backbone)のねじれ角(torsion angle)を最小化させて、重合体の平面性が向上できる。また、非共有結合性の相互作用は、パイ-パイスタッキング(π-π stacking)を向上させて、ポーラロン(polaron)とエキシトン(exiton)の非偏在化(delocalization)によって、電荷移動度が向上し、パッキング(packing)が容易である効果がある。
【0063】
したがって、本出願の一実施態様に係る高分子化合物を含む場合には、フィルファクター(FF)の増加を誘導可能で、高い効率の素子を提供することができる。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記化学式3のA1~A4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素であり、A1~A4のうちの少なくとも1つは、フッ素または塩素である。前記A1~A4のうちの2個の基は、フッ素または塩素であり、前記2個の基は、ベンゼン環に対して互いにパラ位置に存在してもよい。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記化学式4で表される第2単位は、下記化学式4-1で表されてもよい。
[化学式4-1]
【化18】
前記化学式4-1において、
R12およびR13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記化学式4で表される第2単位は、下記化学式4-2で表されてもよい。
[化学式4-2]
【化19】
前記化学式4-2において、
R14およびR15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0067】
本出願の一実施態様において、前記化学式5で表される第3単位は、下記化学式5-1または化学式5-2で表されてもよい。
[化学式5-1]
【化20】
[化学式5-2]
【化21】
前記化学式5-1および化学式5-2において、
R20およびR21は、前記化学式5で定義したものと同じである。
【0068】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式6で表される単位を含むことができる。
[化学式6]
【化22】
前記化学式6において、
lは、モル分率であって、0<l<1の実数であり、
mは、モル分率であって、0<m<1の実数であり、
l+m=1であり、
Aは、前記化学式1で表される第1単位であり、
Bは、前記化学式2で表される第2単位であり、
CおよびC'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、前記化学式3で表される第3単位であり、
nは、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0069】
本出願の一実施態様において、前記化学式6のAは、前記化学式3で表される第1単位であり、aおよびbは、それぞれ独立に、1~3の整数である。
【0070】
また、本出願の一実施態様において、前記化学式6のAは、前記化学式3で表される第1単位であり、aおよびbは、1である。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記化学式6のBは、前記化学式4-2で表される第2単位である。
【0072】
本出願の一実施態様において、前記化学式6のCおよびC'は、前記化学式5-1で表される第3単位である。
【0073】
また、本出願の一実施態様において、前記化学式5で表される第3単位は、R20およびR21を含むことにより、R20およびR21のO原子;化学式3で表される第1単位のフッ素または塩素;および化学式4で表される第2単位のS原子が互いに相互作用により平面構造(planar structure)を形成することができる。
【0074】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式7で表される単位を含むことができる。
[化学式7]
【化23】
前記化学式7において、
R27~R30は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R31~R42は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
A1およびA4は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
lは、モル分率であって、0<l<1の実数であり、
mは、モル分率であって、0<m<1の実数であり、
l+m=1であり、
nは、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式7-1で表される単位を含むことができる。
[化学式7-1]
【化24】
【0076】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式8または9で表される単位を含むことができる。
[化学式8]
【化25】
[化学式9]
【化26】
化学式7-1、8および9において、l、mおよびnは、前記化学式7で定義したものと同じである。
【0077】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、ランダム重合体である。ランダム重合体の場合、溶解度が向上して、素子の製造工程上、時間費用的に経済的な効果がある。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物の末端基は、置換もしくは非置換のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のアリール基である。本出願の一実施態様において、前記高分子化合物の末端基は、4-(トリフルオロメチル)フェニル(4-(trifluoromethyl)phenyl)基である。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物の末端基は、ブロモ-チオフェン(bromo-thiophene)基である。もう一つの実施態様において、前記高分子化合物の末端基は、トリフルオロ-ベンゼン(trifluoro-benzene)基である。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記非フラーレン(non-fullerene)系化合物は、下記化学式Aで表されてもよい。
[化学式A]
【化27】
前記化学式Aにおいて、
Ra~Rfは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
La~Ldは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基であり、
MaおよびMbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;ハロゲン基;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~2の整数であり、
pまたはqが2の場合、括弧内の構造は、互いに同一である。
【0081】
本出願の一実施態様において、前記化学式Aで表される化合物は、下記化学式A-1~A-5のうちのいずれか1つであってもよい。
[化学式A-1]
【化28】
[化学式A-2]
【化29】
[化学式A-3]
【化30】
[化学式A-4]
【化31】
[化学式A-5]
【化32】
【0082】
本明細書において、前記Meは、メチル基を意味する。
【0083】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、前記電子供与体は、高分子化合物を含み、前記電子受容体は、フラーレン系化合物を含むことができる。この時、前記高分子化合物は、下記化学式10で表される第1単位;下記化学式11で表される第2単位;および下記化学式12で表される第3単位を含む重合体を含むことができる。
[化学式10]
【化33】
[化学式11]
【化34】
[化学式12]
【化35】
化学式10~12において、
aおよびbは、それぞれ1~3の整数であり、
aが2以上の場合、2以上のL1は、互いに同一または異なり、
bが2以上の場合、2以上のL2は、互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、共役構造であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、前記L1およびL2の共役構造に置換される置換基で、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;およびN、O、およびS原子のうちの1個以上を含む置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より1または2以上が選択され、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRR'、NR、O、SiRR'、PR、S、GeRR'、Se、またはTeであり、
R、R'およびR3~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルチオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のアルキルスルホキシ基;置換もしくは非置換のアリールスルホキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアルキルアミン基;置換もしくは非置換のアラルキルアミン基;置換もしくは非置換のアリールアミン基;置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;またはN、O、およびS原子のうちの1個以上を含む置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0084】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式13で表される単位を含むことができる。
[化学式13]
【化36】
化学式4において、
a、b、L1、L2、X1、X2およびR1~R5は、前記化学式10~12で定義したものと同じであり、
X1'は、前記X1と同一または異なり、それぞれ独立に、X1の定義と同一であり、
R3'は、前記R3と同一または異なり、それぞれ独立に、R3の定義と同一であり、
lは、モル分率で、0<l<1であり、
mは、モル分率で、0<m<1であり、
l+m=1であり、
0<o<1,000の整数である。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式13-1~13-5のうちのいずれか1つで表されてもよい。
[化学式13-1]
【化37】
[化学式13-2]
【化38】
[化学式13-3]
【化39】
[化学式13-4]
【化40】
[化学式13-5]
【化41】
前記化学式13-1~13-5において、l、mおよびoの定義は、前記で定義したものと同じである。
【0086】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、電子供与体および電子受容体を含み、前記電子供与体は、高分子化合物を含み、前記電子受容体は、フラーレン系化合物を含むことができる。この時、前記高分子化合物は、下記化学式14で表される第1単位;および下記化学式15で表される第2単位を含む重合体を含むことができる。
[化学式14]
【化42】
[化学式15]
【化43】
前記化学式14および15において、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CRR'、NR、O、SiRR'、PR、S、GeRR'、Se、またはTeであり、
Y1~Y4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、CR"、N、SiR"、P、またはGeR"であり、
X、X'、X"およびX"'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、SまたはSeであり、
A1およびA2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;またはフッ素であり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、直接結合;O;またはSであり、
A3およびA4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;フッ素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
L1およびL2のうちの少なくとも1つは、OまたはSであり、
R、R'、R"およびR1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
a1~a4は、それぞれ0または1の整数である。
【0087】
本出願の一実施態様において、前記高分子化合物は、下記化学式16-1~16-17のうちのいずれか1つで表されてもよい。
[化学式16-1]
【化44】
[化学式16-2]
【化45】
[化学式16-3]
【化46】
[化学式16-4]
【化47】
[化学式16-5]
【化48】
[化学式16-6]
【化49】
[化学式16-7]
【化50】
[化学式16-8]
【化51】
[化学式16-9]
【化52】
[化学式16-10]
【化53】
[化学式16-11]
【化54】
[化学式16-12]
【化55】
[化学式16-13]
【化56】
[化学式16-14]
【化57】
[化学式16-15]
【化58】
[化学式16-16]
【化59】
[化学式16-17]
【化60】
前記化学式16-1~16-17において、
lは、モル分率であって、0<l<1であり、
mは、モル分率であって、0<m<1であり、
l+m=1であり、
nは、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0088】
本出願の一実施態様において、前記電子供与体が高分子化合物を含み、前記電子受容体がフラーレン系化合物を含む場合よりも、前記電子供与体が高分子化合物を含み、前記電子受容体が非フラーレン系化合物を含む場合の方が、有機太陽電池のエネルギー変換効率により優れた効果を有することができる。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記電子供与体が高分子化合物を含み、前記電子受容体がフラーレン系化合物を含む場合よりも、前記電子供与体が単分子化合物を含み、前記電子受容体がフラーレン系化合物を含む場合の方が、有機太陽電池のエネルギー変換効率により優れた効果を有することができる。
【0090】
前記置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0091】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0092】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0093】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0094】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~50のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、および5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどがあるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、およびp-メチルベンジルオキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~40のものが好ましい。具体例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、およびスチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0098】
本明細書において、アミン基は炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。アミン基は、N原子に、アリール基、アルキル基、アリールアルキル基、およびヘテロ環基などで置換されていてもよいし、アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、およびトリフェニルアミン基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0099】
本明細書において、前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~25のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、およびターフェニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
本明細書において、前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~24のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、およびフルオレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0102】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。
【0103】
本明細書において、ヘテロ環基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。ヘテロ環基の炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60のものが好ましい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン(phenanthroline)基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0104】
本明細書において、アリールオキシ基のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ、p-トリルオキシ、m-トリルオキシ、3,5-ジメチル-フェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、p-tert-ブチルフェノキシ、3-ビフェニルオキシ、4-ビフェニルオキシ、1-ナフチルオキシ、2-ナフチルオキシ、4-メチル-1-ナフチルオキシ、5-メチル-2-ナフチルオキシ、1-アントリルオキシ、2-アントリルオキシ、9-アントリルオキシ、1-フェナントリルオキシ、3-フェナントリルオキシ、および9-フェナントリルオキシなどがあるが、これらに限定されない。
【0105】
本出願の一実施態様によれば、前記光活性層は、光活性物質および溶媒を含む溶液を用いて形成することができる。
【0106】
本出願の一実施態様によれば、前記溶媒は、クロロホルム(chloroform)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、オルトジクロロベンゼン(orthodichlorobenzene)、キシレン(xylene)、トルエン(toluene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、および2-メチルアニソール(2-methylanisole)からなる群より選択される1または2以上の混合溶媒であってもよい。
【0107】
本出願の一実施態様によれば、前記溶液は、1,8-ジヨードオクタン(DIO:1,8-diiodooctane)、オクタンジチオール(octane dithiol)、ジフェニルエーテル(Diphenyl ether)、卜リクロロベンゼン(trichlorobenzene)、および1-クロロナフタレン(1-chloronaphthalene)からなる群より選択される1または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0108】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、添加剤をさらに含んでもよい。本出願の一実施態様において、前記添加剤の分子量は、50g/mol以上1,000g/mol以下であってもよい前記添加剤の沸点は、30℃~300℃の有機物であってもよい。前記有機物とは、炭素原子を少なくとも1以上含む物質を意味する。
【0109】
有機太陽電池において、エキシトンの円滑な分離と分離された電荷の効果的な輸送のためには、電子供与体および受容体の間の界面を最大限に増加させるが、適当な相分離により電子供与体および受容体の連続的通路を確保して、モルフォロジーの向上を誘導することが求められる。
【0110】
本出願の一実施態様によれば、前記添加剤を活性層に導入することにより、電子供与体と電子受容体の添加剤に対する選択的溶解度および溶媒と添加剤の沸点の差から誘導される効果的な相分離を誘導することができる。また、電子受容体や電子供与体を架橋化させてモルフォロジーを固定させて相分離が起こらないようにすることができ、電子供与体の分子構造の変化によってもモルフォロジーをコントロールすることができる。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記光活性層の厚さは、150nm以下であってもよく、100nm以下であってもよいし、80nm以下であってもよい。また、前記光活性層の厚さは、40nm以上であってもよく、50nm以上であってもよい。
【0112】
本出願の一実施態様において、前記基板は、透明基板であってもよいし、透明基板としては特に限定されないが、光透過率が50%以上、好ましくは75%以上であることが好ましい。具体的には、前記透明基板としては、ガラスを用いてもよく、プラスチック基板またはプラスチックフィルムを用いてもよい。前記プラスチック基板またはフィルムとしては、当技術分野で知られている材料を用いることができ、例えば、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系、ポリオレフイン系、ポリカーボネート系、およびセルロース系の中から選択された1種以上の樹脂で形成されたものを使用することができる。さらに具体的には、PET(Polyethylene terephthalate)、PVB(polyvinylbutyral)、PEN(polyethylenenaphthalate)、PES(polyethersulfon)、PC(polycarbonate)、アセチルセルロイドのような、可視光透過率80%以上のフィルムが好ましい。
【0113】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池が外部光源から光子を受けると、電子供与体と電子受容体との間で電子と正孔が発生する。発生した正孔は、電子供与体層を介して陽極に輸送される。
【0114】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層をさらに含んでもよい。また、本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、電子注入層、電子輸送層、または電子注入および電子輸送を同時に行う層をさらに含んでもよい。
【0115】
本出願の一実施態様に係る有機太陽電池を、下記の
図1に概略的に示した。
【0116】
本出願の一実施態様において、前記第1電極は、アノードであり、前記第2電極は、カソードである。また、本出願の一実施態様において、前記第1電極は、カソードであり、前記第2電極は、アノードである。
【0117】
本出願の一実施態様において、有機太陽電池は、カソード、光活性層、およびアノードの順に配列されてもよく、アノード、光活性層、およびカソードの順に配列されてもよいが、これに限定されない。
【0118】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、アノード、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、およびカソードの順に配列されてもよく、カソード、電子輸送層、光活性層、正孔輸送層、およびアノードの順に配列されてもよいが、これに限定されない。
【0119】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、ノーマル(Normal)構造である。前記ノーマル構造は、基板上にアノードが形成されるものを意味することができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記有機太陽電池がノーマル構造の場合、基板上に形成される第1電極がアノードであってもよい。
【0120】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、インバーテッド(Inverted)構造である。前記インバーテッド構造は、基板上にカソードが形成されるものを意味することができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記有機太陽電池がインバーテッド構造の場合、基板上に形成される第1電極がカソードであってもよい。
【0121】
本出願の一実施態様において、前記有機太陽電池は、タンデム(tandem)構造である。この場合、前記有機太陽電池は、2層以上の光活性層を含むことができる。本出願の一実施態様に係る有機太陽電池は、光活性層が1層または2層以上であってもよい。
【0122】
本出願の一実施態様において、バッファ層が光活性層と正孔輸送層との間、または光活性層と電子輸送層との間に備えられる。この時、正孔注入層がアノードと正孔輸送層との間にさらに備えられてもよい。また、電子注入層がカソードと電子輸送層との間にさらに備えられてもよい。
【0123】
本出願の一実施態様において、前記電子供与体および電子受容体は、バルクヘテロジャンクション(BHJ)を構成する。前記バルクヘテロジャンクションとは、光活性層で電子供与体と電子受容体とが互いに混ざっていることを意味する。
【0124】
本出願の一実施態様において、前記光活性層は、n型有機物層およびp型有機物層を含む二層薄膜(bilayer)構造であってもよい。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記アノード電極は、透明で導電性の優れた物質になってもよいが、これに限定されない。バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0126】
前記アノード電極の形成方法は特に限定されないが、例えば、スパッタリング、E-ビーム、熱蒸着、スピンコーティング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、ドクターブレード、またはグラビアプリンティング法を用いて基板の一面に塗布されたり、フィルム形態にコーティングされることにより形成される。
【0127】
前記アノード電極を基板上に形成する場合、これは、洗浄、水分除去および親水性改質過程を経ることができる。
【0128】
例えば、パターニングされたITO基板を、洗浄剤、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次に洗浄した後、水分除去のために、加熱板にて100℃~150℃で1~30分間、好ましくは120℃で10分間乾燥し、基板が完全に洗浄されると、基板表面を親水性に改質する。
【0129】
前記のような表面改質により接合表面電位を光活性層の表面電位に適した水準に維持することができる。また、改質時、アノード電極上に高分子薄膜の形成が容易になり、薄膜の品質が向上することもできる。
【0130】
アノード電極の前処理技術としては、a)平行平板型放電を利用した表面酸化法、b)真空状態でUV紫外線を用いて生成されたオゾンを通して表面を酸化する方法、およびc)プラズマによって生成された酸素ラジカルを用いて酸化する方法などがある。
【0131】
アノード電極または基板の状態によって前記方法のうちの1つを選択することができる。ただし、どの方法を利用しても、共通して、アノード電極または基板表面の酸素離脱を防止し、水分および有機物の残留を最大限に抑制することが好ましい。この時、前処理の実質的な効果を極大化することができる。
【0132】
具体例として、UVを用いて生成されたオゾンを通して表面を酸化する方法を使用することができる。この時、超音波洗浄後、パターニングされたITO基板を加熱板(hot plate)にてベーキング(baking)してよく乾燥させた後、チャンバに投入し、UVランプを作用させて、酸素ガスがUV光と反応して発生するオゾンによって、パターニングされたITO基板を洗浄することができる。
【0133】
しかし、本出願におけるパターニングされたITO基板の表面改質方法は特に限定させる必要はなく、基板を酸化させる方法であれば、いずれの方法でも構わない。
【0134】
前記カソード電極は、仕事関数の小さい金属になってもよいが、これに限定されない。具体的には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/Al、LiO2/Al、LiF/Fe、Al:Li、Al:BaF2、Al:BaF2:Baのような多層構造の物質になってもよいが、これに限定されるものではない。
【0135】
前記カソード電極は、5×10-7torr以下の真空度を示す熱蒸着器の内部で蒸着されて形成されるが、この方法にのみ限定されるものではない。
【0136】
前記正孔輸送層および/または電子輸送層物質は、光活性層で分離された電子と正孔を電極に効率的に伝達させる役割を担い、物質を特に限定しない。
【0137】
前記正孔輸送層物質は、PEDOT:PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-poly(styrenesulfonate))、モリブデン酸化物(MoOx);バナジウム酸化物(V2O5);ニッケル酸化物(NiO);およびタングステン酸化物(WOx)などになってもよいが、これらにのみ限定されるものではない。
【0138】
前記電子輸送層物質は、電子抽出金属酸化物(electron-extracting metal oxides)になってもよいし、具体的には、8-ヒドロキシキノリンの金属錯体;Alq3を含む錯体;Liqを含む金属錯体;LiF;Ca;チタン酸化物(TiOx);亜鉛酸化物(ZnO);およびセシウムカーボネート(Cs2CO3)、ポリエチレンイミン(PEI)などになってもよいが、これらにのみ限定されるものではない。
【0139】
本出願は、前述した有機太陽電池の製造方法によって製造された有機太陽電池を提供する。
【0140】
本出願の一実施態様に係る有機太陽電池は、エネルギー変換効率に優れた特性を有する。前記エネルギー変換効率を測定する方法は後述する。
【0141】
前記有機太陽電池のエネルギー変換効率は、開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、およびフィルファクター(FF)の積を照射される光の強度で割った値であって、下記の数式1により算出できる。
[数式1]
η=FF×[Jsc×Voc/(照射される光の強度)]
(上記中、FFはフィルファクター(充填因子)、Jscは光短絡電流密度、Vocは光開放電圧である)
【実施例】
【0142】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0143】
<実施例>
【0144】
<実施例1>
【0145】
1)複合溶液の製造
下記の化合物1で表される化合物とPCBM((6,6)-phenyl-C61-butyric acid methylester)とを1:2の質量比でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)に溶かして複合溶液(composite solution)を製造した。この時、前記化合物とPCBMとの複合溶液に対する濃度は3wt%に調節した。
【0146】
2)基板の用意
ITO/ZnO/光活性層/MoO3/Agの構造を有する有機太陽電池を製造するために、ITOがstrip typeでコーティングされたガラス基板(117cm2)に対して、蒸留水、アセトン、2-プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した。
【0147】
3)第1電極の形成
前記基板上に45nmの厚さにZnOをバーコーティング(Bar-coating)し、100℃で10分間熱処理した。
【0148】
4)光活性層の形成
前記第1電極上に前記複合溶液をバーコーティング(Bar-coating)を利用してコーティングした。
【0149】
5)光活性層の乾燥
前記複合溶液がコーティングされた積層体を0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥した。より具体的には、前記積層体の光活性層の表面から1cm~3cmの高さで0.01Mpa~0.07Mpaの風を均一に吹き付ける装備(下記の
図2のエアレギュレータ)で行った。この時、温度は22℃~27℃であり、湿度は20%~35%であった。
【0150】
6)第2電極の形成
その後、3×10
-8torrの真空下、熱蒸発器(thermal evaporator)を用いて、MoO
3を0.5Å/sの速度で10nm蒸着し、100nmの厚さに1Å/sの速度でAgを蒸着して、最終有機太陽電池を製造した。
[化合物1]
【化61】
【0151】
<実施例2>
前記実施例1において、化合物1の代わりに下記の化合物2を用いたことを除けば、前記実施例1と同様に行った。
[化合物2]
【化62】
【0152】
<実施例3>
下記の重合体1とSolarmer Materials社のITICとを1:2の比率でクロロベンゼン(Chlorobenzene、CB)2mlに溶かして複合溶液(composit solution)を製造し、この時、複合溶液の濃度は2.0wt%に調節し、有機太陽電池はITO/ZnO/光活性層/MoO3/Agの構造とした。
【0153】
ITOがstrip typeでコーティングされたガラス基板(117cm2)に対して、蒸留水、アセトン、2-プロパノールを用いて超音波洗浄し、ITO表面を10分間オゾン処理した。
【0154】
ITO表面を10分間オゾン処理した前記基板上に45nmの厚さにZnOをバーコーティング(Bar-coating)し、100℃で10分間熱処理した。光活性層のコーティングのためにはバーコーティング(Bar-coating)を利用した。
【0155】
前記光活性層が形成された積層体を0.01Mpa~0.07Mpaの風力で乾燥した。より具体的には、前記積層体の光活性層の表面から1cm~3cmの高さで0.01Mpa~0.07Mpaの風を均一に吹き付ける装備(下記の
図2のエアレギュレータ)で行った。この時、温度は22℃~27℃であり、湿度は20%~35%であった。
【0156】
その後、3×10
-8torrの真空下、熱蒸発器(thermal evaporator)を用いて、MoO
3を0.5Å/sの速度で10nm蒸着し、100nmの厚さに1Å/sの速度でAgを蒸着して、最終有機太陽電池を製造した。
[重合体1]
【化63】
[ITIC]
【化64】
【0157】
<実施例4>
前記実施例3において重合体1の代わりに下記の重合体2を適用したことを除けば、実施例3と同様に行った。
[重合体2]
【化65】
【0158】
<実施例5>
前記実施例3において重合体1の代わりに下記の重合体3を適用したことを除けば、実施例3と同様に行った。
[重合体3]
【化66】
【0159】
<実施例6>
前記実施例1において化合物1の代わりに下記の重合体4を用いたことを除けば、前記実施例1と同様に行った。
[重合体4]
【化67】
【0160】
<実施例7>
前記実施例1において化合物1の代わりに下記の重合体5を用いたことを除けば、前記実施例1と同様に行った。
[重合体5]
【化68】
【0161】
<比較例1>
前記実施例1において光活性層を自然乾燥させたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0162】
<比較例2>
前記実施例1において光活性層を0.01Mpa未満の風力で乾燥したことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0163】
<比較例3>
前記実施例1において光活性層を0.07Mpa超過の風力で乾燥したことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0164】
<比較例4>
前記実施例2において光活性層を自然乾燥させたことを除けば、実施例2と同様に行った。
【0165】
<比較例5>
前記実施例2において光活性層を0.01Mpa未満の風力で乾燥したことを除けば、実施例2と同様に行った。
【0166】
<比較例6>
前記実施例2において光活性層を0.07Mpa超過の風力で乾燥したことを除けば、実施例2と同様に行った。
【0167】
<比較例7>
前記実施例3において光活性層を自然乾燥させたことを除けば、実施例3と同様に行った。
【0168】
<比較例8>
前記実施例3において光活性層を0.01Mpa未満の風力で乾燥したことを除けば、実施例3と同様に行った。
【0169】
<比較例9>
前記実施例3において光活性層を0.07Mpa超過の風力で乾燥したことを除けば、実施例3と同様に行った。
【0170】
<比較例10>
前記実施例4において光活性層を自然乾燥させたことを除けば、実施例4と同様に行った。
【0171】
<比較例11>
前記実施例4において光活性層を0.01Mpa未満の風力で乾燥したことを除けば、実施例4と同様に行った。
【0172】
<比較例12>
前記実施例4において光活性層を0.07Mpa超過の風力で乾燥したことを除けば、実施例4と同様に行った。
【0173】
<比較例13>
前記実施例5において光活性層を自然乾燥させたことを除けば、実施例5と同様に行った。
【0174】
<比較例14>
前記実施例5において光活性層を0.01Mpa未満の風力で乾燥したことを除けば、実施例5と同様に行った。
【0175】
<比較例15>
前記実施例1において光活性層を0.07Mpa超過の風力で乾燥したことを除けば、実施例5と同様に行った。
【0176】
<実験例>
前記実施例1~5、および比較例1~15による有機太陽電池の物性をそれぞれ3回測定した後、平均値を計算して下記表1にまとめた。
【表1】
【0177】
本明細書において、Vocは開放電圧(Open circuit voltage)を、Jscは短絡電流(Short circuit current)を、FFはフィルファクター(Fill factor)を、ηはエネルギー変換効率を意味する。
【0178】
前記開放電圧は、外部の電気的負荷なしに光が照射された時に生成される電圧、すなわち電流が0の時の電圧であり、短絡電流は、短絡された電気接触で光が照射された時に生成される電流、すなわち電圧が印加されない場合の、光による電流と定義される。
【0179】
また、フィルファクターは、電流および電圧が印加され、それによって変化する電流および電圧の積を開放電圧と短絡電流との積で割った値と定義される。このようなフィルファクターが1に近接するほど太陽電池の効率が高まり、フィルファクターが低くなるほど抵抗が増加すると評価される。
【0180】
前記結果の通り、実施例1~7と比較例1~15とを比較した時、本出願の一実施態様に係る有機太陽電池の製造方法によれば、バー、スロットダイなどで形成された光活性層の乾燥を最適化して、電子供与体と電子受容体との間の適切な相分離を誘導することができる。
【0181】
また、本出願の一実施態様に係る有機太陽電池の製造方法によって製造された有機太陽電池は、エネルギー変換効率に優れた効果を有する。
【0182】
さらに、実施例1~5と実施例6~7とを比較した時、前記電子供与体が高分子化合物を含み、前記電子受容体がフラーレン系化合物を含む場合よりも、前記電子供与体が高分子化合物を含み、前記電子受容体が非フラーレン系化合物を含む場合;または前記電子供与体が単分子化合物を含み、前記電子受容体がフラーレン系化合物を含む場合の方が、有機太陽電池のエネルギー変換効率により優れた効果を有することができる。
【符号の説明】
【0183】
101:基板
102:第1電極
103:電子輸送層
104:光活性層
105:正孔輸送層
106:第2電極