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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20220105BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20220105BHJP
   C08F 212/00 20060101ALI20220105BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F220/00
C08F212/00
G06F3/041 495
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018508137
(86)(22)【出願日】2017-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2017012864
(87)【国際公開番号】W WO2017170668
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2016070687
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 隼人
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/159972(WO,A1)
【文献】特開2013-249439(JP,A)
【文献】特開2012-211236(JP,A)
【文献】特開2013-227392(JP,A)
【文献】特開2008-231425(JP,A)
【文献】特開2015-179283(JP,A)
【文献】特開2012-078185(JP,A)
【文献】特開2011-034054(JP,A)
【文献】特開2009-192790(JP,A)
【文献】特開2013-245272(JP,A)
【文献】特開2015-172674(JP,A)
【文献】特開2014-028872(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060190(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/083584(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2、212、220
C08L、G06F3/041
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式[1]で表されるフルオレン化合物、並びに
(b)脂肪族(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位(ただし、側鎖にシラン構造を有するものを除く。)、及び重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位のみを含む芳香環含有ポリマー
を含む、金属の電極及び/又は金属の配線が形成された基材上に前記電極及び/又は配線と接するように形成される高屈折率硬化膜の形成に使用される高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、置換基を含んでいてもよいフェニレン基又は置換基を含んでいてもよいナフタレンジイル基を表し、L3及びL4は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基を表し、m及びnは、0≦m≦40、0≦n≦40及び0≦m+n≦40を満たす整数を表す。)
【請求項2】
更に、(c)溶媒を含む請求項1記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項3】
更に、(d)単官能(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1又は2記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(e)多官能(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1~3のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項5】
(e)多官能(メタ)アクリレート化合物が、1分子中に3つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物及び4つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項4記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項6】
更に、(f)イオントラップ剤を含む請求項1~5のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項7】
(f)イオントラップ剤が、ベンゾ-1H-トリアゾール化合物を含む請求項6記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項8】
更に、(g)シランカップリング剤を含む請求項1~7のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項9】
(g)シランカップリング剤が、式[4]で表されるシラン化合物を含む請求項8記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【化2】
(式中、R6は、メチル基又はエチル基を表し、Xは、加水分解性基を表し、Yは、反応性官能基を表し、L7は、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表し、aは、0~2の整数を表す。)
【請求項10】
更に、(h)ラジカル重合開始剤を含む請求項1~9のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項11】
スクリーン印刷法用である、請求項1~10のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項記載の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物から得られる高屈折率硬化膜。
【請求項13】
金属の電極及び/又は金属の配線が形成された基材と、この基材上に前記電極及び/又は配線と接するように形成された請求項12記載の高屈折率硬化膜とを備える導電性部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル等に必要な保護膜、絶縁膜等は、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法によるパターン加工によって、必要とする部位に形成されてきた。しかし、フォトリソグラフィー法によるパターン加工は、工程が複雑であるだけでなく、コストもかかるという問題があった。これに対し、より簡便な方法で、かつ低コストで、必要な部位に保護膜、絶縁膜等を形成できる組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。更に、高屈折率を有する塗膜を設けることにより光の反射を抑制することで、透過率や視認性を向上させることが多くなってきている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/013543号
【文献】特開2014-5437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、印刷法等の簡便な方法によって必要な部位に形成することができるだけでなく、高屈折率を有する硬化膜を与える組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、所定のフルオレン化合物、及び所定の芳香環含有ポリマーを含む組成物が、高屈折率を有する硬化膜を与えることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
したがって、本発明は、下記高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物を提供する。
1.(a)式[1]で表されるフルオレン化合物、並びに
(b)(メタ)アクリル酸及び/又は脂肪族(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位(ただし、側鎖にシラン構造を有するものを除く。)、及び重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位を含む芳香環含有ポリマー
を含む高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、L1及びL2は、それぞれ独立に、置換基を含んでいてもよいフェニレン基又は置換基を含んでいてもよいナフタレンジイル基を表し、L3及びL4は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基を表し、m及びnは、0≦m≦40、0≦n≦40及び0≦m+n≦40を満たす整数を表す。)
2.更に、(c)溶媒を含む1の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
3.更に、(d)単官能(メタ)アクリレート化合物を含む1又は2の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
4.更に、(e)多官能(メタ)アクリレート化合物を含む1~3のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
5.(e)多官能(メタ)アクリレート化合物が、1分子中に3つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物及び4つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む4の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
6.更に、(f)イオントラップ剤を含む1~5のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
7.(f)イオントラップ剤が、ベンゾ-1H-トリアゾール化合物を含む6の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
8.更に、(g)シランカップリング剤を含む1~7のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
9.(g)シランカップリング剤が、式[4]で表されるシラン化合物を含む8の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
【化2】
(式中、R6は、メチル基又はエチル基を表し、Xは、加水分解性基を表し、Yは、反応性官能基を表し、L7は、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表し、aは、0~2の整数を表す。)
10.更に、(h)ラジカル重合開始剤を含む1~9のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
11.スクリーン印刷法用である、1~10のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物。
12.1~11のいずれかの高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物から得られる高屈折率硬化膜。
13.金属の電極及び/又は金属の配線が形成された基材と、この基材上に前記電極及び/又は配線と接するように形成された12の高屈折率硬化膜とを備える導電性部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物を用いて得られる硬化膜は、印刷法等の簡便な方法によって容易に形成でき、更に、高い屈折率を有し、光透過性にも優れる。そのため、本発明の組成物は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等、タッチパネルにおける保護膜、絶縁膜等といった硬化膜を形成することができる。高い屈折率を有する硬化膜を設けることで光の反射を抑制でき、透過率や視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の高屈折率硬化膜形成用樹脂組成物は、(a)後述する式[1]で表されるフルオレン化合物、並びに(b)(メタ)アクリル酸及び/又は脂肪族(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位(ただし、側鎖にシラン構造を有するものを除く。)、及び重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位を含む芳香環含有ポリマーを含む。
【0009】
[(a)フルオレン化合物]
(a)成分のフルオレン化合物は、下記式[1]で表される。
【化3】
【0010】
式[1]中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。L1及びL2は、それぞれ独立に、置換基を含んでいてもよいフェニレン基又は置換基を含んでいてもよいナフタレンジイル基を表す。L3及びL4は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキレン基を表す。
【0011】
前記置換基を含んでいてもよいフェニレン基としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基、2-アミノベンゼン-1,4-ジイル基、2,4-ジブロモベンゼン-1,3-ジイル基、2,6-ジブロモベンゼン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
【0012】
前記置換基を含んでいてもよいナフタレンジイル基としては、1,2-ナフタレンジイル基、1,4-ナフタレンジイル基、1,5-ナフタレンジイル基、1,8-ナフタレンジイル基、2,3-ナフタレンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基等が挙げられる。
【0013】
これらのうち、L1及びL2としては、1,4-フェニレン基等が好ましい。
【0014】
前記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1,2-ジメチルトリメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、1-エチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、1-メチルペンタメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3-メチルペンタメチレン基、1,1-ジメチルテトラメチレン基、1,2-ジメチルテトラメチレン基、2,2-ジメチルテトラメチレン基、1-エチルテトラメチレン基、1,1,2-トリメチルトリメチレン基、1,2,2-トリメチルトリメチレン基、1-エチル-1-メチルトリメチレン基、1-エチル-2-メチルトリメチレン基等が挙げられる。これらのうち、L3及びL4としては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、具体的には、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基等が好ましい。
【0015】
式[1]中、m及びnは、0≦m≦40、0≦n≦40及び0≦m+n≦40を満たす整数を表す。m及びnは、0≦m≦30、0≦n≦30及び0≦m+n≦30を満たす整数であることが好ましく、0≦m≦20、0≦n≦20及び2≦m+n≦20を満たす整数であることがより好ましく、0≦m≦10、0≦n≦10及び2≦m+n≦10を満たす整数であることがより一層好ましく、0≦m≦5、0≦n≦5及び2≦m+n≦10を満たす整数であることが更に好ましい。
【0016】
式[1]で表される化合物の具体例としては、例えば、9,9-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル)-9H-フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)-9H-フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)-9H-フルオレン、オグソール(登録商標)EA-0200、EA-0300、EA-F5003、EA-F5503、EA-F5510、EA-F5710、GA-5000(以上、大阪ガスケミカル(株)製)、NKエステルA-BPEF(新中村化学工業(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明の組成物中、(a)成分のフルオレン化合物の含有量は、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、1~200質量部が好ましく、5~150質量部がより好ましく、10~100質量部がより一層好ましい。(a)成分のフルオレン化合物の含有量が前記範囲であれば、屈折率が高く、十分な硬度の硬化膜が得られる。
【0018】
[(b)芳香環含有ポリマー]
(b)成分の芳香環含有ポリマーは、(メタ)アクリル酸及び/又は脂肪族(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位(ただし、側鎖にシラン構造を有するものを除く。)、及び重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位を含む。
【0019】
前記脂肪族(メタ)アクリレート化合物としては、式[2]で表されるものが挙げられる。
【化4】
【0020】
式[2]中、R3は、水素原子又はメチル基を表す。R4は、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基又はイソシアナト基で置換されていてもよい、炭素数1~20のアルキル基を表す。
【0021】
炭素数1~20のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3~20の環状アルキル基等が挙げられる。
【0022】
脂肪族(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。中でも、得られる硬化膜の光透過性の点から、好ましくは、脂肪族(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから選ばれる1種を含み、より好ましくは、(メタ)アクリル酸メチルを含む。
【0023】
前記重合性二重結合を含む芳香環含有化合物は、(メタ)アクリル酸や脂肪族(メタ)アクリレート化合物と共重合し得るものであれば、特に限定されない。このような芳香環含有化合物としては、下記式[3]で表されるものが挙げられる。
【化5】
【0024】
式[3]中、R5は、水素原子又はメチル基を表す。L5は、単結合又は-C(=O)-O-L6-を表し、L6は、単結合、又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキレン基を表す。Arは、炭素数6~20の芳香環含有基を表し、前記芳香環含有基の水素原子の一部又は全部が、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
前記アルキレン基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。L6としては、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、エチレンオキシエチレン基、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジイル基(-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-)、(メチルエチレン)オキシ(メチルエチレン)基等が好ましい。
【0026】
前記芳香環含有基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、9H-カルバゾール-9-イル基等のアリール基;フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、2-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、4-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基、2-ビフェニリルオキシ基、3-ビフェニリルオキシ基、4-ビフェニリルオキシ基等のアリールオキシ基;2-フェノキシフェニル基、3-フェノキシフェニル基、4-フェノキシフェニル基、2-ナフチルオキシフェニル基、3-ナフチルオキシフェニル基、4-ナフチルオキシフェニル基、2-(2-ビフェニリルオキシ)フェニル基、2-(3-ビフェニリルオキシ)フェニル基、2-(4-ビフェニリルオキシ)フェニル基、3-(2-ビフェニリルオキシ)フェニル基、3-(3-ビフェニリルオキシ)フェニル基、3-(4-ビフェニリルオキシ)フェニル基、4-(2-ビフェニリルオキシ)フェニル基、4-(3-ビフェニリルオキシ)フェニル基、4-(4-ビフェニリルオキシ)フェニル基等のアリールオキシアリール基;2-フェノキシエトキシ基、2-ナフチルオキシエトキシ基、2-(2-ビフェニリルオキシ)エトキシ基、2-(3-ビフェニリルオキシ)エトキシ基、2-(4-ビフェニリルオキシ)エトキシ基等のアリールオキシアルコキシ基等が挙げられる。
【0027】
これらのうち、芳香環含有基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、9H-カルバゾール-9-イル基、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、2-ビフェニリルオキシ基、3-ビフェニリルオキシ基、4-ビフェニリルオキシ基、2-フェノキシフェニル基、3-フェノキシフェニル基、4-フェノキシフェニル基が好ましい。
【0028】
式[3]で表される芳香環含有化合物としては、芳香環含有ビニル化合物、芳香環含有(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0029】
前記芳香環含有ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、4-tert-ブチルスチレン等のスチレン類;1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン、2-ビニルビフェニル、3-ビニルビフェニル、4-ビニルビフェニル、N-ビニルカルバゾール等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0030】
前記芳香環含有(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸2-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸1-ナフチル、(メタ)アクリル酸1-ナフチルメチル、(メタ)アクリル酸2-ナフチル、(メタ)アクリル酸2-ナフチルメチル、(メタ)アクリル酸9-アントリル、(メタ)アクリル酸9-アントリルメチル、(メタ)アクリル酸9-フェナントリルメチル、(メタ)アクリル酸1-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸4-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(3-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(4-ビフェニリルオキシ)エチル等が挙げられる。
【0031】
これらのうち、式[3]で表される芳香環含有化合物としては、スチレン、(メタ)アクリル酸2-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸4-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(3-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(4-ビフェニリルオキシ)エチル等が好ましく、スチレン、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル等がより好ましい。
【0032】
前記芳香環含有化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(b)成分の芳香環含有ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で前記繰り返し単位以外のその他の繰り返し単位を含んでいてもよい。その他の繰り返し単位を与えるモノマーとしては、典型的には、ビニル化合物、マレイミド類、アクリロニトリル、無水マレイン酸が挙げられる。
【0034】
ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
マレイミド類としては、例えば、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0036】
(b)成分の芳香環含有ポリマー中、重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位は、得られる硬化膜の屈折率を高める点から、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位1モルに対し、0.3~20モル含まれることが好ましく、0.5~10モル含まれることがより好ましく、1~5モル含まれることがより一層好ましい。なお、(b)成分の芳香環含有ポリマー中、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位並びに重合性二重結合を含む芳香環含有化合物に由来する繰り返し単位の含有量は、50~100モル%が好ましく、75~100モル%がより好ましく、100モル%がより一層好ましい。
【0037】
(b)成分の芳香環含有ポリマーは、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを重合させることで合成することができる。重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を採用し得るが、本発明で必要な重量平均分子量(Mw)を有するポリマーを比較的簡便に製造できることから、ラジカル重合が好ましい。
【0038】
開始剤としては、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド等の過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物等が挙げられる。このような開始剤の使用量は、モノマーの種類や量、反応温度によって異なるため一概に規定できないが、通常、モノマー1モルに対し、0.005~0.05モル程度である。重合時の反応温度は、0℃から使用する溶媒の沸点までで適宜設定すればよいが、通常20~100℃程度である。また、反応時間は、0.1~30時間程度である。
【0039】
重合は、溶媒中で行うことが好ましく、重合反応に用いる溶媒は、この種の反応で一般的に使用される溶媒を使用することができる。具体的には、水;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等のアルキレングリコールジアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロパン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン等のアミン類;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類などが挙げられる。これらから、モノマーや開始剤の種類や量、反応温度等を考慮して、使用する溶媒が適宜選択される。
【0040】
(b)成分の芳香環含有ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリマーの溶解性を確保し、好適な硬化膜を与える組成物を調製する点から、好ましくは5,000~500,000である。特に、組成物の粘度の過度な増加を抑制することを考慮すると、当該ポリマーのMwの上限値は、好ましくは200,000、より好ましくは150,000、より一層好ましくは100,000、更に好ましくは80,000であり、組成物の粘度の過度な減少を抑制することを考慮すると、その下限値は、好ましくは10,000、より好ましくは15,000、より一層好ましくは30,000、更に好ましくは40,000である。なお、本発明においてMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0041】
前記芳香環含有ポリマーは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
【0042】
[(c)溶媒]
本発明の組成物は、(c)溶媒を含んでもよい。(c)溶媒は、前述した(a)及び(b)成分を溶解でき、更に後述する(d)単官能(メタ)アクリレート化合物、(e)多官能(メタ)アクリレート化合物、(f)イオントラップ剤、(g)シランカップリング剤、(h)ラジカル重合開始剤、重合禁止剤、その他の添加剤等を含む場合においては、これらをも溶解できるものであれば、特に限定されない。
【0043】
溶媒の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、1,3-オクチレングリコール、3,6-オクチレングリコール等のグリコール類;
グリセリン等のトリオール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテルなどのエチレングリコールモノアリールエーテル類、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどのプロピレングリコールモノアリールエーテル類等のアルキレングリコールモノアリールエーテル類;
エチレングリコールモノベンジルエーテルなどのエチレングリコールモノアラルキルエーテル類、プロピレングリコールモノベンジルエーテルなどのプロピレングリコールモノアラルキルエーテル類等のアルキレングリコールモノアラルキルエーテル類;
エチレングリコールブトキシエチルエーテルなどのエチレングリコールアルコキシアルキルエーテル類、プロピレングリコールブトキシエチルエーテルなどのプロピレングリコールアルコキシアルキルエーテル類等のアルキレングリコールアルコキシアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールモノアセテートなどのエチレングリコールモノアセテート類、プロピレングリコールモノアセテートなどのプロピレングリコールモノアセテート類等のアルキレングリコールモノアセテート類;
エチレングリコールジアセテートなどのエチレングリコールジアセテート類、プロピレングリコールジアセテートなどのプロピレングリコールジアセテート類等のアルキレングリコールジアセテート類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルなどのジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のジアルキレングリコールモノアラルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノフェニルエーテルなどのジエチレングリコールモノアリールエーテル類、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテルなどのジプロピレングリコールモノアリールエーテル類等のジアルキレングリコールモノアリールエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテルなどのジプロピレングリコールジアルキルエーテル類等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテートなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルアセテートなどのジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのトリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのトリプロピレングリコールモノアルキルエーテル類等のトリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどのトリエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテルなどのトリプロピレングリコールジアルキルエーテル類等のトリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;
1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-テトラデカノールなどの直鎖脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノールなどの環状脂肪族アルコール類等の脂肪族アルコール類;
フェノール等のフェノール類;
ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類;
フルフリルアルコール等の複素環含有アルコール類;
テトラヒドロフルフリルアルコール等の水素化複素環含有アルコール類;
ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等のジアルキルエーテル類;
メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、n-ブチルフェニルエーテル、ベンジル(3-メチルブチル)エーテル、(2-メチルフェニル)メチルエーテル、(3-メチルフェニル)メチルエーテル、(4-メチルフェニル)メチルエーテル等のアルキルアリールエーテル類;
エチルベンジルエーテル等のアルキルアラルキルエーテル類;
2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状アルキルモノエーテル類;
1,4-ジオキサン等の環状アルキルジエーテル類;
トリオキサン等の環状アルキルトリエーテル類;
ジグリシジルエーテル等のジエポキシアルキルエーテル類;
エチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、tert-ブチルアセテート、n-ペンチルアセテート、(3-メチルブチル)アセテート、n-ヘキシルアセテート、(2-エチルブチル)アセテート、(2-エチルヘキシル)アセテートなどの直鎖状又は分岐状アルキルアセテート類、シクロヘキシルアセテート、2-メチルシクロヘキシルアセテートなどの環状アルキルアセテート類等のアルキルアセテート類;エチルプロピオネート、n-プロピルプロピオネート、イソプロピルプロピオネート、n-ブチルプロピオネート、イソブチルプロピオネート、sec-ブチルプロピオネート、tert-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、(3-メチルブチル)プロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート、(2-エチルブチル)プロピオネート、(2-エチルヘキシル)プロピオネートなどの直鎖状又は分岐状アルキルプロピオネート類、シクロヘキシルプロピオネート、2-メチルシクロヘキシルプロピオネートなどの環状アルキルプロピオネート類等のアルキルプロピオネート類;エチルブチレート、n-プロピルブチレート、イソプロピルブチレート、n-ブチルブチレート、イソブチルブチレート、sec-ブチルブチレート、tert-ブチルブチレート、n-ペンチルブチレート、(3-メチルブチル)ブチレート、n-ヘキシルブチレート、(2-エチルブチル)ブチレート、(2-エチルヘキシル)ブチレートなどの直鎖状又は分岐状アルキルブチレート類、シクロヘキシルブチレート、2-メチルシクロヘキシルブチレート等の環状アルキルブチレート類などのアルキルブチレート類;エチルラクテート、n-プロピルラクテート、イソプロピルラクテート、n-ブチルラクテート、イソブチルラクテート、sec-ブチルラクテート、tert-ブチルラクテート、n-ペンチルラクテート、(3-メチルブチル)ラクテート、n-ヘキシルラクテート、(2-エチルブチル)ラクテート、(2-エチルヘキシル)ラクテートなどの直鎖状又は分岐状アルキルラクテート類、シクロヘキシルラクテート、2-メチルシクロヘキシルラクテートなどの環状アルキルラクテート類等のアルキルラクテート類等のアルキルエステル類;
ベンジルアセテートなどのアラルキルアセテート類、ベンジルプロピオネートなどのアラルキルプロピオネート類、ベンジルブチレートなどのアラルキルブチレート類、ベンジルラクテートなどのアラルキルラクテート類等のアラルキルアルキルエステル類;
ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ヘキシルケトン、エチルn-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン等のジアルキルケトン類;
イソホロン等の環状アルケニルケトン類;
シクロヘキサノン等の環状アルキルケトン類;
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)等のヒドロキシジアルキルケトン類;
フルフラール等の複素環含有アルデヒド類;
ヘプタン、オクタン、2,2,3-トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン等の直鎖状又は分岐状アルカン類;
トルエン、キシレン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン等のアルキルベンゼン類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環状アルカン類
等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0044】
本発明の組成物は、当該組成物を印刷法により塗布する場合において好適な膜を再現性よく得る点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上、より一層好ましくは200℃以上の標準沸点を有する溶媒を含む。このような沸点の溶媒を含むことで、好適な液膜状態を再現性よく実現できる。
【0045】
このような事情から、塗布法として印刷法を採用する場合、本発明の組成物は、(b)成分の芳香環含有ポリマーを良好に溶解する特徴をも有する溶媒、具体的には、グリコール類、アルキレングリコールジアセテート類、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、ジアルキレングリコールモノアラルキルエーテル類、ジアルキレングリコールモノアリールエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類及びアルキレングリコールモノアラルキルエーテル類から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0046】
このような溶媒の具体例としては、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
(c)成分の溶媒は、本発明の組成物中の固形分濃度が1~95質量%となるような量が好ましく、固形分濃度が5~90質量%となるような量がより好ましく、固形分濃度が10~85質量%となるような量がより一層好ましい。ここで、固形分とは、本発明の組成物の全成分から溶媒を除いたものを意味する。
【0048】
本発明の組成物は、硬化膜の密着性や硬度の調整等を目的として、更に、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤、重合禁止剤等を含んでもよい。
【0049】
[(d)単官能(メタ)アクリレート化合物]
本発明の組成物は、(d)単官能(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。本発明において単官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子中に1つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物のことであり、例えば、(b)成分の芳香環含有ポリマーのモノマー成分として例示した脂肪族(メタ)アクリレート化合物や芳香環含有(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらのうち、(d)単官能(メタ)アクリレート化合物としては、芳香環含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく、特に式[3]で表される芳香環含有(メタ)アクリレート化合物として例示したものが好ましい。単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
好ましい芳香環含有(メタ)アクリレート化合物として具体的には、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸4-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(3-ビフェニリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(4-ビフェニリルオキシ)エチル等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビフェニリルオキシ)エチルがより好ましく、(メタ)アクリル酸3-フェノキシベンジルがより一層好ましい。
【0051】
(d)成分の単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、得られる硬化膜の屈折率の点から、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、0~100質量部が好ましく、0~50質量部がより好ましく、0~30質量部がより一層好ましい。
【0052】
[(e)多官能(メタ)アクリレート化合物]
本発明の組成物は、硬化膜の物性を調整する点から、(e)多官能(メタ)アクリレート化合物を含んでもよい。本発明において多官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子中に少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む化合物のことであり、具体的には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。また、特に硬度を改善する点から、当該多官能(メタ)アクリレート化合物の1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは3~6であるが、より好ましくは3又は4である。このような多価アルコールとしては、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0053】
前記多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の2つの(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3つの(メタ)アクリロイル基を有する3官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4つの(メタ)アクリロイル基を有する4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5つ又は6つの(メタ)アクリロイル基を有する5~6官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
前記多官能(メタ)アクリレート化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例としては、例えば、日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)NPGDA、R-551、T-1420、DPHA、DPHA-2C、D-310、D-330、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、DN-0075、DN-2475、R-526、MANDA、GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-320、TPA-330、PET-30、RP-1040;東亞合成(株)製アロニックス(登録商標)M-211B、M-6200、M-309、M-400、M-402、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060、M-1310、M-1600、M-1960、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050;大阪有機化学工業(株)製ビスコート700HV、295、300、360、GPT、3PA、400、312;新中村化学工業(株)製NKエステルABE-300、A-BPE-4、A-BPE-10、A-BPE-20、A-BPE-30、A-BPP-3、A-B1206PE、BPE-80N、BPE-100、BPE-200、BPE-500、BPE-900、BPE-1300N、NPG、A-9300、A-9300-1CL、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、AD-TMP、ATM-35E、A-TMMT、A-9550、A-DPH、TMPT等が挙げられる。
【0055】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の組成物に含まれる多官能(メタ)アクリレート化合物は、3又は4つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種を含む。
【0056】
(e)成分の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む場合、その含有量は、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、10~300質量部が好ましく、20~200質量部がより好ましく、50~150質量部がより一層好ましい。含有量が前記範囲であれば、硬化膜の硬度改善効果が得られ、クラックが発生しない。
【0057】
[(f)イオントラップ剤]
本発明の組成物は、(f)イオントラップ剤を含んでもよい。(f)イオントラップ剤は、特に、基板が金属製である場合や基板上に金属配線が形成されている場合等においては、当該金属配線等が水と接触することでマイグレーションを起こすことを防止する機能を有する。
【0058】
得られる硬化膜のマイグレーション抑制能を向上させる点から、イオントラップ剤の好ましい一例としては、構造内に窒素系複素環を有する化合物が挙げられる。窒素系複素環とは、飽和又は不飽和結合を有する3員環以上の環状構造を有し、かつ、その環状構造内に1つ以上の窒素原子を有するものである。
【0059】
窒素系複素環としては、例えば、飽和結合を有するものとして、アジリジン(エチレンイミン)、アゼチジン(アザシクロブタン)、アゾリジン(ピロリジン)、アジナン(ピペリジン)、アゼパン(ヘキサメチレンイミン)等が挙げられ、不飽和結合を有するものとして、アジリン(1H-アジリン、2H-アジリン)、アゼト(アザシクロブタジエン)、アゾール(1H-ピロール、2H-ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール)、ピリジン、アゼピン(アザトロピリデン)、イミダゾリン、ピラジン、トリアジン(1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン)等が挙げられ、また、窒素系複素環が複数結合したポルフィリン、コリン、フタロシアニン等も挙げられる。
【0060】
更に、前記窒素系複素環としては、窒素系複素環同士や芳香環炭化水素化合物(ベンゼン環やナフタレン環等)と縮合したものでもよく、例えば、ベンゾトリアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール等も挙げられる。
【0061】
また、前記窒素系複素環としては、窒素原子以外の他のヘテロ原子を含んでいるものでもよく、例えば、硫黄原子を含むチアゾール、イソチアゾール、チアジン等や、酸素原子を含むオキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、モルホリン、3-ピラゾロン、5-ピラゾロン、ベンゾオキサゾール等も挙げられる。
【0062】
更に、これらの窒素系複素環にイソシアヌル酸等の別の窒素系複素環を付加した、窒素系複素環の付加化合物でもよい。なお、本発明においては、これら窒素系複素環を1種又は複数組み合わせて用いることができる。
【0063】
構造内に窒素系複素環を有する化合物の具体例としては、2,4-ジアミノ-6-ビニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-1,3,5-トリアジンイソシアヌル酸付加物塩、2,4-ジアミノ-6-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[2-ヒドロキシ-3-(ドデシルオキシ)プロピルオキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、N'-tert-ブチル-N-シクロプロピル-6-(メチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン等のトリアジン化合物;1,2,3-ベンゾトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾールナトリウム塩、3-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2'-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6'-tert-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチレンビスフェノール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-ドデシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(3-sec-ブチル-5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
中でも、イオントラップ剤は、1H-ベンゾトリアゾール化合物を含むことが好ましく、炭素数1~3のアルキル基で置換されていてもよい1H-ベンゾトリアゾールを含むことがより好ましく、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾールを含むことがより一層好ましい。
【0065】
構造内に窒素系複素環を有する化合物は、公知の方法で合成することもでき、市販品としても入手できる。市販品の具体例としては、Tinuvin(登録商標)234、326、328、329、400、405、460、571、928、1577、P、PS、UVITEX(登録商標)OB、IRGAGUARD(登録商標)D 1071(以上、BASF社製)、SB-UVA 6164、SB-UVA 6577、EVERSORB 70、EVERSORB 75(以上、(株)ソート製)、キュアゾール(登録商標)VT、VT-OK、MAVT(以上、四国化成工業(株)製)、BT-120、JCL-400、CBT-1、BT-LX、TT-LX、TT-LYX、JAST-500、JF-832(以上、城北化学工業(株)製)、5MBT(ケミプロ化成(株)製)、RUVA-93(大塚化学(株)製)、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(東京化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0066】
イオントラップ剤のその他の好ましい一例としては、ヒドラジド誘導体、硫黄含有ホスファイト類等が挙げられる。その具体例としては、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N'-ビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]ヒドラジン、2,2'-オキサミドビス[エチル3-(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、シュウ酸ビスベンジリデンヒドラジド、イソフタル酸ビス(2-フェノキシプロピオニルヒドラジド)、トリス[2-tert-ブチル-4-(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル]ホスファイト等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
ヒドラジド誘導体や硫黄含有ホスファイト類は、公知の方法で合成することもでき、市販品としても入手できる。市販品の具体例としては、Inhibitor OABH(Eastman社製)、アデカスタブ(登録商標)CDA-6((株)ADEKA製)、Irganox(登録商標)MD 1024(BASF社製)等が挙げられる。
【0068】
(f)成分のイオントラップ剤を含む場合、その含有量は、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、硬度・密着性等に優れる薄膜を再現性よく得る点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下であり、マイグレーションの抑制能に優れる点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、より一層好ましくは0.01質量部以上である。
【0069】
[(g)シランカップリング剤]
本発明の組成物は、得られる硬化膜の基板等への密着性を向上させる点から、(g)シランカップリング剤を含んでもよく、好ましい態様によれば、当該シランカップリング剤は、式[4]で表されるシラン化合物を含む。
【化6】
【0070】
式[4]中、R6は、メチル基又はエチル基を表す。Xは、加水分解性基を表す。Yは、反応性官能基を表す。L7は、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。aは、0~2の整数を表す。
【0071】
7で表される炭素数1~10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、トリメチレン基が好ましい。
【0072】
Xで表される加水分解性基としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数2~4のアルコキシアルコキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素数1~3のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のものが好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基及びイソプロポキシ基である。また、炭素数2~4のアルコキシアルコキシ基として具体的には、メトキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基及び2-エトキシエトキシ基である。
【0073】
Yで表される反応性官能基としては、アミノ基、ウレイド基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基等が挙げられる。中でも、アミノ基、ウレイド基、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく、アミノ基又はウレイド基がより好ましい。
【0074】
シランカップリング剤の具体例としては、3-アミノプロピルトリクロロシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピル(メチル)(ジメトキシ)シラン、3-アミノプロピル(メチル)(ジエトキシ)シラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピル(メチル)(ジエトキシ)シラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピル(メチル)(ジメトキシ)シラン、3-メルカプトプロピル(メチル)(ジエトキシ)シラン、7-オクテニルトリクロロシラン、7-オクテニルトリメトキシシラン、7-オクテニルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリクロロシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリエトキシシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリクロロシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、8-オキシラニルオクチルトリクロロシラン、8-オキシラニルオクチルトリメトキシシラン、8-オキシラニルオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0075】
中でも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましい。
【0076】
シランカップリング剤は、公知の方法で合成することもでき、市販品としても入手できる。また、シランカップリング剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
(g)成分のシランカップリング剤を含む場合、その含有量は、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、0.001~10質量部が好ましく、0.01~5質量部がより好ましく、0.05~1質量部がより一層好ましい。含有量が前記範囲であれば、密着性の向上効果が得られ、硬度が低下することもない。
【0078】
[(h)ラジカル重合開始剤]
本発明の組成物は、当該組成物に含まれる重合性成分の重合を促進させるため、(h)ラジカル重合開始剤を含んでもよい。例えば、高温で処理することによって自発的に重合するが、基板が変性する等高温硬化処理ができない事情があるときは、ラジカル重合開始剤によって低温硬化処理又は光硬化処理が可能となる。
【0079】
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N-アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン化合物、アルミナート錯体、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられる。更に具体的には、ベンゾフェノン、1,3-ジ(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラキス(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3-フェニル-5-イソオキサゾロン、2-メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5-トリフェニル)イミダゾール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
前記光ラジカル重合開始剤としては市販品を利用することもでき、例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)651、184、369、784等が挙げられる。また、前記以外の市販品も使用でき、具体的には、BASF社製IRGACURE 500、907、379、819、127、754、250、1800、1870、OXE01、TPO、DAROCUR(登録商標)1173;Lambson社製Speedcure(登録商標)MBB、PBZ、ITX、CTX、EDB;Lamberti社製Esacure(登録商標)ONE、KIP150、KTO46;日本化薬(株)製KAYACURE(登録商標)DETX-S、CTX、BMS、DMBI等が挙げられる。
【0081】
また、熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(tert-ブチル2-エチルヘキサンペルオキソエート)等の過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
市販の熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、日油(株)製パーロイル(登録商標)IB、NPP、IPP、SBP、TCP、OPP、SA、355、L、パーブチル(登録商標)ND、NHP、MA、PV、355、A、C、D、E、L、I、O、P、Z、パーヘキシル(登録商標)ND、PV、D、I、O、Z、パーオクタ(登録商標)ND、ナイパー(登録商標)PMB、BMT、BW、パーテトラ(登録商標)A、パーヘキサ(登録商標)MC、TMH、HC、250、25B、C、25Z、22、V、パーオクタ(登録商標)O、パークミル(登録商標)ND、D、パーメンタ(登録商標)H、ノフマー(登録商標)BC;和光純薬工業(株)製V-70、V-65、V-59、V-40、V-30、VA-044、VA-046B、VA-061、V-50、VA-057、VA-086、VF-096、VAm-110、V-601、V-501;BASF社製IRGACURE 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24-61、TPO、DAROCUR 1116、1173;サイテックサーフェイススペシャルティーズ社製UVECRYL(登録商標)P36;Lamberti社製Esacure KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
(h)成分のラジカル重合開始剤を含む場合、その含有量は、(b)成分の芳香環含有ポリマー100質量部に対し、1~20質量部が好ましく、1~15質量部がより好ましい。
【0084】
本発明の組成物は、必要に応じて、重合禁止剤を含んでいてもよい。重合開始剤の具体例としては、2,6-ジイソブチルフェノール、3,5-ジ-tert-ブチルフェノール、3,5-ジ-tert-ブチルクレゾール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、4-メトキシ-1-ナフトール等が挙げられる。重合禁止剤を含む場合、その含有量は、全固形分中1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0085】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、更に界面活性剤、架橋剤、消泡剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、多価フェノールや多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含むことができる。
【0086】
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。この種の界面活性剤としては、例えば、三菱マテリアル電子化成(株)製エフトップ(登録商標)EF301、EF303、EF352;DIC(株)製メガファック(登録商標)F171、F173;スリーエム社製FLUORAD(登録商標)FC430、FC431;旭硝子(株)製アサヒガード(登録商標)AG710、AGCセイミケミカル(株)製サーフロン(登録商標)S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106等が挙げられる。
【0087】
架橋剤としては、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、多官能チオール化合物、メラミン系架橋剤等が挙げられるが、多官能(メタ)アクリレート化合物を含む場合は3官能以上のチオール化合物が好ましい。多官能チオール化合物は、多価アルコールと、単官能及び/又は多官能チオール化合物との付加反応物として得ることができる。具体的な化合物としては、1,3,5-トリス(2-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル)イソシアヌレート(昭和電工(株)製、カレンズMT(登録商標)NR1)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)等の3官能チオール化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工(株)製、カレンズMT PEI)等の4官能チオール化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等の6官能チオール化合物等が挙げられる。
【0088】
消泡剤としては、アセチレングリコール、シリコーン流体及び乳剤、エトキシ化又はプロポキシ化シリコーン、炭化水素、脂肪酸エステル誘導体、アセチル化ポリアミド、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー及びコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。スクリーン印刷を行う場合は、本発明の組成物は消泡剤を含むことが好ましい。
【0089】
本発明の組成物の25℃における粘度は、塗布性の点からは、好ましくは1~10,000mPa・s、より好ましくは1~5,000mPa・s、より一層好ましくは1~1,000mPa・sである。粘度が前記範囲であれば、塗布性が良好であり、目的の膜厚が得られる。
【0090】
また、本発明の組成物の25℃における粘度は、印刷性の点からは、好ましくは10~100,000mPa・s、より好ましくは500~100,000mPa・s、より一層好ましくは1,000~100,000mPa・sである。粘度が前記範囲であれば、吐出性が良好であり、工程への負荷が生じることがなく、塗布後に組成物が拡散したり、組成物の基板への転写性が低下したりすることがない。
【0091】
タッチパネルにおけるX軸電極及びY軸電極が直交する部分にブリッジ構造を構成するための絶縁膜のような微細な構造の硬化膜を形成する場合において、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷等の印刷法を採用するときは、本発明の組成物の25℃における粘度は、好ましくは10~100,000mPa・s、より好ましくは5,000~100,000mPa・s、より一層好ましくは20,000~100,000mPa・sである。粘度が前記範囲であれば、吐出性が良好であり、工程への負荷が生じることがなく、塗布後に組成物が拡散したり、組成物の基板への転写性が低下したりすることがない。なお、本発明において、粘度は、E型粘度計による測定値である。
【0092】
本発明の組成物の調製方法は、特に限定されない。一例としては、(b)成分の芳香環含有ポリマーを溶媒に溶解し、この溶液に他の成分を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法が挙げられる。また、本発明の組成物の調製にあたっては、溶媒中における重合反応によって得られた芳香環含有ポリマー含有溶液をそのまま使用することができる。この場合は、芳香環含有ポリマー含有溶液に、他の成分を入れて均一な溶液とすればよい。また、濃度調整を目的として更に溶媒を加えてもよい。
【0093】
こうして調製された組成物は、より均一な硬化膜を得る点から、孔径0.2μm程度のフィルタ等を用いて濾過した後に使用することが好ましい。
【0094】
[硬化膜]
本発明の組成物を、電極及び/又は配線を有する基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板;シリコンニトリド基板;アルミニウム、モリブデン、クロム、銅、銀等の金属、銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子等の金属ナノ粒子、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸塩)(PEDOT/PSS)、グラフェン、カーボンナノチューブ等の導電性ポリマーが被覆された基板;ガラス基板;石英基板;酸化インジウムスズ(ITO)基板;ITOフィルム基板;トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィン(COP)フィルム等の樹脂フィルム基板)等の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷等の印刷法等によって塗布し、その後、ホットプレート又はオーブン等で予備乾燥(プリベーク)することにより、塗膜を形成することができる。本発明の組成物は、特にインクジェット塗布、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷等の印刷法に適している。
【0095】
プリベークは、一般に、好ましくは60~150℃、より好ましくは80~120℃で、ホットプレートを用いる場合には0.5~30分間、オーブンを用いる場合には0.5~90分間処理するという方法が採られる。
【0096】
次いで、熱硬化のためのポストベークを行う。具体的には、ホットプレート、オーブン等を用いて加熱する。ポストベークは、一般に、好ましくは150~300℃、より好ましくは200~250℃で、ホットプレートを用いる場合には1~30分間、オーブンを用いる場合には1~90分間処理するという方法が採られる。
【0097】
本発明の組成物が熱ラジカル重合開始剤を含む場合には、低温での硬化が可能である。この場合、プリベーク条件は前記と同様であるが、ポストベーク温度は、好ましくは60~200℃、より好ましくは80~150℃である。その他の条件は前記と同様である。
【0098】
また、本発明の組成物が光ラジカル重合開始剤を含む場合には、プリベーク後、前記塗膜に紫外線(UV)等の光を照射することによって、光硬化を行うことができる。前記光は、波長200~500nmの範囲で、その露光量は100~5,000mJ/cm2であることが好ましい。
【0099】
光硬化後は、熱硬化のためのポストベークを行ってもよい。具体的には、ホットプレート、オーブン等を用いて加熱する。ポストベークは、一般に、好ましくは60~150℃、より好ましくは80~120℃で、ホットプレートを用いる場合には1~30分間、オーブンを用いる場合には1~90分間処理するという方法が採られる。
【0100】
前記のような条件のもとで本発明の組成物を硬化させることにより、基板の段差を充分に平坦化でき、高い屈折率を有する硬化膜を形成することができる。
【0101】
本発明の硬化膜は、印刷法等の簡便な方法によって容易に形成でき、更に、高い屈折率を有することから、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等、タッチパネルにおける保護膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料として期待される。
【0102】
金属の電極及び/又は金属の配線が形成された基材上に前記電極及び/又は配線と接するように形成された本発明の硬化膜を備える導電性部材は、電極及び/又は配線の腐食が抑制されるため、電極や配線における抵抗の上昇、電極や金属と他の部材との剥離等が抑制されており、その結果、耐久性に優れるものとなる。
【実施例
【0103】
以下、製造例、比較製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下のとおりである。
(1)攪拌脱泡
装置:(株)シンキー製自転・公転ミキサー あわとり練太郎(登録商標)ARE-310
(2)スピンコート
装置:Brewer Science社製Cee(登録商標)100
(3)UV露光
装置:ヘレウス社製ベルトコンベアー式UVランプシステム(Hバルブ)
(4)恒温槽
装置:エスペック(株)製小型環境試験器SH-222
(5)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)GPC-101
カラム:昭和電工(株)製Shodex GPC KF-803L+KF-804L
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流量:1mL/分
検出器:RI
検量線:標準ポリスチレン
(6)屈折率測定
装置:Metricon社製モデル2010/M プリズムカプラ
測定温度:25℃
(7)全光線透過率測定
装置:日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH 5000
波長範囲:380~780nm
【0104】
また、略記号は以下の意味を表す。
EPPA:エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA-LEN-10)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル(東京化成工業(株)製)
POBA:3-フェノキシベンジルアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートPOB-A)
St:スチレン(東京化成工業(株)製)
MAIB:2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(東京化成工業(株)製)
BPFDA:ビスフェノールフルオレンジアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製オグソールEA-F5710)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルA-TMPT)
A771:ポリシロキサン系消泡剤(MUNZING社製AGITAN771)
APTES:(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(信越化学工業(株)製LS-3150)
MBT:5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール(東京化成工業(株)製)
I184:1-ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン(BASF社製IRGACURE(登録商標)184)
DEGEEA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(東京化成工業(株)製)
PGDA:プロピレングリコールジアセテート(和光純薬工業(株)製)
【0105】
[1]ポリマーの製造
[製造例1]芳香環含有ポリマーの製造1
1Lの四つ口フラスコに、溶媒としてPGDA324.5gを仕込んだ。このPGDA中に、窒素雰囲気下、70℃(内温)で攪拌しながら、MMA61.6g(0.62mol)、St150.0g(1.44mol)及びMAIB4.72g(0.02mol)の混合液を、2時間かけて滴下した。滴下後、更に70℃で20時間反応させ、ポリマー濃度40質量%のポリマー溶液P1を得た。P1中のポリマーのMwは、65,000であった。
【0106】
[製造例2]芳香環含有ポリマーの製造2
1Lの四つ口フラスコに、溶媒としてPGDA315.1gを仕込んだ。このPGDA中に、窒素雰囲気下、70℃(内温)で攪拌しながら、MMA30.0g(0.30mol)、POBA177.8g(0.70mol)及びMAIB2.30g(0.01mol)の混合液を、2時間かけて滴下した。滴下後、更に70℃で20時間反応させ、ポリマー濃度40質量%のポリマー溶液P2を得た。P2中のポリマーのMwは、125,000であった。
【0107】
[製造例3]芳香環含有ポリマーの製造3
1Lの四つ口フラスコに、溶媒としてPGDA329.5gを仕込んだ。このPGDA中に、窒素雰囲気下、70℃(内温)で攪拌しながら、MMA30.0g(0.30mol)、EPPA187.4g(0.70mol)及びMAIB2.30g(0.01mol)の混合液を、2時間かけて滴下した。滴下後、更に70℃で20時間反応させ、ポリマー濃度40質量%のポリマー溶液P3を得た。P3中のポリマーのMwは、56,000であった。
【0108】
[製造例4]芳香環含有ポリマーの製造4
1Lの四つ口フラスコに、溶媒としてPGDA345.0gを仕込んだ。このPGDA中に、窒素雰囲気下、70℃(内温)で攪拌しながら、MAA27.5g(0.32mol)、EPPA200.0g(0.75mol)及びMAIB2.45g(0.01mol)の混合液を、2時間かけて滴下した。滴下後、更に70℃で20時間反応させ、ポリマー濃度40質量%のポリマー溶液P4を得た。P4中のポリマーのMwは、70,000であった。
【0109】
[比較製造例1]芳香環を有しないポリマーの製造
1Lの四つ口フラスコに、溶媒としてDEGEEA303.5gを仕込んだ。このDEGEEA中に、窒素雰囲気下、70℃(内温)で攪拌しながら、MMA200.0g(2.00mol)及びMAIB2.30g(0.01mol)の混合液を、2時間かけて滴下した。滴下後、更に70℃で20時間反応させ、ポリマー濃度40質量%のポリマー溶液P5を得た。P5中のポリマーのMwは、95,000であった。
【0110】
[2]硬化膜形成用樹脂組成物の調製
[実施例1]
製造例1で得られたポリマー溶液P1 250質量部(ポリマーとして100質量部)、フルオレン化合物としてBPFDA55質量部、多官能(メタ)アクリレートとしてTMPTA55質量部、イオントラップ剤としてMBT6質量部、シランカップリング剤としてAPTES0.1質量部、消泡剤としてA771 0.65質量部、ラジカル重合開始剤としてI184 6.4質量部、及び溶媒としてPGDA70質量部を混合した。この混合物を、2,000rpmで10分間攪拌脱泡し、固形分濃度50質量%のワニスを調製した。なお、ここで固形分とは、溶媒を除く全成分を指す。
【0111】
[実施例2~4、比較例1~2]
各成分の配合を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして各ワニスを調製した。
【0112】
【表1】
【0113】
[3]硬化膜の作製及び評価
[屈折率評価]
実施例1~4及び比較例1~2のワニスを、それぞれガラス基板上にスピンコートにより塗布し、110℃のオーブンで10分間プリベークした。得られた塗膜をUV露光(露光量800mJ/cm2)し、更に110℃のオーブンで30分間ポストベークすることで、厚さ約5μmの硬化膜を作製した。
得られた硬化膜の波長633nmにおける屈折率及び全光線透過率を測定した。結果を表2に併せて示す。
【0114】
【表2】
【0115】
表2に示すように、本発明の組成物から得られた硬化膜は、波長633nmにおける屈折率が1.56以上と高かった(実施例1~4)。これに対し、芳香族基を有しないポリマーを用いた硬化膜(比較例1)、及びフルオレン化合物を配合しない硬化膜(比較例2)は、屈折率がそれぞれ1.557及び1.540と低かった。