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  • 特許-高分子化合物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】高分子化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
C08G61/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018528516
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2017025538
(87)【国際公開番号】W WO2018016414
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2016144151
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】八文字 保孝
(72)【発明者】
【氏名】大塚 玄樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 あゆ子
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0154647(US,A1)
【文献】特開2009-019186(JP,A)
【文献】特開2013-256655(JP,A)
【文献】特開2013-237789(JP,A)
【文献】特開2013-159728(JP,A)
【文献】特開2008-189759(JP,A)
【文献】特表2014-529179(JP,A)
【文献】特開2012-214704(JP,A)
【文献】特開2007-126522(JP,A)
【文献】特開2011-195828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属錯体、塩基、及び、過酸化物量が15重量ppm以下である有機溶媒の存在下、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを反応させる反応工程を含前記反応工程において、更にラジカル連鎖禁止剤を用いる、式(3-1)で表される構成単位と、式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物の製造方法。
【化1】
[式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基、又は、式(4)で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は、-O-S(=O)2C1を表す。RC1は、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。
2は、-B(OH)2、ボラン残基、ホウ酸エステル残基、又は、-BF3Tを表す。Tは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、又は、セシウム原子を表す。複数存在するX2は、同一でも異なっていてもよい。]
【化2】
[式中、
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、又は、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するArは、同一でも異なっていてもよい。
Ar’は、アリール基、又は、1価の複素芳香族基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
mは、0~2の整数を表す。]
【請求項2】
前記遷移金属錯体がパラジウム錯体である、請求項1に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶媒が吸着剤と接触させて得られた有機溶媒である、請求項1又は2に記載の高分子化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の材料としては、例えば、高分子化合物が用いられるが、分子量の大きさと素子特性とは相関があり、高分子化合物の分子量を大きくすることが望まれている。
こうした高分子化合物は、例えば、遷移金属錯体の存在下、芳香族化合物のジボロン酸と芳香族化合物のジハロゲン化物とを、鈴木カップリング法で反応させることにより合成することができる。具体的には、例えば、フルオレンのジボロン酸とカルバゾールのジブロモ体とを、鈴木カップリング法で反応させる方法が知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】Journal of Materials Chemistry C, 2015, 3, 9664-9669
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した方法では、分子量が十分に大きい高分子化合物を得ることが困難であった。
そこで、本発明は、分子量が十分に大きい高分子化合物を得ることができる、高分子化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]~[4]を提供する。
[1]
遷移金属錯体、塩基、及び、過酸化物量が15重量ppm以下である有機溶媒の存在下、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを反応させる反応工程を含む、式(3-1)で表される構成単位と、式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物の製造方法。
【0006】
【化1】
[式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基、又は、式(4)で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又は、-O-S(=O)2C1を表す。RC1は、アルキル基又はアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。
2は、-B(OH)2、ボラン残基、ホウ酸エステル残基、又は、-BF3Tを表す。Tは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、又は、セシウム原子を表す。複数存在するX2は、同一でも異なっていてもよい。]
【0007】
【化2】
[式中、
Arは、2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、又は、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するArは、同一でも異なっていてもよい。
Ar’は、アリール基、又は、1価の複素芳香族基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
mは、0~2の整数を表す。]
[2]
前記反応工程において、更にラジカル連鎖禁止剤を用いる、[1]に記載の高分子化合物の製造方法。
[3]
前記遷移金属錯体がパラジウム錯体である、[1]又は[2]に記載の高分子化合物の製造方法。
[4]
前記有機溶媒が吸着剤と接触させて得られた有機溶媒である、[1]~[3]のいずれかに記載の高分子化合物の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例及び比較例で得られた過酸化物量と重量平均分子量との関係を示す図である。
図2】実施例及び比較例で得られた過酸化物量と重量平均分子量との関係を示す図である。
図3】実施例及び比較例で得られた過酸化物量と重量平均分子量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明の製造方法は、遷移金属錯体、塩基、及び、過酸化物量が15重量ppm以下である有機溶媒の存在下、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを反応させる反応工程を含む、式(3-1)で表される構成単位と、式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物の製造方法である。
なお、構成単位とは、高分子化合物に少なくとも1個含まれる構造を意味する。
【0011】
前記有機溶媒に含まれる過酸化物量は、通常、1重量ppb~15重量ppmであり、好ましくは10重量ppb~10重量ppmであり、より好ましくは、50重量ppb~5重量ppmであり、更に好ましくは100重量ppb~1重量ppmである。なお、有機溶媒を2種以上併用する場合、「有機溶媒に含まれる過酸化物量」とは、全有機溶媒に含まれる合計過酸化物量を意味する。
【0012】
前記有機溶媒に含まれる過酸化物量は、例えば、液体クロマトグラフィにより測定できる。
【0013】
・式(1)で表される化合物
1としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシレート基及びトリフルオロメタンスルホネート基が好ましく、塩素原子及び臭素原子がより好ましく、臭素原子が更に好ましい。
【0014】
C1で表されるアルキル基は、通常、炭素原子数1~50であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基等の非置換アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等の置換アルキル基が挙げられる。
【0015】
C1で表されるアリール基は、通常、炭素原子数6~60であり、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0016】
-O-S(=O)2C1で表される基としては、例えば、メシレート基、トリフルオロメタンスルホネート基、p-トルエンスルホネート基が挙げられる。
【0017】
Ar1としては、分子量制御性が良好であるので、好ましくは、2価の芳香族炭化水素基、及び、式(4)で表される基であり、より好ましくは、式(4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0018】
Ar1で表される2価の芳香族炭化水素基は、置換基の炭素原子数を含めないで、炭素原子数が、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基及びビフェニレン基が挙げられる。これらの2価の芳香族炭化水素基における水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子、金属錯体含有基等(以下、「置換基」とも言う。)で置換されていてもよい。また、これらの2価の芳香族炭化水素基における水素原子は金属錯体含有基で置換されていてもよい。
【0019】
置換基としてのアルキル基及びアリール基は、前記RC1で表されるアルキル基及びアリール基と同様である。置換基としてのアルキル基及びアリール基は、更に置換基を有していてもよい。
【0020】
置換基としてのアルコキシ基は、通常、炭素原子数1~40であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。置換基としてのアルコキシ基は、更に置換基を有していてもよい。
【0021】
置換基としての金属錯体含有基は、例えば、式(MC-1)及び式(MC-2)のいずれかで表される基が挙げられる。
【0022】
【化3】
(式中、Mはイリジウム原子または白金原子を表す。Mがイリジウム原子のとき、m=2、n=1であり、Mが白金原子のとき、m=3、n=1、またはm=1、n=1である。環Aは置換基を有していてもよい窒素原子を含む環状構造を表す。環Bは置換基を有していてもよい炭素原子を含む環状構造を表す。)
環Aは、好ましくは複素芳香族環であり、より好ましくは炭素原子数2~9の複素芳香族環である。
環Bは、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環である。
置換基としての金属錯体含有基は、更に置換基を有していてもよい。
【0023】
式(MC-1)で表される化合物としては、例えば、式(MC-1a)~式(MC-1i)で表される化合物が挙げられ、式(MC-1b)、式(MC-1c)、式(MC-1d)又は式(MC-1e)で表される化合物が好ましく、式(MC-1e)で表される化合物がより好ましい。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0024】
【化4】
【0025】
式(MC-2)で表される化合物としては、例えば、式(MC-2a)~式(MC-2k)で表される化合物が挙げられ、式(MC-2b)、式(MC-2c)、式(MC-2d)又は式(MC-2e)で表される化合物が好ましく、式(MC-2e)で表される化合物がより好ましい。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0026】
【化5】
【0027】
Ar1で表される2価の複素芳香族基は、置換基の炭素原子数を含めないで、炭素原子数が、通常、2~60であり、好ましくは、3~20であり、より好ましくは4~15である。
2価の複素芳香族基としては、例えば、ピリジンジイル基、ジアザベンゼンジイル基、トリアジンジイル基、アザナフタレンジイル基、ジアザナフタレンジイル基、カルバゾールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基、ジベンゾシロールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アクリジンジイル基、ジヒドロアクリジンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、アゾールジイル基、ジアゾールジイル基、トリアゾールジイル基及びビピリジンジイル基が挙げられる。これらの2価の複素芳香族基における水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びフッ素原子等で置換されていてもよい。
置換基としてのアルキル基及びアリール基は、前記RC1で表されるアルキル基及びアリール基と同様である。
置換基としてのアルコキシ基は、前記と同様である。
【0028】
Ar1で表される2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基とが結合した基としては、例えば、1個の2価の芳香族炭化水素基と1個の2価の複素芳香族基とが結合した基、2個の2価の芳香族炭化水素基と1個の2価の複素芳香族基とが結合した基が挙げられ、好ましくは2個のフェニレン基と1個のトリアゾールジイル基とが結合した基である。
【0029】
式(4)で表される基において、Arで表される2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、及び、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基の説明及び例は、Ar1で表される2価の芳香族炭化水素基と、2価の複素芳香族基、及び、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基とが結合した基の説明及び例と同様であるが、Arとしては、2価の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0030】
式(4)で表される基において、Ar’で表されるアリール基の説明及び例は、RC1で表されるアリール基の説明及び例と同様であるが、Ar’で表されるアリール基としては、アルキルアリール基が好ましく、アルキルフェニル基がより好ましい。
【0031】
式(4)で表される基において、Ar’で表される1価の複素芳香族基は、Ar1で表される2価の複素芳香族基の説明及び例における結合手の1つが、水素原子に置き換わったものと同様である。
【0032】
式(4)で表される基において、mは、好ましくは0である。
【0033】
式(1)で表される化合物としては、例えば、式(a)~式(n)で表される化合物が挙げられ、式(a)、式(e)、式(j)、式(k)又は式(n)で表される化合物が好ましく、式(a)、式(j)又は式(n)で表される化合物がより好ましく、式(j)で表される化合物がさらに好ましい。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0034】
【化6】
(式中、X1は、前記と同じ意味を表す。複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
【0035】
式(1)で表される化合物としては、9,10-ジクロロアントラセン、1,3-ジクロロベンゼン、2,7-ジクロロベンズアルデヒド、1,4-ジクロロ-2-フルオロベンゼン、2,6-ジクロロピリジン、3,5-ジクロロピリジン、9,10-ジヨードアントラセン、1,3-ジヨードベンゼン、4,4’-ジヨードビフェニル、1,4-ジヨード-2-フルオロベンゼン、1,1’-ビ-2-ナフトールビス(トリフルオロメタンスルホネート)、2,7-ジブロモ-9、9-ジヘキシルフルオレン、2,7-ジブロモ-9、9-ジオクチルフルオレン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジブロモベンゼン、2,4-ビス(4-ブロモフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェン、及び、ビス(4-ブロモフェニル)フェニルアミンが好ましい。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0036】
式(1)で表される化合物は、市販品、又は、公知の方法により製造することで入手できる。
式(1)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0037】
・式(2)で表される化合物
Ar2で表される2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基、及び、式(4)で表される基は、Ar1で表される2価の芳香族炭化水素基、2価の複素芳香族基、2価の芳香族炭化水素基と2価の複素芳香族基が結合した基、及び、式(4)で表される基と同様であるが、Ar2としては、2価の芳香族炭化水素基が好ましく、フルオレンジイル基がより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0038】
2で表されるボラン残基としては、例えば、式(G-1)で表される基が挙げられる。
【0039】
【化7】
【0040】
2で表されるホウ酸エステル残基としては、例えば、式(G-2)~式(G-10)で表される基が挙げられ、好ましくは、式(G-4)又は式(G-5)で表される基である。
【0041】
【化8】
【0042】
2としては、ホウ酸エステル残基が好ましい。
【0043】
式(2)で表される化合物としては、例えば、式(o)~式(aa)で表される化合物が挙げられ、式(o)、式(s)、式(x)又は式(y)で表される化合物が好ましく、式(s)で表される化合物がより好ましい。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0044】
【化9】
【0045】
式(2)で表される化合物としては、1,4-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、1,3-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、9,9-ジメチル-2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フルオレン、9,10-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アントラセン、1,2-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)スチルベン、2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9-ジヘキシルフルオレン、2,7-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9-ジオクチルフルオレン、1,4-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)―2-メチル-5-オクチルベンゼン、2,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チオフェン、及び、5,5’-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,2’-ビチオフェンが好ましい。
【0046】
式(2)で表される化合物は、市販品、又は、公知の方法により製造することで入手できる。
式(2)で表される化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0047】
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との組み合わせとしては、Ar1が置換基を有してもよい式(4)で表される基であり、X1が臭素原子である、式(1)で表される化合物と、Ar2が置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基であり、X2がホウ酸エステル残基である、式(2)で表される化合物との組み合わせが好ましい。
【0048】
・高分子化合物
Ar1及びAr2は、前記と同様である。
【0049】
式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物としては、例えば、式(ab)~式(af)で表される高分子化合物が挙げられ、好ましくは、式(ae)で表される高分子化合物である。これらの化合物における水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよく、複数の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0050】
【化10】
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
【0051】
式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等のいずれの重合形式であってもよい。
【0052】
式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常、1×104~1×107であり、好ましくは1×104~1×106である。この分子量は、通常、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により測定できる。
【0053】
・遷移金属錯体
遷移金属錯体としては、第10族遷移金属錯体が好ましい。第10族遷移金属錯体としては、例えば、0価又は2価のニッケル錯体、0価又は2価のパラジウム錯体、及び、0価又は2価の白金錯体が挙げられ、好ましくは、0価又は2価のパラジウム錯体である。
【0054】
遷移金属錯体としては、例えば、ホスフィン配位子、ビピリジル、オレフィン等の配位子を有するパラジウム錯体が挙げられる。
遷移金属錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]パラジウム、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、ジクロロビス[ジシクロペンチル(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、パラジウムアセテート、ジクロロビス[ジシクロペンチル(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィン]パラジウム、及び、これらが、更にトリフェニルホスフィン、トリ(tert-ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン及びビピリジル等の配位子を有するパラジウム錯体が挙げられ、好ましくは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム、及び、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]パラジウムであり、より好ましくは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウムである。
【0055】
遷移金属錯体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0056】
・塩基
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられ、好ましくは有機塩基であり、より好ましくは水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムである。
【0057】
塩基は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0058】
・反応条件
反応温度は、通常、-100℃~200℃であり、好ましくは0℃~150℃であり、より好ましくは0℃~90℃である。
【0059】
反応圧力は、通常、大気圧である。
【0060】
反応の撹拌動力は、通常、0.001kW/m3~10kW/m3であり、好ましくは0.01kW/m3~2kW/m3であり、より好ましくは0.1kW/m3~1kW/m3である。
【0061】
反応時間は、通常、1時間以上であり、好ましくは1時間~96時間であり、より好ましくは1時間~48時間である。
【0062】
・相間移動触媒
前記反応工程において、更に相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒としては、例えば、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、沃化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0063】
相間移動触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0064】
・有機溶媒
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリジノン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、芳香族炭化水素溶媒及びエーテル溶媒が好ましく、トルエン、キシレン及びメシチレンがより好ましい。なお、これらの有機溶媒は、水と併用してもよい。
【0065】
有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0066】
有機溶媒は、前記反応工程前に精製することが好ましい。精製方法としては、例えば、有機溶媒を蒸留精製する方法;活性アルミナ等のアルミナ系吸着剤、シリカゲル、エアロゲル、コロイダルゲル等のシリカ系吸着剤、アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライト等のゼオライト系吸着剤、活性白土、モンモリロナイト、スメクタイト等の粘土系吸着剤、メソポーラスシリカ等のメソポーラス系吸着剤、活性炭、炭素繊維、木炭等の炭素系吸着剤、イオン交換樹脂、キレート樹脂、バイオマス吸着剤等の合成系吸着剤、ヒドロキシアパタイト、ヘテロポリ酸塩、多孔性酸化マンガン等の吸着剤を有機溶媒と接触させて、有機溶媒中の不純物を吸着除去する方法;溶媒精製装置を用いる方法が挙げられ、吸着剤を有機溶媒と接触させて、有機溶媒中の不純物を吸着除去する方法が好ましく、アルミナ系吸着剤を有機溶媒と接触させて、有機溶媒中の不純物を吸着除去する方法がより好ましい。
【0067】
吸着除去する方法としては、例えば、有機溶媒中に吸着剤を添加して攪拌する方法、吸着剤を充填したカラム中に有機溶媒を通過させる方法が挙げられ、吸着剤を充填したカラム中に有機溶媒を通過させる方法が好ましい。
吸着剤の接触時間は、通常、10秒~3時間であり、好ましくは30秒~1時間である。
吸着剤の接触温度は、通常、0℃~150℃であり、好ましくは10℃~40℃である。
【0068】
精製方法は、1つの方法を用いてもよく、2つ以上の方法を用いてもよい。
【0069】
・ラジカル連鎖禁止剤
前記反応工程において、更にラジカル連鎖禁止剤を用いてもよい。ラジカル連鎖禁止剤としては、例えば、芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤、ヒンダードアミン系ラジカル連鎖禁止剤、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤、ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤、及びポリフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が挙げられ、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が好ましく、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、及び、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールがより好ましい。
【0070】
ラジカル連鎖禁止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0071】
ラジカル連鎖禁止剤は、反応時の有機溶媒中に存在していればよく、有機溶媒に式(1)で表される化合物、又は、式(2)で表される化合物を溶解させる時に添加してもよいし、予め有機溶媒に溶解させて溶液として添加してもよい。
【0072】
本発明の製造方法では、各原料、各試薬及び各溶媒の混合の順序は、制限されない。
【0073】
<その他の工程>
本発明の製造方法において、前記反応工程後、末端封止工程、抽出工程、乾燥工程、精製工程等の任意の工程を行うことができる。
【0074】
末端封止工程は、反応終了後(即ち、高分子化合物の分子量の伸長が停止した後)、高分子化合物中の反応性末端基を置換する単官能性化合物を添加する工程である。
ここで、「高分子化合物の分子量の伸長が停止」とは、反応の際、30分間隔で分子量を測定した場合に、分子量の変化が30分前に比べて3%以下になった状態を意味する。
反応性末端基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-O-S(=O)2C1、-B(OH)2、ボラン残基、ホウ酸エステル残基、-BF3Tが挙げられる。
単官能性化合物としては、例えば、アリール基又は1価の複素芳香族基と反応性末端基とが結合した基が挙げられる。
【0075】
抽出工程は、式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物と、塩酸等の酸性水溶液、アンモニア水溶液等の塩基性水溶液、及び、水のうちの少なくとも一種とを混合し、分液する工程である。
【0076】
乾燥工程は、式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物を、常圧で又は減圧しながら乾燥させる工程である。
【0077】
精製工程は、式(3-1)で表される構成単位と式(3-2)で表される構成単位とを有する高分子化合物を、例えば、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィーにより精製する工程である。
【0078】
<試薬、原料の使用量>
式(1)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物の使用量1モルに対して、通常、0.7モル~1.5モルであり、好ましくは0.8モル~1.2モルであり、より好ましくは0.9モル~1.1モルである。
【0079】
塩基の使用量は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計使用量1モルに対して、通常、0.1モル~200モルであり、好ましくは0.3モル~100モルであり、より好ましくは0.5モル~80モルである。
【0080】
遷移金属錯体の使用量は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計使用量1モルに対して、通常、0.000001モル~3モルであり、好ましくは、0.000005モル~0.8モルであり、より好ましくは0.00001モル~0.2モルである。
【0081】
相間移動触媒の使用量は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計使用量1モルに対して、通常、0.001モル~50モルであり、好ましくは0.005モル~10モルであり、より好ましくは0.01モル~1モルである。
【0082】
有機溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計使用量1モルに対して、通常、1モル~1000モルであり、好ましくは5モル~500モルであり、より好ましくは10モル~200モルである。
【0083】
ラジカル連鎖禁止剤の使用量は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計使用量1モルに対して、通常、0.000001モル~3モルであり、好ましくは、0.000005モル~0.8モルであり、より好ましくは0.00001モル~0.2モルである。
【実施例
【0084】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
<分子量分析>
高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、GPCにより求めた。
・分析条件
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:PLgel 10μm MIXED-B(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流量:0.5mL/分
検出波長:228nm
【0086】
<過酸化物量分析>
溶媒中の過酸化物量は、紫外線検出手段を備えた液体クロマトグラフィにより求めた。
・分析条件
測定装置:LC-20A(株式会社島津製作所製)
カラム:L-column2 ODS(一般財団法人化学物質評価研究機構製)
カラム温度:40℃
移動相:水、アセトニトリル
流量:1.0mL/分
検出波長:254nm
【0087】
<実施例1>
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物(M2)0.0935g(0.145mmol)、化合物(M1)0.0669g(0.145mmol)、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム1.28mg(0.00145mmol)、及び、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエン5gを混合し、86℃に加熱した。得られた混合物に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(0.54g)を加え、マグネチックスターラーにて、撹拌子の回転速度1000rpmにて3時間加熱しながら混合することにより、高分子化合物(P3)を得た。高分子化合物(P3)のMwは166×103であった。
【0088】
【化11】
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
【0089】
<実施例2>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が0.5重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは165×103であった。
【0090】
<実施例3>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が1重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは170×103であった。
【0091】
<実施例4>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が3重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは162×103であった。
【0092】
<実施例5>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が5重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは157×103であった。
【0093】
<実施例6>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が8重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは160×103であった。
【0094】
<実施例7>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が15重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは150×103であった。
【0095】
<比較例1>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が18重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは126×103であった。
【0096】
<比較例2>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が25重量ppmのトルエンを用いた以外は、比較例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは103×103であった。
【0097】
<比較例3>
実施例1において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が40重量ppmのトルエンを用いた以外は、比較例1と同様にして、高分子化合物(P3)を合成した。高分子化合物(P3)のMwは100×103であった。
【0098】
【表1】
【0099】
<実施例8>
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物(M2)0.1489g(0.231mmol)、化合物(M3)0.1481g(0.231mmol)、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム1.02mg(0.00116mmol)、及び、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエン10gを混合し、86℃に加熱した。得られた混合物に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(0.85g)を加え、マグネチックスターラーにて、撹拌子の回転速度1000rpmにて3時間加熱しながら混合することにより、高分子化合物(P4)を得た。高分子化合物(P4)のMwは140×103であった。
【0100】
【化12】
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
【0101】
<実施例9>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が2重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは140×103であった。
【0102】
<実施例10>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が15重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは127×103であった。
【0103】
<比較例4>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が17重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは108×103であった。
【0104】
<比較例5>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が18重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは109×103であった。
【0105】
<比較例6>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が20重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは107×103であった。
【0106】
<比較例7>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が23重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは104×103であった。
【0107】
<比較例8>
実施例8において、過酸化物量が0.2重量ppmであるトルエンに代えて、過酸化物量が40重量ppmであるトルエンを用いた以外は、実施例8と同様にして、高分子化合物(P4)を合成した。高分子化合物(P4)のMwは101×103であった。
【0108】
【表2】
【0109】
<実施例11>
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物(M2)0.2033g(0.316mmol)、化合物(M4)0.1284g(0.316mmol)、ジクロロビス[トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム1.39mg(0.00158mmol)、及び、過酸化物量が4重量ppmであるキシレン10gを混合し、86℃に加熱した。得られた混合物に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(1.16g)を加え、マグネチックスターラーにて、撹拌子の回転速度1000rpmにて3時間加熱しながら混合することにより、高分子化合物(P5)を得た。高分子化合物(P5)のMwは301×103であった。
【0110】
【化13】
(式中、nは繰り返し単位数を表す。)
【0111】
<実施例12>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が8重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは297×103であった。
【0112】
<実施例13>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が15重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは300×103であった。
【0113】
<比較例9>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が17重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは253×103であった。
【0114】
<比較例10>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が18重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは252×103であった。
【0115】
<比較例11>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が25重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは233×103であった。
【0116】
<比較例12>
実施例11において、過酸化物量が4重量ppmであるキシレンに代えて、過酸化物量が40重量ppmであるキシレンを用いた以外は、実施例11と同様にして、高分子化合物(P5)を合成した。高分子化合物(P5)のMwは236×103であった。
【0117】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、分子量が十分に大きい高分子化合物を得ることができる。
図1
図2
図3