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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】変性共役ジエン系重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/25 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
C08C19/25
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020104714
(22)【出願日】2020-06-17
(62)【分割の表示】P 2019547062の分割
【原出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2020169329
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0000747
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0097143
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ、チュン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ノ-マ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユ-チン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、キ-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヘ-ソン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ロ-ミ
(72)【発明者】
【氏名】イ、サン-ミ
(72)【発明者】
【氏名】イ、テ-チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒ-スン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534373(JP,A)
【文献】特表2018-534401(JP,A)
【文献】特表2018-529010(JP,A)
【文献】特開2011-088988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素溶媒中で、有機金属化合物の存在下、共役ジエン系単量体を重合することで有機金属が結合された活性重合体を製造するステップ(S1)と、
前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応またはカップリングさせるステップ(S2)とを含んでなり、
前記(S1)ステップは、2基以上の重合反応器で連続的に実施され、前記重合反応器のうち第1反応器での重合転換率は50%以下であり、
前記変性剤は、下記化学式1から化学式7で表される化合物の中から選択される一つ以上である、変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化13】
前記化学式1中、
1 は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、
2 及びR 3 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であり、
4 は、水素、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価または4価のアルキルシリル基、または炭素数2から10の複素環基であり、
21 は、単結合、炭素数1から10のアルキレン基、または-[R 42 O] j -であり、R 42 は、炭素数1から10のアルキレン基であり、
a及びmは、それぞれ独立して1から3の整数であり、nは、0から2の整数であり、jは、1から30の整数であり;
【化14】
前記化学式2中、
5 、R 6 及びR 9 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキレン基であり、
7 、R 8 、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であり、
12 は、水素、または炭素数1から10のアルキル基であり、
b及びcは、それぞれ独立して0から3の整数であり、ただし、b+c≧1であり、
Aは、
【化15】
または
【化16】
であり、このとき、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 は、それぞれ独立して水素、または炭素数1から10のアルキル基であり;
【化17】
前記化学式3中、
1 及びA 2 は、それぞれ独立して、炭素数1から20の2価炭化水素基であり、
17 からR 20 は、それぞれ独立して炭素数1から20の1価炭化水素基であり、
1からL4は、それぞれ独立して、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価または4価のアルキルシリル基、または炭素数1から20の1価炭化水素基であるか、L1及びL2と、L3及びL4とは互いに連結されて炭素数1から5の環を形成するものであり、このとき、1及びL2と、L3及びL4とが互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、O及びSでなる群より選択される1種以上のヘテロ原子を1個から3個含むものであり;
【化18】
前記化学式4中、
30 は、炭素数1から30の1価炭化水素基であり、
31 からR 33 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキレン基であり、
34 からR 37 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であり、
g及びhは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、g+hは、1以上の整数であり;
【化19】
前記化学式5中、
3 及びA 4 は、それぞれ独立して1から10のアルキレン基であり、
38 からR 41 は、それぞれ独立して、炭素数1から10のアルキル基、または炭素数1から10のアルコキシ基であり、
iは、1から30の整数であり;
【化20】
前記化学式6中、
43 、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であり、
44 は、炭素数1から10のアルキレン基であり、
kは、1から4の整数であり,
【化21】
前記化学式7中、
22 及びR 23 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキレン基、または-R 28 [OR 29 f -であり、
24 からR 27 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
28 及びR 29 は、それぞれ独立して炭素数1から20のアルキレン基であり、
47 及びR 48 は、それぞれ独立して炭素数1から6の2価炭化水素基であり、
d及びeは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、d+eは、1以上の整数であり、fは、1から30の整数である変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項2】
前記(S1)ステップの重合は、80℃以下の温度で実施されることである、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項3】
前記(S1)ステップの重合は、芳香族ビニル単量体を含んで実施されることである、請求項1または2に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項4】
前記(S1)ステップの最終の重合転換率は95%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項5】
前記第1反応器における重合物の滞留時間は1分から40分である、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項6】
前記(S1)ステップの重合は、極性添加剤を含んで実施されることである、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項7】
前記変性剤は、(S2)ステップを実施するための変性反応器、または、前記(S1)ステップで製造された活性重合体を、(S2)ステップを実施するための変性反応器に移送するための移送部に投入されるものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項8】
前記化学式7で表される化合物は、下記化学式7a、化学式7bまたは化学式7cで表される化合物のものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化22】
【化23】
【化24】
前記化学式7a、化学式7b及び化学式7c中、
22 及びR 23 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキレン基、または-R 28 [OR 29 f -であり、
24 からR 27 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
28 及びR 29 は、それぞれ独立して炭素数1から20のアルキレン基であり、
d及びeは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、d+eは、1以上の整数であり、fは、1から30の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年1月3日付で出願された韓国特許出願第10-2017-0000747号、及び2017年7月31日付で出願された韓国特許出願第10-2017-0097143号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、変性共役ジエン系重合体の製造方法に関し、より詳しくは、連続重合により、生産性及び加工性に優れながらも、分子量分布が狭くて物性に優れた変性共役ジエン系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、自動車に対する低燃費化の要求に応え、タイヤ用ゴム材料として転がり抵抗が少なく、耐磨耗性、引張特性に優れ、濡れた路面への抵抗性に代表される調整安定性も兼備した共役ジエン系重合体が要求されている。
【0004】
タイヤの転がり抵抗を減少させるためには、加硫ゴムのヒステリシス損失を小さくする方案があり、このような加硫ゴムの評価指標としては50℃から80℃の反発弾性、tan δ、グッドリッチ発熱等が用いられる。すなわち、前記温度での反発弾性が大きいか、tan δ、グッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0005】
ヒステリシス損失が小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴムまたはポリブタジエンゴム等が知られているが、これらは、濡れた路面への抵抗性が小さい問題がある。このため、最近には、スチレン-ブタジエンゴム(以下、SBRと記す)またはブタジエンゴム(以下、BRと記す)のような共役ジエン系重合体または共重合体が乳化重合や溶液重合によって製造され、タイヤ用ゴムとして用いられている。このうち、乳化重合に比べて溶液重合が有する最大の長所は、ゴム物性を規定するビニル構造の含量及びスチレンの含量を任意に調節でき、カップリング(coupling)や変性(modification)などによって分子量及び物性等を調節できるという点である。よって、最終に製造されたSBRやBRの構造変化が容易であり、鎖末端の結合や変性により鎖末端の動きを減らし、シリカまたはカーボンブラック等の充填剤との結合力を増加させることができるため、溶液重合によるSBRがタイヤ用ゴム材料として多く用いられる。
【0006】
このような溶液重合SBRがタイヤ用ゴム材料として用いられる場合、前記SBR内のビニルの含量を増加させることでゴムのガラス転移温度を上昇させ、走行抵抗及び制動力のようなタイヤの要求物性を調節できるだけでなく、ガラス転移温度を適切に調節することで燃料の消耗を減らすことができる。前記溶液重合SBRは、陰イオン重合開始剤を用いて製造し、形成された重合体の鎖末端を様々な変性剤を利用して結合させるか、変性させて用いられている。例えば、米国特許第4,397,994号には、一官能性開始剤であるアルキルリチウムを利用し、非極性溶媒下でスチレン-ブタジエンを重合して得られた重合体の鎖末端の活性陰イオンをスズ化合物のような結合剤を用いて結合させた技術を提示した。
【0007】
一方、前記SBRまたはBRの重合は、回分式(batch)または連続式重合によって実施されてよいところ、回分式重合による場合、製造された重合体の分子量分布が狭くて物性改善の側面で長所があるが、生産性が低く、加工性が劣悪であるという問題点があり、連続式重合による場合、重合が連続的に行われるため、生産性に優れ、加工性改善の側面で長所があるが、分子量分布が広くて物性が劣悪であるという問題点がある。よって、SBRまたはBRを製造する時、生産性、加工性及び物性を全て同時に改善させるための研究が継続的に求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4397994号明細書
【文献】特開1994-271706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、連続式重合により、生産性及び加工性に優れながらも、引張特性などの物性に優れ、粘弾性特性に優れた変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態によれば、本発明は、炭化水素溶媒中で、有機金属化合物の存在下、共役ジエン系単量体を重合することで有機金属が結合された活性重合体を製造するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応またはカップリングさせるステップ(S2)とを含んでなり、前記(S1)ステップは、2基以上の重合反応器で連続的に実施され、前記重合反応器のうち第1反応器での重合転換率は50%以下である、変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって変性共役ジエン系重合体を製造する場合、連続式重合によるため、生産性及び加工性に優れながらも、回分式重合によって製造された変性共役ジエン系重合体と同等以上の水準の狭い分子量分布を有する変性共役ジエン系重合体を製造できるので、引張特性などの物性に優れ、粘弾性特性に優れた変性共役ジエン系重合体を製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書の次の図は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、前述した発明の内容とともに、本発明の技術思想をさらに理解させる役割を担うものなので、本発明は、かかる図に記載されている事項にだけ限定して解釈されてはならない。
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係る実施例6の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る比較例1の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に対する理解を深めるため、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明の説明及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法によって説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0015】
本発明に係る変性共役ジエン系重合体の製造方法は、炭化水素溶媒中で、有機金属化合物の存在下、共役ジエン系単量体を重合することで有機金属が結合された活性重合体を製造するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応またはカップリングさせるステップ(S2)とを含んでなり、前記(S1)ステップは、2基以上の重合反応器で連続的に実施され、前記重合反応器のうち第1反応器での重合転換率は50%以下であるものであってよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、イソプレン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、及び2-ハロ-1,3-ブタジエン(ハロはハロゲン原子を意味する)でなる群より選択される1種以上であってよい。
【0017】
前記炭化水素溶媒は、特に制限されるのではないが、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン及びキシレンでなる群より選択される1種以上のものであってよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記有機金属化合物は、単量体全体100gを基準に0.01mmolから10mmol、0.05mmolから5mmol、0.1mmolから2mmol、0.1mmolから1mmol、または0.15mmolから0.8mmolで用いることができる。前記有機金属化合物は、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、n-デシルリチウム、t-オクチルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、n-エイコシルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、4-トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、3,5-ジ-n-ヘプチルシクロヘキシルリチウム、4-シクロペンチルリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リチウムスルホネート、ナトリウムスルホネート、カリウムスルホネート、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド及びリチウムイソプロピルアミドでなる群より選択される1種以上であってよい。
【0019】
前記(S1)ステップの重合は、例えば、陰イオン重合であってよく、具体的な例として、陰イオンによる成長重合反応により重合末端に陰イオン活性部位を有するリビング陰イオン重合であってよい。また、前記(S1)ステップの重合は、昇温重合、等温重合または定温重合(断熱重合)であってよく、前記定温重合は、有機金属化合物を投入した後、任意に熱をかけることなく、自己反応熱で重合させるステップを含む重合方法を意味してよく、前記昇温重合は、前記有機金属化合物を投入した後、任意に熱をかけて温度を増加させる重合方法を意味してよく、前記等温重合は、前記有機金属化合物を投入した後、熱をかけて熱を増加させるか、熱を奪うことで重合物の温度を一定に維持する重合方法を意味してよい。
【0020】
また、前記(S1)ステップの重合は、例えば、80℃以下、-20℃から80℃、0℃から80℃、0℃から70℃、または10℃から70℃の温度範囲で実施されてよく、この範囲内で重合体の分子量分布を狭く調節するため、物性の改善に優れるという効果がある。
【0021】
前記(S1)ステップによって製造された活性重合体は、重合体陰イオンと有機金属陽イオンが結合された重合体を意味してよい。
【0022】
一方、前記(S1)ステップの重合は、芳香族ビニル単量体を含んで実施されてよく、この場合、(S1)ステップによって製造される活性重合体は、共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体が共重合された活性共重合体であってよい。前記芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、1-ビニルナフタレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-(p-メチルフェニル)スチレン、1-ビニル-5-ヘキシルナフタレン、3-(2-ピロリジノエチル)スチレン(3-(2-pyrrolidino ethyl)styrene)、4-(2-ピロリジノエチル)スチレン(4-(2-pyrrolidino ethyl)styrene)及び3-(2-ピロリジノ-1-メチルエチル)-α-メチルスチレン(3-(2-pyrrolidino-1-methyl ethyl)styrene)でなる群より選択される1種以上であってよい。
【0023】
前記(S1)ステップの重合が芳香族ビニル単量体を含んで実施される場合、前記芳香族ビニル単量体は、共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体の全体の合計量100重量%を基準に、0超過重量%から90重量%で含まれてよく、この範囲内で転がり抵抗及び濡れた路面への抵抗性に優れ、各物性間のバランスに優れるという効果がある。具体的な例を挙げると、前記芳香族ビニル単量体は、共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体の単量体混合物100重量%を基準に、0超過重量%から90重量%、0超過重量%から50重量%、または0超過重量%から40重量%で含まれてよく、重合体内の共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位、または芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位の含量の調節によって重合体の物性を調節するため、0超過重量%から10未満重量%、10重量%から20未満重量%、20重量%から30未満重量%、または30重量%から45重量%で含まれてよく、それぞれの範囲内で転がり抵抗または濡れた路面への抵抗性に優れるという効果がある。
【0024】
また、本発明の一実施形態によれば、前記(S1)ステップの重合は、炭素数1から10のジエン系化合物をさらに含んで実施されてよく、この場合、長時間運転した時に反応器の壁面にゲルが形成されることを防止するという効果がある。前記ジエン系化合物は、例えば、1,2-ブタジエンであってよい。
【0025】
一方、前記(S1)ステップの重合がジエン系化合物をさらに含んで実施される場合、前記ジエン系化合物は、単量体、または単量体混合物とジエン系化合物の混合物の含量、具体的な例として、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体の単量体混合物とジエン系化合物の混合物100重量%を基準に、0超過ppmから200未満ppm、0超過ppmから150ppm、または0超過ppmから120ppmで含まれてよく、この範囲内で、重合体の物性には影響を及ぼさないうえに、反応器の壁面にゲルが形成されることを防止するという効果がある。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記(S1)ステップによって製造される活性重合体は、ランダム共重合体であってよく、この場合、各物性間のバランスに優れるという効果がある。前記ランダム共重合体は、共重合体をなす繰り返し単位が無秩序に配列されているものを意味してよい。
【0027】
また他の例を挙げると、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、(S2)ステップの前に、前記(S1)ステップによって製造される活性重合体に、共役ジエン系単量体を投入して追加で重合を実施するステップ(S1')を含むことができ、この場合、(S2)ステップの前に、活性重合体の末端が共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位で置換、またはエンド-キャッピング(end-capping)されるという効果がある。前記(S1')ステップで投入される共役ジエン系単量体は、(S1)ステップで投入される共役ジエン系単量体100重量部に対し、0超過重量部から50以下重量部、または0超過重量部から30以下重量部であってよく、この範囲内で、(S2)ステップの反応効率に優れるという効果がある。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、2基以上の重合反応器及び変性反応器を含む複数の反応器で、連続式重合方法によって実施されてよい。具体的な例を挙げると、前記(S1)ステップは、第1反応器を含めて2基以上の重合反応器で連続的に実施されてよく、前記重合反応器の数は、反応条件及び環境に従って弾力的に決定されてよい。前記連続式重合方法は、反応器に反応物を連続的に供給し、生成された反応生成物を連続的に排出する反応工程を意味してよい。前記連続式重合方法による場合、生産性及び加工性に優れ、製造される重合体の均一性に優れるという効果がある。
【0029】
また、本発明の一実施形態によれば、前記重合反応器で連続的に活性重合体を製造する時、第1反応器における重合転換率は、50%以下、10%から50%、または20%から50%であってよく、この範囲内で重合反応が開始された後、重合体の形成に伴って発生する副反応を抑制することで、重合の際、線形(linear)構造の重合体を誘導することができ、これによって重合体の分子量分布を狭く調節することが可能なので、物性の改善に優れるという効果がある。
【0030】
このとき、前記重合転換率は、反応温度、反応器の滞留時間などによって調節されてよい。
【0031】
前記重合転換率は、例えば、重合体の重合の際、重合体を含む重合体溶液相の固体濃度を測定して決定されてよく、具体的な例を挙げると、前記重合体溶液を確保するため、各重合反応器の出口にシリンダー型容器を取り付けて一定量の重合体溶液をシリンダー型容器に満たし、前記シリンダー型容器を反応器から分離して重合体溶液が充填されているシリンダーの重量(A)を測定した後、シリンダー型容器に充填されている重合体溶液をアルミニウム容器、例えば、アルミニウムディッシュに移し、重合体溶液が除去されたシリンダー型容器の重量(B)を測定し、重合体溶液入りのアルミニウム容器を140℃のオーブンで30分間乾燥させ、乾燥した重合体の重量(C)を測定した後、下記数式1によって計算したものであってよい。
【0032】
【数1】
【0033】
一方、前記第1反応器で重合された重合物は、変性反応器の前の重合反応器まで順次移送され、最終的に重合転換率が95%以上になるまで重合が進められてよく、第1反応器で重合された後、第2反応器、または第2反応器から変性反応器の前の重合反応器までの各反応器別の重合転換率は、分子量分布の調節のために各反応器別に適宜調節して実施されてよい。
【0034】
一方、前記(S1)ステップにおいて、活性重合体を製造する時、第1反応器における重合物の滞留時間は、1分から40分、1分から30分、または5分から30分であってよく、この範囲内で、重合転換率の調節が容易であり、これによって重合体の分子量分布を狭く調節することが可能であり、これによって物性の改善に優れるという効果がある。
【0035】
本発明における用語「重合物」は、(S1)ステップまたは(S2)ステップが完了し、活性重合体または変性共役ジエン系重合体を収得する前に、(S1)ステップの実施中、各反応器内で重合が実施されている重合体形態の中間体を意味してよく、反応器内で重合が実施されている重合転換率が95%未満の重合体を意味してよい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記(S1)ステップで製造された活性重合体の分子量分布(PDI、polydispersed index;MWD、molecular weight distribution;Mw/Mn)は、1.5未満、1.0以上から1.5未満、または1.1以上から1.5未満であってよく、この範囲内で、変性剤との変性反応またはカップリングを介して製造される変性共役ジエン系重合体の分子量分布が狭いため、物性の改善に優れるという効果がある。
【0037】
一方、前記(S1)ステップの重合は極性添加剤を含んで実施されてよく、前記極性添加剤は、単量体の全体100gを基準に、0.001gから50g、0.001gから10g、または0.005gから0.1gの割合で添加してよい。また他の例を挙げると、前記極性添加剤は、有機金属化合物の全体1mmolを基準に、0.001gから10g、0.005gから5g、または0.005gから4gの割合で添加してよい。
【0038】
前記極性添加剤は、例えば、テトラヒドロフラン、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン、ジエチルエーテル、シクロアミルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレンメチルエーテル、エチレンジメチルエーテル、ジエチルグリコール、ジメチルエーテル、3級ブトキシエトキシエタン、ビス(3-ジメチルアミノエチル)エーテル、(ジメチルアミノエチル)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ナトリウムメントレート(sodium mentholate)及び2-エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2-ethyl tetrahydrofurfuryl ether)でなる群より選択される1種以上であってよく、好ましくは、ジテトラヒドロフリルプロパン、テトラメチレンエチレンジアミン、ナトリウムメントレート(sodium mentholate)または2-エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2-ethyl tetrahydrofurfuryl ether)であってよく、前記極性添加剤を含む場合、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合させる場合、これらの反応速度の差を補うことにより、ランダム共重合体を容易に形成できるように誘導するという効果がある。
【0039】
本発明に係る前記変性剤は、共役ジエン系重合体の末端を変性させるための変性剤であってよく、具体的な例として、シリカ親和性変性剤であってよい。前記シリカ親和性変性剤は、変性剤に利用される化合物内にシリカ親和性官能基を含有する変性剤を意味するものであってよく、前記シリカ親和性官能基は、充填剤、特にシリカ系充填剤との親和性に優れるため、シリカ系充填剤と変性剤由来の官能基の間の相互作用が可能である官能基を意味するものであってよい。
【0040】
前記変性剤は、例えば、アルコキシシラン系変性剤であってよく、具体的な例を挙げると、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子などのヘテロ原子を1個以上含有するアルコキシシラン系変性剤であってよい。前記アルコキシシラン系変性剤を利用する場合、活性重合体の片末端に位置した陰イオン活性部位と、アルコキシシラン系変性剤のアルコキシ基との間の置換反応を介し、活性重合体の片末端がシリル基と結合した形態で変性が実施されてよく、これにより、変性共役ジエン系重合体の片末端に存在する前記変性剤由来の官能基に起因して無機充填剤などとの親和性が向上され、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の機械的物性が向上されるという効果がある。併せて、前記アルコキシシラン系変性剤が窒素原子を含有する場合は、前記シリル基から由来の効果以外にも、窒素原子から由来の付加的な物性の上昇の効果を期待することができる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記変性剤は、下記化学式1で表される化合物を含むものであってよい。
【0042】
【化1】
【0043】
前記化学式1中、R 1 は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であってよく、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、R 4 は、水素、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価または4価のアルキルシリル基、または炭素数2から10の複素環基であってよく、R 21 は、単結合、炭素数1から10のアルキレン基、または-[R 42 O] j -であってよく、R 42 は、炭素数1から10のアルキレン基であってよく、a及びmは、それぞれ独立して1から3より選択される整数であってよく、nは、0、1または2の整数であってよく、jは、1から30より選択される整数であってよい。
【0044】
具体的な例を挙げると、前記化学式1中、R 1 は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基であってよく、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して水素、炭素数1から5のアルキル基であってよく、R 4 は、水素、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基、または炭素数2から5の複素環基であってよく、R 21 は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基、または-[R 42 O] j -であってよく、R 42 は、炭素数1から5のアルキレン基であってよく、aは、2または3の整数であってよく、mは、1から3より選択される整数であってよく、nは、0、1または2の整数であってよく、このとき、m+n=3であってよく、jは、1から10より選択される整数であってよい。
【0045】
前記化学式1中、R 4 が複素環基の場合、前記複素環基は、3置換アルコキシシリル基で置換または無置換のものであってよく、前記複素環基が3置換アルコキシシリル基で置換された場合、前記3置換アルコキシシリル基は、炭素数1から10のアルキレン基により前記複素環基に連結されて置換されたものであってよく、前記3置換アルコキシシリル基は、炭素数1から10のアルコキシ基で置換されたアルコキシシリル基を意味してよい。
【0046】
より具体的な例を挙げると、前記化学式1で表される化合物は、N,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(trimethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、3-(トリメトキシシリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン(3-(trimethoxysilyl)-N,N-diethylpropan-1-amine)、3-(トリエトキシシリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン(3-(triethoxysilyl)-N,N-diethylpropan-1-amine)、トリ(トリメトキシシリル)アミン(tri(trimethoxysilyl)amine)、トリ(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tri-(3-(trimethoxysilyl)propyl)amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-1,1,1-トリメチルシランアミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-1,1,1-trimethlysilanamine)、N,N-ビス(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-(トリエトキシシリル)メタン-1-アミン(N,N-bis(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-(triethoxysilyl)methan-1-amine)、N-(3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリメトキシシリル)-N-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-1,2,4-triazole-1-yl)propyl)-3-(trimethoxysilyl)-N-(trimethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)、3-(トリメトキシシリル)-N-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-N-(3-(1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロピル)プロパン-1-アミン(3-(trimethoxysilyl)-N-(3-(trimethoxysilyl)propyl)-N-(3-(1-(3-(trimehtoxysilyl)propyl)-1H-1,2,4-triazol-3-yl)propyl)propan-1-amine)、N,N-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)-3-(トリエトキシシリル)プロパン-1-アミン(N,N-bis(2-(2-methoxyethoxy)ethyl)-3-(triethoxysilyl)propan-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-2,5,8,11,14-ペンタオキサヘキサデカン-16-アミン(N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)-2,5,8,11,14-pentaoxahexadecan-16-amine)、N-(2,5,8,11,14-ペンタオキサヘキサデカン-16-イル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-2,5,8,11,14-ペンタオキサヘキサデカン-16-アミン(N-(2,5,8,11,14-pentaoxahexadecan-16-yl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-2,5,8,11,14-pentaoxahexadecan-16-amine)及びN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミン(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)でなる群より選択される1種であってよい。
【0047】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式2で表される化合物を含むものであってよい。
【0048】
【化2】
【0049】
前記化学式2中、R 5 、R 6 及びR 9 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキレン基であってよく、R 7 、R 8 、R 10 及びR 11 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、R 12 は、水素、または炭素数1から10のアルキル基であってよく、b及びcは、それぞれ独立して0、1、2または3であり、b+c≧≧1であってよく、Aは、
【0050】
【化3】
【0051】
または
【0052】
【化4】
【0053】
であってよく、このとき、R 13 、R 14 、R 15 及びR 16 は、それぞれ独立して水素、または炭素数1から10のアルキル基であってよい。
【0054】
具体的な例を挙げると、前記化学式2で表される化合物は、N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)及び3-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-イル)-N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(3-(4,5-dihydro-1H-imidazol-1-yl)-N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)より選択される1種であってよい。
【0055】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式3で表される化合物を含むものであってよい。
【0056】
【化5】
【0057】
1 及びA 2 は、それぞれ独立して、炭素数1から20の2価炭化水素基であり、
17 からR 20 は、それぞれ独立して炭素数1から20の1価炭化水素基であり、
1 からL 4 は、それぞれ独立して、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価または4価のアルキルシリル基、または炭素数1から20の1価炭化水素基であるか、L 1 及びL 2 と、L 3 及びL 4 とは互いに連結されて炭素数1から5の環を形成するものであり、このとき、L 1 及びL 2 と、L 3 及びL 4 とが互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、O及びSでなる群より選択される1種以上のヘテロ原子を1個から3個含むものである。
【0058】
具体的な例を挙げると、前記化学式3中、A1及びA2は、それぞれ独立して1から10のアルキレン基であってよく、R17からR20は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、L1からL4は、それぞれ独立して、炭素数1から5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基、炭素数1から10のアルキル基であるか、L1及びL2と、L3及びL4とは互いに連結されて炭素数1から3の環を形成してよく、L1及びL2と、L3及びL4とが互いに連結されて環を形成する場合、形成された環は、N、O及びSでなる群より選択される1種以上のヘテロ原子を1個から3個含むことができる。
【0059】
より具体的な例を挙げると、前記化学式3で表される化合物は、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine)、3,3'-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine)、N,N'-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N'-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine)、1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン(1,3-bis(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane)、1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン(1,3-bis(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane)及び1,3-ビス(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン(1,3-bis(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane)より選択される1種であってよい。
【0060】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式4で表される化合物を含むものであってよい。
【0061】
【化6】
【0062】
前記化学式4中、R 30 は、炭素数1から30の1価炭化水素基であってよく、R 31 からR 33 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキレン基であってよく、R 34 からR 37 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、g及びhは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、g+hは、1以上の整数であってよい。
【0063】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式5で表される化合物を含むものであってよい。
【0064】
【化7】
【0065】
前記化学式5中、A 3 及びA 4 は、それぞれ独立して1から10のアルキレン基であってよく、R 38 からR 41 は、それぞれ独立して、炭素数1から10のアルキル基、または炭素数1から10のアルコキシ基であってよく、iは、1から30より選択される整数であってよい。
【0066】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、3,4-ビス(2-メトキシエトキシ)-N-(4-(トリメチルシリル)ブチル)アニリン(3,4-bis(2-methoxyethoxy)-N-(4-(trimethylsilyl)butyl)aniline)、N,N-ジエチル-3-(7-メチル-3,6,8,11-テトラオキサ-7-シラトリデカン-7-イル)プロパン-1-アミン(N,N-diethyl-3-(7-methyl-3,6,8,11-tetraoxa-7-silatridecan-7-yl)propan-1-amine)、2,4-ビス(2-メトキシエトキシ)-6-((トリメチルシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン(2,4-bis(2-methoxyethoxy)-6-((trimethylsilyl)methyl)-1,3,5-triazine)及び3,14-ジメトキシ-3,8,8,13-テトラメチル-2,14-ジオキサ-7,9-ジチア-3,8,13-トリシラペンタデカン(3,13-dimethoxy-3,8,8,13-tetramethyl-2,14-dioxa-7,9-dithia-3,8,13-trisilapentadecane)より選択される1種以上を含むものであってよい。
【0067】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式6で表される化合物を含むものであってよい。
【0068】
【化8】
【0069】
前記化学式6中、R 43 、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、R 44 は、炭素数1から10のアルキレン基であってよく、kは、1から4より選択される整数であってよい。
【0070】
より具体的な例を挙げると、前記化学式6で表される化合物は、8,8-ジブチル-3,13-ジメトキシ-3,13-ジメチル-2,14-ジオキサ-7,9-ジチア-3,13-ジシラ-8-スタンナペンタデカン(8,8-dibutyl-3,13-dimethoxy-3,13-dimethyl-2,14-dioxa-7,9-dithia-3,13-disila-8-stannapentadecane)、8,8-ジメチル-3,13-ジメトキシ-3,13-ジメチル-2,14-ジオキサ-7,9-ジチア-3,13-ジシラ-8-スタンナペンタデカン(8,8-dimetyl-3,13-dimethoxy-3,13-dimethyl-2,14-dioxa-7,9-dithia-3,13-disila-8-stannapentadecane)、8,8-ジブチル-3,3,13,13-テトラメトキシ-2,14-ジオキサ-7,9-ジチア-3,13-ジシラ-8-スタンナペンタデカン(8,8-dibutyl-3,3,13,13-tetramethoxy-2,14-dioxa-7,9-dithia-3,13-disila-8-stannapentadecane)及び8-ブチル-3,3,13,13-テトラメトキシ-8-((3-(トリメトキシシリル)プロピル)チオ)-2,14-ジオキサ-7,9-ジチア-3,13-ジシラ-8-スタンナペンタデカン(8-butyl-3,3,13,13-tetramethoxy-8-((3-(trimethoxysilyl)propyl)thio)-2,14-dioxa-7,9-dithia-3,13-disila-8-stannapentadecane)より選択される1種であってよい。
【0071】
また他の例を挙げると、前記変性剤は、下記化学式7で表される化合物を含むものであってよい。
【0072】
【化9】
【0073】
前記化学式7中、R 22 及びR 23 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキレン基、または-R 28 [OR 29 f -であり、R 24 からR 27 は、それぞれ独立して、炭素数1から20のアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であってよく、R 28 及びR 29 は、それぞれ独立して炭素数1から20のアルキレン基であってよく、R 47 及びR 48 は、それぞれ独立して炭素数1から6の2価炭化水素基であってよく、d及びeは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、d+eは、1以上の整数であり、fは、1から30の整数であってよい。
【0074】
具体的に、前記化学式7中、R 22 及びR 23 は、それぞれ独立して、炭素数1から10のアルキレン基、または-R 28 [OR 29 f -であってよく、R 24 からR 27 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキル基であってよく、R 28 及びR 29 は、それぞれ独立して炭素数1から10のアルキレン基であってよく、d及びeは、それぞれ独立して0、または1から3より選択される整数であり、ただし、d+eは、1以上の整数であってよく、fは、1から30より選択される整数であってよい。
【0075】
より具体的に、前記化学式7で表される化合物は、下記化学式7a、化学式7bまたは化学式7cで表される化合物であってよい。
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】
【化12】
【0079】
前記化学式7a、化学式7b及び化学式7c中、R 22 からR 27 、d及びeは、前述した通りである。
【0080】
より具体的な例を挙げると、前記化学式7で表される化合物は、1,4-ビス(3-(3-(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロピル)ピペラジン(1,4-bis(3-(3-(triethoxysilyl)propoxy)propyl)piperazine)、1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1,4-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,4-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1,4-bis(3-(trimethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,4-ビス(3-(ジメトキシメチルシリル)プロピル)ピペラジン(1,4-bis(3-(dimethoxymethylsilyl)propyl)piperazine)、1-(3-(エトキシジメチルシリル)プロピル)-4-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1-(3-(ethoxydimethylsilyl)propyl)-4-(3-(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1-(3-(エトキシジメチル)プロピル)-4-(3-(トリエトキシシリル)メチル)ピペラジン(1-(3-(ethoxydimethyl)propyl)-4-(3-(triethoxysilyl)methyl)piperazine)、1-(3-(エトキシジメチル)メチル)-4-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1-(3-(ethoxydimethyl)methyl)-4-(3-(triethoxysilyl)propyl)piperazine)、1,3-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)イミダゾリジン(1,3-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)imidazolidine)、1,3-ビス(3-(ジメトキシエチルシリル)プロピル)イミダゾリジン(1,3-ビス(3-(dimethoxyethylsilyl)propyl)imidazolidine)、1,3-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)ヘキサヒドロピリミジン(1,3-bis(3-(trimethoxysilyl)propyl)hexahydropyrimidine)、1,3-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ヘキサヒドロピリミジン(1,3-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)hexahydropyrimidine)及び1,3-ビス(3-(トリブトキシシリル)プロピル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン(1,3-bis(3-(tributoxysilyl)propyl)-1,2,3,4-tetrahydropyrimidine)より選択される1種であってよい。
【0081】
本発明において、用語「1価炭化水素基」は、1価のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和結合を1以上含むシクロアルキル基、及びアリール基などの、炭素と水素が結合された1価の原子団を意味してよく、1価炭化水素で表される置換基の最小の炭素原子の数は、各置換基の種類によって決まり得る。
【0082】
本発明において、用語「2価炭化水素基」は、2価のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、不飽和結合を1以上含むシクロアルキレン基、及びアリレン基などの、炭素と水素が結合された2価の原子団を意味してよく、2価炭化水素で表される置換基の最小の炭素原子の数は、各置換基の種類によって決まり得る。
【0083】
本発明において、用語「アルキル基(alkyl group)」は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味してよく、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどの直鎖アルキル基、並びに、イソプロピル(isopropyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、tert-ブチル(tert-butyl)及びネオペンチル(neo-pentyl)などの分岐アルキル基を全て含む意味であってよい。
【0084】
本発明において、用語「アルキレン基(alkylene group)」は、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンなどの2価の脂肪族飽和炭化水素を意味してよい。
【0085】
本発明において、用語「アルケニル基(alkenyl group)」は、二重結合を1個または2個以上含むアルキル基を意味してよい。
【0086】
本発明において、用語「アルキニル基(alkynyl group)」は、三重結合を1個または2個以上含むアルキル基を意味してよい。
【0087】
本発明において、用語「シクロアルキル基(cycloalkyl group)」は、環状の飽和炭化水素、または不飽和結合を1個または2個以上含む環状の不飽和炭化水素を全て含む意味であってよい。
【0088】
本発明において、用語「アリール基(aryl group)」は、環状の芳香族炭化水素を意味してよく、また、1個の環が形成されている単環芳香族炭化水素(monocyclic aromatic hydrocarbon)、または2個以上の環が結合されている多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)を全て含む意味であってよい。
【0089】
本発明において、用語「複素環基(heterocyclic group)」は、シクロアルキル基またはアリール基内の炭素原子が1個以上のヘテロ原子で置換されたシクロアルキル基またはアリール基を全て含む意味であってよい。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、前記(S2)ステップの反応またはカップリングは変性反応器で実施されてよく、このとき、前記変性剤は、単量体の全体100gを基準に0.01mmolから10mmolの量で用いることができる。また他の例を挙げると、前記変性剤は、前記(S1)ステップの有機金属化合物1モルを基準に、1:0.1から10、1:0.1から5、または1:0.1から1:2のモル比で用いることができる。
【0091】
また、本発明の一実施形態によれば、前記変性剤は変性反応器に投入されてよく、前記(S2)ステップは変性反応器で実施されてよい。また他の例を挙げると、前記変性剤は、前記(S1)ステップで製造された活性重合体を、(S2)ステップを実施するための変性反応器に移送するための移送部に投入されてよく、前記移送部内で活性重合体と変性剤の混合によって反応またはカップリングが進められてよい。
【0092】
本発明によれば、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法によって製造された変性共役ジエン系重合体が提供される。前記変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位及び変性剤由来の官能基を含むことができる。前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、共役ジエン系単量体が重合する時になす繰り返し単位を意味してよく、前記変性剤由来の官能基は、活性重合体と変性剤の間の反応またはカップリングによって活性重合体の片末端に存在する変性剤から由来された官能基を意味してよい。
【0093】
一方、前記変性共役ジエン系重合体は、例えば、前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位とともに芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位をさらに含む共重合体であってよい。前記変性共役ジエン系重合体が芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体である場合、前記変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を0超過重量%から90重量%で含むことができ、この範囲内で転がり抵抗及び濡れた路面への抵抗性に優れるという効果がある。具体的な例を挙げると、前記変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を0超過重量%から90重量%、0超過重量%から50重量%、または0超過重量%から45重量%で含むことができ、より具体的な例を挙げると、0超過重量%から10未満重量%、10重量%から20未満重量%、20重量%から30未満重量%、または30重量%から45未満重量%で含まれてよく、それぞれの範囲内で転がり抵抗または濡れた路面への抵抗性に優れるという効果がある。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、前記共重合体はランダム共重合体であってよく、この場合、各物性間のバランスに優れるという効果がある。前記ランダム共重合体は、共重合体をなす繰り返し単位が無秩序に配列されているものを意味してよい。
【0095】
本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1,000g/molから2,000,000g/mol、10,000g/molから1,000,000g/mol、または100,000g/molから800,000g/molであってよく、重量平均分子量(Mw)が1,000g/molから3,000,000g/mol、10,000g/molから2,000,000g/mol、または100,000g/molから2,000,000g/molであってよく、この範囲内で転がり抵抗及び濡れた路面への抵抗性に優れるという効果がある。また他の例を挙げると、前記変性共役ジエン系重合体は、分子量分布(PDI;MWD;Mw/Mn)が1.7未満、1.0以上から1.7未満、または1.1以上から1.7未満であってよく、この範囲内で引張特性及び粘弾性特性に優れ、各物性間のバランスに優れるという効果がある。また他の例を挙げると、前記変性共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有し得る。すなわち、本発明の一実施形態に係る変性共役ジエン系重合体は連続式重合によって製造され、ユニモーダル形態の分子量分布曲線を有するとともに、分子量分布が1.7未満のものであってよい。
【0096】
また他の例を挙げると、前記変性共役ジエン系重合体は、Siの含量が、重量を基準に、50ppm以上、100ppm以上、100ppmから10,000ppm、または100ppmから5,000ppmであってよく、この範囲内で、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の引張特性及び粘弾性特性などの機械的物性に優れるという効果がある。前記Siの含量は、前記変性共役ジエン系重合体内に存在するSi原子の含量を意味してよい。一方、前記Si原子は、変性剤由来の官能基から由来されたものであってよい。
【0097】
前記Siの含量は、例えば、ICP分析法によって測定されたものであってよく、前記ICP分析法は、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を利用して測定されることであってよい。前記誘導結合プラズマ発光分析器を利用する場合、試料の約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃い硫酸(98重量%、Electronic grade)の約1mLを入れ、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)で、下記ステップ(step)1から3のプログラムによって灰化させたあと、
1)step 1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)step 2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(2hr)
3)step 3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に濃い硝酸(48重量%)1mL、濃いフッ酸(50重量%)20ulを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)あと、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れ、0℃で2時間以上保管したあと、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進めて測定したことであってよい。
【0098】
前記変性共役ジエン系重合体は、ムーニー粘度(Mooney viscosity)が100℃で、30以上、40から150、または40から140であってよく、この範囲内で加工性及び生産性に優れるという効果がある。
【0099】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、ビニルの含量が5重量%以上、10重量%以上、または10重量%から60重量%であってよい。ここで、前記ビニルの含量は、ビニル基を有する単量体と芳香族ビニル系単量体でなる共役ジエン系共重合体100重量%に対し、1,4-添加ではなく1,2-添加された共役ジエン系単量体の含量を意味してよい。
【0100】
本発明によれば、前記変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が提供される。
【0101】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体を10重量%以上、10重量%から100重量%、または20重量%から90重量%の量で含むものであってよく、この範囲内で引張強度、耐磨耗性などの機械的物性に優れ、各物性間のバランスに優れるという効果がある。
【0102】
また、前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体の他、必要によって他のゴム成分をさらに含んでよく、この際、前記ゴム成分は、ゴム組成物の全体重量に対し90重量%以下の含量で含まれてよい。具体的な例を挙げると、前記他のゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対し、1重量部から900重量部で含まれるものであってよい。
【0103】
前記ゴム成分は、例えば、天然ゴムまたは合成ゴムであってよく、具体的な例を挙げると、シス-1,4-ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);前記一般的な天然ゴムを変性または精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどの合成ゴムであってよく、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0104】
前記ゴム組成物は、例えば、本発明の変性共役ジエン系重合体の100重量部に対し、0.1重量部から200重量部、または10重量部から120重量部の充填剤を含むものであってよい。前記充填剤は、例えば、シリカ系充填剤であってよく、具体的な例を挙げると、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムまたはコロイドシリカなどであってよく、好ましくは、破壊特性の改良効果及びウェットグリップ性(wet grip)の両立効果に最も優れた湿式シリカであってよい。また、前記ゴム組成物は、必要によってカーボンブラック系充填剤をさらに含んでよい。
【0105】
また他の例を挙げると、前記充填剤としてシリカが用いられる場合、補強性及び低発熱性の改善のためのシランカップリング剤がともに用いられてよく、具体的な例を挙げると、前記シランカップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、またはジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどであってよく、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が用いられてよい。好ましくは、補強性改善の効果を考慮するとき、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたは3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってよい。
【0106】
また、本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、ゴム成分として活性部位にシリカとの親和性が高い官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は通常の場合より低減されてよく、これにより、前記シランカップリング剤はシリカの100重量部に対し、1重量部から20重量部、または5重量部から15重量部で用いられてよく、この範囲内でカップリング剤としての効果が十分発揮されるとともに、ゴム成分のゲル化を防止するという効果がある。
【0107】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、硫黄架橋性であってよく、加硫剤をさらに含んでよい。前記加硫剤は、具体的に硫黄粉末であってよく、ゴム成分の100重量部に対し0.1重量部から10重量部で含まれてよく、この範囲内で加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保するとともに、低燃費性に優れるという効果がある。
【0108】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、前記成分の他、通常ゴム工業界において用いられる各種添加剤、具体的には加硫促進剤、プロセス油、酸化防止剤、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などをさらに含んでよい。
【0109】
前記加硫促進剤は、例えば、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が用いられてよく、ゴム成分の100重量部に対し0.1重量部から5重量部で含まれてよい。
【0110】
前記プロセス油は、ゴム組成物内で軟化剤として作用するものであって、必要によって添加されるか添加されなくてよく、その種類としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、または芳香族系化合物であってよく、引張強度及び耐磨耗性を考慮する際に芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損失及び低温特性を考慮する際にナフテン系またはパラフィン系プロセス油が用いられてよい。前記プロセス油は、例えば、ゴム成分の100重量部に対し100重量部以下の含量で含まれてよく、この範囲内で加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止するという効果がある。
【0111】
前記酸化防止剤は、例えば、2,6-ジ-t-ブチルパラクレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、2,6-ビス((ドデシルチオ)メチル)-4-ノニルフェノール(2,6-bis((dodecylthio)methyl)-4-nonylphenol)、または2-メチル-4,6-ビス((オクチルチオ)メチル)フェノール(2-methyl-4,6-bis((octylthio)methyl)phenol)であってよく、ゴム成分の100重量部に対し0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0112】
前記老化防止剤は、例えば、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、またはジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などであってよく、ゴム成分の100重量部に対し0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0113】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、前記配合処方によってバンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することで収得でき、成形加工後の加硫工程によって低発熱性で、かつ耐磨耗性に優れたゴム組成物が収得できる。
【0114】
これによって前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、またはビードコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防塵ゴム、ベルトコンベヤー、ホースなどの各種の工業用ゴム製品の製造に有用である。
【0115】
さらに、本発明は、前記ゴム組成物を利用して製造されたタイヤを提供する。
【0116】
前記タイヤは、タイヤまたはタイヤトレッドを含むものであってよい。
【0117】
[実施例]
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は幾多の他の形態に変形されてよく、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に、本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0118】
[実施例1]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.6kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.6kg/h、n-ヘキサンを47.2kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTP)溶液を125.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を46.0g/hの速度で注入した。
【0119】
このとき、第1反応器の温度は45℃になるように維持し、重合転換率が48%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0120】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.65kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0121】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は60℃になるように維持した。
【0122】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0123】
[実施例2]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.6kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.6kg/h、n-ヘキサンを47.2kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン溶液を125.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を36.0g/hの速度で注入した。
【0124】
このとき、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が45%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0125】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.65kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0126】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0127】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0128】
[実施例3]
変性剤として、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)に代えてN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミン(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)を第3反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例2と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。
【0129】
[実施例4]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.3kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を10.9kg/h、n-ヘキサンを39.4kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンにN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が10重量%で溶解されている溶液を7.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を46.0g/hの速度で注入した。
【0130】
このとき、第1反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が48%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を2.4kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0131】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤としてN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミンを第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0132】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0133】
[実施例5]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を1.8kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を14.2kg/h、n-ヘキサンを49.1kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を51.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を59.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が31%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0134】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.74kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0135】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン(1,4-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)piperazine)を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0136】
[実施例6]
変性剤として、1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンに代えて3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を第3反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例5と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。
【0137】
[実施例7]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を1.8kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を14.2kg/h、n-ヘキサンを49.1kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンにN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンが10重量%で溶解されている溶液を25.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を59g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は60℃になるように維持し、重合転換率が46%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0138】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.74kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0139】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤としてN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミンを第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は70℃になるように維持した。
【0140】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0141】
[実施例8]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を6.1kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を10.1kg/h、n-ヘキサンを47.5kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン溶液を50.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を31.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が50%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0142】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.5kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0143】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0144】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤である、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0145】
[実施例9]
3基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を15.0kg/h、n-ヘキサンを48.3kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を36.0g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンにN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンが1重量%で溶解されている溶液を31.5g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を58.5g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が43%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0146】
第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器から第3反応器に重合物を移送した。
【0147】
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンを第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0148】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0149】
[実施例10]
2基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.6kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.6kg/h、n-ヘキサンを47.2kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン溶液を125.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を46.0g/hの速度で注入した。
【0150】
このとき、第1反応器の温度は50℃になるように維持し、重合転換率が50%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0151】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.65kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器からブレンドタンク(blend Tank)に重合物を移送した。
【0152】
前記第2反応器からブレンドタンクに重合物を移送する中に、変性剤としてN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミンを、ブレンドタンクに移送するラインに投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。
【0153】
その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0154】
[実施例11]
2基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.3kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を10.9kg/h、n-ヘキサンを39.4kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンにN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンが10重量%で溶解されているN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン溶液を7.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を46.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が48%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0155】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を2.4kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器からブレンドタンクに重合物を移送した。
【0156】
前記第2反応器からブレンドタンクに重合物を移送する中に、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を、ブレンドタンクに移送するラインに投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0157】
その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0158】
[実施例12]
2基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.3kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を10.9kg/h、n-ヘキサンを39.4kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン溶液を2.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を46.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が50%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。
【0159】
引き続き、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を2.4kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は70℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第2反応器からブレンドタンクに重合物を移送した。
【0160】
前記第2反応器からブレンドタンクに重合物を移送する中に、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を、ブレンドタンクに移送するラインに投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0161】
その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0162】
[比較例1]
20Lのオートクレーブ反応器に、スチレン100g、1,3-ブタジエン880g、n-ヘキサン5000g、及び、極性添加剤として2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン0.89gを入れたあと、反応器の内部温度を40℃に昇温した。反応器の内部温度が40℃に達したとき、重合開始剤としてn-ブチルリチウム4.7mmolを投入して断熱昇温反応を進めさせた。約20分経過したあと、1,3-ブタジエン20gを投入して重合体鎖の末端をブタジエンでキャッピング(capping)した。5分後、3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)4.7mmolを投入して15分間反応させた。その後、エタノールを利用して重合反応を停止させ、酸化防止剤であるIR1520(BASF社)がn-ヘキサンに0.3重量%溶解されている溶液45mlを添加した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、共役ジエン系重合体を製造した。
【0163】
[比較例2]
変性剤を添加していないことを除き、前記実施例2と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0164】
[比較例3]
第1反応器では55℃、第2反応器では65℃、第3反応器では65℃に反応温度を維持し、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)に代えてジメチルジクロロシラン(dimethyl dichlorosilane)を投入したことを除き、前記実施例1と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0165】
[比較例4]
第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が68%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送したことを除き、前記実施例1と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0166】
[比較例5]
第1反応器で重合転換率が73%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送し、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)の代わりにN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミンを投入して重合したことを除き、前記比較例4と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0167】
[比較例6]
第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が65%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送して重合したことを除き、前記実施例6と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0168】
[比較例7]
第1反応器で75℃、第2反応器で80℃、第3反応器で80℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が70%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送し、第3反応器で変性剤としてテトラクロロシランを投入して重合したことを除き、前記実施例6と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=0.1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0169】
[比較例8]
第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が63%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送して重合したことを除き、前記実施例8と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0170】
[比較例9]
変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)の代わりにジメチルジクロロシランを投入して重合したことを除き、前記実施例8と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0171】
[比較例10]
第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が70%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送して重合したことを除き、前記実施例9と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0172】
[比較例11]
第1反応器で重合転換率が46%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送し、変性剤として1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジンの代わりにテトラクロロシランを投入して重合したことを除き、前記実施例9と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=0.1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0173】
[比較例12]
第1反応器では75℃、第2反応器では85℃、第3反応器では85℃に反応温度を維持し、第1反応器で重合転換率が67%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送し、変性剤としてN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミンの代わりにジメチルジクロロシランを投入して重合したことを除き、前記実施例4と同様に実施することで、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。
【0174】
[比較例13]
2基の反応器が直列で連結されている連続反応器中、第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を1.8kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を14.2kg/h、n-ヘキサンを49.1kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を51.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を59g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は75℃になるように維持し、重合転換率が95%になったとき、移送配管を通って第1反応器から第2反応器に重合物を移送した。第1反応器から第2反応器に移送する配管の中に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.74kg/hの速度で注入した。
【0175】
第2反応器に、変性剤として3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)を投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。このとき、前記変性剤は、n-ヘキサンに溶解させて溶液状態で投入した。第2反応器の温度は80℃になるように維持し、その後、第2反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果で得られた重合物を、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0176】
<実験例>
[実験例1]
前記実施例及び比較例で製造された変性または未変性の共役ジエン系重合体のそれぞれに対し、各重合体内のスチレン単位及びビニルの含量と、重量平均分子量(Mw、X103g/mol)、数平均分子量(Mn、X103g/mol)、分子量分布(PDI、MWD)、ムーニー粘度(MV)、及びSiの含量を測定した。結果を下記表1から表5に示した。また、前記実施例1から12、及び比較例1から13における反応条件、及び用いられた極性添加剤、変性剤をまとめ、下記表1から表5に示した。
1)スチレン単位及びビニルの含量(重量%)
前記各重合体内のスチレン単位(SM)及びビニル(Vinyl)の含量は、Varian VNMRS 500MHz NMRを利用して測定及び分析した。
【0177】
NMR測定の際、溶媒は1,1,2,2-テトラクロロエタンを用い、溶媒ピーク(solvent peak)は5.97ppmとして計算し、7.2~6.9ppmはランダムスチレン、6.9~6.2ppmはブロックスチレン、5.8~5.1ppmは1,4-ビニル、5.1~4.5ppmは1,2-ビニルのピークにして、スチレン単位及びビニルの含量を計算した。
【0178】
2)重量平均分子量(Mw、X103g/mol)、数平均分子量(Mn、X103g/mol)及び分子量分布(PDI、MWD)
GPC(Gel permeation chromatohraphy)分析によって前記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布曲線を得た。また、分子量分布(PDI、MWD、Mw/Mn)は、測定された前記各分子量から計算して得た。具体的に、前記GPCは、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社)カラム二本とPLgel mixed-C(Polymer Laboratories社)カラム一本とを組み合わせて用い、分子量を計算する際のGPC基準物質(Standard material)は、PS(polystyrene)を用いて実施した。GPC測定溶媒は、テトラヒドロフランに2重量%のアミン化合物を混ぜて製造した。このとき、得られた分子量分布曲線は、図1及び図2に示した。
【0179】
3)ムーニー粘度
前記ムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)は、MV-2000(ALPHA Technologies社)を利用し、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて測定し、この時に用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置したあと、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、Platenを作動させて4分間測定した。
【0180】
4)Siの含量
前記Siの含量は、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を利用したICP分析方法で測定された。前記誘導結合プラズマ発光分析器を利用する場合、試料の約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃い硫酸(98重量%、Electronic grade)の約1mLを入れ、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)で、下記ステップ(step)1から3のプログラムによって灰化させたあと、
1)step 1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)step 2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(2hr)
3)step 3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に濃い硝酸(48重量%)1mL、濃いフッ酸(50重量%)20ulを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)あと、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れ、0℃で2時間以上保管したあと、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進めて測定した。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】
【0183】
【表3】
【0184】
【表4】
【0185】
【表5】
【0186】
前記表1から表5で、極性添加剤及び変性剤の具体的な物質及び使用の割合は、下記の通りである。
* M:PI=変性剤(またはカップリング剤)と重合開始剤(act.Li)のモル比* DTP:2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン
* TMEDA:N,N,N',N'-N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン
* 変性剤A:3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)
* 変性剤B:N-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミン
* 変性剤C:1,4-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ピペラジン
* 変性剤D:ジメチルジクロロシラン
* 変性剤E:テトラクロロシラン

図1及び図2に示されている通り、バッチ反応で製造された比較例1の変性共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分布曲線がバイモーダル(bimodal)の形態(図3参照)を示す反面、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造された実施例1及び実施例6の変性共役ジエン系重合体の場合は、比較例1とは全く違ってユニモーダル(unimodal)の形態(図1及び図2参照)を示した。
【0187】
前記表1から表5に示されている通り、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造された実施例1から12の変性共役ジエン系重合体が、それぞれ比較例1から比較例13の変性または未変性の共役ジエン系重合体に比べてPDI(分子量分布)が狭く、Siの含量が高いことを確認した。
【0188】
具体的に、前記表1を参考にすれば、第1反応器の温度及び重合転換率を、本発明で提示する条件から外れるようにしたことを除き、それぞれ実施例1及び実施例3と同一の反応条件で製造された比較例4及び比較例5の重合体の場合は、それぞれ実施例1及び実施例2に比べてPDI(分子量分布)が1.4倍の水準まで大幅に増加し、Siの含量は75%の水準及び87%の水準まで著しく減少した。
【0189】
また、表2を参考にすれば、第1反応器の温度及び重合転換率を、本発明で提示する条件から外れるようにしたことを除き、実施例4と同一の反応条件で製造された比較例12の重合体の場合は、実施例4に比べてPDIが1.2倍の水準まで増加し、Siの含量は74%の水準まで減少した。
【0190】
また、表3を参考にすれば、第1反応器の温度及び重合転換率を、本発明で提示する条件から外れるようにしたことを除き、実施例6と同一の反応条件で製造された比較例6の重合体の場合は、実施例6に比べてPDIが1.3倍の水準まで増加し、Siの含量は著しく減少した。
【0191】
一方、バッチ反応によって製造された比較例1の変性共役ジエン系重合体は、実施例6の変性共役ジエン系重合体に比べてPDIは類似するものの、Siの含量は70%の水準まで大幅に低下し、後述する表9から確認できるように、加工性特性も低下した。
【0192】
また、表4を参考にすれば、比較例8の変性共役ジエン系重合体は、第1反応器の温度及び重合転換率を除いた他の条件を実施例8と同様にして製造されたにもかかわらず、実施例8に比べてPDIが1.4倍の水準まで増加し、Siの含量が67%の水準まで画然と減少した。
【0193】
併せて、表5を参考にすれば、比較例10の変性共役ジエン系重合体は、第1反応器の温度及び重合転換率を除いた他の条件を実施例9と同様にして製造されたにもかかわらず、実施例9に比べてPDIが1.5倍の水準まで著しく増加し、Siの含量が65%の水準まで画然と減少した。
【0194】
前記結果は、本発明の一実施形態に係る製造方法が、第1反応器における重合転換率を特定の数値に調節して重合を行うことにより、重合体の形成に伴って発生する副反応を抑制するため、線形構造の重合体を誘導することにより、結果的に分子量分布が相対的に小さな変性共役ジエン系重合体を製造することができることを示すものである。
【0195】
また、前記結果は、本発明の一実施形態に係る製造方法が、バッチ反応による製造方法に比べて高い変性率を有する変性共役ジエン系重合体が得られることを示すものである。
【0196】
[実験例2]
前記実施例及び比較例で製造された変性または未変性の共役ジエン系共重合体のそれぞれを含むゴム組成物、及びこれから製造された成形品の物性を比較分析するため、引張特性、粘弾性特性をそれぞれ測定し、その結果を下記表7から表11に示した。
【0197】
1)ゴム試験片の製造
実施例及び比較例の変性または未変性の共役ジエン系重合体のそれぞれを原料ゴムとし、下記表6に示した配合条件で配合した。表6内の原料は、原料ゴム100重量部基準に対する各重量部である。
【0198】
【表6】
【0199】
具体的に、前記ゴム試験片は、第1段混練及び第2段混練を介して混練される。第1段混練では、温度制御装置付きバンバリーミキサーを用いて原料ゴム、シリカ(充填剤)、有機シランカップリング剤、プロセス油、亜鉛華剤、ステアリン酸、酸化防止剤、老化防止剤及びワックスを混練した。このとき、混練機の初期温度を70℃に制御し、配合を完了したあと、145℃から155℃の排出温度で1次配合物を得た。第2段混練では、前記1次配合物を室温まで冷却したあと、混練機に1次配合物、硫黄、ゴム促進剤及び加硫促進剤を加えて100℃以下の温度でミキシングすることで、2次配合物を得た。その後、160℃で20分間キュアリング工程を経てゴム試験片を製造した。
【0200】
2)引張特性
引張特性は、ASTM 412の引張試験法に準じて各試験片を製造し、前記試験片の切断時の引張強度及び300%伸張時の引張応力(300%モデュラス)を測定した。具体的に、引張特性はUniversal Test Machin 4204(Instron社)引張試験機器を利用し、室温で50cm/minの速度で測定した。
【0201】
3)粘弾性特性
粘弾性特性は、動的機械分析機(GABO社)を利用し、Film Tensionモードで周波数10Hz、各測定温度(-60℃~60℃)で動的変形に対する粘弾性挙動を測定してtan δ値を確認した。結果値において、低温0℃でのtan δの指数値が高いものであるほど濡れた路面への抵抗性に優れ、高温60℃でのtan δの指数値が高いほど、ヒステリシス損が少なく、低走行抵抗性(燃費性)に優れることを表す。このとき、実施例1から実施例3、実施例10、比較例2、比較例4及び比較例5の各結果値は、比較例3の結果値を100にして指数化して表し、実施例4、実施例11及び実施例12の各結果値は、比較例12の結果値を100にして指数化して表し、実施例5から実施例7、比較例1、比較例6及び比較例13の各結果値は、比較例7の結果値を100にして指数化して表した。また、実施例8及び比較例8の各結果値は、比較例9の結果値を100にして指数化して表し、実施例9及び比較例10の各結果値は、比較例11の結果値を100にして指数化して表した。
【0202】
4)加工性特性
前記1)ゴム試験片の製造時に得られた2次配合物のムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)を測定して各重合体の加工性特性を比較分析し、このとき、ムーニー粘度の測定値が低いものであるほど、加工性特性に優れることを表す。
【0203】
具体的に、MV-2000(ALPHA Technologies社)を利用し、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて、各2次配合物は室温(23±3℃)で30分以上放置したあと、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、Platenを作動させて4分間測定した。
【0204】
【表7】
【0205】
【表8】
【0206】
【表9】
【0207】
【表10】
【0208】
【表11】
【0209】
前記表7から表11に示されている通り、本発明の一実施形態に係る実施例1から実施例12が、比較例1から比較例13に比べて引張特性、粘弾性特性及び加工性特性が改善されたことを確認した。
【0210】
一方、粘弾性特性において通常0℃でのtan δ値が向上されると同時に60℃でのtan δ値が向上される特性を有することは、非常に難しいものと知られている。よって、比較例1から比較例13に比べて0℃でのtan δ値は同等以上の優れた水準を示しながらも、60℃でのtan δ値で著しい改善の効果を奏する実施例1から実施例12は、粘弾性特性に非常に優れることが分かる。
図1
図2
図3