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特許6993825触覚提供装置、触覚提供システム、情報処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】触覚提供装置、触覚提供システム、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 21/00 20060101AFI20220106BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220106BHJP
   A63H 33/04 20060101ALI20220106BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G09B21/00 B
A63H33/00 Q
A63H33/04 B
G06F3/01 560
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017183184
(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2019012252
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2017128577
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】東 真希子
(72)【発明者】
【氏名】半田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 悟
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-059486(JP,A)
【文献】特開昭61-148520(JP,A)
【文献】特開2007-271701(JP,A)
【文献】特開2013-090765(JP,A)
【文献】特許第6154524(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 21/00-21/06
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
A63H 33/00,33/04
A63F 9/08
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動により伝達する情報である振動情報を指又は手のひらなどの身体に提示する触覚提供装置であって、
多面体の第1の面を構成する第1の部材、及び前記第1の面とは異なる前記多面体の第2の面を構成する第2の部材と、
前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を個別に制御する情報処理装置と通信を行う通信部と、
前記情報処理装置と当該触覚提供装置との前記通信により取得した前記振動情報に応じて、前記第1の部材を振動させる振動子および前記第2の部材を振動させる振動子と、を有し、
前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ、弾性を有する支持部材により支持され、前記振動子の振動により前記第1の部材が振動した際に、前記第1の部材の振動が前記第2の部材に伝わりにくいように、前記第1の部材と前記第2の部材とが分離された位置に取り付けられている、
触覚提供装置。
【請求項2】
前記触覚提供装置は、前記支持部材の一端を支持する内側筐体を有し、
前記支持部材の一端は、前記内側筐体に設けられた軸受けにより、前記内側筐体に支持される、請求項1に記載の触覚提供装置。
【請求項3】
振動により伝達する情報である振動情報を指又は手のひらなどの身体に提示する触覚提供装置であって、
第1の面を構成する第1の部材、及び前記第1の面とは異なる第2の面を構成する第2の部材と、
前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を個別に制御する情報処理装置と通信を行う通信部と、
前記情報処理装置と当該触覚提供装置との前記通信により取得した前記振動情報に応じて、前記第1の部材を振動させる振動子および前記第2の部材を振動させる振動子と、を有し、
前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ、弾性を有する支持部材により支持され、前記振動子の振動により前記第1の部材が振動した際に、前記第1の部材の振動が前記第2の部材に伝わりにくいように、前記第1の部材と前記第2の部材とが分離された位置に取り付けられており、
前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ異なる固有振動数を有し、
前記振動子は、前記第1の部材の固有振動数に応じた振動数で振動することにより、前記第1の部材を固有振動させる
覚提供装置。
【請求項4】
振動により伝達する情報である振動情報を指又は手のひらなどの身体に提示する触覚提供装置であって、
第1の面を構成する第1の部材、及び前記第1の面とは異なる第2の面を構成する第2の部材と、
前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を個別に制御する情報処理装置と通信を行う通信部と、
前記情報処理装置と当該触覚提供装置との前記通信により取得した前記振動情報に応じて、前記第1の部材を振動させる振動子および前記第2の部材を振動させる振動子と、を有し、
前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ異なる固有振動数を有し、
前記振動子は、前記第1の部材の固有振動数に応じた振動数で振動することにより、前記第1の部材を固有振動させる、
触覚提供装置。
【請求項5】
前記第1の面における接触を検知する接触センサと、
当該触覚提供装置における加速度を検知する加速度センサと、
を有し、
前記通信部は、前記第1の部材が前記振動子により振動された後、前記接触センサにより前記第1の面における接触が検知された場合、前記加速度センサにより検知された加速度のデータを、前記情報処理装置に送信する、
請求項1から4のいずれかに記載の触覚提供装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の触覚提供装置である第1の触覚提供装置、及び第2の触覚提供装置の状態を取得する取得部と、
前記第1の触覚提供装置の第1の面を構成する第1の部材、及び前記第2の触覚提供装置の第2の面を構成する第2の部材を振動させた後、前記取得部により前記第1の面と前記第2の面とが互いに結合された状態が取得された場合、前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を停止させ、
前記第1の部材、及び前記第2の部材を振動させた後、前記取得部により前記第1の面と前記第2の面以外の面とが互いに結合された状態が取得された場合、前記第1の触覚提供装置の複数の面をそれぞれ構成する部材、及び前記第2の触覚提供装置の複数の面をそれぞれ構成する部材を振動させる制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記第1の面と前記第2の面とが互いに結合された場合、前記第1の触覚提供装置、及び前記第2の触覚提供装置が結合されている向きを取得し、
前記制御部は、前記取得部により取得された前記向きに応じて、前記第1の触覚提供装置、及び前記第2の触覚提供装置の少なくとも一方における、第3の触覚提供装置の所定の面を結合させる面を判定し、当該判定した面を構成する部材、及び前記第3の触覚提供装置の前記所定の面を構成する部材を振動させる、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
請求項6または7に記載の情報処理装置として動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚提供装置、触覚提供システム、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触覚を用いて情報を提示する技術が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
また、従来、ジョイスティックコントローラにより力覚提示器を構成し手や指に振動を提示して擬似的に力を感じさせる方法や、モータなどのアクチュエータを用いて力覚提示器を構成し物理的に反力を提示する方法なども知られている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-140106号公報
【文献】特開2016-213667号公報
【文献】"CyberGrasp," CyberGlove Systems Inc. ,[online],[平成29年4月3日検索]、インターネット<URL: http://www.cyberglovesystems.com/cybergrasp/>
【文献】M.Hirose, K.Hirota, T.Ogi, H.Yano, N.Kakehi, M.Saito and M.Nakashige, "HapticGEAR: the development of a wearable force display system for immersive projection displays,"In Proceedings of the IEEE Virtual Reality 2001 Conference, pp.123-129, 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術は、例えば、視覚障害者や聴覚障害者の方、健常者、幼児、子供の区別なく触覚による各種の同様な体験を提供可能とするものではない。
【0006】
そこで、触覚により各種の体験を提供できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
振動により伝達する情報である振動情報を指又は手のひらなどの身体に提示する触覚提供装置は、多面体の第1の面を構成する第1の部材、及び前記第1の面とは異なる前記多面体の第2の面を構成する第2の部材と、前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を個別に制御する情報処理装置と通信を行う通信部と、前記情報処理装置と当該触覚提供装置との前記通信により取得した前記振動情報に応じて、前記第1の部材を振動させる振動子および前記第2の部材を振動させる振動子と、を有し、前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ、弾性を有する支持部材により支持され、前記振動子の振動により前記第1の部材が振動した際に、前記第1の部材の振動が前記第2の部材に伝わりにくいように、前記第1の部材と前記第2の部材とが分離された位置に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、触覚により各種の体験を提供できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る触覚提供システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る触覚提供装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る触覚提供装置の構造の一例について説明する図である。
図4】触覚提供装置の外形の例について説明する図である。
図5】実施形態に係る触覚提供装置の構造の一例について説明する図である。
図6】実施形態に係る触覚提供装置の構造の一例について説明する図である。
図7】実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図8】触覚提供システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】組み立ての際の制御部による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る触覚提供システム1の構成例を示す図である。図1において、触覚提供システム1は、複数の触覚提供装置10-1、10-2、10-3、10-4、・・・(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「触覚提供装置10」と称する。)、及び情報処理装置20を備える。
【0012】
触覚提供システム1の触覚提供装置10は、振動により伝達する情報である振動情報を指又は手のひらなどの身体に提示する触覚提供装置は、第1の面を構成する第1の部材、及び前記第1の面とは異なる第2の面を構成する第2の部材と、前記第1の部材、及び前記第2の部材の振動を個別に制御する情報処理装置と通信を行う通信部と、前記情報処理装置と当該触覚提供装置との前記通信により取得した前記振動情報に応じて、前記第1の部材を振動させる振動子と、を有し、前記第1の部材、及び前記第2の部材は、それぞれ、所定の固有振動数を備え、弾性を有する支持部材により支持され、前記振動子の振動により前記第1の部材が振動した際に、前記第1の部材の振動が前記第2の部材に伝わりにくいように、前記第1の部材と前記第2の部材とが分離された位置に取り付けられている。
【0013】
本発明の触覚提供システム1は、例えば立方体のような多面体の任意の面に選択的に振動情報を提示することで、その振動情報を頼りに、例えば、振動している面同士を接続させることにより、複数の多面体を積み木をするように組み上げて遊んだり、その形が何かを答えるクイズに参加したり、出来あがった形をヒントに、何かの謎を解いたり、といった様々なコンテンツを提供可能にする。これにより、視覚障害者も聴覚障害者も晴眼者・健聴者と同じ体験が可能となる。
【0014】
触覚提供装置10と情報処理装置20は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やZigBee等の近距離無線通信や、携帯電話網等のネットワークを介して通信できるように接続されている。
【0015】
触覚提供装置10は、振動により伝達する情報である振動情報をユーザの指又は手のひらなどの身体に提示する装置である。触覚提供装置10は、各種のセンサにより、当該触覚提供装置10の状態を示す状態情報を取得し、取得した状態情報を情報処理装置20に通知する。また、触覚提供装置10は、情報処理装置20からの指示に従い、発光装置、スピーカ、及び当該触覚提供装置10の各面に設けられた振動子を動作させる。
【0016】
触覚提供装置10の外形は、例えば、正多面体(正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体等)の形状でもよいし、多面体の形状でもよい。多面体の場合、例えば、正六面体を複数並べた形状としてもよい。また、各触覚提供装置10の外形は、同じ多面体の形状であっても、大きさが異なるようにしてもよい。この場合、例えば、所定の長さ(例えば、2.5cm、または5cm)を基準の長さとし、触覚提供装置10の各面における各辺の長さを、当該基準の長さの整数倍としてもよい。
【0017】
触覚提供装置10は、例えば、弾性を有する支持部材等により内側筐体(内箱)の外部に支持された複数の面部材を有する。
【0018】
情報処理装置20は、例えば、サーバ用のPC(Personal Computer)、タブレット型PC、スマートフォン、ノート型PC等の装置である。情報処理装置20は、各触覚提供装置10から、各触覚提供装置10の状態を示す状態情報を取得し、当該状態情報に基づいて、触覚提供装置10の制御を行う。
【0019】
また、情報処理装置20は、振動により伝達する情報である振動情報を、触覚提供装置10に接触している指又は手のひらなどの身体に提示させる。
【0020】
<ハードウェア構成>
次に、図2を参照し、実施形態に係る触覚提供装置10のハードウェア構成について説明する。図2は、実施形態に係る触覚提供装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0021】
以下では、触覚提供装置10の外形が、6つの面を有する正六面体等の形状である場合を例に説明する。
【0022】
触覚提供装置10は、振動子101A、乃至101F(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「振動子101」と称する。)、接触センサ102A、乃至102F(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「接触センサ102」と称する。)、加速度センサ103、発光装置104、スピーカ105、通信インターフェース(I/F)106(「通信部」の一例)、電源107、及び制御回路108を有する。
【0023】
なお、各振動子101は、例えば、触覚提供装置10の各面の内側に取り付けられる。また、各接触センサ102は、例えば、触覚提供装置10の各面の外側に取り付けられる。そのため、触覚提供装置10の外形が例えば正四面体の形状である場合は、振動子101A、乃至101Dと、接触センサ102A、乃至102Dを有する。なお、触覚提供装置10の各面に、複数の振動子や接触センサを取り付けてもよい。
【0024】
振動子101は、制御回路108からの指示に従い、振動を開始、及び停止する。振動子101は、例えば、軸の所定の位置に重りが取り付けられ、軸が回転することにより振動を発生させる振動モータである、
接触センサ102は、接触センサ102に物体が接触したことを検知し、接触しているか否かを示すデータを制御回路108に通知する。
【0025】
加速度センサ103は、3軸の加速度を検出し、検出したデータを制御回路108に通知する。加速度センサ103により、触覚提供装置10がユーザにより持ち上げられたことや、触覚提供装置10の姿勢(どの面が鉛直上向きか等)を検出できる。
【0026】
発光装置104は、例えば、LED(Light Emitting Diode)であり、制御回路108からの指示に従い、発光を開始、及び停止する。
【0027】
スピーカ105は、制御回路108からの指示に従い、所定の音の出力を開始、及び停止する。
【0028】
通信I/F106は、例えば、無線LAN等の近距離無線通信や、携帯電話網等のネットワークを介して、情報処理装置20等の外部装置との通信を行う。
【0029】
電源107は、例えば、ボタン電池や充電式電池であり、触覚提供装置10の各ハードウェアに電力を供給する。
【0030】
制御回路108は、情報処理装置20からの指示に従い、触覚提供装置10の各ハードウェアを制御する。また、制御回路108は、接触センサ102、及び加速度センサ103により検出されたデータを、情報処理装置20に送信する。
【0031】
なお、振動子101、または接触センサ102は、触覚提供装置10の一つ面に対して複数設けられてもよい。また、振動子101、または接触センサ102は、触覚提供装置10の所定の面に対しては設けないようにしてもよい。
【0032】
<触覚提供装置の構造>
次に、図3を参照し、実施形態に係る触覚提供装置10の構造について説明する。図3は、実施形態に係る触覚提供装置10の構造の一例について説明する図である。
【0033】
図3(A)は、触覚提供装置10の外観の一例を示す図である。図3(A)は、触覚提供装置10の外形が、正六面体の形状である場合の一例を示している。図3(A)に示される触覚提供装置10の各面10A(「第1の面」の一例)、10B(「第2の面」の一例)、及び10Cの中央部には、接触センサ102A乃至102Cが設けられている。なお、図3(A)に示されていない触覚提供装置10の他の面においても、同様に接触センサ102がそれぞれ設けられている。
【0034】
触覚提供装置10の各面10A乃至10Cを構成する部材には、図示しない結合機構が設けられており、触覚提供装置10の面と、他の触覚提供装置10の面とを結合することができる。当該結合機能は、例えば、磁石、マジックテープ(登録商標)、凸凹の嵌合、所定の治具等により、結合する際の位置合わせ、及び結合した状態での固定ができるようにする。
【0035】
図3(A)の例では、触覚提供装置10の各面の間には、隙間501乃至503が形成されている。なお、図3(A)に示されていない触覚提供装置10の他の各面の間においても、同様に隙間がそれぞれ形成されている。これらの隙間により、触覚提供装置10の一の面が振動した際、当該振動が他の面に比較的伝わりにくくなっている。これにより、ユーザは触覚提供装置10のどの面が振動しているかを、比較的容易に判断できる。
【0036】
図3(B)は、図3(A)の触覚提供装置10の透過図の一例を示す図である。図3(B)の例では、触覚提供装置10の各面に、振動子101A乃至101Fがそれぞれ設けられている。各振動子101は、ケーブル等により、触覚提供装置10の内部に設けられた内箱110の内部の制御回路108に接続されている。触覚提供装置10の各面は、内箱110の各面に設けられた支持部材111A乃至111F(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「支持部材111」と称する。)により支持されている。
【0037】
図3(C)は、図3(A)の触覚提供装置10の内箱110の外観の一例を示す図である。図3(C)の例では、内箱110の面110A乃至110Cに、支持部材111A乃至111Cがそれぞれ設けられている。なお、図3(C)に示されていない内箱110の他の面においても、同様に支持部材111がそれぞれ設けられている。図3(C)の例では、支持部材111は、円筒の形状である。なお、支持部材111は、内箱110に対して触覚提供装置10の各面を構成する部材を支持できればよく、棒状やその他の形状でもよい。支持部材111は、触覚提供装置10の面が振動しやすく、内箱に振動が伝達しにくいよう、ゴムやばね等の弾性を有するものを用いてもよい。
【0038】
図3(D)は、図3(C)の触覚提供装置10の内箱110透過図の一例を示す図である。図3(D)の例では、内箱110の面110Aが取り外し可能であり、内箱110の内部に、加速度センサ103、発光装置104、スピーカ105、通信インターフェース(I/F)106、電源107、及び制御回路108等を収容できるようになっている。なお、発光装置104やスピーカ105から出される光や音が外部に伝わり易くするよう、内箱110の各面等に孔を設けてもよい。
【0039】
次に、図4を参照し、実施形態に係る触覚提供装置10の外形の例について説明する。図4は、触覚提供装置10の外形の例について説明する図である。図4(A)は、触覚提供装置10の外形が正四面体の場合の例を示す図である。図4(B)は、触覚提供装置10の外形が直方体の場合の例を示す図である。この場合、各触覚提供装置10の各面における各辺の長さを、基準となる所定の長さの整数倍にすると、ユーザは比較的容易に組み立てることができる。
【0040】
<触覚提供装置の構造の変形例その1>
次に、図5を参照し、実施形態に係る触覚提供装置10の構造の他の例について説明する。図5は、実施形態に係る触覚提供装置10の構造の一例について説明する図である。
【0041】
図5(A)は、触覚提供装置10の外観の一例を示す図である。図5(A)は、触覚提供装置10の外形が、正六面体の形状である場合の一例を示している。
【0042】
図5の例では、触覚提供装置10は、外枠120と、内箱110の各面にそれぞれ支持された円形の面部材130A乃至130F(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「面部材130」と称する。)で構成されている。また、図5の例では、内箱110の各角と、外枠120の各角とを棒状等の部材で固定している。振動子101、接触センサ102、支持部材111等については、図3の例と同様に設けてもよい。
【0043】
図5(B)は、図5(A)の触覚提供装置10の正面図の一例を示す図である。図5(B)の例では、円形の面部材130Aと、外枠120との間に十分な隙間601が形成されているため、触覚提供装置10の一の面が振動した際、当該振動が他の面に比較的伝わりにくくなっている。また、触覚提供装置10同士を結合する際に、結合機構を振動面自体でなく、外枠に設けることが出来るため、結合が安定する。
【0044】
<触覚提供装置の構造の変形例その2>
次に、図6を参照し、実施形態に係る触覚提供装置10の構造の他の例について説明する。図6は、実施形態に係る触覚提供装置10の構造の一例について説明する図である。
【0045】
図6(A)に示すように、図6の例では、図5と同様に、触覚提供装置10は、外枠120と、内箱110の各面にそれぞれ支持された円形の面部材140A乃至140F(以下で、それぞれを区別する必要がない場合は、単に「面部材140」と称する。)で構成されている。ここで、面部材140、及び外枠120は、樹脂等により形成されてもよい。
【0046】
図6(B)は、図6(A)の触覚提供装置10の内箱110、及び外枠120のみの一例を示す図である。図6(B)の例では、内箱110、及び外枠120は、一体の部品として構成されている。
【0047】
また、図6(C)に示すように、図6の例では、面部材140から内箱110への振動伝播の影響をさらに軽減するため、面部材140が回転方向により動き易くすることで、内箱110に伝わる振動によるエネルギーを少なくするよう、支持部材111が内箱110からベアリング等の軸受け119を介して面部材140を支持している。
【0048】
ここで、軸受け119として、例えば、ボールベアリング等の、軸受の可動部品間を球を介して分離する玉軸受け、回転体を磁気浮上によって支持する磁気軸受け、薄い液体、または気体の膜によって支持される流体軸受け等を用いてもよい。図6の例では、支持部材111の下端が、内箱110の各面に設けられた玉軸受けにより支持されている。
【0049】
なお、振動子101、接触センサ102、支持部材111等については、図3の例と同様に設けてもよい。
【0050】
<触覚提供装置の構造の変形例その3>
図3乃至図6では、触覚提供装置10の各面が接触しにくいようにすることで、一の面の振動が、他の面に比較的伝わりにくくする例について説明した。これに代えて、またはこれに加えて、例えば、以下のようにしてもよい。
【0051】
触覚提供装置10の各面の材質や各面の固定の仕方等を変えることにより、触覚提供装置10の各面の固有振動数がそれぞれ異なるようにする。固有振動数は、各面の材質の密度、弾性係数、及び固定の仕方等により異なるためである。そして、制御回路108は、各面に設けられた振動子101、あるいは内箱110に設けられた1つの振動子を、各面の固有振動数と等しい振動数(周波数)で振動させることにより、各面を共振させ、固有振動させる。これにより、各面の固有振動数が異なるため、上述の例と同様に、一の面の振動が、他の面に比較的伝わりにくくすることができる。具体的には、外枠120が手のひらサイズのスケールの場合には、1次の固有振動数をスマートフォンのバイブレータで使用されている数百Hz程度としてもよい。なお、この場合、図3乃至図6に示した例のように、各面の間に隙間が形成されていれば、比較的固有振動をさせやすくなる。一方、各面の間に隙間が形成されていない場合であっても、一定程度の固有振動をさせることは可能である。各面の間に隙間が形成されていない場合は、内箱110や支持部材111等が不要となるため、比較的製造が容易になる。
【0052】
<情報処理装置の機能構成>
次に、図7を参照し、実施形態に係る情報処理装置20の機能構成について説明する。図7は、実施形態に係る情報処理装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0053】
≪触覚提供装置≫
情報処理装置20は、生成部21、取得部22、制御部23、及び通信部24を有する。
【0054】
生成部21は、各触覚提供装置10を組み立てるためのデータを生成する。
【0055】
取得部22は、触覚提供装置10から、触覚提供装置10の有する接触センサ102や加速度センサ103等の各種センサで取得された状態を示すデータを取得する。
【0056】
制御部23は、生成部21により生成されたデータ、及び取得部22により取得されたデータに基づいて、各触覚提供装置10を制御する。
【0057】
通信部24は、触覚提供装置10との各種の通信を行う。
【0058】
<処理>
次に、図8を参照し、触覚提供システム1の処理について説明する。図8は、触覚提供システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0059】
ステップS1において、情報処理装置20の生成部21は、組み立て対象の3次元形状を判定する。ここで、情報処理装置20の生成部21は、組み立てる3次元形状の輪郭を示す座標データを取得する。当該座標データは、例えば、複数のカメラの位置(視点)から撮影された画像データに基づいて、情報処理装置20により抽出されてもよい。または、ユーザの操作に応じて、CAD(Computer-Aided Design)等のツールを用いて作成されてもよい
続いて、ステップS2において、情報処理装置20の取得部22は、各触覚提供装置10のID、外形(形状)、及び大きさを取得する。ここで、情報処理装置20は、例えば、近距離無線通信により所定の範囲内に存在する各触覚提供装置10と接続し、各触覚提供装置10から、各触覚提供装置の識別情報(ID)、及び3次元形状を示すデータを取得する。なお、触覚提供装置10のIDとして、例えば、触覚提供装置10のMACアドレス等の通信用のアドレスを用いてもよい。触覚提供装置10の3次元形状を示すデータは、例えば、3次元形状の輪郭を示す座標データでもよいし、3次元形状及び大きさを示す識別情報でもよい。
【0060】
続いて、ステップS3において、情報処理装置20の生成部21は、ステップS1で判定した組み立て対象の3次元形状、ステップS2で取得した各触覚提供装置10の形状、及び大きさに基づいて、各触覚提供装置10を用いて組み立てる3次元形状を判定する。ここで、情報処理装置20は、例えば、各触覚提供装置10の外形が、同じ大きさの正六面体の形状である場合、3次元空間を8つの空間に再帰的に分割する、いわゆる八分木(Octree)と称される手法を用いて、各触覚提供装置10を用いて組み立てる3次元形状を判定してもよい。
【0061】
また、各触覚提供装置10の外形や大きさが同一でない場合、例えば、以下のような手順により、各触覚提供装置10を用いて組み立てる3次元形状を判定してもよい。まず、情報処理装置20の生成部21は、ステップS1で判定した3次元形状を、各辺が所定の長さである正六面体を組み合わせた3次元形状で近似する。そして、情報処理装置20の生成部21は、ステップS2において識別した各触覚提供装置10のうち、大きさが大きい順に、上記の近似された3次元形状の内部空間に配置する。
【0062】
続いて、ステップS4において、情報処理装置20の生成部21は、ステップS3で判定した、各触覚提供装置10を用いて組み立てる3次元形状に基づいて、各触覚提供装置10の組み立て順、結合させる面、及び結合させる向き(姿勢)を判定する。ここで、情報処理装置20は、例えば、組み立てる3次元形状において下部に配置される触覚提供装置10から順に組み立てるように、各触覚提供装置10の組み立て順を判定する。これにより、各触覚提供装置10を組み立てるためのデータが生成される。
【0063】
続いて、ステップS5-1、5-2において、情報処理装置20の制御部23は、全ての面を振動させる要求を、ステップS4で判定した組み立て順における最初の触覚提供装置10-1と、次の触覚提供装置10-2に送信する。
【0064】
続いて、ステップS6-1、6-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の制御回路108は、全ての面の振動子101を振動させる。
【0065】
続いて、ステップS7-1、7-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2は、加速度センサ103からの出力が所定の閾値以上の変化したことを検出すると、加速度センサ103により検出された加速度データを情報処理装置20に送信する。
【0066】
続いて、ステップS8において、情報処理装置20の制御部23は、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の各々から受信した加速度データにより、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の各々がユーザにより持ち上げられたことを検知する。
【0067】
続いて、ステップS9-1、9-2において、情報処理装置20の制御部23は、ステップS4で判定した結合させる面に基づいて、触覚提供装置10-1と、触覚提供装置10-2との各面のうち、結合させる面を振動させる要求を、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2に送信する。
【0068】
続いて、ステップS10-1、10-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の制御回路108は、情報処理装置20から要求された、結合させる一つの面の振動子101のみを振動させる。なお、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の制御回路108は、情報処理装置20から振動の停止を要求されるまで、当該振動子101の振動を継続させてもよい。
【0069】
続いて、ステップS11-1、11-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の制御回路108は、当該結合させる面にて、他の物体と接触したこと(結合したこと)を接触センサ102により検出する。
【0070】
続いて、ステップS12-1、12-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の制御回路108は、当該結合させる面にて他の物体と接触したことの通知と、加速度センサ103により検出された加速度データとを通信I/F106により情報処理装置20に送信する。
【0071】
続いて、ステップS13において、情報処理装置20の制御部23は、受信した加速度データにより、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の姿勢を検知する。
【0072】
続いて、ステップS14において、情報処理装置20の制御部23は、全ての面を振動させる要求を、ステップS4で判定した組み立て順における次の組み立て対象である触覚提供装置10-3に送信する。
【0073】
続いて、ステップS15において、触覚提供装置10-3の制御回路108は、全部の面の振動子101を振動させる。
【0074】
続いて、ステップS16において、触覚提供装置10-3の制御回路108は、加速度センサ103からの出力が所定の閾値以上の変化したことを検出すると、加速度センサ103により検出された加速度データを通信I/F106により情報処理装置20に送信する。
【0075】
続いて、ステップS17において、情報処理装置20の制御部23は、触覚提供装置10-3から受信した加速度データにより、ユーザにより持ち上げられたことを検知する。
【0076】
続いて、ステップS18において、情報処理装置20の制御部23は、ステップS4で判定した結合させる面に基づいて、結合させる面を振動させる要求を、既に結合されている触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の少なくとも一方と、触覚提供装置10-3とに送信する。
【0077】
続いて、ステップS19-1、19-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の少なくとも一方と、触覚提供装置10-3は、情報処理装置20から要求された、結合させる一つの面の振動子101のみを振動させる。
【0078】
続いて、ステップS20-1、20-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の少なくとも一方と、触覚提供装置10-3の制御回路108は、当該結合させる面にて、他の物体と接触したことを接触センサ102により検出する。
【0079】
続いて、ステップS21-1、21-2において、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の少なくとも一方と、触覚提供装置10-3の制御回路108は、加速度センサ103により検出された加速度データを情報処理装置20に送信する。
【0080】
続いて、ステップS22において、情報処理装置20の制御部23は、受信した加速度データにより、触覚提供装置10-1、及び触覚提供装置10-2の少なくとも一方と、触覚提供装置10-3の姿勢を検知する。
【0081】
以降、情報処理装置20の制御部23は、ステップS4で判定した組み立て順における次の組み立て対象である触覚提供装置10-4、・・・に、ステップS14乃至ステップS18の処理を繰り返し、全ての触覚提供装置10の結合が終了すると、処理を終了する。
【0082】
≪組み立ての際の制御処理≫
次に、図9を参照し、図8のステップS5-1、5-2乃至ステップS22における、情報処理装置20の制御部23が、各触覚提供装置10をユーザに組み立てさせる際の処理について、より詳細に説明する。
【0083】
図9は、組み立ての際の制御部による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
ステップS101において、制御部23は、ステップS4で判定した組み立て順における最初の触覚提供装置10と、次の触覚提供装置10とを制御対象として選択する。
【0085】
続いて、ステップS102において、制御部23は、ユーザへの報知要求を、制御対象として選択した複数の触覚提供装置10(以下で、「制御対象の各触覚提供装置10」と称する。)に送信する。ここで、例えば、触覚提供装置10が有する、複数の振動子101を振動させる要求、発光装置104を発光させる要求、スピーカ105から所定の音を出力させる要求を送信する。
【0086】
続いて、ステップS103において、制御部23は、制御対象の各触覚提供装置10から、加速度データを受信する。ここで、例えば、複数のタイミングにおける加速度データを受信してもよいし、所定期間における加速度の変化を示すデータを受信してもよい。
【0087】
続いて、ステップS104において、制御部23は、制御対象の各触覚提供装置10が持ち上げられたことを検知する。ここで、受信した加速度データの変化が所定の閾値以上の場合、制御対象の各触覚提供装置10が持ち上げられたと判定する。
【0088】
続いて、ステップS105において、制御部23は、ステップS4で判定した結合させる面に基づいて、結合させる面を振動させる要求を、制御対象の各触覚提供装置10に送信する。ここで、例えば、触覚提供装置10が有する、当該結合させる面の振動子101を振動させる要求を送信する。
【0089】
続いて、ステップS106において、制御部23は、結合が検知された面の識別情報と、加速度データとを、制御対象の各触覚提供装置10から受信する。
【0090】
続いて、ステップS107において、制御部23は、結合を検知した面と、振動させた結合させる面が一致するか否かを判定する。
【0091】
ステップS108において、制御部23は、面が一致しない場合(ステップS107:NO)、ユーザへの報知要求を、制御対象の各触覚提供装置10に送信し、一定時間経過後、ユーザへの報知の停止要求を、制御対象の各触覚提供装置10に送信し、ステップS105の処理に進む。ここで、例えば、触覚提供装置10が有する、複数の振動子101を振動させる要求、発光装置104を発光させる要求、スピーカ105から所定の音を出力させる要求を送信する。これにより、間違った面で結合したことをユーザに報知することができる。
【0092】
一方、ステップS109において、制御部23は、面が一致した場合(ステップS107:YES)、受信した加速度データに基づき、制御対象の各触覚提供装置10の姿勢を判定する。
【0093】
続いて、ステップS110において、制御部23は、制御対象の各触覚提供装置10の姿勢に基づき、制御対象の各触覚提供装置10がユーザに結合された向きが、ステップS4で判定した結合させる向きと一致する(結合された向きが正しい)か否かを判定する。
【0094】
続いて、制御部23は、向きが一致しない場合(ステップS110:NO)、ステップS108の処理に進む。
【0095】
続いて、ステップS111において、制御部23は、向きが合致した場合(ステップS110:YES)、当該結合させる面の振動を停止させる要求を、制御対象の各触覚提供装置10に送信する。ここで、例えば、触覚提供装置10が有する、当該結合させる面の振動子101の振動を停止させる要求を送信する。
【0096】
続いて、ステップS112において、制御部23は、ステップS4で判定した組み立て順において、次に組み立てる触覚提供装置10が存在するか否かを判定する。
【0097】
ステップS113において、制御部23は、次に組み立てる触覚提供装置10が存在する場合(ステップS112:YES)、ユーザへの報知要求を、当該次に組み立てる触覚提供装置10に送信する。
【0098】
続いて、ステップS114において、制御部23は、加速度データを、当該次に組み立てる触覚提供装置10から受信する。
【0099】
続いて、ステップS115において、制御部23は、当該次に組み立てる触覚提供装置10が持ち上げられたことを検知する。ここで、受信した加速度データの変化が所定の閾値以上の場合、当該次に組み立てる触覚提供装置10が持ち上げられたと判定する。
【0100】
続いて、ステップS116において、制御部23は、ステップS4で判定した結合させる面に基づいて、既に組み立てられている複数の触覚提供装置10のうち、当該次に組み立てる触覚提供装置10と結合する触覚提供装置10を選択する。
【0101】
続いて、ステップS117において、制御部23は、当該次に組み立てる触覚提供装置10と、当該選択した触覚提供装置10とを、制御対象として選択し、ステップS105の処理に進む。
【0102】
一方、制御部23は、次に組み立てる触覚提供装置10が存在する場合(ステップS112:NO)、全ての触覚提供装置10の結合が完了したため、処理を終了する。
【0103】
≪組み立ての際の制御処理の変形例≫
次に組み立てる触覚提供装置10が正多面体である場合は、どのような向きに結合させても同じ形状となるため、制御部23は、ステップS108の結合させる向きが正しいかの処理は省略してもよい。この場合、制御部23は、ステップS105において、制御対象の各触覚提供装置10がユーザに結合された向きと、ステップS3で判定した各触覚提供装置10を用いて組み立てる3次元形状に基づいて、次に組み立てる触覚提供装置10を結合させる面を判定すればよい。例えば、3以上の各触覚提供装置10が結合された際、どのような姿勢で各触覚提供装置10が結合されているか判定することにより、当該結合されている3以上の各触覚提供装置10におけるどの面に、次に組み立てる触覚提供装置10を結合させるかを判定すればよい。
【0104】
<変形例1>
上述した触覚提供システム1は、各触覚提供装置10を組み立てるのみに限らず、例えば、以下のような処理を行うようにしてもよい。
【0105】
例えば、各触覚提供装置10を組み立て、剣や銃等の形状とし、各触覚提供装置10ユーザが振り回す等の操作をした際の加速度データを、情報処理装置20に送信する。これにより、例えば、触覚提供装置10を、バーチャルリアリティ(VR、Virtual Reality)ゲーム用のコントローラとして利用することができる。また、図5、または図6のような形態の際に、各面の振動子に加え、内箱に各面の振動とは別の振動が可能な振動子(例えば、(株)アルプス電気のハプティック(登録商標)リアクタ等)を有する構成にすると、各面の振動情報とは別の振動情報を外枠により提示させることが可能となり、剣が物に当たる感触や銃を撃った感触など、コンテンツに合った多様な触覚情報の提示が可能である。
【0106】
また、ユーザに、触覚提供装置10の所定の面の振動に応じて、当該所定の面、または当該所定の面以外の面に、他の触覚提供装置10を結合する、または触覚提供装置10を所定の方向に回転させる。そして、その際の加速度や結合された面のデータを情報処理装置20に送信することにより、テレビ等の機器のリモコンとして利用することができる。
【0107】
また、スマートフォン等である情報処理装置20が、GPS(Global Positioning System)により取得した現在位置情報に応じて、触覚提供装置10の所定の面を振動させる。例えば、ユーザがエレベータやエスカレータに乗る際、鉛直下向きの面のみを振動させることにより、下に進むことの道案内をすることができる。
【0108】
<変形例2>
上述した触覚提供システム1は、各触覚提供装置10を組み立てるのみならず、例えば、1以上の触覚提供装置10を用いて、映像情報の変化や動きを、触覚を介して直感的にユーザに伝えられるようにしてもよい。この場合、例えば、各種のスポーツ競技の球の方向や技の種類などの情報を伝えるようにしてもよい。
【0109】
例えば、卓球やテニスのテレビ放送に同期させて、激しい打ち合いが続いている、どちらの選手のスマッシュが決まったか等を振動により伝えてもよい。
【0110】
また、例えば、野球のテレビ放送に同期させて、投球のコースが内角高め、時速が150km/h等の投球のコースや球威等の情報、及びライトフライ、サードゴロ、ピッチャーライナー等の打球の方向や弾道等の情報を、振動により伝えてもよい。この場合、例えば、投球が右バッターに対する内角高めであれば、触覚提供装置10の鉛直上向きの面、及び右側の面を振動させてもよい。また、打球がフライであれば、触覚提供装置10の鉛直上向きの面を振動させてもよい。これにより、情報を手軽にかつ少ない学習で済むレベルで直感的に伝えることができる。
【0111】
<情報処理装置のハードウェア構成>
上述した情報処理装置20の各部は、情報処理装置20にインストールした1以上のプログラムが、情報処理装置20のCPUに実行させることより実現することができる。
【0112】
情報処理装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像、データを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインターフェースを備えたコンピュータによって構成することができる。
【0113】
したがって、情報処理装置20が有する各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0114】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ、タブレット端末等にそのプログラムをインストールすることにより、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働して本実施形態における制御処理等を実現することができる。
【0115】
<まとめ>
上述した実施形態によれば、第1の面を振動させる振動子の振動により当該第1の面が振動した際に、当該第1の面の振動が他の面に伝わりにくいように、当該第1の面と当該他の面が分離されている触覚提供装置が提供される。これにより、触覚による各種の体験を提供できる。
【0116】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。また、上述した各実施例の一部又は全部を組み合わせることも可能である。
【0117】
例えば、情報処理装置20の各機能部は、例えば複数のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【0118】
また、一の触覚提供装置10と、情報処理装置20とを一体に構成してもよい。この場合、例えば、当該一の触覚提供装置10の制御回路108にて、情報処理装置20の各機能を実現してもよい。または、例えば、触覚提供装置10を、スマートフォン等である情報処理装置20の筐体とし、情報処理装置20のCPUにより、触覚提供装置10の制御回路108を実現してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 触覚提供システム
10 触覚提供装置
101 振動子
102 接触センサ
103 加速度センサ
104 発光装置
105 スピーカ
106 通信I/F
107 電源
108 制御回路
110 内箱
111 支持部材
120 外枠
130 面部材
20 情報処理装置
21 生成部
22 取得部
23 制御部
24 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9