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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】チャンバ部品のための腐食制御
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20220106BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C23C26/00 A
H01L21/68 N
C23C26/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017558503
(86)(22)【出願日】2016-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2016026156
(87)【国際公開番号】W WO2016178777
(87)【国際公開日】2016-11-10
【審査請求日】2019-04-08
(31)【優先権主張番号】2324/CHE/2015
(32)【優先日】2015-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】5174/CHE/2015
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ラジ ゴヴィンダ
(72)【発明者】
【氏名】クマール ハニシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リン
(72)【発明者】
【氏名】ウー スタンリー
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-214370(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1038541(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/00-21/98
C23C 2/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部取付けフランジと、
底部取付けフランジと、
前記取付けフランジを結合する管状のアコーディオン構造と、
少なくとも前記管状のアコーディオン構造の外側処理表面上に配置される結合層であって、クロム又はチタンの少なくとも1つである結合層と、
前記結合層上に配置されたコーティングであって、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ダイヤモンド類似カーボン、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、ニッケルまたはアルミニウムケイ素マグネシウムイットリウム酸素化合物のうちの少なくとも1つから構成された、コーティングと、
を備える、ベローズ。
【請求項2】
前記管状のアコーディオン構造がステンレス鋼またはニッケル-クロム合金のうちの少なくとも1つから製造されている、請求項1に記載のベローズ。
【請求項3】
前記コーティングがダイヤモンド類似カーボン材料を備え、0.5μm~5μmの厚さを有し、
前記結合層は、クロム又はチタンである請求項1に記載のベローズ。
【請求項4】
前記結合層及び前記コーティングのそれぞれが0.25μm~3μmの厚さを有する、請求項1に記載のベローズ。
【請求項5】
前記管状のアコーディオン構造が少なくとも17.78mm~73.66mmの内側直径、および30.48mm~91.44mmの軸方向移動範囲を有する、請求項1に記載のベローズ。
【請求項6】
バルブシートを有するハウジング及び内部作業容積と、
前記ハウジングに結合されたアクチュエータと、
前記ハウジングの前記内部作業容積内へ延在するステムであって、前記アクチュエータに結合された、ステムと、
前記ハウジングの前記内部作業容積内の前記ステムに結合されたバルブプラグであって、前記アクチュエータによって前記バルブシートに接する位置と前記バルブシートから離間する位置との間で移動可能な、バルブプラグと、
前記ステムを取り囲み、前記ステムを前記ハウジングの前記内部作業容積から分離するベローズであって、前記ハウジングの前記内部作業容積に露出されたコーティングを有する、ベローズと、
前記コーティングと前記ベローズの間に配置された結合層と
を備え、前記結合層は、クロム又はチタンの少なくとも1つである、バルブアセンブリ。
【請求項7】
前記コーティングがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ダイヤモンド類似カーボン、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、ニッケルまたはアルミニウムケイ素マグネシウムイットリウム酸素化合物のうちの少なくとも1つから構成されている、請求項6に記載のバルブアセンブリ。
【請求項8】
前記ベローズがステンレス鋼またはニッケル-クロム合金のうちの少なくとも1つから製造されている、請求項6に記載のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記コーティングが、
0.5μm~5μmの厚さを有するダイヤモンド類似カーボン材料、
を含む、請求項6に記載のバルブアセンブリ。
【請求項10】
前記内部作業容積に露出された前記ベローズ上の前記コーティングは、ニッケルから構成された金属、
を含む、請求項6に記載のバルブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施態様は、概して半導体の製造、より詳細には真空処理装置を腐食から保護するためのチャンバ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造中に、基板は、最終用途に適した材料層および特徴を形成する目的で様々な処理チャンバ内で多くの操作を受けることがある。例えば、基板は、他の操作中に、いくつかの堆積、アニーリング、およびエッチング操作を受けることがある。処理チャンバは、他の化合物の中でもとりわけ、アルミニウム含有化合物、鋼含有化合物、ニッケル含有化合物から形成された様々な部品から形成されている。これらの化合物は、他の材料の中でもとりわけ、クロム、チタン、およびモリブデンをさらに含有することがある。
デバイスの小型化により、基板の膜層に形成されるデバイスパターンの小さな寸法が一層厳しくなっている。基板における限界寸法の実現は、良好な品質の、基板の下地膜層への良好な接着性を有する膜層から始まる。良好な品質の膜を実現するために、処理装置は、処理チャンバの環境汚染物質が、処理される基板に対して影響を及ぼすのを、または処理される基板上で形成するのを最小限に抑える。
プラズマを形成するときのプロセスガスの完全な解離は、基板に堆積させる膜の品質を向上させる。高温を使用することによって、プロセスガスのより完全な解離が行われ、基板への高品質膜の強い接着ももたらされる。しかしながら、処理チャンバの連続動作中に、チャンバ内の腐食性薬剤がチャンバ部品を侵し、プロセスチャンバの内部容積内のクロム、チタン、およびモリブデンの濃度を増加させる残留粒子を生成する。時間が経つにつれ、処理チャンバの内部容積内の残留粒子の濃度は、上昇する傾向がある。堆積環境中の浮遊物質は、最終的に、基板上に堆積させた膜に侵入し、望ましくないことには、プロセス汚染およびプロセススキューの一因となることがある。プロセス汚染およびプロセススキューを防止するために、処理チャンバ環境は、監視および定期的な洗浄を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、チャンバ部品を腐食から保護する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載される実施態様は、高温で使用される腐食性の洗浄ガスからチャンバ部品を保護する。一実施形態において、管状のアコーディオン構造によって底部取付けフランジに結合された上部取付けフランジを含む、ベローズの形態のチャンバ部品が提供される。コーティングが少なくとも管状のアコーディオン構造の外側表面に配置されている。コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン(登録商標)C、パリレン(登録商標)D、ダイヤモンド類似カーボン、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ、またはアルミニウムケイ素マグネシウムイットリウム酸素化合物のうちの少なくとも1つを含む。
別の例では、バルブシートを有するハウジングと、ハウジングに結合されたアクチュエータと、ハウジングの内部作業容積内へ延在するステムと、ステムを取り囲むベローズと、を含むバルブアセンブリが提供される。ステムは、アクチュエータに結合されている。ベローズは、ステムをハウジングの内部作業容積から分離する。ベローズは、ハウジングの内部作業容積に露出されたコーティングを有する。
さらに別の例では、少なくとも約0.75インチの直径を有する円筒形内側壁を有する管状体を含む、シールドの形態のチャンバ部品が提供される。管状体は、上部端および底部端を有する。上部端の円筒形内側壁は、処理チャンバの基板支持体に係合するように構成された第1の係合特徴を有する。
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示される実施態様を参照することによって、上で要約された本発明のより具体的な記載を行うことができる。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施態様のみを示し、したがって、その範囲を限定すると考えられるべきではなく、その理由は、本発明が他の等しく効果的な実施態様を受け入れることができるためであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】プラズマ処理チャンバの断面の概略側面図である。
図2】腐食保護コーティングがなされたベローズを有するプラズマ処理チャンバ内の基板支持アセンブリの側面図である。
図3】腐食保護のための可撓性シールドを有するプラズマ処理チャンバ内の基板支持アセンブリの別の側面図である。
図4】腐食保護のための熱バリアを有するプラズマ処理チャンバ内の基板支持アセンブリの別の側面図である。
図5】ベローズを洗浄し、ベローズに保護コーティングを施すために使用されるベローズ保持装置の側面図である。
図6】腐食保護を有するバルブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
理解を容易にするために、可能な場合は、同一の符号を使用し、各図に共通の同一の要素を指定する。一実施態様において開示された要素は、特に詳説することなく他の実施態様において有益に使用されてもよいことが想定されている。
耐食性のあるチャンバ部品が開示される。一実施形態において、基板支持体のベローズは、高温で腐食性ガスから基板支持体表面を保護するのに適したコーティングが設けられている。コーティングは、基板支持体のベローズを保護し、処理ガスおよび/または洗浄ガスによるチャンバ部品に対する腐食から生じるチャンバ環境内の望ましくない副生成物の形成を著しく軽減する少なくとも1つのプラズマ溶射コーティング、3D印刷、カバープレート、または他のコーティングの形態であってもよい。他の実施形態では、腐食から他のチャンバ部品を保護するためにシールドが用いられる。
【0007】
図1は、チャンバ本体102内部での処理中に基板を支持するための基板支持アセンブリ144を有する例示的な処理チャンバ100の断面の概略図である。基板支持アセンブリ144は、一般にシャフト136に結合された基板支持体120を含む。基板支持アセンブリ144は、上昇位置と下降位置との間で垂直に移動可能であってもよい。ベローズ186は、チャンバ本体102の内側に配置され、基板支持アセンブリ144とチャンバ本体102との間に結合されている。ベローズ186は、基板支持アセンブリ144をチャンバ本体102内部で垂直に移動させると同時に、処理チャンバ100内への漏れを防止するための真空シールを提供することができる。基板支持体120のシャフト136は、ベローズ186内部に配置され、したがってチャンバ本体102の内部から分離され、これによって処理中にシャフト136を腐食から保護する。一実施態様において、処理チャンバ100は、堆積チャンバとして構成されている。図1に示す処理チャンバ100内に示されているが、基板支持体120は、他の処理チャンバ、例えば、腐食性処理ガスおよび/または洗浄ガスを受ける他の処理チャンバの中でもとりわけ、プラズマ処理チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、エッチングチャンバ、化学気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバで利用されてもよい。
【0008】
処理チャンバ100は、接地されたチャンバ本体102を含む。チャンバ本体102は、内部チャンバ容積128を囲む壁103、底部106、およびリッド108を含む。チャンバ本体102は、グラウンド126に結合されている。処理チャンバ100の壁103を保護するために、保護ライナー164が内部チャンバ容積128に配置されている。保護ライナー164および壁103は、基板(図示せず)を内部チャンバ容積128の内外にロボット制御で移送することができる開口部118を有する。
【0009】
ポンピングポート178は、チャンバ本体102の壁103の1つまたは底部106に形成されている。ポンピングポート178は、内部チャンバ容積128をポンプバルブアセンブリ170Aに流動可能に接続する。ポンプバルブアセンブリ170Aは、ポンピングシステム(図示せず)に接続されている。ポンピングシステムは、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128内部の真空環境を維持すると同時に、内部チャンバ容積128から処理副生成物および腐食性ガスを除去するために利用される。ポンピングシステムおよびチャンバ熱設計によって、熱バジェット要求に適した温度、例えば、摂氏約-25度~摂氏約+500度で高いベース真空(約1×E-8Torr以下)および低い上昇率(約1,000mTorr/分)が可能になる。ポンピング装置によって、10~30mTの真空圧が可能になる。
【0010】
ポンプバルブアセンブリ170Aは、ポンピングポート178を通るポンピングシステムへの流体流を制御するように構成されてもよい。例えば、処理チャンバ100が動作しているとき、ポンプバルブアセンブリ170Aは、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128をポンピングシステムによってポンピングポート178を通して排気することができるように、開状態にあってもよい。処理チャンバ100を点検のためにアイドリングさせる、または通気するとき、ポンプバルブアセンブリ170Aは、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128をポンピングシステムから分離するために、閉状態にあってもよい。一実施形態において、ポンプバルブアセンブリ170Aは、ポンピングポート178を通って内部チャンバ容積128を出る腐食性ガスによる損傷からポンプバルブアセンブリ170Aを保護するために腐食保護を有する。
【0011】
ガス源160は、ガスバルブアセンブリ170Bを通して処理チャンバ100に結合されている。ガス源160は、ガスバルブアセンブリ170Bを通して、およびチャンバ本体105またはリッド108を貫いて形成された入口161を通して内部チャンバ容積128内へプロセスガスを供給する。ガスバルブアセンブリ170Bは、入口161を通る内部チャンバ容積128内への流体流を制御するように構成されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、プロセスガスは、フッ素ガスおよび/または塩素(Cl)ガスなどの、ハロゲン含有ガスを含んでもよい。あるいは、プロセスガスは、堆積ガス、例えば、炭素(C)、ケイ素(Si)、酸素(O)、窒素(N)、それらの組合せ、または他の適切なガスを含むガスなどを含んでもよい。また、ガス源160は、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128に存在する、または露出された部品を洗浄するために利用される洗浄ガスを供給する。ガス源160によって供給することができる洗浄ガスの例には、フッ素ガス、フッ素含有ガス、塩素ガス、および/または塩素含有ガスなどの、ハロゲン含有ガスが含まれる。
【0012】
ポンプバルブアセンブリ170Bは、入口161を通る処理チャンバ100の内部チャンバ容積128内への流体流のガス源160を制御するように構成されてもよい。例えば、処理チャンバ100が動作しているとき、ポンプバルブアセンブリ170Bは、ガス源160からのプロセスガスを、入口161を通して処理チャンバ100の内部チャンバ容積128内へ供給することができるように、開状態にあってもよい。処理チャンバ100を点検のためにアイドリングさせる、または通気するとき、ポンプバルブアセンブリ170Bは、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128をガス源160から分離するために、閉状態にあってもよい。一実施形態において、ポンプバルブアセンブリ170Bは、入口161を通って内部チャンバ容積128に流入するガスによる損傷からポンプバルブアセンブリ170Bを保護するために腐食保護を有する。
【0013】
ポンプバルブアセンブリ170Aおよびガスバルブアセンブリ170Bは、両方とも腐食性薬剤にさらされることがあり、腐食性薬剤による損傷を軽減するための制御装置を有してもよい。ポンプバルブアセンブリ170Aおよびガスバルブアセンブリ170Bは、機構または動作において類似していてもよく、侵食制御から同様に恩恵を受け得る。図6に示すバルブアセンブリ170は、ポンプバルブアセンブリ170Aおよびガスバルブアセンブリ170Bの両方に共通であってもよい。バルブアセンブリ170の腐食制御については、図6に関して以下で論じる。
シャワーヘッド184は、処理チャンバ100のリッド108に結合されてもよい。シャワーヘッド184は、入口161を通って内部チャンバ容積128に入るプロセスガスを分配するための複数のガス送出孔158を有する。シャワーヘッド184は、整合回路141を通してRF電源142に接続されてもよい。RF電源142によってシャワーヘッド184に供給されるRF電力は、内部チャンバ容積128内部でシャワーヘッド184と基板支持アセンブリ144との間のプラズマを維持するためにシャワーヘッド184を出るプロセスガスを活性化する。
【0014】
基板支持アセンブリ144は、内部チャンバ容積128内に配置されている。基板支持アセンブリ144は、シャフト136に結合された基板支持体120を含む。基板支持体120は、処理中に基板を支持する。基板支持体120は、誘電体本体154を備えてもよい。誘電体本体154は、ステンレス鋼またはニッケルクロム合金、INCONEL(登録商標)625から形成されてもよい。誘電体本体154は、セラミック材料、アルミニウム窒化物、イットリアアルミナガーネット、またはクロム、モリブデン、チタン、もしくは他の金属を有する他の適切な合金から形成されてもよい。誘電体本体154は、任意選択で、誘電体材料で被覆されたアルミ芯材を有してもよい。
カソード電極122は、基板支持体120の誘電体本体154内部に埋め込まれる。カソード電極は、集積化された整合回路137を通してRF電源138に接続されている。カソード電極122は、基板支持体120上に配置された基板の下からプラズマに電力を容量結合させる。一実施形態において、RF電源138は、約200ワット~約1000ワットのRF電力をカソード電極122に供給する。また、RF電源138は、基板をチャックするまたはチャック解除するために、カソード電極122に直流電流を流すことによってカソード電極122の動作を制御するためのシステムコントローラ(図示せず)に結合されてもよい。
【0015】
基板支持体120は、誘電体本体154に埋め込まれた1つまたは複数の抵抗加熱器124を含んでもよい。抵抗加熱器124は、RFフィルタ148を通してヒータ電源174に結合されている。抵抗加熱器124は、基板支持体120および基板支持体120上に配置された基板の温度を、基板処理を行うための温度まで上昇させるために設けられることがある。
基板支持アセンブリ144のシャフト136は、基板支持体120の本体154に結合された上部端146を含む。シャフト136は、処理チャンバ100の底部106のフランジ188を貫いて配置されてもよい。シャフト136は、クロム、チタン、モリブデン、または他の金属を含有する合金から形成されてもよい。一実施形態において、シャフト136は、ステンレス鋼から形成されている。別の実施形態では、シャフト136は、INCONEL(登録商標)625から形成されている。
【0016】
断熱材182は、シャフト136の底部部分147に、またはその周囲に結合されている。断熱材182は、基板支持体120からの熱がシャフト136を通して処理チャンバ100の外側の部品にまで伝わるのを防止するために冷却チャネル134を有してもよい。加えて、フランジ188は、熱が処理チャンバ100の外側に伝わるのを防止するために熱伝導性材料が埋め込まれていてもよい。基板支持体120を外部環境から熱絶縁することによって、基板支持アセンブリ144のよりよい温度制御を行うことができる。抵抗加熱器124およびカソード電極122へ導体を配線するために、および基板が支持されている基板支持体120の上部へ裏側ガスを送るために、断熱材182を貫いて通路が形成されてもよい。
【0017】
基板支持アセンブリ144は、チャンバ本体102に移動可能に結合されてもよい。基板支持アセンブリ144は、(処理のためにシャワーヘッド184により近接した)上方位置と(基板の移送を容易にするために開口部118と整列したまたは開口部118よりも下の)下方位置との間で移動可能であってもよい。ベローズ186は、基板支持体120とチャンバ本体102との間で可撓性シールを提供することができる。ベローズ186は、本体196を有してもよい。本体196は、円筒形状の管状のアコーディオン構造を有してもよい。本体196は、外側表面198を有する。外側表面198は、内部チャンバ容積128に露出されてもよい。本体196の上部192は、基板支持体120の下側にコンタクトしてもよい。本体196の底部194は、チャンバ本体102にコンタクトしてもよい。上部192および底部194は、真空シールを形成することができ、プロセスガスが内部チャンバ容積128からチャンバ本体102の外部に漏れるのを防止する。ベローズ186は、内部チャンバ容積128内の腐食性プラズマおよび/または熱からシャフト136などのチャンバ部品をシールドすることができる。また、ベローズ186は、断熱材182、フランジ188、または基板支持アセンブリ144の他の一部分をチャンバ環境から保護することができる。ベローズ186の本体196は、ステンレス鋼などのチタン、モリブデンおよび/またはクロム、ニッケル-クロム合金、例えば、インコネル625、あるいは他の適切な材料を含有する材料から形成されてもよい。一実施形態では、ベローズ186は、ステンレス鋼から形成されている。別の実施形態では、ベローズ186は、インコネル625などの、モリブデンおよびニオブを含有するニッケル-クロム合金から形成されている。
【0018】
1つまたは複数のチャンバ部品は、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128内部の腐食環境から部品を保護するために利用されるコーティング180を有する。例えば、コーティング180は、基板支持体120上に配置されてもよい。コーティング180は、多層であって、基板支持体120の外面上に直接配置された薄膜、めっき、溶射コーティング、または他の材料コーティングの形態であってもよい。コーティング180は、さらにまたはあるいは、ベローズ186の外側表面198などの他のチャンバ部品上に形成されていてもよい。コーティング180は、モノリシックで、共形に堆積させることができる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン(登録商標)C、パリレン(登録商標)D、ダイヤモンド類似カーボン、またはイットリア安定化ジルコニアもしくはアルミナなどのセラミックの選択的コーティング、アルミニウムケイ素マグネシウムイットリウム酸素化合物、あるいは処理チャンバ100内の腐食性ガスから基板支持アセンブリ144を保護するのに適した他の材料を含むことができる。あるいは、コーティング180は、複数の層を有してもよい。コーティング180の複数の層は、前述の適切なコーティング材料のうちの1つまたは複数から形成されてもよい。例えば、複数の層は、結合層および保護層などの2つ以上の層を含むことができる。結合層は、チャンバ部品への接着を促進するのに適している場合があり、一方、保護層は、他のチャンバハザードの中でもとりわけ腐食性チャンバ環境または高温から前記チャンバ部品を絶縁することができる。結合層は、チャンバ部品と保護層との間の熱膨張係数のミスマッチを低減させ、接着性を改善する。熱膨張係数のミスマッチは、下にあるチャンバ部品と結合層との間でより低く、したがって、結合層は、下にあるチャンバ部品への良好な接着を促進する。結合層によって、チャンバの内部に露出される保護層として、チャンバ部品上に保護層を形成することが可能になる。保護層は、チャンバ部品を保護するための良好な機械的性質および耐食性を有するように構成される。
【0019】
最大10μmの厚さのNiコーティングが、良好な機械的および化学的性質を有する結合層として施されてもよい。例えば、DLC保護層は、Ni、Cr、Ti、NiCrAl、CrNiCoAl、MoCrNiAl、または他の適切な合金を有する結合層を有することができる。一実施形態において、結合層はxCrAlまたはxTiの合金材料であり、ここでxは、DLC保護コーティングのためのコバルト、ニッケル、またはコバルトとニッケルの組合せである。DLC保護コーティング層は、結合層に比例する厚さを有してもよい。DLC層の厚さ対結合層の厚さは、約1/3:2/3の範囲または50:50であってもよい。例えば、DLC層の厚さは、約5μm未満、例えば、約2μm~約3μmであってもよい。そのような例では、Ni結合層は、約12μm未満の厚さを有してもよい。多層は、改善された機械的性質、改善された摩耗特性、および良好な接着性を有する。加えて、層は、摩耗インジケータとして使用されてもよい。層は、分光計、光度計、または他の器具を用いて測定され、層をいつ洗浄し交換する必要があるかを検出することができる。
【0020】
コーティング180は、チャンバ部品に、プラズマ溶射、浸漬、静電粉末コーティングによって施されても、または別の適切な方法で施されてもよい。あるいは、コーティング180は、チャンバ部品を3D印刷する間に堆積させることができる。例えば、チャンバ部品は、最終層がコーティング180となる直接金属レーザ焼結のプロセスを使用して、完全に印刷されてもよい。コーティング180は、約0.5μm~約50μm、例えば、約8μmの厚さを有してもよい。コーティング材料は、コーティング層の下にあるベース材料、すなわち基板支持体120、ベローズ186、および/または他のチャンバ部品への接着強度を改善するために摂氏約650度~摂氏約1,100度の温度にさらに熱処理されてもよい。熱処理は、チャンバ部品のベース材料へのコーティング材料の良好な接着を保証するために、最大10時間続いてもよい。
【0021】
一実施形態において、三フッ化窒素洗浄ガスが処理チャンバ100へ導入され、処理チャンバ100の内部チャンバ容積128を洗浄するためのプラズマを形成する。基板支持体120の上面の温度は、摂氏約400度を超える温度に維持される。クロム、チタン、モリブデンおよび/または他の副生成物は、腐食性処理ガスが存在する状態で、特に、摂氏約400度よりも高い温度にさらされたときに、チャンバ部品から処理チャンバ100の内部チャンバ容積128内に形成されることがある。コーティング180は、チャンバ部品が腐食性処理ガスと反応して、処理される基板に悪影響を及ぼす可能性のあるクロム、チタン、および/またはモリブデン汚染物質を内部チャンバ容積128内に形成しないように保護する。
【0022】
基板支持体120および/またはベローズ186などのチャンバ部品を処理チャンバ100の腐食性処理ガスから保護する異なる解決策が本明細書で提供される。第1の例が図2に表されている。図2は、ベローズ186の腐食、および処理チャンバ100の内部チャンバ容積128、すなわち処理環境内への汚染物質の導入を防止するために、ベローズ186用の腐食保護を有する基板支持アセンブリ144の側面図を示す。腐食保護は、シールド210、熱遮蔽体228、288、および/または(図4に示す)冷却チャネル320、380のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0023】
シールド210は、基板支持アセンブリ144の他の部品のベローズ186をプラズマ腐食または高温から保護することができる。シールド210は、中空円筒形状を有することができる。シールド210は、内側直径212および外側表面214を有する。内側直径212は、基板支持体120を受け入れるのに適した開口部を形成するようにサイズが調整されてもよい。シールド210は、固定端218で基板支持体120に取り付けられてもよい。また、シールド210は、チャンバ本体またはフランジ188にコンタクトしていない自由端216を有してもよい。シールド210は、基板支持体120の移動と共に上下に移動することができる。シールド210は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、インコネル625、イットリア、または他の適切な材料から形成されてもよい。一実施形態において、シールド210は、外側表面214に施されたコーティング220を有する。コーティング180は、外側表面214に近いまたは外側表面214にある結合層、および結合層上に配置された保護層などの多層コーティングであってもよい。結合層は、約0.5μm~約5μmの厚さ、例えば、約1.5μmの厚さであってもよい。保護層は、約2μm~約20μmの厚さ、例えば、約2.5μmの厚さであってもよい。コーティング180は、シールド210をチャンバ処理環境に汚染をもたらすことがあるプラズマ腐食から保護する、および/または高いチャンバ温度に対して保護することができる。
【0024】
コーティングは、チャンバ部品の1つまたは複数に配置されてもよい。基板支持体120は、コーティング220を有してもよい。ベローズ186は、コーティング224を有してもよい。フランジ188の1つまたは複数の部分も、コーティング226を有してもよい。コーティング220、224、226は、上述したコーティング180と実質的に同様であってもよい。個々のコーティング220、224、226は、局所的な温度、腐食性薬剤への露出、下地材料、弾力性に対する要求事項、可撓性に対する要求事項、または他の要因などの理由に応じて、異なる材料または厚さでそれぞれのチャンバ部品上に形成されてもよい。例えば、コーティング224は、ベローズ186の反復される伸縮運動のためにより柔軟でなければならないため、基板支持体120上のコーティング220は、ベローズ186上に形成されるコーティング224よりも厚く形成されてもよい。
【0025】
一部の実施形態では、ベローズ186は、コーティング224によって腐食性処理ガスおよび高温から保護される。他の実施形態では、ベローズ186は、コーティング224、シールド210、または熱遮蔽体228、288のうちの1つまたは複数によって腐食性処理ガスおよび高温から保護される。コーティング224によって提供される保護は、クロム、チタン、および/またはモリブデン粒子などの汚染物質が処理チャンバの内部容積内に蓄積して基板上に堆積させる膜を汚染するのを防止する。以下の議論は、基板支持アセンブリ144およびベローズ186を中心とする。しかしながら、コーティングによって基板支持アセンブリ144およびベローズ186に与えられる保護は、腐食を受ける他の処理チャンバ部品に利用されてもよいことを認識されたい。
【0026】
第1の実施形態では、コーティング180およびシールド210は、基板支持体120、フランジ188、およびベローズ186を保護するために使用される。基板支持体120およびベローズ186は、ニッケル-クロム合金から形成されてもよい。シールド210は、6061-T6などのアルミニウムから形成されてもよい。コーティング180は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはパリレン(登録商標)CもしくはD材料から形成されてもよい。コーティング180は、約0.5μm~約50.0μm、例えば、約5μmであってもよい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはパリレン(登録商標)CもしくはD材料は、複数の層を形成するために化学気相堆積させることができ、任意選択でそれらの間に配置された結合層を有してもよい。コーティング180は、非常に薄い共形の最上層であってもよく、例えば、物理的気相堆積および/または化学気相堆積を使用して堆積させることができる。コーティング180は、基板支持体120およびベローズ186上に形成されている。基板支持体120上のコーティング180は、連続的で、一体型の単一のコーティングとしてベローズ186まで延在し、ベローズ186をカバーすることができる。例えば、基板支持体120およびベローズ186は、一緒に組み立てられてもよく、コーティング180、すなわち、コーティング220、224は、単一の塗布で基板支持体120およびベローズ186上にプラズマ溶射される。あるいは、基板支持体120上のコーティング220およびベローズ186上のコーティング224は、コーティング220、224が基板支持体120およびベローズ186にわたって連続しないように別々に形成されてもよい。例えば、ベローズ186の基板支持体120へのアセンブルに先立って、コーティング220が1つの操作中に基板支持体120上に形成されてもよく、コーティング224が別の操作中にベローズ186上に形成される。
【0027】
第2の実施形態では、ベローズ186上のコーティング224は、ダイヤモンド類似カーボンあるいはセラミック材料、例えば、イットリア安定化ジルコニア、もしくはアルミナ、またはAsMyから形成されている。コーティング224は、DLCに対しては約0.5μm~約50.0μm、例えば、約5μm、セラミックに対しては約25μmの厚さを有することができる。ダイヤモンド類似カーボンまたはセラミック材料は、間に結合層を有する多層の化学気相堆積であってもよい。非常に薄い共形の最上層は、いかなる注入(pour)もカバーするために物理的気相堆積または化学気相堆積を使用して堆積させてもよい。基板支持体120のコーティング220は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはパリレン(登録商標)CもしくはD、ダイヤモンド類似カーボンまたはセラミック材料、あるいは金属、例えば、ニッケルコーティングから形成されてもよい。コーティング220は、約0.5μm~約50.0μm、例えば、約12μmの厚さを有することができる。コーティング220は、間に結合層および薄い共形の最上層を有する多層のプラズマ溶射であってもよい。ベローズ186は、ニッケル-クロム合金から形成され、コーティング224およびシールド210によって腐食性処理ガスならびに高温から保護されている。
【0028】
第3の実施形態では、ベローズ186は、インコネル625から形成され、可撓性シールド310によって腐食性処理ガスおよび高温から保護されている。図3は、プラズマ処理チャンバ100で使用するための別の基板支持アセンブリ300の側面図を示す。基板支持アセンブリ300は、ベローズ186の腐食保護用の可撓性シールド310を有する。可撓性シールド310は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または他の適切な材料から作られてもよい。可撓性シールド310は、一端部にスナップシール312および第2の端部に第2のスナップシール314を有することができる。基板支持体120は、スナップシール312とインターフェースするための特徴322を有することができる。加えて、第2の特徴384は、第2のスナップシール314とインターフェースするためにフランジ188上に配置されてもよい。スナップシール312、314および特徴322、384は、雄/雌インターフェース、ボールおよびソケット、または構成要素に密封連結させるための他の二部分締付けシステムの形態であってもよい。スナップシール312、314は、腐食性材料がベローズ186の空間に入るのを防止するために、特徴322、384に対して嵌め込み式可撓性ラビリンスシールを生成する。有利には、可撓性シールド310は、据え付けるのが簡単であり、ベローズ186の腐食を軽減することによって汚染を防止すると同時にベローズ186のライフサイクルを延ばす。
【0029】
図4は、プラズマ処理チャンバ100で使用するための別の基板支持アセンブリ400の別の側面図を示す。基板支持アセンブリ400は、ベローズ186およびフランジ188の温度を下げるための熱バリアを有する。熱バリアは、熱遮蔽体228、288および/または冷却チャネル320、380から構成されてもよい。フランジ188およびベローズ186は、高い処理温度、例えば、摂氏300度を超える温度のために処理中に加熱される。熱遮蔽体228、288は、基板支持アセンブリ400を通り抜ける熱伝導経路を遮断する。熱遮蔽体228、288は、基板支持体120およびフランジ188内で3D印刷された、サンドイッチされた、または被覆された低熱伝導性材料から作られてもよい。例えば、ベローズ186の温度をより低く維持するために、高熱伝導性のグラフェンまたは金属箔が、基板支持体120およびフランジ188内で複数の層で鋳造され、3D印刷され、または結合されてもよい。熱遮蔽体228、288は、複数の層からなり、約1μm~約30μm、例えば、約15μmの全厚さを有してもよい。冷却チャネル320、380は、基板支持体120またはフランジ188を製造するときに3D印刷されてもよい。冷却チャネル320、380を使用して、ベローズ186を所望の温度に維持し、金属汚染を低減させることができる。チャンバ部品の金属3D印刷中に、Z軸成長を休止して、高熱伝導性のナノまたはマイクログラフェン箔を挿入することができる。
【0030】
第4の実施形態では、ベローズ186は、ニッケル-クロム合金から形成され、熱遮蔽体228、288によって高い処理温度から保護される。熱遮蔽体228、288の1つまたは複数は、グラフェンから形成されてもよく、例えば、約0.5μm~約750μmの厚さを有してもよい。シールド210もベローズ186を保護することができる。シールド210は、6061-T6アルミニウムなどのアルミニウムから形成されてもよい。第5の実施形態では、ベローズ186は、ニッケル-クロム合金から形成され、基板支持体内のグラフェンまたは金属箔から形成された熱遮蔽体228の2つ以上の層、フランジ188内のグラフェンまたは金属箔から形成された熱遮蔽体228の2つ以上の層、およびシールド210によって保護される。第6の実施形態では、ベローズ186は、ニッケル-クロム合金から形成され、基板支持体内に形成された熱遮蔽体228の2つ以上の層および冷却チャネル320、フランジ188内に形成された熱遮蔽体228の2つ以上の層および冷却チャネル380、ならびにシールド210によって高い処理温度から保護される。
【0031】
図5は、ベローズ186を洗浄し、ベローズ186に保護コーティング180を施すために使用されるベローズ保持装置500の側面図を示す。ベローズ保持装置500は、回転可能であり、プラズマ溶射コーティングおよび/またはCVDおよび/またはベローズ186を洗浄するための薬剤を適用するチャンバ内で使用されてもよい。ベローズ保持装置500は、ベローズ上の結合層および保護層などの均一な多層コーティングを形成する前に、洗浄、脱脂などの、ベローズ186の表面前処理に適している場合がある。
ベローズ保持装置500は、ブラケット502に取り付けられたフレーム586から構成されてもよい。フレーム586は、ベローズ186の内側に配置され、保護コーティング180の洗浄および/または塗布中にベローズ186を保持するように構成されている。フレーム586は、上部端508および底部端512を有する。ベローズ186は、上部端508でフレーム586に接触したり離れたりして移動可能である。フレーム586の底部端512は、ブラケット502に取り付けられている。
【0032】
ブラケット502は、プレート510、支柱504、および支持体520を有する。プレート510は、ベローズ186を保持するフレーム586の底部端512に取り付けられてもよい。プレート510は、支柱504によって支持体520に取り付けられている。一実施形態において、プレート510または支持体520は互いに対して支柱504に沿って移動可能である。プレート510の移動は、フレーム上に配置されたベローズ186を完全に伸長するためにフレーム586の長さに影響を及ぼすことができる。このようにして、ベローズ186は、処理のための平坦な円筒面を呈する。別の実施形態では、プレート510および支持体520は、互いに対して固定されている。支持体520は、ベローズ保持装置500がベローズ186を取り付けられ、処理を受けている間にベローズ保持装置500を回すためのモータまたは回転装置を受け入れるためのキー止め孔などの連結部590を任意選択で有してもよい。回転装置は、コーティング180の厚さの均一性を制御するためにベローズ保持装置500を時計回りまたは反時計回りに回転させることができる。有利には、コーティング180の摩耗は、比較的予測可能な場合があり、ベローズ186の腐食が基板の処理中に処理チャンバの内部容積を汚染する前にベローズ186を修理することができる。
【0033】
図6は、腐食保護を有するバルブアセンブリ170の断面図を示す。図1に示す処理チャンバ100に示されているが、バルブアセンブリ170は、他の処理チャンバ、例えば、腐食性処理および/または洗浄液を受ける他の処理チャンバの中でもとりわけ、プラズマ処理チャンバ、物理的気相堆積チャンバ、エッチングチャンバ、化学気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバで利用されてもよい。加えて、図6に表すバルブアセンブリ170は、グローブバルブであるが、バルブアセンブリ170に対して開示される腐食制御装置は、他のタイプのバルブアセンブリ、例えば、バタフライバルブ、ボールバルブ、ダイアフラムバルブ、ゲートバルブ、および腐食性薬剤を通過させるのに適した他のバルブアセンブリに等しく適用可能であることを認識されたい。
【0034】
バルブアセンブリ170は、ハウジング610を有する。ハウジング610は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。ハウジング610には、入口612および出口614が形成されている。ハウジング610は、内部作業容積602をさらに有する。バルブアセンブリ170が開状態にあるとき、流体は、入口612から内部作業容積602に流入し、出口614からハウジング610を出ることができる。
1つまたは複数の実施形態において、ハウジング610は、バルブ本体コーティング650を有してもよい。バルブ本体コーティング650は、ハウジング610の内部作業容積602を、洗浄ガス、処理ガスなどの腐食性薬剤から保護することができる。
【0035】
入口612は、流体密シールを提供するためのフランジ616を有することができる。フランジ616は、ハウジング610を処理チャンバ100またはその構成要素、例えば、ポンピングポート178に流動可能に結合するためのシールを提供することができる。フランジ616は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。フランジ616は、フランジコーティング656を有してもよい。フランジコーティング656は、フランジ616を入口612に入る腐食性薬剤から保護するように構成されている。一実施形態において、入口612のフランジ616は、チャンバ本体102のポンピングポート178に流動可能に取り付けられている。別の実施形態では、入口612のフランジ616は、ガス源160に流動可能に取り付けられている。
【0036】
出口614もフランジ617を有することができる。フランジ617は、シールを提供し、ハウジング610を処理チャンバ100またはその構成要素に流動可能に取り付けることができる。フランジ617は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。フランジ617は、フランジコーティング657を有してもよい。フランジコーティング657は、出口614を介して出入りする腐食性薬剤からフランジ617を保護するように構成されている。一実施形態において、出口614は、チャンバ本体102、またはチャンバ本体102に取り付けられた配管系統、例えば、内部チャンバ容積128への入口161に流動可能に取り付けられている。別の実施形態では、出口614は、真空に流動可能に結合されている。
【0037】
ハウジング610は、ボンネット618を有してもよい。ボンネット618は、締め具、接着剤、溶接によって、または他の適切な手段によってハウジング610に取り付けられてもよい。一実施形態において、ボンネット618は、ネジ式締め具によってハウジング610に取り付けられている。ボンネット618は、内部作業容積602内の流体がボンネット618において、またはボンネット618からハウジング610を出ないように、ハウジング610とのシールを形成する。ボンネット618は、ハウジング610と同様の材料から製造されてもよい。例えば、ボンネット618は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。
中心開口部635は、ボンネット618の中心部分を貫いて配置されてもよい。中心開口部635は、ステム622を受け入れるように、および支持するように構成されてもよい。ステム622は、中心開口部635を通って移動可能であってもよい。ステム622は、ボンネット618を貫いてハウジング610の内部作業容積602内へ延在することができる。ステム622は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。
【0038】
アクチュエータ620は、ステム622の一方の端部に取り付けられてもよい。アクチュエータ620は、ノブおよびねじ、ソレノイド、空気圧もしくは油圧シリンダー、モータ、またはステム622を直線的に変位させるのに適した他のアクチュエータであってもよい。バルブプラグ632は、ハウジング610の内部作業容積602内に配置されたステム622のもう一方の端部に取り付けられてもよい。バルブプラグ632は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。アクチュエータ620は、ステム622、したがって、取り付けられたバルブプラグ632に直線的な移動を提供することができる。例えば、アクチュエータ620は、点線672によって示すような上昇位置までバルブプラグ632を上方に移動させることができる。別の例では、アクチュエータ620は、点線674によって示すような下降位置までバルブプラグ632を下方に移動させることができる。バルブプラグ632は、下降位置にあるとき、ハウジング610のバルブシートにコンタクトすることができる。バルブプラグ632は、バルブプラグ632が下降位置にある場合に、ハウジング610のバルブシートにコンタクトしているときに流体密閉鎖を形成するためのシール634を有することができる。したがって、入口612に流入する流体は、バルブプラグ632がバルブシートに対して下降位置にあるときは、内部作業容積602を通って出口614から流出しない。同様に、入口612に流入する流体は、バルブプラグ632がバルブシートから離間した上昇位置にあるときは、内部作業容積602を通って出口614から流出することができる。
【0039】
バルブプラグ632は、シートコーティング652を有してもよい。シートコーティング652は、ハウジング610の内部作業容積602内の腐食性薬剤からバルブプラグ632を保護するように構成されている。
ベローズ642は、ハウジング610の内部作業容積602内に配置されてもよい。ベローズ642は、アコーディオン形状を有し、内部ベローズ領域644を有することができる。例えば、ベローズ642は、断面が円筒形または多角形であってもよく、内部ベローズ領域644を取り囲む。ベローズ642の一方の端部は、バルブプラグ632に密封可能に取り付けられてもよい。ベローズ642のもう一方の端部は、ハウジング610またはボンネット618のいずれかに密封可能に取り付けられてもよい。したがって、シールがバルブプラグ632とボンネット618との間に生成され、内部作業容積602内の流体がベローズ642の内側に画成された内部ベローズ領域644に入るのを、および流体がボンネット618内の中心開口部635を通って出るのを防止することができる。ベローズ642は、304SSTなどのステンレス鋼、INCONEL(登録商標)625、Haynes242、または他の適切な材料から形成されてもよい。ベローズ642は、ベローズコーティング654を有してもよい。ベローズコーティング654は、ハウジング610の内部作業容積602内に配置された流体にさらされることがある。ベローズコーティング654は、ハウジング610の内部作業容積602内の腐食性薬剤からベローズ642を保護するように構成されている。
【0040】
チャンバ部品は、フッ素または塩素などの腐食性薬剤と反応して処理チャンバの内部容積内にクロム、チタン、および/またはモリブデンなどの汚染物質を形成しないように、バルブ本体コーティング650、シートコーティング652、ベローズコーティング654、およびフランジコーティング656、657などの様々なコーティングによって保護され得る。コーティング650、652、654、656、657は、モノリシックで、共形に堆積させることができる材料を含むことができる。コーティングは、さらにまたはあるいは、他のチャンバ部品、例えば、リフトピンベローズの外側表面198上に形成され得る(図示せず)。コーティング650、652、654、656、657は、パリレン(登録商標)(ポリパラキシリレン)などの炭素含有材料、例えば、パリレン(登録商標)Dまたはパリレン(登録商標)C(塩素化線状ポリパラキシリレン)、パリレン(登録商標)N(線状ポリパラキシリレン)、およびパリレン(登録商標)X(架橋ポリパラキシリレン)であってもよい。使用することができる他の炭素含有材料には、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)およびダイヤモンド類似カーボン(DLC)などのアモルファスカーボン材料が含まれる。DLCは、約0.5μm~約50.0μm、例えば、約5μmの厚さを有することができる。コーティング650、652、654、656、657は、あるいは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材料、またはイットリア安定化ジルコニアもしくはアルミナなどのセラミックの選択的コーティング、またはアルミニウムケイ素マグネシウムイットリウム酸素化合物、または処理チャンバ100内の腐食性流体に対して保護するのに適した他の材料であってもよい。セラミックは、約0.5μm~約50.0μm、例えば、約25μmの厚さを有してもよい。また、コーティングは、ニッケルから形成されてもよい。ニッケルは、約0.5μm~約50.0μm、例えば、約10μmの厚さを有してもよい。
【0041】
任意選択で、コーティング650、652、654、656、657は、複数の層を有してもよい。コーティング650、652、654、656、657の複数の層は、前述の適切なコーティング材料の1つまたは複数から形成されてもよい。例えば、複数の層は、結合層および保護層などの2つ以上の層を含んでもよい。結合層は、チャンバ部品への接着を促進するのに適していてもよく、一方、保護層は、他のチャンバハザードの中でもとりわけ、腐食性チャンバ環境または高温から前記チャンバ部品の絶縁を行うことができる。
第1の実施形態では、バルブアセンブリ170は、そこを通って流れる腐食性薬剤から保護されている。バルブアセンブリ170のハウジング610は、304SSTから形成されている。ハウジング610の内部作業容積602はニッケルの形態のバルブ本体コーティング650でカバーされている。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。
【0042】
バルブアセンブリ170は、入口612および出口614にINCONEL(登録商標)625から形成されたフランジ616、617を有する。バルブプラグ632もINCONEL(登録商標)625から形成されている。ベローズ642は、HAYNES(登録商標)242合金から形成されている。ベローズ642は、ステム622およびアクチュエータ620がハウジング610の内部作業容積602内に存在する流体にさらされないように保護する。
【0043】
第2の実施形態では、バルブアセンブリ170は、そこを通って流れる腐食性薬剤から保護されている。バルブアセンブリ170のハウジング610は、304SSTから形成されている。ハウジング610の内部作業容積602は、ニッケルの形態のバルブ本体コーティング650でカバーされている。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。バルブアセンブリ170は、入口612および出口614にINCONEL(登録商標)625から形成されたフランジ616、617を有する。フランジ616、617のフランジコーティング656、657は、ニッケルから形成されてもよい。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。バルブプラグ632もINCONEL(登録商標)625から形成されている。バルブプラグ632のシートコーティング652は、ニッケルから形成されている。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。ベローズ642は、HAYNES(登録商標)242合金から形成されている。ベローズ642は、バルブプラグ632をアクチュエータ620に取り付けるステム622を腐食性薬剤から保護する。
【0044】
第3の実施形態では、バルブアセンブリ170は、そこを通って流れる腐食性薬剤から保護されている。バルブアセンブリ170のハウジング610は、304SSTから形成されている。ハウジング610の内部作業容積602は、バルブ本体コーティング650でカバーされている。バルブ本体コーティング650は、約10μmの厚さを有するニッケルであってもよい。バルブアセンブリ170は、入口612および出口614にSSTから形成されたフランジ616、617を有する。フランジ616、617のフランジコーティング656、657は、ニッケルから形成されてもよい。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。バルブプラグ632は、SSTから形成されている。バルブプラグ632のシートコーティング652は、ニッケルから形成されてもよい。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。ベローズ642もSSTから形成されている。ベローズ642のベローズコーティング654は、ニッケルから形成されてもよい。ニッケルコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。ベローズ642およびベローズコーティング654は、バルブプラグ632をアクチュエータ620に取り付けるステム622を腐食性薬剤から保護する。
【0045】
第4の実施形態では、バルブアセンブリ170は、そこを通って流れる腐食性薬剤から保護されている。バルブアセンブリ170のハウジング610は、304SSTから形成されている。ハウジング610の内部作業容積602は、ダイヤモンド類似コーティング(DLC)の形態のバルブ本体コーティング650でカバーされている。DLCは、約10μmの厚さであってもよい。バルブアセンブリ170は、入口612および出口614にSSTから形成されたフランジ616、617を有する。フランジ616、617のフランジコーティング656、657は、DLCから形成されてもよい。DLCは、約10μmであってもよい。バルブプラグ632は、SSTから形成されている。バルブプラグ632のシートコーティング652は、DLCから形成されてもよい。DLCコーティングは、約10μmの厚さであってもよい。ベローズ642もSSTから形成されている。ベローズ642は、ベローズコーティング654を形成するために約10μmの厚さのDLCでカバーされている。ベローズ642およびベローズコーティング654は、バルブプラグ632をアクチュエータ620に取り付けるステム622を腐食性薬剤から保護する。
【0046】
さらに他の実施形態では、上述の方法および装置は、高温、すなわち、摂氏200度を超える、例えば、摂氏300度での炭素膜堆積に関する。膜の堆積後、フッ素または塩素含有ガスおよび高いチャンバ温度を使用するチャンバ洗浄プロセス中に、SSTおよびニッケル-クロム合金のチャンバ部品は、腐食性フッ素または塩素と反応してチャンバ部品を劣化させないように、ならびにクロム、チタン、および/またはモリブデンなどの潜在的な汚染物質を形成しないようにコーティングによって保護される。例えば、ベローズ、基板支持体、シャフト、バルブアセンブリ、または他のチャンバ部品は、SSTまたはINCONEL(登録商標)625から形成されてもよく、上述したコーティングによって腐食性処理ガスおよび高温からさらに保護される。コーティングの使用によって、有利には、腐食性薬剤によるチャンバ部品の腐食のために、処理チャンバの内部容積に入り込み汚染するCr、TiおよびMoの量を低減させる。加えて、チャンバ部品に対する予防保守ライフサイクルが延長される。
【0047】
前述の事項は、本発明の実施態様を対象としているが、本発明の他のおよびさらなる実施態様が本発明の基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6