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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】電子部品内蔵基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220106BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H05K3/46 U
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H01L23/12 501P
H01L23/12 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017193349
(22)【出願日】2017-10-03
(65)【公開番号】P2019067973
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091672
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 啓三
(74)【代理人】
【識別番号】100180459
【弁理士】
【氏名又は名称】二階堂 裕
(72)【発明者】
【氏名】水野 茂
(72)【発明者】
【氏名】久保 智也
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 克哉
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0327129(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0043669(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0315787(US,A1)
【文献】特表2013-529850(JP,A)
【文献】特開2011-044452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0270667(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0164409(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205495(US,A1)
【文献】特開2006-202975(JP,A)
【文献】特開2000-299427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
H01L 23/12
H01L 23/34
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に形成された金属層と、
前記第1絶縁層の上に形成された第1配線層と、
前記金属層の上に配置された発熱する第1電子部品と、
前記第1絶縁層及び前記金属層の上に形成され、前記第1電子部品を埋め込む第2絶縁層と、
前記第2絶縁層に形成され、前記金属層の一部を露出させる開口部と、
前記第2絶縁層の上方に配置された第2電子部品と、
前記開口部内の前記金属層に接続され、かつ、前記第2電子部品の上面に接続された放熱部材と
を有し、
前記第1配線層は、シード層と、前記シード層の上に配置された電解めっき層とから形成され、
前記金属層は、前記第1絶縁層の上に接着された金属板からなることを特徴とする電子部品内蔵基板。
【請求項2】
前記金属層は、前記第1配線層よりも厚みが厚いことを特徴とする請求項に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項3】
前記第1電子部品は、前記第2電子部品の真下の領域に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項4】
前記第1電子部品の下面が前記金属層に接着され、前記第1電子部品は上面に接続端子を備え、
前記第2絶縁層の上に形成された第2配線層を有し、
前記第2電子部品は前記第2配線層に電気的に接続されており、
前記第2配線層は、前記第2絶縁層に形成されたビアホール内のビア導体を介して前記第1電子部品の接続端子及び前記第1配線層に接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項5】
第1絶縁層の上に金属層を形成する工程と、
前記金属層の上に、発熱する第1電子部品を配置する工程と、
前記第1絶縁層及び前記金属層の上に、前記第1電子部品を埋め込む第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層に、前記金属層の一部を露出させる開口部を形成する工程と、
前記第2絶縁層の上方に第2電子部品を配置する工程と、
前記開口部内の前記金属層に接続され、かつ、第2電子部品の上面に接続される放熱部材を配置する工程と
を有し、
前記第1絶縁層の上に金属層を形成する工程は、前記第1絶縁層の上に第1配線層を形成することを含み、
前記第1配線層は、
前記第1絶縁層の上にシード層を形成する工程と、
前記シード層の上に、開口部を備えためっきレジスト層を形成する工程と、
電解めっきにより、前記めっきレジスト層の開口部に金属めっき層を形成する工程と、
前記めっきレジスト層を除去する工程と、
前記金属めっき層をマスクにして前記シード層をエッチングする工程と
を含む方法により形成され、
前記第1配線層を形成した後に、
前記第1絶縁層の上に金属板を接着して前記金属層を得ることを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属層を形成する工程において、
前記金属層は、前記第1配線層よりも厚みが厚く設定されることを特徴とする請求項に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1電子部品を配置する工程及び前記第2電子部品を配置する工程において、
前記第1電子部品は、前記第2電子部品の真下の領域に配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャパシタなどの電子部品が配線基板に内蔵された電子部品内蔵基板がある。そのような電子部品内蔵基板では、配線基板に電子部品を搭載した後に、電子部品を絶縁層で埋め込み、電子部品に配線層が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-101243号公報
【文献】特開2008-288607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後述する予備的事項で説明するように、発熱する電子部品が絶縁層に埋め込まれて内蔵された電子部品内蔵基板がある。そのような電子部品内蔵基板では、電子部品から発する熱を十分に放熱できないため、電子部品が発熱による温度上昇によって破壊する課題がある。
【0005】
絶縁層に埋め込まれた電子部品から発する熱を十分に放熱できる新規な構造の電子部品内蔵基板及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の開示の一観点によれば、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成された金属層と、前記第1絶縁層の上に形成された第1配線層と、前記金属層の上に配置された発熱する第1電子部品と、前記第1絶縁層及び前記金属層の上に形成され、前記第1電子部品を埋め込む第2絶縁層と、前記第2絶縁層に形成され、前記金属層の一部を露出させる開口部と、前記第2絶縁層の上方に配置された第2電子部品と、前記開口部内の前記金属層に接続され、かつ、前記第2電子部品の上面に接続された放熱部材とを有し、前記第1配線層は、シード層と、前記シード層の上に配置された電解めっき層とから形成され、前記金属層は、前記第1絶縁層の上に接着された金属板からなる電子部品内蔵基板が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以下の開示によれば、電子部品内蔵基板では、第1絶縁層の上に形成された金属層の上に発熱する第1電子部品が配置されている。第1絶縁層及び金属層の上に、第1電子部品を埋め込む第2絶縁層が形成されている。
【0009】
また、第2絶縁層に金属層の一部を露出させる開口部が形成されている。さらに、第2絶縁層の上方に第2電子部品が配置されている。そして、放熱部材が第2絶縁層の開口部内の金属層に接続され、かつ、第2電子部品の上面に接続されている。
【0010】
これにより、第1電子部品から発する熱は金属層を介して放熱部材に伝導して外部に放熱されるため、放熱性を向上させることができる。よって、第1電子部品が発熱して破壊することが回避され、発熱する第1電子部品を内蔵する電子部品内蔵基板の信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、放熱部材は第2電子部品にも接続されるため、放熱部材を第2電子部品の放熱経路として兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は予備的事項に係る電子部品内蔵基板の問題点を説明するための断面図である。
図2図2は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法で使用される配線部材を示す断面図である。
図3図3図2の配線部材を上側からみた縮小平面図である。
図4図4(a)及び(b)は図2の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その1)である
図5図5(a)~(c)は図2の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その2)である
図6図6は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法で使用される第1変形例の配線部材を示す断面図である。
図7図7(a)及び(b)は図6の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その1)である
図8図8(a)~(c)は図6の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その2)である
図9図9は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法で使用される第2変形例の配線部材を示す断面図である。
図10図10(a)及び(b)は図9の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その1)である
図11図11図9の配線部材の配線層及び金属層の形成方法を示す断面図(その2)である
図12図12は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
図13図13は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
図14図14は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
図15図15は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
図16図16は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
図17図17は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
図18図18は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
図19図19は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
図20図20は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
図21図21は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
図22図22は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す平面図(その11)である。
図23図23は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
図24図24は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
図25図25は実施形態の電子部品内蔵基板を示す断面図である。
図26図26は実施形態の電子部品内蔵基板を示す平面図である。
図27図27は実施形態の別の電子部品内蔵基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない技術内容を含む。
【0015】
図1は、予備的事項に係る電子部品内蔵基板の問題点を説明するための図である。図1に示すように、予備的事項に係る電子部品内蔵基板は、配線基板100を備えている。図1では、配線基板100の上部が部分的に示されている。
【0016】
配線基板100では、絶縁層200の上に配線層300と金属層300aとが形成されている。第1配線層300及び金属層300aは銅層の同一層から形成される。金属層300aは、半導体チップの放熱経路として使用され、プレーンパターン(べたパターン)から形成される。
【0017】
そして、第1半導体チップ400の下面(背面)が接着層410によって金属層300aに接着されている。また、配線層300及び金属層300aの上に第1半導体チップ400を埋め込む絶縁層220が形成されている。
【0018】
絶縁層220には、配線層300及び第1半導体チップ400の接続端子に到達するビアホールVHが形成されている。
【0019】
さらに、絶縁層220の上に配線層320が形成されている。配線層320はビアホールVH内のビア導体を介して配線層300及び第1半導体チップ400の接続端子にそれぞれ接続されている。
【0020】
また、絶縁層220の上には、配線層320の上に開口部240aが設けられたソルダレジスト層240が形成されている。
【0021】
また、第2半導体チップ420のバンプ電極440が配線層320にフリップチップ接続されている。さらに、第2半導体チップ420の下側にアンダーフィル樹脂460が充填されている。
【0022】
このようにして、第1半導体チップ400が絶縁層220の中に埋設されて配線基板100に内蔵されている。第1半導体チップ400は動作時に発熱するCPUチップである。
【0023】
従来は、キャパシタなどの発熱しない受動素子を配線基板に内蔵させていたが、近年では、電子機器の高性能化及び高密度実装による小型化などの要求により、発熱するCPUチップなどを配線基板に内蔵させる要求がある。
【0024】
第1半導体チップ400は金属層300aの上に配置され、第1半導体チップ400から発する熱は金属層300a(銅層)を介して外部に放熱される。
【0025】
しかし、第1半導体チップ400(CPUチップ)は発熱量が大きいため、金属層300a(銅層)を介する放熱だけでは不十分である。このため、第1半導体チップ400(CPUチップ)は、発熱によって温度上昇し、素子が破壊されてしまい、動作不良となる。
【0026】
このように、発熱するCPUチップなどを配線基板に内蔵させる電子部品内蔵基板では、CPUチップなどから発する熱を十分に放熱できる構造が要求される。
【0027】
以下に説明する実施形態の電子部品内蔵基板及びその製造方法では、前述した課題を解消することができる。
【0028】
(実施の形態)
図2図24は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を説明するための図、図25図27は実施形態の電子部品内蔵基板を示す図である。
【0029】
以下、電子部品内蔵基板の製造方法を説明しながら、電子部品内蔵基板の構造を説明する。
【0030】
実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法では、図2に示すように、まず、配線部材5を用意する。配線部材5は、電子部品内蔵基板を製造するための製造途中の中間部材である。
【0031】
配線部材5は、最下に配線層11を備え、配線層11の上に絶縁層21が形成されている。絶縁層21は配線層11の上面及び側面を被覆して形成されており、配線層11の下面が絶縁層21から露出している。配線層11の下面と絶縁層21の下面とは面一になっている。
【0032】
絶縁層21には、配線層11に到達するビアホールVH1が形成されている。さらに、絶縁層21の上に配線層12が形成されている。配線層12は、ビアホールVH1内のビア導体VC1を介して配線層11に接続されている。
【0033】
また、絶縁層21及び配線層12の上には絶縁層22が形成されている。絶縁層22には、配線層12に到達する第2ビホールVH2が形成されている。
【0034】
絶縁層22の上には配線層13が形成されている。配線層13はビアホールVH2内のビア導体VC2を介して配線層12に接続されている。
【0035】
また同様に、絶縁層22及び配線層13の上に絶縁層23が形成されている。絶縁層23には、配線層13に到達するビホールVH3が形成されている。
【0036】
絶縁層13の上には配線層14が形成されている。配線層14はビアホールVH3内のビア導体VC3を介して配線層13に接続されている。
【0037】
さらに同様に、絶縁層23及び配線層14の上に絶縁層24が形成されている。絶縁層24には、配線層14に到達するビアホールVH4が形成されている。絶縁層24の上には配線層15が形成されている。配線層15はビアホールVH4内のビア導体VC4を介して配線層14に接続されている。また、絶縁層24の上に金属層Mが形成されている。絶縁層24が第1絶縁層の一例である。
【0038】
図3は、図2を上側からみた縮小平面図である。図2図3のI-Iに沿った断面に相当する。
【0039】
図3に示すように、配線層15は島状のパッドとして形成されている。金属層Mの内部には開口部Mxが形成されており、その開口部Mx内に配線層15が配置されている。金属層Mの3つの開口部Mxに複数の配線層15がそれぞれ配置されている。配線層15と金属層Mとは同一層から形成される。
【0040】
後述するように、図3の金属層Mの破線で示された領域Bに、動作時に発熱する電子部品が配置され、金属層Mは電子部品から発する熱を放熱する放熱経路の一部として使用される。
【0041】
このため、金属層Mは、面積や体積を大きくするため、広域面積の一体的なプレーンパターン(べたパターン)で形成される。配線層15及び金属層Mの各厚みは、40μm~50μm程度に設定される。配線層15が第1配線層の一例である。
【0042】
また、図2に示すように、金属層Mは、ビアホールVH5内のビア導体VC5を介して下側の配線層14に接続されており、グランド層としても機能する。
【0043】
以下、図2の配線部材5の配線層15及び金属層Mの形成方法について説明する。配線層15及び金属層Mは、好適には、セミアディティブ法によって形成される。
【0044】
図4(a)~図5(c)は、図2のAで示される領域に配線層15及び金属層Mが形成される様子を示した部分拡大断面図である。
【0045】
図4(a)に示すように、ビアホールVH4,VH5(図2)内及び絶縁層24の上に銅などからなるシード層15aを形成する。シード層15aは、無電解めっき又はスパッタ法によって形成される。
【0046】
次いで、図4(b)に示すように、絶縁層24の上に、配線層15及び金属層Mが形成される領域に開口部17aが設けられためっきレジスト層17を形成する。めっきレジスト層17は、フォトリソグラフィに基づいて、露光、現像することによりパターニングされる。
【0047】
続いて、図5(a)に示すように、シード層15aをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホールVH4,VH5内からめっきレジスト層17の開口部17aに銅などからなる金属めっき層15bを充填して形成する。
【0048】
その後に、図5(b)に示すように、めっきレジスト層17を除去する。さらに、図5(c)に示すように、金属めっき層15bをマスクにしてシード層15aをエッチングして除去する。
【0049】
これにより、配線層15及び金属層Mが得られる。配線層15及び金属層Mは、シード層15aとその上に配置された金属めっき層15bとからそれぞれ形成され、同一層から形成される。
【0050】
以上のように、絶縁層24の上に金属層Mを形成する工程において、絶縁層24の上に配線層15を同時に形成する。
【0051】
前述した図2の配線部材5の配線層11,12,13,14、及び後の工程の配線層においても、図4(a)~図5(c)の方法と同様な方法により形成される。
【0052】
図6には、第1変形例の配線部材5aが示されている。前述したように、金属層Mは放熱経路として利用されるため、厚みが厚い方が放熱性を向上させることができる。
【0053】
このため、図6の第1変形例の配線部材5aでは、金属層Mの厚みを配線層15の厚みよりも厚く設定している。図6において、金属層Mの厚み以外の要素は、前述した図2と同じである。
【0054】
以下、第1変形例の配線部材5aの配線層15及び金属層Mの形成方法について説明する。図7(a)に示すように、まず、前述した図4(a)~図5(a)と同様な工程を遂行する。第1変形例では、めっきレジスト層17の厚みを金属層Mの厚みに対応するように厚く設定する。この時点では、金属めっき層15bは、めっきレジスト層17の開口部17aの深さの途中まで形成される。
【0055】
続いて、図7(b)に示すように、配線層15が配置される領域R1に補助レジストパターン19を形成する。このとき、金属層Mが配置される領域R2では、金属めっき層15bは、補助レジストパターン19から露出した状態となる。
【0056】
次いで、図8(a)に示すように、シード層15a及び金属めっき層15bをめっき給電経路に利用する電解めっきにより、金属層Mが配置される領域R2の金属めっき層15aの上にかさ上げ金属めっき層15cを形成する。このとき、配線層15が配置される領域R1では、金属めっき層15aが補助レジストパターン19で被覆されているため、かさ上げ金属めっき層15cは形成されない。
【0057】
その後に、図8(b)に示すように、補助レジストパターン19及びめっきレジスト層17を除去する。
【0058】
さらに、図8(c)に示すように、かさ上げ金属めっき層15c及び金属めっき層15bをマスクにしてシード層15aをエッチングして除去する。
【0059】
これにより、シード層15a及び金属めっき層15bから配線層15が形成される。また同時に、シード層15a、金属めっき層15b及びかさ上げ金属めっき層15cから金属層Mが形成される。このようにして、配線層15と、配線層15よりも厚みが厚い金属層Mとを形成することができる。
【0060】
第2の変形例の配線部材5aでは、セミアディティブ法で補助レジストパターン19を追加で形成し、電解めっきを2回行う手法により、金属層Mの厚みを配線層15の厚みよりも厚く設定することができる。
【0061】
このようにして、配線層15が電気配線として最適な厚みに設定され、金属層Mが放熱経路及びグランド層として最適な厚みに設定される。例えば、配線層15の厚みは15μm~20μmに設定され、金属層Mの厚みは40μm~50μmに設定される。
【0062】
図9には、第2変形例の配線部材5bが示されている。第2変形例の配線部材5bでは、配線層15はセミアディティブ法で形成され、金属層Mは金属板が接着層29によって絶縁層24に接着されて形成される。
【0063】
以下、第2変形例の配線部材5bの配線層15及び金属層Mの形成方法について説明する。図10(a)に示すように、第2変形例では、前述した図4(a)~図5(a)と同様な工程を遂行することにより、配線層15のみをセミアディティブ法によって形成する。
【0064】
続いて、図10(b)に示すように、配線層15が配置された領域に対応する部分に開口部Mxが設けられた金属板Maを用意する。金属板Maは銅板などから形成され、プレス加工や切削により金属板Maに開口部Mxが形成される。
【0065】
そして、図11に示すように、金属板Maの開口部Mxを配線層15が配置された領域に位置合わせし、金属板Maの下面を接着層29によって絶縁層24の上面に接着する。このようにして、金属板Maの開口部Mx内に配線層15が配置され、金属板Maが金属層Mとして形成される。
【0066】
以上のように、絶縁層24の上に金属層Mを形成する工程は、絶縁層24の上に配線層15を形成することを含み、配線層15を形成した後に、絶縁層24の上に金属板Maを接着して金属層Mを得る。
【0067】
図9に示すように、金属板Maから金属層Mを形成する場合は、金属層Mは、ビア導体によって下側の配線層14には接続されず、電気的にフローティングな状態で形成され、グランド層としては機能しない。
【0068】
第2変形例の配線部材5bでは、配線層15を形成する際に金属層Mの形成を考慮する必要がないため、めっきレジスト層17の厚みを薄くすることにより、微細な配線層15を形成することができる。
【0069】
さらに、金属層Mは金属板Maから形成されるので、セミアディティブ法で配線層15と同時に形成する手法よりも金属層Mの厚みを容易に厚くできるため、放熱性を向上させることができる。
【0070】
例えば、配線層15は厚みが15~20μmの薄膜の微細パターンで形成され、金属層Mは厚みが100μm~200μm程度の厚膜のプレーンパターンで形成することができる。
【0071】
以下の製造方法では、前述した図2の配線部材5を使用して説明する。図12に示すように、第1半導体チップ30を用意し、半導体チップ30の下面(背面)を熱伝導性接着層34によって接着する。
【0072】
第1半導体チップ30は、上面(素子形成面)に接続端子32を備えている。第1半導体チップ30の接続端子32は、例えば、銅などからなる金属パッドであり、保護絶縁層(不図示)の開口部から露出している。
【0073】
第1半導体チップ30は、動作時に発熱する電子部品の一例であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップである。発熱する電子部品としては、CPUチップの他に、GPU(Graphics Processing Unit)チップ、ダイオード素子、又は、メモリチップなどがある。
【0074】
第1半導体チップ30は薄型化されており、その厚みは30μm~100μm、例えば、50μm程度である。
【0075】
これにより、第1半導体チップ30は放熱経路の一部となる金属層Mの上に配置され、半導体チップ30から発する熱が金属層Mに放熱される。このようにして、第1半導体チップの下面(背面)が金属層Mに熱結合される。
【0076】
次いで、図13に示すように、絶縁層24、配線層15、金属層M及び第1半導体チップ30の上に、半硬化状態の絶縁フィルムを真空ラミネータで貼付し、180℃~200℃の温度で加熱処置して硬化させる。
【0077】
これにより、絶縁層24、配線層15及び金属層Mの上に第1半導体チップ30を埋め込む絶縁層25が形成される。絶縁層25は、熱硬化性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などから形成される。
【0078】
あるいは、液状樹脂をスキージなどで塗布することにより、絶縁層24を形成してもよい。
【0079】
この工程では、配線層15及び金属層Mの各厚みが50μm程度で、第1半導体チップ30の厚みが50μm程度の場合は、厚みが100μm~200μmの絶縁フィルムから絶縁層25が形成される。
【0080】
これにより、第1半導体チップ30の全体が絶縁層25で埋め込まれると共に、絶縁層25の上面が平坦になって形成される。絶縁層25は、第1半導体チップ30を埋め込む最低限の厚みで形成される。
【0081】
次いで、図14に示すように、絶縁層25をレーザ加工することにより、配線層15に到達するビアホールVH6を形成する。さらに、過マンガン酸法などによりデスミア処理を行うことにより、ビアホールVH6内の樹脂スミアを除去してクリーニングする。
【0082】
あるいは、感光性樹脂層を形成し、フォトリソグラフィに基づいて感光性樹脂層を露光、現像することにより、ビアホールVH6を備えた絶縁層25を形成してもよい。
【0083】
前述した図2の放熱部材5の絶縁層21,22,23,24、後の工程の絶縁層、及び各ビアホールの形成においても、図13及び図14の方法と同様な方法で形成される。
【0084】
続いて、図15に示すように、ビアホールVH6内のビア導体VC6を介して配線層15に接続される配線層16を形成する。
【0085】
ここで、第1半導体チップ30を十分に埋め込む厚膜で絶縁層25を形成すると、配線層15上の絶縁層25の厚みはかなり厚くなる。このため、配線層15上のビアホールVH6の深さはかなり深くなり、アスペクト比が大きくなる。
【0086】
ビアホールVH6のアスペクト比が大きくなると、ビアホールVH6内にビア導体VC6を埋め込んで配線層16を形成する際に、ビアホールVH6内にボイドが発生するなどして信頼性よく配線層16を形成できなくなる。
【0087】
このため、本実施形態では、配線層15上に2段のスタックドビア構造を配置することにより、配線層15上のビアホールのアスペクト比を低く抑えるようにする。このような理由で、前述したように、絶縁層25は、第1半導体チップ30を埋め込む最低限の厚みで形成される。
【0088】
このようにして、配線層15の上に、2段のスタックドビア構造の一段目のビア導体VC6が配置される。
【0089】
次いで、図16に示すように、絶縁層25及び配線層16の上に絶縁層26を形成する。絶縁層26の厚みは、絶縁層25よりも薄く設定され、例えば、5μm~20μm程度で形成される。
【0090】
その後に、図17に示すように、絶縁層26をレーザ加工することにより、配線層16に到達するビアホールVH7を形成する、また、絶縁層26及び絶縁層25をレーザ加工することにより、第1半導体チップ30の接続端子32に到達するビアホールVH8を形成する。
【0091】
このとき、配線層16上のビアホールVH7は、その下のビア導体VC6によって配線層15からかさ上げされた状態で配置される。このため、配線層16上のビアホールVH7は、第1半導体チップ30の接続端子32上のビアホールVH8と同様に、深さが浅いアスペクト比の小さい形状で形成される。
【0092】
次いで、図18に示すように、絶縁層26の上に配線層17を形成する。配線層17は、ビアホールVH7内のビア導体VC7を介して配線層16に接続される。また、配線層17は、ビアホールVH8内のビア導体VC8を介して第1半導体チップ30の接続端子32に接続される。配線層17が第2配線層の一例である。また、絶縁層25及び絶縁層26が第2絶縁層の一例である。
【0093】
このように、第1半導体チップ30の厚みの影響を最小限にするために、第1半導体チップ30の横方向に配置された配線層15の上に2段のスタックドビア構造を配置することにより、信頼性よく多層配線層を形成することができる。
【0094】
続いて、図19に示すように、絶縁層26及び配線層17の上に絶縁層27を形成する。さらに、絶縁層27をレーザ加工することにより、配線層17に到達するビアホールVH9を形成する。
【0095】
さらに、同じく図19に示すように、絶縁層27の上に、ビアホールVH9内のビア導体VC9を介して配線層17に接続される配線層18を形成する。
【0096】
次いで、図20に示すように、絶縁層27及び配線層18の上に絶縁層28を形成する。さらに、絶縁層28をレーザ加工することにより、配線層18に到達するビアホールVH10を形成する。
【0097】
さらに、同じく図20に示すように、絶縁層28の上に、ビアホールVH10内のビア導体VC10を介して配線層18に接続される配線層19を形成する。
【0098】
その後に、同じく図20に示すように、絶縁層28の上に、配線層19の接続部上に開口部35aが設けられたソルダレジスト層35を形成する。さらに、絶縁層21の下に、配線層11の接続部の下に開口部37aが設けられたソルダレジスト層37を形成する。
【0099】
次いで、図21に示すように、ソルダレジスト層35の上面から絶縁層25の下面までの部分をレーザ加工又はルータなどの機械加工により除去して開口部39を形成する。そして、開口部39に露出する金属層Mの外周部を放熱部材が接続される接続部Mcとする。
【0100】
図22は、図21の構造体の金属層Mと第1半導体チップ30の様子を上側からみた模式的な縮小平面図である。図22では、金属層M及び第1半導体チップ30の上方の各要素は省略されており、最上のソルダレジスト層35の外形だけが示されている。
【0101】
図22に示すように、金属層Mのリング状に繋がった外周部が接続部Mc(斜線ハッチング領域)となっており、接続部Mcは絶縁層25,26,27,28及びソルダレジスト層35(図20)の開口部39に露出している。
【0102】
図20の構造体が多面取りの大型基板の場合は、複数の製品領域が画定されており、図21の工程で大型基板が個々の製品領域に切断される。
【0103】
図22の例では、発熱量の大きな電子部品の熱を十分に放熱するために、金属層Mのリング状の外周部を露出させて面積の大きな接続部Mcを確保しているが、放熱部材と接続できるように金属層Mの所要の一部を露出させて接続部Mcとすればよい。
【0104】
続いて、図23に示すように、下面(素子形成面)に接続端子42を備えた第2半導体チップ40を用意する。そして、第2半導体チップ40の接続端子42を配線層19の接続部にフリップチップ接続する。第2半導体チップ40は、配線層19及び配線層18を介して配線層17(第2配線層の一例)に電気的に接続される。
【0105】
第2半導体チップ40の接続端子42は、例えば、はんだバンプなどのバンプ電極である。さらに、第2半導体チップ40の下側にアンダーフィル樹脂44を充填する。
【0106】
第2半導体チップ40の真下の領域に第1半導体チップ30が配置されるように、第2半導体チップ40が配置される。これにより、第1半導体チップ30と第2半導体チップ40とを平面視で横方向に並べて配置する場合よりも、実装面積を小さくできるため、電子部品内蔵基板の小型化を図ることができる。
【0107】
なお、電子部品内蔵基板の小型化を考慮しない場合は、第1半導体チップ30と第2半導体チップ40とを平面視で相互にずれた位置に配置してもよい。
【0108】
次いで、図24に示すように、放熱部材50を用意する。放熱部材50は、平面視で四角状の天板部52と、天板部52の四辺を支持して下側に突出する4つの側板部54とから形成され、蓋状形状を有する。放熱部材50は金属板をプレス加工又は切削加工することにより製造される。放熱部材50は銅などの熱伝導性が高い金属から形成される。
【0109】
そして、金属層Mの接続部Mcの上に熱伝導性接着層56aを塗布すると共に、第2半導体チップ50の上面(背面)に熱伝導性接着層56bを塗布する。さらに、放熱部材50の側板部54を金属層Mの接続部Mcに位置合わせする。
【0110】
放熱部材50の側板部54の高さは、放熱部材50の側板部54を金属層Mの接続部Mcに接着する際に、天板部52の下面が第2半導体チップ50の上面(背面)に当接するように設定されている。
【0111】
そして、図25に示すように、放熱部材50の側板部54を金属層Mの接続部Mcに熱伝導性接着層56aによって接続する。このとき同時に、放熱部材50の天板部52の下面が熱伝導性接着層56bによって第2半導体チップ50の上面(背面)に接続される。
【0112】
これにより、放熱部材50の側板部54と金属層Mの接続部Mcとが熱結合される。また、放熱部材50の天板部52と第2半導体チップ50の上面(背面)とが熱結合される。
【0113】
金属層Mと放熱部材50とを接続する熱伝導性接着層56aとしては、絶縁性を有するセラミックフィラー入り樹脂が使用される。セラミックとしては、アルミナ又は窒化アルミニウムが使用され、樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はシリコーン樹脂が使用される。
【0114】
あるいは、金属層Mと放熱部材50とが電気的に接続されてもよい場合は、熱伝導性接着層56aとして、半導電性を有する金属ペースト入り樹脂を使用してもよい。金属ペースト入り樹脂の金属は銀(Ag)などからなり、樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はシリコーン樹脂が使用される。
【0115】
また、金属層Mと放熱部材50とが電気的に接続されてもよい場合は、熱伝導性接着層56aとして、導電性を有するはんだを使用してもよい。
【0116】
その他の方法として、熱伝導性接着層56aを使用する代わりに、放熱部材50の側板部54をねじなどによって金属層Mの接続部Mcに機械的に接触させて接続してもよい。
【0117】
また、放熱部材50と第2半導体チップ50とを接続する熱伝導性接着層56bとしては、好適には、セラミックフィラー入り樹脂が使用される。あるいは、第2半導体チップ40の上面(背面)に絶縁層が形成されて十分に絶縁されている場合は、熱伝導性接着剤56bとして、金属ペースト入り樹脂又ははんだを使用してもよい。
【0118】
また同様に、前述した図13の第1半導体チップ30を金属層Mに接続する熱伝導性接着剤34としては、好適には、セラミックフィラー入り樹脂が使用される。あるいは、第1半導体チップ30の下面(背面)に絶縁層が形成されて十分に絶縁されている場合は、熱伝導性接着剤34として、金属ペースト入り樹脂又ははんだを使用してもよい。
【0119】
以上により、実施形態の電子部品内蔵基板1が製造される。
【0120】
図25に示すように、実施形態の電子部品内蔵基板1は、前述した図2で説明した構造の配線部材5を備えている。配線部材5の金属層Mの下の絶縁層24が第1絶縁層の一例である。また、配線部材5の配線層15が第1配線層の一例である。
【0121】
図25の配線部材5はコア基板を有さないコアレス配線部材であるが、ガラスエポキシ樹脂などのコア基板の両面側に多層配線層が形成されたリジッドタイプの配線部材であってもよい。
【0122】
そして、配線部材5の金属層Mの上に第1半導体チップ30の下面(背面)が熱伝導性接着剤34によって接着されて配置されている。第1半導体チップ30は、動作時に発熱する電子部品であり、例えば、CPUチップである。第1半導体チップ30は上面(素子形成面)に接続端子32を備えている。
【0123】
配線層15及び金属層Mの上に第1半導体チップ30を埋め込む絶縁層25が形成されている。絶縁層25には配線層15に到達するビアホールVH6が形成されている。絶縁層25の上には、ビアホールVH6内のビア導体VC6を介して配線層15に接続される配線層16が形成されている。
【0124】
前述したように、第1半導体チップ30を十分に埋め込むように厚膜の絶縁層25を形成すると、絶縁層25に形成されるビアホールVH6のアスペクト比が大きくなり、ビア導体VC6を信頼性よく充填することが困難になる。
【0125】
この対策として、第1半導体チップ30を埋め込む最小限の厚みで絶縁層25を形成し、配線層15の上に2段のスタックドビア構造を形成する。これにより、配線層15上のビアホールVH6のアスペクト比の増大を抑えている。
【0126】
このようにして、配線層15の上に2段のスタックドビア構造の1段目のビア導体VC6が配置されている。
【0127】
また、絶縁層25及び配線層16の上に絶縁層25よりも厚みが薄い絶縁層26が形成されている。絶縁層25及び絶縁層26が第2絶縁層の一例である。
【0128】
そして、絶縁層26には、配線層16に到達するビアホールVH7が形成されている。絶縁層26の上には、ビアホールVH7内のビア導体VC7を介して配線層16に接続される配線層17が形成されている。
【0129】
このようにして、配線層15の上に、1段目の配線層16のビア導体VC6と2段目の配線層17のビア導体VC7とが積層されて2段のスタックドビア構造が構築されている。
【0130】
一方、第1半導体チップ30上の領域では、絶縁層26及び絶縁層25に、第1半導体チップ30の接続端子32に到達するビアホールVH8が形成されている。そして、配線層17がビアホールVH8内のビア導体VC8を介して第1半導体チップ30の接続端子32に接続されている。
【0131】
以上のように、第1半導体チップ30の横方向に配置された配線層15上の領域では、2段のスタックドビア構造によってビアホールのアスペクト比の増大を抑えることで、信頼性よくビア接続を構築することができる。
【0132】
また、絶縁層26及び配線層17の上には絶縁層27が形成されている。絶縁層27には、配線層17に到達するビアホールVH9が形成されている。絶縁層27の上には配線層18が形成されている。配線層18は、ビアホールVH9内のビア導体VC9を介して配線層17に接続されている。
【0133】
また同様に、絶縁層27及び配線層18の上には絶縁層28が形成されている。絶縁層28には、配線層18に到達するビアホールVH10が形成されている。絶縁層28の上には配線層19が形成されている。配線層19は、ビアホールVH10内のビア導体VC10を介して配線層18に接続されている。
【0134】
また、絶縁層28の上には、配線層19の接続部上に開口部35aが設けられたソルダレジスト層35が形成されている。さらに、配線部材5の下面側の絶縁層21の下に配線層11の接続部の下に開口部37aが設けられたソルダレジスト層37が形成されている。
【0135】
また、第2半導体チップ40の接続端子42が配線層19の接続部にフリップチップ接続されている。さらに、第2半導体チップ40の下側にアンダーフィル樹脂44が充填されている。第2半導体チップ40は、動作時に発熱する電子部品の一例であり、例えば、CPUチップである。
【0136】
本実施形態の例では、図25のように、第1半導体チップ30の上に3層の多層配線層(配線層17,18,19)が形成されているが、積層数は任意に設定することができる。そして、第2半導体チップ40は、第1半導体チップ30上の任意の配線層にフリップチップ接続されていてもよい。
【0137】
このように、第2半導体チップ40は、第1半導体チップ30の接続端子32に接続された配線層17(第2配線層の一例)に電気的に接続されている。
【0138】
また、ソルダレジスト層35から絶縁層25,26(第2絶縁層の一例)まで開口部39が形成されており、金属層Mの一部が開口部39内に露出して接続部Mcとなっている。好適には、前述した図22のように、金属層Mのリング状に繋がった外周部が接続部Mcとなる。
【0139】
そして、配線部材5の金属層Mの接続部Mcに放熱部材50が接続されている、放熱部材50は、天板部52と天板部52の四辺を支持して下側に突出する4つの側板部54とから形成される。放熱部材50の側板部54の先端面が熱伝導性接着剤56aによって金属層Mの接続部Mcに接続されている。
【0140】
さらに、第2半導体チップ40の上面(背面)が放熱部材50の天板部52の下面に熱伝導性接着剤56bによって接続されている。
【0141】
第1半導体チップ30は動作時に発熱する特性を有する。第1半導体チップ30から発する熱は、熱伝導性接着剤34を介して金属層Mに伝導し、金属層Mの接続部Mcに配置された熱伝導性接着剤56aを介して放熱部材50に伝導して外部に放熱される。
【0142】
また、第2半導体チップ40においても、動作時に発熱する特性を有する。第2半導体チップ40から発する熱は、熱伝導性接着剤56bを介して放熱部材50に伝導して外部に放熱される。
【0143】
このように、放熱部材50は、絶縁層25に埋め込まれた第1半導体チップ30と、放熱部材50内に収容されてフリップチップ接続された第2半導体チップ40とに熱結合されている。これにより、放熱部材50は、第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40の共通の放熱経路として機能する。
【0144】
第1半導体チップ30が配置された金属層Mに放熱部材50が接続されているため、金属層Mのみを介して外部に放熱する構造よりも放熱性を格段に向上させることができる。
【0145】
これにより、発熱量の大きなCPUチップなどの電子部品を多層配線基板の絶縁層に埋め込んで内蔵させることができる。
【0146】
また、放熱部材50は、四角状の天板部52に側板部54を形成した蓋状形状を有する。このため、最上に配置した第2半導体チップ40の上面(背面)と放熱部材50の天板部52の下面とを接続して、放熱部材50を第2半導体チップ40の放熱経路として兼ねることができる。
【0147】
このように、多層配線基板の内部の金属層Mと放熱部材50とを接続することにより、埋め込まれた第1半導体チップ30と最上の第2半導体チップ40との一体的な放熱経路を構築することができる。
【0148】
図26は、図25を上側からみた模式的な縮小平面図である。図26では、放熱部材50の下側に配置された第2半導体チップ40及び第1半導体チップ30を透視的に示したものであり、多層配線基板の各要素は省略されている。
【0149】
図25図26の平面図を加えて参照すると、第2半導体チップ40の真下の領域に絶縁層25に埋め込まれた第1半導体チップ30が配置されている。これにより、第1半導体チップ30と第2半導体チップ40とを横方向に並べて配置する場合よりも、実装面積を小さくできるため、電子部品内蔵基板の小型化を図ることができる。
【0150】
図26の例では、第1半導体チップ30は、第2半導体チップ40よりも面積が小さく、平面視で第2半導体チップ40内の領域に重なって配置されている。
【0151】
この例の他に、第1半導体チップ30が第2半導体チップ40よりも面積が大きく、平面視で第2半導体チップ40内の領域から第1半導体チップ30の一部がはみ出すように配置されていてもよい。さらには、平面視で第2半導体チップ40内の領域に第1半導体チップ30を複数個で配置してもよい。
【0152】
また、前述した図6の第1変形例の配線部材5aを使用することにより、同様な構造の電子部品内蔵基板を構築することができる。図6の第1変形例の配線部材5aを使用する場合は、金属層Mの厚みが配線層15の厚みよりも厚く設定されるため、第1半導体チッ30から発する熱の放熱性をさらに向上させることができる。
【0153】
図27には、前述した図9の第2変形例の配線部材5bを使用した電子部品内蔵基板1aが示されている。図27の電子部品内蔵基板1aでは、金属層Mが金属板Ma(図10(b))から形成されること以外は、図25の電子部品内蔵基板1と同じであるため、他の要素の説明は省略する。
【0154】
図27の電子部品内蔵基板1aでは、厚みの厚い金属板Maを接着して金属層Mを形成することにより、めっき法で金属層Mを形成する方法よりも放熱性の高い金属層Mを容易に形成することができる。
【0155】
このため、金属層Mの上に発熱量の大きな電子部品を複数個で配置する場合などに信頼性の高い電子部品内蔵基板を構築することができる。
【符号の説明】
【0156】
1…電子部品内蔵基板、5,5a,5b…配線部材、11,12,13,14,15,16,17,18,19…配線層、21,22,23,24,25,26,27,28…絶縁層、29…接着層、30…第1半導体チップ、32,42…接続端子、34,56a,56b…熱伝導性接着剤、35,37…ソルダレジスト層、35a,37a,39,Mx…開口部、40…第2半導体チップ、44…アンダーフィル樹脂、50…放熱部材、52…天板部、54…側板部、M…金属層、Ma…金属板、Mc…接続部、VH1~VH9…ビアホール、VC1~VC10…ビア導体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27