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特許6994502プラズマ処理チャンバ用プラズマスクリーン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-15
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】プラズマ処理チャンバ用プラズマスクリーン
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220106BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220106BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220106BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H05H1/46 A
H01L21/205
H01L21/302 101C
H05H1/46 L
C23C16/455
C23C16/44 B
C23C16/505
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019511414
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2017048170
(87)【国際公開番号】W WO2018039315
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】62/380,151
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ マイケル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ユシフ イマド
(72)【発明者】
【氏名】オマレイ ジョン アンソニー ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ディンドサ ラジンダー
(72)【発明者】
【氏名】ババヤン スティーブン イー
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0005680(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0042982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/455
C23C 16/44
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマスクリーンであって、
中心開口部及び外径を有する円形プレートであって、複数の切欠きが前記円形プレートに貫通形成され、前記複数の切欠きは2つ以上の同心円内に配置され、各同心円内にある前記複数の切欠きの総切欠き面積は実質的に等しい円形プレートを備えるプラズマスクリーン。
【請求項2】
前記切欠きは細長いスロットである、請求項1記載のプラズマスクリーン。
【請求項3】
前記円形プレートは伝導性材料から形成される、請求項1記載のプラズマスクリーン。
【請求項4】
前記円形プレートの1つ以上の外面上に形成されたコーティングを更に備える、請求項3記載のプラズマスクリーン。
【請求項5】
前記中央開口部の周囲に内側リップを更に備え、前記内側リップは1つ以上の結合機構を有する、請求項1記載のプラズマスクリーン。
【請求項6】
前記外径の付近に形成された外側リップを更に備える、請求項1記載のプラズマスクリーン。
【請求項7】
前記円形プレートに積層される下部円形プレートを更に備え、前記下部円形プレートは前記円形プレートの切欠きと合う複数の下部切欠きを含む、請求項1記載のプラズマスクリーン。
【請求項8】
プラズマ処理チャンバであって、
処理領域を画定するチャンバ本体と、
前記処理領域に面する基板支持面を有する基板支持体と、
前記基板支持面の周囲に配置されたプラズマスクリーンであって、前記プラズマスクリーンは中央開口部と貫通形成された複数の切欠きを有する円形プレートを含み、前記円形プレートは前記基板支持体の外側領域と前記チャンバ本体の内面との間の環状エリアを渡って延在し、前記複数の切欠きは2つ以上の同心円内に配置され、各同心円は同数の切欠きを含むプラズマスクリーンとを備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項9】
伝導性ガスケットを更に備え、前記伝導性ガスケットは前記中央開口部の周囲に配置されて前記円形プレートとチャンバコンポーネントとの間に連続的な結合部を形成する、請求項8記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項10】
前記円形プレートは外径の周囲に形成された外側リップを更に備え、前記外側リップはチャンバコンポーネントに取り付けられる、請求項8記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項11】
前記チャンバコンポーネントは、前記処理領域の周囲で前記チャンバ本体の内側に配置されたライナである、請求項10に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項12】
前記プラズマスクリーンは、前記円形プレートと一緒に積層される下部プレートを備え、前記下部プレートは前記複数の切欠きと同一の複数の下部切欠きを有する、請求項8記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項13】
基板を処理する方法であって、
基板をプラズマ処理チャンバ内の基板支持体上に配置するステップと、
前記プラズマチャンバ内の流路を通って1つ以上の処理ガスを流すステップであって、前記流路には基板の周囲に配置された前記プラズマスクリーン内の複数の切欠きが含まれ、前記プラズマスクリーンは前記基板支持体とチャンバ本体との間の環状エリアを渡って延在する円形プレートを有し、前記複数の切欠きは2つ以上の同心円内に配置され、各同心円は同数の切欠きを含むステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記プラズマスクリーンを通るRFリターンパスを提供するステップを更に含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記円形プレートは上面と底面を有し、上面が底面に実質的に平行であり、前記複数の切欠きはこれを貫通してガスを流すことができ、切欠きは細長いスロットであり、各々の切欠きの幅は円形プレートの中心軸から外径まで延びる放射状の線に垂直であり、複数の切欠きは少なくとも3つの同心円内に配置され、複数の切欠きの各々の切欠きは少なくとも3つの同心円のうちの1つだけ内に配置され、3つの同心円の各々の切欠き面積は実質的に等しく、少なくとも3つの同心円の各々内で切欠きは均等に分布し、少なくとも3つの同心円の各々内で少なくとも1つの切欠きは、直近で隣接する同心円内の切欠きと放射状に整列し、
前記プラズマスクリーンは上面、下面、及び第2の厚さを有するリップを含み、リップは前記円形プレート内の中央開口部で形成され、貫通孔がリップを貫通して形成され、貫通孔は中央開口部の周りに同心円状に配置され、切欠きと平行に整列され、貫通孔の各々はファスナを貫通させるように構成され、第2の厚さは第1の厚さよりも大きく、リップの上面と下面は円形プレートの上面に実質的に平行である、請求項1に記載のプラズマスクリーン。
【請求項16】
前記切欠きは開口領域を有し、開口領域はポンプポートの面積の50%を超えて占領し、各々の切欠きは丸い端部を含む、請求項15に記載のプラズマスクリーン。
【請求項17】
前記円形プレートは上面と底面を有し、上面が底面に実質的に平行であり、前記複数の切欠きはこれを貫通してガスを流すことができ、複数の切欠きは少なくとも3つの同心円内に配置され、複数の切欠きの各々の切欠きは少なくとも3つの同心円のうちの1つだけ内に配置され、複数の切欠きは同一形状を有し、3つの同心円の各々の切欠き面積は実質的に等しく、少なくとも3つの同心円の各々内で切欠きは均等に分布し、少なくとも3つの同心円の各々内で少なくとも1つの切欠きは、直近で隣接する同心円内の切欠きと放射状に整列し、複数の切欠きの総面積はポンプポートの53~100%であり、
前記プラズマスクリーンは上面、下面、及び第2の厚さを有するリップを含み、リップは前記円形プレート内の中央開口部で形成され、貫通孔がリップを貫通して形成され、貫通孔は中央開口部の周りに同心円状に配置され、切欠きと平行に整列され、貫通孔の各々はファスナを貫通させるように構成され、第2の厚さは第1の厚さよりも大きく、リップの上面と下面は円形プレートの上面に実質的に平行である、請求項8に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項18】
前記複数の切欠きはこれを貫通してガスを流すことができ、円形プレートは中心開口部及び前記第1の厚さを有し、複数の切欠きは少なくとも3つの同心円内で均等に分布し、少なくとも3つの同心円の各々内で少なくとも1つの切欠きは、直近で隣接する同心円内の切欠きと放射状に整列し、複数の切欠きの各々の切欠きは少なくとも3つの同心円のうちの1つだけ内に配置され、3つの同心円の各々の切欠き面積は実質的に等しく、
前記プラズマスクリーンは第2の厚さを有するリップを含み、リップは前記円形プレート内の中央開口部で形成され、貫通孔がリップを貫通して形成され、貫通孔は中央開口部の周りに同心円状に配置され、切欠きと平行に整列され、貫通孔の各々はファスナを貫通させるように構成され、第2の厚さは第1の厚さよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本開示の実施形態は、半導体基板を処理するための装置及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、プラズマ処理チャンバ内のプラズマスクリーンに関する。
(関連技術の説明)
【0002】
電子デバイス(例えば、フラットパネルディスプレイ及び集積回路)は、一般的に、層が基板上に堆積され、堆積された材料が所望のパターンにエッチングされる一連の処理によって製造される。処理は、一般的に、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、及び他のプラズマ処理を含む。具体的には、プラズマ処理は、処理ガス混合物を真空チャンバに供給し、電力又は電磁力(RF電力)を印加して処理ガスをプラズマ状態に励起させることを含む。ガス混合物は、プラズマにより所望の堆積又はエッチング処理を実行するイオン種に分解される。
【0003】
プラズマ処理中に直面する1つの問題は、処理中に基板表面に亘って均一なプラズマ密度を確立することに伴う困難さであり、これは基板の中央領域とエッジ領域の間での不均一な処理、及び基板間での不均一な処理につながる。
【0004】
本開示の実施形態は、基板内での処理の均一性及び基板間での処理の均一性を改善するために、プラズマ処理チャンバ内で使用されるプラズマスクリーンに関する。
【概要】
【0005】
本開示の実施形態は、改善されたフローコンダクタンスと均一性を有したプラズマ処理チャンバ内で使用されるプラズマスクリーンに関する。
【0006】
一実施形態は、プラズマスクリーンを提供する。プラズマスクリーンは、中央開口部と外径とを有する円形プレートを含む。複数の切欠きが円形プレートに貫通形成される。複数の切欠きが2つ以上の同心円内に配置され、各同心円内の複数の切欠きの全切欠き面積は実質的に等しい。
【0007】
別の実施形態は、プラズマ処理チャンバを提供する。プラズマ処理チャンバは、処理領域を画定するチャンバ本体と、処理領域に面する基板支持面を有する基板支持体と、基板支持面の周囲に配置されたプラズマスクリーンとを含み、プラズマスクリーンは中央開口部と貫通形成された複数の切欠きを有する円形プレートを含み、円形プレートは基板支持体の外側領域とチャンバ本体の内側表面との間の環状エリアを渡って延在する。
【0008】
別の実施形態は、基板を処理するための方法を提供する。本方法は、プラズマ処理チャンバ内の基板支持体上に基板を配置するステップと、プラズマチャンバ内の流路を通して1つ以上の処理ガスを流すステップとを含み、流路には基板の周囲に配置されたプラズマスクリーン内の複数の切欠きが含まれ、プラズマスクリーンは基板支持体とチャンバ本体との間の環状エリアを渡って延在する円形プレートを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の上述した構成を詳細に理解できるように、実施形態を参照して、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明を行い、当該実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含むことができることに留意すべきである。
図1A】本開示の一実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略断面図である。
図1B】プラズマスクリーンを示す図1Aのプラズマ処理チャンバの概略部分斜視図である。
図1C】プラズマスクリーンと他のチャンバコンポーネントとの間の電気的結合機構を示す図1Aの拡大部分図である。
図2A】本開示の一実施形態によるプラズマスクリーンの概略上面図である。
図2B図2Aのプラズマスクリーンの概略側断面図である。
図2C図2Aのプラズマスクリーンの切欠きの一構成を示す図2Aの部分拡大図である。
図2D】切欠きの他の構成を概略的に示す。
図2E】切欠きの他の構成を概略的に示す。
図3A】本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーンの概略部分上面図である。
図3B図3Aのプラズマスクリーンの概略部分側断面図である。
図3C】代替的構成におけるプラズマスクリーンの概略部分上面図である。
図3D図3Cのプラズマスクリーンの概略部分断面図である。
図4A】本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーンの概略上面図である。
図4B図4Aのプラズマスクリーンの概略側断面図である。
図4C】プラズマ処理チャンバ内に設置された図4Aのプラズマスクリーンの概略部分斜視図である。
図4D】プラズマスクリーンと他のチャンバコンポーネントとの間の電気的結合機構を示す図4Cの拡大部分図である。
【0010】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示された要素を、特に説明することなく、別の実施形態で有益に利用してもよいと理解される。
【詳細な説明】
【0011】
本開示は、概して、プラズマ処理チャンバ内で使用されるプラズマスクリーンに関する。本開示によるプラズマスクリーンにより、基板内での処理の均一性及び基板間での処理の均一性の改善が達成される。
【0012】
図1Aは、本開示の一実施形態によるプラズマ処理チャンバ100の概略断面図である。プラズマ処理チャンバ100は、プラズマエッチングチャンバ、プラズマ強化化学気相堆積チャンバ、物理気相堆積チャンバ、プラズマ処理チャンバ、イオン注入チャンバ、又は他の適切な真空処理チャンバとすることができる。
【0013】
プラズマ処理チャンバ100は、ソースモジュール102、処理モジュール104、フローモジュール106、及び排気モジュール108を含むことができる。ソースモジュール102、処理モジュール104、及びフローモジュール106は処理領域112を集合的に取り囲む。オペレーション中、基板116は基板支持アセンブリ118上に配置され、基板116を処理するための処理環境(例えば、処理領域112内で生成されるプラズマ)に曝される。プラズマ処理チャンバ100内で実行することができる例示的な処理は、エッチング、化学気相堆積、物理気相堆積、注入、プラズマアニーリング、プラズマ処理、除害、又は他のプラズマ処理を含むことができる。処理領域112内の真空は、フローモジュール106を通って排気モジュール108から吸引することにより維持される。処理領域112は、中心軸110に関して実質的に対称であり、電流、ガス流、及び熱流を対称的に供給して、均一な処理条件を確立することができる。
【0014】
一実施形態では、図1Aに示すように、ソースモジュール102は誘導結合プラズマ源とすることができる。ソースモジュール102は、外側コイルアセンブリ120及び内側コイルアセンブリ122を含むことができる。外側コイルアセンブリ120及び内側コイルアセンブリ122は、RF(高周波)電源124に接続することができる。ガス入口管126は、中心軸110に沿って配置することができる。ガス入口管126はガス源132に接続され、1つ以上の処理ガスを処理領域112に供給することができる。
【0015】
たとえ誘導プラズマ源が上述されていても、ソースモジュール102は、処理要件に応じて任意の適切なガス/プラズマ源とすることができる。例えば、ソースモジュール102は、容量結合プラズマ源、リモートプラズマ源、又はマイクロ波プラズマ源であってもよい。
【0016】
処理モジュール104は、ソースモジュール102に結合される。処理モジュール104は、処理領域112を取り囲むチャンバ本体140を含むことができる。チャンバ本体140は、処理環境に耐性のある伝導性材料(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)から製造することができる。基板支持アセンブリ118は、チャンバ本体140内に中央配置され、処理領域112内の基板116を中心軸110に関して対称に支持するように配置される。
【0017】
スリットバルブ開口部142はチャンバ本体140に貫通形成され、これにより基板116の通過が可能になる。スリットバルブ144はチャンバ本体140の外側に配置され、スリットバルブ開口部142を選択的に開閉することができる。
【0018】
一実施形態では、上部ライナアセンブリ146をチャンバ本体140の上部内に配置して、チャンバ本体140を処理環境から遮蔽することができる。上部ライナアセンブリ146は、処理に適合した伝導性材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及び/又はイットリア(例えば、イットリア被覆アルミニウム))から構成することができる。
【0019】
フローモジュール106は、処理モジュール104に取り付けられる。フローモジュール106は、処理領域112と排気モジュール108との間に流路を提供する。フローモジュール106はまた、基板支持アセンブリ118とプラズマ処理チャンバ100の外部にある大気環境との間のインタフェースを提供する。
【0020】
フローモジュール106は、外壁160、内壁162、内壁162と外壁160との間を接続する2対以上の径方向の壁164、及び内壁162と2対以上の径方向の壁164に取り付けられた底壁166を含む。外壁160は、径方向の壁164の各対の間に形成された2つ以上の貫通孔171を含むことができる。シャーシ154は、内壁162及び2対以上の径方向の壁164の上方で密封して配置される。基板支持アセンブリ118は、シャーシ154の上方に配置することができる。
【0021】
外壁160及び内壁162は、同心円状に配置された円筒状の壁とすることができる。組み立てられると、外壁160及び内壁162の中心軸は、プラズマ処理チャンバ100の中心軸110と一致する。内壁162、底壁166、径方向の壁164、及びシャーシ154によって、外壁160の内部容積は排気チャネル114と大気容積168とに分割される。排気チャネル114は、処理モジュール104の処理領域112と接続される。
【0022】
排気モジュール108は、対称的なフローバルブ180と、ポンプポート184を介して対称的なフローバルブ180に取り付けられた真空ポンプ182とを含む。対称的なフローバルブ180が排気チャネル114に接続され、プラズマ処理チャンバ100内に対称的で均一なフローが供給される。オペレーション中、処理ガスは流路186に沿って処理チャンバ100内を流れる。
【0023】
基板支持アセンブリ118は中心軸110に沿って配置され、基板116は中心軸110に関して対称に配置される。基板支持アセンブリ118は、シャーシ154によって支持される。基板支持アセンブリ118は、支持プレート174の周囲に配置されたエッジリング150を含むことができる。基板支持ライナ152は、基板支持アセンブリ118の周囲に配置され、基板支持アセンブリ118を処理ケミストリから遮蔽することができる。
【0024】
プラズマスクリーン170は基板支持アセンブリ118の周囲に配置され、プラズマを基板116の上方に閉じ込めることができる。一実施形態では、プラズマスクリーン170を基板支持ライナ152と上部ライナアセンブリとの間の環状容積113の入り口を覆うように配置することができる。プラズマスクリーン170は、ガスフローを処理領域112から環状容積113へ向かわせるように構成された複数の切欠き172を含む。一実施形態では、プラズマスクリーン170をフランジのように上部ライナアセンブリ146に取り付けることができる。
【0025】
図1Bは、プラズマスクリーン170を示すプラズマ処理チャンバ100の概略部分斜視図である。プラズマスクリーン170は、基板支持アセンブリ118に取り付けることができる。プラズマスクリーン170は、中央開口部176と外径178を有する円形プレートとすることができる。複数のネジ孔177を中央開口部176の周囲に形成することができる。プラズマスクリーン170は、複数のネジ192によって基板支持ライナ152に取り付けることができる。ネジ穴177及びネジ192の代わりに他の取付フィーチャを使用することができる。外径178は、上部ライナアセンブリ146の内径194と合うように大きさが決められる。一実施形態では、外径178は、設置中における表面損傷を回避するための設置隙間を有する上部ライナアセンブリ146の内径194より少し小さい。一実施形態では、外径178と内径194との隙間は、約0.135インチとすることができる。
【0026】
プラズマスクリーン170は、プラズマ処理チャンバ100内のRFリターンパスを容易にするために、伝導性材料から形成することができる。例えば、プラズマスクリーン170は、金属(例えば、アルミニウム)から形成することができる。一実施形態では、プラズマスクリーン170は、処理ケミストリに適合する保護コーティングを有することができる。例えば、プラズマスクリーン170は、セラミックコーティング(例えば、イットリアコーティング又はアルミナコーティング)を有することができる。
【0027】
一実施形態では、伝導性ガスケット190をプラズマスクリーン170と基板支持ライナ152との間に配置して、中央開口部176全体の周囲で連続的な電気接続を確保することができる。伝導性ガスケット190は、金属(例えば、アルミニウム、銅、鋼)によって形成することができる。図1Cは、伝導性ガスケット190を示す図1Aの拡大部分図である。図1Cでは、伝導性ガスケット190は、基板支持ライナ152内に形成された溝196内に配置される。代替的に、伝導性ガスケット190は、プラズマスクリーン170内に形成された溝198内に形成されてもよい。代替的に、基板支持ライナ152とプラズマスクリーン170の両方が、伝導性ガスケット190を収容するための溝を含んでもよい。
【0028】
複数の切欠き172がプラズマスクリーン170に貫通形成されることにより、流体がプラズマスクリーン170を貫通して流れることが可能になる。切欠き172の総面積がプラズマスクリーン170を貫通するフロー面積を与える。フロー面積によって、プラズマスクリーン170は、処理チャンバ100内の流体フローの流体コンダクタンスに影響を及ぼすことができる。プラズマスクリーン170を貫通するフロー面積が流路186内の最も狭い面積、典型的にはポンプポート184の面積に等しいか大きい場合、プラズマスクリーン170は処理チャンバ100の流体コンダクタンスに影響を及ぼさない。しかしながら、プラズマスクリーン170を貫通するフロー面積が流路186内の最も狭い面積よりも小さい場合、プラズマスクリーン170は流路186に沿ったガスフローを絞ることになる。一実施形態では、プラズマスクリーン170を貫通する目標フロー面積を得るために、複数の切欠き172の形状及び/又は数量を選択することができる。
【0029】
一方、プラズマスクリーン170のプラズマ保持に関する有効性は、プラズマスクリーン170の伝導性本体の総面積に依存する。伝導性本体の総面積が大きいほど、プラズマスクリーン170はプラズマ保持においてより効果的である。プラズマスクリーン170を貫通するフロー面積を増大させると、プラズマスクリーン170はプラズマ保持効果を低下させ、一方、プラズマスクリーン170を貫通するフロー面積を減少させると、プラズマスクリーンはプラズマ保持効果を一層増大させることができる。処理要件に応じて、チャンバの流体フロー及びプラズマ保持に対する所望の効果を達成するように、切欠き172の形状及び/又は数量を選択することができる。
【0030】
更に、切欠き172を様々なパターンに配置して、目標流体コンダクタンスプロファイルを達成することができる。一実施形態では、切欠き172を均一な流体コンダクタンスを提供するように配置することができる。代替的に、切欠き172を、方位角方向及び/又は半径方向に沿って可変の流体コンダクタンスを有するように配置することができる。可変流体コンダクタンスを使用して、処理チャンバ100内での不均一性を補償して、均一な処理を達成することができる。
【0031】
図1Bでは、切欠き172は、列をなして配置された細長い孔である。一実施形態では、切欠き172は実質的に同一の形状であり、各列に一様に分布している。他の形状及び/又はパターンを使用して、流体フローに対する目標効果を達成することができる。
【0032】
オペレーション中、ガス源132から1つ以上の処理ガスが入口導管126を通って処理領域112に入る。RF電力を外側及び内側コイルアセンブリ120、122に印加して、処理領域112内でプラズマを点火し維持することができる。基板支持アセンブリ118上に配置された基板116はプラズマによって処理される。1つ以上の処理ガスが処理領域112に連続的に供給され、真空ポンプ182は対称的なフローバルブ180及びフローモジュール106を介して動作し、基板116上方に対称かつ均一なガスフローを生成することができる。プラズマスクリーン170内の切欠き172は、処理ガスが処理領域112から環状容積113へ、次いでフローモジュール106内の排気チャネル114へ流れることを可能にする一方で、プラズマスクリーン170の伝導性本体はプラズマを処理領域112内に閉じ込める。
【0033】
図2Aは、本開示の一実施形態によるプラズマスクリーン170の概略上面図である。図2Bは、プラズマスクリーン170の概略側断面図である。プラズマスクリーン170は伝導性本体200を有する。伝導性本体200は厚さ208を有する円形プレートとすることができる。中央開口部176は伝導性本体200に貫通形成される。一実施形態では、伝導性本体200は中央開口部176の周囲にリップ206を有することができる。複数のネジ孔177はリップ206に貫通形成することができる。リップ206は厚さ260を有することができる。厚さ260は伝導性本体200の厚さ208よりも厚い。一実施形態では、厚さ260は厚さ208の約1.5倍から約3.0倍とすることができる。リップ206は複数のネジ穴177に十分な幅266を有することができる。
【0034】
伝導性本体200は、金属(例えば、アルミニウム)で形成することができる。一実施形態では、伝導性本体200はコーティングを含んでもよい。コーティングは、オペレーション中に処理ケミストリに曝される伝導性本体200の全表面上に形成されてもよい。例えば、コーティングは、切欠き172の上面250、下面252、及び壁256上に形成されてもよい。一実施形態では、コーティングは処理ケミストリに適合する保護コーティングであってもよい。一実施形態では、コーティングは、セラミックコーティング(例えば、イットリアコーティング又はアルミナコーティング)であってもよい。
【0035】
図2Bの実施形態では、リップ206は、リップ206の下面264が肩部262を形成する下面252の下方に位置するように、伝導性本体200の下面252から延在している。代替的に、リップ206は伝導性本体200の上面250から延在してもよい。例えば、幅266は5mmから約15mmの間とすることができる。
【0036】
図2Cは、切欠き172の形状及び構成を示すプラズマスクリーン170の部分拡大図である。一実施形態では、切欠き172を丸い端部202及び幅204を有する細長いスロットとすることができる。一実施形態では、複数の切欠き172は実質的に同一の形状とすることができる。複数の切欠き172を3つの同心円216、218、220内に配置してもよい。明細書で3つの同心円が説明されているが、より多くの又はより少ない同心円を使用してもよい。各同心円216、218、220内において、複数の切欠き172をそれぞれスポーク210、212、214によって分離してもよい。一実施形態では、複数の切欠き172を各同心円216、218、220内に均等に分配してもよい。
【0037】
一実施形態では、各同心円216、218、220内の複数の切欠き172の総切欠き面積は実質的に等しい。例えば、各同心円216、218、220内の切欠き172は、同じ形状で同じ数量である。その結果、スポーク210、212、214の寸法は異なる。スポーク212はスポーク210よりも厚く、スポーク214はスポーク212よりも厚い。
【0038】
上述のように、切欠き172が伝導性本体200に貫通形成され、流体コンダクタンスを提供する。プラズマスクリーン170の流体コンダクタンス率は、切欠き172の総面積をポンプポート184の面積又は処理領域112から真空ポンプ182までの最も狭いフロー面積で除算することによって表すことができる。例えば、切欠き172の総面積がポンプポート184の面積以上である場合、プラズマスクリーンの流体コンダクタンス率は100%である。切欠き172の総面積がポンプポート184の面積の50%である場合、プラズマスクリーンの流体コンダクタンス率は50%である。プラズマスクリーン170の流体コンダクタンス率は、切欠き172の総面積を変えることによって変えることができる。切欠き172の総面積は、切欠き172の形状及び/又は数量を変えることによって変えることができる。
【0039】
図2Cの構成において、流体コンダクタンス率100%を得るために切欠き172の寸法及び数量を選択することができ、よってプラズマスクリーン170は処理チャンバ内の流体フローに対して最小限の追加抵抗を与えることになる。
【0040】
図2Dは、本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーン170‘の部分拡大上面図を概略的に示す。プラズマスクリーン170‘が異なる寸法及び数量の切欠き172‘を有することを除いて、プラズマスクリーン170‘はプラズマスクリーン170と同様である。各切欠き172‘は幅204よりも狭い幅224を有する。プラズマスクリーン170内の切欠き172よりも、プラズマスクリーン170‘内の切欠き172‘の方が多い。結果として、プラズマスクリーン170‘は、プラズマスクリーン170よりも低い流体コンダクタンス及びより強いプラズマ保持力を有する。一実施形態では、幅224は幅204の約40%とすることができ、切欠き172‘の数量は切欠き172の数量の2倍であり、結果として、プラズマスクリーン170‘は、プラズマスクリーン170の流体コンダクタンスの82%の流体コンダクタンス率を有する。
【0041】
図2Eは、本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーン170“の部分拡大上面図を概略的に示す。プラズマスクリーン170“が異なる寸法及び数量の切欠き172“を有することを除いて、プラズマスクリーン170“はプラズマスクリーン170、170‘と同様である。各切欠き172“の幅234は、幅204、224よりも狭い。プラズマスクリーン170“内の切欠き172“は、プラズマスクリーン170、170‘内の切欠き172、172‘よりも多い。結果として、プラズマスクリーン170“は、プラズマスクリーン170、170‘よりも低い流体コンダクタンス及びより強いプラズマ保持力を有する。一実施形態では、幅234は、幅204の約16%、及び幅224の40%であり、切欠き172“の数量は、切欠き172の数量の3倍、及び切欠き172‘の数量の1.5倍であり、結果として、プラズマスクリーン170“は、プラズマスクリーン170の流体コンダクタンスの53%、及びプラズマスクリーン170‘の流体コンダクタンスの65%の流体コンダクタンスを有する。
【0042】
プラズマスクリーン170、170‘、170“を、処理要件に応じて、プラズマ処理チャンバ(例えば、プラズマ処理チャンバ100)内で互換的に使用してもよい。
【0043】
上述のプラズマスクリーンは細長い切欠きを有しているが、他の形状(例えば、円形、楕円形、三角形、四辺形、又は任意の適切な形状)の切欠きを使用することができる。たとえ上述の切欠きが同心円内に配置されていても、他のパターンを使用して所望の効果を達成することができる。
【0044】
図3Aは、本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーン300の概略部分上面図である。図3Bは、プラズマスクリーン300の概略部分側断面図である。プラズマスクリーン300は、共に積層された上部プレート302及び下部プレート304を含む。上部プレート302は、平面プレートとすることができる。下部プレート304は、内径付近にリップ312を有することができる。プラズマスクリーン170と同様に、上部プレート302及び下部プレート304の各々は、それを貫通して形成された複数の切欠き306、308を有する伝導性本体を有する。切欠き306、308は、形状が同一であり、同一のパターンで配置されてもよい。図3A図3Bにおいて、上部プレート302の切欠き306は下部プレート304内の切欠き308と位置合わせされている。積層された上部プレート302及び下部プレート304によって、上部プレート302又は下部プレート304のみと比較すると、厚さが増したためにプラズマ保持が改善される。
【0045】
図3Cは、切欠き306が切欠き308と位置合わせされていない場合、代替位置におけるプラズマスクリーン300の概略部分上面図である。図3Dは、図3Cの位置におけるプラズマスクリーン300の概略部分断面図である。図3C、3Dでは、切欠き306、308がずれて配置されているので、下部プレート304内のスポーク310が上部プレート302内の各切欠き306の一部を塞いでおり、それによってプラズマスクリーン300のフロー面積が減少し、フローコンダクタンスが減少する。また、露出したスポーク310により、プラズマ保持の有効性が高まる。
【0046】
プラズマスクリーン300は、処理要件に応じて、図3A図3Bの配置、又は図3C図3Dの配置に構成することができる。
【0047】
図4Aは、本開示の別の実施形態によるプラズマスクリーン400の概略上面図である。図4Bは、プラズマスクリーン400の概略側断面図である。プラズマスクリーン400が、プラズマスクリーン400の外径406付近のチャンバコンポーネントと伝導的に結合することを可能にする外側リップ402を備えていることを除けば、プラズマスクリーン400はプラズマスクリーン170と同様である。図4Bに示すように、外側リップ402は、上面430、下面432、及び上面430と下面432との間の厚さ434を有することができる。厚さ434は、伝導性本体200の厚さ208より厚くてもよい。一実施形態では、厚さ434は、厚さ208の1.5倍から3.0倍であってもよい。
【0048】
一実施形態では、外側リップ402の上面430は、肩部438を形成するために伝導性本体の上面430より低くてもよい。肩部438を使用して、プラズマスクリーン400をチャンバと位置合わせすることができる。
【0049】
一実施形態では、外径406付近でプラズマスクリーン400の上面430上に溝404を形成することができる。溝404は、伝導性ガスケットを収容して、連続的な伝導的結合を確保し及び/又はシールを形成することができる。外側リップ402は、溝404を形成するのに十分な幅436を有することができる。例えば、外側リップ402の幅436は、約5mmから約15mmの間であってもよい。
【0050】
図4Bに示されるように、外側リップ402は、肩部440を形成する伝導性本体200の下面252から下方に延在する。肩部440を使用して、プラズマスクリーン400をプラズマチャンバと位置合わせすることができる。
【0051】
図4Bの実施形態では、ブリッジ部444を、伝導性本体200と外側リップ402との間に接続してもよい。ブリッジ部444を、上面430と下面446との間で画定してもよい。ブリッジ部444は、伝導性本体200の厚さ208と同様の厚さを有してもよい。ブリッジ部444は、肩部442、438を通って伝導性本体200から半径方向外向きに延在してもよい。ブリッジ部444は、重量を増すことなくプラズマスクリーン400の剛性を高めることができる。
【0052】
図4Cは、プラズマ処理チャンバ420内に設置されたプラズマスクリーン400の概略部分斜視図である。プラズマ処理チャンバ420は、プラズマ処理チャンバ100内の上部ライナアセンブリ146が上部ライナ408及び下側ライナ410と交換されていることを除いて、プラズマ処理チャンバ100と同様とすることができる。図4Cに示されるように、プラズマスクリーン400は、中央開口部176付近の複数のネジ192で基板支持ライナ152に、そして外径406付近の上部ライナ408及び下部ライナ410に取り付けてもよい。
【0053】
図4Dは、外径406付近の接続部の図4Cの拡大部分図である。外側リップ402は上部ライナ408と下部ライナ410との間に配置されてもよい。プラズマスクリーン400の肩部438は上部ライナ408の肩部450と位置合わせされている。プラズマスクリーン400の肩部440は下部ライナ410の肩部452と位置合わせされている。一実施形態では、伝導性ガスケット412をプラズマスクリーン400内の溝404内に配置することができる。同様に、導電性ガスケット414をプラズマスクリーン400と下部ライナ410との間に配置することができる。
【0054】
図4Cの構成では、プラズマスクリーン400は上部ライナ408及び下部ライナ410と隙間なく取り付けられているため、プラズマ保持が改善される。更に、プラズマスクリーン400と上部ライナ408、下部ライナ410との間の接続結合部はプラズマ処理チャンバ420内のプラズマに対して連続的かつ対称的なRFリターンパスを提供するので、処理の均一性が一層改善される。
【0055】
代替的に、外側リップ402の上面430は、伝導性本体200の上面250から突き出るか、又は上面250と同一平面上にあってもよく、これによって、上面430は上面250の上方にあるが、外側リップ402の下面432は伝導性本体200の下面252と同一平面上にあるか、又はその下方に下がる。
【0056】
本開示の実施形態によるプラズマスクリーンにより、処理の均一性が改善される。特に、本開示によるプラズマスクリーンにより、長期間、処理領域内での一貫したプラズマ均一性が維持されるので、臨界寸法ドリフト(CDドリフト)オーバータイムが減少し、ウェハ間のばらつきが減少する。プラズマスクリーンはまた、広範なチャンバ圧力下で効果的に機能する。
【0057】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的な範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D