(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-16
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】抗ウイルス性ペプチドおよびその利用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20220106BHJP
C07K 14/145 20060101ALI20220106BHJP
C12N 7/00 20060101ALI20220106BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220106BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/145 ZNA
C12N7/00
A61P31/12
A61K38/16
(21)【出願番号】P 2017193292
(22)【出願日】2017-10-03
【審査請求日】2020-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 礼人
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー小林 菜穂子
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-525042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 19/00
C07K 14/00-825
C12N 7/00-08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の
水胞性口炎ウイルス(VSV)の増殖を抑制する合成ペプチドであって、
以下の(1)および(2)に示すアミノ酸配列:
(1)水胞性口炎ウイルスのG遺伝子にコードされる糖タンパク質のシグナル配列、または、A型若しくはB型インフルエンザウイルスのHA遺伝子にコードされるヘマグルチニンのシグナル配列
であって配列番号1~7のいずれかに示すアミノ酸配列;および
(2)細胞膜透過性ペプチド(CPP)として機能する
配列番号8~25のいずれかに示すアミノ酸配列;
をともに備えることを特徴とする、合成ペプチド。
【請求項2】
総アミノ酸残基数が100以下である、請求項1に記載の合成ペプチド。
【請求項3】
配列番号26~28のいずれかに示すアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の合成ペプチド。
【請求項4】
少なくとも1種の
水胞性口炎ウイルス(VSV)の増殖を抑制する抗ウイルス性組成物であって、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の合成ペプチドと、
薬学上許容され得る少なくとも1種の担体と、
を備える、組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の
水胞性口炎ウイルス(VSV)の増殖を抑制する方法であって、
インビトロにおいて対象物に対して請求項1~
3のいずれか一項に記載の合成ペプチドを少なくとも1回供給することを包含する、
水胞性口炎ウイルス増殖抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドとその利用に関する。詳しくは、幾つかのウイルス種のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列(以下「シグナル配列」ともいう。)と、膜透過性ペプチド配列とを備える人工ペプチドの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
RNAウイルスであるラブドウイルス科(Rhabdoviridae)のベシクロウイルス属(Vesiculovirus)に属する水胞性口炎ウイルス(Vesicular Stomatitis Virus:VSV)は、家畜伝染病の1種である水疱性口炎を引き起こす病原ウイルスである。このため、VSVは家畜の防疫上、重要視されるウイルスである。その一方で、近年はVSVをウイルスベクターとして利用する研究も活発化してきており、標的細胞に目的とするタンパク質を発現させるため、或いは、所定の遺伝子を標的細胞に導入するツールとしても注目されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、ヒトまたはヒト以外の哺乳類のウイルス性疾患の予防や治癒に有効な薬剤(抗ウイルス剤)は現状では限られており、種々のアプローチによって新たな抗ウイルス剤の開発が積極的に進められている。そのようなアプローチの一つとしてウイルスの増殖を阻止し得るあるいは低減させ得る天然由来或いは人為的に作製された抗ウイルス性ペプチドの開発が進められている(例えば特許文献2~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2009/019612
【文献】WO2011/151341
【文献】特開2007-230904号公報
【文献】特開2007-230903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記各特許文献に記載されている抗ウイルス性ペプチドとは異なる構造のペプチドであって、自然界において抗ウイルス性ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なる新たな人工の抗ウイルス性ペプチドを設計することを目的とする。また、本発明により設計された抗ウイルス性ペプチドを製造し、該ペプチドを主成分とする抗ウイルス性組成物(典型的には、薬学的組成物たる抗ウイルス剤あるいは研究用試薬)の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、VSVのG遺伝子にコードされる糖タンパク質(以下「VSV-G糖タンパク質」ともいう。)のアミノ酸配列に着目した。そして、驚くべきことに、当該VSV-G糖タンパク質のシグナル配列と、従来知られた細胞膜透過性ペプチド(cell penetrating peptide:CPP)として機能するアミノ酸配列(以下「CPP配列」ともいう。)とを組み合わせた合成ペプチドが、少なくとも1種のウイルスに対して優れた抗ウイルス活性(典型的には、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制する活性)を有することを見出した。
さらに本発明者は、かかる知見を他のウイルス種にも展開して研究を続け、RNAウイルスであるオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するA型インフルエンザウイルス(Influenza A Virus)またはB型インフルエンザウイルス(Influenza B Virus)のHA遺伝子にコードされるヘマグルチニン(Hemagglutinin)のシグナル配列とCPP配列とを組み合わせた合成ペプチドについても、同様に抗ウイルス活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、ここで開示される合成ペプチドは、少なくとも1種のウイルスに対して抗ウイルス活性を有する抗ウイルス性ペプチドである。
該ペプチドは、以下の(1)および(2)に示すアミノ酸配列:
(1)水胞性口炎ウイルス(VSV)のG遺伝子にコードされる糖タンパク質(VSV-G糖タンパク質)のシグナル配列、または、A型若しくはB型インフルエンザウイルス(Influenza Virus)のHA遺伝子にコードされるヘマグルチニン(hemagglutinin)のシグナル配列、または、上記いずれかのシグナル配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成された改変アミノ酸配列;
(2)細胞膜透過性ペプチド(CPP)として機能するアミノ酸配列;
をともに備えることを特徴とする。
【0008】
好ましい一態様では、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、総アミノ酸残基数が100以下である。製造コスト、合成のし易さ、取扱い性の観点からは、総アミノ酸残基数が50以下(例えば30以下)であるものがさらに好ましい。
或いは、上記(1)に示すアミノ酸配列と(2)に示すアミノ酸配列とを合わせたアミ
ノ酸残基数が、抗ウイルス性ペプチド全体のアミノ酸残基数の80%以上(より好ましくは90%以上、例えば100%)を占めるような合成ペプチドは、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドのうちの特に好適な一態様である。
【0009】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの好適な他の一態様では、上記(1)のシグナル配列が、配列番号1~7のいずれかに示すアミノ酸配列であることを特徴とする。
また、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの好適な他の一態様では、上記(2)のCPPとして機能するアミノ酸配列が、ポリアルギニン(特に限定しないが、典型的には、5個以上9個以下のアルギニン残基から構成される)、または、配列番号8~25のいずれかに示すアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成された改変アミノ酸配列であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド(抗ウイルス性ペプチド)と、薬学上許容され得る少なくとも1種の担体とを備える、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス性の組成物を提供する。
かかる組成物は、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドを含むことにより、抗ウイルス剤としての利用、或いは新たな抗ウイルス剤の開発のための研究材料として利用することができる。
【0011】
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド(抗ウイルス性ペプチド)を、対象物である細胞や組織等に対して(例えば生体外=インビトロにおいて、或いは、生体内=インビボにおいて)、少なくとも1回供給することを特徴とする、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制する方法を提供する。
かかる構成の方法では、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドを対象物に供給することによって、少なくとも1種のウイルス(例えばVSV)の増殖を阻止若しくは抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項(例えばここで開示される合成ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチドの化学合成法、細胞培養技法、ここで開示されるペプチドを成分とする抗ウイルス性組成物の調製に関するような一般的事項)は、細胞工学、生理学、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、遺伝学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、アミノ酸を1文字表記(但し配列表においては3文字表記)で表す。
本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【0013】
本明細書において「人為的に合成されたペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の系(例えば抗ウイルス剤を構成する組成物)の中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。ここで「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されないが、典型的には全アミノ酸残基数が概ね100以下(好ましくは80以下、より好ましくは70以下、特に好ましくは50以下、例えば30以下)のような比較的分子量の小さいものをいう。
また、本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
なお、本明細書中に記載されるアミノ酸配列は、常に左側がN末端側であり右側がC末端側である。
【0014】
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「改変アミノ酸配列」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する機能(例えば抗ウイルス活性や細胞膜透過性能)を損なうことなく、1個から数個(典型的には9個以下、好ましくは5個以下)のアミノ酸残基、例えば、1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個、2個又は3個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列:例えばリジン残基とアルギニン残基との相互置換)、或いは、所定のアミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいうところの改変アミノ酸配列に包含される典型例である。
従って、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドの具体例には、後述する各配列番号のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列で構成される合成ペプチドに加え、各配列番号のアミノ酸配列において1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換(典型的には同類置換)、欠失又は付加された改変アミノ酸配列であって当該配列番号のアミノ酸配列と同様に抗ウイルス活性を示す改変アミノ酸配列からなる合成ペプチドが包含される。
【0015】
ここで開示される人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドは、天然には存在しない短鎖のペプチドであり、上記2種のアミノ酸配列、即ち、
(1)VSV-G糖タンパク質のシグナル配列、または、A型若しくはB型インフルエンザウイルスのHA遺伝子にコードされるヘマグルチニンのシグナル配列、または、上記いずれかのシグナル配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が同類置換されて形成された改変アミノ酸配列;
(2)CPPとして機能するアミノ酸配列;
をともに備えることで特徴付けられるペプチドである。
VSV-G糖タンパク質は、膜貫通型のI型糖タンパク質であり、現在では「レトロウイルスベクター」におけるエンベロープを構成する糖タンパク質として利用されている。しかしながら、VSV-G糖タンパク質のシグナルペプチド領域が、抗ウイルス活性を有することは見出されておらず、かかるシグナルペプチド領域のアミノ酸配列を合成し、該配列にCPPを付加することにより、人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドが得られることは、本願出願当時、全く想定されていないことであった。
【0016】
同様に、A型およびB型インフルエンザウイルスのHA遺伝子にコードされるヘマグルチニンは、ウイルス粒子の表面に存在して宿主細胞に感染する際に重要な役割を果たす糖タンパク質であることは周知であるが、当該ヘマグルチニンのシグナルペプチド領域が抗ウイルス活性を有することは見出されておらず、かかるシグナルペプチド領域のアミノ酸配列を合成し、該配列にCPPを付加することにより、人為的に合成された抗ウイルス性ペプチドが得られることは、本願出願当時、全く想定されていないことであった。
【0017】
なお、VSV-G糖タンパク質ならびにA型およびB型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのアミノ酸配列情報は、種々の公的な国際機関の知識ベース(データベース)にアクセスすることにより容易に取得することができる。例えば、Universal Protein Resource (UniProt)のデータベース(UniProtKB)において登録されているこれらの糖タンパク質の全アミノ酸配列情報ならびにシグナルペプチド領域のアミノ酸配列の情報を、誰でも容易に得ることができる。
【0018】
特に限定するものではないが、配列番号1~7は、上記VSV-G糖タンパク質ならびに上記ヘマグルチニンのシグナル配列の好適例を示す。具体的には以下のとおりである。
配列番号1は、単離された1種のVSV(Vesicular stomatitis New Jersey virus)のVSV-G糖タンパク質に含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P04882)。
配列番号2は、単離された1種のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P03437)。
配列番号3は、単離された1種のB型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに含まれる計15アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P03460)。
配列番号4は、単離された1種のVSV(Vesicular stomatitis Indiana virus)のVSV-G糖タンパク質に含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P04884)。
配列番号5は、単離された1種のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P03440)。
配列番号6は、単離された1種のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P03435)。
配列番号7は、単離された1種のA型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに含まれる計16アミノ酸残基からなるシグナル配列である(UniProtKB - P03439)。
【0019】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドを構築するために使用されるCPPとして機能するアミノ酸配列として、従来公知の種々のCPPを採用することができる。例えば、3個以上、好ましくは5個以上であって11個以下、好ましくは9個以下のアルギニン残基からなる、いわゆるポリアルギニン(Rn)は、ここで用いられるCPPとして好適である。その他、公知である種々のCPPを採用することができる。
【0020】
特に限定するものではないが、配列番号8~25にCPPの好適例を示す。具体的には、以下のとおりである。
配列番号8のアミノ酸配列は、FGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子)由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLS(核小体局在シグナル:Nucleolar localization signal)に対応する。
配列番号9のアミノ酸配列は、核小体タンパク質の1種(ApLLP)由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号10のアミノ酸配列は、HSV-1(単純ヘルペスウイルス タイプ1)のタンパク質(γ(1)34.5)由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号11のアミノ酸配列は、HIC(human I-mfa domain-containing protein)のp40タンパク質由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号12のアミノ酸配列は、MDV(Marek病ウイルス)のMEQタンパク質由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号13のアミノ酸配列は、アポトーシスを抑制するタンパク質であるSurvivin- deltaEx3由来の合計17アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号14のアミノ酸配列は、血管増殖因子であるAngiogenin由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号15のアミノ酸配列は、核リンタンパク質であってp53腫瘍抑制タンパク質と複合体を形成するMDM2由来の合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号16のアミノ酸配列は、ベータノダウイルスのタンパク質であるGGNNVα由来の合計9アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号17のアミノ酸配列は、NF-κB誘導性キナーゼ(NIK)由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号18のアミノ酸配列は、Nuclear VCP-like protein由来の合計15アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号19のアミノ酸配列は、核小体タンパク質であるp120由来の合計18アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号20のアミノ酸配列は、HVS(ヘルペスウイルスsaimiri)のORF57タンパク質由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号21のアミノ酸配列は、細胞内情報伝達に関与するプロテインキナーゼの1種であるヒト内皮細胞に存在するLIMキナーゼ2(LIM Kinase 2)の第491番目のアミノ酸残基から第503番目のアミノ酸残基までの合計13アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号22のアミノ酸配列は、IBV(トリ伝染性気管支炎ウイルス:avian infectious bronchitis virus)のNタンパク質(nucleocapsid protein)に含まれる合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号23のアミノ酸配列は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)のTATに含まれるタンパク質導入ドメイン由来の合計9アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号24のアミノ酸配列は、上記TATを改変したタンパク質導入ドメイン(PTD4)の合計11アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号25のアミノ酸配列は、ショウジョウバエ(Drosophila)の変異体であるAntennapediaのANT由来の合計18アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
これらのうち、特にNoLSやTATに関連するアミノ酸配列(又はその改変アミノ酸配列)が好ましい。例えば、配列番号21や配列番号22に示すようなNoLS関連のCPP配列、或いは配列番号23~25のTATやANT関連のCPP配列は、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドを構築するために好適に用いることができる。
【0021】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドのペプチド鎖(アミノ酸配列)は、上記(1)に示すアミノ酸配列(以下「(1)抗ウイルス性シグナル配列」と総称する。)、および、上記(2)に示すアミノ酸配列(以下「(2)CPP配列」と総称する。)を備えておればよく、(1)抗ウイルス性シグナル配列と(2)CPP配列のいずれが相対的にN末端側(C末端側)に配置されていてもよい。
(1)抗ウイルス性シグナル配列と(2)CPP配列とが、実質的に隣接して配置されていることが好ましい。具体的には、(1)抗ウイルス性シグナル配列と(2)CPP配列との間に、両配列部分に包含されないアミノ酸残基が存在しない、或いは、存在していても該アミノ酸残基数は10個以下(より好ましくは5個以下、例えば1個か2個のアミノ酸残基)程度が好ましい。
【0022】
また、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制し得る抗ウイルス活性を失わない限りにおいて、(1)抗ウイルス性シグナル配列と(2)CPP配列を構成するアミノ酸配列以外の配列(アミノ酸残基)部分を含み得る。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下が適当であり、80以下が好ましく、70以下(例えば30前後から50前後程度のペプチド鎖)が好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に抗ウイルス性ペプチドを提供することができる。特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。
【0023】
合成したペプチド全体のアミノ酸残基数に対する(1)抗ウイルス性シグナル配列と(2)CPP配列を合わせたアミノ酸残基数の占める割合は、抗ウイルス性活性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は概ね80%以上が望ましく、90%以上が好ましい。なお、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗ウイルス活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
【0024】
好ましくは、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、合成ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させることができる。
【0025】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、市販のペプチド合成機を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
【0026】
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて抗ウイルス性ペプチドを生合成してもよい。すなわち、所望する抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を合成する。そして、合成したポリヌクレオチド(DNA)と該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチドを単離し、必要に応じてリフォールディング、精製等を行うことによって、目的の抗ウイルス性ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0027】
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の(株)セルフリーサイエンスから入手可能)が市販されている。
【0028】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗ウイルス性ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。また、ポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
こうして得られるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗ウイルス性ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
【0029】
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも1種のウイルスに対して高い抗ウイルス活性を有する。例えば、VSV、或いは他のラブドウイルス科に属するウイルスのような、ゲノムが1本鎖RNAであるウイルスに対して高い抗ウイルス活性を発揮し得る。例えば、この種のウイルスの感染症の治療や予防、例えば口腔内洗浄(うがい)や目の洗浄、等の目的に用いられ得る。
なお、抗ウイルス性組成物(抗ウイルス剤)に含有される抗ウイルス性ペプチドは、抗ウイルス活性を損なわない限りにおいて、塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。或いは、抗ウイルス活性を有する限り、他の塩(例えば金属塩)であってもよい。従って、本明細書及び特許請求の範囲に記載の「ペプチド」は、かかる塩形態のものを包含する。
【0030】
ここで開示される抗ウイルス性組成物は、有効成分である抗ウイルス性ペプチドの抗ウイルス活性を失わない限りにおいて、使用形態に応じて薬学(医薬)上許容され得る種々の担体を含み得る。例えば、希釈剤、賦形剤等としてペプチド系医薬において一般的に使用される担体を適用し得る。
ここで開示される抗ウイルス性組成物の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。或いはリポソームであってもよい。また、抗ウイルス性組成物に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
抗ウイルス性組成物(抗ウイルス性剤)の典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏、水性ジェル剤等が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、抗ウイルス性ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の組成物(薬剤)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。この書籍の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
【0031】
ここで開示される抗ウイルス性組成物(抗ウイルス剤)は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、比較的高い濃度のカチオン、塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても抗ウイルス活性を維持し得る。従って、ここで開示される抗ウイルス性組成物は、カチオン、塩類や血清等が存在する系(場)での使用に好適である。例えば、本発明によって提供される抗ウイルス性組成物は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。
或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の洗浄目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1~100mg/mL)の抗ウイルス性ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
【0032】
また、抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、抗ウイルス性ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る抗ウイルス性ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の抗ウイルス性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、ウイルス感染を予防し又は治療する薬剤として有用である。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時のウイルス感染を防止することは重要である。ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が極めて低く、少なくとも1種のウイルスに対して選択的に抗ウイルス作用を示し得る。このため、培養臓器等のウイルス感染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、後述する実施例に示すように、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドを適当な濃度で培養液中に含有することによって、培養中の臓器、組織、細胞等へのウイルス感染を防止する、或いは宿主中でのウイルス増殖を抑制することができる。
【0033】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0034】
【0035】
<試験例1:ペプチドの合成およびペプチド含有培地の調製>
表1に示す計3種のペプチドを市販のペプチド合成機を用いて製造した。具体的には次のとおりである。
サンプル1は、(1)抗ウイルス性シグナル配列として配列番号1に示すアミノ酸配列(VSV-G糖タンパク質のシグナル配列)を使用し、そのC末端側に(2)CPP配列として配列番号21のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2のNoLS)を含む合成ペプチドである。
サンプル2は、(1)抗ウイルス性シグナル配列として配列番号2に示すアミノ酸配列(A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのシグナル配列)を使用し、そのC末端側に(2)CPP配列として配列番号21のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2のNoLS)を含む合成ペプチドである。
サンプル3は、(1)抗ウイルス性シグナル配列として配列番号3に示すアミノ酸配列(B型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのシグナル配列)を使用し、そのC末端側に(2)CPP配列として配列番号21のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2のNoLS)を含む合成ペプチドである。
【0036】
上記サンプル1~3のペプチドはいずれも市販のペプチド合成機を用いてマニュアルどおりに固相合成法(Fmoc法)を実施して合成した。なお、ペプチド合成機の使用態様自体は本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。全ての合成ペプチドにおいて、C末端アミノ酸のカルボキシル基(-COOH)はアミド化(-CONH2)されている。
合成した各サンプルのペプチドは、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かし、各サンプルペプチドのストック液(濃度2.5mM)を調製した。
次いで、0.3%のウシ血清アルブミン(BSA)、100U/mLのペニシリン、0.1mg/mLのストレプトマイシンを含むイーグル最小必須培地(MEM)に対して上記いずれかのサンプルペプチドのストック液を適量供給し、10μMまたは50μMの濃度で上記いずれかの合成ペプチドを含む供試ペプチド含有MEMを調製した。また、コントロールとして何れのサンプルペプチドも含まないコントロールMEMも用意した。
【0037】
<試験例2:各合成ペプチドの抗ウイルス活性の評価試験>
各サンプルの合成ペプチドについて、抗ウイルス活性(ウイルス増殖抑制効果)を調べた。本試験例では、対象ウイルスとしてIndiana型VSV(Vesicular stomatitis Indiana virus)を使用し、TCID50法に基づいて力価(感染価)を測定した。具体的には以下のとおりである。
先ず、予め入手しておいた上記供試ウイルス(Indiana型VSV)を適宜希釈し、感染価が103TCID50/mLであるウイルス液を調製した。
予め市販の6ウェルプレートにてMDCK細胞(イヌ腎臓上皮細胞)を培養しておき、各培養ウェル内に上記感染価のウイルス液1mLを接種した。接種後1時間ほど37℃にてインキュベートし、その後、各ウェルから接種したウイルス液を除去し、PBSで各ウェルを1回洗浄した。
次いで、各ウェルに、上記調製したいずれかの供試ペプチド含有MEM、若しくはコントロールMEMを、ウェルあたり2mL供給し、35℃で培養した。
【0038】
培養を開始してから24時間経過後、各ウェルから上清を回収し、ウイルス感染させていないMDCK細胞を用いて公知の一般的なプラークアッセイを実施した。結果を表2に示す。表2中においてウイルス感染価(ウイルス力価)は、log10PFU/mLの数値として示している。この値が低いほどウイルス感染力が低いことを示している。
【0039】
【0040】
表2に示すウイルス感染価の対数値から明らかなように、サンプル1~3の何れのペプチドについても、50μMペプチド濃度でのアッセイの結果、供試VSVに対して良好な抗ウイルス活性(ウイルス増殖抑制効果)を示した。
この結果より、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドは、少なくとも1種の標的とするウイルスに対して抗ウイルス活性を発揮し得ることが確かめられた。なお、いずれのサンプルペプチドについても細胞毒性は認められなかった。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本実施例では、(1)抗ウイルス性シグナル配列として配列番号1~3に示すものを採用しているが、他の既知の(1)抗ウイルス性シグナル配列(例えば配列番号4~7に示すもの)或いはそれらの改変配列を採用してもよい。また、本実施例では、(2)CPP配列として配列番号21に示すものを採用しているが、他の既知の(2)CPP配列(例えば配列番号8~20,22~25に示すもの)を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したように、ここで開示される抗ウイルス性ペプチドによると、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制する(またはウイルス感染を防止する)ことができる。このため、本発明によって提供される抗ウイルス性ペプチドを使用することによって、少なくとも1種のウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス性組成物(抗ウイルス剤)を提供することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0043】
配列番号1~28 ペプチド
【配列表】