(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】流動化顆粒吸収層フィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 53/12 20060101AFI20220107BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B01D53/12
F24F7/06 C
(21)【出願番号】P 2019553836
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 US2018032730
(87)【国際公開番号】W WO2018213285
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2019-09-30
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】モールトン、タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ブリット、ジェームズ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-100626(JP,U)
【文献】特開平01-288336(JP,A)
【文献】特開昭61-061618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0110510(US,A1)
【文献】米国特許第04917862(US,A)
【文献】特開2001-198433(JP,A)
【文献】実開昭52-164148(JP,U)
【文献】特公昭45-014886(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/04-53/18、
53/34-53/96
A61L 9/00- 9/22
B01J 20/00-20/28、
20/30-20/34
F24F 7/06、 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流から汚染物質を除去するように適合されたフィルタであって、
2つ以上のセルであって、各セルは、セル入口とセル出口との間に延びる複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁と入口と出口との間に体積を有する、前記2つ以上のセルと、
各セルを通過する流体流に応答して、複数の個別顆粒が前記2つ以上のセルの各々の体積内を移動することを可能にする緩い様式で、前記2つ以上のセルの各々の体積内に含まれる複数の個別顆粒を含む粒状フィルタ媒体と、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル入口と流体連通する導入流路と、を備え、
前記導入流路は、第1の流れ方向に移動する流体流を受け取り、前記2つ以上のセルのうちの1つを通る流れのために前記流体流の方向を上向きに変更可能であ
り、
前記フィルタは、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル出口と流体連通する排出流路をさらに備え、
前記排出流路は、前記2つ以上のセルのうちの1つから流れる気体流体を受け取り、前記流れの方向を前記第1の流れの方向と同じ方向に変更するように構成されている、フィルタ。
【請求項2】
前記複数の個別顆粒は、前記セルを通る流体の上向きの流れによって個別セル内で流動化される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記2つ以上のセルを含むアレイを備え、
前記アレイは、
深さの方向に平行に整列された複数のセルを有する反復配列を有する複数のセルの層を含み、前記複数のセル入口の領域は、平面上で整列されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記アレイと、周囲を画定するように延在するフレームと、を備え、
前記アレイは、前記周囲内で前記フレームによって支持され、前記アレイの複数のセルは、体積が実質的に均一であり、深さが実質的に均一である、請求項
3に記載のフィルタ。
【請求項5】
2つ以上のセル入口の各々における多孔質入口カバーであって、流体を前記セル内に通過させることができ、前記セル入口において前記セル内に複数の顆粒を含有させることができる前記多孔質入口カバーと、
2つ以上のセル入口の各々における多孔質出口カバーであって、流体を前記セルから排出させることができ、前記セル出口において前記セル内に複数の顆粒を含有させることができる前記多孔質出口カバーと、を備える請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記複数の個別顆粒は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、ゼオライト、金属酸化物、塩、天然活性炭、合成活性炭、およびそれらの組み合わせの複数の顆粒から選択される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記複数の個別顆粒は、化学的にコーティングされた炭素および化学的にコーティングされたポリマーから選択され、
前記化学的なコーティングは、ヨウ化物溶液、水酸化物溶液、塩化亜鉛、炭酸塩溶液、重炭酸塩溶液、アミン、クエン酸、リン酸、シュウ酸、または硫酸を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第1の流れ方向は、下向きである、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記2つ以上のセル、前記導入流路、および前記排出流路は、前記2つ以上のセルの深さの方向に平行に整列されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
気体流体の流れから汚染物質を除去するシステムであって、
気体流体の流れを案内するダクトと、
気体流体の流れをフィルタアセンブリを通って流すために、ダクトと流体連通し、気体流体の流れの中に取り外し可能なフィルタアセンブリを配置する空間と、
前記空間内の取り外し可能なフィルタアセンブリと、を備え、
前記取り外し可能なフィルタアセンブリは、
2つ以上のセルであって、各セルは、セル入口とセル出口との間に延びる複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁と入口と出口との間に体積を有する、前記2つ以上のセルと、
各セルを通過する気体流体の流れに応答して、複数の個別顆粒が前記2つ以上のセルの各々の体積内を移動することを可能にする緩い様式で、前記2つ以上のセルの各々の容積内に含まれる複数の顆粒を含む粒状フィルタ媒体と、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル入口と流体連通する導入流路と、を備え、
前記導入流路は、第1の流れ方向に移動する流体流を受け取り、前記2つ以上のセルのうちの1つを通る流れのために前記流体流の方向を上向きに変更可能であり、
前記取り外し可能なフィルタアセンブリは、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル出口と流体連通する排出流路をさらに備え、
前記排出流路は、前記2つ以上のセルのうちの1つから流れる気体流体を受け取り、前記流れの方向を前記第1の流れの方向と同じ方向に変更するように構成されている、システム。
【請求項11】
流体流から汚染物質を除去する方法であって、
フィルタを提供することであって、
2つ以上のセルであって、各セルは、セル入口とセル出口との間に延びる複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁と入口と出口との間に体積を有する、前記2つ以上のセルと、
各セルを通過する気体流体の流れに応答して、複数の個別顆粒が前記2つ以上のセルの各々の容積内を移動することを可能にする緩い様式で、前記2つ以上のセルの各々の体積内に含まれる複数の個別顆粒を含む粒状フィルタ媒体と、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル入口と流体連通する導入流路であって、第1の流れ方向に移動する流体流を受け取り、前記2つ以上のセルのうちの1つを通る流れのために前記流体流の方向を上向きに変更可能である前記導入流路と、を含む前記フィルタを提供すること、
2つ以上のセルに流体を流して、複数の顆粒を気体流体の流れの中で流動化させること、を備え、
前記フィルタは、
前記2つ以上のセルのうちの1つのセル出口と流体連通する排出流路をさらに含み、
前記排出流路は、前記2つ以上のセルのうちの1つから流れる気体流体を受け取り、前記流れの方向を前記第1の流れの方向と同じ方向に変更するように構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ製品およびフィルタ製品の使用方法に関し、フィルタ製品は複数の個別セルを含み、各セルはセル内に含まれる粒状フィルタ媒体を含み、粒状フィルタ媒体はセルにおいて上向きの気体流体の流れによって流動化される。
【背景技術】
【0002】
気体および液体の流体流のフィルタリングは、現代世界において多くの重要な用途を有する技術分野である。複数の例は、汚染防止、有害物質のフィルタリング、および商業的製造用途での液体および気体の流れの微粒子除去および汚染除去された流れの提供を含む。
【0003】
半導体処理およびマイクロエレクトロニクス産業、および他の製造業では、「クリーンルーム」は、大気を含む高度に浄化された環境を含む場所である。マイクロエレクトロニクスおよび半導体製造産業で使用されるクリーンルーム用途のために、クリーンルーム環境の空気は、フィルタを使用して連続的に処理され、「浮遊分子汚染(airborne molecular contamination:AMC)」または「浮遊分子汚染物質(airborne molecular contaminant)」の形態をとる汚染物質だけでなく、様々なタイプの微粒子汚染物質を除去する。
【0004】
AMCは、概して、汚染物質が粒子以下、すなわち、分子サイズであることを意味する分子スケールで、気体流体、特に空気中に存在する汚染物質であると考えられる。分子スケールの汚染物質は典型的には、クリーンルームに存在する処理物質などのアイテムに由来する気体状の雰囲気に拡散または蒸発された化学物質である。AMCは、任意の化学組成、例えば、任意の無機または有機化学化合物、イオンなどを有する。半導体処理およびマイクロエレクトロニクス産業に存在するクリーンルーム環境において、浮遊分子汚染として存在する典型的な分子は、酸または塩基化合物、界面活性剤、ポリマー添加剤、有機金属化合物(例えば、触媒)、ドーパント、酸化剤、有機溶媒などの揮発性有機化合物(volatile organic compounds : VOC)などの有機または無機分子を含む。これらの汚染物質の主な発生源は、クリーンルームで使用されるプロセス化学物質を含み得る。マイクロエレクトロニクスデバイスおよび半導体デバイスを処理するためのクリーンルームにおけるこれらのタイプの浮遊分子汚染物質の存在の望ましくない影響は、汚染物質と製造過程のマイクロエレクトロニクスデバイスまたは半導体材料の表面との間の様々な望ましくない反応または影響、例えば、製造過程のウェハ、回路基板、ツール、または器具などの表面の腐食と、ドーピングエラーと、核形成エラーと、リソグラフィプロセスに関連する欠陥と、ウェハ、光学機器、レンズの曇りと、製造時の歩留まり低下または精密な製造設備の損傷を引き起こす可能性のある他の多くの問題と、を含む。
【0005】
現在、クリーンルーム環境から浮遊分子汚染物質を除去するために使用される非常に一般的な方法の1つは、浮遊分子汚染物質の複数の分子が吸着する複数の吸着剤粒子を含む分子フィルタを提供することである。複数の吸着剤粒子は、フィルタ内の比較的静的な状態で、フィルタの通気性構造内に保持される。汚染物質を含む空気は、フィルタを通過して、空気が複数の吸着剤粒子の利用可能な表面の周りを流れて通過することを可能にする。浮遊分子汚染物質を含む空気をフィルタを通過させることにより、空気中の浮遊汚染物質が静的に保持された複数の吸着剤粒子の表面に接触して、粒子の表面上に吸着される。これらの目的のための最も一般的なフィルタ構造は、繊維状、多孔性、例えばスポンジ状「ロフト(loft)」を含むような繊維状物質の適所に保持された活性炭の粒子のような粒状フィルタ媒体を含むプリーツ型フィルタ構造(pleated filter construction)であり、その「ロフト」物質は、二つの外側繊維層、例えば繊維スクリムの間の内層として挟まれている。これらの多層フィルタ構造はまた、粒状吸着剤層、ロフト層、およびスクリム層を適所に保持するための量の接着剤を含む。
【0006】
これらのフィルタ構造は、商業的に使用するには十分有効であるが、それらの構造に基づいた特定の欠点を示す。例えば、接着剤の必要性によって、接着剤が複数の吸着剤粒子の表面に接触する程度まで、フィルタリング効率を低下させ、複数の吸着剤粒子の表面が接着剤で覆われている場合、それらの表面は、フィルタを通過する如何なる分子汚染物質を吸着することができない可能性ある。さらに、プリーツ型構成は、複数の吸着剤粒子を横切る空気の流れの分布を均等にせず、プリーツ型フィルタの折り目において空気流を減少させ、複数の吸着剤粒子の領域に一貫性のない濃度負荷を生じさせる。
【0007】
改良されたフィルタ及び改良されたフィルタリング方法のために、産業、製造、及び商業及び消費者向け技術の全ての分野において継続的なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、新規性および進歩性を有するフィルタ製品、および新規性を有するフィルタ製品の使用方法に関する。本開示のフィルタは複数のセルを含み、各セルは粒状フィルタ媒体(本明細書では「粒状フィルタ媒体(granular filter media)」、「粒状フィルタの複数の粒子(granular filter particles)」または単に「複数の粒子」と呼称されることもある)を含む。粒状フィルタ媒体の量は、粒状フィルタ媒体が、セルを通過する流体の流れに応答して、セル内を自由に移動可能にするように、フィルタの各セル内に制限されずに含まれる。より詳細には、各個別セルは、重力の反対を意味する上向きの気流速度の成分を含む方向を意味する上向きに流体の流れが個別セルを通過する際に個別セル内で流動化される粒状フィルタ粒子の集合体を含む。
【0009】
使用において、フィルタの複数のセルを通って上向きに流れる流体は、各セルに含まれる複数の粒子の表面に接触して通過し、複数の個別セルの各々の複数の粒子を流体流の中で「流動化(fluidized)」することができ、すなわち、セル、複数の粒子、および流体流は、「流動層(fluidized bed)」または「循環流動層(circulating fluidized bed)」(またはCFB)を構成する。具体的には、セルに含まれる複数の個別粒子は、粒子を通って上向きに流れる流体の力によって(重力に逆らって)浮遊する自由に動く複数の粒子となる。
【0010】
その後、流体流を処理するために使用される複数の粒子の複数の流動層は、単一の体積内に複数の粒子の大きな集合体を含む単一の比較的大きな容器(vessel)内の複数の浮遊粒子の形態であり、この体積を通って特定の量の流体が流れて体積内の複数の粒子を流動させる。例えば、米国特許第6,440,198号を参照されたい。容器は、気体処理システムの交換不可能な構造体であってもよいが、単一の、分割されていない内部体積内に複数の粒子の集合体を含み、これにより、複数の粒子を体積から除去し、例えば、複数の粒子の使用中または使用量後に交換され得る。
【0011】
対照的に、本開示の新規性および進歩性を有するフィルタ生成物は、単一フィルタ構造内に複数のセルを含み、各セルは、流体流において流動化される粒状フィルタの複数の粒子の集合体を含有する。これらのフィルタは、複数の小さな個別「循環流動層(circulating fluidized bed)」(CFB)の複数のセルを提供し、各々、使用中に個別循環流動層を含み得る。過去の流動層気体処理方法と比較して、また、従来のフィルタの使用と比較して、本開示のフィルタの使用には、流動化媒体の複数の粒子の使用による流体流の処理の改善された効率と、従来のフィルタ構成および置換可能な「パネル(panel)」または「フレーム(frame)」型フィルタアセンブリの形態の同等の置換可能なフィルタアセンブリを使用することの容易性および利便性を有して、流動化層型フィルタを操作し、置換し、または交換する能力とを含む様々な利点が存在し得る。
【0012】
前者に関して、フィルタ媒体の流動化粒子の原理に基づいて作動する上述のフィルタの使用は、実質的に静的な状態でフィルタによって保持されるフィルタ媒体を含む従来のフィルタ構成に比べて利点を提供する。有利には、説明されたような多重流動化層含有フィルタ製品は、例えばアレイ内に配置され、任意にはフレームまたはケースなどの支持構造内にも配置された、複数の個別セルの形態の多重循環流動層(circulating fluidized beds : CFB)を含む。複数の個別セルの1つ以上における複数の粒子の流動化は、個別セル内の粒状フィルタの複数の粒子が、個別セルを通る有用な流速および線速度(linear velocity)での流体の上向きの流れによって提供される力によって流体様状態(fluid-like state)で浮遊されるときに生じる。流動化は、粒状フィルタ媒体の粒子の寸法および密度、層(すなわち、個別セル)の幾何学的形状、流体の流れの速度、流体の流れの流体の密度、およびセル内の空隙率(すなわち、粒状フィルタ媒体の複数の粒子によって取り込まれないセル内の空き容量)を含むがこれらに限定されないいくつかのパラメータの関数である。
【0013】
上述したような多重流動化層含有フィルタの構成は、多層フィルタ構造内に実質的に静的な構成で保持された粒状フィルタ媒体の複数の粒子から構成される同等のフィルタの性能と比較して改善された性能を提供する。粒状フィルタ媒体の複数の粒子が使用中に流動化されることを可能にする上述したようなフィルタは、フィルタの全ての粒状フィルタ媒体の複数の粒子の全表面積が気体流体の流れに曝され、接触することを可能にする。本発明のフィルタの複数の個別セルおよび全体的なフィルタ構造は、フィルタ媒体の複数の粒子とフィルタを通過する気体流体の流れに含まれる汚染物質の表面(例えば、浮遊分子汚染物質)との間の接触を防止することによって、粒状フィルタ媒体の複数の粒子の機能を妨害し得る不活性構成材料(ロフト、スクリム)または接着剤の必要性を必要とせず、かつ具体的に排除することができる。
【0014】
説明されるようなフィルタの1つの利点は、フィルタを通って、すなわちフィルタの個別セルを通って流れる流体の滞留時間が増加することであり、これにより、流体と粒状フィルタ媒体の複数の粒子との間の接触時間が増加することを意味する。セルの寸法は、セルを通る気体の流れる方向に、従来のフィルタ構成の深さの何倍も大きい深さ寸法を生成するように構成され得る。
【0015】
別の利点として、複数の個別セル内の流体流によって浮遊された複数の媒体粒子の一定の循環(すなわち、移動)は、高効率の流体-粒子表面接触を可能にする。注目すべき利点は、複数の粒子の表面全体が、フィルタを通って流れる流体と接触するために曝され、これにより、複数の粒子の表面が、フィルタの構造に定常的に固定されないか、または非連続的に接触するからである。
【0016】
また、有利なことに、説明されるような好ましいフィルタおよびセル構成は、他のフィルタ構成と比較して、流れを排出するフィルタの領域にわたる流れの均一性および圧力の均一性が比較的改善されたフィルタを通る流体流を生成し得る。本発明のフィルタ(つまり、個別CFBを介して)の複数の個別セルを通る乱流は、セルの体積内に局所的な流れ及び圧力勾配をもたらすが、本明細書に説明されるようなセルのアレイを含むフィルタの出口側から排出される流れは、フィルタの排出側(すなわち、出口側)の領域にわたってより均一の流れ、例えば、層流(laminar flow)を示すことができる。さらに、流体によってセル内に浮遊された複数の粒子において且つその周囲でセルを通る流体の流れの乱流の性質によって、(例えば、吸着に起因して)流体がフィルタ媒体と効果的に接触することなくフィルタを通る実質的な量の流体の通過を妨げる、つまり、流体がフィルタ媒体の複数の粒子を避けながらフィルタを通って流れることを妨げる。
【0017】
説明されるような例示的なフィルタ構成は、(流体流が通過するフィルタの領域を意味する)所与のサイズのフィルタが増大したフィルタ容量を示すことを可能にするか、またはその代わりに、所与の容量を有するフィルタが、減少したサイズ(このサイズは、流体(例えば、気流)がフィルタに出入りする側、例えば入口側または出口側のフィルタの領域を指す)を有するように準備することを可能にする。
【0018】
固定された複数の粒子、または流体流に完全に曝されていない表面積を有する複数の粒子を有する従来のフィルタは、気体流体中に存在するAMCに効率的に接触する能力の低下を示す。従来の固定された粒子のフィルタはまた、フィルタの複数の部分にわたって不均一な粒子分布を示す。フィルタ内のフィルタ媒体の複数の粒子のフィルタ内不均一分布のこのタイプによって、「バイパスする(bypass)」とも呼称される、フィルタリング効率が低下するフィルタ内領域(intra-filter areas)(例えば、吸着フィルタ媒体の吸着の減少)が生じる可能性がある。有利には、流動化フィルタ媒体の複数の粒子を含有する複数の個別セルを有する本開示のフィルタ構成は、フィルタ内不均一性またはその結果としてのフィルタ効率またはバイパスの損失の影響を受けない。
【0019】
説明されるようなフィルタの全体的な第2の利点は、本明細書に説明される流動化層型フィルタが、流動化顆粒層の原理に基づいて作動する従来のタイプの処理装置とは対照的に、パネルタイプのプリーツ型フィルタアセンブリのような従来のフィルタ製品と同様の方法で、取替え可能で取り扱いやすいフィルタアセンブリの形態で構築することができることである。例えば、CFBの形態の自己完結型流動化層のアレイ(array of self-contained fluidized beds)を含むパネルタイプのフィルタアセンブリの形態をとることによって、本開示のフィルタアセンブリは、単一の便利なユニットとして空気処理システム内で除去および交換することができる。
【0020】
本開示のフィルタ(例えば、フィルタアセンブリ)は、多数の、小さい、例えば、小型のセル(miniature cell)を含み、その各々は、「CFB」の自己完結型の完全な機能的流動化層(functional fluidized bed)であり、各セルは、流動化可能なフィルタ媒体の複数の粒子を含む空間を含み得る。フィルタアセンブリは、このようなセルをアレイ状で複数含む。各セルは、任意の所望のサイズ、すなわち、面積とすることができる入口および出口を有し、複数のセルは、セルの複数の個別入口および複数の個別出口が、フィルタの平らな表面の領域、例えば、フィルタアセンブリの入口側および出口側にそれぞれ分布されたアレイとして存在することができる。アレイは、各々の入口および出口を含む数十または数百のセルを含み、アレイの複数のセルは、フレームまたは他の支持構造によって任意選択的に支持されるか、または封入される単一のフィルタアセンブリとして取り扱うことができる。このようなフィルタは、パネル型フィルタまたはフレーム型フィルタと呼称され、以前および現在使用されている従来の(例えば、プリーツ型)フィルタのサイズおよび処理特性を模倣することができる。
【0021】
流動化層またはCFBをそれぞれ含む複数のセルを含むパネル型フィルタは、従来の流動化層型処理システムと比較して、容易かつ効率的に取り扱い、移動、除去および交換され得る。フレーム型フィルタの形態を有する流動層フィルタ機構を含む、本明細書において説明されるフィルタの複数の例は、例えば、流体処理(例えば、空気処理)システムの流体(例えば、気流)の流れの中に挿入され、後で除去されるような、手で容易に移動され、取り扱われ、かつ挿入されるサイズであってもよい。流体(例えば、空気)処理システムは、フィルタリングされるべき流体(例えば、気流)の流れにフィルタを挿入するためにフレーム型フィルタを含むように適合されたダクトまたはパネル内の空間を含んでもよい。これらのシステムでは、フィルタは容易に交換可能であり、つまり、フィルタの複数のセルのアレイが、例えば、所望の時間の後に、容易に気流内に配置され、最終的に所望のように気流から除去されることを可能にするサイズおよび構造を有し、この場合、複数のセルの第2のアレイ(CFBs)を有する新規または未使用のフィルタが、気流内に挿入され、後続のフィルタリングを行う。
【0022】
必要に応じて、フィルタアセンブリの複数のセルのアレイは、フィルタアセンブリの複数のセル内のフィルタ媒体の複数の粒子の置換を可能にするように構成され得る。例えば、フィルタが流体の流れをフィルタリングするのに使用されなくなった状態で、フィルタの複数のセルは、使用されたフィルタ媒体の複数の粒子が除去されることを可能にし、除去された使用済みの複数の粒子を置き換えるために新たな(未使用、再利用、または再生成される)フィルタ媒体の複数の粒子が追加されることを可能にするために開くように構成されてもよい。次いで、アレイの複数のセルは再閉鎖され、置き換えられたフィルタ媒体の複数の粒子を有するフィルタを、フィルタリングのために流体の流れの中に戻すことができる。
【0023】
一態様では、本発明は、流体流から汚染物質を除去するように適合されたフィルタに関する。フィルタは、2つ以上のセルを含み、各セルは、セル入口とセル出口との間に延在する複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁、入口、および出口との間に体積を有し、粒状フィルタ媒体は、各セルを通過する流体の流れに応答して、複数の個別顆粒が2つ以上のセルの各々の体積内を移動可能な緩い方式(loose fashion)で、2つ以上のセルの各々の体積内に含まれる複数の個別顆粒を含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、気体流体の流れから汚染物質を除去するシステムに関する。システムは、気体流体の流れを案内するダクトと、気体流体の流れをフィルタアセンブリを介して流すために、ダクトと流体連通し、気体流体の流れの中に取り外し可能なフィルタアセンブリを配置する空間と、該空間において取り外し可能なフィルタアセンブリと、を備える。取り外し可能なフィルタアセンブリは、2つ以上のセルを含み、各セルは、セル入口とセル出口との間に延在する複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁、入口、および出口との間に体積を有し、粒状フィルタ媒体は、各セルを通過する気体流体の流れに応答して、複数の個別顆粒が2つ以上のセルの各々の体積内を移動可能な緩い方式で、2つ以上のセルの各々の体積内に含まれる複数の顆粒を含む。
【0025】
さらなる態様では、本発明は、流体流から汚染物質を除去する方法に関する。方法は、フィルタを提供することを含み、フィルタは、2つ以上のセルを含み、各セルは、セル入口とセル出口との間に延在する複数の側壁によって画定され、各セルは、複数の側壁、入口、および出口との間に体積を有し、粒状フィルタ媒体は、各セルを通過する気体流体の流れに応答して、複数の個別顆粒が2つ以上のセルの各々の体積内を移動可能な緩い方式で、2つ以上のセルの各々の体積内に含まれる複数の顆粒を含む。この方法はさらに、2つ以上のセルに流体を流して、複数の顆粒を気体流体の流れの中で流動化させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示のアレイまたはフィルタアセンブリの例示的な実施形態を示す。
【
図2A-2B】本開示の複数のセルの例示的な実施形態を示す。
【
図3A】本開示の例示的なアレイ(例えば、フィルタアセンブリ)を示す。
【
図4】フィルタを介した流量を他の流量パラメータと比較したグラフである。
【
図5】本開示のフィルタアセンブリの性能に関する情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1、2A、2B、3A、3B、および3Cは概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。全ての図は、説明されるフィルタまたは方法の例示的かつ非限定的なものである。
本明細書は、新規性および進歩性を有するフィルタ製品、および新規性および進歩性を有するフィルタ製品の使用方法について説明する。本発明のフィルタ製品(フィルタまたはフィルタアセンブリ)は、複数の個別セルを含有し、各セルは、顆粒または粒子の集合体の形態でフィルタ媒体を含み、本明細書では、「粒状フィルタ媒体」、「粒状フィルタの複数の粒子」、「粒状フィルタ媒体の複数の粒子」、または単に「複数の顆粒」または「複数の粒子」と呼称される。粒状フィルタ媒体の複数の粒子は、セルにおいて移動する気体流体の流れに応答して複数の個別粒子が移動することを可能にするように、複数の個別セルの各々に緩く含まれる。より詳細には、各セルは、粒状フィルタの複数の粒子の集合体を含み、複数の粒子の集合体は、セルにおいて(重力に逆らって上向きである流体の流速の成分を含むあらゆる方向を意味する)上向きに通過する気体流体の流れによって流動化され得る。流動化された複数の粒子を含むフィルタの複数の個別セルは、循環流動化層またはCFBと呼称されてもよい。速度、体積流量、および圧力に関して、複数の粒子を流動化するために必要とされる流体流は、流体の密度および複数の粒子のサイズ、密度、および物理的特性(形状、表面の質感など)等の複数の因子に依存する。本明細書で使用される場合、「上向き」という用語は、重力に対抗する下から上への方向を指し、セル内に含まれるフィルタ媒体の複数の粒子を流動化させるのに十分なセルを通る流れは、直接的に上向き、すなわち、本質的に垂直であるか、または実質的に上向き、すなわち、ほとんど垂直であるが、十分な圧力、レート、および速度の気体流体の流れの力によって複数の粒子を流動化させるのに十分な垂直成分を依然として含む。複数の粒子における重力が、複数の粒子を支持するためにセルを通って流れる流体の力によって、ほぼ等しく対向する場合、複数の粒子は流動化されると考えられ、その結果、複数の粒子は、流体の流れによって浮遊し、セル内を自由に移動するようになる。
【0028】
本発明のフィルタの複数の例は、平らな構成に配置された複数の個別セルのアレイを含み、その対向する二つの主側は、入口側(セルの入口がある側)および出口側(出口がある側)と呼称されるものを含む。たとえば、
図1を参照されたい。各セルは、上向きにセルを通る流体流によって流動化される媒体の複数の粒子を含有する。各セルの体積は、必要に応じて、例えば、少なくとも4.09立方センチメートル(0.25立方インチ)の体積、例えば、4.91~163.87立方センチメートル(0.3~10立方インチ)(またはそれ以上)の範囲の体積、又は6.55~81.93、131.10、または147.48立方センチメートル(0.4~5、8、又は9立方インチ)の範囲の体積とすることができる。これらの体積は、例示的であり、非限定的であり、これらの範囲外の体積も、全体として考慮される本開示に基づいて明らかになるように、記載されるように複数のフィルタの複数のセルに対して有効であり得る。本開示の知識を有する当業者は、特定のシステムの要求に対処するために特定の体積を選択することができる。
【0029】
セルの全体積当たりの、セル内のフィルタの複数の粒子の相対体積は、セル内の複数の粒子の流動化を可能にする任意の体積であり得る。個別セル中の複数の粒子の非限定的で例示的な体積は、当該セルの全体積の5~70%の範囲、例えば、当該セルの体積の10~60%の範囲、または個別セルの体積の15~20、30、40または50%の範囲であり得る。
【0030】
各セルは、入口端における入口と、出口端における出口と、入口端と出口端との間に延在する複数の側壁とによって画定され、複数の側壁は、典型的には、好ましくは、入口端と出口端との間で連続している。入口端は、流体がセルに導入される位置と考慮され、流体がセルを上向きに流れて、出口端でセルから排出される。入口端は、スクリーン(screen)、スクリム(scrim)、または金属フリット(metal frit)のような他のタイプの多孔性の平らな構造の形態の多孔性カバー(porous cover)を含み、このカバーは、複数の粒子が入口を通ってセルから流出するのを防ぐために、セル内で静止しているフィルタ媒体の複数の粒子を支持する。また出口端は、スクリーン、スクリム、または金属フリットのような他のタイプの多孔性の平らな構造の形態の多孔性カバーを含み、このカバーは、使用中に、媒体の複数の粒子が、例えば、セルを通過する流体によって出口端を通ってセルから運び出されることによって出口端を通ってセルから排出されるのを防ぐ。
【0031】
望ましくは、複数のセルのアレイは、フィルタの領域を横切って長さ方向および幅方向(これら方向は、複数のセルの深さに垂直である)に延びる繰り返しパターンで整列された所望の数のセルを含み、アレイの複数のセルは、体積、深さ、幅および高さが実質的に均一である。複数のセル、すなわち、複数のセルの複数の側壁は、金属または有用なポリマー材料などの任意の機械加工または押出加工された材料で製造されてもよい。
【0032】
アレイの複数のセルの寸法は、入口端と出口端との間に延びる深さ(または「高さ」)、および深さに垂直な幅および長さ寸法を含む、任意の有用な寸法であり得る。深さは、有利には、従来の多層(例えば、プリーツ状の)フィルタの厚さよりも大きい深さとすることができ、この厚さは、例えば、スクリム、ロフト、または多層フィルタの同等の物質の多層の組み合わされた厚さを意味する。複数の個別循環流動化層を含む説明されたフィルタの複数のセルの例示的な深さは、少なくとも0.63センチメートル(0.25インチ)、例えば、0.762~60.96センチメートル(0.3~24インチ)(またはそれ以上)、または1.27~25.4,38.1,45.72,または50.8センチメートル(0.5~10,15,18,または20インチ)であり得る。これらの深さは、単なる例であり、非限定的であると見なされるべきであり、これらの範囲外の深さも、全体として考慮される本開示に基づいて明らかになるように、説明されるような複数のフィルタの複数のセルに対して有効であり得る。
【0033】
セルの幅および長さは、有用な全寸法のセルを生成するのに必要なものとすることができる。合わせて、セルの長さ及び幅の各々は、少なくとも2.58平方センチメートル(0.4平方インチ)、例えば、3.23~45.16,51.61,58.06,または64.52(0.5~7、8、9又は10平方インチ)の範囲の断面積を有するセル入口及びセル出口を提供するのに十分であり得る。入口および出口の特定の面積は、単なる例であり、非限定的であると見なされるべきであり、これらの範囲外の入口および出口の面積も、全体として考慮される本開示に基づいて明らかになるように、説明されるような複数のフィルタの複数のセルに対して有効であり得る。
【0034】
入口及び出口の領域の形状は、好ましくは、(深さ方向、すなわち、セルを通る直線的な流体流の方向においてセルの軸に垂直にとられる)複数のセルの断面形状に対応し、円形、矩形、正方形、六角形、三角形、台形などの任意の所望の形状、又は不規則な形状とすることができる。
【0035】
複数のセルがアレイ状に配置される場合、アレイは、深さ方向に平行に配列された複数のセルを有する反復配列に配置され支持された2つ以上のセルを含み得る。好ましくは、複数のセル入口の領域は、入口平面内に整列され、複数のセル出口の領域は、入口平面に対して二次元的に平行な出口平面内に配置される。入口平面は、(必ずしもそうではないが)フィルタアセンブリの入口側の表面にあるか、またはそれに隣接していてもよい。出口平面は、(必ずしもそうではないが)フィルタアセンブリの出口側の表面にあるか、またはそれに隣接していてもよい。
【0036】
複数のセルのアレイの一例として、
図1は、複数のセル4のアレイ2を含むフィルタアセンブリ1を示す。図示されるように、アレイ2は、アレイ2の底部に入口側3と、アレイ2の上部(上側)に出口側5と、を含む。各セルは、(
図1のアレイ2には示されていない)アレイ2の底部側3の入口8、(アレイ2の複数のセル4の最上部に示される)アレイ2の出口側5の出口6(四角形開口)、深さ10、幅12、および長さ14を有する。複数のセル入口8および複数のセル出口6は、複数の入口と複数の出口との間に延びる複数のセルの断面形状と同様に、四角形である。気体流体16は、アレイ2を通って上向きに流れ、複数の個別セル4の各々を通って同じ上向き(且つ垂直方向)に流れることができる。
【0037】
図2Aおよび2Bを参照すると、アレイ2の個別セル4が例示されている。セル4は、複数の側壁18、多孔質入口カバー20、および多孔質出口カバー22(これらは
図1には示されていない)を含む。またセル4は、フィルタ媒体の複数の粒子24を含む。セルの体積30は、複数の側壁18、入口カバー20、および出口カバー22の間の体積として規定される。流体がセル4を通って流れていない間(
図2Aを参照)、フィルタ媒体の複数の粒子24は、多孔質入口カバー20によって支持されたセル4の下部で静止している。空気のような流体16がセル4を通って上向き(例えば、重力に逆らって垂直に)に流れると、流体は、フィルタ媒体の複数の粒子24を流体の流れの中に浮遊させる、すなわち、複数の粒子を流動化させることができる。
図2Bを参照されたい。本明細書において説明されたフィルタの使用中、フィルタのアレイ2の多数のまたは全てのセル4は、
図2Bに示されるように流動化された複数の粒子を含有することができる。
【0038】
図1のアレイ2のようなアレイは、流体の垂直な流れに直接的に配置され、垂直な流れは、各入口に直接的に入り、各セルを通過し、出口でセルから出ることができる。そのようなアレイは、流体流が上向きかつ垂直であるフィルタシステムに直接的に適合され得る。しかし、他のシステムでは、流体は、下向き(すなわち、上向きと反対で、重力と反対である)または水平方向のいずれかに流れてもよい。このようなシステムでは、複数の個別セルまたは複数のセル入口のアレイは、入口と流体連通する1つまたは複数の追加の流体チャネルと連通し、液体を上向きに複数の入口に移動させて複数のセルを通過させるために、流れを下向きまたは水平から上向きに方向転換させる。複数の個別セル出口または複数のセル出口のアレイと流体連通するさらなる別のチャネルは、複数のセル出口から排出する流体流の方向を変更して、複数のセル出口から排出された流体流を、複数のセル出口から排出した後に、元の下向き(または水平方向)に再び向けることができる。
【0039】
アレイの複数のセルに導入または排出する流体流の方向を変更する複数のチャネルを含む複数のアレイおよび複数のフィルタアセンブリにおいて、フィルタアセンブリの複数の主側面は、必ずしも複数のセル入口および複数のセル出口と整列していない。これらのフィルタアセンブリにおいて、フィルタの入口側は、複数のセル入口に通じる複数の通路への複数の入口を含むフィルタの側であると考えることができ、フィルタアセンブリの第2の主側面である出口側は、複数のセル出口から通じる複数の通路の出口を含むフィルタアセンブリ側であると考えられ得る。
【0040】
図3A、3B、および3Cは、複数のセル4を含むアレイ40を含むフィルタアセンブリ41を示す。各セル4は、セル入口8と、セル出口6と、複数の側壁18と、多孔質入口カバー20と、多孔質出口カバー22と、側壁18、入口カバー20、および出口カバー22の間の空間として区画されたセル体積30と、を含む(
図3B,3Cを参照)。各セル4は、フィルタ媒体の複数の粒子24を含む(
図3B,3Cを参照)。各セル4は、セル入口8と流体連通している導入流路42、およびセル出口6と流体連通している排出流路44と流体連通している。アレイ40は、入口側(上側)50および出口側(下側)52を含む。
【0041】
使用中、フィルタアレイ40に向かって下向き(D)に流れる流体16は、フィルタアセンブリ41の入口側または上側50に位置する導入流路の入口44に入る。流体16は、セル4の深さに平行な下向きに続き、導入流路42の底部で、流路42は、セル4の底部の入口8と接触するように方向変換し、導入流路42は、フィルタアセンブリ41の入口側50に最初に接触するときに、流体16の流れを180度で下向きDから上向きUに効果的に再方向付けし、流体流をセル入口8に上向きに導く。セル入口8に入ると、流体流は、上向きUに移動しながらセル4および複数の粒子24を通過し、上向きUにセル4の全深さを通って通過した後、流体流は、セル出口6を通過することによってセル4から出るが、その時点で、流体流は、依然として上向きに移動しながら、出口流路44に入る。出口流路44の頂部において、流路44は、180度方向変換し、流体16の流れを元の下向きDに再度方向付けし、流体16は、下向きDのある長さの出口流路44を通って、セル4の深さに平行に流れ続け、その後、フィルタアセンブリ44の出口側46の出口流路出口52で出口流路41から出る。
【0042】
流体がフィルタアセンブリ41のアレイ40およびセル4を通って流れていない間、フィルタ媒体の複数の粒子24は、入口カバー20(
図3Bを参照)によって支持されたセル4の下部において静止している。空気のような流体16がアレイ40の上面50に向かって下向きに流れると、流体は導入流路42に入り、その後、導入流路42によって上向き(例えば、重力に逆らって垂直に)方向に再度方向付けされて、セル4を上向きに通過する。セル4を上向きに通過するとき、流体16は、粒子フィルタ媒体の複数の粒子24を流体16の流れにおいて浮遊させる、すなわち、粒子フィルタ媒体の複数の粒子24を流動化させることができる(
図3Bを参照)。
【0043】
任意に、複数のセル4のアレイ、例えば、アレイ2またはアレイ40は、流体流に挿入可能な自立式フィルタアセンブリ(self-supporting filter assembly)として有効であり得る。アレイ2または40などの複数のセル4のアレイは、流体流をフィルタリングするためにアレイ2または40の形状および構造的剛性を維持するように構成された追加の構造を必要とせず、特に除外してもよい。任意に、例示的なフィルタアセンブリは、追加の構造的支持を提供すること、または流体処理システムの開口部にアレイを配置することを可能にするため、アレイ2または40の周囲を囲むフレームをさらに含み、アレイ2または40を流体流の中に配置し、流体は入口側に入り、上向きに複数のセル4のアレイを通過し、次いでフィルタアセンブリの出口側から出る。
【0044】
流動化可能なフィルタ媒体の複数の粒子をそれぞれ含む複数のセルを含む本明細書において説明されたフィルタは、流体流がフィルタリングにより除去された汚染物質を含むあらゆる環境で、汚染物質を除去するために、流体のフィルタリングでの使用に適合できることが理解されよう。汚染物質は、さまざまな処理環境、製造環境、または商業環境の任意の流体流の一部分であってもよい。フィルタは、さまざまな流体流から、好ましくは空気、蒸気、または不活性ガスなどの気体流体の流れから汚染物質を除去するのに効果的であり得る。汚染物質は、フィルタ媒体を使用して流体流から除去できる任意のタイプの汚染物質であり、例示的な汚染物質は、微粒子サイズの汚染物質と浮遊分子汚染物質(airborne molecular contaminants : AMCs)を含む。説明される好ましいフィルタ製品および方法によれば、現在説明されているフィルタおよびフィルタリング方法の特に有用な適合は、空気または不活性ガス、例えば、クリーンルームに入ったり、クリーンルームを循環している空気の流れから浮遊分子汚染物質(AMC)を除去するのに有用なものであり得る。クリーンルームにおけるAMCレベルを制御するのに有用な特定のフィルタの複数の例は、吸着によりAMCを捕捉するように適合されて効果的な化学タイプのフィルタ媒体を含み得る。
【0045】
このような吸着フィルタリング媒体は、例えば、ナノサイズの微粒子汚染物質のようなAMCsとは異なるAMCsより大きい汚染物質を除去するのに有効な追加のフィルタシステムと組み合わせて、クリーンルーム環境でしばしば使用される。効果的な吸着タイプのフィルタ媒体は、さまざまなタイプのポリマー製フィルタ媒体、および活性炭フィルタ媒体(例えば、粒状活性炭、GACs)を含む。本明細書のフィルタにおいて、これらのタイプのフィルタ媒体のいずれも、フィルタのセル内に含まれる場合に、複数の顆粒粒子が流体流によって均一に流動化され得るように、粒径、形状、分散(密度)、および粒度範囲および分布のような他の物理的性質の顆粒(すなわち、微粒子)形態で用いられる。粒状フィルタ媒体の複数の粒子の表面での複数の浮遊分子の吸着の効率は、粒状フィルタ媒体の多孔性、化学組成、比表面積、機械的表面特性などのさまざまな要因に依存し得る。流体流から除去されるAMCの化学的性質に応じて、粒状活性炭フィルタ媒体およびポリマーフィルタ媒体は、粒状フィルタ媒体の複数の粒子の吸着性能を向上させるために、化学処理によって、または化学コーティング(例えば、触媒)の適用によって改良され得る。
【0046】
フィルタリング技術において、多層、例えば、プリーツ状フィルタ構成で以前に使用された複数の例を含む、さまざまな吸着フィルタリング媒体材料が、吸着化学タイプのフィルタに有用であることが知られている。本明細書によれば、いくつかの同じ吸着フィルタリング媒体材料は、流体流から様々なタイプのAMCのいずれかなどの汚染物質を除去するために、本明細書において説明された新規性および進歩性を有するフィルタの吸着フィルタリング媒体の複数の粒子として機能するために有用であり得る。これらの粒状フィルタリング媒体のタイプのいくつかの例は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、ゼオライト、金属酸化物、塩、(天然および合成)活性炭、化学被覆炭素(chemically-coated polymers)、および化学被覆ポリマーを含み、いずれも、説明されたフィルタのセルに含まれる場合に流動化可能な顆粒状で提供され、説明されたフィルタのセルを通って流体が流れる。
【0047】
これらのフィルタ媒体または他のフィルタ媒体のいずれも、フィルタ媒体の吸着特性を向上させ、例えば、1つ以上の一般的なまたは特定のタイプの浮遊分子汚染物質の吸着を向上させる化学処理、例えばコーティングを含み得る。粒状フィルタ媒体のための有用な化学コーティングは、ヨウ化物溶液、水酸化物溶液、塩化亜鉛、炭酸塩および重炭酸塩溶液、アミン、クエン酸、リン酸、シュウ酸、硫酸、および将来公知または開発される他のものを含み得る。
【0048】
説明されるようなフィルタが気体流体の流れから効果的に除去するAMCのタイプは、公知であり且つ半導体ウェハ又はマイクロエレクトロニクスのプロセス及び製造の環境において見られる空気雰囲気又は不活性ガス雰囲気中に通常存在する分子汚染物質の種類を含む任意の一般的又は特定の種類であり得る。これらの浮遊分子汚染物質の典型的な種類の複数の例は、揮発性酸性ガスおよびエアロゾル、揮発性塩基、C2~C30化合物の範囲のすべての種類の揮発性および凝縮性有機化合物(これは耐火性およびケイ素含有化合物を含む)、(二次)粒子を含み得る。
【0049】
特定のより具体的な例示的な化合物は、とりわけ、NOx、SOx、HCl、HF、H2SO4、HNO3、リン酸、および臭化水素酸などの酸と、アミン、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミノエタノール、n-メチルピロリドン(n-methyl pyrrolidone : NMP)などの塩基と、特に、2-プロパノール、シリコーン、キシレン、ヘプタン、ベンゼン、シロキサン、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene : BHT)などの縮合物(condensables)と、特に、B(例えば、BH)、トルオール、AsH3、B2H6、BF3、有機リン酸塩、リン酸トリエチル(triethyl phosphate : TEP)、TCPP、ヒ素(例えば、ヒ酸塩)、O=Pなどのドーパントと、H2O2およびO3等の酸化剤、アセトンおよびイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol : IPA)等の有機溶媒、およびH2Sを含む他の化合物と、を含む。
【0050】
本開示の複数のフィルタは、任意の流体処理システム、例えば、任意の空気処理または加熱換気空調(heating-ventilation-air-conditioning : HVAC)システムのフィルタリング構成要素に含まれることによって、任意の環境の流体の流れからフィルタリング、すなわち、汚染物質を除去するための適応を含む流体処理システムにおいて有用であり得る。フィルタは、本明細書の進歩性を有するフィルタも空気流が通過するようにする位置および向きで、例えば、ダクト内を通過する空気流に挿入され得る。空気は、フィルタアセンブリの入口側に流れ込み、フィルタアセンブリの複数のセルを通って上向きに流れ、出口側でフィルタアセンブリから出る。複数のセルを通過する際、流体流により、複数のセルに含まれる粒状フィルタ媒体の複数の粒子が流動化し、流体に含まれるAMCが、流動化された複数の粒子の表面に吸着されることで気体流体から効率的に除去される。
【0051】
好ましいフィルタの実施形態によれば、複数のセルのアレイおよび任意のフレームを含む本明細書において説明されたフィルタアセンブリは、流体処理システムの指定されたダクトまたはパネル内に適合するサイズおよび形状にすることができる。具体的には、流体処理システムは、フィルタアセンブリが空間内に配置されたときに、流体(例えば、空気)がフィルタの入口側に入り、フィルタおよびその複数のセルを通過し、低下した濃度のAMCでフィルタの出口側から出るように、フィルタアセンブリを収容するように構成された空間を含み得る。このタイプの流体処理システムで使用するための好ましいフィルタアセンブリは、流体処理システムの空間に一致する寸法を有するフレームタイプまたはパネルタイプのフィルタなどの交換可能なスタイルのものであり得る。フィルタアセンブリのサイズと形状は、流動層で動作するより扱いにくいシステム構成とは対照的に、HVACシステムおよびクリーンルームの空気処理システムなどの流体処理システムで以前使用されていたプリーツ状構成の交換可能なフィルタと同等であり、流動層を通る流れによって流体を処理するシステムに典型的に存在するより大きな容器を含んでもよい。
【0052】
有利なことに、本明細書において説明されたフレームスタイルまたはパネルスタイルのフィルタアセンブリは、フィルタアセンブリを流体処理システムのダクト内の指定された空間にスライドさせることにより、流体流に容易に配置され得る。気体流体は、水平、垂直上向き、または垂直下向きであり、フィルタアセンブリを流体流に挿入して、流れを横切るようにフィルタの領域を配置してもよい。流体流の中に挿入されると、フィルタの入口側は、流入する流体流(すなわち、「上流の」方向)に面し、フィルタの出口側は、排出する流体流(すなわち、「下流の」方向)の方向に面し、フィルタの複数の個別セルは、垂直方向に配向され、複数のセルの深さは垂直方向である。フィルタアセンブリは、必要に応じて、流体が垂直方向(下から上)に複数のセルを通って流れるように、流体流を方向付けるかまたは再度方向付けするセル導入流路を含むように構成され得る。フィルタアセンブリには、必要に応じて、流体の元の流れの方向に流れを再び方向付ける複数のセル排出流路を含んでも良い。フィルタアセンブリは、複数のセルに含まれる粒状フィルタ媒体の有効寿命の間、所定の位置に維持される。粒状フィルタ媒体の有効寿命が経過すると、フィルタアセンブリは、ダクトから除去され、例えば、フィルタアセンブリに適合するようにサイズ決定されたダクト内の空間からスライドされ、流体の継続的な処理のために、交換用フィルタアセンブリがダクト内の空間に配置され得る。
【0053】
説明されたフィルタ製品及び方法の特に有用な用途は、半導体及びマイクロエレクトロニクス産業で使用されるクリーンルーム、例えば、ベア半導体ウェハ又は処理済み又はインプロセスの半導体製品及びマイクロエレクトロニクス装置、例えば、プリント回路基板、集積回路、固体メモリデバイス、ハードディスク構成要素及びアセンブリ、フラットパネルディスプレイ、太陽電池及びパネル、バイオチップ、並びに同様の製品及びデバイスを処理、試験又は組立するクリーンルームである。これらの製品のためのクリーンルーム環境は、半導体ウェハ、マイクロエレクトロニクスデバイス、またはそれらのコンポーネントを処理するのに有用な装置、例えば、リソグラフィ領域のコーターデベロッパー(coater developer)におけるスキャナなどの半導体処理ツール、拡散炉、小環境、ツールインタフェース(例えば、コーティングツール、洗浄ツール、化学機械平坦化ツール等)、金属堆積装置、ドーピング装置などを含む。これらの異なるタイプの装置の各々は、液体スラリー、ドーパント、洗浄液、有機溶媒、酸および塩基、油、または他の様々な例のいずれか等の流体を含む、AMCを生成可能な液体または気体の化学物質を含む処理流体または物質に関連付けられる。説明されたフィルタは、クリーンルームに入る新鮮な空気をフィルタリングするか、または汚染物質を除去するためにフィルタリングされた後にクリーンルームから出て再び入る再循環空気をフィルタリングする空気処理ユニットまたはシステムの一部である空気流中に配置されてもよい。
【0054】
特定の実施形態では、説明されるようなフィルタのセルを通る気体流体(例えば、空気、不活性ガス)の流れは、主に、上向き成分を含む方向、すなわち、重力に反する方向であり、好ましい方向は、真上、つまり、重力とは反対の垂直方向である。適切な流速での流体の上向きの流れは、フィルタのセル内に含まれるフィルタ媒体の複数の粒子に接触して上向きに流れる流体のために、粒状フィルタの複数の粒子に上向きの力を発生させるのに効果的であり、その力は、フィルタの複数のセル内において流動化状態で複数の粒子を浮遊させるのに十分である。
【0055】
線速度(linear velocity)、圧力(すなわち、フィルタを横切る圧力降下)、および体積流量のような、説明されたようなフィルタを通って流れる流体の複数の流動パラメータは、所望の通りであり、フィルタの複数のセル内でフィルタ媒体の複数の粒子の流動化を生成するのに有用である。流動パラメータの組み合わせ(線速度、圧力、体積流量)は、フィルタの複数のセル中の複数の粒子の流動化を生じるように調節および選択され得る。セル内の複数の粒子の所望の流動化を提供するこれらのパラメータの値は、複数の粒子のタイプおよび特性(サイズ、形状、密度、および表面特徴)、ならびに密度などの流体の特性などの因子に依存し得る。
【0056】
図4は、流体の体積流量に対するフィルタを通過する流れの差圧だけでなく、流れる気体の流体(空気)の線速度を示すグラフである。示されているように、流れがゼロから増加するにつれて、差圧および線形空気速度(linear air velocity)の増加は線形的に増加する。低流量領域は、流動化に影響を与えることなく、圧力差の増加と線速度の増加に関連している。差圧または空気の線速度の増加なしに体積流量がわずかに増加する短いプラトー(plateau)の位置で、流動化が起こり始める。プラトーでの流量よりも大きい流量では、流動化ゾーンがあり、そこではフィルタ媒体の複数の粒子がセル内で自由に流れて、流動化され、すなわち、フィルタの複数のセルを上向きに通過する流体の力によって重力に逆らって支持される。ただし、体積流量が大きすぎると、複数の粒子に対する力によって複数の粒子がセル出口に保持され、複数の粒子の流動化状態が解消される。
【0057】
気体流体からAMCsを除去するために、説明されたようなフィルタを使用することは、流体流からこのような汚染物質の大部分を効率的に除去するのに有効であり得る。流体流からの汚染物質の除去の効率および総量は、気体流体の同様の流れ、例えば、クリーンルーム環境の空気流から同様の汚染物質を除去するために使用される従来技術の化学フィルタと比較して、少なくとも同等であり、好ましくは向上される。例示的な実施形態では、説明されるようなフィルタを通過したクリーンルームの空気は、約1000パーツ・パー・トリリオン(parts per trillion : ppt)未満の総浮遊分子汚染物質、例えば、本開示のフィルタを出る気体流体中の500ppt未満の総浮遊汚染物質などの浮遊分子汚染物質の低減された濃度を含み得る。言い換えると、有用なまたは好ましい複数のフィルタは、特定のAMCの上流濃度の少なくとも50%の除去効率、例えば、浮遊汚染物質の種類にもよるが、少なくとも80、90、95、99%の効率等の(分子汚染物質として本明細書に説明された特定の化学種のいずれかであってもよい)特定のAMCの上流濃度の50~99%の範囲の除去効率を示し得る。
【0058】
例
本発明のフィルタアセンブリの2つの例を準備し、試験し、同等の炭素吸着体を有する多層プリーツ状フィルタ構成に対する性能に基づいて比較した。
図5を参照されたい。本発明のフィルタアセンブリは、プロトタイプV1.1およびプロトタイプV1.2として識別される。比較のフィルタは、プリーツ加工の100g装填(Pleated 100g loaded)(炭素1)およびプリーツ加工の114g装填(炭素2)として識別される。
【0059】
プロトタイプV1.1には、平方フィートあたり480グラムの活性炭(炭素1)を含む。プロトタイプV1.2には、平方フィートあたり515グラムの異なる活性炭(炭素2)を含む。プロトタイプフィルタとプリーツフィルタで使用される2つの異なるタイプの活性炭(カーボン1とカーボン2)は、Harlow Essex UKのMolecular Products Group Ltd.から購入された。
【0060】
2つの異なるタイプの活性炭は、本発明のフィルタ(V1.1およびV1.2)および比較のプリーツフィルタの両方に使用された。比較のプリーツフィルタは、100g/ft2(100g充填された炭素1)または114g/ft2(100g装填された炭素2)を含む。これらフィルタは、1’x1’フィルタサイズで試験された。1’x1’フィルタあたり8.75 ft2のプリーツ加工された媒体があり、プリーツフィルタあたり875g(炭素1)および997.5g(炭素2)となる。各媒体タイプについて、本発明の流動化プロトタイプフィルタは、総炭素充填の約50%でより良い性能をもたらした。
【0061】
プロトタイプV1.1は、線風速(linear air velocity)0.5m/秒、圧力降下約120Paで、IPA用の100g/ft2搭載された炭素1の比較フィルタの容量(50%RE)の二倍以上の規格化容量を示した。
【0062】
プロトタイプV1.2はV1.1と同様であったが、エッジシール(edge seal)が改善され、カーボン2が515g/ft2であった。プロトタイプV1.2は、114g/ft2の炭素2の比較フィルタの容量の倍増(2倍)の正規化された容量を示した。