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特許6995902基板処理装置及び半導体装置の製造方法並びに基板処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-17
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置及び半導体装置の製造方法並びに基板処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220107BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220107BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 X
C23C16/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020030713
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2020161808
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019055549
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】立野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】平野 誠
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-283509(JP,A)
【文献】特開平05-218176(JP,A)
【文献】特開2003-100736(JP,A)
【文献】特開2001-250781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載空間と、
前記移載空間の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱空間と、
前記加熱空間に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、
前記基板支持具を昇降させる昇降機構を有し、
前記基板支持具の下降と、処理後の基板と処理前の基板との入れ替えを交互に行い、載置された前記処理前の基板を、順次、前記加熱空間で加熱する様に、前記加熱部と、前記昇降機構とを制御可能に構成された制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記移載空間の前記基板の面に対して垂直方向の長さは、前記加熱空間の前記基板の面に対して垂直方向の長さよりも短く構成される
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記加熱空間の前記基板の面に対して垂直方向の長さは、少なくとも、前記基板支持具の前記基板を載置する領域の長さとなる様に構成される
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載空間と、
前記移載空間の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱空間と、
前記加熱空間に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、
前記基板支持具を昇降させる昇降機構を有し、
前記基板支持具の下降と、複数の処理後の基板と複数の処理前の基板との入れ替えを交互に行い、載置された前記複数の処理前の基板を一括で加熱する様に、前記加熱部と、前記昇降機構とを制御可能に構成された制御部と、
有する基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理する処理室と、
処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載空間と、
前記移載空間の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱空間と、
前記加熱空間に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、
前記基板支持具を昇降させる昇降機構と、前記処理室を加熱し、複数のゾーンを有するヒータと、を有し、
前記基板支持具を下降させた時に、前記ヒータの前記複数のゾーンの内、下部のゾーンに設けられたヒータの制御を切り替える様に前記昇降機構と前記ヒータを制御可能に構成された制御部と、
有する基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基板支持具を下降させた時に、前記ヒータの前記複数のゾーンの内、下部のゾーンに設けられたヒータへの電力を固定又は減少させるように前記ヒータを制御可能に構成される
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板支持具を回転させる回転機構と、
前記基板支持具への前記基板の入れ替え終了後、前記基板支持具の回転を始める様に前記回転機構を制御可能に構成される制御部と、
を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板を処理する処理室と、
処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載空間と、
前記移載空間の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱空間と、
前記加熱空間に設けられ、前記基板を加熱する第1の加熱部と、
前記移載空間に設けられ、前記基板支持具の上部側を加熱する第2の加熱部と、を有する基板処理装置。
【請求項9】
前記基板支持具への前記基板の入れ替え終了後に、前記第1の加熱部と前記第2の加熱部とをONにするよう制御可能に構成された制御部と、
を有する請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記移載空間と前記加熱空間と前記処理室は連通し、それぞれの空間を真空排気する排気部と、
を有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板を処理する処理室と、
処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載空間と、
前記移載空間の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱空間と、
前記加熱空間を構成する壁に設けられたSiC部材と、
を有する基板処理装置。
【請求項12】
前記加熱空間は、冷却部を有する
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する工程と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた加熱部で前記基板を加熱する工程と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理する工程と、
(d)前記(c)の後、前記基板支持具を下降させて、処理後の基板と処理前の基板との入れ替えを交互に行い、載置された前記処理前の基板を、順次、前記加熱空間で加熱する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する工程と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた加熱部で前記基板を加熱する工程と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて、複数のゾーンを有するヒータで加熱し、処理する工程と、
(d)前記(c)の後、前記基板支持具を下降させた時に、前記ヒータの前記複数のゾーンの内、下部のゾーンに設けられたヒータの制御を切り替える工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する工程と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた第一の加熱部と、前記移載空間で加熱する第2の加熱部とで前記基板を加熱する工程と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する工程と、
(b)前記移載空間の下方に連通し、SiC部材を含む壁で構成された加熱空間にて、前記基板を加熱する工程と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載させる手順と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた加熱部で前記基板を加熱させる手順と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理させる手順と、
(d)前記(c)の後、前記基板支持具を下降させて、処理後の基板と処理前の基板との入れ替えを交互に行い、載置された前記処理前の基板を、順次、前記加熱空間で加熱する手順と
をコンピュータによって基板処理装置に実行させる基板処理プログラム。
【請求項18】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する手順と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた加熱部で前記基板を加熱する手順と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて、複数のゾーンを有するヒータで加熱し、処理する手順と、
(d)前記(c)の後、前記基板支持具を下降させた時に、前記ヒータの前記複数のゾーンの内、下部のゾーンに設けられたヒータの制御を切り替える手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させる基板処理プログラム。
【請求項19】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する手順と、
(b)前記移載空間の下方に連通する加熱空間に設けられた第一の加熱部でと、前記移載空間で加熱する第2の加熱部とで前記基板を加熱する手順と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させる基板処理プログラム。
【請求項20】
(a)処理室の下方に連通する移載空間で、前記処理室内に配置される基板支持具に基板を移載する手順と、
(b)前記移載空間の下方に連通し、SiC部材を含む壁で構成された加熱空間にて、前記基板を加熱する手順と、
(c)前記(b)の後、前記基板を前記処理室に移動させて処理する工程と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させる基板処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスの製造工程において基板を処理する基板処理装置及び半導体装置の製造方法並びに基板処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程における基板(ウエハ)の熱処理では、例えば縦型基板処理装置が使用されている。縦型基板処理装置では、基板保持具によって複数の基板を垂直方向に配列して保持し、基板保持具を処理室内に搬入する。その後、処理室を加熱した状態で処理室内に処理ガスを導入し、基板に対して薄膜形成処理が行われる。例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-100736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理のスループットを向上させることが可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、例えば、基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、移載室の下方に連通し、基板支持具を加熱する加熱室と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理のスループットを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略の構成を示すブロック図である。
図2】実施例1に係る基板処理装置において、基板を搭載したボートを処理室に搬入した状態を示す処理室とボート収納室の略断面図である。
図3】実施例1に係る基板処理装置において、基板を搭載したボートを処理室から搬出している状態を示す処理室をボート収納室の略断面図である。
図4】実施例1に係る基板処理装置において、基板を搭載したボートをボート収納室に搬入した状態を示す処理室とボート収納室の略断面図である。
図5】変形例1に係る基板処理装置において、加熱室の周囲にリング状のヒータを配置した状態を示すボート収納室の略断面図である。
図6】変形例2に係る基板処理装置において、加熱室の周囲のヒータを3つのブロックに分けて構成した状態を示すボート収納室の略断面図である。
図7】本開示の実施例に係る基板処置装置の加熱室の他の実施の形態を示す略断面図である。
図8】本開示の実施例に係る基板処置装置の加熱室の他の実施の形態を示す略断面図である。
図9】本開示の実施例に係る基板処理装置の各部を動作させる制御部の概略構成を示すブロック図である。
図10】本開示の実施例に係る半導体装置製造工程のフローを示す図である。
図11】本開示の実施例に係る基板処置装置の加熱室の他の実施の形態を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、基板を載置する基板支持具と、この基板支持具に載置された基板を処理する処理室と、この処理室の下方に連通して基板支持具に基板を移載する移載室と、この移載室の下方に連通して基板支持具と基板を加熱する加熱室と、基板支持具を処理室と移載室と加熱室との間を移動させるエレベータ部とを有する基板処理装置に関するものである。
【0009】
また、本開示は、基板を載置する基板支持具と、この基板支持具に載置された基板を処理する処理室と、この処理室の下方に連通して基板支持具に基板を移載する移載室と、この移載室の下方に連通して基板支持具と基板を加熱する加熱室と、基板支持具を処理室と移載室と加熱室との間を移動させるエレベータ部とを有する基板処理装置を用いて基板を処理する方法であって、エレベータ部を駆動して移載室で基板支持具に移載した基板を加熱室に搬送して加熱室で加熱し、エレベータ部を駆動して加熱した基板を加熱室に連通する移載室を通して処理室に搬送し、処理室で加熱した基板を処理することを特徴とする。
さらに、本開示は、移載室で基板支持具に移載した基板を加熱室に搬送して加熱するステップと、加熱した基板を加熱室に連通する移載室を通して処理室に搬送するステップと、処理室で加熱した基板を処理するステップとを含む基板処理プログラムを含む。
【0010】
以下に、本開示の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1を用いて、実施例1に係る半導体製造装置の構成について説明する。
本実施形態に係る半導体製造装置は、半導体装置(デバイス)の製造方法における製造工程の一工程として熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、基板処理システムと称する)1として構成されている。図1に示すように、基板処理システム1は、基板10を処理するもので、IOステージ61、大気搬送室1200、ロードロック室1300、真空搬送室170、基板処理装置101で主に構成される。
【0012】
図1は、複数の基板10を支持する基板支持具としてのボート200が真空搬送室170の側方のチャンバ180の下方に設けられた収納室300に下降している状態を示し、図2は、図1の一部を示す図で、基板支持具としてのボート200が上昇して第1反応管110の内部にある状態を示している。なお、真空搬送室170は、トランスファモジュール170とも呼ぶ。また、基板処理装置101は、プロセスモジュール101とも呼ぶ。次に各構成について具体的に説明する。
【0013】
[大気搬送室・IOステージ]
基板処理システム1の手前には、IOステージ(ロードポート)61が設置されている。IOステージ61上には格納容器としてのポッド62が複数搭載可能に構成される。ポッド62はシリコン(Si)基板などの基板10を搬送するキャリアとして用いられ、ポッド62内には、基板(ウエハ)10がそれぞれ水平姿勢で複数格納されるように構成されている。なお、ポッド62内には、基板10が最大で25枚格納されている。
【0014】
ポッド62にはキャップ60が設けられ、後述するポッドオープナ1210によって開閉される。ポッドオープナ1210は、IOステージ61に載置されたポッド62のキャップ60を開閉し、基板搬入搬出口1280を開放・閉鎖することにより、ポッド62に対する基板10の出し入れを可能とする。ポッド62は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、IOステージ61に対して、供給および排出される。
【0015】
IOステージ61は大気搬送室1200に隣接する。大気搬送室1200は、IOステージ61と異なる面に、後述するロードロック室1300が連結される。
【0016】
大気搬送室1200内には基板10を移載する第1搬送ロボットとしての大気搬送ロボット1220が設置されている。図に示されている様に大気搬送ロボット1220は大気搬送室1200に設置されたエレベータ1230によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ1240によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0017】
図に示されているように、大気搬送室1200の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット1250が設置されている。
【0018】
図に示されているように、大気搬送室1200の筐体1270の前側には、基板10を大気搬送室1200に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口1280と、ポッドオープナ1210とが設置されている。基板搬入搬出口1280を挟んでポッドオープナ1210と反対側、すなわち筐体1270の外側にはIOステージ(ロードポート)61が設置されている。
【0019】
大気搬送室1200の筐体1270の後ろ側には、基板10をロードロック室1300に搬入搬出するための基板搬入出口1290が設けられる。基板搬入出口1290は、後述するゲートバルブ1330によって解放・閉鎖することにより、基板10の出し入れを可能とする。
【0020】
[ロードロック(L/L)室]
ロードロック室1300は大気搬送室1200に隣接する。ロードロック室1300を構成する筐体1310が有する面のうち、大気搬送室1200とは異なる面には、後述するように、真空搬送室170が配置される。ロードロック室1300は、大気搬送室1200の圧力と真空搬送室170の圧力に合わせて筐体1310内の圧力が変動するため、負圧に耐え得る構造に構成されている。
【0021】
筐体1310のうち、真空搬送室170と隣接する側には、基板搬入搬出口1340が設けられる。基板搬入搬出口1340は、ゲートバルブ1350によって解放・閉鎖することで、基板10の出し入れを可能とする。
【0022】
さらに、ロードロック室1300内には、基板10を載置する基板載置台1320が設置されている。
【0023】
[真空搬送室170]
基板処理システム1は、負圧下で基板10が搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室(トランスファモジュール)170を備えている。真空搬送室170の各辺には、ロードロック室1300及び基板10を処理する基板処理装置101が連結されている。真空搬送室170の略中央部には、負圧下で基板10を移載(搬送)する真空搬送ロボットとしての移載機30がフランジ35を基部として設置されている。
【0024】
真空搬送室170内に設置される真空搬送ロボットとしての移載機30は、図に示すように、昇降機構部36およびフランジ35によって真空搬送室170の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0025】
[基板処理装置101]
基板処理装置101は、鉛直方向に延びた円筒形状の第1反応管110と、この第1反応管の内側に配置された第2反応管120で構成される反応管と、第1反応管110の外周に設置された第1加熱手段(炉体)としてのヒータ100を備える。反応管を構成する第1反応管110と第2反応管120とは、例えば石英やSiC等の材料で形成される。第1反応管110の内部は、外気に対して図示していない手段により気密にシールされる第2反応管120の内部は、処理室115を形成する。ここで、第1反応管110は、外筒,外管,アウターチューブとも呼ぶ。また、第2反応管120は、内筒,内管,インナーチューブとも呼ぶ。なお、ここでは、反応管を、第1反応管110と第2反応管120とで、構成した例を示すが、これに限るものでは無い。例えば、反応管を第1反応管110だけで構成しても、本開示の技術を適用することができる。
【0026】
なお、ヒータ100は、上下方向で、ゾーン制御可能な様に、上下方向に複数ゾーンを有するゾーンヒータとして構成しても良い。
【0027】
[基板支持具]
基板支持具としてのボート200は、断熱部150を介して支持ロッド160に支持されている。ボート200は、複数の円板201で仕切られた空間で支柱202に取り付けられた基板支持部203に基板10を載置することにより、複数枚、例えば5枚の基板10を垂直方向に多段に支持する。ボート200は、例えば石英やSiC等の材料で形成される。断熱部150とボート200とにより基板保持体が構成される。基板処理の際、ボート200は、図2に示すように、第2反応管120の内部に収納される。なお、ここでは、ボート200に5枚の基板10を支持した例を示すが、これに限るもので無い。例えば、基板10を5~50枚程度、支持可能にボート200を構成しても良い。なお、円板201はセパレータとも呼ぶ。
【0028】
[断熱部150]
断熱部150は、上下方向の熱の伝導或いは伝達が小さくなるような構造を有する。また、断熱部150の内部に空洞を有する様に構成しても良い。なお、図に示す様に、断熱部150の下面には穴151を形成しても良い。この穴151を設けたことにより、断熱部150の内部と外部とに圧力差が生じないようにし、断熱部150の壁面厚くしなくてもよいようにしてある。
なお、断熱部150内には、キャップヒーター152を設けても良い。
【0029】
収納室300の内部には、ボート200が配置される。収納室300の外部であって例えば、外側下方には、ボート200の昇降機構としてのボートエレベータ40が設けられる。
【0030】
真空搬送室170の内部には、基板10をロードロック室1300とチャンバ180との間で搬送する真空搬送ロボットとしての移載機30がフランジ35を基部として設置されている。
【0031】
移載機30は、例えば1枚の基板10を支持するツィーザ31と、伸縮可能なアーム32、回転軸33、基部34、フランジ35、昇降機構部36等を有する。真空搬送室170は、フランジ35によって、気密性を維持する様に構成されている。
【0032】
この昇降機構部36によって、移載機30を動作させることにより、ロードロック室1300と、ボート200との間にて、基板10を搬送させることが可能なように構成される。
【0033】
[チャンバ180]
チャンバ180は第2反応管120の下部に設置され、収納室300として移載室330と加熱室320を備えている。移載室330は、基板10をボート200に載置(搭載)や、取り出しが行われる空間として構成される。加熱室320は、ボート200に載置された基板10を加熱する空間として構成される。チャンバ180の下部には、支持ロッド160に支持された断熱部150が収納されている。
【0034】
なお、移載室330の垂直方向の長さは、加熱室320の垂直方向の長さよりも短く構成される。言い換えると、加熱室320の垂直方向の長さは、移載室330の垂直方向の長さよりも長く構成される。この様な大小関係に構成することによって、後述の、ボート200に基板10を載置してから、基板10の加熱までの時間を短縮させることが可能となる。
【0035】
基板搬入口331には、冷却流路190が設けられている場合がある。この場合、加熱されたボート200や、ヒータ100、加熱部321からの熱が、冷却流路190へ伝達されることにより、後述の新しい基板10の昇温レートが低下する課題がある。
【0036】
この様な大小関係に構成することにより、冷却流路190付近の低温領域から、新しい基板10を遠ざけることが可能となり、新しい基板10の昇温レートを改善させることが可能となる。なお、このような加熱室320の垂直方向の長さは、断熱部150とボート200の基板載置領域の全体を含む長さとも言える。
【0037】
ここで、チャンバ180は、SUS(ステンレス)又はAl(アルミニウム)等の金属材料で構成される。この場合、加熱室320によって、チャンバ180の収納室300が膨張することが有る。この場合、図1に示す様に、チャンバ180の収納室300の外側に冷却流路190を設けて、収納室300を冷却可能に構成しても良い。
【0038】
さらに、チャンバ180の収納室300には、内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管301が取り付けられている。不活性ガス供給管301からは、収納室300の内部に不活性ガスを供給して、第1反応管110の内部の圧力よりも収納室300の内部の圧力が高くなるように調整されても良い。この様に構成することにより、第1反応管110の内部の処理室115に供給される処理ガスが、収納室300の内部への進入を抑制することが可能となる。
【0039】
[加熱室320]
加熱室320は、ボート200や、後述の加熱部321によって、基板10を加熱する空間であり、移載室330の下方に設けられる。加熱室320には、図1図6に示す様に、赤外線を透過する窓(例えば石英)310が形成されていても良い。この窓の外部には、長手方向を上下方向にそろえた複数のランプヒータで構成される加熱部321が設置されていても良い。なお、ここでは、加熱部321として、ランプヒータを用いる例を示すが、加熱部321の構成はこれに限るものでは無い。例えば、抵抗加熱ヒータであっても良い。また、図7図8に示す様に、加熱部321と、窓310が無い構成としても良い。加熱部321や窓310を設けなくても、加熱されたボート200によって、基板10を加熱することが可能である。
【0040】
[移載室330]
移載室330においては、移載機30を用いて基板搬入口331を介してボート200に搭載された基板10をボート200から取り出し、新たな基板10をボート200に載置する。なお、基板搬入口331には、移載室330と、チャンバ180との間を隔離するゲートバルブ(GV)332が設けられている。
【0041】
ボートエレベータ40には支持ロッド160が支持されている。ボートエレベータ40を駆動して支持ロッド160を上下させて、第2反応管120に対してボート200を搬入または搬出させる。支持ロッド160は、ボートエレベータ40に設けられた回転駆動部42に接続されている。回転駆動部42によって支持ロッド160を回転させることにより、断熱部150およびボート200を回転させることができる。回転駆動部42と支持ロッド160とを合わせて、回転機構部と呼ぶ。
【0042】
基板処理システム1は、基板処理に使用されるガスを、図示していないガス供給手段から、第2反応管120の内部に配置されたガス供給部としてのノズル130から供給する。ノズル130から供給するガスは、成膜される膜の種類に応じて適宜換えられる。ノズル130から第2反応管120の内部には、原料ガス、反応ガスおよび不活性ガス、等が供給される。
【0043】
一方、ノズル130から第2反応管120の内部に供給されたガスのうち、成膜に寄与しなかった反応ガスは、第2反応管120と第1反応管110との上側の隙間121及び下側の開口部122を通って、排気部としての排気管140から図示していない排気ポンプにより外部に排気される。
【0044】
第1反応管110の下端部にはポンピング部111が形成されている。ポンピング部111は、ヒータ100よりも下側に設けられることにより、第1反応管110の内部においてポンピング部111よりも上部にヒータ100による均熱領域を確保することができる。
【0045】
第2反応管120の開口部122は、ポンピング部111が配置されている位置の周りの複数の個所に設けられている。開口部122をポンピング部111が配置されている位置の周り、すなわちチャンバ180側に近接する側に設けることで、不活性ガス供給管301から供給される不活性ガスが処理室側に必要以上回り込むことを抑制することができる。
【0046】
基板保持具としてのボート200は、直立した複数の支柱202と、一定の間隔をあけて複数の支柱202で支持されている円板201と、石英製の円板201の間で支柱202に支持されている基板支持部203とを備えて構成されている。
【0047】
ボート200は、例えば5枚の基板10を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持する。そこでは基板10は、一定の間隔を空けて配列させる。ボート200は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で形成されている。
【0048】
第2反応管120は、ボート200を安全に搬入出可能な最小限の内径を有することが望ましい。
【0049】
図1や、図9に示す様に、基板処理装置101や、基板処理システム1は、各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0050】
コントローラ260の概略を図9に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262が接続可能に構成されている。
【0051】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0052】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ1330,1350,1490、昇降機構部36、ボートエレベータ40、ヒータ100、加熱部321、圧力調整器(不図示)、真空ポンプ(不図示)、等に接続されている。また、真空搬送ロボットとしての移載機30、大気搬送ロボット1220、ロードロック室1300、ガス供給部(マスフローコントローラMFC(不図示)、バルブ(不図示))、等にも接続されていても良い。なお、本開示における「接続」とは、各部が物理的なケーブルで繋がっているという意味も含むが、各部の信号(電子データ)が直接または間接的に送信/受信可能になっているという意味も含む。例えば、各部の間に、信号を中継する機材や、信号を変換または演算する機材が設けられていても良い。
【0053】
CPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、コントローラ260からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ1330,1350,332の開閉動作、昇降機構部36,ボートエレベータ40昇降動作、回転駆動部42の回転動作、ヒータ100,加熱部321への電力供給動作、真空搬送ロボットとしての移載機30、大気搬送ロボット1220を制御するように構成されている。さらに、ガス供給部(マスフローコントローラMFC(不図示)、バルブ(不図示))の制御も行うが、図示を省略する。
【0054】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、ネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0055】
(2)第1基板処理工程
次に、上述の基板処理装置を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜であって、例えばシリコン含有膜としてのシリコン酸化(SiO)膜を成膜する例について図2図3図10等を参照して説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0056】
なお、本開示において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「基板」を「ウエハ」に置き換えて考えればよい。
【0057】
以下に、半導体装置の製造工程の一工程として、基板10に成膜を行う成膜工程S204を含む一連の基板処理工程のフロー例を示す。
【0058】
[事前雰囲気調整工程:S200]
まず、ヒータ100によって、処理室115内や、ボート200が成膜工程S204の所定温度に加熱される。この時ボート200は、図2に示す処理位置に配置した状態で行われる。所定温度に達した後、処理室115の内部が所望の圧力(真空度)となるように図示していない真空ポンプによって排気管140から真空排気する。なお、ヒータ100による処理室115内の加熱や、処理室115内の排気は、少なくとも基板10に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0059】
また、加熱部321をONとして、加熱室320内を所定温度となる様に、予備加熱しても良い。
【0060】
[基板搬入工程:S201]
続いて、基板搬入工程S201が行われる。基板搬入工程では、少なくとも、基板載置工程S201aと第1基板加熱工程S201bが行われる。
【0061】
[基板載置工程S201a・第1基板加熱工程:S201b]
ここでは、基板載置工程S201aと第1基板加熱工程S201bとが並行して行われることとなる。
【0062】
[基板載置工程:S201a]
まず、基板載置工程S201aについて説明する。ボート200に基板10を載置、基板10が載置されたボート200を処理室に配置させる工程が行われる。具体的には、図2の状態から、ボート200の最も下側に設けられた、基板支持部203が、移載室330内に挿入された状態とする。1ピッチ(一つの基板が載置される基板支持部203)が移載室330内に挿入された状態とも呼ぶ。このとき、ボート200の大部分は、ヒータ100と対向し、加熱された状態となっている。この状態で、移載室330の基板搬入口331を介して移載機30からボート200の基板支持部203に基板10を載置する。これを、ボート200の基板支持部203の1ピッチ分下降(ボートダウン)させながら繰り返し行って、ボート200のすべての段の基板支持部203に基板10を載置する。なお、この動作は、ボートエレベータ40で支持ロッド160を移動させて行われる。
【0063】
[第1基板加熱工程:S201b]
次に、第1基板加熱工程S201bについて、図3を用いて説明する。第1の基板加熱工程S201bは、上述の基板載置工程S201aで、ボート200に載置された基板10から順に行われることとなる。図3に示す様に、下から1ピッチ目に載置された基板10は、少なくとも、加熱されたボート200によって加熱される。この様に、基板10が加熱される工程を第1基板加熱工程S201bと呼ぶ。なお、このとき、ボート200に載置された基板10の昇温速度(昇温レート)を向上させるには、加熱部321を予めON状態として、加熱部321によって、基板10を加熱する様に構成する。第1基板加熱工程S201bは、ボート200のすべての段の基板支持部203に基板10が載置されるまで継続する。この工程において、基板10は、例えば、200~450℃程度の範囲の温度帯まで加熱される。
【0064】
次に、ボート200のすべての段の基板支持部203に基板10が載置された状態で、ボートエレベータ40で支持ロッド160を上昇させて、ボート200を第2反応管120の内部に搬入(ボートローディング)する(図2に示した状態)。
【0065】
なお、ボートローディング時には、処理室115の下側の温度がオーバーシュートすることが有る。この場合、ヒータ100を上下方向で分割したゾーンを有するゾーンヒータとして構成し、下部のゾーンのヒータの出力を他のゾーンのヒータの出力よりも小さくすると良い。
【0066】
また、基板入れ替え工程S206aでは、ボート200の回転は停止した状態となっている。ボート200の回転が停止しているので、ボート200の回転方法(基板10の週方向)において、基板10やボート200の回転方向(周方向)に温度差(温度分布)が形成されることが有る。例えば、基板搬入口331に面している部分の温度が、他の部分の温度よりも低下することがある。この温度差を解消させるため、ボート200の最上部の基板支持部203に新しい基板10が載置された後から、ボート200を回転させることが好ましい。
【0067】
[第2基板加熱工程:S202]
なお、ボート200を上昇させる前に、図10の破線で示す様に、第2基板加熱工程S202を行わせても良い。この工程は、例えば、基板10の昇温が遅い場合に行われる。第2基板加熱工程S202では、図4に示す状態で、所定時間待機させて、基板10を所定温度まで加熱させる工程である。例えば、基板10は、200~450℃程度の範囲の温度帯まで加熱される。
【0068】
[成膜工程:S203]
続いて、図示していないガス供給系統からノズル130を介して第2反応管120の内部に原料ガスを供給し、第2反応管120と第1反応管110との上側の隙間121及び下側の開口部122を通って、排気管140から図示していない排気ポンプにより外部に排気する。
【0069】
このノズル130を介して第2反応管120の内部に原料ガスを供給し、排気ポンプにより外部に排気する工程を含むいくつかの処理工程を繰り返すことで、ボート200に搭載された基板10の表面に所望の厚さの薄膜を形成する。例えば、アミノシラン系ガスや酸素含有ガスが供給される。アミノシラン系ガスとしては、例えば、ビスジエチルアミノシラン(H2Si(NEt2)2、Bis(diethylamino)silane:BDEAS)ガスがある。酸素含有ガスとして、例えば、酸素ガス(O2)やオゾンガス(O3)、水(H2O)、亜酸化窒素ガス(N2O)等が有る。
【0070】
[雰囲気調整工程:S204]
基板10の表面に所望の厚さの薄膜が形成された後、雰囲気調整工程S204が行われる。図示していないガス供給系統からノズル130を介して第2反応管120の内部にNガスを供給し、排気管140から図示していない排気ポンプにより外部に排気することにより、処理室115内を不活性ガスでパージし、処理室115内に残留するガスや副生成物を処理室115内から除去する。
【0071】
[判定工程:S205]
続いて、上述の成膜工程S203を未処理の新しい基板10に対して、繰り返し行わせるか否かの判定工程S205が行われる。未処理の基板10がある場合は、YES(Y)判定として、基板入れ替え工程S206aと第1加熱工程S206bが行われる。未処理の基板10が無い場合は、No(N)判定として、基板搬出工程S207が行われる。
【0072】
[基板入れ替え工程:S206a]
その後、ボートエレベータ40を駆動して支持ロッド160を下降させ、図3に示すように、表面に所定の厚さの薄膜が形成された基板10を搭載したボート200を収納室300に搬送する。
【0073】
この、薄膜が形成された基板(処理済基板)10を搭載したボート200をチャンバ180に搬送するときに、本実施例においては、移載室330の基板搬入口331を介して、ボート200から薄膜が形成された基板10を取り出して、新たな基板(未処理基板)10をボート200に搭載することを、ボートエレベータ40を駆動してボート200をピッチ送りして1枚づつ行う。
【0074】
基板10の入れ替え順は、上から順、下から順、ボート200の中間付近から順になど様々あるが、ボート200の下から順に入れ替えする方が、基板10の昇温時間を短縮することができる。ただし、ボート200に搭載した一番上と一番下の基板10は、ボート200の中間付近に搭載した基板10よりも温度が高くなる傾向にあるため、ボート200の中間付近から順に入れ替えを始めても良い。
【0075】
この動作を、ボート200に搭載された薄膜が形成された基板10を全て新たな基板10と置き換えるまで実行する。この時、新たな基板10の昇温レートを向上させるため、収納室300の加熱部321は発熱しており、窓310を介して加熱室320の内部を赤外線により加熱しても良い。これにより、ボート200の下端が移載室330に入り、基板入れ替えが始まっている間も、ボート200の下部を、加熱室320の外周部に取り付けた加熱部321により加熱し、ボート200の温度低下が抑制される。
【0076】
このように、加熱部321で加熱室320の内部を加熱することにより、図4に示すように、ボート200に搭載された薄膜が形成された基板10を全て新たな基板10と置き換えられた時点において、ボート200と、このボート200に新たに搭載された基板10は、加熱室320の内部で加熱され、温度が上昇する。
【0077】
ボート200に搭載された薄膜が形成された基板10を全て新たな基板10と置き換えられると、ボートエレベータ40を駆動してボート200を上昇させて、ボート200を収納室300から第2反応管120の内部に搬入する(図2に示した状態)。
【0078】
この状態で、収納室300と処理室115の内部は図示していない真空ポンプによって排気管140から真空排気されているので、ボートは真空状態で収納室300から処理室115へ搬入される。これにより、収納室300から処理室115にボート200を搬入した後に処理室を真空排気する時間がいらなくなり、全体の処理時間を短縮することができる。
【0079】
このように、収納室300から処理室115へのボート200の搬入を真空状態で行うことで、処理室115の温度低下を抑制できる。また、加熱後の基板10を、加熱室320から処理室115まで移動させる間に基板10の温度低下を抑制することができる。
【0080】
ボート200を搬入した後、基板10が所望の温度となるようにヒータ100によって加熱する。このとき、ボート200と基板10は移載室330ですでに加熱されているので、成膜処理を開始するのに必要な温度まで上昇する時間が、移載室330で加熱されずに室温の状態で処理室115の内部に搬入された場合と比べると、大幅に短くすることができる。これにより、基板処理の時間を短くすることができ、スループットを向上させることができる。
【0081】
ここで、ボート200への新たな基板10の置き換えを、例えばボート200の一番下の段から順に行うことにより、新たに置き換えられた基板10が加熱室320の内部に滞在する時間が異なり、ボート200の一番下の段に搭載された基板10とボート200の一番下上の段に搭載された基板10の温度には差が生じる。
【0082】
なお、上記実施例では、ボートエレベータ40を駆動してボート200をピッチ送りして、ボート200から薄膜が形成された基板10を取り出して、新たな基板10を1枚、ボート200に搭載する例を示したが、基板10を複数枚同時にボート200から取り出して、新たな基板10を複数枚同時にボート200搭載するようにしてもよい。この場合、ボートエレベータ40は、ボート200を複数枚の基板10の分だけピッチ送りする。
【0083】
また、基板10を複数枚同時にボート200から取り出して、新たな基板10を複数枚同時にボート200搭載するようにして、ボート200に新たに搭載された処理前の基板10全てを一括で加熱するようにしてもよい。
【0084】
なお、ボートエレベータ40によりボート200が下降させられて、ボート200に搭載された薄膜が形成された基板10を新たな基板10と置き換えているときに、基板処理装置101のヒータ100による加熱を継続させてもよい。これにより、ボート200の上部の温度の低下を防止して、新たな基板10を移し替えた後のボート200の上部の基板10の加熱室320における加熱時間が短いことによるボート200の下部の基板10との温度差をある程度解消することができる。
【0085】
なお、基板入れ替え工程S206aで、キャップヒーター152のONを継続して、ボートダウン、ボートローディングを行う様に構成しても良い。キャップヒーター152のONを継続させることにより、断熱部150や、ボート200の下部の基板支持部203の温度低下を抑制させることが可能となる。
【0086】
[基板搬出工程:S207]
基板搬出工程S207は、新しい基板10が無い場合に行われる。基板搬出工程S207の動作は、基板入れ替え工程S206aで、新しい基板10を載置しない様に構成される。
この様にして、本実施例の基板処理工程が行われる。
【0087】
本実施例によれば、加熱室320で基板10を加熱しない場合と比べて、加熱室320で基板10を加熱することにより、移載室330から処理室115に搬入されたボート200に搭載された基板10の加熱時間を短縮することができ、処理のスループットを向上させることができる。
【0088】
[変形例1]
実施例1においては、加熱部321として複数のランプヒータを加熱室320の長手方向にそろえて配列した例を示したが、本変形例では、図5に示すように、リング状のランプヒータ322を、加熱室320の外周に沿って加熱室320の長手方向に複数配置する構成とした。実施例1と同じ構成部品については同じ番号を付して、重複した説明を避ける。
【0089】
この場合、リング状のランプヒータ322を配置する位置は、加熱室320内部においてボート200に搭載された基板10の高さ方向のピッチに合わせて、ボート200に搭載された基板10の1枚ごとにさせて配置する。この場合、リング状のランプヒータ322の位置は、対応する基板10の位置(ボート200の載置面)よりも上側に配置する。
【0090】
なお、リング状のランプヒータ322に替えて、棒状のランプヒータを加熱室320の外周に沿って複数本を配置してもよい。
【0091】
さらに、加熱室320の外周に沿って加熱室320の長手方向に複数配置するリング状のランプヒータ322の出力を、加熱室320の長手方向に沿って変化させるようにしてもよい。
【0092】
本変形例においても、実施例1の場合と同様な効果を得ることができる。
[変形例2]
第2の変形例として、図6に示すように、加熱室320を複数のブロックに分けて、各ブロックごとに加熱する温度を異ならせるように構成した。図6に示した例では、加熱室320を3つのブロック323-1,323-2,323-3に分けた例を示している。
【0093】
このように、加熱室320を複数のブロックに分けて、上部のブロック323-1の温度を下部のブロック323-3の温度よりも高く設定することにより、加熱室320内部における滞在時間の差により生じるボート200の最上段に搭載された基板10と最下段に搭載された基板10との間の温度差を低減することができる。
【0094】
本変形例によれば、ボート200に搭載された基板10の上下間での温度差を小さくすることができるので、移載室330から処理室115に搬入されたボート200に搭載された基板10の加熱時間を実施例1の場合と比べて更に短縮することができ、処理のスループットを向上させることができる。
【0095】
[変形例3]
第3の変形例として、図8に示す構成がある。図8は、チャンバ180の高さを他の図の構成よりも短くした構成である。具体的には、ボート200を、収納室300の下端まで移動させた時に、ボート200の最上部の基板支持部203が、基板搬入口331と面する様に構成している。この様に構成することにより、ボート200の上下方向のストローク長さを短くすることが可能となり、ボート200(基板10)の搬送時間を短縮することが可能となる。
【0096】
また、チャンバ180の下端から、ヒータ100までの距離が短く構成されることとなり、ヒータ100からの放射熱が、ボート200へ到達しやすくなり、ボート200の上端の円板201を加熱させることが可能となる。また、処理室115の下側開口(反応管とチャンバ180との間)が、ボート200の上端の円板201により簡易的に閉塞されることとなり、処理室115内の温度低下を抑制させることが可能となる。なお、この構成は、加熱室320の垂直方向の長さは、断熱部150とボート200の基板載置領域の一部を含む長さに構成されているとも言える。
【0097】
以上、本開示を実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0098】
例えば、加熱部321は、図2では収納室300の両側方に設けている例を示したが、この構成に限らず、一側方のみに設ける様に構成しても良い。また、収納室300の壁を取り囲む様に構成しても良い。
【0099】
また、本件開示者等は鋭意研究した結果、図11に示す様に基板処理装置101を構成することにより、基板10の昇温速度を向上させることができることを見出した。図11に示す基板処理装置101と、図2に示す基板処理装置101との差異は、図11において第2の加熱部324が設けられているところにある。第2の加熱部324は、加熱部321(第1の加熱部321とも呼ぶ)の上方に設けられる。好ましくは、第2の加熱部324は、移載室330であって、基板搬入口331と対向する様に設けられる。更に好ましくは、第2の加熱部324は、ボート200に設けられた基板支持部203の内、最上部の基板支持部203に基板10を載置した際に、最上部の基板10を加熱可能な位置に設けられる。
【0100】
第2の加熱部324を用いた加熱処理について説明する。第1の加熱部321で加熱しながらボート200に処理する基板10を載置し、ボート200に処理する基板10を全て載置された後に、第2の加熱部324をONとする。第2の加熱部324を作動させる(ONとする)ことで、ボート200に最後に載置された基板10の昇温速度が向上する。第2の加熱部324は、少なくとも。ボート200の下端が通りすぎるまでONの状態を継続し、ボート200の加熱も可能に構成しても良い。
【0101】
この様に構成することにより、最上部の基板支持部203に載置される未処理の基板10について、基板支持部203に載置した直後から加熱を開始することが可能となる。ボート200に載置した基板10全体の加熱時間は、最後に基板支持部203に載置された最上部の基板10の温度上昇により決まるので、最上部の基板10を第2の加熱部324で加熱することにより基板支持部203に載置した直後から加熱を開始することによりボート200に載置した基板10全体の加熱時間を短縮させることが可能となる。即ち、基板10の処理時間が短くなり、半導体装置の製造スループットを向上させることができる。
【0102】
また、最上部の基板支持部203に未処理の基板10を載置した後に、第2の加熱部324をONとすることにより、基板搬入口331、ゲートバルブ332、ゲートバルブ332の周囲に設けられたOリング等の少なくともいずれかの加熱を抑制させることが可能となる。
【0103】
なお、ここでは、第1の加熱部321と、第2の加熱部324とを別々の発熱体で構成した例を示したが、この構成に限らず、第1の加熱部321と第2の加熱部324とを同じ発熱体で構成する様に構成しても良い。言い換えると、第1の加熱部321の上端側が、移載室330側に延在している様に構成される。ここで、発熱体とは、ランプヒータや、抵抗加熱ヒータ、等である。
【0104】
本開示は、少なくとも以下の実施形態を含む。
[付記1]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、基板支持具にセパレータが設けられている基板処理装置。
[付記2]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、前記移載室の前記基板の面に対して垂直方向の長さは、前記加熱室の前記基板の面に対して垂直方向の長さよりも短く構成されている基板処理装置。
[付記3]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、前記加熱室の前記基板の面に対して垂直方向の長さは、少なくとも、前記基板支持具の前記基板載置領域の長さとなる様に構成されている基板処理装置。
[付記4]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、ボートダウンと、処理後の複数の基板と処理前の複数の基板との入れ替えを並行して行い、載置された処理前の基板を、順次加熱室で加熱する様に、加熱室の加熱部と、ボート昇降機構を制御する制御部を有する基板処理装置。
[付記5]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、ボートダウンと、処理後の複数の基板と処理前の複数の基板との入れ替えを並行して行い、載置された処理前の基板を、一括で加熱する様に、加熱室の加熱部と、ボート昇降機構を制御する制御部を有する基板処理装置。
[付記6]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、前記加熱室による加熱を継続してボートダウン、ボートローディングを行う基板処理装置。
[付記7]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、前記処理室側のヒータによる加熱を継続してボートダウン、ボートローディングを行う基板処理装置。
[付記8]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、移載室・加熱室・反応室は連通し、真空雰囲気に構成される基板処理装置。
[付記9]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、予備加熱の前(ボートのアンロードの前)から、ランプをONとし、加熱室を加熱する基板処理装置。
[付記10]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、加熱室にSiC部材を設けて加熱室をホットウォールの様に構成した基板処理装置。
[付記11]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、ボートアンローディング時に、反応室下部のヒータの制御を切り替える基板処理装置。
[付記12]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、ボートアンローディング時に、反応室下部のヒータを制御して、反応室下部のヒータの電力を固定又は減少させる基板処理装置。
[付記13]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、複数枚の基板の入れ替え終了後、ボートの回転を始める基板処理装置。
[付記14]
基板を処理する処理室と、処理室の下方に連通し、前記処理室内に配置される基板支持具に前記基板を移載する移載室と、前記移載室の下方に連通し、前記基板支持具と前記基板を加熱する加熱室とを有し、ティーチングずれ抑制のため、加熱室は冷却する基板処理装置。
【符号の説明】
【0105】
1・・・縦形基板処理装置(基板処理システム)
10・・・基板
30・・・移載機
40・・・ボートエレベータ
100・・・ヒータ
101・・・基板処理装置
110・・・第1反応管
120・・・第2反応管
130・・・ノズル
160・・・支持ロッド
170・・・真空搬送室
180・・・チャンバ
200・・・ボート
310・・・窓
320・・・加熱室
321・・・加熱部
330・・・移載室
331・・・基板搬入口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11