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特許6996050バインダー樹脂、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタ及びディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】バインダー樹脂、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタ及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/12 20060101AFI20220107BHJP
   C08F 220/04 20060101ALI20220107BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20220107BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220107BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20220107BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
C08F220/12
C08F220/04
C08F212/06
G03F7/004 505
G03F7/033
G02B5/20 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020511188
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 KR2019008469
(87)【国際公開番号】W WO2020022670
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087918
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン スー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、スン ジン
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0154888(US,A1)
【文献】特開2006-299017(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101126902(CN,A)
【文献】特開2009-001770(JP,A)
【文献】特開2010-032999(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0073674(KR,A)
【文献】特開2013-040256(JP,A)
【文献】特開2017-167399(JP,A)
【文献】特開2017-201003(JP,A)
【文献】特開2017-210568(JP,A)
【文献】特開2017-120387(JP,A)
【文献】特開2017-182092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/00 - 220/70
G02B 5/20 - 5/28
G03F 7/004 - 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造;下記化学式2で表される構造;下記化学式3で表される構造;及び下記化学式4又は5で表される構造のうち少なくとも一つからなるバインダー樹脂であって、
前記バインダー樹脂に含まれる単量体の総量に対して、前記化学式1で表される構造が10mol%~80mol%、前記化学式2で表される構造が1mol%~20mol%、前記化学式3で表される構造が5mol%~40mol%、前記化学式4または5で表される構造が10mol%~50mol%含まれ、
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~50,000 g/molである、バインダー樹脂
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
前記化学式1~3において、
R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は互いに同一であるか異なっており、
r4は、0~5の整数であり、r4が2以上の場合、R4は同一であるか異なっており、
L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
Aは、下記
【化6】
(前記構造において,
R11~R18は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基である。)
の構造のうちいずれか一つである熱硬化性基である。
前記化学式4及び5において、L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R41、R42、R51及びR52は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r42は、0~5の整数であり、r42が2以上の場合、R42は互いに同一であるか異なっており、
r52は、0~11の整数であり、r52が2以上の場合、R52は互いに同一であるか異なっている。
【請求項2】
請求項1に記載のバインダー樹脂;染料化合物;多官能性モノマー;光開始剤;及び溶媒を含む感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物中の固形分の総重量を基準に、前記染料化合物の含量は4重量%~20重量%であり、前記バインダー樹脂の含量は20重量%~50重量%であり、前記多官能性モノマーの含量は20重量%~50重量%であり、前記光開始剤の含量は1重量%~5重量%である、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項2または3に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造された感光材。
【請求項5】
請求項に記載の感光材を含むカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項に記載のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年7月27日付にて韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10-2018-0087918号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、バインダー樹脂、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタ及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、LCDテレビ市場では、既存よりさらに高いコントラスト及び輝度が要求されている。このうち輝度の改善のために、従来は、既存に広く知られている顔料を使用して微粒化させるか、分散性の改善及び分散助剤を変更して輝度の改善を図っていたが、最近要求される輝度水準を実現するには限界に達していた。そこで、最近になっては、染料を適用して輝度の改善を試みる努力が続いている。
【0004】
染料は、顔料に比べて溶解度が高くて、分散剤、分散助剤等を使用しないこともでき、モル吸光係数が高くて少ない使用量で所望の色を得ることができるので、輝度の上昇に有利であるという長所がある。しかしながら、パターン形成のために露光後アルカリ現像液で現象時に、顔料に比べて良い溶解度のため染料が洗い出される場合が多く、ポストベーク工程時 (一般に230℃~250℃)、顔料に比べて劣る耐熱性のため分解及び昇華されて、パターニングされたピクセルの変色を起こすという短所がある。
【0005】
耐化学性も、顔料に比べて劣る傾向がある。顔料タイプ組成物の耐化学性の場合は、一般にバインダー樹脂内に不飽和エチレン性反応基(架橋サイトの導入)を導入して改善が可能であるが、染料タイプ組成物の場合は、反応基導入時に発生するアルコール基が現像工程時に染料抜け現象を倍加させるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、バインダー樹脂、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタ及びディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される構造;下記化学式2で表される構造;及び下記化学式3で表される構造を含むバインダー樹脂を提供する。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
上記化学式1~3において、
R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は互いに同一であるか異なっており、
r4は、0~5の整数であり、r4が2以上の場合、R4は同一であるか異なっており、
L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
Aは、熱硬化性基である。
【0008】
本明細書の一実施態様は、上記バインダー樹脂;染料化合物;多官能性モノマー;光開始剤;及び溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
本明細書の一実施態様は、上記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光材を提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様は、上記感光材を含むカラーフィルタを提供する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、上記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する
【発明の効果】
【0012】
本明細書のバインダー樹脂を用いて、ポストベーク工程時に発生する耐熱性問題を補完し、耐化学性も改善して、感光性樹脂組成物の工程性及び信頼性を改善することができる。
【0013】
具体的に、カラーフィルタの製造工程で露光時に光硬化反応によって架橋されたマトリックスが形成されて、現像工程時の露光部染料の溶出を防ぎ、その後、ポストベーク工程時に熱硬化反応によってもう一度架橋されたマトリックスが形成されて、感光性樹脂組成物の耐熱性及び耐化学性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書において、ある部材が他の部材 「上に」に位置していると言うとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた別の部材が存在する場合も含む。
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。例えば、下記化学式1で表される構造;下記化学式2で表される構造;及び下記化学式3で表される構造を含むバインダー樹脂は、下記化学式4で表される構造をさらに含むことができる。
【0017】
本明細書において、
【化4】
は、他の置換基又は結合部に結合される部位を意味することができ、本明細書のバインダー樹脂の主鎖に連結される部分を意味することができる。
【0018】
本明細書の一実施態様によると、下記化学式1で表される構造;下記化学式2で表される構造;及び下記化学式3で表される構造を含むバインダー樹脂を提供する。
【0019】
本明細書の一実施態様に係るバインダー樹脂を用いて、ポストベーク工程時に発生する染料化合物の耐熱性問題を補完し、耐化学性も改善して、染料単独あるいは染顔料混合分散液から構成された感光性樹脂組成物の工程性及び信頼性を改善することができる。
【0020】
本明細書の一実施態様に係るバインダー樹脂は、熱硬化が可能な下記化学式1で表される構造;光硬化が可能な下記化学式2で表される構造;及びアルカリ現像液に対して現像性を付与する下記化学式3で表される構造を含む。
【0021】
これにより、カラーフィルタの製造工程で露光時に光硬化反応によって架橋されたマトリックスが形成されて、現像工程時の露光部染料の溶出を防ぎ、その後、ポストベーク工程時に熱硬化反応によってもう一度架橋されたマトリックスが形成されて、本明細書の一実施態様に係る感光性樹脂組成物の耐熱性及び耐化学性を改善することができる。
【0022】
バインダー重合反応の終了後、バインダー樹脂内のエポキシ基にメタクリル酸又はアクリル酸等のモノマーを加熱付加反応させて、不飽和二重結合性基を導入した従来のバインダー樹脂とは違って、本発明のバインダー樹脂の場合、下記化学式2で表される光硬化性基の導入時、アルコール基が発生しなくて、現像工程時の染料溶出問題の改善効果がある。また、不飽和二重結合性基の光硬化のための別途の光開始剤を添加することなく、自発的に光硬化が可能である。
【0023】
従来の不飽和二重結合性基を導入したバインダー樹脂の場合、二重結合導入反応が高温でなされるため、バインダー樹脂内のエポキシ基と酸基間の反応によるゲル化の可能性によって、バインダー樹脂内に酸基を導入しにくい。そこで、現像時にバインダー樹脂が残渣として残り得るが、本発明の場合、バインダー樹脂に酸基導入が可能であって、現像性に問題がない。
【0024】
言い換えれば、本発明のバインダー樹脂は、熱硬化基、光硬化基、アルカリ可溶性基それぞれの役割によって、3種類の不飽和二重結合性モノマーの共重合体から構成される。
【0025】
熱硬化基としては、染料又は染料高分子に含まれるカルボン酸基又はバインダー樹脂と硬化が可能なグループ(例えば、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン等)を有するモノマーを含んで、染料と直接結合又はバインダー樹脂間の結合によって染料の耐熱性、耐化学性を改善する。
【0026】
光硬化基としては、ベンゾフェノン基を含んだモノマーを含んで、露光時にバインダー樹脂間又はバインダー樹脂と不飽和二重結合性架橋剤間の結合によって、染料をよりしっかり捕らえることができるマトリックスを形成して、耐熱性、耐化学性を改善する。
【0027】
アルカリ可溶性基(例えば、メタクリル酸、アクリル酸等)を導入して、アルカリ現像液に対して組成物の現像性を付与する。
【0028】
上記化学式1で表される化合物の置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」 という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;-OH;-COOH;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;シクロアルケニル基;アリール基;ヘテロアリール基;アクリロイル基;アクリレート基;及びN、O、S又はP原子のうち1個以上を含むヘテロ環基を含む群より選択された1個以上の置換基で置換されたか、又はいずれの置換基も持たないことを意味する。
【0030】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素がある。
【0031】
本明細書において、上記アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、上記アルキル基の炭素数は、1~30であってもよい。もう一つの実施態様によれば、上記アルキル基の炭素数は、1~20である。もう一つの実施態様によれば、上記アルキル基の炭素数は、1~10である。アルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等があるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、特にシクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましいが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に結合位置が二つあるものを意味する。上記アルキレン基は、直鎖、分枝鎖又は環鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数は、特に限定されないが、例えば炭素数1~30であってもよい。また、炭素数1~20であってもよく、炭素数1~10であってもよい。
【0034】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、一実施態様によれば、上記シクロアルキル基の炭素数は、3~30である。もう一つの実施態様によれば、上記シクロアルキル基の炭素数は、3~20である。もう一つの実施態様によれば、上記シクロアルキル基の炭素数は、3~6である。具体的にシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等があるが、これに限定されない。
【0035】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基又は多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、上記アリール基の炭素数は、6~30である。一実施態様によれば、上記アリール基の炭素数は、6~20である。上記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニル基、クリセニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、上記ヘテロ環基は、異種原子としてO、N又はSを含むヘテロ環基であって、 炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30、具体的には炭素数2~20である。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラン基等があるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、ヘテロアリール基は、芳香族であることを除き、上述したヘテロ環基に関する説明が適用されることができる。
【0038】
本明細書において、上記アルコキシ基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であってもよく、具体的には1~20であってもよく、より具体的には1~10であってもよい。
【0039】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタアクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を示す。「(メタ)アクリル酸」の表記も同様の意味を有する。
【0040】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される構造;下記化学式2で表される構造;及び下記化学式3で表される構造を含むバインダー樹脂を提供する。
[化学式1]
【化5】
[化学式2]
【化6】
[化学式3]
【化7】
上記化学式1~3において、
R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は互いに同一であるか異なっており、
r4は、0~5の整数であり、r4が2以上の場合、R4は同一であるか異なっており、
L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
Aは、熱硬化性基である。
【0041】
本明細書の上記化学式2で表される構造を含む光硬化性基は、露光工程時にバインダー樹脂に光開始剤の効果を付与して架橋反応を起こすことにより、耐熱性の向上に寄与する。
【0042】
一方、上記化学式2で表される構造において、R3又はR4がヒドロキシ基(-OH)の場合、本明細書の上記光硬化性基のように光硬化の機能ではない、紫外線吸収剤としての機能をする。すなわち、上記化学式2で表される構造において、R3又はR4がヒドロキシ基(-OH)の場合、カラーフィルタの形成時に再反射された紫外線を吸収して、パターン不良を改善する目的として使用される。上記化学式2で表される構造において、R3又はR4がヒドロキシ基(-OH)の場合に関することは、後述する比較例2に該当し得る。
【0043】
具体的に、上記化学式2で表される構造において、R3又はR4がヒドロキシ基(-OH)の場合、上記化学式2で表される構造を含む感光性樹脂組成物を用いて現像工程を行う場合、露光時に上記ヒドロキシ基が紫外線吸収剤の役割のみするようになって、露光感度を低下させるおそれがある。
【0044】
本明細書の一実施態様において、 上記熱硬化性基は、下記構造のうちいずれか一つである。
【化8】
【0045】
上記構造において、R11~R18は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、上記R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0047】
本明細書の一実施態様において、上記R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0048】
本明細書の一実施態様において、上記R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0049】
本明細書の一実施態様において、上記R1~R5は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のメチル基である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、上記L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、上記L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、上記L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、上記L1~L4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、上記L1~L4は、メチレン基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、上記 R11~R18は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、上記R11~R18は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、上記R11~R18は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、上記R11~R18は、水素である。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1は、下記化学式1-1で表されることができるが、これに限定されるものではない。
[化学式1-1]
【化9】
【0060】
本明細書の一実施態様において、上記化学式2は、下記化学式2-1で表されることができる。
[化学式2-1]
【化10】
上記化学式2-1において、R2~R4、L3、r3及びr4は、上記化学式2で定義した通りである。
【0061】
本明細書の一実施態様において、上記化学式2は、下記化学式2-2で表されることができるが、これに限定されるものではない。
[化学式2-2]
【化11】
【0062】
本明細書の一実施態様において、上記化学式3は、下記化学式3-1で表されることができるが、これに限定されるものではない。
[化学式3-1]
【化12】
【0063】
本明細書の一実施態様において、上記バインダー樹脂は、下記化学式4又は5で表される構造のうち少なくとも一つをさらに含む。
[化学式4]
【化13】
[化学式5]
【化14】
上記化学式4及び5において、
L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R41、R42、R51及びR52は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r42は、0~5の整数であり、r42が2以上の場合、R42は互いに同一であるか異なっており、
r52は、0~11の整数であり、r52が2以上の場合、R52は互いに同一であるか異なっている。
【0064】
本明細書の一実施態様において、上記L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、上記L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、上記L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、上記L5及びL6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、上記L5は、メチレン基である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、上記L6は、メチレン基である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、R41、R42、R51及びR52は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基であり、 r42は、0~5の整数であり、r42が2以上の場合、R42は互いに同一であるか異なっており、r52は0~11の整数であり、r52が2以上の場合、R52は互いに同一であるか異なっている。
【0071】
本明細書の一実施態様において、R41、R42、R51及びR52は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基であり、 r42は、0~5の整数であり、r42が2以上の場合、R42は互いに同一であるか異なっており、r52は、0~11の整数であり、r52が2以上の場合、R52は互いに同一であるか異なっている。
【0072】
本明細書の一実施態様において、R41、R42、R51及びR52は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又は炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基であり、 r42は、0~5の整数であり、r42が2以上の場合、R42は互いに同一であるか異なっており、r52は、0~11の整数であり、r52が2以上の場合、R52は互いに同一であるか異なっている。
【0073】
本明細書の一実施態様において、R41、R42及びR52は、水素である。
【0074】
本明細書の一実施態様において、R51は、置換もしくは非置換のメチル基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、R51は、メチル基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、上記化学式4は、下記化学式4-1で表されることができる。
[化学式4-1]
【化15】
【0077】
本明細書の一実施態様において、上記化学式5は、下記化学式5-1で表されることができる。
[化学式5-1]
【化16】
【0078】
本明細書の一実施態様において、上記化学式1で表される構造10mol%~90mol%;上記化学式2で表される構造1mol%~20mol%;及び上記化学式3で表される構造5mol%~40mol%を含むバインダー樹脂を提供する。
【0079】
上記各構造のmol%の基準となる100mol%は、上記バインダー樹脂に含まれるすべての単量体を含むことを意味する。
【0080】
また、本明細書の一実施態様において、上記化学式1で表される構造10mol%~80mol%;上記化学式2で表される構造1mol%~20mol%;上記化学式3で表される構造5mol%~40mol%;及び上記化学式4で表される構造10mol%~50mol%を含むものであるバインダー樹脂を提供する。
【0081】
本明細書のもう一つの一実施態様において、上記化学式1で表される構造10mol%~80mol%;上記化学式2で表される構造1mol%~20mol%;上記化学式3で表される構造5mol%~40mol%;及び上記化学式5で表される構造10mol%~50mol%を含むものであるバインダー樹脂を提供する。
【0082】
上記範囲を満足することによって、本明細書の一実施態様に係るバインダー樹脂の熱硬化性、光硬化性及びアルカリ可溶性の特性にいずれも優れるようになる。
【0083】
具体的に、上記化学式1で表される構造が上記範囲内の場合、十分な熱硬化特性を示すことができ、バインダー樹脂自体の安定性を確保することができる。
【0084】
上記化学式2で表される構造が上記範囲内の場合、十分な光硬化特性を示すことができ、樹脂の耐熱性低下を防ぐことができる。
【0085】
上記化学式3で表される構造が上記範囲内の場合、十分な現像性を確保することができ、過現像となってパターン脱落が誘発されることを防ぐことができる。
【0086】
上記化学式4又は5で表される構造が上記範囲内の場合、耐エッチング性を高めることができ、現像性が低下して残渣が発生することを防ぐことができる。
【0087】
本明細書の一実施態様において、上記バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~50,000 g/molである。好ましくは5,000g/mol~20,000g/molであってもよい。
【0088】
上記バインダー樹脂の重量平均分子量が上記範囲内の場合、十分な耐熱性及び耐化学性を確保することができ、現像性が低下することを防ぐことができる。
【0089】
上記重量平均分子量とは、分子量が均一でなく、ある高分子物質の分子量が基準として使用される平均分子量のうち一つであり、分子量分布がある高分子化合物の成分分子種の分子量を重量分率で平均して得られる値である。
【0090】
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)分析を通じて測定されることができる。
【0091】
本明細書の一実施態様によれば、上記バインダー樹脂の酸価は、20KOH mg/g~200KOH mg/gである。
【0092】
上記バインダー樹脂の酸価が上記範囲の場合、現像性が低下することを防ぐことができ、過現像となってパターン脱落が誘発されることを防ぐことができる。
【0093】
上記バインダー樹脂の酸価は、0.1N濃度の水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液で滴定して測定することができる。
【0094】
本明細書の一実施態様は、上記バインダー樹脂;染料化合物;多官能性モノマー;光開始剤;及び溶媒を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0095】
上記感光性樹脂組成物は、上記染料化合物以外に顔料化合物のうち少なくとも1種をさらに含むことができる。例えば、上記感光性樹脂組成物は、上記染料化合物のみを含むこともできるが、上記染料化合物と1種以上の顔料化合物とを含むことができる。
【0096】
上記染料化合物及び顔料化合物は、金属複合体(metal-complex)系化合物;アゾ(azo)系化合物;金属アゾ(metal azo)系化合物;キノフタロン(quinophthalone)系化合物;イソインドリン(isoindoline)系化合物;メチン(Methine)系化合物;フタロシアニン(phthalocyanine)系化合物;金属フタロシアニン(metal phthalocyanine)系化合物;ポルフィリン(porphyrin)系化合物;金属ポルフィリン(metal porphyrin)系化合物;テトラアザポルフィリン(tetra aza porphyrin)系化合物;金属テトラアザポルフィリン(metal tetra aza porphyrin)系化合物;シアニン(Cyanine)系化合物;キサンテン(Xanthene)系化合物;金属ジピロメテン(metal dipyrromethane)系化合物;ボロンジピロメテン(boron dipyrromethane)系化合物;金属ジピロメテン(metal dipyrromethane)系化合物;アントラキノン(anthraquinone)系化合物;ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)系化合物;トリアリールメタン(triarylmethane)系化合物;及びペリレン(perylene)系化合物からなる群より1種以上選択されることができる。好ましくは、上記染料化合物は、トリアリールメタン系ブルー(Blue)染料であってもよい。
【0097】
上記多官能性モノマーは、光によってフォトレジスト像を形成する役割をするモノマーであって、具体的には、プロピレングリコールメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールアクリレートテトラエチレングリコールメタクリレート、ビスフェノキシエチルアルコールジアクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、ジフェニルペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートからなる群より選択される1種又は2種以上の混合物であってもよい。好ましくは、上記多官能性モノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであってもよい。
【0098】
上記光開始剤は、光によってラジカルを発生させて架橋を触発する開始剤であれば、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、及びオキシム系化合物からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0099】
上記アセトフェノン系化合物は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-ブロモ-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン又は2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等があり、これに限定されない。
【0100】
上記ビイミダゾール系化合物としては、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール, 2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5'-テトラフェニル-1、2'-ビイミダゾール等があり、これに限定されない。
【0101】
上記トリアジン系化合物は、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセタート、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセタート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセタート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセタート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン等があり、これに限定されない。
【0102】
上記オキシム系化合物は、1,2-オクタジオン-1-(4-フェニルチオ)フェニル-2-(o-ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI124)、エタノン-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-1-(O-アセチルオキシム)(CGI242)、N-1919(アデカ社)等があり、これに限定されない。
【0103】
上記溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-エトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、3-メトキシブタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールエチルエーテルアセタート、3-メトキシブチルアセタート、エチル3-エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセタート、メチルセロソルブアセタート、ブチルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0104】
本明細書の一実施態様において、上記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、上記バインダー樹脂の含量は3重量%~10重量%であり、上記染料化合物の含量は1重量%~5重量%であり、上記多官能性モノマーは3重量%~10重量%であり、上記光開始剤は0.1重量%~10重量%であり、上記溶媒は65重量%~90重量%である。
【0105】
本明細書の一実施態様において、上記感光性樹脂組成物中の固形分の総重量を基準に、上記染料化合物の含量は4重量%~20重量%であり、上記バインダー樹脂の含量は0重量%~50重量%であり、上記多官能性モノマーの含量は20重量%~50重量%であり、上記光開始剤の含量は1重量%~5重量%である。
【0106】
上記染料化合物の含量が上記範囲内の場合、着色力が低下することを防ぐことができ、マトリックスを構成できる 透明材料が不足であってパターン脱落現像をもたらすことを防ぐことができる。
【0107】
上記バインダー樹脂の含量が上記範囲内の場合、現像性が足りない現象を防ぐことができ、上記感光性樹脂組成物の粘度があまりにも高くなることを防ぐことができる。
【0108】
上記多官能性モノマーの含量が上記範囲内の場合、架橋度が低下してパターン脱落現象をもたらすことを防ぐことができ、架橋度が過度に高くなって、非露光部に現像時パターン残渣が残ることを防ぐことができる。
【0109】
上記光開始剤の含量が上記範囲内の場合、露光感度が低下してパターン脱落現象をもたらすことを防ぐことができ、露光時に過度な表面硬化の結果でパターンの形が逆台形(台形状のパターンが一般的)状になることを防ぐことができる。
【0110】
上記固形分の総重量とは、樹脂組成物において溶媒を除いた成分の総重量の和を意味する。固形分及び各成分の固形分を基準にした重量%の基準は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィ等の当業界で使用される一般的な分析手段で測定することができる。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、上記感光性樹脂組成物は、酸化防止剤をさらに含むことができる。
【0112】
本明細書の一実施態様によれば、上記酸化防止剤の含量は、上記感光性樹脂組成物中の固形分の総重量を基準に、0.1重量%~20重量%である。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、上記感光性樹脂組成物は、光架橋増感剤、硬化促進剤、密着促進剤、界面活性剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、分散剤及びレベリング剤からなる群より選択される1又は2以上の添加剤をさらに含む。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、上記添加剤の含量は、上記感光性樹脂組成物中の固形分の総重量を基準に、0.1重量%~20重量%である。
【0115】
上記光架橋増感剤は、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノン等のフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントン等のキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10- アントラキノン等のアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン等のアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノン等のジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノン等のアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-Cl]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オン等のクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノン等のカルコン化合物;2-ベンゾイルメチレン、3-メチル-b-ナフトチアゾリン;からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0116】
上記硬化促進剤としては、硬化及び機械的強度を高めるために使用され、具体的に、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-トリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(2-メルカプトアセタート)、ペンタエリスリトール-トリス(2-メルカプトアセタート)、トリメチロールプロパン-トリス(2-メルカプトアセタート)、及びトリメチロールプロパン-トリス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0117】
本明細書において使用される密着促進剤としては、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン等のメタクリロイルシランカップリング剤の中から1種以上を選択して使用することができ、アルキルトリメトキシシランとして、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等から1種以上を選択して使用することができる。
【0118】
上記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤であり、具体的にシリコーン系界面活性剤は、BYK-Chemie社のBYK-077、BYK-085、BYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-335、BYK-341v344、BYK-345v346、BYK-348、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358、BYK-361、BYK-370、BYK-371、BYK-375、BYK-380、BYK-390等を使用することができ、フッ素系界面活性剤としては、DIC(DaiNippon Ink & Chemicals)社のF-114、F-177、F-410、F-411、F-450、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-472SF、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-172D、MCF-350SF、TF-1025SF、TF-1117SF、TF-1026SF、TF-1128、TF-1127、TF-1129、TF1126、TF-1130、TF-1116SF、TF-1131、TF1132、TF1027SF、TF-1441、TF-1442等を使用することができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0119】
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系(Hindered phenol)酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤及びホスフィン系酸化防止剤からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0120】
上記酸化防止剤の具体的な例としては、リン酸、トリメチルホスフェート又はトリエチルホスフェートのようなリン酸系熱安定剤;2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-g,t-ブチルフェノール4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)又はビス[3,3-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチルフェニル)ブタン酸]グリコールエステル (Bis[3,3-bis-(4'-hydroxy-3'-tert-butylphenyl)butanoicacid]glycol ester)のようなヒンダードフェノール(Hindered phenol)系一次酸化防止剤;フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン又はN,N'-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミンのようなアミン系二次酸化防止剤;ジラウリルジスルフィド、ジラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、メルカプトベンゾチアゾール又はテトラメチルチウラムジスルフィドテトラキス[メチレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン等のチオ(Thio)系二次酸化防止剤;又はトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ビス(2,4-ジブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(Bis(2,4-dibutylphenyl)Pentaerythritol Diphosphite)又は(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジイルビス亜リン酸テトラキス [2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェニル]エステル((1,1'-Biphenyl)-4,4'-Diylbisphosphonous acid tetrakis[2,4-bis(1,1-dimethylethyl)phenyl] ester)のようなホスファイト系二次酸化防止剤が挙げられる。
【0121】
上記紫外線吸収剤としては、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等を使用することができるが、これに限定されず、当業界で一般的に使用されるもの等がいずれも使用されることができる。
【0122】
上記熱重合防止剤としては、例えば、p-アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t-ブチルカテコール(t-butyl catechol)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアムモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、ベンゾキノン、4,4-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2-メルカプトイミダゾール及びフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これらにのみ限定されるものではなく、当技術分野に一般的に知られているもの等を含むことができる。
【0123】
上記分散剤は、あらかじめ顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、又は顔料に外部添加させる方法で使用することができる。上記分散剤としては、化合物型、非イオン性、アニオン性又はカチオン性分散剤を使用することができ、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、非イオン系、両性界面活性剤等が挙げられる。これらはそれぞれ又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
【0124】
具体的に、上記分散剤は、ポリアルキレングリコール及びこれのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物及びアルキルアミンからなる群より選択された1種以上があるが、これに限定されるものではない。
【0125】
上記レベリング剤としては、ポリマー性であるか非ポリマー性であってもよい。ポリマー性のレベリング剤の具体的な例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、アミンとエポキシドとの反応生成物が挙げられ、非ポリマー性のレベリング剤の具体的な例としては、非ポリマー硫黄含有及び非ポリマー窒素含有化合物を含むが、これに限定されるものではなく、当業界で一般的に使用されるもの等がいずれも使用されることができる。
【0126】
本明細書の一実施態様は、上記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光材を提供する。
【0127】
より詳細には、本明細書の上記感光性樹脂組成物を基材の上に適切な方法で塗布し、硬化して、薄膜又はパターン状の感光材を形成する。
【0128】
上記塗布方法としては、特に制限されないが、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法等を使用することができ、一般的にスピンコート法を広く使用する。また、塗布膜を形成した後、場合によって、減圧下に残留溶媒を一部除去することができる。
【0129】
本明細書に係る上記感光性樹脂組成物を硬化させるための光源としては、例えば、波長が250nm~450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアーク等があるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0130】
本明細書に係る感光性樹脂組成物は、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)カラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)又は有機発光ダイオードのブラックマトリックス形成用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材、光硬化型塗料、光硬化性インク、光硬化性接着剤、印刷版、プリント配線板用感光材、プラズマディスプレイパネル(PDP)用感光材等に使用することができ、その用途は特に制限しない。
【0131】
本明細書の一実施態様によれば、上記感光材を含むカラーフィルタを提供する。
【0132】
上記カラーフィルタは、上記化学式1で表される構造を含む熱硬化性基;上記化学式2で表される構造を含む光硬化性基;及び上記化学式3で表される構造を含むバインダー樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いて、製造されることができる。上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布してコーティング膜を形成し、上記コーティング膜を露光、現像及び硬化することによりカラーフィルタを形成することができる。
【0133】
本明細書の一実施態様に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性及び耐化学性に優れており、現像性に問題がなくて、カラーフィルタの製造時に硬化過程によっても色再現率が高く、輝度及びコントラストの高いカラーフィルタを提供することができる。
【0134】
上記基板は、ガラス板, シリコンウェーハ及びポリエーテルスルホン(Polyethersulfone,PES)、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)等のプラスチック基材の板等であってもよく、その種類が特に制限されるものではない。
【0135】
上記カラーフィルタは、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、ブラックマトリックスを含むことができる。
【0136】
もう一つの実施態様によれば、上記カラーフィルタは、オーバーコート層をさらに含むことができる。
【0137】
上記カラーフィルタのカラーピクセルの間には、コントラストを向上する目的にブラックマトリックスと呼ばれる格子状の黒色パターンを配置することができる。ブラックマトリックスの材料として、クロムを使用することができる。この場合、クロムをガラス基板全体に蒸着させ、エッチング処理によってパターンを形成する方式を利用することができる。しかしながら、工程上の高コスト、クロムの高反射率、クロム廃液による環境汚染を考慮して、微細加工が可能な顔料分散法による樹脂ブラックマトリックスを使用することができる。
【0138】
本明細書の一実施態様に係るブラックマトリックスは、色材としてブラック顔料又はブラック染料を使用することができる。例えば、カーボンブラックを単独で使用するか、カーボンブラックと着色顔料とを混合して使用することができ、このとき、遮光性の足りない着色顔料を混合するから、相対的に色材の量が増加しても、膜の強度又は基板に対する密着性が低下しないという長所がある。
【0139】
本明細書に係るカラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0140】
上記ディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel,PDP)、発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode,OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display,LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display,LCD-TFT)及び陰極線管(Cathode Ray Tube,CRT)のうちいずれか一つであってもよい。
【実施例
【0141】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本明細書に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本明細書の範囲が以下に記述する実施例に限定されるものとは解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0142】
<実施例>
【0143】
<バインダーの合成実施例>
【0144】
<合成例1>
反応容器に下記化学式2-2の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート/下記化学式4-1で表されるスチレン/下記化学式1-1で表されるグリシジルメタクリレート/下記化学式3-1で表されるメタクリル酸を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に、それぞれ11、31、45、13重量%で投入した後、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、Cas No. 108-65-6)と混合して、窒素雰囲気で60℃に昇温した。その後、熱重合開始剤v-65(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に10重量部投入して、16時間反応させて、バインダー樹脂を製造した。
【0145】
製造されたバインダー樹脂の酸価は85KOH mg/g、重量平均分子量は9,000g/molであった。
[化学式1-1]
【化17】
[化学式2-2]
【化18】
[化学式3-1]
【化19】
[化学式4-1]
【化20】
【0146】
<合成例2>
反応容器に上記化学式2-2の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート/上記化学式1-1で表されるグリシジルメタクリレート/上記化学式3-1で表されるメタクリル酸を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に、それぞれ17、70、13重量%で投入した後、溶媒と混合して、窒素雰囲気で60℃に昇温した。その後、熱重合開始剤v-65(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に10重量部投入して、16時間反応させて、バインダー樹脂を製造した。
【0147】
製造されたバインダー樹脂の酸価は87KOH mg/g、重量平均分子量は9,500g/molであった。
【0148】
<合成例3>
反応容器に上記化学式2-2の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート/下記化学式5-1の構造で表されるシクロヘキシルメタクリレート/上記化学式1-1で表されるグリシジルメタクリレート/上記化学式3-1で表されるメタクリル酸を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に、それぞれ10、41、38、13重量%で投入した後、溶媒と混合して、窒素雰囲気で60℃に昇温した。 その後、熱重合開始剤v-65(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に10重量部投入して、16時間反応させて、バインダー樹脂を製造した。
【0149】
製造されたバインダー樹脂の酸価は84KOH mg/g、重量平均分子量は9,200g/molであった。
[化学式5-1]
【化21】
【0150】
<感光性樹脂組成物の合成実施例>
【0151】
<実施例1>
トリアリールメタン系Blue染料3g及び上記合成例1で製造されたバインダー樹脂6g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6g、光開始剤としてOXE-02 0.8g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート84.2gを混合し、上記混合物を3時間撹拌して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0152】
<実施例2>
上記合成例1で製造されたバインダー樹脂の代わりに、上記合成例2で製造されたバインダー樹脂6gを使用したこと以外には、上記実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0153】
<実施例3>
上記合成例1で製造されたバインダー樹脂の代わりに、上記合成例3で製造されたバインダー樹脂6gを使用したこと以外には、実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0154】
<比較例>
【0155】
<比較合成例1>
反応容器に上記化学式4-1で表されるスチレン/上記化学式1-1で表されるグリシジルメタクリレート/上記化学式3-1で表されるメタクリル酸を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に、それぞれ42、45、13重量%で投入した後、溶媒と混合して、窒素雰囲気で60℃に昇温した。その後、熱重合開始剤v-65(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に10重量部投入して、16時間反応させて、バインダー樹脂を製造した。
【0156】
製造されたバインダー樹脂の酸価は88KOH mg/g、重量平均分子量は9,300g/molであった。
【0157】
<比較合成例2>
反応容器に上記化学式2のR3がヒドロキシ基(-OH)であり、r3が1であり、R4が水素であり、r4が0であり、L3がメチレン基であり、R2がメチル基である構造を含むベンゾフェノンモノマー/上記化学式4-1で表されるスチレン/上記化学式1-1で表されるグリシジルメタクリレート/上記化学式3-1で表されるメタクリル酸を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に、それぞれ11.31、45、13重量%で投入した後、溶媒と混合して、窒素雰囲気で60℃に昇温した。その後、熱重合開始剤v-65(2,2'-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)を、バインダー樹脂固形分の総重量を基準に10重量部投入して、16時間反応させて、バインダー樹脂を製造した。製造されたバインダー樹脂の酸価は85KOH mg/g、重量平均分子量は9,000g/molである。
【0158】
<比較例1>
上記合成例1で製造されたバインダー樹脂の代わりに、上記比較合成例1で製造されたバインダー樹脂6gを使用したこと以外には、上記実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0159】
<比較例2>
上記合成例1で製造されたバインダー樹脂の代わりに、上記比較合成例2で製造されたバインダー樹脂6gを使用したこと以外には、上記実施例1と同様の方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0160】
[実験例]
【0161】
感光性樹脂組成物の染料溶出程度及び耐化学性結果の測定
上記実施例1~3及び比較例1及び2で得られた感光性樹脂組成物の染料溶出程度を測定するために、上記感光性樹脂組成物をガラスにスピンコート(spin coating)し、約100℃で2分プリベーク(prebake)して、フィルムを形成させた。
【0162】
上記フィルムをフォトマスクを用いて高圧水銀ランプ下で50mJ/cm~100mJ/cmのエネルギーで露光させた後、パターンをKOHアルカリ水溶液を用いて現像し、脱イオン水で洗浄した。
【0163】
このとき、染料起因性の青色が染み出る程度を肉眼で測定し、下記のような記号でその結果を下記表1の「染料溶出程度」に記載した。
○:全然染み出ない。
△:現像工程初期には染み出るが、一定時間後それ以上染み出ない。
×:現像の全工程にかけてずっと染み出る。
【0164】
また、着色組成物の耐化学性を観察するために、パターンが形成されたガラス基板をメチルピロリドン(NMP)に浸した後、80℃で40分後に色材が染み出る程度を肉眼で観察し、下記のような記号でその結果を下記表1の「メチルピロリドン(NMP)耐化学性結果」に記載した。
○:全然染み出ない。
△:少し染み出る。
×:濃く染み出るか、パターンがガラス基板から剥離される。
【0165】
【表1】
【0166】
上記表1によれば、実施例1~3の場合、染料溶出及び耐化学性に優れる特性を示すのに対し、比較例1及び2の場合、染料溶出及び耐化学性が良くない結果を示すことを確認することができた。
【0167】
感光性樹脂組成物の耐熱性評価
感光性樹脂組成物の耐熱性を確認するために、下記のような順序で実験した。
(1)240℃ 20min ポストベーク(Post-baking)後、輝度測定
(2)240℃ 60min 追加ベーク後、輝度測定
(3)(1)-(2)間の輝度変化幅を測定
(4)輝度変化率(%)=(3)*100/(1)で耐熱性を確認
【0168】
輝度変化率が小さいほど耐熱性が良いことを意味し、上記順序によって評価したものを下記表2に記載した。
【0169】
【表2】
【0170】
上記表2によれば、実施例1~3の場合、ポストベーク後の輝度と追加ベーク後の輝度間の差が小さくて、耐熱性に優れるのに対し、比較例1及び2の場合、輝度変化率が8~13%で、実施例1~3に比べて耐熱性が劣ることが分かった。
【0171】
現像工程後に残っている最小パターンの大きさの測定
実施例1~3及び比較例1及び2による感光性樹脂組成物を用いて、現像工程後に残っている最小パターンの大きさを測定した。その結果を下記表3に記載した。
【0172】
【表3】
【0173】
上記表3によれば、実施例1~3及び比較例1では、現像工程後に残っている最小パターンの大きさに差がないのに対し、比較例2の場合、25μm未満のパターンは全部脱落した。
【0174】
これは比較例2で使用されたバインダー樹脂に含まれるヒドロキシ基(-OH)を含むベンゾフェノンモノマーの場合、露光時に紫外線吸収剤の役割のみするようになって、露光感度を低下させる結果をもたらしたものとみることができる。