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特許6996065バッテリー管理ユニット及びこれを含むバッテリーパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】バッテリー管理ユニット及びこれを含むバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20220107BHJP
   G01R 31/371 20190101ALI20220107BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
H01M10/48 P
G01R31/371
H02J7/02 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019531422
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 KR2018006721
(87)【国際公開番号】W WO2019022378
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0094255
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ケウン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン-フーン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヤン-シク
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/092846(WO,A1)
【文献】特開2013-072817(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132414(WO,A1)
【文献】特開2010-146991(JP,A)
【文献】特開2016-096623(JP,A)
【文献】特開2014-197345(JP,A)
【文献】特開2008-066288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076129(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0373520(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0137091(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02980912(EP,A1)
【文献】特表2013-541320(JP,A)
【文献】特表2020-504422(JP,A)
【文献】韓国特許第2010-1463115(KR,B1)
【文献】韓国特許第2010-1613230(KR,B1)
【文献】韓国特許第2010-0846710(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0137583(KR,A)
【文献】特開2005-333717(JP,A)
【文献】国際公開第2012/061262(WO,A1)
【文献】特開2011-254651(JP,A)
【文献】特開2010-279120(JP,A)
【文献】特許第5576498(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
G01R 31/371
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールのためのバッテリー管理ユニットであって、
前記複数のバッテリーセルに電気的に接続し、前記複数のバッテリーセルにおける各々の電圧を検出し、前記検出された電圧を示す電圧情報を含む検出信号を出力するように構成されたセンシング部と、
前記バッテリーモジュールのモジュール電圧を用いて第1動作電圧を生成するように構成された第1電源供給部と、
電源端子を有し、前記電源端子に電源が接続する場合、前記電源の電源電圧を第2動作電圧に変換するように構成された第2電源供給部と、
前記バッテリーモジュールから電気エネルギーを受けて動作する部分である高電圧ドメインと前記高電圧ドメインを除いた残りの部分である低電圧ドメインとの電気的絶縁状態を維持する絶縁部と、
前記第1動作電圧を用いて動作し、アンテナ、無線通信回路、第1入力ポート及び両方向通信ポートを含む通信部と、
前記第2動作電圧を用いて動作中に前記検出信号の送信を要請する制御信号を、前記絶縁部を介して前記センシング部に送信し、前記絶縁部を介して前記センシング部から前記検出信号を受信し、前記第2動作電圧が供給される場合、前記通信部が前記検出信号を受信するポートを前記第1入力ポートから前記両方向通信ポートに切り替える切替信号を前記通信部に出力する制御部と、を含み、
前記バッテリーモジュール、前記センシング部、前記第1電源供給部及び前記通信部は、前記高電圧ドメインに属し、
前記第2電源供給部及び前記制御部は、前記低電圧ドメインに属し、
前記通信部は、
前記第1入力ポートを通じて前記センシング部から前記検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて、前記センシング部の故障有無に対する判断を行い、前記判断の結果を示すRF信号を前記アンテナ及び前記無線通信回路を介してマスターBMUまたはバッテリー管理ユニットの外部の端末に出力し、
前記判断の結果を示すRF信号を出力した後、前記切替信号が受信される場合、前記第1入力ポートを通じて前記検出信号が受信されないように前記第1入力ポートを非活性化し、前記両方向通信ポートを活性化して、前記絶縁部と前記両方向通信ポートを通じて前記制御部との通信を開始し、前記制御部から前記検出信号を受信する、
バッテリー管理ユニット。
【請求項2】
前記高電圧ドメインに属し、前記第1動作電圧を用いて動作し、複数の電気ラインを介して前記複数のバッテリーセルにおけるそれぞれのバッテリーセルと電気的に接続され、前記通信部または前記制御部からのバランシング命令に応じて前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対するセルバランシングを選択的に行うセルバランシング部を含む、請求項1に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項3】
前記絶縁部は、
前記制御部に前記第2動作電圧が供給される間に前記通信部と前記制御部との通信を中継する第1絶縁回路を含む、請求項1または2に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項4】
前記絶縁部が、
前記制御部に前記第2動作電圧が供給される間に前記センシング部及び前記制御部との通信を中継するように構成された第2絶縁回路をさらに含む、請求項3に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項5】
前記第2絶縁回路が、
前記バッテリーモジュールに含まれたバッテリーセルの個数以上の絶縁素子を含前記絶縁素子の一端は前記センシング部と電気的に接続され、他端は前記制御部と電気的に接続される、請求項4に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項6】
前記第2絶縁回路は、第1絶縁素子~第m+1絶縁素子を含み、
mは、前記バッテリーモジュールに含まれた複数のバッテリーセルの個数であり、
前記第1絶縁素子は、前記制御部に電気的に接続する送信機及び前記センシング部に電気的に接続する受信機を含み、
前記制御部によって出力された前記制御信号を前記センシング部に伝達し、
第2絶縁素子~前記第m+1絶縁素子の各絶縁素子は、前記センシング部に電気的に接続する送信機及び前記制御部に電気的に接続する受信機を含み、
前記センシング部によって出力された前記検出信号を前記制御部に伝達する、
請求項4または5に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項7】
前記絶縁素子が、
デジタルアイソレーター、オプトカプラまたはRFアイソレーターである、請求項5または6に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項8】
前記センシング部と前記通信部とは、UARTモードによって相互通信する、請求項1からのうちいずれか一項に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項9】
前記センシング部と前記制御部とは、SPIモードによって相互通信する、請求項からのうちいずれか一項に記載のバッテリー管理ユニット。
【請求項10】
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載のバッテリー管理ユニットを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理ユニットに関し、より詳しくは、バッテリーモジュールに含まれた複数のバッテリーセルの状態を管理するための装置及びこれを含むバッテリーパックに関する。
【0002】
本出願は、2017年7月25日出願の韓国特許出願第10-2017-0094255号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能二次電池についての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
電気車などに適用されるバッテリーパックは、通常、相互直列に接続した複数のバッテリーモジュール及び複数のバッテリー管理ユニットを含む。バッテリー管理ユニットは、BMU(Battery Management Unit)とも称し得る。各BMUは、自分が管理するバッテリーモジュールの状態をモニター及び制御する。最近は、大容量かつ高出力のバッテリーパックが要求されることによって、バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの個数も増加しつつある。このようなバッテリーパックに含まれた各バッテリーモジュールの状態を効率的に管理するために、マルチスレーブ構造が開示されている。マルチスレーブ構造は、各バッテリーモジュールに設えられる複数のスレーブBMU及び上記複数のスレーブBMUを全般的に管制するマスターBMUを含む。この際、各スレーブBMUは、自分が担当するバッテリーモジュールの状態をモニター及び制御し、マスターBMUは、複数のスレーブBMUの動作を制御する。複数のスレーブBMUとマスターBMUとの通信は、有線方式、無線方式または有・無線が組み合わせられた方式で行われ得る。
【0006】
各スレーブBMU及びマスターBMUは、多様な回路部品及びこれらを連結する複数の電気ラインを含む。特に、マスターBMUが正常に複数のスレーブBMUの動作を管制するためには、各スレーブBMUの正常な動作が前提されるべきである。ただ一つのスレーブBMUに欠陷が存在しても、バッテリーパックの全体的な性能に大きい影響を及ぼし得るためである。
【0007】
したがって、スレーブBMUの生産が完了した時点からバッテリーパックが出庫する時点までの期間内に、正常に動作するか否か、欠陷が存在するか否かをテストする必要がある。
【0008】
ところが、従来には、生産が完了したスレーブBMUに対して予め決められた項目をテストするためには、それに先立って作業者が直接スレーブBMUに鉛蓄電池などのような別の電源を連結してスレーブBMUをウェークアップしなければならない制約が存在し、テストのための事前準備過程が非効率的であるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、作業者が直接スレーブBMUに電源を連結する過程がなくても、バッテリーモジュールに含まれた各バッテリーセルの正常的な管理に要求される項目に対するテストを行うことができるバッテリー管理ユニット及びこれを含むバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明の多様な実施例は、以下のようである。
【0012】
本発明の一面によるバッテリー管理ユニットは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールのためのものである。上記バッテリー管理ユニットは、上記複数のバッテリーセルに電気的に接続し、上記複数のバッテリーセル各々の電圧を検出し、上記検出された電圧を示す電圧情報を含む検出信号を出力するように構成されたセンシング部と、上記バッテリーモジュールのモジュール電圧を用いて第1動作電圧を生成するように構成された第1電源供給部と、上記第1動作電圧を用いて動作し、アンテナ、無線通信回路及び第1入力ポートを含み、上記第1入力ポートを通じて上記センシング部から上記検出信号を受信し、上記検出信号に基づき、予め決められた少なくとも一つの項目に対するテストを行い、上記テストの結果を示すRF信号を上記アンテナ及び上記無線通信回路によって出力するように構成された通信部と、を含む。
【0013】
また、上記バッテリー管理ユニットは、電源端子を有し、上記電源端子に電源が接続する場合、上記電源電圧を第2動作電圧に変換するように構成された第2電源供給部と、上記第2動作電圧を用いて動作し、上記検出信号に基づき、上記センシング部を制御するための制御信号を出力する制御部と、をさらに含み得る。
【0014】
また、上記バッテリー管理ユニットは、上記第1動作電圧及び上記第2動作電圧を用いて動作するように構成された絶縁部をさらに含み得る。この場合、上記絶縁部は、上記通信部と上記制御部との通信を中継する第1絶縁回路を含み得る。
【0015】
また、上記絶縁部は、上記第1動作電圧及び上記第2動作電圧を用いて動作し、上記センシング部及び上記制御部との通信を中継するように構成された第2絶縁回路をさらに含み得る。
【0016】
また、上記第2絶縁回路は、上記バッテリーモジュールに含まれたバッテリーセルの個数以上の絶縁素子を含み得る。
【0017】
また、上記絶縁素子は、デジタルアイソレーター、オプトカプラまたはRFアイソレーターである。
【0018】
また、上記センシング部と上記通信部とは、UARTモードによって相互通信し得る。
【0019】
また、上記センシング部と上記制御部とは、SPIモードによって相互通信し得る。
【0020】
また、上記制御部は、上記第2動作電圧が供給される場合、スイッチング信号を上記通信部に出力し得る。上記通信部は、第2入力ポートをさらに含み、上記第2入力ポートを通じて上記スイチッング信号が受信される場合、上記第1入力ポートを非活性化し得る。
【0021】
本発明の他面によるバッテリーパックは、上記バッテリー管理ユニットを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例の少なくとも一つによれば、作業者が直接電源を連結することなく、バッテリーモジュールに含まれた各バッテリーセルの正常的な管理に要求される項目に対するテストを行うことができる。
【0023】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、各バッテリーセルの正常的な管理に要求される項目に対するテストの結果を無線方式によって外部(例えば、作業者のコンピュータ)に送信することができる。
【0024】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、バッテリー管理システムが含まれたバッテリーパックが、予め決められた対象(例えば、電気自動車)に設けられたか否かによって、バッテリー管理ユニットに含まれた無線通信回路の機能を転換することができる。
【0025】
本発明の効果は上述の効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、請求範囲の記載から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
図1】本発明の一実施例によるバッテリー管理システム及びこれを含むバッテリーパックの構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施例によるスレーブBMUの構成を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施例によるセルバランシング部の構成を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施例によるマスターBMUの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0029】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をあいまいにすると判断される場合、その説明を省略する。
【0030】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0031】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御ユニット」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0032】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0033】
以下、本発明の実施例による複数のバッテリー管理ユニットを含むバッテリー管理システムについて説明する。この際、複数のBMUのうち少なくとも一つはマスターBMUであり、残りはスレーブBMUであり得る。
【0034】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリー管理システム30及びこれを含むバッテリーパック10の構成を概略的に示す図である。
【0035】
図1を参照すれば、バッテリーパック10は、複数のバッテリーモジュール20及びバッテリー管理システム30を含む。各バッテリーモジュール20は、少なくとも一つのバッテリーセル(図2の「21」参照)を含み得る。バッテリー管理システム30は、複数のスレーブBMU100及び少なくとも一つのマスターBMU200を含む。バッテリーパック10は、電気自動車に搭載され、電気自動車の電気モーターの駆動に要求される電力を供給できる。
【0036】
以下では、説明の便宜のために、バッテリーパック10が相互直列接続したn(nは、2以上の自然数)個のバッテリーモジュール20を含み、各バッテリーモジュール20は、相互直列接続したm(mは、2以上の自然数)個のバッテリーセル21を含み、バッテリー管理システム30は、n個のスレーブBMU100及び単一のマスターBMU200を含むと仮定する。
【0037】
複数のスレーブBMU100-1~100-nは、バッテリーパック10に含まれた複数のバッテリーモジュール20-1~20-nに一対一に対応するように設けられる。
【0038】
複数のスレーブBMU100-1~100-n各々は、複数のバッテリーモジュール20-1~20-nのうち自分が設けられたいずれか一つのバッテリーモジュール20-jと電気的に接続する。ここで、jは、1以上n以下の自然数である。
【0039】
複数のスレーブBMU100-1~100-n各々は、自分と電気的に接続したバッテリーモジュール20-jの全般的な状態(例えば、電圧、電流、温度)を検出し、バッテリーモジュール20の状態を調節するための各種制御機能(例えば、充電、放電、バランシング)を行う。この際、各制御機能は、スレーブBMU100がバッテリーモジュール20の状態に基づいて直接実行するか、または、マスターBMU200からの命令に応じて実行することであり得る。
【0040】
複数のスレーブBMU100-1~100-n及びマスターBMU200は、デイジーチェーンDC(daisy chain)のような有線ネットワークによって相互通信接続できる。
【0041】
図2は、本発明の一実施例によるスレーブBMU100の構成を概略的に示す図であり、図3は、本発明の一実施例によるセルバランシング部150の構成を概略的に示す図である。
【0042】
図1及び図2を参照すれば、各スレーブBMU100は、センシング部110、第1電源供給部121及び通信部130を含み得る。選択的に、各スレーブBMU100は、第2電源供給部122、絶縁部140、セルバランシング部150、メモリー171及び制御部170の少なくとも一つをさらに含み得る。
【0043】
センシング部110は、バッテリーモジュール20の状態を示す電気的パラメータを検出するように構成される。具体的に、センシング部110は、バッテリーモジュール20に含まれた各バッテリーセル21の電圧を検出する電圧測定回路を含み、選択的にバッテリーモジュール20の温度を検出する温度検出回路をさらに含み得る。
【0044】
センシング部110の電圧検出回路は、複数の電気ラインを介して各バッテリーセル21に電気的に接続した電圧センサー111を用いて、各バッテリーセル21の電圧を検出し、検出された電圧を示す電圧情報を生成する。
【0045】
また、センシング部110の温度検出回路は、バッテリーモジュール20内、またはバッテリーモジュール20から所定の距離内に配置された温度センサー112を用いて、バッテリーモジュール20またはバッテリーモジュール20に含まれた少なくとも一つのバッテリーセル21の温度を検出し、検出された温度を示す温度情報を受信する。
【0046】
センシング部110は、電圧情報及び温度情報の少なくとも一つを含む検出信号を出力する。センシング部110によって出力された検出信号は、少なくとも通信部130によって受信され得る。この場合、センシング部110と通信部130とは、シリアル通信モードの一つ、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)モードによって相互通信し得る。
【0047】
第1電源供給部121は、DC-DC電圧変換が可能な装置、例えば、LDO(Low Drop Out)レギュレーター、線形(linear)レギュレーター及びSMPS(Switching Mode Power Supply)の少なくとも一つを含む電圧変換回路を含む。第1電源供給部121は、バッテリーモジュール20から電気エネルギーが供給されれば、電圧変換回路を用いてバッテリーモジュール20の両端電圧であるモジュール電圧から予め決められた一つ以上の動作電圧を生成する。その後、第1電源供給部121は、上記動作電圧をスレーブBMU100に含まれた他の回路構成に提供する。
【0048】
一例で、第1電源供給部121は、センシング部110、通信部130、絶縁部140及びセルバランシング部150に、同じレベルの動作電圧を提供し得る。他の例で、第1電源供給部121は、センシング部110、通信部130、絶縁部140及びセルバランシング部150のいずれか一つには、残りの他の一つに提供される動作電圧(例えば、3.3V)とはレベルが異なる動作電圧(例えば、5.0V)を提供し得る。
【0049】
または、センシング部110、通信部130、絶縁部140及びセルバランシング部150の少なくとも一つは、第1電源供給部121によって提供される動作電圧ではなく、自らに備えられた電圧変換回路を用いて、バッテリーモジュール20のモジュール電圧を自分の動作に要求される動作電圧に変換することもできる。
【0050】
通信部130は、相互動作可能に連結されたアンテナ131、無線通信回路132及び有線通信回路133を含み、第1電源供給部121から提供される動作電圧を用いて動作するように構成される。
【0051】
通信部130は、電気ラインによってセンシング部110に電気的に接続した第1入力ポートIN1を含み、第1入力ポートIN1を通じてセンシング部110からの検出信号を受信する。選択的に、通信部130は、第2入力ポートIN2を含み得る。また、通信部130は、電気ラインによってセンシング部110に電気的に接続した第1出力ポートOUT1をさらに含み得、第1出力ポートOUT1を通じて検出信号の送信を要請する制御信号をセンシング部110に送信し得る。
【0052】
無線通信回路132は、無線トランシーバ132a及びMCU(Micro Control Unit)132bを含み得る。この際、無線トランシーバ132a及びMCU132bは、単一のチップに一体で集積化した半導体として具現可能であり、これを「RF(Radio Frequency)-SoC(System on Chip)」と称し得る。
【0053】
MCU132bは、後述する制御部170が非活性化の状態(即ち、電源電圧が供給されない状態)である間に、センシング部110からの検出信号に基づき、バッテリーモジュール20と係わる少なくとも一つの項目に対するテストを行うことができる。例えば、テストが行われる項目には、センシング部110の故障有無やセルバランシング部150の故障有無が含まれ得る。
【0054】
また、MCU132bは、自分によって行われたテストの結果情報を無線トランシーバ132aに伝達する。無線トランシーバ132aは、MCU132bからのテスト結果情報を含むRF信号をアンテナ131によって作業者端末2またはマスターBMU200に送信し得る。
【0055】
無線通信回路132は、アンテナ131によって受信された無線信号を復調する。アンテナ131によって受信された無線信号は、外部、マスターBMU200または他のスレーブBMU100から送信されたものであり得る。
【0056】
有線通信回路133は、第1入力ポートIN1及び第1出力ポートOUT1に電気的に接続し、通信部130とセンシング部110との有線通信を支援する。
【0057】
第2電源供給部122は、自分を含むスレーブBMU100に設けられた電源端子Pに接続した電圧変換回路を含む。第2電源供給部122は、電圧変換回路は、DC-DC電圧変換が可能な装置、例えば、LDOレギュレーター、線形レギュレーター及びSMPSの少なくとも一つを含み得る。
【0058】
第2電源供給部122は、電源端子Pに電源BAUX1(例えば、電気自動車の鉛蓄電池)が接続する場合、自分の電圧変換回路を用いて、電源BAUX1の電源電圧を予め決められた一つ以上の動作電圧へ変換するように構成される。その次、第2電源供給部122は、動作電圧をスレーブBMU100に含まれた他の回路構成に提供する。
【0059】
一例で、第2電源供給部122は、絶縁部140及び制御部170に、同じレベルの動作電圧を提供し得る。他の例で、第2電源供給部122は、絶縁部140及び制御部170のいずれか一つには、他の一つに提供される動作電圧(例えば、3.3V)とはレベルが異なる動作電圧(例えば、5.0V)を提供し得る。
【0060】
または、制御部170は、第2電源供給部122によって提供される動作電圧ではなく、自らに備えられた電圧変換回路を用いて、電源電圧を自分の動作に要求される動作電圧に変換し得る。
【0061】
絶縁部140は、第1電源供給部121から提供される動作電圧及び第2電源供給部122から提供される動作電圧を用いて動作するように構成される。絶縁部140は、スレーブBMU100の高電圧ドメインと低電圧ドメインとの電気的絶縁状態を維持しながら、高電圧ドメインに属する構成と低電圧ドメインに属する構成との通信を支援する。本発明において、「高電圧ドメイン」とは、バッテリーモジュール20に電気的に接続し、バッテリーモジュール20から電気エネルギーを受けて動作する部分を意味し得る。例えば、センシング部110、第1電源供給部121及び通信部130が高電圧ドメインに属する。
【0062】
また、「低電圧ドメイン」とは、高電圧ドメインを除いたスレーブBMU100の残りの部分を意味し得る。例えば、第2電源供給部122及び制御部170が低電圧ドメインに属する。
【0063】
絶縁部140は、第1絶縁回路141を含む。第1絶縁回路141は、第1電源供給部121から提供される動作電圧及び第2電源供給部122から提供される動作電圧を用いて、通信部130と制御部170との通信を中継する。即ち、通信部130からの信号は、第1絶縁回路141を介して制御部170に伝達し、制御部170からの信号は、第1絶縁回路141を介して通信部130に伝達する。
【0064】
絶縁部140は、第2絶縁回路142をさらに含み得る。第2絶縁回路142は、第1電源供給部121から提供される動作電圧及び第2電源供給部122から提供される動作電圧を用いて、センシング部110と制御部170との通信を中継する。また、第2絶縁回路142は、セルバランシング部150及び制御部170との通信を中継し得る。
【0065】
第1絶縁回路141及び第2絶縁回路142各々は、少なくとも一つの絶縁素子を含む。絶縁素子は、送信機及び受信機を含むものであって、入力側と出力側との間に絶縁空間が存在するデジタルアイソレーター、オプトカプラまたはRFアイソレーターであり得る。例えば、オプトカプラを絶縁素子として用いる場合、送信機はLEDなどのような光源であり、受信機はフォトダイオードなどのような光検出器であり得る。他の例で、RFアイソレーターを絶縁素子として用いる場合、送信機はRF XMTRであり、受信機はRF RCVRであり得る。
【0066】
絶縁素子の送信機及び受信機のいずれか一つは、高電圧ドメイン側に電気的に結合する一方、残りの一つは、低電圧ドメイン側に電気的に結合する。
【0067】
第2絶縁回路142は、バッテリーモジュール20に含まれたバッテリーセル21の個数以上の絶縁素子を含み得る。望ましくは、第2絶縁回路142は、少なくともm+1個の絶縁素子を含み得る。このうち、m個の絶縁素子は、センシング部110によって出力されたm個のバッテリーセル21各々の電圧を示す信号を制御部170に伝達する。残りの一つの絶縁素子は、制御部170によって出力された制御信号をセンシング部110に伝達する。
【0068】
セルバランシング部150は、通信部130または制御部170からのバランシング命令に応じて、各バッテリーモジュール20に含まれた複数のバッテリーセル21各々に対するセルバランシングを選択的に行うように構成される。セルバランシング部150は、セルバランシングを行う。例えば、セルバランシング部150は、共通するバッテリーモジュール20に含まれた複数のバッテリーセル21のうち、他のバッテリーセル21よりも相対的に高い残存容量を有するバッテリーセル21を放電させることで、共通するバッテリーモジュール20に含まれた複数のバッテリーセル21同士の残存容量を均一化する。
【0069】
図3を参照すれば、セルバランシング部150は、複数のバランシング抵抗R及び複数のバランシングスイッチSWを含む。一つのバランシング抵抗R及び一つのバランシングスイッチSWを含む直列回路は、各バッテリーセル21の両端の間に接続する。したがって、バッテリーモジュール20当りのバッテリーセル21の個数は、各セルバランシング部150に含まれるバランシング抵抗Rの個数とバランシングスイッチSWの個数と同一である。
【0070】
いずれか一つのバッテリーセル21-j(jは、1~mの自然数)の電圧または残存容量が残りのバッテリーセル21に比べて高い場合、上記いずれか一つのバッテリーセル21-jの両端の間に接続したバランシングスイッチSWがターンオンされることで、上記いずれか一つのバッテリーセル21の電気エネルギーがバランシング抵抗Rによって消費される。
【0071】
一方、セルバランシング部150は、複数の診断抵抗R、複数の保護抵抗R及び/または複数の保護キャパシタCをさらに含み得る。
【0072】
複数の診断抵抗Rは、セルバランシング部150内の故障を検出するのに用いられる。各バッテリーセル21の電極ごとに一つの診断抵抗Rが接続する。セルバランシング部150内の故障には、例えば、各バッテリーセル21とセルバランシング部150とを連結する電気ラインの断線やバランシングスイッチSWの誤動作などが挙げられる。図3を参照すれば、相互隣接した二つのバッテリーセル21は、一つの診断抵抗Rに共に接続するため、セルバランシング部150には、総m+1個の診断抵抗Rが含まれ得る。
【0073】
複数の保護抵抗Rは、センシング部110に過電流が流れることを防止する。上記各直列回路の端部ごとに一つの保護抵抗Rが接続する。したがって、セルバランシング部150には、総m+1個の保護抵抗Rが含まれる。
【0074】
複数の保護キャパシタCは、複数の保護抵抗Rと共にRCフィルターとして動作する。RCフィルターは、セルバランシング部150を介してセンシング部110に流入するノイズ(例えば、急激な電流変化)のフィルタリングに用いられる。各保護キャパシタCは、各バッテリーセル21に並列接続するため、セルバランシング部150には総m個の保護抵抗Rが含まれ得る。
【0075】
無線通信回路132は、セルバランシング部150に含まれた各バランシングスイッチSWをターンオンまたはターンオフする制御信号を出力し、センシング部110によって出力された検出信号を受信し得る。各バランシングスイッチSWがターンオンまたはターンオフされることによって、センシング部110によって出力された検出信号が示す各バッテリーセル21の電圧は、変化できる。これに、無線通信回路132のMCU132bは、検出信号に基づき、各バランシングスイッチSWの故障またはセルバランシング部150内に存在する電気ラインの断線などが発生したかをテストできる。
【0076】
制御部170は、第2電源供給部122から供給される電源電圧を用いて動作する少なくとも一つのプロセッサ及びメモリー171を含む。メモリー171は、制御部170に含まれ得る。
【0077】
制御部170は、第1絶縁回路141を介して通信部130に動作可能に結合し、第2絶縁回路142を介してセンシング部110に動作可能に接続し得る。制御部170は、電源電圧が供給されれば、自分が含まれたスレーブBMU100の全般的な動作を管理するように構成される。
【0078】
特に、制御部170は、第2絶縁回路142を介してセンシング部110から受信した検出信号に基づき、センシング部110を制御するための制御信号を出力し得る。センシング部110を制御するために出力された制御信号は、第2絶縁回路142を介してセンシング部110に伝達される。この場合、制御部170は、シリアル通信モードの一つ、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)モードでセンシング部110と通信し得る。
【0079】
制御部170に含まれた各プロセッサは、多様な制御ロジッグを実行するために当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。制御部170の多様な制御ロジッグは少なくとも一つ以上が組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジッグは、コンピュータが読出可能なコード体系で作成され、コンピュータが読出可能な記録媒体に収録され得る。記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサによってアクセス可能なものであれば、その種類は特に制限されない。一例として、記録媒体は、ROM、RAM、レジスター、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群より選択された少なくとも一つ以上を含む。また、コード体系は、キャリア信号に変調されて特定の時点で通信キャリアに含まれ得、ネットワークによって接続したコンピュータに分散して保存されて実行され得る。また、組み合わせられた制御ロジッグを具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野におけるプログラマーによって容易に推論できる。
【0080】
スレーブBMU100には、一対の信号端子TDO、TDIが備えられ得る。制御部170は、一対の信号端子TDO、TDIを通じて他のスレーブ BMU100及びマスターBMU200との有線通信を行い得る。例えば、入力端子TDIを通じて他のスレーブBMU100またはマスターBMU200からの信号を受信し、出力端子TDOを通じてマスターBMU200に信号を送信し得る。
【0081】
メモリー171には、自分が含まれたスレーブBMUに予め割り当てられていたIDが保存されている。IDは、メモリー171を含むスレーブBMU100の製造時に予め割り当てられたものであり得る。IDは、複数のスレーブBMU100各々がマスターBMU200との無線通信を行うのに用いられ得る。この際、複数のスレーブBMU100-1~100-nのうちいずれか一つに予め割り当てられたIDは、残りのスレーブBMU各々に予め割り当てられたIDとは相違し得る。
【0082】
各IDは、マスターBMU200が各スレーブBMU100を残りのスレーブBMU100から区分するのに用いられ得る。また、各IDは、それが予め割り当てられたスレーブBMU100が複数のバッテリーモジュール20-1~20-nのうちいずれに設けられたかを示すものであり得る。
【0083】
メモリー171は、データを、記録、消去、更新及び読出可能であると知られた公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、メモリー171は、DRAM、SDRAM、フラッシュメモリー、ROM、EEPROM、レジスターなどであり得る。メモリー171は、制御部170によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0084】
制御部170は、第2電源供給部122から動作電圧が供給される場合、スイッチング信号を通信部130に出力し得る。一方、制御部170は、第2電源供給部122から動作電圧の供給が中断される場合、通信部130に対するスイッチング信号の出力を中断し得る。ここで、スイッチング信号は、予め決められたレベルを有する電圧信号であり得る。制御部170によって出力されたスイッチング信号は、第2絶縁回路142を介して通信部130に送信され得る。
【0085】
通信部130は、第2入力ポートIN2を通じて制御部170からのスイッチング信号を受信する。この際、予め決められたレベルを有する電圧信号は、第2入力ポートIN2上に臨界電圧よりも大きい電圧を惹起する。
【0086】
第2入力ポートIN2に電気的に結合した有線通信回路133は、第2入力ポートIN2に印加される電圧を予め決められた臨界電圧と比較する。マスターBMU200が無線で送信した通知信号がアンテナ121を介して既に受信された状態で、臨界電圧よりも大きい電圧が第2入力ポートIN2上に印加される場合、有線通信回路133は、第1入力ポートIN1を非活性化し、両方向通信ポートCOMを活性化する。通知信号については、以下、図4を参照してより具体的に説明する。
【0087】
第1入力ポートIN1が一度非活性化すれば、制御部170がスイッチング信号の出力を中断する前までは、有線通信回路133は、第1入力ポートIN1を通じてセンシング部110からの検出信号を受信できない。
【0088】
その代わり、臨界電圧よりも大きい電圧が第2入力ポートIN2に印加されることによって第1入力ポートIN1が非活性化した後から、通信部130は、両方向通信ポートCOMを通じて制御部170との通信を開始する。
【0089】
具体的に、通信部130は、アンテナ131によって受信されたマスターBMU200からのRF信号を復調した後、復調によって得たデータに対応する制御信号を、両方向通信ポートCOMを通じて出力する。両方向通信ポートCOMから出力された制御信号は、第1絶縁回路141を介して制御部170に送信される。制御部170は、両方向通信ポートCOMから出力された制御信号に基づき、センシング部110及びセルバランシング部150の少なくとも一つを制御できる。
【0090】
一方、制御部170は、センシング部110によって出力された検出信号が第2絶縁回路142を介して受信されれば、受信された検出信号を、第1絶縁回路141を介して通信部130の両方向通信ポートCOMに送信する。これによって、通信部130の有線通信回路133は、両方向通信ポートCOMを通じて受信された検出信号を無線通信回路132に伝達し、無線通信回路は、検出信号に対応するRF信号をアンテナ131によってマスターBMU200に送信し得る。
【0091】
図4は、本発明の一実施例によるマスターBMU200の構成を概略的に示す図である。
【0092】
図1図4を参照すれば、マスターBMU200は、メモリー210、通信部220、電源供給部230及び制御部240を含み得る。
【0093】
メモリー210には、IDテーブルが予め保存されていてもよい。IDテーブルは、複数のスレーブBMUに予め割り当てられていた各々のIDを含む。
【0094】
メモリー210は、データを、記録、消去、更新及び読出可能であると知られた公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、メモリー210は、 DRAM、SDRAM、フラッシュメモリー、ROM、EEPROM、レジスターなどであり得る。メモリー210は、制御部170によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0095】
一方、メモリー210は、制御部240と物理的に分離していてもよく、チップなどに制御部240と一体で集積化していてもよい。
【0096】
通信部220は、マスターアンテナ221及びマスター通信回路222を含む。マスターアンテナ221及びマスター通信回路222は、相互動作可能に連結される。マスター通信回路222は、マスターアンテナ221によって受信された無線信号を復調し得る。マスター通信回路222は、各スレーブBMU100に送信しようとする信号を変調した後、変調された信号をマスターアンテナ222によって無線で送信し得る。マスターアンテナ221は、通信部220によって変調された信号に対応する無線信号を複数のスレーブ BMU100のうち少なくとも一つに選択的に送信し得る。
【0097】
電源供給部230は、少なくとも一つのバッテリーモジュール20、または補助電源BAUX2から供給される電気エネルギーを用いて、少なくとも一つの電源電圧を生成する。電源供給部230によって生成された電源電圧は、メモリー210及び通信部220に提供され得る。また、電源供給部230によって生成された電源電圧は、制御部240に含まれた各プロセッサに提供され得る。
【0098】
制御部240は、メモリー210及び通信部220に動作可能に接続する。制御部240は、マスターBMU200の全般的な動作を管理するように構成される。また、制御部240は、マスターアンテナ221によって受信される無線信号のうち、複数のスレーブBMU100各々のセンシング情報に対応する無線信号に基づき、複数のスレーブBMU100各々の SOC(State Of Charge)及び/またはSOH(State Of Health)を演算できる。また、制御部240は、演算されたSOC及び/またはSOHに基づき、複数のスレーブBMU100各々の充電、放電及び/またはバランシングを制御するための制御信号を生成した後、マスターアンテナ221及び通信部220によって複数のスレーブBMU100の少なくとも一つに選択的に送信できる。
【0099】
制御部240は、少なくとも一つのMCUを含み、各MCUは、多様な制御ロジッグを実行するために、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。制御部240の多様な制御ロジッグは少なくとも一つ以上が組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジッグは、コンピュータが読出可能なコード体系で作成され、コンピュータが読出可能な記録媒体に収録され得る。記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサによってアクセス可能なものであれば、その種類は特に制限されない。一例として、記録媒体は、ROM、RAM、レジスター、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群より選択された少なくとも一つ以上を含む。また、コード体系は、キャリア信号に変調されて特定の時点で通信キャリアに含まれ得、ネットワークによって接続したコンピュータに分散して保存されて実行され得る。また、組み合わせられた制御ロジッグを具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野におけるプログラマーによって容易に推論できる。
【0100】
図1図4を参照すれば、複数のスレーブBMU100-1~100-n各々が予め決められた項目に対して行われたテストの結果を、無線通信回路132を用いて外部に無線で送信する過程が完了した後、バッテリー管理システム30が含まれたバッテリーパック10は、特定対象(例えば、電気自動車)に設けられ得る。以後、バッテリー管理システム30は、上記特定対象に備えられた上位制御部1からの命令に応じて、複数のバッテリーモジュール20-1~20-nを個別的に管理できる。
【0101】
マスターBMU200は、上位制御部1から最初にイグニッション信号を受信するとき、上記通知信号を複数のスレーブBMU100-1~100-nに送信し得る。上記イグニッション信号は、バッテリー管理システム30を含むバッテリーパック10が上記特定対象に正常に設けられ、上位制御部1からの命令に応じて運用可能な状態であることを知らせるためのものであり得る。また、上記通知信号は、複数のスレーブBMU100-1~100-nへ、バッテリーパック10の使用が開始されたことを知らせるためのものである。
【0102】
上位制御部1は、マスターBMU200からマスターBMU200によって収集された複数のバッテリーモジュール100-1~100-nの状態情報を受信する。また、上位制御部1は、マスターBMU200から受信した複数のバッテリーモジュール100-1~100-nの状態情報に基づき、バッテリー管理システム30を制御するための各種命令をマスターBMU200に出力する。
【0103】
各スレーブBMU100の通信部130が上記通知信号を受信する前には、通信部130のアンテナ131及び無線通信回路132は、バッテリーモジュール20に関わる少なくとも一つの項目に対するテストの結果を外部に無線で送信する機能のみを実行する。一方、各スレーブBMU100の通信部130が上記通知信号を受信した後からは、通信部130のアンテナ131及び無線通信回路132は、他のスレーブBMU100及び/またはマスターBMU200とバッテリーモジュール20に係わる信号を無線で送受信する機能を実行し得る。
【0104】
一方、複数のスレーブBMU100-1~100-n各々は、有線ネットワーク及び無線ネットワークを選択的に用いて、マスターBMU200や上位制御機1との通信を行い得る。
【0105】
複数のスレーブBMU100-1~100-n及びマスターBMU200がいずれも正常に動作可能な状態では、デイジーチェーンのような有線ネットワークによってマスターBMU200との通信を行い、マスターBMU200に故障が発生した場合には、無線ネットワークによって上位制御機1に直接バッテリーモジュール20に係わる情報を送信し得る。
【0106】
マスターBMU200は、有線ネットワークの混雑度及び無線ネットワークの混雑度を示す情報を有線ネットワークまたは無線ネットワークによって複数のスレーブBMU100-1~100-nに送信し得る。もし、有線ネットワークの混雑度が臨界値を超える場合、複数のスレーブBMU100-1~100-nは、無線ネットワークを用いてマスターBMU200と通信し得る。一方、無線ネットワークの混雑度が臨界値を超える場合、複数のスレーブBMU100-1~100-nは、有線ネットワークを用いてマスターBMU200と通信し得る。
【0107】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0108】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0109】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 バッテリーパック
20 バッテリーモジュール
21 バッテリーセル
30 バッテリー管理システム
100 スレーブBMU
110 センシング部
121 第1電源供給部
122 第2電源供給部
130 通信部
140 絶縁部
200 マスターBMU
図1
図2
図3
図4