(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】化合物、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220107BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20220107BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220107BHJP
C07C 219/12 20060101ALI20220107BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20220107BHJP
C07D 321/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/039 601
G03F7/20 521
C07C219/12 CSP
C08F220/28
C07D321/10
(21)【出願番号】P 2017107503
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2016129925
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸司
【審査官】倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/172239(WO,A1)
【文献】特開2007-041146(JP,A)
【文献】国際公開第2009/020035(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0070542(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0046332(KR,A)
【文献】特開2017-044929(JP,A)
【文献】Lisa T.Kanerva et al.,Studies on the Chemo and Enantio-selectivity of the Enzymatic Monoacylations of Amino Alcohols,Acta Chemica Scandinavica,1992年,46,1101-1105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/20
C07C 219/12
C08F 220/28
C07D 321/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂、酸発生剤及び式(I0-1)で表される化合物を含むレジスト組成物。
[式(I0-1)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1は、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
X
1は、*-O-CO-又は*-O-CO-O-を表す。但し、*はA
1との結合位を表す。
R
6は、置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式飽和炭化水素基を表し、該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。]
【請求項2】
R
6が、ヒドロキシ基を有する炭素数3~18の脂環式炭化水素基(該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。)である請求項
1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
R
6が、ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基であり、該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている基である請求項1
又は2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂、酸発生剤及び式(I0-2)で表される化合物を含むレジスト組成物。
[式(I0-2)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1は、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
X
1は、*-O-CO-又は*-O-CO-O-を表す。但し、*はA
1との結合位を表す。
R
6は、フッ素原子が置換された炭素数3~18の脂環式飽和炭化水素基を表し、該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている。]
【請求項5】
R
6は、該脂環式飽和炭化水素基は、X
1に結合された第1脂環式飽和炭化水素基と第1脂環式飽和炭化水素基と結合された第2脂環式飽和炭化水素基によるスピロ環を形成し、
上記第1脂環式飽和炭化水素基と上記第2脂環式飽和炭化水素基に含まれる炭素原子は、第2脂環式飽和炭化水素基の環に含まれる2つの酸素原子と結合し、
上記第2脂環式飽和炭化水素基の環に含まれる2つの酸素原子間のアルカンジイル基は、1以上のフッ素原子を有する請求項
4に記載のレジスト組成物。
【請求項6】
X
1が、*-O-CO-である請求項1~
5のいずれかに記載のレジスト組成物。
【請求項7】
(1)請求項1~
6のいずれかに記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化合物、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂と、酸発生剤と、下記で表される化合物とを含むレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記式で表される化合物を含むレジスト組成物は、レジストパターンのラインエッジラフネス(LER)が必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕 酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂、酸発生剤及び式(I0)で表される化合物を含むレジスト組成物。
[式(I0)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1は、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
X
1は、*-O-、*-CO-O-、*-O-CO-又は*-O-CO-O-を表す。但し、*はA
1との結合位を表す。
R
6は、置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式飽和炭化水素基を表し、該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。]
〔2〕 R
6が、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基(該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。)である〔1〕に記載のレジスト組成物。
〔3〕 R
6が、ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基であり、該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている基である〔1〕記載のレジスト組成物。
〔4〕 X
1が、*-O-CO-である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
〔5〕 (1)〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
〔6〕 式(I)で表される化合物。
[式(I)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
A
1は、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
X
1は、*-O-、*-CO-O-、*-O-CO-又は*-O-CO-O-を表す。但し、*はA
1との結合位を表す。
R
6aは、ヒドロキシ基を有する炭素数3~18の脂環式炭化水素基(該脂環式飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。)を表すか、又は、ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基(該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている。)を表す。]
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物を使用すると、良好なラインエッジラフネスを有するレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種」を意味する。「(メタ)アクリル酸」や「(メタ)アクリロイル」等の表記も、同様の意味を有する。
本明細書において、「レジスト組成物の固形分」とは、レジスト組成物の総量から、後述する溶剤(E)を除いた成分の合計を意味する。
【0008】
本発明のレジスト組成物は、酸不安定基を有する樹脂(以下、樹脂(A)という場合がある。)、酸発生剤(以下、酸発生剤(B)という場合がある。)及び式(I0)で表される化合物を含む。本発明のレジスト組成物は、さらに塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。また、本発明のレジスト組成物は、溶剤(D)及びその他の成分(F)を含んでいてもよい。
【0009】
〈樹脂(A)〉
樹脂(A)は、酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a1)」という場合がある)を有する。樹脂(A)は、さらに、構造単位(a1)以外の構造単位を含んでいることが好ましい。構造単位(a1)以外の構造単位としては、酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(s)」という場合がある)が挙げられる。
「酸不安定基」とは、脱離基を有し、酸との接触により脱離基が脱離して、構成単位が親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を有する構成単位に変換する基を意味する。
【0010】
<構造単位(a1)>
構造単位(a1)は、酸不安定基を有するモノマー(以下「モノマー(a1)」という場合がある)から導かれる。
樹脂(A)において、構造単位(a1)に含まれる酸不安定基は、下記の式(1)で表される基及び/又は式(2)で表される基が好ましい。
[式(1)中、R
a1~R
a3は、それぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~20の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表すか、R
a1及びR
a2は互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。
naは、0又は1を表す。
*は結合手を表す。]
[式(2)中、R
a1’及びR
a2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表すか、R
a2’及びR
a3’は互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の2価の複素環基を形成し、該炭化水素基及び該2価の複素環基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
*は結合手を表す。]
【0011】
R
a1~R
a3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
R
a1~R
a3の脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。R
a1~R
a3の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~16である。
アルキル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた基としては、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ノルボルニルエチル基等が挙げられる。
naは、好ましくは0である。
【0012】
R
a1及びR
a2が互いに結合して2価の脂環式炭化水素基を形成する場合の-C(R
a1)(R
a2)(R
a3)としては、下記の基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~12である。*は-O-との結合手を表す。
【0013】
式(1)で表される基としては、1,1-ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中においてRa1~Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert-ブトキシカルボニル基)、2-アルキルアダマンタン-2-イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及びこれらが結合する炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1-(アダマンタン-1-イル)-1-アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)等が挙げられる。
【0014】
R
a1'~R
a3'の炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせることにより形成される基等が挙げられる。
アルキル基及び脂環式炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
R
a2'及びR
a3'が互いに結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに形成する2価の複素環基としては、下記の基が挙げられる。*は、結合手を表す。
R
a1'及びR
a2'のうち、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
【0015】
式(2)で表される基の具体例としては、以下の基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0016】
モノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0017】
酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、好ましくは、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマー(a1)に由来する構造単位を有する樹脂(A)をレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度を向上させることができる。
【0018】
式(1)で表される基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位として、好ましくは、式(a1-0)で表される構造単位、式(a1-1)で表される構造単位又は式(a1-2)で表される構造単位が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書では、式(a1-0)で表される構造単位、式(a1-1)で表される構造単位及び式(a1-2)で表される構造単位を、それぞれ構造単位(a1-0)、構造単位(a1-1)及び構造単位(a1-2)という場合がある。
【0019】
[式(a1-0)中、
L
a01は、酸素原子又は
*-O-(CH
2)
k01-CO-O-を表し、k01は1~7のいずれかの整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a01は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a02、R
a03及びR
a04は、それぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせた基を表す。]
【0020】
La01は、好ましくは、酸素原子又は*-O-(CH2)k01-CO-O-であり、より好ましくは酸素原子である。k01は、好ましくは1~4のいずれかの整数、より好ましくは1である。
Ra02、Ra03及びRa04のアルキル基、脂環式炭化水素基及びこれらを組み合わせた基としては、式(1)のRa1~Ra3で挙げた基と同様の基が挙げられる。
Ra02、Ra03及びRa04のアルキル基は、好ましくは炭素数6以下である。
Ra02、Ra03及びRa04の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~8、より好ましくは3~6である。
アルキル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた基は、これらアルキル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた合計炭素数が、18以下であることが好ましい。このような基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基等が挙げられる。
Ra02及びRa03は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
Ra04は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基又は炭素数5~12の脂環式炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、シクロヘキシル基又はアダマンチル基である。
【0021】
[式(a1-1)及び式(a1-2)中、
L
a1及びL
a2は、それぞれ独立に、-O-又は
*-O-(CH
2)
k1-CO-O-を表し、k1は1~7のいずれかの整数を表し、*は-CO-との結合手を表す。
R
a4及びR
a5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6及びR
a7は、それぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基又はこれらを組み合わせることにより形成される基を表す。
m1は、0~14のいずれかの整数を表す。
n1は、0~10のいずれかの整数を表す。
n1’は、0~3のいずれかの整数を表す。]
【0022】
La1及びLa2は、好ましくは、-O-又は*-O-(CH2)k1’-CO-O-であり、より好ましくは-O-である。k1’は、1~4のいずれかの整数であり、好ましくは1である。
Ra4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
Ra6及びRa7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。
Ra6及びRa7の脂環式炭化水素基は、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2-アルキルアダマンタン-2-イル基、1-(アダマンタン-1-イル)アルカン-1-イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基及びイソボルニル基等が挙げられる。
Ra6及びRa7のアルキル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせることにより形成された基としては、アラルキル基が挙げられ、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
Ra6及びRa7のアルキル基の炭素数は、好ましくは6以下である。
Ra6及びRa7の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~8、より好ましくは3~6である。
m1は、好ましくは0~3のいずれかの整数であり、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0~3のいずれかの整数であり、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
【0023】
構造単位(a1-0)としては、例えば、式(a1-0-1)~式(a1-0-12)のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a1-0-1)~式(a1-0-10)のいずれかで表される構造単位がより好ましい。
【0024】
上記の構造単位において、Ra01に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(a1-0)の具体例として挙げることができる。
【0025】
構造単位(a1-1)としては、例えば、特開2010-204646号公報に記載されたモノマーに由来する構造単位が挙げられる。好ましくは、式(a1-1-1)~式(a1-1-8)のいずれかで表される構造単位であり、より好ましくは式(a1-1-1)~式(a1-1-4)のいずれかで表される構造単位である。
【0026】
構造単位(a1-2)は、好ましくは、式(a1-2-1)~式(a1-2-12)のいずれかで表される構造単位であり、より好ましくは、式(a1-2-3)、式(a1-2-4)、式(a1-2-9)又は式(a1-2-10)で表される構造単位であり、さらに好ましくは、式(a1-2-3)又は式(a1-2-9)で表される構造単位である。
【0027】
樹脂(A)が構造単位(a1-0)及び/又は構造単位(a1-1)及び/又は構造単位(a1-2)を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位の合計に対して、通常10~95モル%であり、好ましくは15~90モル%であり、より好ましくは20~85モル%である。
【0028】
酸不安定基を有する構造単位としては、式(a1-5)で表される構造単位(以下「構造単位(a1-5)」という場合がある)も挙げられる。
[式(a1-5)中、
R
a8は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
Z
a1は、単結合又は*-(CH
2)
h3-CO-L
54-を表し、h3は1~4のいずれかの整数を表し、*は、L
51との結合手を表す。
L
51、L
52、L
53及びL
54は、それぞれ独立に、-O-又は-S-を表す。
s1は、1~3のいずれかの整数を表す。
s1’は、0~3のいずれかの整数を表す。
【0029】
ハロゲン原子としては、フッ素原子及び塩素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子が挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、フルオロメチル基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
式(a1-5)においては、Ra8は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
L51は、酸素原子が好ましい。
L52及びL53は、一方が-O-、他方が-S-であることが好ましい。
s1としては、1が好ましい。
s1’ としては、0~2のいずれかの整数が好ましい。
Za1としては、単結合又は*-CH2-CO-O-が好ましい。
【0030】
構造単位(a1-5)を導くモノマーとしては、例えば、特開2010-61117号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、式(a1-5-1)~式(a1-5-4)でそれぞれ表されるモノマーが好ましく、式(a1-5-1)又は式(a1-5-2)で表されるモノマーがより好ましい。
【0031】
樹脂(A)が、構造単位(a1-5)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位の合計に対して、1~50モル%であることが好ましく、3~45モル%であることがより好ましく、5~40モル%であることがさらに好ましい。
【0032】
さらに、構造単位(a1)としては、以下の構造単位も挙げられる。
【0033】
【0034】
樹脂(A)が上記構造単位を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10~95モル%が好ましく、15~90モル%がより好ましく、20~85モル%がさらに好ましい。
【0035】
〈酸不安定基を有さない構造単位(s)〉
構造単位(s)は、酸不安定基を有さないモノマー(以下「モノマー(s)」という場合がある)から導かれる。構造単位(s)を導くモノマー(s)は、レジスト分野で公知の酸不安定基を有さないモノマーを使用できる。
構造単位(s)としては、ヒドロキシ基又はラクトン環を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a2)」という場合がある)及び/又はラクトン環を有し、かつ酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a3)」という場合がある)を有する樹脂を本発明のレジスト組成物に使用すれば、レジストパターンの解像度及び基板との密着性を向上させることができる。
【0036】
<構造単位(a2)>
構造単位(a2)が有するヒドロキシ基は、アルコール性ヒドロキシ基でも、フェノール性ヒドロキシ基でもよい。
本発明のレジスト組成物からレジストパターンを製造するとき、露光光源としてKrFエキシマレーザ(248nm)、電子線又はEUV(超紫外光)等の高エネルギー線を用いる場合には、構造単位(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)を含むことが好ましい。また、ArFエキシマレーザ(193nm)等を用いる場合には、構造単位(a2)として、アルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)を含むことが好ましい。構造単位(a2)としては、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0037】
樹脂(A)が、フェノール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、5~95モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましく、15~80モル%がさらに好ましい。
【0038】
アルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)としては、式(a2-1)で表される構造単位(以下「構造単位(a2-1)」という場合がある。)が挙げられる。
【0039】
式(a2-1)中、
L
a3は、-O-又は
*-O-(CH
2)
k2-CO-O-を表し、
k2は1~7のいずれかの整数を表す。*は-CO-との結合手を表す。
R
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a15及びR
a16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0~10のいずれかの整数を表す。
【0040】
式(a2-1)では、La3は、好ましくは、-O-、-O-(CH2)f1-CO-O-であり(前記f1は、1~4のいずれかの整数を表す)、より好ましくは-O-である。
Ra14は、好ましくはメチル基である。
Ra15は、好ましくは水素原子である。
Ra16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0~3のいずれかの整数、より好ましくは0又は1である。
【0041】
構造単位(a2)としては、例えば、特開2010-204646号公報に記載されたモノマーに由来する構造単位が挙げられる。式(a2-1-1)~式(a2-1-6)のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a2-1-1)~式(a2-1-4)のいずれかで表される構造単位がより好ましく、式(a2-1-1)又は式(a2-1-3)で表される構造単位がさらに好ましい。
【0042】
樹脂(A)がアルコール性ヒドロキシ基を有する構造単位(a2)を含む場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常1~45モル%であり、好ましくは1~40モル%であり、より好ましくは1~35モル%であり、さらに好ましくは2~20モル%である。
【0043】
<構造単位(a3)>
構造単位(a3)が有するラクトン環は、β-プロピオラクトン環、γ-ブチロラクトン環、δ-バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよく、該ラクトン環として、好ましくは、γ-ブチロラクトン環、アダマンタンラクトン環又は、γ-ブチロラクトン環構造を含む橋かけ環が挙げられる。
【0044】
構造単位(a3)は、好ましくは、式(a3-1)、式(a3-2)、式(a3-3)又は式(a3-4)で表される構造単位である。これらの1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
[式(a3-1)、式(a3-2)、式(a3-3)及び式(a3-4)中、
L
a4、L
a5及びL
a6は、それぞれ独立に、-O-又は
*-O-(CH
2)
k3-CO-O-(k3は1~7のいずれかの整数を表す。)で表される基を表す。
L
a7は、-O-、
*-O-L
a8-O-、
*-O-L
a8-CO-O-、
*-O-L
a8-CO-O-L
a9-CO-O-又は
*-O-L
a8-O-CO-L
a9-O-を表す。
L
a8及びL
a9は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*はカルボニル基との結合手を表す。
R
a18、R
a19及びR
a20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a24は、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
R
a21は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基を表す。
R
a22、R
a23及びR
a25は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1~4の脂肪族炭化水素基を表す。
p1は0~5のいずれかの整数を表す。
q1は、0~3のいずれかの整数を表す。
r1は、0~3のいずれかの整数を表す。
w1は、0~8のいずれかの整数を表す。
p1、q1、r1及び/又はw1が2以上のとき、複数のR
a21、R
a22、R
a23及び/又はR
a25は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。]
【0045】
Ra21、Ra22、Ra23及びRa25における脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基等のアルキル基が挙げられる。
Ra24におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Ra24におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル基又はエチル基が挙げられる。
Ra24におけるハロゲン原子を有するアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec-ブチル基、ペルフルオロtert-ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基等が挙げられる。
【0046】
La8及びLa9におけるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基及び2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
【0047】
式(a3-1)~式(a3-3)において、La4~La6は、それぞれ独立に、好ましくは-O-又は、*-O-(CH2)k3-CO-O-において、k3が1~4のいずれかの整数である基、より好ましくは-O-及び、*-O-CH2-CO-O-、さらに好ましくは酸素原子である。
Ra18~Ra21は、好ましくはメチル基である。
Ra22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、好ましくは0~2のいずれかの整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0048】
式(a3-4)において、R
a24は、好ましくは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基であり、さらに好ましくは水素原子又はメチル基である。
R
a25は、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
L
a7は、好ましくは-O-又は
*-O-L
a8-CO-O-であり、より好ましくは-O-、-O-CH
2-CO-O-又は-O-C
2H
4-CO-O-である。
w1は、好ましくは0~2のいずれかの整数であり、より好ましくは0又は1である。
特に、式(a3-4)は、式(a3-4)’が好ましい。
(式中、R
a24、L
a7は、上記と同じ意味を表す。)
【0049】
構造単位(a3)としては、以下の構造単位が挙げられる。
【0050】
【0051】
構造単位(a3)を導くモノマーとしては、特開2010-204646号公報に記載されたモノマー、特開2000-122294号公報に記載されたモノマー、特開2012-41274号公報に記載されたモノマーが挙げられる。構造単位(a3)としては、以下のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a3-1-1)、式(a3-2-3)及び式(a3-4-1)~式(a3-4-12)のいずれかで表される構造単位がより好ましく、式(a3-4-1)~式(a3-4-12)のいずれかで表される構造単位がさらに好ましく、式(a3-4-1)~式(a3-4-6)のいずれかで表される構造単位がさらにより好ましい。
構造単位(a3)は、2種以上併用してもよい。
【0052】
樹脂(A)が構造単位(a3)を含む場合、その合計含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、通常5~70モル%であり、好ましくは10~65モル%であり、より好ましくは10~60モル%である。
【0053】
<その他の構造単位(t)>
樹脂(A)は、構造単位(a1)、構造単位(a2)及び構造単位(a3)以外の構造単位(以下、該構造単位を「構造単位(t)」と称する)を含んでいてもよい。構造単位(t)としては、構造単位(a2)及び構造単位(a3)以外にハロゲン原子を有する構造単位(以下、場合により「構造単位(a4)」という。)及び非脱離炭化水素基を有する構造単位(以下「構造単位(a5)」という場合がある)などが挙げられる。
【0054】
<構造単位(a4)>
構造単位(a4)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。構造単位(a4)としては、下記に記載の構造単位が挙げられる。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
樹脂(A)が、構造単位(a4)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1~20モル%が好ましく、2~15モル%がより好ましく、3~10モル%がさらに好ましい。
【0062】
<構造単位(a5)>
構造単位(a5)としては、例えば、以下に記載の構造単位が挙げられる。
【0063】
【0064】
樹脂(A)が、構造単位(a5)を有する場合、その含有率は、樹脂(A)の全構造単位に対して、1~30モル%が好ましく、2~20モル%がより好ましく、3~15モル%がさらに好ましい。
【0065】
樹脂(A)は、上述の構造単位以外の構造単位を有していてもよく、このような構造単位としては、当技術分野で周知の構造単位が挙げられる。
【0066】
樹脂(A)は、好ましくは、構造単位(a1)と構造単位(s)とからなる樹脂、すなわち、モノマー(a1)とモノマー(s)との共重合体である。
構造単位(a1)は、構造単位(a1-0)、構造単位(a1-1)及び構造単位(a1-2)からなる群から選ばれる一種以上が好ましく、少なくとも二種以上がより好ましく、構造単位(a1-1)及び構造単位(a1-2)の組み合わせ、構造単位(a1-1)及び構造単位(a1-0)の組み合わせ、構造単位(a1-2)及び構造単位(a1-0)の組み合わせ、構造単位(a1-0)と構造単位(a1-1)と構造単位(a1-2)との組み合わせがさらに好ましく、構造単位(a1-1)及び構造単位(a1-2)の組み合わせが特に好ましい。
構造単位(s)は、好ましくは構造単位(a2)及び構造単位(a3)の少なくとも一種である。構造単位(a2)は、好ましくは式(a2-1)で表される構造単位である。構造単位(a3)は、好ましくは式(a3-1-1)~式(a3-1-4)で表される構造単位、式(a3-2-1)~式(a3-2-4)及び式(a3-4-1)~式(a3-4-2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種である。
【0067】
樹脂(A)を構成する各構造単位は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、これら構造単位を誘導するモノマーを用いて、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。樹脂(A)が有する各構造単位の含有率は、重合に用いるモノマーの使用量で調整できる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,000以上(より好ましくは2,500以上、さらに好ましくは3,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは15,000以下)である。本明細書では、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで実施例に記載の条件により求めた値である。
【0068】
<樹脂(A)以外の樹脂>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)以外の樹脂を含んでもよく、例えば、構造単位(t)を含む樹脂が挙げられる。
【0069】
樹脂(A)以外の樹脂としては、構造単位(a4)を含む樹脂(ただし、構造単位(a1)を含まない。;以下「樹脂(X)」という場合がある。)が好ましい。樹脂(X)において、構造単位(a4)の含有率は、樹脂(X)の全構造単位に対して、40モル%以上が好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。
樹脂(X)がさらに有していてもよい構造単位としては、構造単位(a2)、構造単位(a3)及びその他の公知のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
樹脂(X)の重量平均分子量は、好ましくは、8,000以上(より好ましくは10,000以上)、80,000以下(より好ましくは60,000以下)である。かかる樹脂(X)の重量平均分子量の測定手段は、樹脂(A)の場合と同様である。
レジスト組成物が樹脂(X)を含む場合、その含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1~60質量部であり、より好ましくは1~50質量部であり、さらに好ましくは1~40質量部であり、特に好ましくは2~30質量部である。
【0070】
樹脂(A)と樹脂(A)以外の樹脂との合計含有率は、レジスト組成物の固形分に対して、80質量%以上99質量%以下が好ましい。レジスト組成物の固形分及びこれに対する樹脂の含有率は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0071】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)は、非イオン系又はイオン系のいずれを用いてもよい。非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2-ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N-スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4-スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0072】
酸発生剤(B)としては、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038号、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。また、公知の方法で製造した化合物を使用してもよい。酸発生剤(B)は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
酸発生剤(B)は、好ましくはフッ素含有酸発生剤であり、より好ましくは式(B1)で表される塩(以下「酸発生剤(B1)」という場合がある)である。
[式(B1)中、
Q
1及びQ
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~6のペルフルオロアルキル基を表す。
L
b1は、炭素数1~24の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよく、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよいメチル基又は置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっていてもよい。
Z
+は、有機カチオンを表す。]
【0074】
Q1及びQ2のペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec-ブチル基、ペルフルオロtert-ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基等が挙げられる。
Q1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、ともにフッ素原子であることがより好ましい。
【0075】
Lb1の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状アルカンジイル基、分岐状アルカンジイル基、単環式又は多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基が挙げられ、これらの基のうち2種以上を組合せることにより形成される基でもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基及びヘプタデカン-1,17-ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;
エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;
シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0076】
Lb1の2価の飽和炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-又は-CO-で置き換わった基としては、例えば、式(b1-1)~式(b1-3)のいずれかで表される基が挙げられる。なお、式(b1-1)~式(b1-3)及び下記の具体例において、*は-Yとの結合手を表す。
【0077】
[式(b1-1)中、
L
b2は、単結合又は炭素数1~22の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
L
b3は、単結合又は炭素数1~22の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ただし、L
b2とL
b3との炭素数合計は、22以下である。
式(b1-2)中、
L
b4は、単結合又は炭素数1~22の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
L
b5は、単結合又は炭素数1~22の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ただし、L
b4とL
b5との炭素数合計は、22以下である。
式(b1-3)中、
L
b6は、単結合又は炭素数1~23の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
L
b7は、単結合又は炭素数1~23の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ただし、L
b6とL
b7との炭素数合計は、23以下である。]
【0078】
式(b1-1)~式(b1-3)においては、飽和炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わっている場合、置き換わる前の炭素数を該飽和炭化水素基の炭素数とする。
2価の飽和炭化水素基としては、Lb1の2価の飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0079】
Lb2は、好ましくは単結合である。
Lb3は、好ましくは炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基である。
Lb4は、好ましくは炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基であり、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Lb5は、好ましくは単結合又は炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb6は、好ましくは単結合又は炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基であり、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Lb7は、好ましくは単結合又は炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基であり、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよく、該2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0080】
Lb1の2価の飽和炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-又は-CO-で置き換わった基としては、式(b1-1)又は式(b1-3)で表される基が好ましい。
【0081】
式(b1-1)としては、式(b1-4)~式(b1-8)でそれぞれ表される基が挙げられる。
[式(b1-4)中、
L
b8は、単結合又は炭素数1~22の2価の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
式(b1-5)中、
L
b9は、炭素数1~20の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b10は、単結合又は炭素数1~19の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b9及びL
b10の合計炭素数は20以下である。
式(b1-6)中、
L
b11は、炭素数1~21の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b12は、単結合又は炭素数1~20の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b11及びL
b12の合計炭素数は21以下である。
式(b1-7)中、
L
b13は、炭素数1~19の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b14は、単結合又は炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b15は、単結合又は炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b13~L
b15の合計炭素数は19以下である。
式(b1-8)中、
L
b16は、炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b17は、炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b18は、単結合又は炭素数1~17の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子又はヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b16~L
b18の合計炭素数は19以下である。]
【0082】
Lb8は、好ましくは炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基である。
Lb9は、好ましくは炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb10は、好ましくは単結合又は炭素数1~19の2価の飽和炭化水素基であり、より好ましくは単結合又は炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb11は、好ましくは炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb12は、好ましくは単結合又は炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb13は、好ましくは炭素数1~12の2価の飽和炭化水素基である。
Lb14は、好ましくは単結合又は炭素数1~6の2価の飽和炭化水素基である。
Lb15は、好ましくは単結合又は炭素数1~18の2価の飽和炭化水素基であり、より好ましくは単結合又は炭素数1~8の2価の飽和炭化水素基である。
Lb16は、好ましくは炭素数1~12の2価の飽和炭化水素基である。
Lb17は、好ましくは炭素数1~6の2価の飽和炭化水素基である。
Lb18は、好ましくは単結合又は炭素数1~17の2価の飽和炭化水素基であり、より好ましくは単結合又は炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基である。
【0083】
式(b1-3)としては、式(b1-9)~式(b1-11)でそれぞれ表される基が挙げられる。
[式(b1-9)中、
L
b19は、単結合又は炭素数1~23の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
L
b20は、単結合又は炭素数1~23の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子、ヒドロキシ基又はアルキルカルボニルオキシ基に置換されていてもよい。該アルキルカルボニルオキシ基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、該アルキルカルボニルオキシ基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b19及びL
b20の合計炭素数は23以下である。
式(b1-10)中、
L
b21は、単結合又は炭素数1~21の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
L
b22は、単結合又は炭素数1~21の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b23は、単結合又は炭素数1~21の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子、ヒドロキシ基又はアルキルカルボニルオキシ基に置換されていてもよい。該アルキルカルボニルオキシ基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、該アルキルカルボニルオキシ基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b21~L
b23の合計炭素数は21以下である。
式(b1-11)中、
L
b24は、単結合又は炭素数1~20の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
L
b25は、炭素数1~21の2価の飽和炭化水素基を表す。
L
b26は、単結合又は炭素数1~20の2価の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子、ヒドロキシ基又はアルキルカルボニルオキシ基に置換されていてもよい。該アルキルカルボニルオキシ基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、該アルキルカルボニルオキシ基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよい。
ただし、L
b24~L
b26の合計炭素数は21以下である。]
【0084】
式(b1-10)及び式(b1-11)においては、2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子がアルキルカルボニルオキシ基に置換されている場合、アルキルカルボニルオキシ基の炭素数、エステル結合中のCO及びOの数をも含めて、該2価の飽和炭化水素基の炭素数とする。
【0085】
アルキルカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アダマンチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0086】
式(b1-1)で表される基のうち、式(b1-4)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0087】
式(b1-1)で表される基のうち、式(b1-5)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0088】
式(b1-1)で表される基のうち、式(b1-6)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0089】
式(b1-1)で表される基のうち、式(b1-7)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0090】
式(b1-1)で表される基のうち、式(b1-8)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0091】
式(b1-2)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0092】
式(b1-3)で表される基のうち、式(b1-9)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0093】
式(b1-3)で表される基のうち、式(b1-10)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0094】
式(b1-3)で表される基のうち、式(b1-11)で表される基としては、以下のものが挙げられる。
【0095】
Yで表される脂環式炭化水素基としては、式(Y1)~式(Y11)、式(Y36)~式(Y38)で表される基が挙げられる。
Yで表される脂環式炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-、-SO2-又は-CO-で置き換わる場合、その数は1つでもよいし、2以上の複数でもよい。そのような基としては、式(Y12)~式(Y35)で表される基が挙げられる。
【0096】
【0097】
なかでも、好ましくは式(Y1)~式(Y20)、式(Y30)、式(Y31)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y15)、式(Y16)、式(Y20)、式(Y30)又は式(Y31)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)、式(Y15)又は式(Y30)で表される基である。
Yが式(Y28)~式(Y33)等のスピロ環を構成する場合には、2つの酸素間のアルカンジイル基は、1以上のフッ素原子を有することが好ましい。また、ケタール構造に含まれるアルカンジイル基のうち、酸素原子に隣接するメチレン基には、フッ素原子が置換されていないものが好ましい。
【0098】
Yで表されるメチル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数3~16の脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシ基又は-(CH2)ja-O-CO-Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1~16のアルキル基、炭素数3~16の脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の芳香族炭化水素基を表す。jaは、0~4のいずれかの整数を表す)等が挙げられる。
Yで表される脂環式炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~16の脂環式炭化水素基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基、炭素数7~21のアラルキル基、炭素数2~4のアルキルカルボニル基、グリシジルオキシ基又は-(CH2)ja-O-CO-Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1~16のアルキル基、炭素数3~16の脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の芳香族炭化水素基を表す。jaは、0~4のいずれかの整数を表す)等が挙げられる。
【0099】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基で置換されているアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基及びナフチルエチル基等が挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
【0100】
【0101】
【0102】
Yがメチル基であり、かつLb1が炭素数1~17の2価の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基である場合、Yとの結合位置にある該2価の飽和炭化水素基の-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていることが好ましい。
【0103】
Yは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基であり、より好ましく置換基を有していてもよいアダマンチル基であり、該脂環式炭化水素基又はアダマンチル基を構成するメチレン基は酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Yは、さらに好ましくはアダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、オキソアダマンチル基又は下記で表される基である。
【0104】
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、式(B1-A-1)~式(B1-A-54)で表されるアニオン〔以下、式番号に応じて「アニオン(B1-A-1)」等という場合がある。〕が好ましく、式(B1-A-1)~式(B1-A-4)、式(B1-A-9)、式(B1-A-10)、式(B1-A-24)~式(B1-A-33)、式(I-A-36)~式(I-A-40)、式(B1-A-47)~式(B1-A-54)のいずれかで表されるアニオンがより好ましい。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
ここでRi2~Ri7は、例えば、炭素数1~4のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基である。Ri8は、例えば、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数5~12の脂環式炭化水素基又はこれらを組合せることにより形成される基、より好ましくはメチル基、エチル基、シクロヘキシル基又はアダマンチル基である。L4は、単結合又は炭素数1~4のアルカンジイル基である。
Q1及びQ2は、上記と同じである。
式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、具体的には、特開2010-204646号公報に記載されたアニオンが挙げられる。
【0114】
好ましい式(B1)で表される塩におけるスルホン酸アニオンとしては、式(B1a-1)~式(B1a-30)でそれぞれ表されるアニオンが挙げられる。
【0115】
【0116】
【0117】
なかでも、式(B1a-1)~式(B1a-3)及び式(B1a-7)~式(B1a-16)、式(B1a-18)、式(B1a-19)、式(B1a-22)~式(B1a-30)のいずれかで表されるアニオンが好ましい。
【0118】
Z+の有機カチオンとしては、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、有機ホスホニウムカチオン等が挙げられ、好ましくは有機スルホニウムカチオン又は有機ヨードニウムカチオンが挙げられ、より好ましくはアリールスルホニウムカチオンが挙げられる。
式(B1)中のZ+は、好ましくは式(b2-1)~式(b2-4)のいずれかで表されるカチオン〔以下、式番号に応じて「カチオン(b2-1)」等という場合がある。〕である。
【0119】
[式(b2-1)~式(b2-4)において、
R
b4~R
b6は、それぞれ独立に、炭素数1~30の脂肪族炭化水素基、炭素数3~36の脂環式炭化水素基又は炭素数6~36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数3~12の脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、炭素数2~4のアルキルカルボニル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又は炭素数1~12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
R
b4とR
b5とは、それらが結合する硫黄原子とともに環を形成してもよく、該環に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO-又は-CO-に置き換わってもよい。
R
b7及びR
b8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1~12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0~5の整数を表す。
m2が2以上のとき、複数のR
b7は同一であっても異なってもよく、n2が2以上のとき、複数のR
b8は同一であっても異なってもよい。
R
b9及びR
b10は、それぞれ独立に、炭素数1~36の脂肪族炭化水素基又は炭素数3~36の脂環式炭化水素基を表す。
R
b9とR
b10とは、それらが結合する硫黄原子とともに環を形成してもよく、該環に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO-又は-CO-に置き換わってもよい。
R
b11は、水素原子、炭素数1~36の脂肪族炭化水素基、炭素数3~36の脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の芳香族炭化水素基を表す。
R
b12は、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素に含まれる水素原子は、炭素数6~18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1~12のアルコキシ基又は炭素数1~12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
R
b11とR
b12とは、一緒になってそれらが結合する-CH-CO-を含む環を形成していてもよく、該環に含まれる-CH
2-は、-O-、-SO-又は-CO-に置き換わってもよい。
R
b13~R
b18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1~12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1~12のアルコキシ基を表す。
L
b31は、-S-又は-O-を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0~5のいずれかの整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0~4のいずれかの整数を表す。
u2は、0又は1を表す。
o2が2以上のとき、複数のR
b13は同一であっても異なってもよく、p2が2以上のとき、複数のR
b14は同一であっても異なってもよく、q2が2以上のとき、複数のR
b15は同一であっても異なってもよく、r2が2以上のとき、複数のR
b16は同一であっても異なってもよく、s2が2以上のとき、複数のR
b17は同一であっても異なってもよく、t2が2以上のとき、複数のR
b18は同一であっても異なってもよい。]
【0120】
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2-エチルヘキシル基のアルキル基が挙げられる。特に、R
b9~R
b12の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1~12である。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基等が挙げられる。
【0121】
特に、Rb9~Rb12の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~18であり、より好ましくは4~12である。
【0122】
水素原子が脂肪族炭化水素基で置換された脂環式炭化水素基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、2-アルキルアダマンタン-2-イル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。水素原子が脂肪族炭化水素基で置換された脂環式炭化水素基においては、脂環式炭化水素基と脂肪族炭化水素基との合計炭素数が好ましくは20以下である。
【0123】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、p-エチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、p-シクロへキシルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等のアリール基が挙げられる。
芳香族炭化水素基に、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基が含まれる場合は、炭素数1~18の脂肪族炭化水素基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基が好ましい。
水素原子がアルコキシ基で置換された芳香族炭化水素基としては、p-メトキシフェニル基等が挙げられる。
水素原子が芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0124】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基等が挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基及びブチリル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2-エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0125】
R
b4とR
b5とがそれらが結合している硫黄原子とともに形成してもよい環は、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよい。この環としては、炭素数3~18の環が挙げられ、好ましくは炭素数4~18の環が挙げられる。また、硫黄原子を含む環としては、3員環~12員環が挙げられ、好ましくは3員環~7員環が挙げられ、具体的には下記の環が挙げられる。
【0126】
Rb9とRb10とがそれらが結合している硫黄原子とともに形成する環は、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよい。この環としては、3員環~12員環が挙げられ、好ましくは3員環~7員環が挙げられ、例えば、チオラン-1-イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン-1-イウム環、1,4-オキサチアン-4-イウム環等が挙げられる。
Rb11とRb12とが一緒になって形成する環は、単環式、多環式、芳香族性、非芳香族性、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよい。この環としては、3員環~12員環が挙げられ、好ましくは3員環~7員環が挙げられ、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環等が挙げられる。
【0127】
カチオン(b2-1)~カチオン(b2-4)の中で、好ましくはカチオン(b2-1)が挙げられる。
カチオン(b2-1)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0128】
【0129】
【0130】
カチオン(b2-2)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0131】
カチオン(b2-3)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0132】
カチオン(b2-4)のとしては、以下のカチオンが挙げられる。
【0133】
酸発生剤(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び上述の有機カチオンの組合せであり、これらは任意に組合せることができる。酸発生剤(B1)としては、好ましくは式(B1a-1)~式(B1a-3)及び式(B1a-7)~式(B1a-16)のいずれかで表されるアニオンとカチオン(b2-1)又はカチオン(b2-3)との組合せが挙げられる。
【0134】
酸発生剤(B1)としては、好ましくは式(B1-1)~式(B1-48)でそれぞれ表されるものが挙げられる、中でもアリールスルホニウムカチオンを含む式(B1-1)~式(B1-3)、式(B1-5)~式(B1-7)、式(B1-11)~式(B1-14)、式(B1-17)、式(B1-20)~式(B1-26)、式(B1-29)、式(B1-31)~式(B1-48)でそれぞれ表されるものがとりわけ好ましい。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
本発明のレジスト組成物においては、酸発生剤の含有率は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは30質量部以下(より好ましくは25質量部以下)である。本発明のレジスト組成物は、酸発生剤(B)の1種を単独で含有してもよく、複数種を含有していてもよい。
【0141】
〈溶剤(E)〉
溶剤(E)の含有率は、通常、レジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0142】
溶剤(E)としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;γ-ブチロラクトン等の環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤(E)の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0143】
<式(I0)で表される化合物>
本発明のレジスト組成物は、式(I0)で表される化合物(以下「化合物(I0)」という場合がある)を含有する。化合物(I0)は、クエンチャーとして働く。
【0144】
R4及びR5で表される炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0145】
A1で表される炭素数1~6のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等の分岐状アルカンジイル基等が挙げられる。
【0146】
R6で表される炭素数3~18の脂環式炭化水素基としては、上述した式(Y1)~式(Y11)、式(Y36)~式(Y38)で表される基が挙げられる。脂環式炭化水素基に含まれる-CH2-が-O-、-SO2-又は-CO-で置き換わった環としては、上述した式(Y12)~式(Y35)で表される基が挙げられる。
R6で表される炭素数3~18の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基及び炭素数1~12のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
炭素数1~12のアルキル基としては、R1、R2及びR3で表される炭素数1~12のアルキル基と同じものが挙げられる。
炭素数1~12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1~12のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0147】
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
A
1は、炭素数2~4のアルカンジイル基であることが好ましく、エチレン基又はプロピレン基であることがより好ましい。
X
1は、*-CO-O-、*-O-CO-又は*-O-CO-O-(但し、*はA
1との結合位を表す。)であることが好ましく、*-O-CO-であることがさらに好ましい。
R
6の有する置換基としては、ヒドロキシ基及びフッ素原子が好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
R
6はヒドロキシ基を有してもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基、又は、ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有してもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基であり、該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている基であることが好ましく、
炭素数3~18の脂環式炭化水素基、ヒドロキシ基を有する炭素数3~18の脂環式炭化水素基、又は、フッ素原子を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基であり、該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている基であることがより好ましく、
ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有する炭素数3~18の脂環式炭化水素基、又は、-CH
2-が、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わった炭素数3~18の脂環式炭化水素基であることがさらに好ましく、
アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、アダマンタノン基、ヒドロキシシクロヘキシル基又は下記で表される基であることが一層好ましく、
ヒドロキシアダマンチル基、アダマンタノン基、ヒドロキシシクロヘキシル基又は下記で表される基であることが特に好ましい。
【0148】
化合物(I0)としては、下記で表される化合物等が挙げられる。
【0149】
式(I0)で表される化合物の含有量は、レジスト組成物の固形分量を基準に、0.001~10質量%、好ましくは0.005~8質量%、より好ましくは0.01~5質量%である。
【0150】
<化合物(I)>
化合物(I0)は、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある)であることが好ましい。
[式(I)中、R
4、R
5、A
1及びX
1は、それぞれ上記と同じ意味を表す。
R
6aは、ヒドロキシ基を有する炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表すか、又は、ヒドロキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基を構成している少なくとも1つの-CH
2-は、-O-、-SO
2-又は-CO-に置き換わっている基である。]
【0151】
X
1が、*-O-CO-(但し、*はA
1との結合位を表す。)かつ、R
5が水素原子である式(I1)で表される化合物は、式(I1-a)で表される化合物を、酸触媒下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。
(式中、A
1、R
5及びR
6aは、前記と同義である。)
酸としては、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
溶剤としては、メタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0152】
式(I1-a)で表される化合物は、式(I1-b)で表される化合物と式(I1-c)で表される化合物とを、塩基触媒下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。
塩基としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
溶剤としては、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0153】
式(I1-c)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0154】
式(I1-b)で表される化合物は、式(I1-d)で表される化合物と式(I1-e)で表される化合物とを、塩基触媒下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。
塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
溶剤としては、水、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0155】
式(I1-d)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0156】
式(I1-e)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0157】
X
1が、*-O-CO-(但し、*はA
1との結合位を表す。)である式(I2)で表される化合物は、式(I1-c)で表される化合物を、溶剤中で、カルボニルジイミダゾールと反応させた後、さらに、式(I2-a)で表される化合物と反応させることにより製造することができる。
(式中、A
1、R
5及びR
6aは、前記と同義である。)
溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0158】
式(I2-a)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0159】
X
1が、*-CO-O-(但し、*はA
1との結合位を表す。)である式(I3)で表される化合物は、式(I3-a)で表される化合物を、溶剤中で、カルボニルジイミダゾールと反応させた後、さらに、式(I3-c)で表される化合物と反応させることにより製造することができる。
(式中、A
1、R
5及びR
6aは、前記と同義である。)
溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0160】
式(I3-a)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
式(I3-b)で表される化合物は公知の化合物であり、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0161】
X
1が、*-O-CO-O-(但し、*はA
1との結合位を表す。)である式(I4)で表される化合物は、式(I3-c)で表される化合物を、溶剤中で、カルボニルジイミダゾールと反応させた後、さらに、式(I2-a)で表される化合物と反応させることにより製造することができる。
(式中、A
1、R
5及びR
6aは、前記と同義である。)
溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0162】
X
1が、*-O-(但し、*はA
1との結合位を表す。)である式(I5)で表される化合物は、式(I2-a)で表される化合物と、式(I3-c)で表される化合物とを、塩基触媒下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。
(式中、A
1、R
5及びR
6aは、前記と同義である。)
塩基としては、水酸化カリウム等が挙げられる。
溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム等が挙げられる。
【0163】
〈その他のクエンチャー〉
本発明のレジスト組成物は、化合物(I0)とは異なるクエンチャーとして、塩基性化合物(以下「塩基性化合物(C)」という場合がある)を含有していてもよい。
【0164】
塩基性化合物(C)は、塩基性の含窒素有機化合物又は酸発生剤(B)よりも酸性度の弱い酸を発生する塩が挙げられる。塩基性の含窒素有機化合物としては、アミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。
【0165】
具体的には、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2-,3-又は4-メチルアニリン、4-ニトロアニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、2,2’-メチレンビスアニリン、イミダゾール、4-メチルイミダゾール、ピリジン、4-メチルピリジン、1,2-ジ(2-ピリジル)エタン、1,2-ジ(4-ピリジル)エタン、1,2-ジ(2-ピリジル)エテン、1,2-ジ(4-ピリジル)エテン、1,3-ジ(4-ピリジル)プロパン、1,2-ジ(4-ピリジルオキシ)エタン、ジ(2-ピリジル)ケトン、4,4’-ジピリジルスルフィド、4,4’-ジピリジルジスルフィド、2,2’-ジピリジルアミン、2,2’-ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6-ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0166】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3-(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0167】
〈酸性度の弱い酸を発生する塩〉
酸発生剤から発生する酸よりも酸性度の弱い酸を発生する塩における酸性度は酸解離定数(pKa)で示される。酸発生剤から発生する酸よりも酸性度の弱い酸を発生する塩は、該塩から発生する酸のpKaが、通常-3<pKaの塩であり、好ましくは-1<pKa<7の塩であり、より好ましくは0<pKa<5の塩である。酸発生剤から発生する酸よりも弱い酸を発生する塩としては、下記式で表される塩、特開2015-147926号公報記載の式(D)で表される弱酸分子内塩、並びに特開2012-229206号公報、特開2012-6908号公報、特開2012-72109号公報、特開2011-39502号公報及び特開2011-191745号公報記載の塩が挙げられる。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
クエンチャー(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは、0.01~5質量%であり、より好ましく0.01~4質量%であり、特に好ましく0.01~3質量%である。
【0172】
〈その他の成分〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、上述の成分以外の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある。)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0173】
〈レジスト組成物の調製〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)、酸発生剤(B)及び化合物(I0)、並びに、必要に応じて、樹脂(X)、クエンチャー(C)、溶剤(E)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10~40℃から、樹脂等の種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5~24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003~0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0174】
基板は特に限定されるものではなく、半導体の製造に通常用いられる基板、例えば、シリコン、SiN、SiO2及びSiN等の無機基板、SOG等の塗布系無機基板等を挙げることができる。これらの基板は、洗浄されたものでもよく、また、無機基板上に反射防止膜等が形成されたものでもよい。反射防止膜は、例えば、市販の有機反射防止膜用組成物から形成できる。
レジスト組成物を基板上に塗布するには、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0175】
<工程(2)>
例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、基板上に塗布されたレジスト組成物を乾燥させることにより溶剤を除去して、組成物層が形成される。好ましくは、加熱手段による乾燥である。加熱手段や減圧手段の条件は、レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択できる。
加熱手段の場合、乾燥温度は、50~200℃が好ましく、60~150℃がより好ましい。また、乾燥時間は、10~180秒間が好ましく、30~120秒間がより好ましい。
減圧手段の場合、減圧乾燥機の中に、基板上に塗布されたレジスト組成物を封入した後、内部圧力を1~1.0×105Paにして乾燥を行う。
このようにして形成された組成物層の膜厚は、例えば、20~1000nmであり、好ましくは、50~400nmであり、より好ましくは75~350nmであり、さらに好ましくは100~300nmである。前記塗布装置の条件を種々調節することで、該膜厚は調整可能である。
【0176】
<工程(3)>
露光機を用いて組成物層に露光することが好ましい。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。露光光源として電子線を用いる場合には、マスクを用いることなく、組成物層に直接照射して描画してもよい。本発明の製造方法に用いる露光光源としては、ArFエキシマレーザが好ましい。
【0177】
露光は、組成物層に液浸媒体を載せた状態で行う方法、いわゆる液浸露光で行うことが好ましい。液浸露光を行う場合、露光前及び/又は露光後の組成物層の表面を水系の薬液で洗浄する工程を行ってもよい。
液浸露光に用いる液浸媒体は、ArFエキシマレーザの露光波長に対して透明であり、かつ組成物層上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましく、入手の容易さ、取り扱いのし易さから、水、特に超純水が好ましい。液浸媒体として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を水にわずかな割合で添加してもよい。この添加剤は組成物層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。
露光量は、用いるレジスト組成物、製造するレジストパターンの種類及び露光光源の種類に応じて適宜設定でき、好ましくは5~50mJ/cm2である。
工程(3)は、複数回繰り返して行ってもよい。複数回の露光を行う場合の露光光源及び露光方法は、互いに同じでも異なってもよい。
【0178】
<工程(4)>
露光後の組成物層の加熱(いわゆるポストエキスポジャーベーク)は、ホットプレート等の加熱装置を用いて行われる。加熱温度は、好ましくは50~200℃、より好ましくは70~150℃である。また、加熱時間は、好ましくは10~180秒間、より好ましくは30~120秒間である。
【0179】
<工程(5)>
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は5~60℃が好ましく、現像時間は5~300秒間が好ましい。現像液の種類を以下のとおりに選択することにより、ポジ型レジストパターン又はネガ型レジストパターンを製造できる。
【0180】
レジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0181】
レジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2-ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2-ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2-ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
【0182】
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0183】
〈用途〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、KrFエキシマレーザ露光、ArFエキシマレーザ露光、電子線(EB)露光又はEUV露光によるレジストパターンの製造方法、また、液浸露光によるレジストパターンの製造方法、特に液浸ArFエキシマレーザ露光用のレジストパターンの製造方法として好適であり、半導体の微細加工に有用である。
【実施例】
【0184】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す「%」及び「部」は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記の条件で求めた値である。
装置:HLC-8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0185】
また、化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子ピークを測定することで確認した。以下の実施例ではこの分子イオンピークの値を「MASS」で示す。
【0186】
実施例1:式(I-1)で表される化合物の合成
式(I-1-a)で表される化合物25部、ジオキサン125部、水酸化ナトリウム10.74部およびイオン交換水96.64部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合溶液に式(I-1-b)で表される化合物29.29部を1時間かけて滴下した後、23℃まで昇温し、23℃で18時間攪拌した。得られた混合溶液をろ過した後、濃縮した。得られた濃縮残に、t-ブチルメチルエーテル86部を添加し、23℃で30分間撹拌した後、分液した。回収された有機層に、イオン交換水86部を添加し、23℃で30分間撹拌した後、分液した。この水洗操作を3回行った。回収された有機層を濃縮することにより、式(I-1-c)で表される化合物13.50部を得た。
【0187】
式(I-1-d)で表される化合物5部、ジメチルホルムアミド60部、炭酸カリウム2.11部及びヨウ化カリウム0.63部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、100℃まで昇温した。得られた混合物に、式(I-1-c)で表される化合物5.71部を添加し、100℃で8時間攪拌した。得られた混合物を23℃まで冷却した後、t-ブチルメチルエーテル40部及びイオン交換水40部を加え、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物を分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水40部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を3回繰り返した。回収された有機層を濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン40部を添加撹拌後、ろ過することにより、式(I-1-e)で表される化合物5.95部を得た。
式(I-1-e)で表される化合物1部及びメタノール20部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、濃塩酸6.14部を10分かけて添加し、23℃に昇温後、さらに23℃で5時間攪拌した。得られた反応マスを濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン40部を添加撹拌後、ろ過することにより、式(I-1)で表される化合物0.43部を得た。
MASS(質量分析):239.2(分子イオンピーク)
【0188】
実施例2:式(I-2)で表される化合物の合成
式(I-2-d)で表される化合物5.9部、ジメチルホルムアミド70部、炭酸カリウム2.52部及びヨウ化カリウム0.76部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、100℃まで昇温した。得られた混合物に、式(I-1-c)で表される化合物6.81部を添加し、100℃で12時間攪拌した。得られた混合物を23℃まで冷却した後、t-ブチルメチルエーテル50部及びイオン交換水50部を加え、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物を分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を3回繰り返した。回収された有機層を濃縮することにより、式(I-2-e)で表される化合物9.31部を得た。
式(I-2-e)で表される化合物0.96部及びメタノール20部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、濃塩酸4.46部を10分かけて添加し、23℃に昇温後、さらに23℃で18時間攪拌した。得られた混合物を濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン30部を加えて、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物から上澄液を除去し、混合物(1)を得た。得られた混合物(1)を濃縮した後、tert-ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、その後、上澄液を除去し、混合物(2)を得た。得られた混合物(2)を濃縮することにより、式(I-2)で表される化合物0.36部を得た。
MASS(質量分析):237.1(分子イオンピーク)
【0189】
合成例1:式(I-3)で表される化合物の合成
式(I-3-d)で表される化合物5.48部、ジメチルホルムアミド70部、炭酸カリウム2.52部及びヨウ化カリウム0.76部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、100℃まで昇温した。得られた混合物に、式(I-1-c)で表される化合物6.81部を添加し、100℃で12時間攪拌した。得られた混合物を23℃まで冷却した後、t-ブチルメチルエーテル50部及びイオン交換水50部を加え、23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水50部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を3回繰り返した。回収された有機層を濃縮することにより、式(I-3-e)で表される化合物8.84部を得た。
式(I-3-e)で表される化合物0.92部及びメタノール20部を混合物、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、濃塩酸4.46部を10分かけて添加し、23℃に昇温後、さらに23℃で18時間攪拌した。得られた反応マスを濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン30部を加えて、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物から上澄液を除去し、混合物(1)を得た。得られた混合物(1)を濃縮した後、tert-ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、その後、上澄液を除去し、混合物(2)を得た。得られた混合物(2)を濃縮することにより、式(I-3)で表される化合物0.38部を得た。
MASS(質量分析):223.2(分子イオンピーク)
【0190】
実施例3:式(I-4)で表される化合物の合成
式(I-2-e)で表される化合物2.87部及び1,2-ジクロロエタン40部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(I-4-a)で表される化合物5.53部及びp-トルエンスルホン酸0.30部を添加し、100℃で、3時間還流攪拌した。得られた反応物を23℃まで冷却し、クロロホルム50部及びメタノール50部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、濃塩酸4.46部を10分かけて添加し、23℃に昇温後、さらに23℃で18時間攪拌した。得られた混合物を濃縮した後、濃縮マスをカラム(シリカゲル60N(球状、中性)100-210μm;関東化学(株)製、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=1/1)分取することにより、式(I-4)で表される化合物0.42部を得た。
MASS(質量分析):381.2(分子イオンピーク)
【0191】
実施例4:式(I-7)で表される化合物の合成
式(I-7-d)で表される化合物3.67部、ジメチルホルムアミド60部、炭酸カリウム2.11部及びヨウ化カリウム0.63部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、100℃まで昇温した。得られた混合物に、式(I-1-c)で表される化合物5.71部を添加し、100℃で8時間攪拌した。得られた混合物を23℃まで冷却した後、t-ブチルメチルエーテル40部及びイオン交換水40部を加え、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物を分液して有機層を取り出した。回収された有機層にイオン交換水40部を加えて23℃で30分間攪拌した後、分液して有機層を取り出した。この水洗操作を3回繰り返した。回収された有機層を濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン40部を添加撹拌後、ろ過することにより、式(I-7-e)で表される化合物4.12部を得た。
式(I-7-e)で表される化合物1部及びメタノール20部を混合し、23℃で30分間撹拌した後、5℃まで冷却した。得られた混合物に、濃塩酸7.22部を10分かけて添加し、23℃に昇温後、さらに23℃で5時間攪拌した。得られた反応マスを濃縮した後、濃縮残に、n-ヘプタン40部を添加撹拌後、ろ過することにより、式(I-7)で表される化合物0.38部を得た。
MASS(質量分析):187.1(分子イオンピーク)
【0192】
樹脂(A)の合成
樹脂(A)の合成に使用した化合物(モノマー)を下記に示す。以下、これらのモノマーを式番号に応じて「モノマー(a1-1-2)」等という。
【0193】
合成例2〔樹脂A1の合成〕
モノマー(a1-1-2)、モノマー(a1-2-9)、モノマー(a2-1-1)及びモノマー(a3-1-1)を、そのモル比〔モノマー(a1-1-2):モノマー(a1-2-9):モノマー(a2-1-1):モノマー(a3-1-1)〕が5:42:32:21となるように混合し、全モノマー量の2質量倍のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量9.1×10
3の樹脂A1(共重合体)を収率97%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。
【0194】
合成例3〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4-1-7)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.8×10
4の樹脂X1を収率77%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有するものである。
【0195】
<レジスト組成物の調製>
表1に示すように、以下の各成分を混合し、得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0196】
【0197】
<樹脂>
A1、X1:樹脂A1、樹脂X1
【0198】
<酸発生剤>
B1-21:式(B1-21)で表される塩(特開2012-224611号公報の実施例に従って合成)
B1-22:式(B1-22)で表される塩(特開2012-224611号公報の実施例に従って合成)
【0199】
<化合物(I0)>
I-1:式(I-1)で表される化合物
I-2:式(I-2)で表される化合物
I-3:式(I-3)で表される化合物
I-4:式(I-4)で表される化合物
I-7:式(I-7)で表される化合物
【0200】
<クエンチャー(C))>
IX-1:(特開2008-83234号公報の実施例に従って合成)
D1:(東京化成工業(株)製)
【0201】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20部
2-ヘプタノン 20部
γ-ブチロラクトン 3.5部
【0202】
<レジストパターンの製造>
表面に膜厚100nmのSiO2層が形成された12インチのシリコンウェハ上に、ヘキサメチルジシラザンを用いて120℃で60秒処理した後、レジスト組成物をプリベーク後の膜厚が240nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物が塗布されたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークして組成物層を形成した。このようにシリコンウェハ上に形成された組成物層に、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=0.90、Annular、σout/σin=0.75/0.40、X-Y偏光]で、ラインアンドスペースパターン(ピッチ300nm/スペース114nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0203】
得られたレジストパターンにおいて、パターンのスペース幅が130nmとなる露光量を実効感度とした。
【0204】
<ラインエッジラフネス評価(LER)>
得られたレジストパターンについて、壁面の凹凸の振れ幅を走査型電子顕微鏡で観察し測定した。この振れ幅をLER(nm)として表2に示した。
【0205】
【0206】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、良好なラインエッジラフネスでレジストパターンを製造できることがわかる。なかでも、半導体基板に対して不純物をドーピングするために、レジストパターンを用いて行われるイオン注入(イオンインプランテーションともいう。)用のマスク等の比較的圧膜のレジストパターンを形成する場合であっても、良好なラインエッジラフネスでレジストパターンを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明のレジスト組成物によれば、良好なラインエッジラフネスのレジストパターンを製造することができるため、半導体の微細加工に好適であり、産業上有用である。