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特許6996254通信制御装置、通信制御方法、プログラムおよび通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法、プログラムおよび通信システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20220128BHJP
   G01S 19/48 20100101ALI20220128BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20220128BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20220128BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G01S5/02 A
G01S19/48
H04W64/00
H04W88/18
G01C21/26 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017225762
(22)【出願日】2017-11-24
(65)【公開番号】P2019095332
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】清水 尚之
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-251425(JP,A)
【文献】特開平10-068628(JP,A)
【文献】特開平09-182137(JP,A)
【文献】特開2008-294593(JP,A)
【文献】特開2014-023017(JP,A)
【文献】特開平07-181242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0281690(US,A1)
【文献】山田佑樹 富井尚志,ユビキタス環境DBにおける無線センサノード低消費電力化手法の実験的検証,第3回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム 論文集 [online],日本,電子情報通信学会データ工学専門委員会,2011年07月27日,Internet<URL:http://db-event.jpn.org/deim2011/proceedings/pdf/b8-1.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
G01C 21/00 - 21/36
23/00 - 25/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電波および前記第1の電波より通信範囲が狭い第2の電波を用いて複数の機器との通信を制御する通信制御装置であって、
前記複数の機器のうち一の機器の位置に動きがあった場合、前記一の機器について前記第1の電波による位置の推定から前記第2の電波による位置の推定に切り替え、再び前記第1の電波による位置の推定に切り替えられた後に、前記一の機器以外の他の機器の移動に関係する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づき、前記他の機器の一定以上の移動の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記一の機器と前記他の機器の少なくとも1つの位置を推定する時間間隔を変更する制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記判定手段により移動なしと判定された他の機器に対し、前記時間間隔を広げ、前記一の機器に対し、前記時間間隔を狭くするように設定変更する通信制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の機器のうち、前記一の機器以外のすべての前記他の機器に対して動きがあるかどうかの前記判定部による判定が完了した後、前記一の機器に対する前記設定変更をする通信制御装置。
【請求項3】
各機器との通信において取得される各情報に基づいて該各機器の位置を推定する位置推定手段を含む、請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記他の機器の移動に関係する情報として、該他の機器の位置を推定した過去の位置情報を取得し、
前記判定手段は、前記位置推定手段により推定される現在の位置情報と、前記取得手段により取得された前記過去の位置情報とから算出される移動距離が閾値以下か否かを判定する、請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記他の機器の移動に関係する情報として、該他の機器の種別を示す種別情報を取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記種別情報に基づき、前記他の機器の一定以上の移動の有無を判定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記種別情報は、前記他の機器が人に取り付けられているか、物に取り付けられているかである請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記他の機器に対して移動の確認を指示する指示手段を含み、
前記取得手段は、前記他の機器の移動に関係する情報として、該他の機器が確認した移動に関する情報を取得する、請求項1~のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記他の機器に対して移動速度を計測するように指示する指示手段を含み、
前記取得手段は、前記他の機器の移動に関係する情報として、該他の機器が計測した移動速度を取得し、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された前記移動速度が閾値以下か否かを判定する、請求項1~のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項9】
第1の電波および前記第1の電波より通信範囲が狭い第2の電波を用いて複数の機器との通信を制御する通信制御装置により通信を制御する通信制御方法であって、
前記複数の機器のうち一の機器の位置に動きがあった場合、前記一の機器について前記第1の電波による位置の推定から前記第2の電波による位置の推定に切り替えた後に、再び前記第1の電波による位置の推定に切り替えるステップと、
前記一の機器以外の他の機器の移動に関係する情報を取得するステップと、
取得された前記情報に基づき、前記他の機器の一定以上の移動の有無を判定するステップと、
前記判定するステップにより移動なしと判定された他の機器に対し、位置を推定する時間間隔を広げ、前記一の機器に対し、位置を推定する前記時間間隔を狭くするように設定変更するステップと、を含む通信制御方法。
【請求項10】
請求項に記載の通信制御方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の通信制御装置と、前記通信制御装置により通信が制御される複数の機器とを含む、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器との通信を制御する通信制御装置、通信制御方法、その制御をコンピュータに実行させるためのプログラムおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等のデバイスの位置の推定には、GPS(Global Positioning System)衛星やIMES(Indoor Messaging System)からの電波を用いる方法(以下、第1の方法と呼ぶ。)と、基地局からの電波を用いる方法(以下、第2の方法と呼ぶ。)が知られている。
【0003】
ここで、第1の方法で用いられる電波は、取りこぼしがないため、確実に位置を推定することができるが、位置を推定する時間間隔(位置推定間隔)が長いため、人が携帯する等してデバイスが移動する場合、その位置推定精度が低下するという特徴を有している。第2の方法で用いられる電波は、取りこぼしがあるため、位置を推定することができない場合があるが、位置推定間隔が短いので、デバイスが移動する場合であっても、その位置推定精度が高いという特徴を有している。
【0004】
このような特徴から、通常は、第1の方法を使用して位置を推定し、デバイスが移動する場合に第2の方法に切り替えて、移動するデバイスの位置推定精度を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、一のデバイス(対象のデバイス)につき、第2の方法に切り替えた後に位置推定に失敗した場合、再び第1の方法を使用して位置を推定することになり、位置推定精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、対象のデバイスの位置推定精度を向上させることができる装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、発明の一実施形態では、複数の機器との通信を制御する通信制御装置であって、
第1の電波および前記第1の電波より通信範囲が狭い第2の電波を用いて複数の機器との通信を制御する通信制御装置であって、
前記複数の機器のうち一の機器の位置に動きがあった場合、前記一の機器について前記第1の電波による位置の推定から前記第2の電波による位置の推定に切り替え、再び前記第1の電波による位置の推定に切り替えられた後に、前記一の機器以外の他の機器の移動に関係する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記情報に基づき、前記他の機器の一定以上の移動の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記一の機器と前記他の機器の少なくとも1つの位置を推定する時間間隔を変更する制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記判定手段により移動なしと判定された他の機器に対し、前記時間間隔を広げ、前記一の機器に対し、前記時間間隔を狭くするように設定変更する通信制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対象のデバイスの位置推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】通信システムのシステム構成の一例を示した図。
図2】通信システムが構築される環境の一例を示した図。
図3】通信システムを構成するデバイスのハードウェア構成の一例を示した図。
図4】通信システムを構成するゲートウェイのハードウェア構成の一例を示した図。
図5】通信システムを構成するサーバのハードウェア構成の一例を示した図。
図6】デバイスの機能構成の一例を示したブロック図。
図7】ゲートウェイの機能構成の一例を示したブロック図。
図8】サーバの機能構成の一例を示したブロック図。
図9】サーバおよびデバイスが保持する情報の一例を示した図。
図10】サーバが保持する詳細な情報の一例を示した図。
図11】デバイスとの通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第1の例を示したフローチャート。
図12】デバイスの種別を判定する処理の第1の例を示したフローチャート。
図13】デバイスとの通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第2の例を示したフローチャート。
図14】デバイスとの通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第3の例を示したフローチャート。
図15】デバイスとの通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第4の例を示したフローチャート。
図16】デバイスの種別を判定する処理の第2の例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年、スマートフォン、タブレット端末、PC、プロジェクタ、デジタルカメラ、MFP(Multi-Function Peripheral)等のIT関連機器のほか、IoT(internet of Things)により各種センサを搭載した物もインターネットに接続し、物の情報や各種センサが収集した情報をインターネット経由で利用できるようになっている。
【0011】
物の情報としては、その物の位置情報があり、その物の位置を推定するために、GPS衛星やIMESからの電波を用いる第1の方法や、基地局からの電波を用いる第2の方法が使用される。位置の推定は、従来の方法と同様に、第1の方法を使用して行い、推定する対象の物が移動する場合は、位置推定精度を高めるために、第2の方法に切り替えることができる。第2の方法で位置推定が失敗した場合は、再び第1の方法に切り替え、第1の方法で位置を推定することができる。なお、位置の推定は、物に限らず、人についても行うことができる。
【0012】
図1は、通信システムのシステム構成の一例を示した図である。通信システムは、複数のデバイス10と、第1の電波により各デバイス10と通信する複数の第1のゲートウェイ11と、第2の電波により各デバイス10と通信する複数の第2のゲートウェイ12と、複数の第1のゲートウェイ11および複数の第2のゲートウェイ12と通信するサーバ13とを含む。
【0013】
第1の電波は、第1の方法で用いられる電波で、取りこぼしがないため、位置推定に失敗しないが、デバイス10が移動する場合、位置推定精度が低いため、動きに弱い電波である。第1の電波としては、例えばLPWA(Low Power Wide Area)という低電力広エリアの通信を実現する通信規格の1つであるLoRa(登録商標)の電波等が挙げられる。
【0014】
第2の電波は、第2の方法で用いられる電波で、取りこぼしがあるため、位置推定に失敗することがあるが、デバイス10が移動する場合でも、位置推定精度が高いため、動きに強い電波である。第2の電波としては、例えば微弱無線の電波等が挙げられる。
【0015】
通信システムは、第1の電波および第2の電波以外の性質が異なる電波により通信するゲートウェイを含んでいてもよく、その他の機器を含んでいてもよい。ゲートウェイは、異なるプロトコル(通信のルールや規格)をもつデータの通信を可能にする装置である。
【0016】
デバイス10は、第1の電波により第1のゲートウェイ11と通信し、第2の電波により第2のゲートウェイ12と通信することが可能で、自身の情報を保持し、自身の動作を制御する。デバイス10は、このような機能を備えるものであればいかなる装置であってもよく、例えばICタグ等とすることができる。自身の情報であるデバイス10の情報は、デバイス10を識別するための識別情報(ID)を含み、必要に応じて、デバイスの種別を示す種別情報を含むことができ、センサを搭載する場合、センサにより計測された情報を含むことができる。また、デバイス10の情報は、各ゲートウェイとの通信の通信情報を含み、通信情報には、各電波を使用して通信する際に用いられる通信パラメータが含まれる。
【0017】
第1のゲートウェイ11は、サーバ13と通信し、第1の電波によりデバイス10と通信し、デバイス10との通信情報を保持し、自身の動作を制御する。第2のゲートウェイ12も同様に、サーバ13と通信し、デバイス10との通信情報を保持し、自身の動作を制御し、第2の電波によりデバイス10と通信する。この通信情報も、通信パラメータを含む。
【0018】
サーバ13は、第1のゲートウェイ11および第2のゲートウェイ12と通信し、各デバイス10の情報を保持し、サーバ13の動作のほか、各デバイス10、第1のゲートウェイ11、第2のゲートウェイ12を制御する。また、サーバ13は、各ゲートウェイで収集された情報を基に各デバイス10の位置を推定し、その位置情報を提示する。
【0019】
図2は、通信システムが設置される環境の一例を示した図である。この環境は、各階に複数の部屋を有するオフィスビル等の建物とされている。デバイス10は、人に取り付けられ、無線により第1のゲートウェイ11、第2のゲートウェイ12に接続可能なデバイス10aと、物に取り付けられ、無線により第1のゲートウェイ11、第2のゲートウェイ12に接続可能なデバイス10bとを含む。デバイス10a、10bは、電池を搭載し、電池から給電されて動作する。以下、デバイス10a、10bは、特に区別しない場合、単に「デバイス10」と表記する。
【0020】
各部屋の天井には、第1のゲートウェイ11と第2のゲートウェイ12の両方または第2のゲートウェイ12のみが設置されている。第1のゲートウェイ11は通信範囲が広い第1の電波を使用するため、部屋を1つ置きに設置され、第2のゲートウェイ12は通信範囲が狭い第2の電波を使用するため、各部屋に設置されている。
【0021】
サーバ13は、任意の部屋に設置され、複数の第1のゲートウェイ11、複数の第2のゲートウェイ12の1つと通信し、各ゲートウェイが収集した情報を取得し、その情報を基にデバイス10の位置を推定する。位置を推定する方法としては、ゲートウェイが収集した情報として、IMESの位置情報とデバイスIDとを取得し、IMESの位置をそのデバイスIDをもつデバイスの位置と推定する方法が挙げられる。IMESは、GPS電波を受信できない屋内での位置測位を補完するシステムで、位置情報をメッセージとして直接送信するものである。なお、この方法は一例であるので、これに限られるものではなく、デバイス10がGPS衛星や基地局から受信した情報(衛星や基地局の位置情報、電波の発信時刻等)や計測した情報(電波の受信時刻、電波強度等)をゲートウェイが収集し、その情報を基に位置を推定してもよい。サーバ13は、各デバイス10の位置推定結果をディスプレイ等に表示することにより、システムの利用者に対してその結果を提示する。
【0022】
この環境では、位置推定を行うべきデバイス10が数多く存在し、それらのデバイス10が、移動がない場合や、移動する場合でも位置推定が失敗した場合、第1の電波により通信するため、第1の電波の通信帯域が圧迫されている。
【0023】
第1の電波による通信の通信速度(データレート)は、位置推定間隔と関係し、データレートを上げれば位置推定間隔を狭くすることができ、データレートを下げれば位置推定間隔を広くすることができる。データレートは、通信パラメータとして設定される4つの設定値、すなわちSF(Spread Factor)、BW(Band Width)、CDR(Coding Rate)、Optimiseの設定値の組み合わせにより決定される。したがって、データレートを上げ下げしたい場合、これらのパラメータを変更すればよい。
【0024】
ここで、SFは、ビットレートに対するチップレートの比を表す拡散率である。ビットレートは、1秒間に送受信できるデータ量である。チップレートは、搬送波にデータを載せて一次変調を行い、一次変調された搬送波に擬似雑音信号(チップ)を適用して二次変調を行い、帯域を拡大させるときの1秒当たりのチップ数である。SFは、大きくなるほど、通信可能な距離が長くなり、受信感度が向上するが、通信速度は低下する。
【0025】
BWは、電波の周波数の範囲(帯域幅)である。BWは、大きくなるほど、通信速度が速くなる。CDRは、符号化率(コーディングレート)で、データに付加する符号の冗長度を示す。CDRは、大きくなるほど、その冗長度が高く、情報量が多くなるため、通信速度が低下する。Optimiseは、通信の最適化を実施するか否かを示すもので、実施する場合、データに対して非可逆圧縮等の変換を行う。このため、OptimiseをONにし、最適化を実施することで、通信速度が低下する。
【0026】
データレートの上げ下げについて、具体的な例をもって説明する。あるデバイスのBWが250kHz、SFが10、CDRが2、OptimiseがONであったとする。データレートを上げたい場合、以下の4つの方法のいずれかにより実施することができる。
(1)BWを250kHzより大きい500kHzにする。
(2)CDRを2より小さい1にする。
(3)OptimiseをOFFにする。
(4)上記(1)~(3)のいずれか2つまたは全部を実施する。
【0027】
データレートを下げたい場合、以下の4つの方法のいずれかにより実施することができる。
(1’)SFを10より大きい11、12のいずれかにする。
(2’)BWを250kHzより小さい125kHzにする。
(3’)CDRを2より大きい3、4のいずれかにする。
(4’)上記(1’)~(3’)のいずれか2つまたは全部を実施する。
【0028】
なお、上記(4)を実施することで、データレートを大きく上げることができ、上記(4’)を実施することで、データレートを大きく下げることができる。
【0029】
次に、図3を参照して、通信システムを構成するデバイス10のハードウェア構成について説明する。デバイス10は、ハードウェアとして、CPU20、メモリ21、センサ22、アンテナ23を含む。
【0030】
CPU20は、デバイス10の動作を制御し、メモリ21は、デバイス10の情報を記憶する。メモリ21は、CPU20がデバイス10の動作を制御するためのプログラムを記憶することができ、CPU20に対して作業領域を提供する。センサ22は、デバイス10の状態を計測する装置で、例えば加速度を計測する加速度センサ等とされる。アンテナ23は、第1のゲートウェイ11や第2のゲートウェイ12との間で電波を送受信する。
【0031】
図4を参照して、通信システムを構成する第1のゲートウェイ11のハードウェア構成について説明する。なお、第2のゲートウェイ12は、第1のゲートウェイ11と同様のハードウェア構成であるため、第2のゲートウェイ12についての説明は省略する。
【0032】
第1のゲートウェイ11は、ハードウェアとして、CPU30、ROM31、RAM32、HDD33、通信I/F34、アンテナ35を含む。CPU30は、第1のゲートウェイ11の動作を制御する。ROM31は、第1のゲートウェイ11を起動するためのブートプログラムや他のハードウェアを制御するファームウェア等を記憶する。RAM32は、CPU30に対して作業領域を提供する。HDD33は、複数のデバイス10と通信情報に従って通信し、取得したデバイス10の情報をサーバ13に送信する処理を実行するためのプログラムやOS、その通信情報等を記憶する。通信I/F34は、サーバ13と通信するためのインタフェースである。アンテナ35は、デバイス10との間で電波を送受信する。
【0033】
図5を参照して、通信システムを構成するサーバ13のハードウェア構成について説明する。サーバ13は、ハードウェアとして、CPU40、ROM41、RAM42、HDD43、通信I/F44、入出力I/F45、入力装置46、表示装置47を含む。
【0034】
CPU40は、サーバ13の動作を制御する。ROM41は、サーバ13を起動するためのブートプログラムや他のハードウェアを制御するファームウェア等を記憶する。RAM42は、CPU40に対して作業領域を提供する。HDD43は、複数のデバイス10との通信を制御し、各デバイス10の位置を推定する処理を実行するためのプログラムやOS、過去に推定した位置の位置情報等を記憶する。通信I/F34は、第1のゲートウェイ11、第2のゲートウェイ12と通信するためのインタフェースである。
【0035】
入力装置46は、システムの利用者からの情報の入力を受け付け、表示装置47は、各デバイス10の位置情報を表示する。入出力I/F45は、入力装置46からの入力および表示装置47への表示を制御する。サーバ13は、そのほか、音声入力装置、音声出力装置、撮像装置等を備えていてもよい。
【0036】
図6は、デバイス10の機能構成を示したブロック図である。デバイス10は、CPU20がメモリ21に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより、デバイス10を以下の機能部として機能させる。このため、デバイス10は、以下の機能部を備えていると考えることができる。なお、以下の機能部は、一部または全部が集積回路等のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0037】
デバイス10は、機能部として、通信部50、取得部51、記憶部52、制御部53を含む。通信部50は、第1のゲートウェイ11と第1の電波により通信し、第2のゲートウェイ12と第2の電波により通信する。その際、通信部50は、デバイス10の情報に含まれる通信情報に従って通信する。取得部51は、デバイス10の加速度等の移動に関係する情報を取得する。また、取得部51は、IMESの位置情報等も取得する。
【0038】
記憶部52は、デバイスID、通信情報、取得部51により取得された情報等をデバイス10の情報として記憶する。制御部53は、デバイス10の動作を制御し、通信部50に対して、デバイス10の情報をサーバ13へ送信するように指示する。
【0039】
図7は、第1のゲートウェイ11の機能構成を示したブロック図である。なお、第2のゲートウェイ12は、第1のゲートウェイ11と同様の機能構成とすることができるので、その機能構成についての説明は省略する。第1のゲートウェイ11は、CPU30がHDD33に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより、第1のゲートウェイ11を以下の機能部として機能させる。このため、第1のゲートウェイ11は、以下の機能部を備えていると考えることができる。なお、以下の機能部は、一部または全部が集積回路等のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0040】
第1のゲートウェイ11は、機能部として、通信部60、記憶部61、制御部62を含む。通信部60は、デバイス10と第1の電波または第2の電波により通信を行い、サーバ13とも通信を行う。記憶部61は、デバイス10との通信情報を記憶する。通信部60は、記憶部61に記憶された通信情報に従ってデバイス10と通信する。
【0041】
制御部62は、第1のゲートウェイ11の動作を制御し、通信部60に対して、デバイス10から受信した情報をサーバ13へ送信するように指示する。また、制御部62は、サーバ13からの指示を受けて、記憶部61に記憶された通信情報を変更し、通信部60を介してデバイス10に対して通信情報を変更するように指示する。
【0042】
図8は、サーバ13の機能構成を示したブロック図である。サーバ13も、第1のゲートウェイ11と同様、CPU40がHDD43に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより、サーバ13を以下の機能部として機能させる。このため、サーバ13も、以下の機能部を備えていると考えることができる。なお、以下の機能部は、一部または全部が集積回路等のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0043】
サーバ13は、機能部として、通信部70、記憶部71、判定部72、制御部73、位置推定部74を含む。通信部70は、取得部として機能し、各デバイス10から送信された情報を、第1のゲートウェイ11または第2のゲートウェイ12を介して受信し、取得する。
【0044】
記憶部71は、各デバイス10から取得した情報や位置推定処理により推定した位置の位置情報を、各デバイス10の情報として記憶する。判定部72は、各デバイス10の一定以上の移動の有無を判定する。制御部73は、サーバ13の動作、第1のゲートウェイ11、第2のゲートウェイ12、各デバイス10との通信を制御する。通信の制御には、判定部72による判定結果に応じて、一のデバイス(対象のデバイス)10と対象のデバイス10以外の他のデバイス10の少なくとも1つの位置を推定する位置推定間隔を変更することが含まれる。このため、制御部73は、通信部70を介して第1のゲートウェイ11と位置推定間隔を変更すべきデバイス10に対し、通信情報を変更するように指示する。
【0045】
位置推定部74は、制御部73により変更された位置推定間隔で、対象のデバイス10と他のデバイス10の少なくとも1つの各位置を推定する。また、位置推定部74は、対象のデバイス10と他のデバイス10の少なくとも1つ以外のデバイス10に対しては、設定された位置推定間隔で位置を推定する。位置推定部74は、各デバイス10につき推定した位置情報をディスプレイ等の表示装置に表示させ、記憶部71に記憶することができる。
【0046】
図6に示したデバイス10の記憶部52、図8に示したサーバ13の記憶部71に記憶される情報について、図9を参照して詳細に説明する。デバイス10の記憶部52には、図8(a)に示すように、取得部51により取得された移動に関係する情報として、例えば加速度やデバイス10の種別を示す種別情報等が記憶される。
【0047】
加速度は、デバイス10の一定以上の移動の有無、すなわちデバイス10に動きがあるかどうかを判定する処理に使用されるものである。種別情報も、デバイス10に動きがあるかどうかを判定する処理に使用されるものである。これらは、いずれも判定処理に使用されるもので、いずれか一方の情報があれば判定することができるので、記憶部52には、いずれか一方のみが記憶されていてもよい。なお、種別情報は、システムの利用者が任意に設定することができる。
【0048】
種別情報は、利用者が人の位置推定精度は高くしたいが、物の位置推定精度は低くてもよいと考える場合、「人」、「物」という2つの情報とすることができる。このような情報とすることで、特定の種別のデバイス10の位置を高い精度で推定することができる。
【0049】
サーバ13の記憶部71には、図8(b)に示すように、通信部70により各デバイス10から取得した上記の種別情報、位置推定部74により推定された各デバイス10の過去の位置情報が記憶される。種別情報や過去の位置情報は、各デバイス10に動きがあるかどうかを判定する処理に使用されるものである。
【0050】
記憶部71には、各デバイス10に動きがあるかどうかを確認させるための状態確認命令が記憶されていてもよい。サーバ13は、各デバイス10に対して、状態確認命令をそれぞれ送信し、確認させ、確認結果を受信し、受信した確認結果に基づき、各デバイス10に動きがあるかどうかを判定することも可能である。このため、サーバ13は、通信部70に対して状態確認命令を送信し、確認結果を受信するように指示する指示部を含むことができる。
【0051】
サーバ13の記憶部71に記憶される各デバイス10の情報の一例を、図10に示す。各デバイス10は、デバイス10の識別情報として、デバイスIDをもつ。識別情報は、MAC(Media Access Control)アドレスやデバイス名等であってもよい。記憶部61には、デバイスID、取得した種別情報、今回推定した位置情報、過去の位置情報として前回推定した位置情報が記憶される。位置情報は、位置推定結果の中心点で、建物の任意の位置を基点として、その基点からその中心点の方向や距離とされる。具体的には、位置情報は、基点に対して任意の一方向を縦方向とし、それに垂直な方向を横方向とした場合の、基点からの縦方向の距離、横方向の距離とすることができる。
【0052】
過去の位置情報は、新しく位置が推定されるたびに、推定された新しい位置の位置情報を今回の位置情報とし、それまで今回の位置情報として格納されていたものを前回の位置情報とし、それまで前回の位置情報として格納されていたものを消去することができる。なお、過去の数回分の位置情報については保持しておき、それらの平均を過去の位置情報としてもよい。
【0053】
判定部72は、記憶部71に記憶された各デバイス10の情報に基づき、各デバイス10に動きがない、あるいは動きが小さいかを判定し、制御部73は、動きがない、あるいは動きが小さいと判定されたデバイスのデータレートを下げることができる。そして、制御部73は、対象のデバイスのデータレートを上げることができる。このようにして、サーバ13は、対象のデバイスに対してデータレートを上げ、対象のデバイスからの情報の提供回数を増加させることで、失敗はないが動きに弱い電波である第1の電波でも、位置推定精度を向上させることができる。
【0054】
図11を参照して、サーバ13が実行する通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第1の例について説明する。第1の例は、図9に示すデバイスの情報のうちの今回および前回の位置情報を使用して通信を制御する実施例である。対象のデバイスに動きがあった場合、第1の電波による位置推定から第2の電波による位置推定に切り替え、位置推定精度を高める。しかしながら、第2の電波による位置推定が失敗した場合、再び、動きに対して位置推定精度が低い第1の電波による位置推定に切り替えられる。以降に説明する処理は、第1の電波による位置推定に切り替えられた後の処理とする。
【0055】
サーバ13は、ステップ1100から処理を開始し、ステップ1105で、制御部73が、対象のデバイス以外の他のデバイスの全てに対し、動きがあるかどうかの判定が完了したかを確認する。対象のデバイスは、システムの利用者が位置を推定する精度を高めたいとして指定したデバイスである。完了した場合は、ステップ1125へ進み、完了していない場合は、ステップ1110へ進む。
【0056】
ステップ1110では、制御部73が判定部72に対して指示し、判定部72が、判定が完了していないデバイスに対し、記憶部71に記憶された当該デバイスの情報に基づき、一定以上の動きがあるかどうかを判定する。ここでの判定には、当該デバイスの情報のうちの今回の位置推定結果と前回の位置推定結果が使用される。
【0057】
ステップ1115では、制御部73が判定部72から判定結果を受領し、判定結果が動きなしかどうかを確認する。動きがある場合、何もすることなく、ステップ1105へ戻り、再び完了したかを確認する。一方、動きがない場合、ステップ1120へ進み、制御部73は、動きがないと判定したデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報を変更してデータレートを下げ、第1の電波による通信を使用した位置推定間隔を広げる。これは、デバイスの数が多く、通信帯域が圧迫されているため、他のデバイスの通信量を減らさないと対象のデバイスのデータレートを上げることができないからである。位置推定間隔は、上記のSF、BW、CDR、Optimiseの設定値の組み合わせを変更することで変えることができる。このように他のデバイスの位置推定間隔を広げることで、通信量を減らし、通信帯域に空きを作ることができる。ステップ1120の処理が完了した後は、再びステップ1105へ戻る。
【0058】
以上のようにして、通信帯域に空きを作った後、ステップ1125において、制御部73が、対象のデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報のSF、BW、CDR、Optimiseの設定値の組み合わせを変更し、対象のデバイスのデータレートを上げる。制御部73は、通信部70を介して対象のデバイスと第1のゲートウェイ11に対して指示し、それらが保持する通信情報の各設定値を変更することができる。
【0059】
ステップ1130では、位置推定部74が、対象のデバイスの位置を推定する。データレートを上げた分、対象のデバイスからの情報提供回数が増加するため、位置推定精度を向上させることができる。対象のデバイスの位置を推定した後、ステップ1135へ進み、この処理を終了する。
【0060】
図12を参照して、図11のステップ1110における処理の詳細を説明する。ステップ1200から処理を開始し、ステップ1205で、判定部72は、一定以上の動きがあるかどうかを判定するために、閾値となる移動距離を設定する。この移動距離は、デフォルト値として与えられた距離を設定してもよいし、利用者に入力を促し、利用者が入力した値を設定してもよい。
【0061】
ステップ1210では、サーバ13が保持しているデバイスの情報のうちの対象のデバイスの過去の位置情報を参照する。この過去の位置情報は、前回推定した位置の位置情報である。そして、ステップ1215で、今回推定した位置の位置情報と、参照した過去の位置情報との差分を算出する。この差分が移動距離となる。
【0062】
ステップ1220では、算出した移動距離が閾値以下であるかを判定する。閾値以下である場合、動きがない、あるいは動きが小さいので、ステップ1225へ進み、「動きなし」という判定結果を記憶部71に記憶する。一方、閾値を超える場合、動きが大きいので、ステップ1230へ進み、「動きあり」という判定結果を記憶部71に記憶する。判定結果を記憶したところで、ステップ1235へ進み、この処理を終了する。
【0063】
この例では、単純に前回の位置情報との差分を基に判定しているが、これに限られるものではなく、他の判定基準、例えば「過去複数回の位置情報の差分が閾値以下であること」等を判定条件としてもよい。
【0064】
図13を参照して、サーバ13が実行する通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第2の例について説明する。第2の例は、図10に示すデバイス10の情報のうちの種別情報を使用して通信を制御する実施例である。
【0065】
サーバ13は、ステップ1300から処理を開始し、ステップ1305で、制御部73が、対象のデバイス以外の他のデバイスの全てに対し、動きがあるかどうかの判定が完了したかを確認する。完了した場合は、ステップ1325へ進み、完了していない場合は、ステップ1310へ進む。
【0066】
ステップ1310では、制御部73が判定部72に対して指示し、判定部72が、判定が完了していないデバイスに対し、記憶部71に記憶された当該デバイスの情報のうちの種別情報を参照する。種別情報は、例えば「人」、「物」という情報である。「人」は、動きがあり、「物」は、動きがないものとして分類できる情報である。
【0067】
ステップ1315では、判定部72が、当該デバイスの種別が物であるかどうかを判定する。物でない場合、何もすることなく、ステップ1305へ戻り、再び完了したかを確認する。一方、物である場合、ステップ1320へ進み、制御部73は、当該デバイスと第1の電波で通信する第1のゲートウェイ11の通信情報を変更してデータレートを下げ、位置推定間隔を広げる。これも、通信帯域に空きを作るためである。ステップ1320の処理が完了した後は、再びステップ1305へ戻る。
【0068】
この例では、種別を「人」と「物」の2つのみとしたが、これに限られるものではなく、利用者が任意に指定することができる。これにより、利用者が高い精度で位置を推定したいデバイスを自由に決めることができる。
【0069】
以上のようにして、通信帯域に空きを作った後、ステップ1325において、制御部73が、対象のデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報のSF、BW、CDR、Optimiseの設定値の組み合わせを変更し、対象のデバイスのデータレートを上げる。ステップ1330では、位置推定部74が、対象のデバイスの位置を推定する。この場合も、データレートを上げた分、対象のデバイスからの情報提供回数が増加するため、位置推定精度を向上させることができる。対象のデバイスの位置を推定した後、ステップ1335へ進み、この処理を終了する。
【0070】
第1の例では移動距離、第2の例では種別に基づき、動きがあるかどうかを判定し、動きがない場合、デバイスや第1のゲートウェイ11の通信情報を変更してデータレートを下げる処理を行っているが、これに限られるものではなく、移動距離と種別の両方に基づき判定してもよい。具体的には、移動距離が閾値以下、または物である場合、動きなしと判定することができる。人であっても静止している場合は位置推定精度が大きく低下することはなく、物であっても、その物が運搬される等して移動する場合は位置推定精度をそれ以上下げることは好ましくないからである。
【0071】
また、デバイスが備える加速度センサにより計測した加速度を時間で積分し、移動速度を算出し、その移動速度に基づき判定してもよい。具体的には、移動速度が閾値以下であるかどうかを判定することができる。閾値以下であれば、動きがない、あるいは動きが小さいと推定され、閾値を超えれば、動きが大きいと推定されるからである。
【0072】
第1の例および第2の例では、サーバ13がデバイスから取得した情報に基づき処理を実行したが、その処理の一部をデバイスに実行させてもよい。図14を参照して、サーバ13が実行する通信を制御し、対象のデバイスの位置を推定する処理の第3の例について説明する。第3の例は、上記の移動速度を使用して通信を制御し、処理の一部をデバイスに実行させる実施例である。
【0073】
サーバ13は、ステップ1400から処理を開始し、ステップ1405で、制御部73が、記憶部71に記憶された状態確認命令を取り出し、通信部70に対して状態確認命令を送信し、対象のデバイス以外の他のデバイスに対して状態確認指示を出す。
【0074】
ステップ1410で、対象のデバイス以外の他のデバイスは、サーバ13からの状態確認指示を受信する。この指示の受信は、図6に示すデバイス10が備える通信部50により行われる。そして、ステップ1415で、デバイスは、取得部51により、例えば加速度を取得し、制御部53により加速度を時間で積分し、移動速度を算出する。なお、加速度は、加速度センサが計測した値であり、加速度センサは、常に一定の時間間隔で加速度を計測している。
【0075】
ステップ1420では、制御部53が、算出した移動速度に基づき、デバイスに動きがあるかどうかを判定する。この場合、自身で計測した値を用いて判定を行うため、デバイスに動きがあるかどうかを正確に判定することができる。
【0076】
ステップ1425で、制御部53は、判定結果が動きなしであるかを確認し、通信部50に対して指示し、動きなしである場合、ステップ1430で、通信部50が、サーバ13へ「動きなし」という判定結果を送信する。一方、動きありの場合、ステップ1435で、通信部50が、サーバ13へ「動きあり」という判定結果を、第1のゲートウェイ11を介して送信する。
【0077】
サーバ13では、通信部70が、ステップ1440においてデバイスから判定結果を受信し、取得する。ステップ1445では、制御部73が、対象のデバイス以外の他のデバイスの全てに対し、動きがあるかどうかの判定が完了したかを確認する。完了した場合は、ステップ1460へ進み、完了していない場合は、ステップ1450へ進む。
【0078】
ステップ1450では、制御部73が通信部70から判定結果を受領し、判定結果が動きなしかどうかを確認する。動きがある場合、何もすることなく、ステップ1445へ戻り、再び完了したかを確認する。一方、動きがない場合、ステップ1455へ進み、制御部73は、デバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報を変更してデータレートを下げ、位置推定間隔を広げる。このようにして通信帯域に空きを作った後、再びステップ1445へ戻る。
【0079】
ステップ1460では、制御部73が、対象のデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報のSF、BW、CDR、Optimiseの設定値の組み合わせを変更し、対象のデバイスのデータレートを上げる。ステップ1465では、位置推定部74が、対象のデバイスの位置を推定する。この場合も、データレートを上げた分、対象のデバイスからの情報提供回数が増加するため、位置推定精度を高めることができる。対象のデバイスの位置を推定した後、ステップ1470へ進み、この処理を終了する。
【0080】
第3の例では、デバイスにおいて判定を行い、サーバ13は判定結果を取得したが、デバイスは、取得した加速度や、その加速度から算出した移動速度を返し、サーバ13がその加速度や移動速度から動きがあるかどうかを判定してもよい。移動速度を返す例を第4の例として、図15を参照して詳細に説明する。
【0081】
サーバ13は、ステップ1500から処理を開始し、ステップ1505で、制御部73が、記憶部71に記憶された状態確認命令を取り出し、通信部70に対して状態確認命令を送信し、対象のデバイス以外の他のデバイスに対して状態確認指示を出す。
【0082】
ステップ1510で、対象のデバイス以外の他のデバイスは、サーバ13からの状態確認指示を受信する。そして、ステップ1515で、当該他のデバイスは、加速度センサから取得部51が加速度を取得し、制御部53により加速度を時間で積分し、移動速度を算出する。ステップ1520で、当該他のデバイスの通信部50は、制御部53からの指示を受けて、制御部53により算出された移動速度を計測結果としてサーバ13へ送信する。
【0083】
ステップ1525で、サーバ13の通信部70は、当該他のデバイスから送信された計測結果を受信し、取得する。そして、ステップ1530で、制御部73が、対象のデバイス以外の他のデバイスの全てに対し、動きがあるかどうかの判定が完了したかを確認する。完了した場合は、ステップ1550へ進み、完了していない場合は、ステップ1535へ進む。
【0084】
ステップ1535では、判定部72が通信部70から計測結果を受領し、計測結果に基づき、一定以上の動きがあるかどうかを判定する。ステップ1540では、制御部73が、判定部72から判定結果を受領し、判定結果が動きなしであるかを確認する。動きがある場合、何もすることなく、ステップ1530へ戻り、再び完了したかを確認する。一方、動きがない場合、ステップ1545へ進み、制御部73は、当該他のデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報を変更してデータレートを下げ、位置推定間隔を広げる。このようにして、通信帯域に空きを作った後、ステップ1530へ戻る。
【0085】
ステップ1550では、制御部73が、対象のデバイスと第1のゲートウェイ11の通信情報のSF、BW、CDR、Optimiseの設定値の組み合わせを変更し、対象のデバイスのデータレートを上げる。ステップ1555では、位置推定部74が、対象のデバイスの位置を推定する。この場合も、データレートを上げた分、対象のデバイスからの情報提供回数が増加するため、位置推定精度を高めることができる。対象のデバイスの位置を推定した後、ステップ1560へ進み、この処理を終了する。
【0086】
このようにして、サーバ13で判定を行うことで、デバイスの処理数を減らすことができる。
【0087】
図14のステップ1420および図15のステップ1535における移動速度を用いた動き判定について、図16を参照して詳細に説明する。
【0088】
判定部72が、ステップ1600から処理を開始し、ステップ1605で、閾値となる移動速度を設定する。図12に示す第1の例と同様に、移動速度は、デフォルト値として与えられた速度を設定してもよいし、利用者に入力を促し、利用者が入力した値を設定してもよい。
【0089】
ステップ1610で、算出された移動速度が、閾値以下であるかを判定する。閾値以下である場合、動きがない、あるいは動きが小さいので、ステップ1615へ進み、「動きなし」という判定結果を記憶部71に記憶する。一方、閾値を超える場合、動きが大きいので、ステップ1620へ進み、「動きあり」という判定結果を記憶部71に記憶する。判定結果を記憶したところで、ステップ1625へ進み、この処理を終了する。
【0090】
以上のように、第2の電波による位置推定に失敗し、第1の電波による位置推定に切り替えられた後であっても、対象のデバイス以外の他のデバイスの第1の電波による位置推定間隔を広げ、対象のデバイスのデータレートを上げることで、対象のデバイスからの情報提供回数を増加させて、対象のデバイスの位置推定精度の低下を抑制することができる。
【0091】
また、位置推定間隔を広げるデバイスの判定に種別情報を用いることで、利用者が重要視するデバイスと重要視しないデバイスを自由に選択でき、その判定をデバイスに実行させることで、正確にデバイスの動きを判定することができる。動きの判定までデバイスに実行させると、デバイスに負荷がかかり、多くの電力を消費することになるが、デバイスに加速度の計測、移動速度の算出のみを実行させ、サーバで動きを判定することで、デバイスの負荷を軽減し、電力消費を抑制することができる。
【0092】
これまで本発明を、通信制御装置、通信制御方法、通信システムおよびプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきた。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができるものである。また、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、そのプログラムが記録された記録媒体、そのプログラムを提供するプログラム提供サーバ等も提供することができるものである。
【符号の説明】
【0093】
10、10a、10b…デバイス
11…第1のゲートウェイ
12…第2のゲートウェイ
13…サーバ
20…CPU
21…メモリ
22…センサ
23…アンテナ
30…CPU
31…ROM
32…RAM
33…HDD
34…通信I/F
35…アンテナ
40…CPU
41…ROM
42…RAM
43…HDD
44…通信I/F
45…入出力I/F
46…入力装置
47…表示装置
50…通信部
51…取得部
52…記憶部
53…制御部
60…通信部
61…記憶部
62…制御部
70…通信部
71…記憶部
72…判定部
73…制御部
74…位置推定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【文献】特開2015-28442号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16