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特許6996509液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20220107BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018537222
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2017030518
(87)【国際公開番号】W WO2018043325
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2016168461
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】特許業務法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】鉄谷 尚士
(72)【発明者】
【氏名】相馬 早紀
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚宏
【審査官】本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166844(JP,A)
【文献】特開2016-095488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のいずれかの式で表されるジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応で得られるポリアミック酸、及び該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
【化1】
式中のBocはtert-ブトキシカルボニル基を表す
【請求項2】
前記ジアミン成分中の前記のいずれかの式で表されるジアミンの含有量が、5~95mol%である請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記テトラカルボン酸二無水物成分が、下記式[7]で表される化合物である請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【化2】
(式中、Zは炭素数4~13の4価の有機基であり、かつ芳香族環状炭化水素基を有する。)
【請求項4】
が、下記式[7a]~[7k]のいずれかで表される構造のいずれかである請求項
に記載の液晶配向剤。
【化3】
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
【請求項6】
請求項に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、それを用いた液晶配向膜、及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶配向膜は、表示デバイスとして広く使用されている液晶表示素子の構成部材であり、液晶を一定の方向に配向させる役割を担っている。現在、工業的に使用されている主な液晶配向膜は、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸(ポリアミド酸とも言う。)又はポリイミドの溶液からなる液晶配向剤から形成される。具体的には、基板に液晶配向剤を塗布して加熱・焼成した後、液晶配向処理を行うことにより得られる。
【0003】
従来、液晶配向処理としては、主にラビングによる表面処理が行なわれているが、ラビング処理では、通常、高度に均等な配向処理が困難であり、液晶の配向不良や、液晶配向膜の欠損が起こり、それによる表示欠陥が生じたり、埃を発生する等の問題を有する場合がある。近年、パネルに用いる基板の大型化、高精細化、低コスト化等により、基板の面積の拡大、凹凸が大きくなる等の傾向があり、このような基板上に配向膜を形成させる際、ラビング処理は、更に、改善の余地を残している。
【0004】
一方、ラビング法に変わる配向処理の方法として、光反応を利用した配向処理が提案されている。具体的には、基板表面にポリビニルシンナメートなどの光反応を起こす特定部位を持った重合体の膜を形成し、偏光又は非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する方法(光配向法)が知られている。この方法によれば、静電気や埃を発生することなく、均一な液晶配向を実現でき、配向分割による視野角向上なども可能である(特許文献1、2参照)。
【0005】
また、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)などの液晶セルでは、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度(プレチルト角)で傾斜配向させる機能を有する必要がある。プレチルト角を発現させるために、アルキル側鎖、ステロイド骨格の側鎖、環構造を有する側鎖等を有するポリアミック酸やポリイミドなどを用いた液晶配向膜が知られている(特許文献3、4、5)。光を用いた配向処理では、プレチルト角は、通常、基板面への入射方向が基板法線方向に対して傾斜した放射線の照射により付与される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本特開平6-287453号公報
【文献】日本特開平9-297313号公報
【文献】日本特開平05-043687号公報
【文献】日本特開平04-281427号公報
【文献】日本開平02-223916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来、主な液晶配向膜は、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸又はポリイミドの溶液からなる液晶配向剤により形成されるが、かかる液晶配向剤には、近年、パネルに用いる基板の大型化、高精細化、低コスト化等により、種々の課題があり、改善の余地がある。このような課題の1つを解決するために、下記の式(DA-3)で表されるジアミンを原料とし、これをテトラカルボン酸二無水物成分と反応させて得られるポリアミック酸、及び/又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドを含む液晶配向剤が提案されている。
【0008】
【化1】
かかる液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備した液晶表示素子は、電気特性(蓄積電荷の抜けなど)の点で優れた特性を有する。一方、かかる液晶配向剤を使用した場合、得られる液晶配向膜が、黒褐色に着色しかつ透明性が失われ、結果として、液晶配向膜を有する液晶配向素子に悪影響を与える場合があることが判明した。
【0009】
本発明は、液晶配向剤に含まれる重合体であるポリアミック酸の原料として、上記のジアミン化合物の使用による優れた特性は保持しながら、一方で、得られる液晶配向膜は、黒褐色に着色しかつ透明性が失われるなどの液晶配向素子に悪影響を与えることない液晶配向剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
本発明は下記式[1]で表される構造を有するジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応で得られるポリアミック酸、及び該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤を要旨とする。
【化2】
(式中、Aは、温度150~300℃の加熱により水素原子に置き換わる熱脱離性基を表す。ベンゼン環の有する水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又はハロゲン基により、置換されていてもよい。*は結合手を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の液晶配向剤は、式[1]で表されるジアミン(以下、特定ジアミンともいう。)を原料とするポリアミック酸、及び/又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドを含有する点に特徴があるが、かかる重合体は、N-メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒における溶解性が非常に高く、重合時のハンドリングが良好であり、かかる重合体を含有する液晶配向剤は塗布・成膜性に優れ、さらに、光の照射に曝されても電圧保持率の低下が抑制された液晶配向膜が得られる。
加えて、本発明の液晶配向剤は、特定アミンと類似構造を有する後記するジアミン化合物(DA-3)を原料にするポリアミック酸やそのポリイミドを含む液晶配向剤に比べて、得られる液晶配向膜が、黒褐色に着色せずかつ透明性を有するので液晶表示素子に悪影響を与えることない液晶配向膜を形成することができる。
【0012】
本発明の液晶配向剤が何故に上記のごとき優れた効果が得られるかについては、ほぼ以下のように推定される。すなわち、特定ジアミンと同じジフェニルアミン骨格の類似構造を有する上記式(DA-3)のジアミンは、その構造中に、1級アミノ基に比べてより反応性に富む2級アミノ基が存在し、該2級アミノ基は、ポリアミック酸を得るためのテトラカルボン酸二無水物成分との反応過程などで反応してしまい、望ましくない三次元的な反応が起こす。その結果、得られる反応物は着色現象を起こすとともに、液晶配向剤としての特性が低下するものと思われる。
【0013】
一方、本発明の特定ジアミンは、その構造中に、上記した式(DA-3)と同じく反応性に富む2級アミノ基を有するが、該2級アミノ基は、熱脱離性基で保護されているため、ポリアミック酸を得るためのテトラカルボン酸二無水物成分との反応過程では、望ましくない三次元的な反応を起こさず、結果として、着色現象を起こさず、液晶配向剤としての特性が低下しないものと思われる。
更に、本発明の液晶配向剤では、含有される重合体であるポリアミック酸やポリイミドが、熱脱離性基で保護されたアミノ基を有することになるが、この熱脱離性基で保護されたアミノ基は、後述するように、液晶配向剤を基板に塗布し、焼成して液晶配向膜を形成する過程における、焼成過程における加熱により、熱脱離性基が脱保護されアミノ基に変化させることができる。
【0014】
上記脱保護されアミノ基は、再度、反応性を取戻し、脱離により生じたアミノ基が分子内で反応することにより複素環などを形成させ、リジッドな側鎖を生成させ、この側鎖構造がプレチルト角の良好な誘発部位として機能することになる。また、熱脱離性基が外れたアミノ基は、その全てが上記環化反応に用いられるわけではなく、一部は分子間反応にも用いられ、膜強度の向上や、重合体中の低分子成分と架橋することにより信頼性の向上に寄与する。
かくして、本発明の特定ジアミンを用いたポリアミック酸やポリイミドは、ラビング処理時の削れ現象が起こり難くなり、長期間の高温、バックライト照射などに曝されても、電圧保持率の低下やイオン密度の増加が起こしにくいものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の特定ジアミン>
本発明の液晶配向剤の原料として使用されるジアミンは、下記の式[1]で表される構造を有するジアミンである。
【化3】
上記式[1]中、Aは、本発明の液晶配向剤の焼成温度である、150~300℃の加熱により水素に置き換わる熱脱離性基である。この熱脱離性基は、好ましくは170~300℃、特に好ましくは180~250℃で脱離が可能であれば好適である。*は結合手を表す。
【0016】
熱脱離性基としては、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、第三級ブトキシカルボニル基(Boc基ともいう。)などに代表されるカルバメート系の有機基が挙げられる。脱離の効率が良く、比較的低い温度でかつ脱離の際に無害な気体である点から、Boc基又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0017】
式[1]におけるベンゼン環の有する水素原子は、炭素数が1~5、好ましくは1~3のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は、塩素、臭素、フッ素などのハロゲン基により、任意に置換されていてもよい。
特定ジアミンが有するアミノ基は、第一級アミノ基が好ましい。また、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの比較的分子量の小さなアルキル基が置換された第二級アミノ基であってもよい。
特定ジアミンの好ましい具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、式中のBocはtert-ブトキシカルボニル基を表す。
【化4】
【0018】
<テトラカルボン酸二無水物成分>
本発明のポリイミド前駆体を得るためには、下記式[7]で表されるテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物ともいう)をテトラカルボン酸二無水物成分の一部として用いることが好ましい。
【0019】
【化5】
式[7]中、Zは、炭素数4~13の4価の有機基であり、かつ、芳香族環状炭化水素基を有する。具体的には、下記式[7a]~[7k]のいずれかで表される基が好ましい。
【0020】
【化6】
【0021】
式[7]中、Zの好ましい基は、重合反応性や合成の容易性から、式[7a]又は式[7g]で示される基である。なかでも、式[7a]が最も好ましい。
式[7a]の構造のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、これを、テトラカルボン酸二無水物成分全体のうちの20質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは、30質量%以上である。ポリイミド前駆体の製造に用いるテトラカルボン酸成分の全てを式[7a]の構造のテトラカルボン酸二無水物とすることも可能である。
【0022】
本発明では、特定テトラカルボン酸二無水物以外の脂肪族テトラカルボン酸二無水物やその他のテトラカルボン酸成分を用いることができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジフェニル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1-シクロへキシルコハク酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン-2,4,6,8-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,3,0]ノナン-2,4,7,9-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,4,0]デカン-2,4,7,9-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,4,0]デカン-2,4,8,10-テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.3.0.0<2,6>]ウンデカン-3,5,9,11-テトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドリナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロへキサン-1,2-ジカルボン酸二無水物、テトラシクロ[6,2,1,1,0,2,7]ドデカ-4,5,9,10-テトラカルボン酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2:3,5:6ジカルボン酸二無水物、などを挙げることができる。
その他のテトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸のカルボン酸基をジアルキルエステル化したエステル化物、テトラカルボン酸ジハライドのカルボン酸基をジアルキルエステル化したエステル化物等が挙げられる。
【0023】
上記のその他のテトラカルボン酸成分は、形成される液晶配向膜の液晶配向性、電圧保持特性及び蓄積電荷などの特性を考慮して、1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
<本発明の重合体>
本発明における重合体とは、ポリアミック酸、及び/又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドを意味する。
【0025】
<ポリアミック酸>
本発明のポリアミック酸は、特定ジアミンを含有するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分との反応によって得られる。
上記テトラカルボン酸二無水物成分との反応によりポリアミック酸を得るためのジアミン成分において、特定ジアミンの含有割合に制限はない。ジアミン成分における特定ジアミンの含有量は、100%であってもよい。しかし、液晶配向膜に要求される種々の特性、例えば、液晶のプレチルト角を大きくする特性、液晶の垂直配向性を高める、などの特性を満足させるということから、種々のジアミンが併用することができる。従って、重合に用いられるジアミン成分における特定ジアミンの含有割合は、1~50mol%が好ましく、特に好ましくは5~30mol%が好ましい。
【0026】
上記ジアミン成分において、特定ジアミンが100mol%未満の場合に併用される、特定ジアミン以外のジアミン(以下、その他のジアミンともいう。)としては、脂環式ジアミン、芳香族-脂肪族ジアミン、複素環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0027】
脂環式ジアミンの例としては、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類の例としては、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、3,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノ-2-メトキシベンゼン、2,5-ジアミノ-p-キシレン、1,3-ジアミノ-4-クロロベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビベンジル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5-ビス(4-アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2-ビス[(4-アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2,4-ジアミノジフェニルアミン、1,8-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,3-ジアミノピレン、1,6-ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7-ジアミノフルオレン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェニル)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェニル)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェニル)デカン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェノキシ)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェノキシ)デカン、ジ(4-アミノフェニル)プロパン-1,3-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ブタン-1,4-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ペンタン-1,5-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘキサン-1,6-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘプタン-1,7-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)オクタン-1,8-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ノナン-1,9-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)デカン-1,10-ジオエート、1,3-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカンなどが挙げられる。
【0028】
芳香族-脂肪族ジアミンの例としては、3-アミノベンジルアミン、4-アミノベンジルアミン、3-アミノ-N-メチルベンジルアミン、4-アミノ-N-メチルベンジルアミン、3-アミノフェネチルアミン、4-アミノフェネチルアミン、3-アミノ-N-メチルフェネチルアミン、4-アミノ-N-メチルフェネチルアミン、3-(3-アミノプロピル)アニリン、4-(3-アミノプロピル)アニリン、3-(3-メチルアミノプロピル)アニリン、4-(3-メチルアミノプロピル)アニリン、3-(4-アミノブチル)アニリン、4-(4-アミノブチル)アニリン、3-(4-メチルアミノブチル)アニリン、4-(4-メチルアミノブチル)アニリン、3-(5-アミノペンチル)アニリン、4-(5-アミノペンチル)アニリン、3-(5-メチルアミノペンチル)アニリン、4-(5-メチルアミノペンチル)アニリン、2-(6-アミノナフチル)メチルアミン、3-(6-アミノナフチル)メチルアミン、2-(6-アミノナフチル)エチルアミン、3-(6-アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
【0029】
複素環式ジアミンの例としては、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、2,7-ジアミノジベンゾフラン、3,6-ジアミノカルバゾール、2,4-ジアミノ-6-イソプロピル-1,3,5-トリアジン、2,5-ビス(4-アミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としては、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルプロパン、1,6-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2,5-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-4,4-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-3-メチルヘプタン、1,9-ジアミノ-5-メチルヘプタン、1,12-ジアミノドデカン、1,18-ジアミノオクタデカン、1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
【0030】
側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、又はそれらからなる大環状置換体を有するジアミン化合物を併用してもよい。具体的には、下記の式[DA1]~[DA26]で示されるジアミンを例示される。
【化7】
(Rは、炭素数1~22を有する、アルキル基又はフッ素含有アルキル基である。)
【0031】
【化8】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CH-、-O-、-CO-、又は-NH-を示し、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基若しくはフッ素含有アルキル基を示す。)
【0032】
【化9】
(Sは、-O-、-OCH-、-CHO-、-COOCH-、又は-CHOCO-を示し、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0033】
【化10】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-COOCH-、-CHOCO-、-CHO-、-OCH-、又は-CH-を示し、Rは炭素数1~22を有する、アルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基若しくはフッ素含有アルコキシ基である。)
【0034】
【化11】
(Sは、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-COOCH-、-CHOCO-、-CHO-、-OCH-、-CH-、-O-、又は-NH-を示し、Rはフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基である。)
【0035】
【化12】
【化13】
(R10は炭素数3~12のアルキル基であり、1,4-シクロへキシレンのシス-トランス異性は、それぞれトランス体である。)
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【化16】
【0038】
光により配向処理する場合においては、特定ジアミンと上記[DA-1]~[DA-26]のジアミンを併用させることで、さらに安定したプレチルト角を得ることができるため好ましい。併用できるより好ましいジアミンとしては、式[DA-10]~[DA-26]が好ましく、より好ましくは[DA-10]~[DA-16]のジアミンである。これらのジアミンの好ましい含有量は、特に限定はされないが、ジアミン成分中の5~50mol%が好ましく、印刷性の点では5~30mol%が好ましい。
また、以下のジアミンを併用させてもよい。
【0039】
【化17】
(mは0~3の整数であり、式[DA-34]中、nは1~5の整数である)。
式[DA-27]、式[DA-28]等のジアミンを含有させることにより、液晶配向膜とした際の電圧保持特性を向上させることができ、式[DA-29]~[DA-34]のジアミンは蓄積電化の低減に効果がある。
【0040】
さらに、下記の式[DA-35]で示されるようなジアミノシロキサンなども、その他のジアミンとして挙げることができる。
【化18】
(mは、1~10の整数である。)
その他のジアミンは、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種、又は2種以上を混合して使用することもできる。
【0041】
<ポリアミック酸の製造>
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミック酸を得る方法は、既知の手法を用いることができる。一般的にはテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法である。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミンとの反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
【0042】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミンとの反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で上記溶媒に混合して使用してもよい。
【0043】
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、更には生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いても良い。また、テトラカルボン酸二無水物成分又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させても良く、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としても良い。
【0044】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させる温度は-20~150℃のうちの任意の温度を選択することができるが、好ましくは-5~100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加することができる。
ポリアミック酸の重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物成分の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比は、0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1がより好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。
【0045】
<ポリイミドの製造>
本発明のポリイミドは、前記のポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドであり、液晶配向膜を得るための重合体として有用である。
本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化法、及びポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化法が挙げられる。
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100~400℃、好ましくは120~250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行うのが好ましい。
【0046】
ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、-20~250℃、好ましくは0~180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1~50モル倍、好ましくは3~30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適した塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間等を調節することにより制御することができる。
【0047】
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の分子量は、得られる塗膜の強度、塗膜形成時の作業性、及び塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000~1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000~150,000である。
【0048】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するための塗布液であり、樹脂被膜を形成するための樹脂成分が有機溶媒に溶解した溶液である。ここで、前記の樹脂成分は、上記した本発明の重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体を含む。樹脂成分の液晶配向剤中の含有量は、1~20質量%が好ましく、より好ましくは3~15質量%、特に好ましくは3~10質量%である。
樹脂成分は、全てが本発明の重合体であってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていてもよい。その際、樹脂成分中における前記他の重合体の含有量は0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%である。
かかる他の重合体は、例えば、テトラカルボン酸ニ無水物成分と反応させるジアミン成分として、特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物を使用して得られるポリアミック酸又はポリイミドなどが挙げられる。
【0049】
本発明の液晶配向剤に用いる有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
【0050】
本発明の液晶配向剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒多物質など、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては、次のものが挙げられる。
【0051】
例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1-ヘキサノール、n-へキサン、n-ペンタン、n-オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-ブトキシ-1-プロパノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート、プロピレングリコール-1-モノエチルエーテル-2-アセテート、ジプロピレングリコール、2-(2-エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
これらの貧溶媒は1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記溶媒を用いる場合は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5~80質量%であることが好ましく、より好ましくは20~60質量%である。
【0052】
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R-30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部である。
【0053】
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物、エポキシ基含有化合物などが挙げられる。
例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセテート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0054】
更に、基板と膜の密着性向上に加え、バックライトによる電気特性低下などを防ぐ目的で、以下のようなフェノプラスト系の添加剤を含有させることが好ましい。具体的なフェノプラスト系添加剤を以下に示す。
【化19】
【0055】
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、樹脂成分の100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率、導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体、導電物質、さらには、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物等を添加してもよい。
【0056】
<液晶配向膜及び液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤は、基板上に塗布し、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をし、又は垂直配向用途などでは配向処理無しで液晶配向膜として用いることができる。この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法で行うが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0057】
液晶配向剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレートなどの加熱手段により50~300℃、好ましくは80~250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5~300nm、より好ましくは10~100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理する。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
【0058】
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるように、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止する方法などが例示できる。スペーサーの厚みは、好ましくは1~30μm、より好ましくは2~10μmである。
【実施例
【0059】
以下に本発明について、更に具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明の解釈はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例等で使用した略号、及び特性評価の方法は、以下のとおりである。
【0060】
【化20】
【0061】
<有機溶媒>
NMP:N-メチル-2-ピロリドン BCS:ブチルセロソルブ
<添加剤>
LS-4668:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
【0062】
<粘度測定>
溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、及びコーンロータTE-1(1°34’、R24)で温度25℃にて測定した。
【0063】
<液晶表示素子の作製>
始めに電極付きの基板を準備した。基板は、縦30mm×横35mmの長方形状で、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたIZO電極が形成されている。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてIZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素および第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mmで横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されている。
【0064】
第3層目の画素電極は、中央部分が屈曲した「くの字」形状の電極要素を複数配列して構成された櫛歯状の形状を有する。各電極要素の短手方向の幅は3μmであり、電極要素間の間隔は6μmである。各画素を形成する画素電極が、中央部分の屈曲した「くの字」形状の電極要素を複数配列して構成されているため、各画素の形状は長方形状ではなく、電極要素と同様に中央部分で屈曲する、太字の「くの字」に似た形状を備える。そして、各画素は、その中央の屈曲部分を境にして上下に分割され、屈曲部分の上側の第1領域と下側の第2領域を有する。
【0065】
各画素の第1領域と第2領域とを比較すると、それらを構成する画素電極の電極要素の形成方向が異なるものとなっている。すなわち、後述する液晶配向膜のラビング方向を基準とした場合、画素の第1領域では画素電極の電極要素が+10°の角度(時計回り)をなすように形成され、画素の第2領域では画素電極の電極要素が-10°の角度(時計回り)をなすように形成されている。これにより、各画素の第1領域と第2領域とでは、画素電極と対向電極との間の電圧印加によって誘起される液晶の、基板面内での回転動作(インプレーン・スイッチング)の方向が互いに逆方向となるように構成されている。
【0066】
次に、液晶配向剤を孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板と対向基板として裏面にITO膜が成膜されており、かつ高さ4μmの柱状のスペーサーを有するガラス基板のそれぞれにスピンコートした。次いで、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成することにより、各基板上に膜厚60nmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜上を、所定のラビング方向で、レーヨン布によりラビング(ロール径120mm、回転数500rpm、移動速度30mm/sec、押し込み量0.3mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥し液晶配向膜とした。
【0067】
得られた液晶配向膜付きの2種類の基板を用いて、それぞれのラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが3.5μmの空セルを作製した。この空セルに液晶(MLC-3019、メルク社製)を常温で真空注入したのち、注入口を封止してアンチパラレル配向の液晶セルとした。得られた液晶セルは、FFSモード液晶表示素子を構成する。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置してから各評価に使用した。
【0068】
<液晶配向性の評価>
上記で得られた液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数30Hzで10VPPの交流電圧を168時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間を短絡させた状態にし、そのまま室温に一日放置した。放置の後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δを算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ値の平均値を液晶セルの角度Δとして算出した。
液晶セルの角度Δが小さいほど、液晶配向膜の液晶配向性が高いことを意味する。
【0069】
<ガードナー色数>
得られた液晶配向剤を室温で24時間放置後、ガードナー色数を測定した。色調を表すガードナー色数は日本工業規格JIS K 0071-2に基づき測定を行った。ガードナー色数が小さいほど、得られた液晶配向剤の色が薄いことを意味する。
【0070】
(合成例1)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を0.773g(2.58mmol)、及びDA-4を2.54g(10.4mmol)を量りとり、NMPを46.5g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-1、粘度:510.7mPa・s)を得た。
【0071】
(合成例2)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を1.55g(5.18mmol)、及びDA-4を1.90g(7.78mmol)量りとり、NMPを54.6g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-2、粘度:505.4mPa・s)を得た。
【0072】
(合成例3)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を0.773g(2.58mmol)、DA-4を2.22g(9.09mmol)、及びDA-6を0.724g(1.30mmol)量りとり、NMPを46.5g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-3、粘度:505.4mPa・s)を得た。
【0073】
(合成例4)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を0.773g(2.58mmol)、及びDA-5を2.98g(10.4mmol)を量りとり、NMPを47.4g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-4、粘度:525.3mPa・s)を得た。
【0074】
(合成例5)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を1.56g(5.21mmol)、及びDA-5を2.23g(7.79mmol)を量りとり、NMPを47.7g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-5、粘度:510.4mPa・s)を得た。
【0075】
(合成例6)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を0.778g(2.60mmol)、DA-5を2.60g(9.08mmol)、及びDA-6を0.724g(1.30mmol)量りとり、NMPを50.0g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-6、粘度:498.1mPa・s)を得た。
【0076】
(比較合成例1)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-3を2.79g(14.0mmol)を量りとり、NMPを47.1g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-1を2.44g(12.4mmol)添加し、15℃で2時間攪拌した後、ポリアミック酸溶液(PAA-7、粘度:121.1mPa・s)を得た。
【0077】
(比較合成例2)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-3を0.518g(2.60mmol)、及びDA-4を2.51g(10.3mmol)量りとり、NMPを42.3g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-8、粘度:531.5mPa・s)を得た。
【0078】
(比較合成例3)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-3を1.04g(5.21mmol)、及びDA-4を1.91g(7.82mmol)量りとり、NMPを41.4g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-9、粘度:542.2mPa・s)を得た。
【0079】
(比較合成例4)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-3を0.51g(2.56mmol)、及びDA-5を2.97g(10.4mmol)量りとり、NMPを47.2g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-10、粘度:547.1mPa・s)を得た。
【0080】
(比較合成例5)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-3を0.51g(2.56mmol)、及びDA-5を2.97g(10.4mmol)量りとり、NMPを47.2g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-2を2.71g(12.4mmol)添加し、2時間室温で攪拌した後、50℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-11、粘度:547.1mPa・s)を得た。
【0081】
(比較合成例6)
撹拌装置付きの50mL(リットル)の四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-1を3.29g(11.0mmol)を量りとり、NMPを46.1g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、CA-1を1.91g(9.7mmol)添加し、15℃で2時間攪拌した後、ポリアミック酸溶液(PAA-12、粘度:121.1mPa・s)を得た。
【0082】
(比較合成例7)
撹拌装置付きの50mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA-2を2.77g(13.0mmol)を量りとり、NMPを46.1g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、酸二無水物(CA-1)を2.34g(11.9mmol)添加し、15℃で2時間攪拌した後、ポリアミック酸溶液(PAA-13粘度:110.4mPa・s)を得た。
【0083】
<実施例1~6及び比較例1~7>
上記した合成例1~6及び比較合成例1~7において得られた10~12%のポリアミック酸溶液PAA-1~PAA13をの各々を24.0g分取し、それぞれに対して、NMPを5.6g、BCSを8.00g、及びLS-4668を1重量%含む混合溶液を2.4g攪拌しながら加え、次いで室温で2時間撹拌することにより、それぞれ、液晶配配向剤(AL-1)~(AL-13)を得た。
【0084】
<評価>
上記で得られた実施例1~6及び比較例1~7のそれぞれの液晶配向剤(AL-1)~(AL-13)について、上記で記載した、液晶配向性及びガードナー色数の評価を行った。結果を表1に示す。表1中、ガードナー色数が「-」は、未測定を意味する。
【0085】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の液晶配向剤は、高精細化、低コスト化が要求される大型液晶表示素子や、スマートフォン、携帯電話などのモバイル用液晶表示素子などの広範な分野で使用される。
なお、2016年8月30日に出願された日本特許出願2016-168461号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。