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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ケーブル接続構造体
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20220107BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220107BHJP
   H01R 9/05 20060101ALI20220107BHJP
   H01R 12/53 20110101ALI20220107BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 B
H01R9/05 B
H01R12/53
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021061298
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍太
(72)【発明者】
【氏名】南畝 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇揮
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046854(JP,A)
【文献】特開2015-058118(JP,A)
【文献】国際公開第2020/217302(WO,A1)
【文献】特開平10-125145(JP,A)
【文献】特開2019-180603(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198188(WO,A1)
【文献】特開2009-117520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
H01R 9/05
H01R 12/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成面に複数の電極を備える電子部品と、
前記複数の電極のそれぞれに接続された複数の電線を有するケーブルと、
前記複数の電線の周りに充填された溶融状態の樹脂を硬化させてなり、前記複数の電線を埋設する埋設部材と、を備え、
前記複数の電線のうちの少なくとも3本の電線は、前記電極形成面の法線方向において前記電極形成面から遠ざかるほど互いに離隔する離隔領域を前記埋設部材の内部に有する離隔電線であり、
前記複数の電極は、仮想円上に並んで配された3つ以上の電極を含み、
前記複数の電線は、前記3つ以上の電極に接続された3本以上の前記離隔電線を含み、
前記3本以上の離隔電線の前記離隔領域は、前記電極形成面の法線方向において前記電極形成面から遠ざかるほど前記仮想円の径方向外側へ向かうよう形成されており、
前記離隔領域と前記電極形成面の法線方向との間になす角度は、10°以上、45°以下である、
ケーブル接続構造体。
【請求項2】
前記離隔電線は、はんだを介して前記電極に接続されており、
前記離隔電線の前記はんだから露出する部位における前記はんだ側の端部は、前記電極の中心よりも前記仮想円の径方向外側に位置している、
請求項1に記載のケーブル接続構造体。
【請求項3】
前記3本以上の離隔電線は、前記電極形成面の法線方向において、前記離隔領域から前記電極形成面側と反対側に向かうほど、互いに近づく接近領域を有し、
前記離隔領域の長手方向と前記接近領域の長手方向との間になす角度は、3°以上、15°以下である、
請求項1又は2に記載のケーブル接続構造体。
【請求項4】
前記複数の電極は、正方形の頂点となる4つの位置に配された4つの電極を有し、
前記3本以上の離隔電線は、前記4つの電極に接続された4本の離隔電線を有し、
前記電極形成面の法線方向から見たとき、前記4本の離隔電線の前記離隔領域は、前記正方形の対角線に沿った方向に形成されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項5】
前記離隔電線において露出した芯線には、屈曲部が形成されており、
前記芯線における前記屈曲部から前記電極側の部位が、前記離隔領域を構成している、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項6】
前記ケーブルは、前記複数の電線における前記電極形成面側の端部を除く部位を一括して覆う外皮を有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項7】
少なくとも3本の前記離隔電線は、前記電極に接続される内部導体と、前記内部導体の外周を覆う内部絶縁体と、前記内部絶縁体の外周を覆う外部導体とを有する同軸線を含み、
前記同軸線は、前記内部絶縁体が前記外部導体及び前記外皮から露出した絶縁露出部と、前記内部導体における前記電極に接続される側の端部が前記内部絶縁体から露出した導体露出部とを有し、
前記埋設部材の内部において、前記導体露出部は、前記絶縁露出部よりも短い、
請求項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項8】
前記電極形成面の法線方向において、前記埋設部材は、前記電極形成面から前記外皮までにわたって配されており、
少なくとも3本の前記離隔電線は、前記電極形成面から前記外皮側に向かうにつれて互いに離隔する離隔領域と、前記離隔領域から前記外皮側に向かうにつれて互いに近づく接近領域とを前記埋設部材の内部に有する、
請求項6又は7に記載のケーブル接続構造体。
【請求項9】
少なくとも3本の前記離隔電線は、前記外皮から露出した領域に、前記電線の芯線が絶縁体によって覆われた被覆線部と、前記絶縁体から露出した前記芯線の裸線部とを備え、
前記被覆線部が前記接近領域を構成しており、前記裸線部が前記離隔領域を構成している、
請求項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項10】
少なくとも3本の前記離隔電線は、前記外皮から露出した領域に、前記電線の芯線が絶縁体によって覆われた被覆線部と、前記絶縁体から露出した前記芯線の裸線部とを備え、
前記裸線部における前記電極と反対側の端部は、屈曲しており、
前記裸線部における屈曲部から前記電極側の部位は、直線状に形成されている、
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項11】
前記電極形成面の法線方向から見たとき、前記埋設部材の外郭は、前記電極形成面の外郭と同位置、又は前記電極形成面の外郭よりも内側に収まっている
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項12】
少なくとも3本の前記離隔電線のそれぞれの芯線は、撚線である、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項13】
少なくとも3本の前記離隔電線のそれぞれの芯線は、単線である、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【請求項14】
前記複数の電線におけるそれぞれの芯線の直径は、0.1mm以下であり、
前記電子部品は、内視鏡の撮像素子を備えた撮像装置である、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のケーブル接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像素子を備える撮像装置と、撮像装置の電極形成面において縦横に並んで配された4つの電極に接続された4本の電線を有する同軸ケーブルと、を備える内視鏡が開示されている。そして、特許文献1に記載の内視鏡において、複数の電線の電極形成面側の端部は、接着剤等からなる埋設部材内に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-180603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡においては、複数の電線が、電極形成面の法線方向において、電極形成面から遠ざかるほど互いに近づくように形成されている。これに伴い、複数の電線に囲まれる領域は、電極形成面から遠ざかるほど狭くなる。それゆえ、溶融状態の埋設樹脂を複数の電線の周りに充填する際、溶融状態の埋設部材が複数の電線に囲まれた領域に行き渡り難く、硬化後の埋設部材内に気泡が形成されるおそれがある。埋設部材内に気泡が形成されると、例えば、温度変化又は気圧変動に伴って気泡が膨張又は収縮し、接続部に外圧がかかりやすくなる。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、埋設部材内に気泡が形成されることを抑制しやすいケーブル接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、電極形成面に複数の電極を備える電子部品と、前記複数の電極のそれぞれに接続された複数の電線を有するケーブルと、前記複数の電線を埋設する埋設部材と、を備え、前記複数の電線のうちの少なくとも2本の電線は、前記電極形成面の法線方向において前記電極形成面から遠ざかるほど互いに離隔する部位を前記埋設部材の内部に有する離隔電線である、ケーブル接続構造体を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、埋設部材内に気泡が形成されることを抑制しやすいケーブル接続構造体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体を備えた内視鏡システムの概略構成図である。
図2】第1の実施の形態における、カメラヘッドの先端面を示す端面図である。
図3図2のIII-III線矢視断面図である。
図4】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体のケーブルと撮像装置との接続部周辺の拡大平面図である。
図5】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体のケーブルと撮像装置との接続部周辺の拡大側面図である。
図6】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体のケーブルと撮像装置との接続部周辺の拡大斜視図であって、埋設部材の図示を省略した図である。
図7図4のVII-VII線矢視断面図である。
図8図4のVIII-VIII線矢視断面図である。
図9図4のIX-IX線矢視断面図である。
図10】第1の実施の形態における、電線の離隔領域と接近領域とを含むケーブル接続構造体の断面図である。
図11】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体の屈曲工程を示すケーブルの側面図である。
図12】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体の位置合わせ工程を示す平面図である。
図13】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体の位置合わせ工程を示す正面図である。
図14】第1の実施の形態における、ケーブル接続構造体の接合工程を示す平面図である。
図15】第2の実施の形態における、ケーブル接続構造体のケーブルと撮像装置との接続部周辺の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図14を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本形態のケーブル接続構造体を備えた内視鏡システム10の概略構成図である。内視鏡システム10は、内視鏡100と、内視鏡100によって得られた画像情報を処理する画像処理装置15と、画像処理装置15によって処理された画像を画面161に表示する表示装置16と、フットスイッチ171の操作に応じてカメラレンズ洗浄用の液体等を吐出する液体供給装置17とを備える。
【0011】
内視鏡100は、操作部11と挿入管12とカメラヘッド13とを備える。操作部11は、医師によって操作される部位である。操作部11は、通信ケーブル14により画像処理装置15に接続されるとともに、ホース18により液体供給装置17に接続されている。挿入管12は、操作部11とカメラヘッド13とをつないでいる。挿入管12の長さは、例えば1m以上4m以下である。カメラヘッド13は、挿入管12の一部とともに被検者の体内に挿入される。以下、挿入管12に対してカメラヘッド13が位置する側を先端側といい、その反対側を基端側ということもある。
【0012】
図2は、カメラヘッド13の先端面を示す端面図である。図3は、図2のIII-III線矢視断面図である。カメラヘッド13は、樹脂製の外筒体131と、外筒体131の先端面を閉塞するカバー体132とを有する。外筒体131及び挿入管12の内側には、液体供給装置17から供給される液体等を流通させるためのチューブ19、図示略の光ファイバ、及び後述するケーブル3が挿通されている。また、外筒体131の内側には、後述する撮像装置5が配されている。
【0013】
カバー体132には、撮像装置5の先端を嵌合する貫通孔132a、及びチューブ19の先端を嵌合する貫通孔132bが形成されている。また、カバー体132には、撮像対象部位を照射するための照射光を発する照射窓132cが設けられている。図示しない光ファイバによって導かれた光は、照射窓132cを通して照射される。
【0014】
図3に示すごとく、撮像装置5は、円筒状の円筒体51、円筒体51の一端に固定された透光性の撮像窓52、円筒体51の他端に固定された撮像素子53、及び撮像窓52と撮像素子53との間に配置された複数のレンズ54を有する。撮像素子53は、例えばCMOSイメージセンサ、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ等とすることができる。撮像装置5は、撮像素子53に結像された光学像の情報を電気信号に変換し、ケーブル3を通して画像処理装置15へ出力する。
【0015】
図4は、ケーブル接続構造体1のケーブル3と撮像装置5との接続部周辺の拡大平面図である。図5は、ケーブル接続構造体1のケーブル3と撮像装置5との接続部周辺の拡大側面図である。図6は、ケーブル接続構造体1のケーブル3と撮像装置5との接続部周辺の拡大斜視図であって、後述の埋設部材(図4図5等の符号4参照)の図示を省略した図である。図7は、図4のVII-VII線矢視断面図である。図8は、図4のVIII-VIII線矢視断面図である。図9は、図4のIX-IX線矢視断面図である。
【0016】
図6乃至図8に示すごとく、撮像装置5における基端側の面である電極形成面531には、4つの電極532が形成されている。図7に示すごとく、電極形成面531は、矩形状に形成されており、例えば各辺の長さLを0.6mm以上、1.1mm以下とすることができる。4つの電極532は、撮像素子53の電極として形成されている。
【0017】
図7に示すごとく、4つの電極532は、電極形成面531の1点を中心とした仮想円C上に並んでいるとともに、正方形の頂点となる4つの位置に配されている。本形態において、4つの電極532は、撮像装置5の電源用の電源用電極532aと、撮像素子53に結合された光学像の情報から変換された撮像信号を出力するための情報出力電極532bと、撮像装置5において所定の動作(例えば撮像動作等)を生じさせるためのコマンド信号を受信するためのコマンド受信電極532cと、接地電位に接続される接地電極532dとによって構成されている。また、図4図5、及び図7に示すごとく、仮想円Cに沿った周方向に隣り合う電極532間の最短距離SD1は、例えば0.1mm以上、0.3mm以下とすることができる。4つの電極532のそれぞれに電気的に接続されるようにケーブル3が配されている。
【0018】
図9に示すごとく、ケーブル3は、4つの電極532に接続される4本の電線30と、4本の電線30を一括して覆うシールド導体36と、シールド導体36を覆う外皮37とを備える多芯ケーブルである。4本の電線30は、3本の同軸線31と、1本のドレン線32とを備える。
【0019】
3本の同軸線31は、電源用電極532aに接続される電源用同軸線31aと、情報出力電極532bに接続される情報伝送同軸線31bと、及びコマンド受信電極532cに接続されたコマンド伝送同軸線31cとによって構成されている。電源用同軸線31aは、撮像装置5に電源用の電力を供給する。情報伝送同軸線31bは、情報出力電極532bから出力される撮像信号を伝送する。コマンド伝送同軸線31cは、コマンド受信電極532cから出力されるコマンド信号を伝送する。以後、電源用同軸線31a、情報伝送同軸線31b、及びコマンド伝送同軸線31cを特に区別しない場合は、単に同軸線31という。
【0020】
同軸線31は、芯線としての内部導体311と、内部導体311の外周を覆う内部絶縁体312と、内部絶縁体312の外周を覆う外部導体313とを備える。内部導体311は、複数の素線311aを撚り合わせた撚線である。内部導体311の直径は、0.1mm以下である。より具体的には、内部導体311の直径を、例えば、40~46AWG(直径0.048mm以上0.093mm以下)とすることができる。AWGは、American Wire Gaugeの略である。なお、本形態のように内部導体311が撚線によって構成されている場合において、内部導体311の直径は、内部導体311を構成する複数の素線の外接円の直径である。
【0021】
内部導体311を囲う内部絶縁体312は、電気的絶縁性を有する樹脂からなる。内部絶縁体312の直径は、例えば0.1mm以上、0.25mm以下とすることができる。
【0022】
外部導体313は、内部絶縁体312の外周面に接するよう複数の素線313aを螺旋状に横巻して構成されている。なお、外部導体313は、複数の素線を編み組みして構成してもよいし、内部絶縁体312の外周面を覆う金属箔によって構成することもできる。また、外部導体313は、樹脂からなる帯状体の片面又は両面に導電層が形成された導電性テープを、内部絶縁体312に縦添え又は横巻することによって構成してもよい。
【0023】
ドレン線32は、接地電極532dに接続されている。ドレン線32は、複数本の素線32aを撚り合わせてなる。ドレン線32は、電気的絶縁性を有する被覆を備えず、各同軸線31の外部導体313とシールド導体36とに電気的に接続されて接地電位となっている。
【0024】
シールド導体36は、同軸線31の複数の素線36aを螺旋状に横巻して構成されている。なお、シールド導体36は、複数の素線を編み組みした編組線によって構成してもよいし、外皮37の内周面に配した金属箔によって構成することもできる。また、シールド導体36は、樹脂からなる帯状体の片面又は両面に導電層が形成された導電性テープを、4本の電線30に縦添え又は横巻することによって構成してもよい。
【0025】
外皮37は、4本の電線30及びシールド導体36における、電極形成面531側の端部を除く部位を一括して覆っている。外皮37は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂を筒状に形成してなる。シールド導体36と3本の同軸線31の外部導体313とは、外皮37の先端位置において切断されており、図4乃至図6に示すごとく、外皮37の先端から3本の同軸線31における内部導体311及び内部絶縁体312、並びにドレン線32が露出している。
【0026】
同軸線31における外皮37から先端側に露出した部位は、内部絶縁体312が外部導体313及び外皮37から先端側に露出した絶縁露出部314と、内部導体311における電極532に接続される側の端部が内部絶縁体312から先端側に露出した導体露出部315とを有する。絶縁露出部314は、導体露出部315よりも長い。各同軸線31において、絶縁露出部314の先端位置は、互いに電極形成面531の法線方向の同等の位置にある。以後、電極形成面531の法線方向を、X方向という。導体露出部315の先端部及びドレン線32の先端部のそれぞれと電極532とは、はんだ6を用いて機械的及び電気的に接続されている。また、4本の電線30における外皮37から先端側に露出した部位の全体は、後述する埋設部材4の内部に埋設されている。
【0027】
図4乃至図6に示すごとく、4本の電線30は、電極形成面531の法線方向において、電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に有する離隔電線300である。本形態において、4本の電線30は、電極形成面531から外皮37側に向かうにつれて互いに離隔する離隔領域33と、離隔領域33から外皮37側に向かうにつれて互いに近づく接近領域34とを埋設部材4の内部に有する。
【0028】
図7及び図8に示すごとく、4つの離隔領域33は、X方向において、電極形成面531から遠ざかるほど径方向外側へ向かうよう傾斜している。径方向外側は、前述の仮想円Cの径方向の外側であり、本形態においてはケーブル3の径方向の外側でもある。図4及び図5に示すごとく、4本の電線30のそれぞれの離隔領域33は、直線状に形成されている。
【0029】
4本の電線30のうちの3本の同軸線31において、離隔領域33は、芯線としての内部導体311が絶縁体(すなわち内部絶縁体312)によって覆われた被覆線部(すなわち絶縁露出部314)によって構成されており、接近領域34は、絶縁体(すなわち内部絶縁体312)から露出した内部導体311の裸線部(すなわち導体露出部315)によって構成されている。
【0030】
3本の同軸線31は、導体露出部315の根元部分(すなわち導体露出部315における絶縁露出部314側の端部)において径方向外側に凸となるよう屈曲されており、当該屈曲部35を境に、離隔領域33と接近領域34とが分けられている。すなわち、3本の同軸線31において、離隔領域33は、導体露出部315のみによって構成されており、接近領域34は、先端部が導体露出部315によって構成されているものの主として絶縁露出部314によって構成されている。また、ドレン線32にも、径方向外側に凸となるよう屈曲された屈曲部35が形成されている。電線30の屈曲部35は、仮想円Cに沿った周方向に隣り合う電線30から遠ざかる方向に凸となるよう屈曲されている。
【0031】
図10は、電線30の離隔領域33と接近領域34とを含むケーブル接続構造体1の断面図である。図10に示すごとく、電線30において、離隔領域33の長手方向と接近領域34の長手方向との間になす角度αは、例えば3°以上、15°以下とすることができる。また、離隔領域33とX方向との間になす角度βは、例えば10°以上、45°以下とすることができる。
【0032】
図4乃至図6に示すごとく、4本の電線30のそれぞれの屈曲部35は、X方向において、互いに同等の位置にある。図4及び図5に示すごとく、仮想円Cに沿った周方向に隣り合う電線30の屈曲部35同士の最短距離SD2は、最短距離SD1よりも大きく、0.25mm以上、0.75mm以下とすることができる。
【0033】
埋設部材4は、4本の電線30における外皮37から露出した部位の全体を、電線30と電極532との接続部を含めて内部に埋設している。X方向において、埋設部材4は、電極形成面531から外皮37の先端面371までにわたって形成されている。埋設部材4は、4本の電線30の内周側にも充填されている。埋設部材4における4本の電線30の内周側に配された部位は、外皮37の先端面371近傍まで配されている。
【0034】
埋設部材4の先端側は、電極形成面531からはみ出ないように電極形成面531の略全体に配されており、埋設部材4の基端側は、外皮37の先端面371に配されている。埋設部材4は、外皮37側に向かうほど、外形が縮径するよう形成されている。図9に示すごとく、X方向から見たとき、埋設部材4は、電極形成面531の外郭と同位置、又は電極形成面531の外郭よりも内側に収まっている。本形態において、前述のごとく埋設部材4の先端側は、電極形成面531の略全体に形成されており、X方向から見たとき、埋設部材4の外郭は、電極形成面531の外郭と略同位置に形成される。
【0035】
埋設部材4は、絶縁性を有する材料からなり、例えばアクリレート等の接着剤、エポキシ樹脂等の樹脂等からなる。また、本形態において、埋設部材4は、硬化前の溶融状態において、900mPa・s以上、2000mPa・s以下の粘性を有する。
【0036】
次に、図11乃至図14を参照しつつ、本形態のケーブル接続構造体1を製造する方法の一例につき、説明する。本形態のケーブル接続構造体1の製造方法は、屈曲工程、位置合わせ工程、接合工程、及び埋設工程をこの順に行うが、これに限られず、例えば位置合わせ工程を行ってから屈曲工程を行ってもよい。
【0037】
図11は、ケーブル接続構造体1の屈曲工程を示すケーブル3の側面図である。屈曲工程においては、外皮37から突出する略直線状態の4本の電線30の、それぞれの導体露出部315の根元部を屈曲させ、4本の電線30のそれぞれに屈曲部35を形成する。なお、屈曲工程前に導体露出部315及びドレン線32のそれぞれにはんだをなじませておくことも可能である。これにより、例えば屈曲工程時に撚線からなる導体露出部315及びドレン線32の撚りがほどけないようにするができるとともに、導体露出部315及びドレン線32を屈曲しやすくすることができる。
【0038】
図12は、ケーブル接続構造体1の位置合わせ工程を示す平面図である。図13は、ケーブル接続構造体1の位置合わせ工程を示す正面図である。図12に示すごとく、位置合わせ工程においては、まず、X方向に直交する二次元方向において、4つの電極532のそれぞれにはんだ6が設けられた撮像装置5とケーブル3との位置を揃える。ここでは、電極形成面531とケーブル3の外皮37の先端面371とをX方向に対向させるようにする。
【0039】
そして、図12及び図13に示すごとく、外皮37からランダムな方向に突出した4本の電線30のそれぞれをチャック70にて把持する。同軸線31を把持するチャック70は、絶縁露出部314の先端部を把持しており、ドレン線32を把持するチャック70も、同軸線31を把持するチャック70と、X方向の同じ位置を把持している。なお、同軸線31を把持するチャック70は、同軸線31の導体露出部315を把持していてもよい。そして、4本の電線30のそれぞれの先端部が、接続される電極532にX方向に重なる位置となるよう、各チャック70をX方向に直交する二次元方向YZに移動させる。
【0040】
ここで、図12においては、撮像装置5の先端側からはんだ6を加熱するための第1ヒータ71と、チャック70の基端側からはんだ6を加熱するための第2ヒータ72とを併せて表している。一例として、第1ヒータ71及び第2ヒータ72は、電気的絶縁性を有するケース内に、通電に応じて熱を発生させるコイル状の電熱線が配されているものを採用することができる。第2ヒータ72は、各チャック70に対応させて4つ設けられており、それぞれ各チャック70に固定されている。位置合わせ工程の段階において、第1ヒータ71及び第2ヒータ72は、非加熱状態とする。
【0041】
図14は、ケーブル接続構造体1の接合工程を示す平面図である。図12とは異なり、図14においては第1ヒータ71及び第2ヒータ72にハッチングを施しているが、これは図14に示す第1ヒータ71及び第2ヒータ72がオン状態(加熱状態)であることを意味している。
【0042】
接合工程は、屈曲工程及び位置合わせ工程の後において、電線30と電極532とのはんだ付けを行う。接合工程においては、第1ヒータ71及び第2ヒータ72をオンにし、加熱状態とする。また、接合工程においては、不活性ガス導入部73によって高温の窒素ガス等の不活性ガスGをはんだ6周辺に吹き付ける。かかる状態において、撮像装置5をケーブル3側へX方向に近付け、電線30を溶融したはんだ6内に挿入し、電線30と電極532とのはんだ付けを行う。なお、はんだ6周辺に高温の不活性ガスGを吹き付けることにより、はんだ6の溶融を促進させることができるとともに、はんだ6の酸化を防止することができる。
【0043】
次いで、図示は省略するが、埋設工程においては、例えば先端が尖った注入器から溶融状態の埋設部材4を電極形成面531から外皮37の先端面371までにわたって充填させる。このとき、4本の電線30に囲まれる空間の体積が過度に小さいと、粘性を有する埋設部材4の溶融樹脂が4本の電線30に囲まれる空間に十分に行きわたることができず、埋設部材4内に気泡が形成されるおそれがある。また、埋設工程において、溶融状態の埋設部材4の充填量が少ない場合は、継ぎ足しで溶融状態の埋設部材4を追加することもあるが、この場合は特に埋設部材4の内部に空気が巻き込まれやすい。そこで、本形態のように4本の電線30において、電極形成面531からX方向に遠ざかる程互いに離隔する離隔領域33を埋設部材4の内部に配される部位に形成することにより、4本の電線30に囲まれる空間を広げることができ、埋設部材4の内部に気泡が形成されることを防止しやすい。
以上のようにして、本形態におけるケーブル接続構造体1を製造することができる。
【0044】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
本形態のケーブル接続構造体1において、4本の電線30は、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に有する離隔電線300である。それゆえ、4本の電線30に囲まれる領域を広くすることができ、当該空間に注入される埋設部材4内に気泡が形成されることを抑制することができる。埋設部材4内に気泡が形成されると、例えば、温度変化又は気圧変動に伴って気泡が膨張又は収縮し、電極532と電線30との接続部に外圧がかかりやすくなるが、本形態においてはかかる問題が生じることを抑制することができる。
【0045】
また、4本の離隔電線300は、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど径方向外側へ向かう部位を埋設部材4の内部に有する。これにより、3本以上の電線30を有する場合において、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を容易に形成することができる。
【0046】
また、ケーブル3は、複数の電線30における電極形成面531側の端部を除く部位を一括して覆う外皮37を有する。それゆえ、複数の電線30には、外皮37の拘束力によって互いに近づこうとする力が働くため、特に工夫しなければ、複数の電線30は、電極形成面531から遠ざかるほど互いに近づくよう構成され、複数の電線30に囲まれる領域の体積が小さくなりやすい。そこで、本形態においては、複数の電線30を一括して覆う外皮37を備えることによって複数の電線30に囲まれる領域が小さくなりやすい状況下においても、4本の電線30に電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に形成することによって、埋設部材4の内部に気泡が形成されることをより効果的に抑制することができる。
【0047】
また、埋設部材4の内部において、同軸線31の導体露出部315は、絶縁露出部314よりも短い。ここで、導体露出部315の周りに埋設部材4が直接的に配されることに起因して導体露出部315はインピーダンスが増加しやすいところ、導体露出部315を短くすることにより同軸線31のインピーダンス増加を抑制することができる。また、絶縁露出部314を長くすることにより、前述の位置合わせ工程時において絶縁露出部314を把持しやすい。
【0048】
また、X方向において、埋設部材4は、電極形成面531から外皮37までにわたって配されている。そして、4本の離隔電線300は、電極形成面531から外皮37側に向かうにつれて互いに離隔する離隔領域33と、離隔領域33から外皮37側に向かうにつれて互いに近づく接近領域34とを埋設部材4の内部に有する。それゆえ、4本の離隔電線300に囲まれた領域は、互いにX方向に近付くほど大きくなり、いわばX方向に略対称に形成される。これにより、4本の離隔電線300に囲まれた空間内に溶融状態の埋設部材4が充填されやすく、埋設部材4内に気泡が形成されることを抑制しやすくなる。
【0049】
また、3本の同軸線31は、電線30の芯線(すなわち内部導体311)が絶縁体(すなわち内部絶縁体312)によって覆われた被覆線部(すなわち絶縁露出部314)によって接近領域34が構成され、絶縁体から露出した芯線の裸線部(すなわち導体露出部315)によって離隔領域33が構成されている。離隔領域33は、電線30と電極532との接合部に近く、埋設部材4内に気泡が形成されることに起因して接合部に生じる応力が大きくなりやすい部位であるが、かかる部位を裸線部によって構成することにより、離隔領域33間の距離を確保しやすく、埋設部材4内における離隔領域33間の領域に気泡が形成されることを防止しやすい。そして、3本の同軸線31のそれぞれの接近領域34を被覆線部によって構成することにより、複数の電線30の接近領域34間の電気的絶縁性を確保しやすい。
【0050】
また、3本の同軸線31は、裸線部における電極532と反対側の端部が屈曲しており、同軸線31における屈曲部35から先端側の領域(すなわち離隔領域33)は直線状に形成されている。裸線部と被覆線部との境界部、及び、電線30の屈曲部35は、溶融状態の埋設部材4の流動が滞りやすい領域になりやすいが、かかる領域を1箇所に集中させるとともに、離隔領域33を直線状とすることにより、埋設部材4内に気泡が形成されることを抑制しやすい。
【0051】
また、X方向から見たとき、埋設部材4は、電極形成面531の外郭よりも内側に収まっている。それゆえ、ケーブル接続構造体1の大型化を効果的に抑制することができる。すなわち、本形態のように、4本の電線30において、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を形成した場合、特に工夫しない場合は、X方向から見たときに当該部位近傍が電線30形成面よりも外側に突出し、他部材との干渉等を引き起こす可能性がある。そこで、本形態のように、X方向から見たとき、埋設部材4が、電極形成面531の外郭よりも内側に収まるよう形成されることにより、4本の電線30において、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を形成した場合であっても、X方向から見たときに埋設部材4が電極形成面531の外側に突出することを防止することができ、ケーブル3と他部材との干渉等を引き起こすことを抑制することができる。
【0052】
また、4本の電線30のそれぞれの芯線は、撚線である。それゆえ、ケーブル接続構造体1の生産性の向上を効果的に向上させることができる。すなわち、本形態のように、4本の電線30がX方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に有するような構成である場合、各電線30の先端と電極532との位置合わせの難易度が高くなりやすいところ、4本の電線30の芯線を柔軟性の高い撚線によって構成することにより、各電線30の先端と電極532との位置合わせを行いやすい。
【0053】
また、複数の電線30におけるそれぞれの芯線の直径は、0.1mm以下であり、ケーブル3が接続される電子部品2は、内視鏡の撮像素子53を備える撮像装置5である。つまり、複数の電線30のそれぞれにおける芯線は極細導線であり、かつ、ケーブル3が接続される電子部品2としての内視鏡の撮像装置5は、人体に挿入可能とすべく非常に小型に形成されるという前提構成を備える。このような前提構成を備える場合においては、複数の電線30に囲まれる領域が非常に狭くなりやすく、溶融状態の埋設部材4が前記領域にうまく充填されない懸念が大きくなる。そこで、かかる前提構成を備える前提において、本形態のように、4本の電線30において、X方向において電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に形成することによって、前述のごとく埋設部材4内の気泡の発生を一層効果的に抑制することができる。
【0054】
以上のごとく、本形態によれば、埋設部材内に気泡が形成されることを抑制しやすいケーブル接続構造体を提供することができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図15は、本形態におけるケーブル接続構造体1の、ケーブル3と撮像装置5との接続部周辺の拡大平面図である。本形態においては、4本の電線30の芯線がすべて単線によって構成されている。すなわち、本形態においては、芯線としての、3本の同軸線31の内部導体311及び1本のドレン線32のそれぞれを、単線によって構成している。
【0056】
本形態のその他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様である。
なお、第2の実施の形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0057】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
本形態においては、4本の電線30のそれぞれの芯線が単線である。それゆえ、芯線の屈曲部35から電極532側の部位は、まっすぐ直線状に維持しやすく、これによって複数の電線30と電極532との位置合わせ作業を行いやすくすることができる。また、芯線の周りに埋設部材4が配されているが、芯線が単線によって構成されることによって芯線の周りに微小な凹凸が形成されることを抑制することができ、埋設部材4内に気泡が残ることを防止しやすい。
その他、本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を有する。
【0058】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0059】
[1]電極形成面(531)に複数の電極(532)を備える電子部品と、前記複数の電極(532)のそれぞれに接続された複数の電線(30)を有するケーブル(3)と、前記複数の電線(30)を埋設する埋設部材(4)と、を備え、前記複数の電線(30)のうちの少なくとも2本の電線(30)は、前記電極形成面(531)の法線方向(X)において前記電極形成面(531)から遠ざかるほど互いに離隔する部位を前記埋設部材(4)の内部に有する離隔電線(300)である、ケーブル接続構造体(1)。
【0060】
[2]前記複数の電極(532)は、仮想円(C)上に並んで配された3つ以上の電極(532)を含み、前記複数の電線(30)は、前記3つ以上の電極(532)に接続された3本以上の前記離隔電線(300)を含み、前記3本以上の離隔電線(300)は、前記電極形成面(531)の法線方向(X)において前記電極形成面(531)から遠ざかるほど前記仮想円(C)の径方向外側へ向かう部位を前記埋設部材(4)の内部に有する、前記[1]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0061】
[3]前記ケーブル(3)は、前記複数の電線(30)における前記電極形成面(531)側の端部を除く部位を一括して覆う外皮(37)を有する、前記[1]又は前記[2]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0062】
[4]少なくとも2本の前記離隔電線(300)は、前記電極(532)に接続される内部導体(311)と、前記内部導体(311)の外周を覆う内部絶縁体(312)と、前記内部絶縁体(312)の外周を覆う外部導体(313)とを有する同軸線(31)を含み、前記同軸線(31)は、前記内部絶縁体(312)が前記外部導体(313)及び前記外皮(37)から露出した絶縁露出部(314)と、前記内部導体(311)における前記電極(532)に接続される側の端部が前記内部絶縁体(312)から露出した導体露出部(315)とを有し、前記埋設部材(4)の内部において、前記導体露出部(315)は、前記絶縁露出部(314)よりも短い、前記[3]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0063】
[5]前記電極形成面(531)の法線方向(X)において、前記埋設部材(4)は、前記電極形成面(531)から前記外皮(37)までにわたって配されており、少なくとも2本の前記離隔電線(300)は、前記電極形成面(531)から前記外皮(37)側に向かうにつれて互いに離隔する離隔領域(33)と、前記離隔領域(33)から前記外皮(37)側に向かうにつれて互いに近づく接近領域(34)とを前記埋設部材(4)の内部に有する、前記[3]又は前記[4]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0064】
[6]少なくとも2本の前記離隔電線(300)は、前記外皮(37)から露出した領域に、前記電線(30)の芯線が絶縁体によって覆われた被覆線部と、前記絶縁体から露出した前記芯線の裸線部とを備え、前記被覆線部が前記接近領域(34)を構成しており、前記裸線部が前記離隔領域(33)を構成している、前記[5]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0065】
[7]少なくとも2本の前記離隔電線(300)は、前記外皮(37)から露出した領域に、前記電線(30)の芯線が絶縁体によって覆われた被覆線部と、前記絶縁体から露出した前記芯線の裸線部とを備え、前記裸線部における前記電極(532)と反対側の端部は、屈曲しており、前記裸線部における屈曲部(35)から前記電極側の部位は、直線状に形成されている、前記[3]乃至[6]に記載のケーブル接続構造体(1)。
【0066】
[8]前記電極形成面(531)の法線方向(X)から見たとき、前記埋設部材(4)の外郭は、前記電極形成面(531)の外郭と同位置、又は前記電極形成面(531)の外郭よりも内側に収まっている。前記[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造体(1)。
【0067】
[9]少なくとも2本の前記離隔電線(300)のそれぞれの芯線は、撚線である、前記[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造体(1)。
【0068】
[10]少なくとも2本の前記離隔電線(300)のそれぞれの芯線は、単線である、前記[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造体(1)。
【0069】
[11]前記複数の電線(30)におけるそれぞれの芯線の直径は、0.1mm以下であり、前記電子部品は、内視鏡の撮像素子(53)を備えた撮像装置(5)である、前記[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造体(1)。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0071】
例えば、各実施の形態において、電極形成面に形成される電極は4つとしたが、内視鏡装置の仕様に応じて、例えば2つ、3つ又は5つ以上とすることができ、これに対応させて、電線も2本、3本又は5本以上とすることができる。
【0072】
また、各実施の形態において、4本の電線のすべてを、電極形成面の法線方向において電極形成面から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材の内部に有する離隔電線としたが、これに限られず、離隔電線が少なくとも2本存在していればよい。少なくとも2本離隔電線が存在すれば、埋設部材における離隔電線間の領域を広くすることが可能となり、埋設部材内へ気泡が形成されることを抑制することができる。
【0073】
また、各実施の形態において、離隔電線における外皮から露出した領域に、離隔領域と接近領域とを形成したが、複数の電線に離隔領域が形成されていればよく、例えば各実施の形態における4本の電線の接近領域を、互いに平行に形成することも可能である。また、4本の電線における外皮から突出した部位をすべて離隔領域とすることも可能である。
【0074】
また、各実施の形態において、埋設部材は、電極形成面から外皮の先端面までにわたって形成したが、これに限られない。例えば、前記各実施の形態において、埋設部材の外皮側の端部の位置は、外皮の先端面から電極形成面側に離れた位置に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…ケーブル接続構造体 3…ケーブル
30…電線 300…離隔電線
31…同軸線 311…内部導体
312…内部絶縁体 313…外部導体
314…絶縁露出部 315…導体露出部
33…離隔領域 34…接近領域
35…屈曲部 37…外皮
4…埋設部材 5…撮像装置
53…撮像素子 531…電極形成面
532…電極 C…仮想円
X…電極形成面の法線方向
【要約】
【課題】埋設部材内に気泡が形成されることを抑制しやすいケーブル接続構造体を提供する。
【解決手段】ケーブル接続構造体1は、電極形成面531に複数の電極532を備える電子部品と、複数の電極532のそれぞれに接続された複数の電線30を有するケーブル3と、複数の電線30を埋設する埋設部材4と、を備える。複数の電線30のうちの少なくとも2本の電線30は、電極形成面531の法線方向Xにおいて電極形成面531から遠ざかるほど互いに離隔する部位を埋設部材4の内部に有する離隔電線300である。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15