(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】垂直式ダイレクトPCBコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20220107BHJP
H01R 13/42 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/42 F
H01R13/42 G
(21)【出願番号】P 2020512712
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2019004165
(87)【国際公開番号】W WO2019216553
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0052653
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン-ギュ
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-142167(JP,U)
【文献】特開2011-070776(JP,A)
【文献】特表平11-506256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB基板の一面に垂直に直接取り付けられるコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの内部に設けられ、一側は前記PCB基板の一面と直交する方向に対応する第1方向に延びて信号伝送用ケーブルに連結され、他側は前記PCB基板の一面に備えられる接触パッドの長さ方向に対応する第2方向に延びて前記接触パッドに接触可能に設けられる複数の折曲型ターミナル部材と、を含む、垂直式PCBコネクタ
であって、
前記複数の折曲型ターミナル部材は、
所定の厚さを有するブロック形態であって前記第1方向に延びる垂直部、及び前記垂直部と交差して前記第2方向に延びる水平部を備えるターミナルボディ部と、
前記水平部よりも薄くて前記水平部の終端から前記第2方向に延びるカンチレバー型で設けられ、前記PCB基板の接触パッド方向に曲げられた接点部を有するターミナルコンタクト部と、を含む、垂直式PCBコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、
前記複数の折曲型ターミナル部材を収容して前記PCB基板の一面に接触配置されるコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の対向する両側の外面に備えられ、前記PCB基板に備えられる第1孔に垂直に挿入され、前記PCB基板の他面に垂直方向で係合される掛け金部と、を含む、請求項1に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項3】
前記掛け金部は、それぞれ、
対応する前記コネクタ本体の外面に直交するように突出する支持部と、
前記支持部に直交して連結されて前記コネクタ本体の外面に並んで延び、前記第1孔を通過して前記PCB基板の他面に係合可能なラッチを一端に備えたレバー部と、を含み、
前記レバー部は、前記支持部を支点にしてシーソー動作可能に設けられる、請求項2に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジングは、
前記PCB基板の一面に当接する前記コネクタ本体の下端部から垂直に延び、前記PCB基板に備えられる第2孔に締り嵌めされるロックピン部をさらに含む、請求項2または3に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項5】
前記ロックピン部は、両側の前記掛け金部
から同距離に位置する、請求項4に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタ本体は、
前記第1方向と交差する方向で前記コネクタ本体の内部空間を分割する内部板と、
前記内部板の一側端部と隣接した位置に備えられ、互いに所定間隔を置いて前記第1方向で前記コネクタ本体の内部にトンネルを形成する複数の貫通孔とをさらに含み、
前記複数の折曲型ターミナル部材の前記垂直部はそれぞれ前記複数の貫通孔に挿入配置され、前記複数の折曲型ターミナル部材の前記水平部は前記内部板に接触配置される、請求項
2から5のいずれか一項に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項7】
前記内部板は、
前記複数の折曲型ターミナル部材の水平部同士の間に配置される複数の隔壁部を含む、請求項
6に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項8】
前記複数の折曲型ターミナル部材は、
前記垂直部に対して前記第1方向の反対方向へと鋭角を成して突出し、前記水平部が前記内部板に当接する面の裏面に配置される離脱防止ピンをさらに含む、請求項
6または
7に記載の垂直式PCBコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタ本体の下端部に取り付けられて前記複数の折曲型ターミナル部材の前記ターミナルボディ部を支持するリテーナをさらに含む、請求項
6から
8のいずれか一項に記載の垂直式PCBコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板接続用コネクタに関し、より詳しくは、相補型コネクタ(complementary connector)のないPCB基板に直接垂直で締結可能な垂直式ダイレクトPCBコネクタに関する。
【0002】
本出願は、2018年5月8日出願の韓国特許出願第10-2018-0052653号に基づく優先権を主張し、上記出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ラップトップパソコン、タブレットパソコン、スマートフォンなどの電子機器を含む二次電池製品の充放電制御部品であるBMS(Battery Management System)の小型化、軽量化趨勢によって、その回路基板に実装される電子素子の密度が高くなり、それによってコネクタ装置にも軽薄短小化が求められている。
【0004】
図1は、従来技術によるコネクタ装置を概略的に示した図である。
【0005】
図1に示したように、一般に従来のコネクタ装置は、雌コネクタ4(female connector)と雄コネクタ5(male connector)との一対で構成され、雌コネクタ4にはコンタクトである複数のピンが設けられ、雄コネクタ5には複数のピンと接触する複数のプラグターミナルが設けられる。雄コネクタ5は回路基板6に表面実装(SMT:Surface Mounter Technology)され、雌コネクタ4は雄コネクタ5と相補的に締結される。
【0006】
しかし、このように雌コネクタ4及び雄コネクタ5の両方を使用する場合、互いに異なる別のボディとコンタクトを、相異なる金型を用いて製作し、一方のコネクタは回路基板に表面実装しなければならないため、製造工程が複雑になって製造コストが嵩むという問題がある。
【0007】
このようなコネクタ構造の代案として、特許文献1には、回路基板から雄コネクタを無くし、回路基板の導電パターンにターミナルを直接接続する基板エッジ接続型コネクタが開示されている。しかし、基板エッジ接続型コネクタの場合、コネクタが回路基板のエッジに位置しなければならないという制約があるため、回路基板の設計自由度及び耐衝撃性が低下し、僅かな外力でもコネクタが脱去するなどの問題がある。
【0008】
したがって、印刷回路基板にコネクタを接続する際、コネクタ構造及び製造工程を簡素化しながらも回路基板上の任意の位置に接続でき、さらに基板に加えられる外力に対しても脱去または接続不良を防止できるコネクタ装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許公開第10-2012-0086735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、印刷回路基板へのコネクタ接続において、コネクタ構造及び製造工程を簡素化しながらも回路基板上の任意の位置に接続でき、基板に加えられる外力に対しても脱去または接続不良を防止することができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、PCB基板の一面に垂直に取り付けられるコネクタハウジングと、コネクタハウジングの内部に設けられ、一側はPCB基板の一面と直交する方向に対応する第1方向に延びて信号伝送用ケーブルに連結され、他側はPCB基板の一面に備えられる接触パッドの長さ方向に対応する第2方向に延びて接触パッドに接触可能に設けられる複数の折曲型ターミナル部材とを含む垂直式PCBコネクタが提供される。
【0012】
コネクタハウジングは、折曲型ターミナル部材を収容してPCB基板の一面に接触配置されるコネクタ本体と、コネクタ本体の対向する両側の外面に備えられ、PCB基板に備えられる第1孔に垂直に挿入され、PCB基板の他面に垂直方向で係合される掛け金部とを含み得る。
【0013】
掛け金部は、それぞれ、対応するコネクタ本体の外面に直交するように突出する支持部と、支持部に直交して連結されてコネクタ本体の外面に並んで延び、第1孔を通過してPCB基板の他面に係合可能なラッチを一端に備えたレバー部とを含み、レバー部は支持部を支点にしてシーソー(seesaw)動作可能に設けられ得る。
【0014】
コネクタハウジングは、PCB基板の一面に当接するコネクタ本体の下端部から垂直に延び、PCB基板に備えられる第2孔に締り嵌めされるロックピン部をさらに含み得る。
【0015】
ロックピン部は、両側の掛け金部と等変三角構造を成す位置に配置され得る。
【0016】
折曲型ターミナル部材は、所定の厚さを有するブロック形態であって第1方向に延びる垂直部、及び垂直部と交差して第2方向に延びる水平部を備えるターミナルボディ部と、水平部よりも薄くて水平部の終端から第2方向に延びるカンチレバー型で設けられ、PCB基板の接触パッド方向に曲げられた接点部を有するターミナルコンタクト部とを含み得る。
【0017】
コネクタ本体は、第1方向と交差する方向でコネクタ本体の内部空間を分割する内部板と、内部板の一側端部と隣接した位置に備えられ、互いに所定間隔を置いて第1方向でコネクタ本体の内部にトンネルを形成する複数の貫通孔とをさらに含み、折曲型ターミナル部材の垂直部はそれぞれ貫通孔に挿入配置され、折曲型ターミナル部材の水平部は内部板に接触配置され得る。
【0018】
内部板は、折曲型ターミナル部材の水平部同士の間に配置される複数の隔壁部を含み得る。
【0019】
折曲型ターミナル部材は、垂直部に対して第1方向の反対方向へと鋭角を成して突出し、水平部が内部板に当接する面の裏面に配置される離脱防止ピンをさらに含み得る。
【0020】
コネクタ本体の下端部に取り付けられて折曲型ターミナル部材のターミナルボディ部を支持するリテーナをさらに含み得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、別途の相補型コネクタを使用せずに印刷回路基板上の接触パッドに直接接続するコネクタであって、コネクタの構造及び製造工程を簡素化して製造コストを節減することができる。
【0022】
また、印刷回路基板に対して垂直に取り付けられるように構成されることで、基板の周縁の内側領域に配置でき、印刷回路基板の空間活用性または設計自由度を向上させることができる。
【0023】
本発明の他の態様によれば、印刷回路基板に対して容易に着脱可能でありながらも、X、Y、Z軸方向への堅固な固定性を確保することで、外力による脱去や接続不良などを防止することができる。
【0024】
本発明が属する技術分野の通常の知識を持つ者であれば、本発明による多様な実施形態によって上述していない他の技術的課題も解決できることを後述する説明から明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来技術によるコネクタ装置を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタがPCB基板に取り付けられた様子を概略的に示した斜視図である。
【
図3】
図2のPCB基板と垂直式PCBコネクタとを分離した斜視図である。
【
図4】
図3の垂直式PCBコネクタを下部から眺めた斜視図である。
【
図5】
図2のI-I'に沿った垂直式PCBコネクタの断面図である。
【
図6】
図2のII-II'に沿った垂直式PCBコネクタの断面図である。
【
図7】
図6のレバー部のラッチの部分拡大図である。
【
図8】
図6に対応する図面であって、垂直式PCBコネクタの脱去方法を説明するための図である。
【
図9】
図7に対応する図面であって、本実施形態のレバー部の変形例を示した図である。
【
図10】本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタの分解斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるコネクタハウジングにターミナル部材を組み立てた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0027】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0028】
以下の説明において、PCB基板とは、バッテリーパックを構成するBMSチップを備えたBMS回路基板を意味し得る。BMSはバッテリーセルの充放電、セルバランシングなどを制御する。本発明による垂直式PCBコネクタは、BMS回路基板に接続して、バッテリーセルの電圧情報などをBMSに伝送するときに使用される。勿論、PCB基板がBMS回路基板のみを意味することはない。すなわち、PCB基板は、ラップトップパソコン、タブレットパソコン、スマートフォンなどの電子機器に使用される印刷回路基板を含む概念であり得る。
【0029】
図2は本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタがPCB基板に取り付けられた様子を概略的に示した斜視図であり、
図3は
図2の基板と垂直式PCBコネクタとを分離した斜視図であり、
図4は
図3の垂直式PCBコネクタを下部から眺めた斜視図であり、
図5は
図2のI-I'に沿った垂直式PCBコネクタの断面図である。
【0030】
本明細書において、PCB基板2の一面と直交する方向に対応する方向を第1方向と定義し、PCB基板2の接触パッド3の長手方向に対応する方向を第2方向と定義することにする。
図2及び
図3を参照してさらに説明すれば、第1方向は+Z軸方向であり、第2方向は+X軸方向である。また、上下左右及び前後方向は、PCB基板2の一面に垂直に取り付けられたPCBコネクタを基準にする。
【0031】
図2~
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタ1は、コネクタハウジング10、複数の折曲型ターミナル部材20、リテーナ30を含む。
【0032】
垂直式PCBコネクタ1は、コネクタハウジング10の内側に略「L」字状に形成された折曲型ターミナル部材20を備え、折曲型ターミナル部材20の接点部22aがPCB基板2の接触パッド3に弾性的に接触することでPCB基板と電気的に連結されるように構成される。
【0033】
コネクタハウジング10は、PCB基板2の一面に直接垂直に取り付けられる構成品であって折曲型ターミナル部材20を内部に収容するコネクタ本体11、及びコネクタ本体11をPCB基板2の一面に取り付けるための手段としての掛け金部12とロックピン部18を含む。
【0034】
コネクタハウジング10がPCB基板2の一面に取り付けられるとき、コネクタ本体11は下端部を形成する周縁部分がPCB基板2の一面に当接するように設けられる。そして、コネクタ本体11は、コネクタ本体の下端部11aの内側空間に(折曲型ターミナル部材20の接点部22aのみがコネクタ本体の下端部11aよりもコネクタ本体の外側に突出するように)折曲型ターミナル部材20を嵌め込んで固定可能な内部構造を有する。これについて詳しくは後述する。
【0035】
掛け金部12は、
図4、
図6及び
図7を一緒に参照すれば、コネクタ本体11の対向する両側の外面、換言すればコネクタ本体11の左/右側面に対称的に一つずつ備えられ、PCB基板2に備えられる第1孔2aに垂直に挿入されてPCB基板2の他面に垂直方向で係合されるように設けられる。
【0036】
特に、本実施形態による掛け金部12は、それぞれ、対応するコネクタ本体11の外面に直交するように突出する支持部14、及び支持部14に直交して連結されてコネクタ本体11の外面に並んで上下方向に延びるレバー部16を含んで構成される。
【0037】
レバー部16は、一端にラッチ16aを有し、所定の距離だけコネクタ本体の下端部11aよりも低い位置まで延びる。このようなレバー部16は、
図7のように、PCB基板2に備えられる第1孔2aに垂直に挿入された後、ラッチ16aがPCB基板2の他面に垂直方向で係合される。このようにレバー部16のラッチ16aがPCB基板2の他面に垂直方向で係合されることで、コネクタ本体11がPCB基板2の一面に対してZ軸方向に動くことを抑制することができる。
【0038】
一方、本実施形態によるレバー部16は、支持部14がレバー部16の長手方向の略中間地点に連結されているため、一端を押せば支持部14を支点にしてシーソー動作することができる。すなわち、
図8のように、支持部14を支点にしてレバー部16の一端を押すと、レバー部16の他端が押された方向の反対方向に移動する。そして、押されたレバー部16の一側を離すと、レバー部16は支持部14に対して直交する元の状態に復帰するようになる。このような支持部14及びレバー部16は、所定の荷重範囲以内で弾性復元可能な素材を用いてコネクタ本体11と一体的に形成することができる。
【0039】
レバー部16の厚さは第1孔2aの(Y軸方向)幅よりも薄く、ラッチ16aのサイズは第1孔2aの幅Gとほぼ同じである。したがって、レバー部16を第1孔2aに挿入するときは、ラッチ16aの位置を第1孔2aと上下で一致させなければならない。したがって、コネクタハウジング10をPCB基板2の一面に取り付けるとき、レバー部16の上端を軽く押してラッチ16aを第1孔2a内に垂直で挿入した後、レバー部16を離せば、レバー部16の位置が元の状態に復帰しながら、ラッチ16aがPCB基板2の他面に係合されるようにする。
【0040】
コネクタハウジング10をPCB基板2の一面から脱去するときは、装着時と同じ方式でレバー部16を押した状態でコネクタハウジング10を+Z軸方向に持ち上げれば良い。
【0041】
また、レバー部16の幅と第1孔2aの一側(X軸方向)の幅とを一致させることで、コネクタ本体11のX軸方向の移動を抑制することができる。
【0042】
一方、ラッチ16aの係合動作、及び第1孔2aに対する挿入及び脱去のため、レバー部16の厚さが第1孔2aの(±Y方向)幅よりも薄く形成されることから、二つのレバー部16を使用しても第1孔2a内で若干の隙間が生じ得る。したがって、コネクタ本体11のY軸方向の固定性はX、Z軸に比べて多少不完全であり得る。
【0043】
図9は、
図7に対応する図面であって、本実施形態のレバー部16の変形例を示した図である。
【0044】
本変形例によるレバー部16は、ラッチ16aの係合方向と同じ方向で、PCB基板2の第1孔2a内に配置されるレバー部16の一部区間にエンボスパターン部16bをさらに備えることができる。レバー部16が第1孔2a内に押し込まれてPCB基板2の他面に係合されるとき、レバー部16のエンボスパターン部16bが第1孔2a内の側面に接触することで、上述した実施形態で生じ得る第1孔2a内の隙間を無くすことができる。この場合、二つの掛け金部12のみを使用しても、X、Y、Z軸方向に動かないようにコネクタ本体11をPCB基板2に固定させることができる。
【0045】
ロックピン部18は、
図4及び
図5に示したように、PCB基板2の厚さに対応する長さだけ、PCB基板2の一面に当接するコネクタ本体の下端部11aから下方(-Z軸方向)に突出し、PCB基板2の第2孔2b内に締り嵌めされて締結される部分である。
【0046】
このようなロックピン部18は、PCB基板2に対するコネクタハウジング10の装着方向をガイドするだけでなく、PCB基板2の第2孔2bと締り嵌めされることで、コネクタ本体11のX、Y軸方向の移動を抑制する。特に、ロックピン部18は、掛け金部12のみでは足りないコネクタ本体11のY軸方向の固定性を強化する役割をする。
【0047】
特に、本実施形態によるロックピン部18は、コネクタの本体の両側の外面と交差する方向に位置したコネクタ本体11の下端部に備えられ、両側の掛け金部12と等変三角構造を成す箇所に位置する。このようなロックピン部18は、二つの掛け金部12から同距離に位置することで、二つの掛け金部12に作用する荷重を均等に吸収することができる。
【0048】
上述したように、第1孔2aとレバー部16との間の隙間によって、コネクタ本体11の±Y軸方向の固定性は他の方向に比べて多少不完全である。しかし、ロックピン部18はレバー部16と交差する方向で第2孔2b内に締り嵌めされるため、第2孔2bとの間で隙間が生じない。したがって、ロックピン部18は、掛け金部12のみでは足りないコネクタ本体11の±Y軸方向の固定性を補強でき、コネクタ本体11に外力が作用するとき、X、Y軸方向への荷重を吸収することで掛け金部12の破損を防止することができる。
【0049】
図10は本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタの分解斜視図であり、
図11は
図10のターミナル部材20を示した斜視図であり、
図12は本発明の一実施形態によるコネクタハウジング10にターミナル部材20を組み立てた状態を示した斜視図である。
【0050】
これら図面に示したように、折曲型ターミナル部材20は、コネクタ本体11の下部から上方に挿入されてコネクタ本体11の内部に設けられ、一側はPCB基板2の一面と直交する方向に対応する第1方向に延びて信号伝送用ケーブル40に連結され、他側はPCB基板2の一面に備えられる接触パッド3の長手方向に対応する第2方向に延びて対応する接触パッド3に接触可能に設けられる。
【0051】
より具体的に折曲型ターミナル部材20は、
図11に示したように、コネクタ本体11との組み立てを容易にするために機械的剛性を有する部分であるターミナルボディ部21、及びPCB基板2の接触パッド3との安定的な接触のために弾性を有する部分であるターミナルコンタクト部22を含んで構成される。
【0052】
ターミナルボディ部21は、所定の厚さを有するブロック形態であって第1方向に延びる垂直部23、及び垂直部23と交差して第2方向に延びる水平部25を含む。
【0053】
そして、ターミナルコンタクト部22は、水平部25よりも薄くて水平部25の終端から第2方向に延びるカンチレバー型で設けられ、PCB基板2の接触パッド3方向に曲げられた接点部22aを含む。
【0054】
このような折曲型ターミナル部材20を収容するためコネクタ本体11は、
図5、
図10及び
図12に示したように、第1方向と交差する方向(X、Y軸方向)でコネクタ本体11の内部空間を分割する内部板15と、内部板15の一側端部と隣接した位置に備えられ、互いに所定間隔を置いて第1方向でコネクタ本体11の内部にトンネルを形成する複数の貫通孔13をさらに含む。
【0055】
そして、内部板15は、一定間隔を置いて第1方向の反対方向(-Z軸方向)に突出する複数の隔壁部17をさらに備えることができる。隔壁部17同士の間隔はターミナルボディ部21の水平部25の幅と同じである。
【0056】
本実施形態の内部板15は、コネクタ本体11の±X軸方向の内部幅よりも多少小さい幅を有し、貫通孔13は内部板15の一側端部とコネクタ本体11の後面部との間に設けられる。
【0057】
また、内部板15は、コネクタ本体11の下端部のレベルから第1方向(+Z軸方向)に所定の距離だけ離隔した箇所に設けられる。ここで、所定の距離はコネクタハウジング10をPCB基板2の一面に装着したとき、ターミナルコンタクト部22の接点部が少なくともPCB基板2の接触パッド3に接触可能な範囲以内の距離である。
【0058】
折曲型ターミナル部材20は、垂直部23及び水平部25から構成されたターミナルボディ部21が略「L」字状であるため、
図5及び
図12に示したように、垂直部23がそれぞれ対応するコネクタ本体11の貫通孔13内に一定深さまで挿入されれば、水平部25が内部板15に接触するようになる。
【0059】
また、垂直部23は離脱防止ピン23aをさらに備えることができる。離脱防止ピン23aは第1方向の反対方向(-Z軸方向)に向かい、垂直部23と鋭角を成すように斜めに突出する。このような離脱防止ピン23aは、
図5のように、垂直部23を貫通孔13に挿入したとき、水平部25が内部板15に当接する面の裏面に配置され得る。したがって、垂直部23は、離脱防止ピン23aが内部板15の裏面に係止しているため、貫通孔13から容易に抜け出なくなる。
【0060】
そして、貫通孔13内にはストッパ部19をさらに備えることができる。ストッパ部19は、コネクタ本体11の上端部から下端部に延設されて垂直部23の終端を支持する。また、コネクタ本体11の上端部にはストッパ部19を介在して貫通孔13の内部と連通するピン孔13aがさらに設けられる。このようなピン孔13aにジグを入れて離脱防止ピン23aを押した後、垂直部23を貫通孔13から抜き取ることができる。
【0061】
複数の折曲型ターミナル部材20の水平部25は、内部板15の隔壁部17同士の間に配置される。この場合、水平部25及び水平部25の終端から延びるターミナルコンタクト部22は、複数の隔壁部17によって沿面距離が一定に維持されるため、ターミナル同士の短絡を防止することができる。
【0062】
ターミナルコンタクト部22は、水平部25の終端から第2方向(+軸方向)に延びるカンチレバー型であり、曲げられた接点部を有することで、PCB基板2の接触パッド3と弾性的に接触することができる。例えば、コネクタハウジング10をPCB基板2の一面に取り付けたとき、接触パッド3の方向に弾性復元力が作用するように、少なくともターミナルコンタクト部22における接点部22aはコネクタ本体の下端部11aよりも外側に突出するように設けられる。
【0063】
リテーナ30は、
図4及び
図5に示したように、折曲型ターミナル部材20の下部からターミナルボディ部21を支持する構成要素であって、詳しくは図示していないが、コネクタ本体11の下端部に例えばスナップフィット(snap-fit)方式で取り付けられる。コネクタ本体11の内部に挿入配置された折曲型ターミナル部材20は、内部板15、ストッパ部19、離脱防止ピン23a及びリテーナ30によって上下方向に固定され、貫通孔13、隔壁部17及びリテーナ30によって水平方向に固定される。
【0064】
上記のような本発明の一実施形態による垂直式PCBコネクタの構成によれば、従来PCB基板2に取り付けた相補型コネクタを使用せずに、PCB基板2の一面に垂直式PCBコネクタを直接接続できるため、コネクタの構造及び製造工程を簡素化して製造コストを節減することができる。
【0065】
また、PCB基板2の一面に垂直に装着できるため、従来の基板エッジ接続型コネクタに比べて接続位置上の制約がなく、PCB基板2の空間自由度または活用性が増大し、コネクタの固定性が優れて外力によるコネクタの脱去や接触不良を著しく減らすことができる。
【0066】
以上のように、本発明の望ましい実施形態を、図面を参照して説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施形態に限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者であれば、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく多様な変形実施が可能であり、そのような変更も請求範囲の記載の範囲内であることは言うまでもない。
【0067】
一方、本明細書において、上、下、左、右などのように方向を表す用語が使われたが、このような用語は説明の便宜上使用されたものであって、観測者の位置や対象になる物の位置などによって変わり得ることは本発明の当業者にとって自明である。