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特許6996813バッテリー漏電を検出するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】バッテリー漏電を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20220107BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R27/02 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019567968
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 KR2018015568
(87)【国際公開番号】W WO2019117556
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2019-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2017-0173495
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヒョン-ジュ
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-150421(JP,A)
【文献】特開2016-189689(JP,A)
【文献】特開2001-045652(JP,A)
【文献】特開2014-025760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー漏電を検出する方法であって、
バッテリーと接地との間の絶縁状態を示す代表絶縁抵抗値を算出する段階と、
前記代表絶縁抵抗値が予め決められた臨界抵抗値より大きいか否かを判断する段階と、
前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値より大きい場合、前回の代表絶縁抵抗値と前記代表絶縁抵抗値との差である絶縁抵抗値の差が予め決められた基準差より小さいか否かを判断する段階と、
前記絶縁抵抗値の差が前記基準差より小さい場合、診断フラグに第1値を割り当てる段階と、
前記絶縁抵抗値の差が前記基準差以上である場合、前記診断フラグに第2値を割り当てる段階と、
前記診断フラグに前記第2値が割り当てられている場合、カウントインジケーターを活性化する段階と
前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、フォールトカウントを増加させる段階と、
前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、前記カウントインジケーターが活性化しているか否かを判断する段階と、
前記カウントインジケーターが活性化していない場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第1カウント以上であるか否かを判断する段階と、
増加された前記フォールトカウントが前記第1カウント以上である場合、保護動作を実行する段階と、
前記カウントインジケーターが活性化している場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第2カウント以上であるか否かを判断する段階と、
増加された前記フォールトカウントが前記第2カウント以上である場合、前記保護動作を実行する段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記代表絶縁抵抗値は、前記バッテリーの正極端子と前記接地との間の第1絶縁抵抗値及び前記バッテリーの負極端子と前記接地との間の第2絶縁抵抗値のうちより小さいものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2カウントは、前記第1カウントより小さい、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護動作は、前記バッテリー内で隣接して直列で連結された二つのバッテリーセルの間に設けられた安全スイッチのターンオフを含む、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
バッテリー漏電を検出する装置であって、
第1スイッチ及び第2スイッチを含むスイッチング部と、
前記第1スイッチのターンオン時に、バッテリーの正極端子と接地との間に直列で連結される第1保護抵抗及び第1基準抵抗を含む第1電圧分配部と、
前記第2スイッチのターンオン時に、前記バッテリーの負極端子と前記接地との間に直列で連結される第2保護抵抗及び第2基準抵抗を含む第2電圧分配部と、
前記第1電圧分配部の第1検出電圧及び前記第2電圧分配部の第2検出電圧を測定するように構成された電圧測定部と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを独立的に制御するように構成されたスイッチ駆動部と、
前記第1スイッチがターンオンされて前記第2スイッチがターンオフされた第1回路が形成されている間に前記電圧測定部によって測定された前記第1検出電圧、及び前記第1スイッチがターンオフされて前記第2スイッチがターンオンされた第2回路が形成されている間に前記電圧測定部によって測定された前記第2検出電圧に基づいて、前記バッテリーの正極端子と前記接地との間の第1絶縁抵抗値及び前記バッテリーの負極端子と前記接地との間の第2絶縁抵抗値を算出するように構成されたコントローラとを含み、
前記コントローラは、
前記第1絶縁抵抗値及び前記第2絶縁抵抗値のいずれか一つである代表絶縁抵抗値が予め決められた臨界抵抗値より大きいか否かを判断し、
前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値より大きい場合、前回の代表絶縁抵抗値と前記代表絶縁抵抗値との差である絶縁抵抗値の差が予め決められた基準差より小さいか否かを判断し、
前記絶縁抵抗値の差が前記基準差より小さい場合、診断フラグに第1値を割り当て、
前記絶縁抵抗値の差が前記基準差以上である場合、前記診断フラグに第2値を割り当て、
前記診断フラグに前記第2値が割り当てられている場合、カウントインジケーターを活性化し、
前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、フォールトカウントを増加させ、
前記カウントインジケーターが活性化していない場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第1カウント以上であるか否かを判断し、
増加された前記フォールトカウントが前記第1カウント以上である場合、保護動作を実行するように構成され、
前記コントローラは、
前記カウントインジケーターが活性化している場合、増加された前記フォールトカウントが、予め決められ且つ前記第1カウントよりも小さい第2カウント以上であるか否かを判断し、
増加された前記フォールトカウントが前記第2カウント以上である場合、前記保護動作を実行する、
装置。
【請求項6】
前記保護動作は、前記バッテリー内で隣接して直列で連結された二つのバッテリーセルの間に設けられた安全スイッチのターンオフを含む、請求項に記載の装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の前記装置を含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー漏電を検出するための方法及び装置に関し、より詳しくは、バッテリーと接地との間の絶縁抵抗に基づいてバッテリー漏電を検出するための方法及び装置に関する。
【0002】
本出願は、2017年12月15日出願の韓国特許出願第10-2017-0173495号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、化石エネルギーの枯渇及び環境汚染のため、化石エネルギーを使用せずに電気エネルギーを用いて駆動できる電気製品に対する関心が高まっている。
【0004】
それによって、モバイル機器、電気自動車、ハイブリッド自動車、電力貯蔵装置、無停電電源装置などに対する技術開発と需要が増加しており、エネルギー源としての二次電池の需要も急増し、その需要の形態も多様化している。したがって、多様な要求に応えられるように、二次電池から構成されたバッテリーに対する研究が盛んに行われている。
【0005】
一方、高出力、高電圧(例えば、数百ボルト[V])のバッテリーを使用する電気自動車やハイブリッド自動車のような装置では、接地(例えば、車体)とバッテリーとの絶縁状態が良好に維持されなければならない。バッテリーの絶縁状態が維持されない場合、すなわちバッテリーと接地との間の絶縁抵抗値が一定値以下になる場合、バッテリーから大きい漏洩電流が流れ、周辺電子機器の誤作動はもちろん、感電事故を引き起こす恐れがある。
【0006】
バッテリー漏電検出のための従来技術が開示されているが、このような従来技術の殆どは絶縁抵抗値をより速くまたはより正確に算出することに焦点が合わせられていた。
【0007】
前記絶縁抵抗値は、一般に一定時間毎に周期的に算出される。しかし、外部からのノイズなどのような多様な原因によって、算出された絶縁抵抗が一時的に実際と異なることがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バッテリーと接地との間の絶縁抵抗値が連続して基準回数以上臨界抵抗値(reference resistance)以下になるか否かに基づいてバッテリー漏電を検出する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、バッテリーの絶縁抵抗値に基づいてバッテリーの漏電を判断する基準として使用されるカウントを調節する方法及び装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によるバッテリー漏電を検出する方法は、バッテリーと接地との間の代表絶縁抵抗値を算出する段階と、前記代表絶縁抵抗値が予め決められた臨界抵抗値より大きいか否かを判断する段階と、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値より大きい場合、前回の代表絶縁抵抗値と前記代表絶縁抵抗値との差である絶縁抵抗値の差が予め決められた基準差より小さいか否かを判断する段階と、前記絶縁抵抗値の差が前記基準差より小さい場合、診断フラグに前記代表絶縁抵抗値が有効であることを示す第1値を割り当てる段階と、前記絶縁抵抗値の差が前記基準差以上である場合、前記診断フラグに前記代表絶縁抵抗値が非有効であることを示す第2値を割り当てる段階と、前記診断フラグに前記第2値が割り当てられている場合、カウントインジケーターを活性化する段階とを含む。
【0012】
前記代表絶縁抵抗値は、前記バッテリーの正極端子と前記接地との間の第1絶縁抵抗値及び前記バッテリーの負極端子と前記接地との間の第2絶縁抵抗値のうちより小さいものであり得る。
【0013】
前記方法は、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、フォールトカウントを増加させる段階と、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、前記カウントインジケーターが活性化しているか否かを判断する段階と、前記カウントインジケーターが活性化していない場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第1カウント以上であるか否かを判断する段階と、増加された前記フォールトカウントが前記第1カウント以上である場合、保護動作を実行する段階をさらに含み得る。
【0014】
前記方法は、前記カウントインジケーターが活性化している場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第2カウント以上であるか否かを判断する段階と、増加された前記フォールトカウントが前記第2カウント以上である場合、前記保護動作を実行する段階をさらに含み得る。
【0015】
前記第2カウントは、前記第1カウントより小さい。
【0016】
前記保護動作は、前記バッテリー内で隣接して直列で連結された二つのバッテリーセルの間に設けられた安全スイッチのターンオフを含み得る。
【0017】
本発明の他の実施形態によるバッテリー漏電を検出する装置は、第1スイッチ及び第2スイッチを含むスイッチング部と、前記第1スイッチのターンオン時に、バッテリーの正極端子と接地との間に直列で連結される第1保護抵抗及び第1基準抵抗を含む第1電圧分配部と、前記第2スイッチのターンオン時に、前記バッテリーの負極端子と前記接地との間に直列で連結される第2保護抵抗及び第2基準抵抗を含む第2電圧分配部と、前記第1電圧分配部の第1検出電圧及び前記第2電圧分配部の第2検出電圧を測定するように構成された電圧測定部と、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを独立的に制御するように構成されたスイッチ駆動部と、前記第1スイッチがターンオンされて前記第2スイッチがターンオフされた第1回路が形成されている間に前記電圧測定部によって測定された前記第1検出電圧、及び前記第1スイッチがターンオフされて前記第2スイッチがターンオンされた第2回路が形成されている間に前記電圧測定部によって測定された前記第2検出電圧に基づいて、前記バッテリーの正極端子と前記接地との間の第1絶縁抵抗値及び前記バッテリーの負極端子と前記接地との間の第2絶縁抵抗値を算出するように構成されたコントローラとを含む。前記コントローラは、前記第1絶縁抵抗値及び前記第2絶縁抵抗値のいずれか一つである代表絶縁抵抗値が予め決められた臨界抵抗値より大きいか否かを判断する。前記コントローラは、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値より大きい場合、前回の代表絶縁抵抗値と前記代表絶縁抵抗値との差である絶縁抵抗値の差が予め決められた基準差より小さいか否かを判断する。前記コントローラは、前記絶縁抵抗値の差が前記基準差より小さい場合、診断フラグに前記代表絶縁抵抗値が有効であることを示す第1値を割り当てる。前記コントローラは、前記絶縁抵抗値の差が前記基準差以上である場合、前記診断フラグに前記代表絶縁抵抗値が非有効であることを示す第2値を割り当てる。前記診断フラグに前記第2値が割り当てられている場合、カウントインジケーターを活性化する。前記コントローラは、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、フォールトカウントを増加させる。前記カウントインジケーターが活性化していない場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第1カウント以上であるか否かを判断する。前記コントローラは、増加された前記フォールトカウントが前記第1カウント以上である場合、保護動作を実行する。
【0018】
前記コントローラは、前記カウントインジケーターが活性化している場合、予め決められ且つ前記第1カウントよりも小さい第2カウントより、増加された前記フォールトカウントが大きいか否かを判断し得る。前記コントローラは、増加された前記フォールトカウントが前記第2カウントより大きい場合、前記保護動作を実行し得る。
【0019】
前記保護動作は、前記バッテリー内で隣接して直列で連結された二つのバッテリーセルの間に設けられた安全スイッチのターンオフを含み得る。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックは、前記装置を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態のうち少なくとも一つによれば、バッテリーと接地との間の絶縁抵抗値が連続して一定回数以上臨界抵抗値以下になるか否かに基づいてバッテリー漏電を検出することができる。
【0022】
また、本発明の実施形態のうち少なくとも一つによれば、バッテリーの絶縁抵抗値に基づいてバッテリー漏電を判断する基準になる回数を調節することができる。
【0023】
本発明の効果は、上述した効果に制限されることなく、その他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリー漏電検出装置の機能的構成を概略的に示した図である。
【0026】
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの回路構成を概略的に示した図である。
【0027】
図3】第1スイッチングモードによってバッテリーパック内に形成される第1回路を概略的に示した回路図である。
【0028】
図4】第2スイッチングモードによってバッテリーパック内に形成される第2回路を概略的に示した回路図である。
【0029】
図5】本発明の一実施形態によってバッテリーと接地との間の絶縁抵抗値を算出するための例示的な方法を示したフロー図である。
【0030】
図6】本発明の他の実施形態によってバッテリー漏電を検出するための例示的な方法を示したフロー図である。
【0031】
図7】本発明の他の実施形態によってバッテリー漏電を検出するための例示的な方法を示したフロー図である。
【0032】
図8図6及び図7に示された方法の説明に参照される例示的なグラフである。
【0033】
図9図6及び図7に示された方法の説明に参照される例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0035】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0036】
また、本発明の説明において、関連公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0037】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちある一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0038】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「制御ユニット」のような用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで具現され得る。
【0039】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結」されるとするとき、これは「直接的な連結」だけではなく、他の素子を介在した「間接的な連結」も含む。
【0040】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリー漏電検出装置の機能的構成を概略的に示した図であり、図2は本発明の一実施形態によるバッテリーパック10の回路構成を概略的に示した図である。
【0041】
図1及び図2を参照すれば、バッテリーパック10は、バッテリー20及びバッテリー漏電検出装置100を含む。ここで、バッテリー20とは、単一のバッテリーセル21またはバッテリーセル21の集合体を意味し、バッテリーセル21の集合体は、直列、並列または直並列で連結された複数のバッテリーセル21を含み得る。
【0042】
バッテリーセル21は、ウルトラキャパシタを含む電気二重層キャパシタまたはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などのような二次電池であり得る。
【0043】
バッテリー漏電検出装置100は、第1電圧分配部110、第2電圧分配部120、スイッチング部130、電圧測定部150、スイッチ駆動部160及びコントローラ170を含む。バッテリー漏電検出装置100は、バッテリー20の正極端子N及び負極端子Nに電気的に連結されている。
【0044】
図2には、バッテリー20の正極端子N及び負極端子Nに電気的に連結された二つの絶縁抵抗11、12が示されている。詳しくは、バッテリー20の正極端子Nと接地との間には第1絶縁抵抗11が連結され、バッテリー20の負極端子Nと接地との間には第2絶縁抵抗12が連結されている。
【0045】
このような二つの絶縁抵抗11、12は、それぞれ、接地からのバッテリー20の絶縁状態を示すための仮想の等価抵抗であると言える。もし、バッテリー20と接地との間の絶縁状態が良好に維持される場合、第1絶縁抵抗11及び第2絶縁抵抗12それぞれの抵抗値RLeak(+)、RLeak(-)は所定の臨界抵抗値より大きいはずである。一方、バッテリー20と接地との間の絶縁状態が悪化した場合は、第1絶縁抵抗11及び第2絶縁抵抗12のうち少なくとも一つの抵抗値は前記臨界抵抗値以下になるはずである。
【0046】
また、図2には、バッテリー20の正極端子N及び負極端子Nに電気的に連結された寄生キャパシタCP(+)、CP(-)が示されている。詳しくは、バッテリー20の正極端子Nと接地との間には正極側寄生キャパシタCP(+)が連結され、バッテリー20の負極端子Nと接地との間には負極側寄生キャパシタCP(-)が連結されている。このような寄生キャパシタCP(+)、CP(-)は、上述した絶縁抵抗11、12と同様に、バッテリー20の正極端子Nと接地との間及びバッテリー20の負極端子Nと接地との間のキャパシタ成分を示すための仮想の等価キャパシタであると言える。寄生キャパシタCP(+)、CP(-)は、図2に示されたように、絶縁抵抗11、12にそれぞれ並列で連結された形態で等価化し得る。
【0047】
第1電圧分配部110は、第1保護抵抗111及び第1基準抵抗112を含む。第1保護抵抗111及び第1基準抵抗112は、第1共通ノードNC1を通じて相互連結される。
【0048】
第2電圧分配部120は、第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122を含む。第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122は、第2共通ノードNC2を通じて相互連結される。
【0049】
具現形態によって、バッテリー漏電検出装置100は、第2基準抵抗122と接地との間に連結される直流電圧源140をさらに含むことができる。第2基準抵抗122は、バッテリー20の負極端子Nと接地との間に連結されるため、第2共通ノードNC2と接地との間に印加される電圧は負の値になることがある。したがって、第2共通ノードNC2と接地との間に印加される電圧が正の値を有するように、直流電圧源140が備えられる。直流電圧源140が出力する電圧値VDCは、第2共通ノードNC2と接地との間に印加される電圧が正の値になるように(すなわち、第2検出電圧が0V以上になるように)設定され、コントローラ170に内蔵されたメモリに予め保存され得る。
【0050】
スイッチング部130は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を含むことができる。第1スイッチSW1は、正極端子Nと第1電圧分配部110との間に連結される。第2スイッチSW2は、負極端子Nと第2電圧分配部120との間に連結される。
【0051】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、スイッチ駆動部160から出力される信号に応答して互いに独立的に制御される。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、それぞれターンオンまたはターンオフされるため、その組合せによって最大4種のスイッチングモードがコントローラ170によって選択的に実行できる。各スイッチングモードは、バッテリー20が無負荷状態にある間に限って実行される。無負荷状態とは、バッテリー20の充電及び放電が中断された状態であると言える。4種のスイッチングモードは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が「ターンオン-ターンオフ」になる第1スイッチングモード、「ターンオフ-ターンオン」になる第2スイッチングモード、「ターンオン-ターンオン」になる第3スイッチングモード、「ターンオフ-ターンオフ」になる第4スイッチングモードであり得る。そこで、スイッチングモード毎にバッテリーパック10内に相異なる4種の回路が選択的に形成される。スイッチング部130は、安全スイッチSW3をさらに含むことができる。
【0052】
安全スイッチSW3は、バッテリー20に含まれた複数のバッテリーセル21のうち、一部のバッテリーセル21と他のバッテリーセル21との間の電気的な連結を選択的に遮断するように提供される。安全スイッチSW3は、バッテリー20内で隣接して直列で連結された二つのバッテリーセル21の間に設けられ得る。安全スイッチSW3がターンオフされた場合、バッテリー20の使用、すなわち、充放電が中断される。スイッチング部130に安全スイッチSW3が含まれる場合、上述した4種のスイッチングモードは、安全スイッチSW3がターンオンされている間に実行可能である。
【0053】
第1保護抵抗111及び第1基準抵抗112は、第1スイッチSW1のターンオン時に、バッテリー20の正極端子Nと接地との間に直列で連結される。第1保護抵抗111及び第1基準抵抗112は、第1スイッチSW1のターンオフ時に、バッテリー20の正極端子Nから電気的に分離される。
【0054】
具体的に、第1保護抵抗111及び第1基準抵抗112それぞれの一端は第1共通ノードNC1を通じて互いに連結される。また、第1保護抵抗111の他端は第1スイッチSW1を通じて正極端子Nに連結または分離される。また、第1基準抵抗112の他端は接地に連結される。
【0055】
第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122は、第2スイッチSW2のターンオン時に、バッテリー20の負極端子Nと接地との間に直列で連結される。第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122は、第2スイッチSW2のターンオフ時に、バッテリー20の負極端子Nから電気的に分離される。
【0056】
具体的に、第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122それぞれの一端は第2共通ノードNC2を通じて互いに連結される。また、第2保護抵抗121の他端は第2スイッチSW2を通じて負極端子Nに連結または分離される。また、第2基準抵抗122の他端は接地に連結される。
【0057】
第1保護抵抗111、第1基準抵抗112、第2保護抵抗121及び第2基準抵抗122それぞれの抵抗値はコントローラ170に予め保存され得る。望ましくは、第1保護抵抗111の抵抗値と第1基準抵抗112の抵抗値との間の比率は、第2保護抵抗121の抵抗値と第2基準抵抗122の抵抗値との間の比率と同一であり得る。例えば、第1保護抵抗111の抵抗値と第2保護抵抗121の抵抗値とが同一であり、第1基準抵抗112の抵抗値と第2基準抵抗122の抵抗値とが同一であり得る。以下、第1保護抵抗111の抵抗値と第2保護抵抗121の抵抗値とがそれぞれRと同一であり、第1基準抵抗112の抵抗値と第2基準抵抗122の抵抗値とがそれぞれRと同一であると仮定する。
【0058】
第1電圧分配部110に印加された電圧は、第1保護抵抗111の抵抗値と第1基準抵抗112の抵抗値との比率によって分配され、電圧測定部150によって測定される。同様に、第2電圧分配部120に印加された電圧は、第2保護抵抗121の抵抗値と第2基準抵抗122の抵抗値との比率によって分配され、電圧測定部150によって測定される。
【0059】
スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を独立的に制御することができる。すなわち、スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を選択的にターンオン又はターンオフさせることができる。スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御することで、バッテリーパック10内に相異なる回路を形成することができる。
【0060】
より具体的に、スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御することで、以下のような多様な回路を形成することができる。
【0061】
スイッチ駆動部160は、第1スイッチングモードにおいて、第1スイッチSW1をターンオンさせ、第2スイッチSW2をターンオフさせることで、第1回路(図3のCC1)を形成することができる。第1回路CC1は、第1電圧分配部110が正極端子Nに連結され、第2電圧分配部120が負極端子Nから分離される回路を意味する。
【0062】
スイッチ駆動部160は、第2スイッチングモードにおいて、第1スイッチSW1をターンオフさせ、第2スイッチSW2をターンオンさせることで、第2回路(図4のCC2)を形成することができる。第2回路CC2は、第1電圧分配部110が正極端子Nから分離され、第2電圧分配部120が負極端子Nに連結された回路を意味する。
【0063】
スイッチ駆動部160は、第3スイッチングモードにおいて、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を全てターンオンさせることで、第3回路(図示せず)を形成することができる。第3回路は、第1電圧分配部110が正極端子Nに連結され、第2電圧分配部120が負極端子Nに連結された回路を意味する。
【0064】
また、スイッチ駆動部160は、第4スイッチングモードにおいて、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を全てターンオフさせることで、第4回路(図示せず)を形成することができる。第4回路は、第1基準抵抗112が正極端子Nに連結されておらず、第2基準抵抗122が負極端子Nに連結されていない回路を意味する。
【0065】
スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2とは独立的に安全スイッチSW3を制御することができる。
【0066】
電圧測定部150は、バッテリー20の端子電圧VBatを測定する。そのため、電圧測定部150は、第1スイッチSW1と第1電圧分配部110との間の接続点及び第2スイッチSW2と第2電圧分配部120との間の接続点それぞれに電気的に連結される。バッテリー20の端子電圧VBatは、第3スイッチングモードの実行中に電圧測定部150によって測定される。または、電圧測定部150とは別に設けられた電圧センサ(図示せず)がバッテリー20の端子電圧VBatを測定し、測定された端子電圧VBatを示す測定信号をコントローラ170に出力しても良い。
【0067】
電圧測定部150は、第1共通ノードNC1と接地との間に印加される電圧(以下、「第1検出電圧」または「V」とする)及び第2共通ノードNC2と接地との間に印加される電圧(以下、「第2検出電圧」または「V2」とする)それぞれを同時にまたは異時に測定することができる。第1検出電圧は第1基準抵抗112の両端電圧と同一であり、第2検出電圧は第2基準抵抗122の両端電圧とVDCとの和と同一であり得る。
【0068】
電圧測定部150は、第1共通ノードNC1に連結される第1入力ポートIN1及び第2共通ノードNC2に連結される第2入力ポートIN2を含むことができる。電圧測定部150は、電圧センサ及びADC(Analog-Digital Converter)を含むことができる。電圧センサは、第1入力ポートIN1に形成された電位に対応するアナログ信号及び第2入力ポートIN2に形成された電位に対応するアナログ信号をADCに出力する。ADCは、第1入力ポートIN1に形成された電位に対応するアナログ信号をデジタル信号に変換し、第2入力ポートIN2に形成された電位に対応するアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。
【0069】
コントローラ170は、電圧測定部150及びスイッチ駆動部160に動作可能に結合される。コントローラ170は、電圧測定部150から出力される測定信号に基づいて、スイッチ駆動部160を制御する。コントローラ170は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサ、その他の機能を実行するための電気的ユニットのうち少なくとも一つを用いて具現され得る。また、コントローラ170にはメモリが内蔵され得る。前記メモリは、前記装置100の全般的な動作に求められるデータ、命令語及びソフトウェアをさらに保存し得る。メモリは、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(solid state disk)、SDD(silicon disk drive)、マルチメディアマイクロカード、RAM(random access memory)、SRAM(static RAM)、ROM(read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)、PROM(programmable ROM)のうち少なくとも一つの形態の保存媒体を含み得る。
【0070】
以下、図3図5を参照して本発明によるバッテリー漏電検出装置100が第1絶縁抵抗11の抵抗値と第2絶縁抵抗12の抵抗値をそれぞれ算出するプロセスについて詳しく説明する。以下、第1絶縁抵抗11の抵抗値を「第1絶縁抵抗値」または「RLeak(+)」と称し、第2絶縁抵抗12の抵抗値を「第2絶縁抵抗値」または「RLeak(-)」と称することにする。
【0071】
図3は、第1スイッチングモードによってバッテリーパック10内に形成される第1回路CC1を概略的に示した回路図である。第1スイッチングモードの開始時点からある程度の時間が経過すれば、寄生キャパシタCP(+)、CP(-)によってそれ以上第1検出電圧が経時的に変化しない安定化状態になる。したがって、説明の便宜上、寄生キャパシタCP(+)、CP(-)は省略することにする。
【0072】
図3を参照すれば、Iは第1保護抵抗111から前記第1基準抵抗112に流れる電流であり、Iは正極端子Nから第1絶縁抵抗11に流れる電流であり、Iは第2絶縁抵抗12から負極端子Nに流れる電流である。
【0073】
すると、第1検出電圧Vは、下記の数式1のように表すことができる。
【数1】
【0074】
数式1をIに対して整理すれば、下記の数式2のように表すことができる。
【数2】
【0075】
そして、第1電圧分配部110と第1絶縁抵抗11とは電気的に並列で連結されるため、下記の数式3のような関係が成立する。
【数3】
【0076】
数式2を用いて数式3を整理すれば、下記の数式4を導出することができる。
【数4】
【0077】
一方、第1回路CC1にキルヒホッフ(Kirchhoff)の電流法則を適用すれば、下記の数式5が導出される。
【数5】
【0078】
数式2及び数式4を数式5に代入してIに対して整理すれば、下記の数式6のように表すことができる。
【数6】
【0079】
一方、バッテリー20の端子電圧がVBatである場合、第1回路CC1にキルヒホッフの電圧法則を適用すれば、下記の数式7に含まれた第一行の方程式が導出される。そして、第一行の方程式を数式4及び数式6を通じて得られたI及びIを用いて整理すれば、下記の数式7に含まれた最後の行の方程式を誘導することができる。
【数7】
【0080】
数式7に含まれた最後の行の方程式は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗RLeak(-)を算出するために必要な二つの回路方程式のうち一つである。
【0081】
図4は、第2スイッチングモードによってバッテリーパック10内に形成される第2回路CC2を概略的に示した回路図である。上述した第1スイッチングモードと同様に、第2スイッチングモードの開始時点からある程度の時間が経過すれば、寄生キャパシタCP(+)、CP(-)によってそれ以上第2検出電圧が経時的に変化しない安定化状態になる。したがって、説明の便宜上、寄生キャパシタCP(+)、CP(-)は省略することにする。
【0082】
図4を参照すれば、Iは第2基準抵抗122から第2保護抵抗121に流れる電流であり、Iは第2絶縁抵抗12から負極端子Nに流れる電流であり、Iは正極端子Nから第1絶縁抵抗11に流れる電流である。
【0083】
すると、第2検出電圧Vは、下記の数式8のように表すことができる。
【数8】
【0084】
数式8をIに対して整理すれば、下記の数式9のように表すことができる。
【数9】
【0085】
そして、第2絶縁抵抗12は、第2電圧分配部120と直流電圧源140との直列回路に電気的に並列で連結されるため、下記の数式10のような関係が成立する。
【数10】
【0086】
数式9を用いて数式10を整理すれば、下記の数式11を導出することができる。
【数11】
【0087】
一方、第2回路CC2にキルヒホッフの電流法則を適用すれば、下記の数式12が導出される。
【数12】
【0088】
数式9及び数式11を数式12に代入してIに対して整理すれば、下記の数式13のように表すことができる。
【数13】
【0089】
一方、バッテリー20の端子電圧がVBatである場合、第2回路CC2にキルヒホッフの電圧法則を適用すれば、下記の数式14に含まれた第一行の方程式が導出される。そして、第一行の方程式を数式11及び数式13を通じて得られたI及びIを用いて整理すれば、下記の数式14に含まれた最後の行の方程式を誘導することができる。
【数14】
【0090】
数式14に含まれた最後の行の方程式は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)を算出するための二つの回路方程式のうち他の一つである。
【0091】
数式7の最後の行の方程式及び数式14の最後の行の方程式を含む連立方程式の解は、下記の数式15のように表すことができる。
【数15】
【0092】
数式15において、R、R及びVDCのそれぞれは予め決められたものであり、VBat、V及びVのそれぞれは電圧測定部150によって測定されるものである。電圧測定部150は、VBat、V及びVのそれぞれを示す測定信号をコントローラ170に出力する。V及びVのそれぞれは、VBatの測定時点前後の予め決められた期間(例えば、5秒)内に測定される。
【0093】
コントローラ170は、電圧測定部150から出力された測定信号が示すVBat、V及びVに基づいて、上記の数式15を用いて第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)をそれぞれ算出することができる。
【0094】
コントローラ170は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)の少なくとも一つを与えられた臨界抵抗値と比べて、バッテリー20と接地との間の第1絶縁抵抗11及び第2絶縁抵抗12を診断する。すなわち、コントローラ170は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)または第2絶縁抵抗値RLeak(-)が臨界抵抗値以下になるか否かをモニタリングする。
【0095】
バッテリー漏電検出装置100は、外部デバイス(例えば、車両のECU)との通信のための通信部181をさらに含むことができる。この場合、コントローラ170は、第1絶縁抵抗11及び第2絶縁抵抗12の診断結果を通信部181を通じて外部デバイス30に伝送することができる。
【0096】
バッテリー漏電検出装置100は、第1絶縁抵抗11及び第2絶縁抵抗12の診断結果に対応する情報を視覚的または聴覚的に出力する警告部182をさらに含むことができる。この場合、コントローラ170は、バッテリー20と接地との絶縁が良好に維持されない場合、警告部182を通じて警告メッセージを出力することができる。一例として、警告部182は、LED、LCD、アラーム警報機またはこれらの組合せを含み得る。
【0097】
コントローラ170は、上述した数式15を用いた絶縁抵抗算出及び多様な制御ロジックを実行するために本発明が属した技術分野に知られたプロセッサ、ASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを含み得る。
【0098】
図5は、本発明の一実施形態によってバッテリーと接地との間の絶縁抵抗値を算出するための例示的な方法を示したフロー図である。図5の方法は所定時間毎に繰り返して行われ得る。
【0099】
図5を参照すれば、段階S500において、コントローラ170は、電圧測定部150からバッテリー20の端子電圧VBatを示す測定信号を受信する。
【0100】
段階S510において、コントローラ170は、第1スイッチングモードを実行する。第1スイッチングモードにおいて、スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1に第1スイッチング信号(例えば、予め決められたハイレベルの電圧)を出力し、第2スイッチSW2に第2スイッチング信号(例えば、予め決められたローレベルの電圧)を出力する。これによって、第1スイッチSW1は第1スイッチング信号に応答してターンオンされ、第2スイッチSW2は第2スイッチング信号に応答してターンオフされる。
【0101】
段階S520において、コントローラ170は、第1スイッチングモードの実行中に電圧測定部150から第1検出電圧Vを示す測定信号を受信する。すなわち、第1検出電圧Vは、第1スイッチングモードの実行中に電圧測定部150によって測定されたものである。
【0102】
段階S530において、コントローラ170は、第2スイッチングモードを実行する。第2スイッチングモードにおいて、スイッチ駆動部160は、第1スイッチSW1に第2スイッチング信号を出力し、第2スイッチSW2に第1スイッチング信号を出力する。これによって、第1スイッチSW1は第2スイッチング信号に応答してターンオフされ、第2スイッチSW2は第1スイッチング信号に応答してターンオンされる。
【0103】
段階S540において、コントローラ170は、第2スイッチングモードの実行中に電圧測定部150から第2検出電圧Vを示す測定信号を受信する。すなわち、第2検出電圧Vは、第2スイッチングモードの実行中に電圧測定部150によって測定されたものである。
【0104】
段階S550において、コントローラ170は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)をそれぞれ算出する。この場合、コントローラ170は、数式15を用いて、VBat、V及びVに基づいて、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)をそれぞれ算出することができる。コントローラ170は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)をメモリに保存することができる。
【0105】
図6及び図7は本発明の他の実施形態によってバッテリー漏電を検出するための例示的な方法を示したフロー図であり、図8及び図9図6及び図7に示された方法の説明に参照される例示的なグラフである。図6及び図7の方法は、図5に示された方法によって第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)がそれぞれ算出された後行われるものであり、前記所定時間毎に1回ずつ繰り返して実行されても良い。
【0106】
図6及び図7を参照すれば、段階S600において、コントローラ170は、代表絶縁抵抗値が予め決められた臨界抵抗値(図8及び図9のRTH参照)より大きいか否かを判断する。前記代表絶縁抵抗値は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)のいずれか一つ、例えば第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)のうちより小さいものであり得る。段階S600の値が「はい」である場合、段階S605に進む。段階S600の値が「いいえ」である場合、すなわち前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下である場合、段階S650に進む。
【0107】
段階S605において、コントローラ170は、フォールトカウントを初期化する。前記フォールトカウントは、初期化によって特定値、例えば0に設定され得る。前記フォールトカウントは、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下に連続して算出された回数を示すものであり得る。
【0108】
段階S610において、コントローラ170は、絶縁抵抗値の差が予め決められた基準差より小さいか否かを判断する。前記絶縁抵抗値の差は、前回の代表絶縁抵抗値と前記代表絶縁抵抗値との差である。すなわち、絶縁抵抗値の差は、|前回の代表絶縁抵抗値-代表絶縁抵抗値|である。
【0109】
バッテリー20と接地との間の絶縁が破壊されているか又は電圧測定部150に一時的な誤謬が発生している非常に短い時間にV及びVの少なくとも一つが測定された場合、第1絶縁抵抗値RLeak(+)または第2絶縁抵抗値RLeak(-)は前記臨界抵抗値に向かって急激に小さくなるか又は大きくなり得る。したがって、前記絶縁抵抗値の差が前記基準差以上であるということは、次回に決定される代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下になる可能性があることを示す。
【0110】
段階S610の値が「はい」である場合、段階S620に進む。段階S610の値が「いいえ」である場合、段階S630に進む。
【0111】
段階S620において、コントローラ170は、診断フラグに第1値(例えば、0)を割り当てる。前記第1値は、前記代表絶縁抵抗値が有効であることを示す。また、前記第1値が診断フラグに割り当てられるということは、診断フラグが初期化されることを意味する。
【0112】
段階S630において、コントローラ170は、診断フラグに第2値(例えば、1)を割り当てる。前記第2値は、前記代表絶縁抵抗値が非有効であることを示す。
【0113】
段階S642において、コントローラ170は、前記診断フラグに前記第2値が割り当てられているか否かを判断する。前記診断フラグに前記第2値が割り当てられているということは、前回に段階S630が実行されたことを意味する。一方、前記診断フラグに前記第2値が割り当てられていないということ、すなわち前記第1値が割り当てられているということは、前回に段階S620が実行されたことを意味する。段階S642の値が「はい」である場合、段階S644に進む。段階S642の値が「いいえ」である場合、本方法は終了する。
【0114】
段階S644において、コントローラ170は、カウントインジケーターを活性化する。
【0115】
図7を参照すれば、上述したのように、段階S650は、段階S600の値が「いいえ」であるときに実行される。段階S650において、コントローラ170は、前記フォールトカウントを増加させる。すなわち、コントローラ170は、前記代表絶縁抵抗値が前記臨界抵抗値以下であると判断される度に前記フォールトカウントを増加させる。前記フォールトカウントは、コントローラ170内で毎回アップデートされる値であり、前記代表絶縁抵抗値が現在まで連続して前記臨界抵抗値以下に判断された回数を示す。
【0116】
段階S660において、コントローラ170は、前記カウントインジケーターが活性化しているか否かを判断する。段階S660の値が「いいえ」である場合、段階S670に進む。段階S660の値が「はい」である場合、段階S680に進む。
【0117】
段階S670において、コントローラ170は、前記カウントインジケーターが活性化していない場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第1カウント以上であるか否かを判断する。段階S650で前記フォールトカウントが1ずつ増加されるようにプログラミングされた場合、前記第1カウントは2以上(望ましくは3以上)であり得る。段階S670の値が「はい」である場合、段階S690に進む。段階S670の値が「いいえ」である場合、図6及び図7による方法は終了し得る。
【0118】
段階S680において、コントローラ170は、前記カウントインジケーターが活性化している場合、増加された前記フォールトカウントが予め決められた第2カウント以上であるか否かを判断する。このとき、前記第2カウントは、前記第1カウントより小さい。例えば、段階S650で前記フォールトカウントが1ずつ増加されるようにプログラミングされ、前記第1カウントが10であれば、前記第2カウントは1~9のうちいずれか一つであり得る。段階S680の値が「はい」である場合、段階S690に進む。段階S680の値が「いいえ」である場合、図6及び図7による方法は終了し得る。
【0119】
段階S670または段階S680の値が「はい」であるということは、前記バッテリーの漏電が検出されたことを意味する。したがって、段階S690において、コントローラ170は、予め決められた保護動作を実行する。一例として、前記保護動作は、絶縁抵抗値の通知を含む。すなわち、コントローラ170は、第1絶縁抵抗値RLeak(+)及び第2絶縁抵抗値RLeak(-)を示す信号を通信部181を通じて外部デバイス30に伝送し得る。他の例として、前記保護動作は、警告を含む。すなわち、コントローラ170は、警告部182を通じて前記警告メッセージを出力し得る。また他の例として、前記保護動作は、安全スイッチSW3のターンオフを含む。すなわち、コントローラ170は、スイッチ駆動部160を用いて安全スイッチSW3をターンオフし得る。
【0120】
図8及び図9は、前記所定時間が10秒、前記第1カウントが3、前記第2カウントが2でそれぞれ設定された場合に、時間に応じた前記代表絶縁抵抗値の例示的な変化を示している。前記所定時間が10秒であるため、i=1~6とすれば、ti+1-t=10秒である。以下、時点tで算出される代表絶縁抵抗値が(t-3秒)~(t-1秒)の時間範囲で測定されたVBat、V及びVに基づいたものであると仮定しよう。
【0121】
図8のグラフは、時間に応じた前記代表絶縁抵抗値の例示的な変化を示している。図8を参照すれば、時点T1から時点T2までの期間は、バッテリー20と接地との間で絶縁破壊が生じた期間または電圧測定部150に一時的な誤謬が発生している期間を示す。このとき、時点T2が時点(t-3秒)より早ければ、tで算出された代表絶縁抵抗値はT1からT2までの期間内で発生した状況の影響を受けないと言える。これによって、前記第1カウントがバッテリー漏電診断に活用される。したがって、前記代表絶縁抵抗値が時点t、時点t、時点tで連続して3回(=第1カウント)前記臨界抵抗値以下になることに応答して、コントローラ170は前記保護動作を実行することができる。
【0122】
図9のグラフは、時間に応じた前記代表絶縁抵抗値の例示的な変化を示している。図9を参照すれば、時点T3から時点T4までの期間は、バッテリー20と接地との間で絶縁破壊が生じた期間または電圧測定部150に一時的な誤謬が発生している期間を示す。図8と異なって、時点T4が時点(t-3秒)より遅ければ、tで算出された代表絶縁抵抗値がT3からT4までの期間内で発生した状況の影響を受けるため、tで算出された代表絶縁抵抗値とtで算出された代表絶縁抵抗値との差、すなわち前記絶縁抵抗値の差ΔRが前記基準差以上になり得る。これによって、前記カウントインジケーターが活性化され、前記第1カウントの代わりに、前記第1カウントより小さい前記第2カウントがバッテリー漏電診断のために活用される。前記代表絶縁抵抗値が時点t4と時点t5で連続して2回(=第2カウント)前記臨界抵抗値以下になることに応答して、コントローラ170は前記保護動作を実行することができる。
【0123】
上述した本発明の実施形態は、装置及び方法のみによって具現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じても具現され得、このような具現は上述した実施形態の記載から当業者であれば容易に具現できるであろう。
【0124】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0125】
また、上述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であって、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、多様な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9