(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】炊飯用油脂組成物及び米飯類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20220107BHJP
A23D 9/013 20060101ALI20220107BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20220107BHJP
【FI】
A23D9/00 518
A23D9/013
A23L7/10 B
(21)【出願番号】P 2017028689
(22)【出願日】2017-02-20
【審査請求日】2019-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2016036677
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106448
【氏名又は名称】中嶋 伸介
(72)【発明者】
【氏名】恵京 敦史
(72)【発明者】
【氏名】葉桐 宏厚
(72)【発明者】
【氏名】今義 潤
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-339317(JP,A)
【文献】特開平03-175940(JP,A)
【文献】特開2014-209887(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132079(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L7
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂、
ショ糖脂肪酸エステルを0.05質量%以上1.2質量%以下、
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.01質量%以上1.5質量%以下、
ソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2質量%以下、及び
ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2質量%以上2質量%以下
含有
し、
前記食用油脂は、ヨウ素価が60以上の油脂から選ばれる一種又は二種以上を60質量%以上含み、そして油脂組成物中の前記食用油脂の含量は88質量%以上であることを特徴とする炊飯の
冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項2】
前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量の上限が0.8質量%であり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量の下限が0.4質量%であり、前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量の上限が0.38質量%であり、そして、前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量の上限が0.80質量%である、請求項1に記載の炊飯の
冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項3】
前記
ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が不飽和脂肪酸である、請求項1又は2に記載の炊飯の
冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項4】
前記
ショ糖脂肪酸エステルの不飽和脂肪酸が、オレイン酸及びエルカ酸から選ばれる1種又は2種である、請求項
3に記載に記載の炊飯の
冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項5】
前記
ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸が不飽和脂肪酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載の炊飯の
冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項6】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が不飽和脂肪酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の炊飯の冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項7】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度が4以上8以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の炊飯の冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の炊飯の冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物を、生米100質量部に0.2質量部以上4質量部以下添加し、炊飯することを特徴とする、冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制する米飯類の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の炊飯の冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制するための油脂組成物を、炊飯時に生米に添加することを特徴とする、米飯類の冷蔵保存での異風味、老化風味及び老化食感を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯用油脂組成物及び米飯類の製造方法に関し、詳しくは炊飯用油脂組成物を炊飯時に添加することにより、米飯類の老化を抑制できる炊飯用油脂組成物及び米飯類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯用油脂組成物としては、例えば、油脂にレシチンを配合する方法(特許文献1)、ポリグリセリン縮合リシノレインエステルを配合する方法(特許文献2)、有機酸モノグリセリドを配合する方法(特許文献3)、あるいはこれらの乳化剤を併用する方法(特許文献4、5)が提案されている。しかし、これらの組成物は、油脂が米飯中に均一に分散し難く、また、米飯の老化抑制効果についての開示がない。
【0003】
また、特許文献6には、特定のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと特定のショ糖脂肪酸エステルを必須とし、グリセリン重合度4以上10以下の特定のポリグリセリン脂肪酸エステル、特定のグリセリンモノ脂肪酸エステル及び特定のソルビタン脂肪酸エステルのうち一種又は二種以上を特定量含有する炊飯用油脂組成物が開示されている。この開示によれば、液状油脂100重量部に対し、特定のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを3.0~5.0重量部配合することが必須であり、後述するように、このような配合量では、冷蔵保存時の老化抑制効果を十分に得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-175937号公報
【文献】特開平3-175940号公報
【文献】特開平7-298843号公報
【文献】特開平7-274859号公報
【文献】特開平8-154603号公報
【文献】WO2012/132079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の炊飯用油脂組成物を使用して炊飯した米飯類は、保存後(特に冷蔵保存後)の米飯類の老化抑制の効果が十分ではなかった。そこで、本発明では、米飯類の老化抑制の効果に優れた炊飯用油脂組成物を提供し、当該油脂組成物を用いた米飯類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを特定量含有する炊飯用油脂組成物が米飯類の老化抑制の効果に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、食用油脂、ショ糖脂肪酸エステルを0.05質量%以上1.5質量%以下、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.01質量%以上1.5質量%以下、及びソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2質量%以下含有することを特徴とする炊飯用油脂組成物である。
【0008】
前記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0009】
前記ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0010】
また、前記炊飯用油脂組成物は、さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05質量%以上2質量%以下含有することが好ましい。
【0011】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0012】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度は、4以上8以下であることが好ましい。
【0013】
本発明は、また、食用油脂、ショ糖脂肪酸エステルを0.05質量%以上1.5質量%以下、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.01質量%以上1.5質量%以下、及びソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2質量%以下含有する炊飯用油脂組成物を、生米100質量部に0.2質量部以上4質量部以下添加し、炊飯することを特徴とする米飯類の製造方法である。
【0014】
前記炊飯用油脂組成物は、さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05質量%以上2質量%以下含有することが好ましい。
【0015】
本発明は、また、食用油脂、ショ糖脂肪酸エステルを0.05質量%以上1.5質量%以下、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.01質量%以上1.5質量%以下、及びソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2質量%以下含有する炊飯用油脂組成物を炊飯時に添加する、米飯類の老化の抑制をする方法である。
【0016】
前記炊飯用油脂組成物は、さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05質量%以上2質量%以下含有することが好ましい。
【0017】
前記米飯類の老化の抑制が冷蔵保存での老化の抑制であることが好ましい。本発明の冷蔵の温度は、0℃より高く10℃以下の温度を意味する。
【発明の効果】
【0018】
米飯類の炊飯時に本発明の炊飯用油脂組成物を使用することにより、老化耐性に優れた米飯類の炊飯物を得ることができ、特に冷蔵保存された米飯類の炊飯物の老化の抑制において効果的である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の炊飯用油脂組成物は、食用油脂に、さらにショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを特定量含むことを特徴とする。
【0020】
前記ショ糖脂肪酸エステルとはショ糖に脂肪酸がエステル結合したものである。脂肪酸は特に問わないが、好ましくは不飽和脂肪酸であり、より好ましくはオレイン酸及びエルカ酸から選ばれる1種又は2種である。
【0021】
前記ショ糖脂肪酸エステルの含量は、0.05質量%以上1.5質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上1.2質量%以下であり、より好ましくは0.15質量%以上0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下であり、最も好ましくは0.3質量%以上0.5質量%以下である。
【0022】
前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとは、ポリグリセリンと縮合リシノレイン酸がエステル結合したものである。前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含量は、0.01質量%以上1.5質量%以下であり、好ましくは0.03質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上0.45質量%以下であり、最も好ましくは0.13質量%以上0.38質量%以下である。
【0023】
前記ソルビタン脂肪酸エステルとは、ソルビタンに脂肪酸がエステル結合したものである。脂肪酸は特に問わないが、好ましくは不飽和脂肪酸であり、より好ましくはオレイン酸である。
【0024】
前記ソルビタン脂肪酸エステルの含量は、0.01質量%以上2質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上1.6質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1.4質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以上0.8質量%以下であり、最も好ましくは0.08質量%以上0.5質量%以下である。
【0025】
本発明の炊飯用油脂組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンに脂肪酸がエステル結合したものである。脂肪酸は特に問わないが、好ましくは不飽和脂肪酸であり、より好ましくはオレイン酸である。また、グリセリン重合度は、好ましくは4以上8以下であり、より好ましくは4以上7以下であり、さらに好ましくは5以上7以下であり、最も好ましくは5である。また、親水性親油性バランス(HLB)は4~9であることが好ましく、5~8であることがさらに好ましい。HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。
【0026】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量は、好ましくは0.05質量%以上2質量%以下であり、より好ましくは0.12質量%以上1.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上1.8質量%以下であり、最も好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下である。
【0027】
本発明の炊飯用油脂組成物に用いられる食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カボック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。作業性の点から、25℃において液状の油脂であることが好ましい。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、パームオレイン、米油、ヒマワリ油、胡麻油等のヨウ素価が60以上の油脂及び中鎖脂肪酸から選ばれる一種又は二種以上の配合量を、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、上限は特にないが、100質量%以下である。
【0028】
前記炊飯用油脂組成物中の前記食用油脂の含量は、好ましくは88質量%以上であり、さらに好ましくは92質量%以上である。油脂含量の上限は、特に限定されないが、油脂及び乳化剤の合計が100質量%以下となるようにする。また、前記炊飯用油脂組成物中の水の含量は、例えば、1質量%以下が好ましい。
【0029】
前記炊飯用油脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の食用油脂に用いられる添加剤が含まれていても良い。具体的には、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ-オリザノール、シリコーン、トコフェロール等が挙げられる。
【0030】
前記炊飯用油脂組成物の生米に対する添加量は、生米100質量部に0.2質量部以上4質量部以下が好ましく、0.2質量部以上2.5質量部以下がより好ましい。所定の添加量とすることで、老化耐性に優れた米飯類を得ることができる。
【0031】
本発明の炊飯用油脂組成物は、生米の炊飯前に添加する。好ましくは、生米に水を加えた後に本発明の炊飯用油脂組成物を添加する。このようにすることで、風味良好で、老化耐性に優れた米飯類を得ることができる。
【0032】
本発明の米飯類とは、通常の米以外に、小豆等の豆類、ひえ、粟、麦等の雑穀類、グルコマンナンやカルシウム、鉄等の栄養機能成分を練りこみ米状に成形加工した米類似物、鶏肉等の肉類、タイ等の魚介類、油揚げ、ヒジキ等を含んでいてもよい。また、本発明の米飯類は、例えば、白ごはん、赤飯、酢飯、炊き込みご飯等である。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
【0034】
菜種油は本発明の炊飯用油脂組成物のベース油となる食用油脂であり、株式会社J-オイルミルズ社製のものを使用した。また、使用した乳化剤を表1に記載した。
【0035】
【0036】
(分散性の評価)
生米(新潟産コシヒカリ)400gを洗米し、25℃の水に浸漬した。90分後、ざるに移して水を切った。この米に水を足して全量を970gとして炊飯試料とした。炊飯用油脂組成物にβカロチン製剤(ライオン株式会社製)1質量%を加熱溶解し、赤色に着色した前記炊飯用油脂組成物4gを、前記炊飯試料に加え、家庭用電気炊飯器にて炊飯した。ご飯をバットにあけ、着色程度で分散性を評価した。
○:分散性が非常に良い
△:分散性が良い
×:分散性が悪い
【0037】
(ご飯の食味評価)
生米(新潟産コシヒカリ)400gを洗米し、25℃の水に浸漬した。90分後、ざるに移して水を切った。この米に水を足して全量を970gとして炊飯試料とした。炊飯用油脂組成物4gを、前記炊飯試料に加え、家庭用電気炊飯器にて炊飯した。炊飯後、釜底1cm以上のご飯を軽くほぐし、真空冷却(23℃)した。パックにご飯をつめ、蓋をした。20℃で1日保管後(以下、「D+1」という)、又は4℃で4日保管後(以下、「D+4」という)に食して、下記評価基準で評価をおこなった。なお、D+4は、電子レンジで約65℃に温めた後、評価をおこなった。
(風味)
◎:違和感無くご飯本来の風味が強い
○:違和感無く良好
△:やや異風味がある
×:異風味がある
(老化風味)
◎:老化風味がない
○:老化風味がほとんどない
△:老化風味が少しある
×:老化風味がある
(老化食感)
◎:老化食感がない
○:老化食感がほとんどない
△:老化食感が少しある
×:老化食感がある
【0038】
表2に示した配合で炊飯用油脂組成物を調製した。調製した炊飯用油脂組成物を用いて、分散性の評価とご飯の食味評価をおこなった。結果を表2に示す。
【0039】
【0040】
炊飯用油脂組成物にショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルを所定量配合することで、20℃、及び4℃保存の老化抑制が良好で、さらに、4℃保存の風味が良好なご飯を得ることができた。さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることで、特に、4℃保存の老化抑制の効果が高かった。
一方、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルのいずれか一種を含有しない場合には風味が好ましくなく、また、老化抑制が充分でない場合があった。
【0041】
(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの配合量の検討)
表3に示した配合の炊飯用油脂組成物を用いて、比較例2-1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
【0042】
【0043】
炊飯用油脂組成物にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.05質量%以上0.4質量%以下含有させた場合には、風味が良好で、老化の抑制されたご飯を得ることができた。特に、0.2質量%含有させた場合には、20℃保存、4℃保存のいずれにおいても、老化抑制の効果が高かった。
一方、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを3質量%含有させた場合には、冷蔵保存時の老化抑制の効果が充分ではなかった。
【0044】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量の検討)
表4に示した配合の炊飯用油脂組成物を用いて、比較例2-1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
【0045】
【0046】
炊飯用油脂組成物にポリグリセリン脂肪酸エステルを0質量%以上1.8質量%以下含有させることで、良好なご飯を得ることができた。冷蔵保存時の老化抑制効果の点では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2質量%以上0.6質量%以下とすることが良いとわかった。また、20℃保存及び4℃保存における風味の点では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.6質量%以上1.8質量%以下とすることが良いとわかった。
【0047】
(ショ糖脂肪酸エステルの配合量の検討)
表5に示した配合の炊飯用油脂組成物を用いて、比較例2-1と同様に評価した。その結果を表5に示す。
【0048】
【0049】
炊飯用油脂組成物にショ糖脂肪酸エステルを0.2質量%以上1.2質量%以下含有させた場合に、20℃保存及び4℃保存における老化抑制の効果が得られることがわかった。一方、ショ糖脂肪酸エステルを含有しない場合には、4℃保存で老化風味が感じられた。
【0050】
(ソルビタン脂肪酸エステルの配合量の検討)
表6に示した配合の炊飯用油脂組成物を用いて、比較例2-1と同様に評価した。その結果を表6に示す。
【0051】
【0052】
炊飯用油脂組成物にソルビタン脂肪酸エステルを0.1質量%以上1.2質量%以下含有させた場合に、風味等良好なご飯を得ることができた。特に20℃保存での老化抑制の効果の点で、ソルビタン脂肪酸エステルを0.1質量%以上0.2質量%以下含有させることが良いとわかった。
一方、ソルビタン脂肪酸エステルを含有しない場合には、風味の点で難があった。
【0053】
実施例2-2で得られたご飯を用いて、おにぎり成形機でおにぎりを作製したところ、問題なくおにぎりを作ることができた。
【0054】
(ショ糖脂肪酸エステルの比較)
本発明の炊飯用油脂組成物に配合するショ糖脂肪酸エステルを変更する試験を行った。具体的は、表7に示した配合で炊飯用油脂組成物を調製した。調製した炊飯用油脂組成物を用いて、比較例2-1と同様に、ご飯の食味評価をおこなった。結果を表7に示す。
【0055】
【0056】
実施例7-2は、実施例7-1のO-170(脂肪酸がオレイン酸)に代えて、ER290(脂肪酸がエルカ酸)を用いた。ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸をオレイン酸からエルカ酸に変更しても、米飯類の老化を抑制できることが確認された。特に、エルカ酸(実施例7-2)は、炊飯1日後の老化食感がオレイン酸(実施例7-1)よりもさらに良好である点で、総合的に優れるといえる。