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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220107BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20220107BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H01L29/78 301H
H01L29/78 301G
H01L21/265 602B
H01L21/324 Z
H01L21/316 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017064970
(22)【出願日】2017-03-29
(65)【公開番号】P2018170332
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊太朗
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004952(JP,A)
【文献】特開2004-119860(JP,A)
【文献】特開2007-027175(JP,A)
【文献】特開2009-295890(JP,A)
【文献】特開2013-225682(JP,A)
【文献】特開2002-033477(JP,A)
【文献】特開2008-192723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0188767(US,A1)
【文献】特開平03-209876(JP,A)
【文献】米国特許第06331458(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/265
H01L 21/324
H01L 21/316
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表層部に設けられたウエル領域と、
前記ウエル領域の表層部に互に離間して配置されたソース領域及びドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたチャネル領域と、
前記チャネル領域上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを備え、
前記ゲート電極のゲート長は、0.2μm以上1.5μm未満であり、
前記チャネル領域は、チャネル不純物としてインジウムを含み、
前記チャネル領域の表面と前記チャネル不純物の濃度分布ピーク位置との距離は、20nm以上70nm以下であり、
前記チャネル不純物の濃度は、前記チャネル不純物の濃度ピーク位置から前記チャネル領域の表面に向かうまで連続して減少する半導体装置。
【請求項2】
前記チャネル領域の界面準位密度は、3.0×10cm-2以上1.0×1010cm-2未満である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極の側面に設けられたサイドウォールスペーサと、
前記ゲート電極、前記ソース領域及び前記ドレイン領域のそれぞれの表面に設けられたシリサイド層とを更に備える請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の表層部にウエル不純物をイオン注入する工程と、
前記半導体基板の表層部に、チャネル不純物としてインジウムイオンを注入する工程と、
前記ウエル不純物及び前記インジウムイオンを注入した後の前記半導体基板に第1の熱処理を施す工程と、
前記第1の熱処理が施された前記半導体基板の表層部上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を形成する工程の後に、前記ポリシリコン膜が形成された前記半導体基板に第2の熱処理を施す工程と、
前記ポリシリコン膜にゲート不純物をイオン注入し、前記ポリシリコン膜をパターニングし、前記半導体基板に第3の熱処理を施して電極幅が0.2μm以上1.5μm未満のゲート電極を形成する工程とを備え
前記ゲート電極下の前記半導体基板の表面と前記チャネル不純物の濃度分布ピーク位置との距離が、20nm以上70nm以下であり、
前記チャネル不純物の濃度ピーク位置から前記半導体基板の表面に向かうまで連続して減少する、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2の熱処理は、965℃以上1125℃以下の温度で行う請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の熱処理は、15秒以上60秒以下の範囲で行う請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極をマスクにして、前記半導体基板の表層部にエクステンション不純物をイオン注入し、第4の熱処理を施して前記エクステンション不純物を含むエクステンション領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の側面にサイドウォールスペーサを形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記サイドウォールスペーサをマスクにして、コンタクト不純物を前記エクステンション不純物よりも深く注入し、前記半導体基板に第5の熱処理を施すことにより、コンタクト不純物を含むコンタクト領域を形成する工程とを更に備える請求項4から6の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート電極及び前記コンタクト領域のそれぞれの表面にシリサイド層を形成する工程を更に備える請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、アナログ回路を構成する絶縁ゲート型電界効果トランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に搭載されるアナログ回路では、絶縁ゲート型電界効果トランジスタとして例えばMOSFETが使用されている。アナログ回路の高性能化を図るためには、MOSFETの1/fノイズを低減することが有効である。そして、MOSFETの1/fノイズを低減するためには、
(1)ゲート絶縁膜とシリコン基板との界面準位密度の低減
(2)チャネル領域での深さ方向と横方向の両方の不純物濃度低減
(3)ゲート電極の仕事関数ばらつき低減
(4)寄生抵抗の低減
などが有効であることが知られている。
【0003】
特許文献1には、界面準位密度を低減する手法として、ゲート電極となるポリシリコン膜を成膜した後にランプアニールを追加する手法(以下、追加ランプアニールと呼ぶ)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-4952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らは、追加ランプアニールの手法においては、上記「(2)チャネル領域での深さ方向と横方向の両方の不純物濃度低減」に関して好ましくない影響を与えることを見出した。nチャネル導電型MOSFETのチャネル領域を形成するためのチャネル不純物イオンとしては、二フッ化ボロンイオン(BF )を使用することが多い。図17に、追加ランプアニール処理の有無について、チャネル領域でのボロンの深さ方向濃度分布をシミュレーションで調べた結果を示す。ここでは、追加ランプアニールを、1100℃で60秒間とする条件で行った。図中、C1が追加ランプアニール無しの場合のデータ、C2が追加ランプアニール有りの場合のデータである。
【0006】
図17に示すように、追加ランプアニールにより、ゲート絶縁膜とシリコン基板との界面(ゲート絶縁膜と接するシリコン基板表面:ゲート絶縁膜/Si界面)でボロン濃度が増加することが分かる(データC2)。また、ボロンの横方向濃度分布に関しては、エクステンション領域およびソース、ドレイン領域の形成時の不純物イオン注入の影響を受ける。この不純物イオン注入によりシリコン基板内で格子間シリコン(Si)が放出され、その後の活性化アニールで過渡増速拡散(Transient enhanced diffusion:TED)が起こり、ボロンがソース領域及びドレイン領域のそれぞれの端部(エクステンション領域の端部)に偏析する。チャネル領域のボロンと格子間シリコンとの分布の重なりが大きいほど、ボロンイオンのTEDが起こり易くなる。
【0007】
追加ランプアニールにより、更なるノイズ低減効果を得るためには、チャネル領域を形成するためのチャネル不純物としてのボロンがゲート絶縁膜とシリコン基板との界面付近に拡散してTEDが起き易くなることを防ぐことが必要である。
本発明の目的は、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの1/fノイズを低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体基板の表層部に設けられたウエル領域と、ウエル領域の表層部に互に離間して配置されたソース領域及びドレイン領域と、ソース領域とドレイン領域との間に設けられたチャネル領域と、チャネル領域上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを備えている。そして、ゲート電極のゲート長は1.5μm未満であり、チャネル領域はチャネル不純物としてインジウムを含み、チャネル領域の表面とチャネル不純物の濃度分布ピーク位置との距離は20nm以上70nm以下である。そして、チャネル不純物の濃度分布は、チャネル不純物の濃度ピーク位置からチャネル領域の表面に向かうにつれて徐々に減少する。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の表層部にウエル不純物イオンを注入する工程と、半導体基板の表層部にチャネル不純物イオンとしてインジウムイオンを注入する工程と、ウエル不純物イオン及びインジウムイオンを注入した後の半導体基板に第1の熱処理を施す工程と、第1の熱処理が施された半導体基板の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、ポリシリコン膜を形成する工程の後に、ポリシリコン膜が形成された半導体基板に第2の熱処理を施す工程と、ポリシリコン膜にゲート不純物イオンを注入し、ポリシリコン膜をパターニングし、半導体基板に第3の熱処理を施して電極幅が1.5μm未満のゲート電極を形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、絶縁ゲート型電界効果トランジスタの1/fノイズを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す要部断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための要部断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図であって、チャネル領域のインジウムの深さ方向濃度分布をシミュレーションで調べた結果を示すグラフである。
図14】本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図であって、チャネル不純物としてインジウムを用いた場合とボロンを用いた場合との閾値電圧Vthのゲート長Lg依存性を示すグラフである。
図15】本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図であって、チャネル不純物としてボロンを用いた場合とインジウムを用いた場合のチャネル領域での界面準位密度を調べた結果を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明するための図であって、1/fノイズ特性の比較結果を示すグラフである。
図17】追加ランプアニールの有無について、チャネル領域でのボロンの深さ方向濃度分布をシミュレーションで調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
また、図面を見易くすめため、図1ではシリコン基板上の層間絶縁膜や配線の図示を省略している。
また、以下の実施形態では、絶縁ゲート型電界効果トランジスタとしてゲート絶縁膜が酸化シリコン膜からなるMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置に本発明を適用した例について説明する。
【0013】
(半導体装置の概略構成)
まず、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の概略構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体装置1は、半導体基板として、例えば単結晶のシリコン基板2を備えている。シリコン基板2は、第1導電型(n型)基板またはディープNウエルを有する第2導電型(p型)基板である。また、半導体装置1は、アナログ回路を構成する絶縁ゲート型電界効果トランジスタとして、例えばnチャネル導電型のMOSFET-Qnを備えている。MOSFET-Qnは、シリコン基板2の表層部の素子形成領域に設けられている。シリコン基板2の素子形成領域は、シリコン基板2の表層部の素子分離領域に設けられた素子分離層3によって区画され、他の素子形成領域と絶縁分離されている。素子分離層3は、これに限定されないが、例えば周知のSTI(Shallow Trench Isolation)技術によって形成されている。STI技術による素子分離層3は、シリコン基板2の表層部の素子分離領域に浅溝(例えば400nm程度の深さの溝)を形成し、その後、シリコン基板2の表層部上の全面に例えば酸化シリコン膜からなる素子分離用絶縁膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成し、その後、素子分離用絶縁膜が浅溝の内部に選択的に残るようにCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)法で平坦化することによって形成される。素子分離層3は、選択熱酸化法(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)によって形成することもできる。
【0014】
シリコン基板2の表層部の素子形成領域には、第2導電型(p型)のウエル領域5が設けられ、このウエル領域5の表層部にはMOSFET-Qnが構成されている。
MOSFET-Qnは、ウエル領域5の表層部に互いに離間して配置されたソース領域14S及びドレイン領域15Dと、ソース領域14Sとドレイン領域15Dとの間に設けられたチャネル領域6と、チャネル領域6上にゲート絶縁膜7を介して設けられたゲート電極8とを備えている。
ソース領域14Sは、n型のエクステンション領域9及びn型のコンタクト領域(ディープソース領域)12を含む構成になっている。ドレイン領域15Dは、n型のエクステンション領域10及びn型のコンタクト領域(ディープドレイン領域)13を含む構成になっている。エクステンション領域9,10は、ゲート電極8に整合して形成されている。コンタクト領域12,13は、ゲート電極8の側面に設けられたサイドウォールスペーサ11に整合して形成されている。エクステンション領域9,10は、短チャネル効果を低減するため、また、寄生抵抗を低減するために、コンタクト領域12,13よりも浅い領域に、高不純物濃度で形成されている。コンタクト領域12,13は、ソース領域及びドレイン領域に接続される配線とのコンタクト抵抗を低減する目的でエクステンション領域9,10よりも高不純物濃度で形成されている。
【0015】
チャネル領域6は、ウエル領域5の表層部に設けられたチャネル不純物層6Bのうち、ソース領域とドレイン領域との間に設けられた領域である。チャネル不純物層6Bは、MOSFET-Qnの閾値電圧Vthを調節するためにシリコン基板2の表層部に注入されたチャネル不純物イオンによって形成されている。チャネル不純物イオンとしては、p型を呈するボロンイオン(B)や二フッ化ボロン(BF )と比較して質量が大きい(拡散係数が小さい)不純物イオン、例えばインジウムイオン(In)を用いている。すなわち、チャネル領域6は、インジウムを含んでいる。チャネル領域6には、ゲート電極8に印加される電圧によって制御され、ソース領域14Sとドレイン領域15Dとを電気的に結ぶチャネル(電流経路)が形成される。
【0016】
ゲート絶縁膜7は、例えば熱酸化法による二酸化シリコン(SiO)膜で形成されている。ゲート絶縁膜7としては、シリコン酸化窒化膜(SiON)またはシリコン窒化膜(Si)や、原子層堆積法(ALD)による高誘電率絶縁膜を用いることもできる。特に低1/fノイズが要求される絶縁ゲート型電界効果トランジスタにおいては、界面準位密度が小さい二酸化シリコン膜を用いることが好ましい。
ゲート電極8は例えばポリシリコン膜からなり、このポリシリコン膜には成膜後に抵抗値を低減するゲート不純物イオンとして例えばリンイオン(P)またはヒ素イオン(As)が注入されている。
ゲート電極8、コンタクト領域12,13のそれぞれの表面にはシリサイド層(金属・半導体反応層)16が設けられている。シリサイド層16は、例えばサリサイド技術により、サイドウォールスペーサ11に整合して形成されている。シリサイド層16としては、コバルトシリサイド(CoSi)、チタンシリサイド(TiSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)等を用いることができる。
【0017】
ここで、後で詳細に説明するが、ゲート電極8のゲート長は、1.5μm未満であり、1μm以下が好ましく、更に0.5μm以下がより好ましい。また、チャネル領域6の表面(シリコン基板2とゲート絶縁膜7と間の界面)と、このチャネル領域6の不純物濃度分布のピーク位置との距離は、20nm以上70nm以下である。そして、チャネル領域6の界面準位密度は、3.0×10cm-2以上1.0×1010cm-2未満である。チャネル領域6でのインジウム不純物の濃度は、チャネル不純物の濃度ピーク位置からチャネル領域6の表面に向かうにつれて徐々に減少する濃度分布になっている。一方、エクステンション注入を行った場合、格子間シリコンは、チャネル領域6の表面付近に濃度分布のピークを有するとともに、エクステンション注入の加速エネルギーに応じた深さに分布する。格子間シリコンの分布は、エクステンション領域9,10の不純物(ヒ素)の分布とほぼ同様となる。後述するエクステンション不純物イオン注入時の加速エネルギーの場合、エクステンション不純物および格子間シリコンは、チャネル領域6の表面付近に濃度分布のピークを有するとともに、チャネル領域6の表面からの深さが20nm以上50nm以下の領域に分布する。
このため、チャネル領域6におけるインジウムの濃度分布のピーク位置を20nm以上70nm以下とすることにより、チャネル領域6におけるチャネル不純物(インジウム)と格子間シリコンとの分布の重なりが小さくなり、TEDが抑制される。
【0018】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の製造方法について、図2から図12を用いて説明する。
まず、半導体基板としてシリコン基板2を準備する。
次に、図2に示すように、シリコン基板2の表層部の素子形成領域を区画する素子分離層3を形成する。素子分離層3は、例えば周知のSTI技術によって形成する。
次に、図2に示すように、シリコン基板2の表層部の素子形成領域上に酸化シリコン膜からなるスルー膜4を例えば熱酸化法で形成する。
【0019】
次に、図3に示すように、スルー膜4を通してシリコン基板2の表層部の素子形成領域にウエル不純物イオンとして例えばp型を呈するボロンイオン(B)を選択的に注入する。ボロンイオン(B)の注入は、例えばドーズ量が1×1012cm-2~1×1013cm-2程度、加速エネルギーが30keV~60keV程度の条件で行う。この工程において、図3に示すように、シリコン基板2の表層部に、ボロンイオンによるウエル不純物イオン注入領域5Aが形成される。
次に、図4に示すように、スルー膜4を通してシリコン基板2の表層部の素子形成領域に、MOSFET-Qnの閾値電圧調節用のチャネル不純物イオンとしてp型を呈するインジウムイオン(In)を選択的に注入する。インジウムイオン(In)の注入は、例えばドーズ量が1×1012cm-2~1×1014cm-2程度、加速エネルギーが80keV~120keV程度の条件で行う。この工程において、図4に示すように、シリコン基板2の表層部に、インジウムイオンによるチャネル不純物イオン注入領域6Aが形成される。このチャネル不純物イオン注入領域6Aは、ウエル不純物イオン注入領域5Aよりも浅く形成される。
【0020】
次に、ウエル不純物イオンとしてのボロンイオン及びチャネル不純物イオンとしてのインジウムイオンを注入した後のシリコン基板2にボロンイオン及びインジウムイオンを活性化させる第1の熱処理としての活性化アニールを施す。この工程において、図5に示すように、ウエル不純物イオンとしてボロンイオンが注入されたウエル不純物イオン注入領域5Aでp型のウエル領域5が形成される。また、チャネル不純物イオンとしてインジウムイオンが注入されたチャネル不純物イオン注入領域6Aにより、チャネル領域として使用されるp型のチャネル不純物層6Bが形成される。チャネル不純物層6Bは、ウエル領域5よりも浅く形成される。
【0021】
次に、スルー膜4を除去した後、図6に示すように、シリコン基板2の表層部の素子形成領域に二酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜7を熱酸化法で形成する。
次に、図6に示すように、ゲート絶縁膜7上を含むシリコン基板2の表層部上の全面にゲート材としてノンドープのポリシリコン膜8AをCVD法で形成する。
ここで、ゲート電極8のゲート材としてポリシリコン膜8Aを堆積させる場合、そのポリシリコン膜8Aはドナー元素及びアクセプター元素の各濃度が検出限界値以下(例えば、各不純物濃度が1×1016cm-3以下であり、理想的にはゼロ)であるノンドープポリシリコン膜とすることが必須である。その理由は、ゲート材としてのポリシリコン膜8A中にアクセプター元素等が存在する場合、次工程で高温の熱処理を行うことで、ポリシリコン膜8A中からゲート絶縁膜7やシリコン基板2へ、アクセプター元素等が染み出てしまい、MOSFET-Qnの閾値Vthを変動させてしまう等の悪影響を及ぼす可能性があるからである。つまり、この一実施形態における「ノンドープポリシリコン膜」とは、膜を堆積する際にドープするためのゲート不純物と一緒に堆積させたり、ノンドープシリコン膜に対してゲート不純物が注入されたりしていないシリコン膜のことである。
【0022】
次に、ポリシリコン膜8Aを形成した後に、ポリシリコン膜8Aが形成されたシリコン基板2に第2の熱処理としての高温の追加アニールを施す。追加アニールは、例えばRTA(Rapid Thermal Anneal)法によって行う。換言すれば、この追加アニールは、ノンドープポリシリコン膜にゲート不純物が注入されていないノンドープ状態で実施される。また、この追加アニールは、例えば窒素(N)と酸素(O)とを含む混合ガス雰囲気中で行う。この工程において、追加アニールを、アニール温度が965℃以上1125℃以下、アニール時間が15秒以上60秒以下の範囲の条件下で行うことにより、ゲート絶縁膜7における界面準位密度を低減し、1/fノイズを効果的に低減することができる。
【0023】
次に、シリコン基板2に追加アニールを施した後、図6に示すように、ポリシリコン膜8Aの全面にゲート不純物イオンを注入する。ゲート不純物イオンとしては、n型を呈するリンイオン(P)またはヒ素イオン(As)等のドナー元素イオン、又はp型を呈するボロンイオン(B)等のアクセプター元素イオンを用いる。目的に応じてドナー元素イオン或いはアクセプター元素イオンを打ち分けてもよい。このゲート不純物イオンの注入は、上述の追加アニールの実施後に行っているので、ゲート材としてのポリシリコン膜8Aからシリコン基板2側へのゲート不純物の染み出しを発生させずに、MOSFET-Qnの1/fノイズに悪影響を及ぼすゲート電極の空乏化を抑制することが可能となる。
【0024】
次に、ゲート不純物が注入されたポリシリコン膜8Aを電極幅が1.5μm以下となるようにパターニングする。そして、ゲート電極エッジの電界集中による信頼性劣化を防ぐために、第3の熱処理として、例えば、窒素と酸素とを含む混合ガス雰囲気中で、850℃、40分の再酸化を行う。この再酸化工程では、ポリシリコン膜8A中のゲート不純物がシリコン基板2側へ染み出ない処理条件とする。この工程により、図7に示すように、ゲート不純物が注入されたポリシリコン膜8Aからなるゲート電極8がゲート絶縁膜7上に形成される。
次に、ゲート電極8をマスクにして、図8に示すように、シリコン基板2の表層部の素子形成領域にエクステンション不純物イオンとして例えばn型を呈するヒ素イオン(As)を選択的に注入する。ヒ素イオンの注入は、例えばドーズ量が5×1014cm-2~2×1015cm-2程度、加速エネルギーが3keV~10keV程度の条件で行う。この工程において、図8に示すように、シリコン基板2の表層部に、ヒ素イオンによるエクステンション不純物イオン注入領域9A,10Aが形成される。
【0025】
次に、エクステンション不純物イオンとしてのヒ素イオンを注入した後のシリコン基板2にヒ素イオンを活性化させる第4の熱処理としての活性化アニールを施す。この工程において、図9に示すように、エクステンション不純物イオンとしてヒ素イオンが注入されたエクステンション不純物イオン注入領域9A,10Aでn型のエクステンション領域9,10が形成される。このエクステンション領域9,10は、チャネル不純物層6Bの表層部にゲート電極8に整合して形成される。
ここで、エクステンション不純物であるヒ素は、活性化アニールで深さ方向及び横方向に若干拡散するので、エクステンション領域9とエクステンション領域10との間の距離はゲート電極8の電極幅よりも短くなる。このエクステンション領域9,10間の距離はMOSFET-Qnの実効ゲート長となり、MOSFET-Qnの物理的ゲート長Lgよりも20nm前後短くなる。
【0026】
次に、図10に示すようにゲート電極8の側面にサイドウォールスペーサ11を形成する。サイドウォールスペーサ11は、ゲート電極8上を含むシリコン基板2の表層部上の全面に例えば酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜からなる絶縁膜をCVD法で形成し、その後、この絶縁膜にRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングを施すことによって形成される。サイドウォールスペーサ11はゲート電極8に整合して形成される。
次に、ゲート電極8及びサイドウォールスペーサ11をマスクにして、図11に示すように、シリコン基板2の表層部の素子形成領域にコンタクト不純物イオンとして例えばn型を呈するヒ素イオン(As)を選択的に注入する。このヒ素イオンの注入は、例えばドーズ量が1×1015cm-2~1×1016cm-2程度、加速エネルギーが40keV~100keV程度の条件で行う。この工程において、図11に示すように、シリコン基板2の表層部に、ヒ素イオンによるコンタクト不純物イオン注入領域12A,13Aが形成される。
【0027】
次に、コンタクト不純物イオンとしてのヒ素イオンを注入した後のシリコン基板2に、ヒ素イオンを活性化させる第5の熱処理としての活性化アニールを施す。この工程において、図12に示すように、コンタクト不純物としてヒ素が注入されたコンタクト不純物イオン注入領域12A,13Aでn型のコンタクト領域12,13が形成される。このコンタクト領域12,13は、チャネル不純物層6Bの表層部にサイドウォールスペーサ11に整合して形成される。また、コンタクト領域12,13は、エクステンション領域9,10よりも深く形成される。
この工程により、エクステンション領域9及びコンタクト領域12からなるソース領域14Sが形成されると共に、エクステンション領域10及びコンタクト領域13からなるドレイン領域15Dが形成される。
【0028】
次に、ゲート電極8及びコンタクト領域12,13のそれぞれの表面にシリサイド層16を形成する。シリサイド層16は、自然酸化膜を除去してゲート電極8及びコンタクト領域12,13のそれぞれの表面を露出させた後、これらの表面上を含むシリコン基板2上の全面に高融点金属膜をスパッタ法で形成し、その後、ゲート電極8、コンタクト領域12,13のそれぞれのシリコンと高融点金属膜の金属とを熱処理により反応させて金属・半導体反応層を形成し、その後、金属・半導体反応層以外の未反応の高融点金属膜を選択的に除去し、その後、熱処理を施して金属・半導体反応層の構造を安定化させることによって形成される。
【0029】
この工程により、図1に示すMOSFET-Qnがほぼ完成する。このようにして形成されたMOSFET-Qnは、ソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域6は、チャネル不純物としてインジウムを有している。チャネル領域6は、チャネル不純物層6Bのうち、ソース領域とドレイン領域との間に形成された領域である。
この後、図示は省略するが、MOSFET-Qn上を含むシリコン基板2上の全面に層間絶縁膜を形成し、その後、層間絶縁膜にMOSFET-Qnのゲート電極8、ソース領域14S及びドレイン領域15Dのそれぞれの表面を露出するコンタクトホールを形成し、その後、コンタクトホール内に導電性プラグを埋め込む。次に、層間絶縁膜上に導電性プラグと接続される配線を形成し、その後、配線を覆うようにして層間絶縁膜上に保護膜を形成することにより、アナログ回路を構成するMOSFET-Qnを備えた半導体装置1がほぼ完成する。
【0030】
(1/fノイズ特性)
次に、nチャネル導電型のMOSFET-Qnの1/fノイズ特性について、図13から図17を用いて説明する。
図13は、チャネル領域6のインジウムの深さ方向濃度分布をシミュレーションで調べた結果を示すグラフである。図13において、1050℃で30秒(データA1)、1050℃で60秒(データA2)、1100℃で60秒(データA3)の3パターンの追加アニール条件を示している。また、追加アニールを実施しない場合(データA4)も示している。
【0031】
図13から明らかなように、図17と異なり、インジウムは追加アニールによってゲート絶縁膜7とシリコン基板2との界面(ゲート絶縁膜/Si界面)に析出しない。特に、熱処理温度が高い、及び熱処理時間が長いほど、インジウムはゲート絶縁膜/Si界面に析出しない。このことは、チャネル不純物としてのインジウムと、ゲート材としてのポリシリコン成膜後の追加アニールとのインテグレーションは、界面準位密度の低減とTEDの抑制とを両立することができ、チャネル不純物としてのボロンと、ゲート材としてのポリシリコン成膜後の追加アニールとのインテグレーションと比較して、1/fノイズ特性の観点で有効である。
また、チャネル領域6の表面とインジウムの濃度ピーク位置との距離は、データA1~A3の何れにおいても20nm以上70nm以下である。
【0032】
図14は、チャネル不純物としてインジウムを用いた場合(データB1)とボロンを用いた場合(データB2)との閾値電圧Vthのゲート長Lg依存性を示すグラフである。
図14から明らかなように、チャネル不純物としてインジウムを用いた場合は、チャネル不純物としてボロンを用いた場合よりも、ゲート長を小さくした時の閾値電圧の増加量が小さく、逆短チャネル特性が小さい。このことは、エクステンション領域9,10の端部にチャネル不純物が偏析しにくくなっていることを示している。
【0033】
図15は、チャネル不純物としてボロンを用いた場合とインジウムを用いた場合の界面準位密度を調べた結果を示す図である。
図15から明らかなように、チャネル不純物としてボロンを用いた場合とインジウムを用いた場合のどちらにおいても、追加アニールにより界面準位密度は低減する。従って、追加アニールを実施することにより、1×1010cm-2以下の界面準位密度を実現できる。また、追加アニールの条件を1100℃,60秒とした場合は、5×10cm-2の界面準位密度を実現できる。
【0034】
図16は、1/fノイズ特性の比較結果を示すグラフである。ゲート長Lgを横軸にして、チャネル不純物としてボロンを用いた場合とインジウムを用いた場合の1/fノイズ比較をプロットしている。
図16から明らかなように、ゲート長Lg=2μmでは、チャネル不純物としてボロンを用いた場合よりもインジウムを用いた場合の方が1/fノイズ特性か悪化する。一方、ゲート長Lg=1.5μm以下の領域では、チャネル不純物としてインジウムを用いた場合の方が1/fノイズが低減している。インジウムを用いたチャネル領域6はレトログレード分布であることにより、サブスレッショルドスウィングがボロンを用いたチャネル領域よりも劣化する。このことは、インジウムを用いたチャネル領域6の方で電流経路が細くなり易いことを示しており、1/fノイズ特性に対して悪影響を与える。短チャネル素子においては、エクステンション領域端の不純物濃度の影響が大きくなる。しかしながら、この一実施形態のMOSFET-Qnでは、エクステンション領域端の濃度の影響が、電流経路が細くなることの影響を上回り、1/fノイズ特性が改善される。
【0035】
以上のことから、チャネル不純物としてインジウムを用いることと、ゲート材としてのポリシリコン成膜後に追加アニールを実施することにより、ゲート長Lg=1.5μm以下のMOSFET-Qnにおいて、1/fノイズを低減させることができる。ノイズ低減効果はゲート長Lg=1μm以下で顕著になり、ゲート長Lg=0.5μmの場合は37%、ゲート長Lg=0.2μmの場合は50%の低減率が得られた。
従って、本発明の一実施形態に係る半導体装置1及びその製造方法によれば、MOSFET-Qnの1/fノイズを低減することができる。また、アナログ回路でのノイズの影響を低減することができる。
【0036】
なお、上述の一実施形態では、絶縁ゲート型電界効果トランジスタとして、ゲート絶縁膜が二酸化シリコン膜からなるMOSFET-Qnを備えた半導体装置1について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁ゲート型電界効果トランジスタとして、ゲート絶縁膜がシリコン窒化膜や高誘電率絶縁膜等で構成されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置に適用することができる。
以上、本発明を上記一実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1…半導体装置
2…シリコン基板
3…素子分離層
4…スルー膜
5…ウエル領域
5A…ウエル不純物イオン注入領域
6…チャネル領域
6A…チャネル不純物イオン注入領域
6B…チャネル不純物層
7…ゲート絶縁膜
8…ゲート電極
9,10…エクステンション領域
9A,10A…エクステンション不純物イオン注入領域
11…サイドウォールスペーサ
12,13…コンタクト領域
12A,13A…コンタクト不純物イオン注入領域
14S…ソース領域
15D…ドレイン領域
16…シリサイド層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17