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特許6996916処理装置、処理方法、及び処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220107BHJP
   G01B 9/02 20220101ALI20220107BHJP
【FI】
G01B11/24 D
G01B9/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017177172
(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公開番号】P2019052939
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】酒井 裕志
(72)【発明者】
【氏名】石山 拓
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正紀
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 洋一
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195082(JP,A)
【文献】特開2015-021891(JP,A)
【文献】特開平04-278409(JP,A)
【文献】特開2016-200607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 9/00- 9/10
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置であって、
前記制御装置は、前記処理機の制御条件を入力するための入力部と、該処理機の固有パラメータを格納する記憶部と、該記憶部から読み出された該固有パラメータと前記制御条件とから、前記処理機の制御にかかる処理時間を演算可能とする処理部と、該処理部で処理された結果を表示する表示部と、を備え、
前記表示部で該処理時間が表示され該入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置が前記移動機構の動作により調整され、該デバイスユニットが動作され
前記処理機は前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットは複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、
前記デバイスユニットは、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、
前記制御条件は、該ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードは、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、
前記表示部は、前記測定モードが選択された際には、該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、
前記処理部は、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求めることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記処理時間が入力されている際には、前記測定範囲と前記測定ピッチのうちのいずれかを演算することを特徴とする請求項に記載の処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記ワークの形状測定が開始された際には、所定の時間間隔で前記処理時間を含めて前記制御条件を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記測定範囲が前記光学系で定まる測定視野よりも大きい場合には、前記測定範囲の測定時間を1測定視野当りの測定時間と測定視野数と測定視野間の移動に要する移動時間とを用いて算出することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の処理装置。
【請求項5】
ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置を用いる処理方法であって、
前記処理機は前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットは複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、
前記デバイスユニットは、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、
前記処理機の制御条件は、前記ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードは、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、
前記処理機の固有パラメータ及び前記制御条件から、該処理機の制御にかかる処理時間を演算する際に、前記測定モードが選択された際には、前記制御装置の表示部に該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求める工程と、
記表示部で該処理時間を表示する工程と、
該処理時間が表示され前記制御装置の入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置を前記移動機構の動作により調整し、該デバイスユニットを動作させる工程と、
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項6】
ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置を用いる処理方法を該制御装置により実行する処理プログラムであって、
前記処理機は前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットは複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、
前記デバイスユニットは、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、
前記処理機の制御条件は、前記ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードは、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、
前記処理方法は、
前記処理機の固有パラメータ及び前記制御条件から、該処理機の制御にかかる処理時間を演算する際に、前記測定モードが選択された際には、前記制御装置の表示部に該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求める工程と、
記表示部で該処理時間を表示する工程と、
該処理時間が表示され前記制御装置の入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置を前記移動機構の動作により調整し、該デバイスユニットを動作させる工程と、
を含むことを特徴とする処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、及び処理プログラムに係り、特に、処理機による処理結果の妥当性を担保可能とするとともに、処理時間中のオペレータの時間の有効活用が可能な処理装置、処理方法、及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるような画像測定装置(処理装置)が用いられている。この画像測定装置は、ワークに対して画像測定ヘッド(デバイスヘッド)を相対移動させる移動機構を有する画像測定機(処理機)を備えている。画像測定機では、移動機構によりワークに対する画像測定ヘッドの位置が調整され、ワークを広範囲に形状測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-21891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1で示す画像測定装置は、ワークを広範囲に形状測定する際であっても、画像測定ヘッドでは高分解能を保つことが可能である。しかしながら、実際にワークを広範囲に高分解能で測定してしまうと、測定結果(処理結果)の得られるまでに必要とされる処理時間が極端に長時間(例えば数十時間のオーダー)となる場合もある。つまり、処理時間が不明のまま形状測定を実行した際には、結果的に測定目的や測定可能に適合せずその測定結果が無駄となってしまうおそれがあった。同時に、処理時間が不明のままであることで、画像測定装置のオペレータは頻繁に測定状況を確認する必要があった。即ち、オペレータは、画像測定装置から離れて別の装置を動作させることを安易にはできなかった。
【0005】
本発明は、前記の問題点を解決するべくなされたもので、処理機による処理結果の妥当性を担保可能とするとともに、処理時間中のオペレータの時間の有効活用を可能とする処理装置、処理方法、及び処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置であって、前記制御装置が、前記処理機の制御条件を入力するための入力部と、該処理機の固有パラメータを格納する記憶部と、該記憶部から読み出された該固有パラメータと前記制御条件とから、前記処理機の制御にかかる処理時間を演算可能とする処理部と、該処理部で処理された結果を表示する表示部と、を備え、前記表示部で該処理時間が表示され該入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置が前記移動機構の動作により調整され、該デバイスユニットが動作され、前記処理機が前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットが複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、前記デバイスユニットが、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、前記制御条件が、該ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードが、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、前記表示部が、前記測定モードが選択された際には、該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、前記処理部が、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求めたことにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
本願の請求項に係る発明は、前記処理部で、前記処理時間が入力されている際には、前記測定範囲と前記測定ピッチのうちのいずれかを演算するようにしたものである。
【0011】
本願の請求項に係る発明は、前記処理部で、前記ワークの形状測定が開始された際には、所定の時間間隔で前記処理時間を含めて前記制御条件を更新するようにしたものである。
【0012】
本願の請求項に係る発明は、前記処理部で、前記測定範囲が前記光学系で定まる測定視野よりも大きい場合には、前記測定範囲の測定時間を1測定視野当りの測定時間と測定視野数と測定視野間の移動に要する移動時間とを用いて算出するようにしたものである。
【0013】
本願の請求項に係る発明は、ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置を用いる処理方法であって、前記処理機が前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットが複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、前記デバイスユニットが、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、前記処理機の制御条件が、前記ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードが、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、前記処理機の固有パラメータ及び前記制御条件から、該処理機の制御にかかる処理時間を演算する際に、前記測定モードが選択された際には、前記制御装置の表示部に該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求める工程と、前記表示部で該処理時間を表示する工程と、該処理時間が表示され前記制御装置の入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置を前記移動機構の動作により調整し、該デバイスユニットを動作させる工程と、を含むようにしたものである。
【0014】
本願の請求項に係る発明は、ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置を用いる処理方法を該制御装置により実行する処理プログラムであって、前記処理機が前記ワークの形状測定を可能とする画像測定機であり、前記デバイスユニットが複数の光学素子を組み合わせて構成された光学系と、該光学系を光軸方向に駆動させる駆動機構と、を備える画像測定ヘッドを1以上備え、前記デバイスユニットが、一方の前記光学系に、白色光源と、該白色光源から出た白色光を前記ワークに集光する干渉対物レンズと、該干渉対物レンズのワーク側に配置され該干渉対物レンズを通過した白色光を分岐させるビームスプリッタと、該ビームスプリッタで分岐・反射された白色光を前記干渉対物レンズの焦点位置と光路差のない位置で反射する参照ミラーと、を有し、該参照ミラー及び該ワークで反射された白色光を干渉させる白色干渉計ヘッドと、他方の前記光学系に該ワークに照射された光を集光させるための対物レンズを有する画像検出ヘッドの2つの画像測定ヘッドを備え、前記処理機の制御条件が、前記ワークにおける測定範囲と測定ピッチと測定モードの3つの条件因子を備え、該測定モードが、前記白色干渉計ヘッドを用いた前記ワークの3次元形状を測定する白色干渉測定モードと、前記画像検出ヘッドを用いた2次元画像のコントラストに従う該ワークの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードと、を備え、前記処理方法に、前記処理機の固有パラメータ及び前記制御条件から、該処理機の制御にかかる処理時間を演算する際に、前記測定モードが選択された際には、前記制御装置の表示部に該測定モードにおける形状測定に費やす最大時間を表示し、前記処理機からの出力情報から前記ワークの3次元形状の合成までの演算時間を演算し、該演算時間と前記測定範囲の測定時間とから、前記処理時間を求める工程と、前記表示部で該処理時間を表示する工程と、該処理時間が表示され前記制御装置の入力部からの制御開始指令の入力後に、前記ワークに対する前記デバイスユニットの位置を前記移動機構の動作により調整し、該デバイスユニットを動作させる工程と、を含むようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、処理機による処理結果の妥当性が担保可能となるとともに、処理時間中のオペレータの時間の有効活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像測定装置の一例を示す斜視図
図2図1の制御装置の本体のブロック図
図3図1の白色干渉計ヘッドを示す模式図
図4図3の干渉対物レンズ近傍を示す模式図(ミロー型の図(A)、マイケルソン型の図(B))
図5図3の白色干渉計ヘッドによる3次元形状測定の概略フロー図
図6図5を説明するための模式図(干渉対物レンズ部を駆動した際の位置と取得画像との関係のイメージ図(A)、取得画像のイメージ図(B)、2次元検出器の各ピクセル位置における干渉信号のイメージ図(C)、合成されたワークの3次元形状のイメージ図(D))
図7図1の画像検出ヘッドを示す模式図
図8図3の画像検出ヘッドによる3次元形状測定の概略フロー図
図9図8を説明するための模式図(支持ユニットとワークとの位置関係のイメージ図(A)、支持ユニットを駆動した際の位置と取得画像との関係のイメージ図(B)、2次元検出器の特定のピクセル位置におけるコントラスト信号のイメージ図(C)、合成されたワークの3次元形状のイメージ図(D))
図10図1の画像測定装置を用いる測定方法を説明するための概略フロー図
図11図10の概略フロー図における処理時間の演算までの手順を詳細に示すフロー図
図12】表示部において処理時間を表示した一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図12を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0018】
最初に、画像測定装置の概略について説明する。
【0019】
画像測定装置(処理装置)100は、図1に示す如く、ワークWに対して画像測定ヘッド(デバイスユニット)116を相対移動させる移動機構106を有する画像測定機(処理機)102と、画像測定機102を制御する制御装置160と、を備える。
【0020】
次に、画像測定装置100の各構成要素について説明する。
【0021】
前記画像測定機102は、図1に示す如く、ベース104と、移動機構106と、画像測定ヘッド116と、を備える。ベース104は、移動機構106を支持している。移動機構106は、ワークステージ108と、一対のコラム110と、ビーム112と、鏡筒114と、を備える。ワークステージ108は、ワークWを載置可能であり、ベース104上で図示せぬY軸移動体の動作によりY軸方向に移動可能に支持されている。ベース104上には、一対のコラム110が立設されている。一対のコラム110の上端には、ビーム112が橋渡しされ固定されている。ビーム112上には、鏡筒114が図示せぬX軸移動体の動作によりX軸方向に移動可能に支持されている。鏡筒114の下端には、画像測定ヘッド116が図示せぬZ軸移動体の動作によりZ軸方向に移動可能に支持されている。
【0022】
画像測定ヘッド116は、図1に示す如く、ワークWの形状測定を可能とするデバイスユニットであり、白色干渉計ヘッド118と画像検出ヘッド144の2つを備える。いずれの画像測定ヘッド116も、図3図7に示す如く、複数の光学素子(干渉対物レンズ130と集光レンズ136、あるいは対物レンズ148と集光レンズ150)を組み合わせて構成された光学系120、146と、その光学系120、146を光軸O、P方向(Z軸方向)に駆動させる駆動機構142、156と、を備えている。いずれかの画像測定ヘッド116を用いることで、制御装置160が設定する測定位置(測定範囲Am)でワークWの3次元形状を測定することができる。制御装置160の制御によって画像測定ヘッド116は切り替えられる。なお、白色干渉計ヘッド118の光学系120の倍率Nwは画像検出ヘッド144の光学系146の倍率Ncよりも高いため、白色干渉計ヘッド118の測定視野は画像検出ヘッド144の測定視野よりも狭くされている。即ち、白色干渉計ヘッド118の空間分解能(測定ピッチRm)は、画像検出ヘッド144の空間分解能(測定ピッチRm)よりも高くされている。白色干渉計ヘッド118と画像検出ヘッド144は、一定の位置関係を保つよう、共通の支持板(図示せず)に固定されており、切り替えの前後で測定の座標軸が変化しないよう予めキャリブレーションされている。
【0023】
白色干渉計ヘッド118は、図3図4(A)、(B)に示す如く、光学系120に、白色光源122と、コリメートレンズ124と、ビームスプリッタ126、132と、干渉対物レンズ130と、参照ミラー134と、集光レンズ136と、2次元検出器138と、を有する。なお、干渉対物レンズ130と、ビームスプリッタ132と、参照ミラー134とで、干渉対物レンズ部128が構成されている。干渉対物レンズ部128は、参照ミラー134を光軸O上に備えるミロー型(図4(A))でもよいし、参照ミラー134を光軸Oの外側に備えるマイケルソン型(図4(B))でもよい。また、白色光源122とコリメートレンズ124と、ビームスプリッタ126とは、干渉対物レンズ部128とともに、支持ユニット140に支持されている。支持ユニット140自身は、駆動機構142に光軸O方向に移動可能に支持されている。
【0024】
白色光源122は、例えば、白色LEDなどの点光源である。コリメートレンズ124は、白色光源122から発散した白色光を白色平行光としてビームスプリッタ126に入射させる。ビームスプリッタ126は、その白色平行光を光軸O方向に反射させる。反射された白色平行光は、干渉対物レンズ部128の干渉対物レンズ130に入射する。干渉対物レンズ130では、その入射した白色平行光を集光しワークWに照射する(即ち、干渉対物レンズ130は、白色光源122から出た白色光をワークWに集光することとなる)。干渉対物レンズ130を通過した白色光の一部は、ビームスプリッタ132で反射される(即ち、ビームスプリッタ132は、干渉対物レンズ130のワークW側に配置され干渉対物レンズ130を通過した白色光を分岐させている)。その反射された白色光は、干渉対物レンズ130の焦点位置と光路差のない位置に配置された参照ミラー134で反射される(即ち、参照ミラー134は、ビームスプリッタ132で分岐・反射された白色光を干渉対物レンズ130の焦点位置と光路差のない位置で反射する)。その参照ミラー134で反射された白色光は、再びビームスプリッタ132で反射され、干渉対物レンズ130に入射する。
【0025】
一方、干渉対物レンズ130を通過した白色光の残りの一部は、ビームスプリッタ132を通過し、ワークWに照射される。ワークWで反射した白色光は、再びビームスプリッタ132を透過し、干渉対物レンズ130に入射する。参照ミラー134及びワークWで反射された白色光はともに、光軸O方向で干渉対物レンズ130、ビームスプリッタ126を通過し、集光レンズ136で2次元検出器138上に集光される。2次元検出器138上には、干渉縞が成形される(即ち、白色干渉計ヘッド118は、参照ミラー134及びワークWで反射された白色光を干渉させている)。この干渉縞を受光する2次元検出器138は、各ピクセル単位で、干渉対物レンズ130の焦点位置にワークWが位置した際に参照ミラー134で反射した白色光との光路差がゼロとなり、最大の干渉信号Sifである最大干渉信号Simを出力する。干渉信号Sifは、白色光によって生じるので、その干渉領域は極めて狭い。つまり、白色干渉計ヘッド118を用いることで、画像検出ヘッド144を用いるよりも高い分解能でワークWの3次元形状を測定することができる。
【0026】
なお、光学系120の倍率Nwは、干渉対物レンズ130の倍率と集光レンズ136の倍率とから求めることができる。このため、測定ピッチRmのうち、X、Y方向の測定ピッチΔX、ΔYは、干渉対物レンズ130と集光レンズ136が選択された時点(手動あるいは電動)で、2次元検出器138のピクセルサイズから自動的に求められる。
【0027】
次に、図5図6(A)~(D)を用いて、白色干渉計ヘッド118によるワークWの3次元形状を測定する手順を以下に説明する。ここでは、ワークWが半球形状とされている。
【0028】
まず、干渉対物レンズ部128を駆動機構142で光軸O方向(Z方向)に駆動する(図5、ステップS2)。そして、図6(A)に示す如く、測定ピッチΔZ毎に、2次元検出器138で画像を取得する(図5、ステップS4)。このとき、2次元検出器138では、図6(B)に示す如く、取得画像Pfrが干渉縞の画像として検出される。そして、2次元検出器138の各ピクセル位置において光量に従う干渉信号Sifが生成される(図5、ステップS6)。なお、図6(C)では、各ピクセル位置において、干渉信号Sifを測定ピッチΔZ刻みでグラフ化している。ここで、図6(C)で示す干渉信号Sifのうちで、最大となる最大干渉信号SimのZ方向における位置を求める。求めた最大干渉信号SimのZ方向における位置からワークWの3次元形状を合成する(図5、ステップS8)。従って、求めた最大干渉信号SimのZ方向における位置を3次元座標(XYZ座標)上で鳥瞰図表示すると、ワークWの3次元形状は図6(D)のようになる。
【0029】
一方、画像検出ヘッド144は、図7に示す如く、光学系146に、対物レンズ148と、集光レンズ150と、2次元検出器152と、を有する。対物レンズ148は支持ユニット154に支持されている。支持ユニット154自身は、駆動機構156に光軸P方向に移動可能に支持されている。なお、図7では図示していないが、画像検出ヘッド144は、ワークWを照明するための照明光学系も備えている。
【0030】
照明光学系でワークWに照射された光は対物レンズ148で発散光から平行光となる。対物レンズ148を通過した平行光は、集光レンズ150で2次元検出器152上に集光される。2次元検出器152上には、ワークWの2次元画像が成形される(即ち、光学系146は、ワークWに照射された光を集光させるための対物レンズ148を有する)。この2次元画像を受光する2次元検出器152は、各ピクセル単位で、対物レンズ148の焦点位置にワークWが位置した際に2次元画像のコントラストが最大となり、最大のコントラスト信号Sctである最大コントラスト信号Scmを出力する。つまり、画像検出ヘッド144を用いることで、相応の分解能でワークWの3次元形状を測定することができる。
【0031】
なお、光学系146の倍率Ncは、対物レンズ148の倍率と集光レンズ150の倍率とから求めることができる。このため、測定ピッチRmのうち、X、Y方向の測定ピッチΔX、ΔYは、対物レンズ148と集光レンズ150が選択された時点(手動あるいは電動)で、2次元検出器152のピクセルサイズから求められる。
【0032】
次に、図8図9(A)~(D)を用いて、画像検出ヘッド144によるワークWの3次元形状を測定する手順を以下に説明する。ここでは、ワークWがマイクログリッパの片方とされている。
【0033】
まず、支持ユニット154を駆動機構156で光軸P方向(Z方向)に駆動する(図8、ステップS12)。そして、図9(A)に示す如く、測定ピッチΔZ毎に、2次元検出器152で画像を取得する(図8、ステップS14)。このとき、2次元検出器152では、図9(B)に示す如く、取得画像PctをワークWの2次元画像(結像画像)として検出される。そして、2次元検出器152の各ピクセル位置において光量に従うコントラスト信号Sctが生成される(図8、ステップS16)。なお、図9(C)では、各ピクセル位置において、コントラスト信号Sctを測定ピッチΔZ刻みでグラフ化している。ここで、図9(C)で示すコントラスト信号Sctのうちで、最大となる最大コントラスト信号ScmのZ方向における位置を求める。求めた最大コントラスト信号ScmのZ方向における位置からワークWの3次元形状を合成する(図8、ステップS18)。従って、求めた最大コントラスト信号ScmのZ方向における位置を3次元座標(XYZ座標)上で鳥瞰図表示すると、ワークW形状は図9(D)のようになる。
【0034】
前記制御装置160は、図1に示す如く、本体162と、表示部164と、入力部166と、プリンタPRを備える。
【0035】
本体162は、図2に示す如く、記憶部162Aと、処理部162Bと、インタフェース部(IF部)162Cと、を備える。
【0036】
図2に示す記憶部162Aは、例えばハードディスクドライブやRAM等により構成され、各種初期設定値・更新設定値や各種制御プログラムや測定結果(処理結果)などを格納している。各種初期設定値・更新設定値には、画像測定機102の固有パラメータPitが含まれている。固有パラメータPitは、2次元検出器138、152のフレームレート及びピクセルサイズ、移動機構106によるXYZ方向への移動速度、干渉対物レンズ130や対物レンズ148や集光レンズ136、150による倍率、制御装置160のクロック周波数などを含んでいる。
【0037】
図2に示す処理部162Bは、記憶部162Aに格納された各種制御プログラムを実行することにより、測定位置設定手段、評価手段、3次元形状合成手段等の機能を実現することができる。例えば、記憶部162Aから読み出された固有パラメータPitと測定条件(制御条件)Cmとから、画像測定機102の測定(制御)にかかる処理時間Tmを演算可能としている。
【0038】
なお、測定条件Cmは、図12に示す如く、ワークWにおける測定範囲Amと測定ピッチRmと測定モードMmの3つの条件因子を備えている。測定範囲Am及び測定ピッチRmは、3軸方向で規定される。ただし、測定ピッチRmのうち、X、Y方向の測定ピッチΔX、ΔYに対しては、各光学系120、146の倍率Nw、Ncと各2次元検出器138、152のピクセルサイズとから一義的に定められる。このため、測定ピッチRmのうち、Z方向の測定ピッチΔZのみが入力部166から入力可能とされている。測定モードMmは、白色干渉計ヘッド118を用いたワークWの3次元形状を測定する白色干渉測定モードMwiと、画像検出ヘッド144を用いた結像画像のコントラストに従うワークWの3次元形状を測定するコントラスト利用測定モードMcuと、を備える。
【0039】
なお、処理部162Bは、測定モードMmが入力部166により選択された際には、記憶部162Aに記憶されたそれぞれの測定モードMmにおける形状測定に費やす最大時間Tmmを演算する。この最大時間Tmmは、例えば、それぞれの測定モードMmの指定される測定ピッチRmに対して測定誤差が相対的に少なく相応に正確な測定が可能となる時間とされている。そのため、それぞれの測定モードMmにおいて、測定ピッチRmに対する最大時間Tmmをテーブルにして記憶部162Aに格納しておくことで、処理部162Bは測定ピッチRmに対応する最大時間Tmmを迅速に求めることが可能である。
【0040】
また、処理部162Bは、処理時間Tmが入力部166から入力された際には、測定範囲Amと測定ピッチRm(ΔZ)のうちのいずれかを演算することができる。具体的には、処理時間Tmを入力し、測定範囲Amと測定ピッチRm(ΔZ)のうちの演算する1つの項目をブランクにする。そして、処理部162Bで再演算を行うことでその項目のパラメータを求めることが可能である。
【0041】
また、処理部162Bは、ワークWの形状測定が開始された際には、所定の時間間隔で、測定条件Cmを更新する。つまり、処理部162Bは、ワークWの形状測定の進捗状況に対応して処理時間Tmを再演算して測定条件Cmの表示を更新する。さらに、処理部162Bは、測定範囲Amがそれぞれの光学系120、146で定まる測定視野よりも大きい場合には、処理時間Tmを1測定視野にかかる測定時間Td1と測定視野数Nvと測定視野間の移動に要する移動時間Tvに従って演算する。
【0042】
具体的に、処理部162Bは、ワークメモリ162BAと、CPU162BBと、表示制御部162BCと、を備える。ワークメモリ162BAは、各種演算を行うための作業メモリ領域とされている。CPU162BBは、制御の中心をなし、制御装置160のクロック周波数で各種の処理を実行するようにされている。なお、CPU162BBは、上述した処理以外にも、測定モードMmの切り替え、移動機構106による鏡筒114のX、Z方向への移動、ワークステージ108のY方向への移動、画像測定ヘッド116による画像の取得とワークWの三次元形状の合成等を行う。表示制御部162BCは、CPU162BBで処理された結果を、表示部164に適合するように制御して表示部164に出力する。具体的には、表示制御部162BCは、白色干渉計ヘッド118や画像検出ヘッド144で取得された取得画像Pfr、Pct、CADデータ(設計データ)、合成されたワークWの3次元形状等を、CPU162BBによる制御に基づき適宜表示部164に表示させる。
【0043】
図2に示すインタフェース部162Cは、例えば、インタフェース(IF)162CA、162CB、162CC、162CDを備える。インタフェース162CA、162CB、162CC、162CDはそれぞれ、入力部166、画像測定機102、プリンタPR、外部の図示しないCADシステム等と接続されている。インタフェース162CAは、入力部166からの入力情報を処理部162Bに入力させる。インタフェース162CBは、画像測定機102からの出力情報(各種のステータス情報や測定結果など)を処理部162Bに入力させる。また、インタフェース162CBは、処理部162Bからの各種制御信号を画像測定機102に出力する。インタフェース162CCは、処理部162Bからの印刷情報をプリンタPRに出力する。インタフェース162CDは、外部の図示しないCADシステム等により提供されるワークWのCADデータなどを、所定の形式に変換して処理部162Bに入力させる。
【0044】
入力部166は、図1に示す如く、ジョイスティック168とキーボード170とマウス172とを備える。入力部166からは、オペレータの指示情報(画像測定機102の測定開始指令(制御開始指令)Stや測定条件Cmなど)を入力することができる。
【0045】
図1に示す表示部164は、処理部162Bに接続され、処理部162Bで処理された結果を表示することができる。表示部164は、例えば、メニュー形式で入力部166からの入力情報(指示情報)に応じて、表示形態を変化させることができる。
【0046】
図12に、表示部164の表示形態の一例を示す。ここでは、ワークWの画像(CAD図面や対物レンズ148で撮像した2次元画像など)が表示領域164Aに表示され、測定条件Cmが表示領域164Bに表示される。測定条件Cmの測定範囲Amと測定ピッチRmは、XYZ方向の座標が表示される。測定モードMmは、図中の2重白抜き丸をマウス172などでクリックすることで丸が塗りつぶされて表示される。この表示により、白色干渉測定モードMwiかコントラスト利用測定モードMcuのいずれが選択されているかが判別できる。なお、測定モードMmの選択段階で、測定ピッチRmが入力されていれば最大時間Tmmが表示される(即ち、表示部164は、測定モードMmが選択された際には、その測定モードMmにおける形状測定に費やす最大時間Tmmを表示することができる)。ここまで全て入力されることで処理時間Tmが自動的に演算され、表示部164に表示される。同時に、制御装置160内の時計機能に基づき、形状測定の終了時間Teも演算され、表示部164に表示される。測定条件Cmにおける各項目の指定は、主にマウス172でカーソルを移動させ行うことができる。なお、表示領域164Bには、再演算ボタン164BAと決定ボタン164BBとが表示されている。即ち、処理時間Tmが特定されている際に、測定条件Cmのいずれかの項目をブランクとして、再演算ボタン164BAをマウス172などでクリックする。すると、そのブランクとされた項目に新たなパラメータが表示される。なお、測定条件Cmをオペレータが決めた際には、決定ボタン164BBをマウス172などでクリックする。これにより、測定開始指令Stが入力されたとして、形状測定が開始される。
【0047】
次に、画像測定装置100を用いる測定方法(処理方法)について、主に図10図12を用いて以下に説明する。
【0048】
最初に、測定条件Cmを入力部166から入力する(図10、ステップS22)。すると、測定条件Cmに応じて、固有パラメータPitが順次、記憶部162Aから読み出される(図10、ステップS24)。
【0049】
具体的に説明すると、測定条件Cmが入力されると、処理部162Bは、測定範囲Am(x1、y1、z1)-(x2、y2、z2)と測定ピッチRmと測定モードMmとを特定する(図11、ステップS221)。固有パラメータPitの読み出し(図11、ステップS24)により、処理部162Bは、測定範囲Am(x1、y1)-(x2、y2)と倍率Nw、Ncを考慮した1測定視野との比較を行う(図11、ステップS241)。そして、測定視野数Nvの演算を行う(図11、ステップS242)。このとき、測定視野数Nvが複数であれば、処理部162Bは、移動機構106によるX、Y方向の移動速度を用いて、測定視野間の移動に要する移動時間Tvを算出する。なお、測定視野数Nvが1つであれば、測定視野間の移動に要する移動時間Tvはゼロとなる。そして、この段階で、処理部162Bは最大時間Tmmを演算し、表示部164に最大時間Tmmを表示させる。
【0050】
一方、測定範囲Am(z1)-(z2)と測定ピッチRm(Δz)とから、処理部162Bは、Z方向における取得画像数を演算する(図11、ステップS243)。そして、固有パラメータPitの読み出し(図11、ステップS24)により、処理部162Bは、2次元検出器138(152)のフレームレートと駆動機構142(156)によるZ方向の移動速度とから、1測定視野当りの測定時間Td1を演算する(図11、ステップS244)。
【0051】
次に、処理部162Bは、得られた測定視野数Nvと移動時間Tvと1測定視野当りの測定時間Td1とを用いて、測定範囲Amの測定時間Tdを算出する(図11、ステップS245)。
【0052】
次に、処理部162Bは、制御装置160のクロック周波数に基づき、画像測定機102からの出力情報からワークWの3次元形状の合成までの演算時間Ttを演算する。そして、処理部162Bは、演算時間Ttと測定時間Tdとから、処理時間Tmを求める。即ち、処理部162Bは、固有パラメータPit及び測定条件Cmから、画像測定機102の測定にかかる処理時間Tmを演算する(図10図11、ステップS26)。同時に、処理部162Bは、終了時間Teを演算する。
【0053】
次に、処理部162Bは、図12で示す表示部164に処理時間Tmと終了時間Teとを表示させる(図10、ステップS28)。もし、処理時間Tmと終了時間Teとが測定の意図を満たさないといった場合には、入力部166で処理時間Tmと終了時間Teを含む測定条件Cmの変更を行う(図10、ステップS30でYES)。そして、処理部162Bは、ステップS22からステップS28を繰り返し、測定条件Cmが適切となるまで、測定条件Cmの変更を行う。なお、測定条件Cmの変更は、図12において、例えば、変更したい項目にカーソルを移動させ、その項目にパラメータを再入力する。そして、再演算する項目をブランクとして、再演算ボタン164BAを選択することで、その項目のパラメータを求める。
【0054】
測定条件Cmが適切となったら(図10、ステップS30でNO)、測定開始指令Stを入力する(図10、ステップS32)。具体的には、図12で示す決定ボタン164BBを選択する。
【0055】
次に、処理部162Bは、移動機構106を動作させる(図10、ステップS34)。そして、処理部162Bは、測定モードMmで選択された画像測定ヘッド116の位置をワークWに対して調整する。
【0056】
次に、処理部162Bは、測定モードMmで選択された画像測定ヘッド116を動作させる(図10、ステップS36)。つまり、決定された測定条件CmでワークWの形状測定が行われる。ワークWの形状測定が開始されると、処理時間Tmは、処理部162Bにおいて一定の時間間隔で再演算される。同時に、処理部162Bにおいて終了時間Teも再演算される。再演算された処理時間Tmと終了時間Teとは、図12で示すような表示領域164Bに更新表示される。なお、このような測定方法は、画像測定プログラム(ソフトウェア)として、処理部162Bで実行されているが、ハードウェアのみで実現されていてもよい。
【0057】
このように、本実施形態では、実際の形状測定を行う前に、形状測定にかかる処理時間Tmをオペレータは表示部164で確認することが可能である。このため、実際に長い処理時間Tmがかかる場合には、画像測定装置100の動作に支障を出すことなく、例えばオペレータは画像測定装置100から離れて他の装置を動作状態にするといった作業を行うことが可能となる。逆に、実際に極端に短い処理時間Tmとなる場合には、例えばオペレータは画像測定装置100から不用意に離れることを防止でき、画像測定装置100を効率的に動作させることが可能となる。
【0058】
同時に、本実施形態では、オペレータは形状測定を行う前に処理時間Tmを認識できるので、形状測定毎の測定条件Cmが処理時間Tmに見合うか否かについて形状測定を開始する前に検討することができる。即ち、実際の形状測定に割り当てられる時間の制限有無や単なるプレビュー測定であるかなどの一回毎の測定目的・測定制限が明確でないままに、形状測定の開始をすることを防止できる。
【0059】
更に、本実施形態では、処理時間Tmが、移動機構106や駆動機構142、156などの駆動系を動作させることなく、表示部164に表示される。即ち、処理時間Tmの演算を迅速に行うことができるので、処理時間Tmを十分に検討した上で形状測定を実行して、時間が大幅に費やされることはない。
【0060】
また、本実施形態では、ワークWに対して相対移動させられる画像測定ヘッド116が白色干渉計ヘッド118と画像検出ヘッド144の2つを備えている。そして、白色干渉計ヘッド118と画像検出ヘッド144とは、互いに別の駆動機構142、156を備えている。ここで、移動機構106も駆動機構142、156と同じZ方向への移動を行う構成を備えている。つまり、移動機構106はZ方向へ大きく移動させる構成であり、駆動機構142、156がZ方向へより細かく移動させる構成となっている。このため、駆動機構142、156はそれぞれ、白色干渉計ヘッド118、画像検出ヘッド144を最適な構成とし、且つ最適に制御することができる。なお、これに限らず、移動機構がZ方向へ移動させる構成を備えず、駆動機構のみがZ方向へ移動させる構成を備えてもよい。また、2つの駆動機構は、兼用とされていてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、測定条件Cmが、ワークWにおける測定範囲Amと測定ピッチRmと測定モードMmの3つの条件因子を備えている。そして、測定モードMmは、白色干渉測定モードMwiと、コントラスト利用測定モードMcuと、を備える。即ち、オペレータは、測定ピッチRmの異なるいずれの測定モードMmとするかについて、処理時間Tmを含めた測定条件Cmを比較して決定することができる。なお、これに限らず、測定条件Cmが3つの条件因子を備える必要はなく、測定モードMmが必ずしも2つである必要はない。また、形状測定が3次元形状の測定でなくてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、処理部162Bが、処理時間Tmが入力されている際には、測定範囲Amと測定ピッチRmのうちのいずれかを演算する。例えば、処理時間Tmに予め上限値を設定して測定条件Cmの調整をすることが容易である。なお、これに限らず、処理時間Tmだけが再演算されるような構成であってもよい。
【0063】
また、本実施形態では、表示部164が、測定モードMmが選択された際には、その測定モードMmにおける形状測定に費やす最大時間Tmmを表示する。ここで、白色干渉測定モードMwiとコントラスト利用測定モードMcuとでは測定ピッチRm(測定分解能)が異なっている。つまり、白色干渉測定モードMwiでは、例えば、測定ピッチRmがコントラスト利用測定モードMcuよりも細かいために、厳しい装置安定性が必要とされている。このため、最大時間Tmmが表示されることで、最大時間Tmmを参照して実際の処理時間Tmの妥当性をオペレータが検討することが可能である。つまり、その測定モードMmで測定した結果を、より信頼性の高いものとすることが可能である。なお、これに限らず、選択した測定モードMmにおける最大時間Tmmが、表示部に表示されなくてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、処理部162Bが、ワークWの形状測定が開始された際には、所定の時間間隔で、処理時間Tmを含めて測定条件Cmを更新する。つまり、形状測定の進捗に伴って処理時間Tmの残り時間がより明確になる。このため、例えば、形状測定開始前に演算した処理時間Tmに多少の誤差があっても、形状測定の進捗に伴って表示される処理時間Tmの正確性が向上する。これに伴い、オペレータ自身の時間管理の精度が向上するので、オペレータ自身の効率的な作業を実現することができる。なお、これに限らず、不特定の時間間隔で測定条件Cmが更新されてもよいし、測定条件Cmが更新されなくてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、処理部162Bが、測定範囲Amが光学系120、146で定まる測定視野よりも大きい場合には、処理時間Tmを1測定視野にかかる測定時間Td1と測定視野数Nvと測定視野間の移動に要する移動時間Tvに従って演算する。このため、1測定視野に収まらない測定範囲Amであっても、必要となる処理時間Tmを正確に演算することができる。なお、これに限らず、測定範囲Amが光学系120、146で定まる測定視野よりも大きい場合には、オペレータが測定範囲Amを1測定視野に収めるようにしてもよい。
【0066】
即ち、本実施形態では、画像測定機102による測定結果の妥当性が担保可能となるとともに、処理時間Tm中のオペレータの時間の有効活用が可能となる。
【0067】
本発明について上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0068】
例えば、上記実施形態では、処理装置が画像測定装置であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、処理装置が接触式・非接触式の3次元形状測定装置であってもよい。あるいは、処理装置が微細形状加工装置であってもよい。つまり、処理機がデバイスユニットとして1以上の加工ツール(例えば、溶接ヘッドや切断ヘッドや研削ヘッドなど)を備える微細形状加工機などでもよい。この場合には、処理時間は加工ツールによるワークWの微細形状加工が完了するまでの時間となる。あるいは、処理機がデバイスユニットとして加工ツールと上述した画像測定ヘッドとを備える微細形状測定・加工機などでもよい。いずれのデバイスユニットもワークWの形状に関連した処理を行うようにされている。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、ワークに対してデバイスユニットを相対移動させる移動機構を有する処理機と、該処理機を制御する制御装置と、を備える処理装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
100…画像測定装置
102…画像測定機
104…ベース
106…移動機構
108…ワークステージ
110…コラム
112…ビーム
114…鏡筒
116…画像測定ヘッド
118…白色干渉計ヘッド
120、146…光学系
122…白色光源
124…コリメートレンズ
126、132…ビームスプリッタ
128…干渉対物レンズ部
130…干渉対物レンズ
134…参照ミラー
136、150…集光レンズ
138、152…2次元検出器
140、154…支持ユニット
142、156…駆動機構
144…画像検出ヘッド
148…対物レンズ
160…制御装置
162…本体
162A…記憶部
162B…処理部
162BA…ワークメモリ
162BB…CPU
162BC…表示制御部
162CA、162CB、162CC、162CD…インタフェース(IF)
162C…インタフェース(IF)部
164…表示部
164A、164B…表示領域
164BA…再演算ボタン
164BB…決定ボタン
166…入力部
168…ジョイスティック
170…キーボード
172…マウス
Am…測定範囲
Cm…測定条件
Mcu…コントラスト利用測定モード
Mm…測定モード
Mwi…白色干渉測定モード
Nc、Nw…倍率
Nv…測定視野数
O、P…光軸
Pfr、Pct…取得画像
Pit…固有パラメータ
PR…プリンタ
Rm…測定ピッチ
Sct…コントラスト信号
Scm…最大コントラスト信号
Sif…干渉信号
Sim…最大干渉信号
St…測定開始指令
Td、Td1…測定時間
Te…終了時間
Tm…処理時間
Tmm…最大時間
Tt…演算時間
Tv…移動時間
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12