(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】移動型機器及び撮影システム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/38 20210101AFI20220107BHJP
G03B 17/50 20210101ALI20220107BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220107BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20220107BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G03B17/38 B
G03B17/50
G03B15/00 P
G03B15/00 U
G03B15/00 Q
H04N5/222 100
H04N5/232 190
H04N5/232 990
H04N5/232 290
H04N5/232 030
(21)【出願番号】P 2020519539
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2019017050
(87)【国際公開番号】W WO2019220877
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2018093045
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】園田 慎一郎
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-10244(JP,A)
【文献】特開2001-125646(JP,A)
【文献】特開2005-136760(JP,A)
【文献】特開2012-15660(JP,A)
【文献】特開2003-331266(JP,A)
【文献】特開2001-111935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/38
G03B 17/50
G03B 15/00
H04N 5/222
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機器による撮影により得られた画像を取得する取得部と、
予め設定された撮影対象が前記撮影機器の画角内に配置されるための制御を行う配置制御部と、
前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在する場合、前記画像を記録媒体に形成する制御を行う形成制御部と、
前記画像が形成された記録媒体を予め設定された受け渡し対象に受け渡し可能な状態で排出する排出部と、
前記記録媒体を前記受け渡し対象に受け渡すための移動型機器自身の移動を制御する移動制御部と、
前記受け渡し対象との距離、及び前記形成制御部による画像の形成の開始から前記排出部による排出の完了までに要する時間から、前記記録媒体を前記受け渡し対象に渡すことが可能な位置で前記記録媒体が受け渡し可能な状態となる移動速度を導出する導出部と、
を備え、
前記形成制御部による前記記録媒体への前記画像の形成開始から前記排出部による前記記録媒体の排出の完了までの期間と、前記移動制御部による制御によって移動を開始してから完了するまでの期間との少なくとも一部の期間が重複し、
前記移動制御部は、前記導出部により導出された移動速度に従って前記移動を制御する、
移動型機器。
【請求項2】
前記移動制御部による移動の制御の開始と、前記形成制御部による画像の形成の開始とを同じタイミングで行う、
請求項1に記載の移動型機器。
【請求項4】
前記記録媒体は、感光性記録媒体である、
請求項1又は請求項2に記載の移動型機器。
【請求項5】
前記形成制御部は、前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在する場合、前記撮影機器により連続的に撮影された複数の画像の少なくとも1つの画像を前記記録媒体に形成する制御を行う、
請求項1、請求項2、請求項4の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項6】
前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在する場合、前記画像を不揮発性の記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部を更に備え、
前記形成制御部は、前記記憶部に記憶された画像を前記記録媒体に形成する制御を行う、
請求項1、請求項2、請求項4、請求項5の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項7】
前記取得部により取得された画像を加工する画像処理を行う画像処理部を更に備えた、
請求項1、請求項2、請求項4から請求項6の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項8】
前記形成制御部は、前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在し、かつ前記撮影対象により予め定められたジェスチャーが行われた場合、前記画像を前記記録媒体に形成する制御を行う、
請求項1、請求項2、請求項4から請求項7の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項9】
前記形成制御部は、前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在し、かつ予め定められた音が入力された場合、前記画像を前記記録媒体に形成する制御を行う、
請求項1、請求項2、請求項4から請求項8の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項10】
前記移動制御部は、前記受け渡し対象が受け渡し可能な範囲として予め定められた範囲内に存在する場合、前記移動を制御する、
請求項1、請求項2、請求項4から請求項9の何れか1項に記載の移動型機器。
【請求項11】
請求項1、請求項2、請求項4から請求項10の何れか1項に記載の移動型機器と、
前記移動型機器から送信された画像を受信する第1受信部を備えた情報処理装置と、
を含み、
前記移動型機器は、前記取得部により取得された画像内に前記撮影対象が存在する場合、前記画像を前記情報処理装置に送信する第1送信部を更に備えた、
撮影システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記第1受信部により受信された画像を前記移動型機器に送信する第2送信部を更に備え、
前記移動型機器は、前記情報処理装置から送信された画像を受信する第2受信部を更に備えた、
請求項11に記載の撮影システム。
【請求項13】
前記情報処理装置は、前記第1受信部により受信された画像を加工する画像処理を行う画像処理部を更に備えた、
請求項11又は請求項12に記載の撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動型機器及び撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザから画像形成開始の指示が入力された場合に、ユーザの近傍まで自走する画像形成装置が提案されている(特開2017-54537号公報参照)。この画像形成装置は、ユーザの近傍まで自走した後、ユーザにより予め定められた操作が行われた場合に、画像の形成を開始する。
【0003】
また、撮影機器を備え、移動する撮影対象を追従して撮影する移動型機器が提案されている(特開2005-65022号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2017-54537号公報に記載の技術では、ユーザが画像形成開始の指示を入力してから、画像が形成された記録媒体を得るまでに比較的長い時間がかかってしまう、という問題点があった。また、特開2005-65022号公報に記載の技術でも、この問題点については考慮されていない。
【0005】
本開示は、画像が形成された記録媒体を速やかに受け渡すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の移動型機器は、撮影機器による撮影により得られた画像を取得する取得部と、予め設定された撮影対象が撮影機器の画角内に配置されるための制御を行う配置制御部と、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在する場合、画像を記録媒体に形成する制御を行う形成制御部と、画像が形成された記録媒体を予め設定された受け渡し対象に受け渡し可能な状態で排出する排出部と、記録媒体を受け渡し対象に受け渡すための移動型機器自身の移動を制御する移動制御部と、を備え、形成制御部による記録媒体への画像の形成開始から排出部による記録媒体の排出の完了までの期間と、移動制御部による制御によって移動を開始してから完了するまでの期間との少なくとも一部の期間が重複する。
【0007】
これにより、画像が形成された記録媒体を速やかに受け渡すことができる。
【0008】
なお、本開示の移動型機器は、移動制御部による移動の制御の開始と、形成制御部による画像の形成の開始とを同じタイミングで行ってもよい。
【0009】
これにより、画像が形成された記録媒体をより速やかに受け渡すことができる。
【0010】
また、本開示の移動型機器は、受け渡し対象との距離、及び形成制御部による画像の形成の開始から排出部による排出の完了までに要する時間から、記録媒体を受け渡し対象に渡すことが可能な位置で記録媒体が受け渡し可能な状態となる移動速度を導出する導出部を更に備え、移動制御部が、導出部により導出された移動速度に従って移動を制御してもよい。
【0011】
これにより、受け渡し対象に画像が形成された記録媒体を受け渡す位置で、記録媒体を受け渡し可能な状態とすることができる。
【0012】
また、本開示の移動型機器は、記録媒体が、感光性記録媒体であってもよい。
【0013】
これにより、画像を速やかに形成することができる。
【0014】
また、本開示の移動型機器は、形成制御部が、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在する場合、撮影機器により連続的に撮影された複数の画像の少なくとも1つの画像を記録媒体に形成する制御を行ってもよい。
【0015】
これにより、複数の画像から適切な画像を記録媒体に形成することができる。
【0016】
また、本開示の移動型機器は、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在する場合、画像を不揮発性の記憶部に記憶する制御を行う記憶制御部を更に備え、形成制御部が、記憶部に記憶された画像を記録媒体に形成する制御を行ってもよい。
【0017】
これにより、撮影対象が画像内に存在する画像を保存することができる。
【0018】
また、本開示の移動型機器は、取得部により取得された画像を加工する画像処理を行う画像処理部を更に備えてもよい。
【0019】
これにより、ユーザが所望する画像処理を実行することができる。
【0020】
また、本開示の移動型機器は、形成制御部が、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在し、かつ撮影対象により予め定められたジェスチャーが行われた場合、画像を記録媒体に形成する制御を行ってもよい。
【0021】
これにより、適切なタイミングで撮影された画像を形成することができる。
【0022】
また、本開示の移動型機器は、形成制御部が、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在し、かつ予め定められた音が入力された場合、画像を記録媒体に形成する制御を行ってもよい。
【0023】
これにより、適切なタイミングで撮影された画像を形成することができる。
【0024】
また、本開示の移動型機器は、移動制御部が、受け渡し対象が受け渡し可能な範囲として予め定められた範囲内に存在する場合、移動を制御してもよい。
【0025】
これにより、画像が記録された記録媒体を確実に受け渡すことができる。
【0026】
また、本開示の撮影システムは、本開示の移動型機器と、移動型機器から送信された画像を受信する第1受信部を備えた情報処理装置と、を含み、移動型機器が、取得部により取得された画像内に撮影対象が存在する場合、画像を情報処理装置に送信する第1送信部を更に備えている。
【0027】
これにより、情報処理装置に画像を保存することができる。
【0028】
また、本開示の撮影システムは、情報処理装置が、第1受信部により受信された画像を移動型機器に送信する第2送信部を更に備え、移動型機器が、情報処理装置から送信された画像を受信する第2受信部を更に備えてもよい。
【0029】
これにより、情報処理装置を介して画像を形成することができる。
【0030】
また、本開示の撮影システムは、情報処理装置が、第1受信部により受信された画像を加工する画像処理を行う画像処理部を更に備えてもよい。
【0031】
これにより、情報処理装置で画像を加工することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、画像が形成された記録媒体を速やかに受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態に係る移動型機器の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1及び第2実施形態に係る移動型機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る移動型機器の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る受け渡し処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る撮影システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る移動型機器の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第2実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る受け渡し処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る画像加工処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0035】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る移動型機器10の構成について説明する。
図1に示すように、移動型機器10は、撮影機器12及び画像形成装置14を備えている。移動型機器10と撮影機器12とは、有線通信及び無線通信の少なくとも一方により通信可能に接続されている。また、移動型機器10と画像形成装置14とは、有線通信及び無線通信の少なくとも一方により通信可能に接続されている。
【0036】
撮影機器12は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子、及び撮像レンズを含み、撮影して得られた画像を移動型機器10に出力する。また、撮影機器12は、移動機構26(
図2参照)に搭載されており、移動機構26が移動型機器10によって制御されることによって、撮影機器12の高さ及び姿勢が制御可能とされている。
【0037】
画像形成装置14は、発光素子を複数備え、発光素子を発光させることによって感光性フィルム等の感光性記録媒体に画像を形成する。なお、画像形成装置14は、インクジェット方式、ゼログラフィ方式、感熱方式、及び熱転写方式等の他の方式によって記録媒体に画像を形成する装置であってもよい。また、画像形成装置14は、画像が形成された感光性記録媒体を予め設定された受け渡し対象Uに受け渡し可能な状態で排出する排出部16を備えている。ここでいう受け渡し可能な状態とは、例えば、排出部16が感光性記録媒体の一端側を画像形成装置14の外側に排出し、他端側を把持している状態である。
【0038】
また、移動型機器10は、車輪を複数備え、車輪の回転及び向きが制御されることによって、360度方向に移動可能とされている。なお、移動型機器10は、二足歩行又は四足歩行等によって移動する移動体であってもよいし、磁力によって浮上した状態で移動する飛行体であってもよいし、プロペラ等によって飛行して移動する飛行体であってもよい。
【0039】
本実施形態に係る移動型機器10は、予め設定された撮影対象Sを撮影機器12により撮影し、撮影により得られた画像を画像形成装置14によって感光性記録媒体に形成する。そして、本実施形態に係る移動型機器10は、画像が形成された感光性記録媒体を受け渡し対象Uに受け渡すために移動する。
【0040】
なお、撮影対象Sの例としては、子供、人、赤ん坊、動物、犬、及び建物等の一般名詞で表される対象と、特定の人、特定のペット、及び特定の建物等の固有名詞で表される対象等が挙げられる。また、受け渡し対象Uとしては、特定の人等の固有名詞で表される対象が挙げられる。また、撮影対象Sと受け渡し対象Uは、同じ人であってもよい。
【0041】
次に、
図2を参照して、移動型機器10のハードウェア構成について説明する。
図2に示すように、移動型機器10は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を備えている。また、移動型機器10は、液晶ディスプレイ等の表示部23、及び各種ボタンと、表示部23と一体化されたタッチパネル等の入力部24を備えている。また、移動型機器10は、撮影機器12と画像形成装置14と外部機器との通信に用いられる通信I/F(InterFace)25、移動機構26、駆動部27、及び距離計測部28を備えている。CPU20、メモリ21、記憶部22、表示部23、入力部24、通信I/F25、移動機構26、駆動部27、及び距離計測部28は、バス29を介して接続される。
【0042】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等によって実現される。記憶部22には、後述する設定情報30が記憶される。
【0043】
移動機構26は、CPU20による制御によって撮影機器12を移動させることにより、撮影機器12の高さ及び姿勢を変更する。駆動部27は、モータ等を含み、CPU20による制御によってモータからの駆動力を車輪に伝達することにより、移動型機器10を移動させる。距離計測部28は、移動型機器10と受け渡し対象Uとの距離を計測する。距離計測部28の例としては、2眼カメラ、赤外線センサ、及び超音波センサ等が挙げられる。
【0044】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る移動型機器10の機能的な構成について説明する。
図3に示すように、移動型機器10は、受付部40、撮影制御部42、取得部44、配置制御部46、記憶制御部48、画像処理部50、形成制御部52、導出部54、及び移動制御部56を含む。また、導出部54は、受け渡し対象探索部54A及び移動速度導出部54Bを含む。CPU20が記憶部22に予め記憶されたプログラムを実行することによって、受付部40、撮影制御部42、取得部44、配置制御部46、記憶制御部48、画像処理部50、形成制御部52、導出部54、及び移動制御部56として機能する。
【0045】
受付部40は、スマートフォン等の端末によって入力された設定情報30を通信I/F25を介して受け付け、受け付けた設定情報30を記憶部22に記憶する。設定情報30には、撮影対象Sを特定するための撮影対象情報が含まれる。撮影対象情報の例としては、撮影対象Sが前述した一般名詞で表される対象の場合は、その一般名詞が挙げられる。また、撮影対象情報の例としては、撮影対象Sが前述した固有名詞で表される対象の場合は、撮影対象Sの画像が挙げられる。
【0046】
また、設定情報30には、受け渡し対象Uを特定するための受け渡し対象情報も含まれる。受け渡し対象情報の例としては、受け渡し対象Uの画像が挙げられる。また、設定情報30には、画像の記憶条件も含まれる。画像の記憶条件の例としては、例えば、撮影対象Sが画像内の予め定められた位置(例えば、中央の位置)に、予め定められた大きさで存在するとの条件が挙げられる。
【0047】
また、設定情報30には、感光性記録媒体を受け渡し対象Uに受け渡すために移動可能な範囲(以下、「受け渡し可能範囲」という)を示す情報も含まれる。受け渡し可能範囲の例としては、移動型機器10が、感光性記録媒体を受け渡し対象Uに受け渡すために移動可能な距離の上限値が挙げられる。なお、受け渡し可能範囲は、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)等の地図生成手法によって生成された地図上の範囲でもよい。
【0048】
また、設定情報30には、排出部16により受け渡し可能な状態で排出された感光性記録媒体を、受け渡し対象Uが取得可能な距離の範囲(以下、「取得可能範囲」という)を示す情報も含まれる。取得可能範囲の例としては、排出部16により受け渡し可能な状態で排出された感光性記録媒体を、受け渡し対象Uが取得可能な距離の上限値が挙げられる。
【0049】
撮影制御部42は、撮影機器12に対し、画像を撮影させる制御を行う。取得部44は、撮影機器12による撮影により得られた画像を取得する。配置制御部46は、撮影対象Sが撮影機器12の画角内に配置されるための制御を行う。本実施形態では、配置制御部46は、取得部44により取得された画像に対し、顔認識処理等の画像解析処理を行う。この画像解析処理によって、配置制御部46は、設定情報30に含まれる撮影対象情報により特定される撮影対象Sが画像内に存在し、かつ設定情報30に含まれる画像の記憶条件を満たすか否かを判定する。
【0050】
配置制御部46は、この判定が否定判定となった場合は、移動機構26を制御することによる撮影機器12の高さ及び姿勢の変更、駆動部27を制御することによる移動型機器10の移動、及び撮影機器12のズーム倍率の変更の少なくとも1つを行う。これにより、配置制御部46は、撮影対象Sが撮影機器12の画角内に配置されるように制御する。
【0051】
記憶制御部48は、前述した配置制御部46による判定が肯定判定となった場合、取得部44により取得された画像を記憶部22に記憶する制御を行う。画像処理部50は、記憶制御部48による制御により記憶部22に記憶された画像を加工する画像処理を行う。この画像処理の例としては、画像の明るさの調整、画像のぼけの度合いの調整、画像のノイズの除去、画像への文字の重畳、及び画像へのキャラクター等の他の画像の重畳等が挙げられる。
【0052】
形成制御部52は、前述した配置制御部46による判定が肯定判定となった場合、画像形成装置14に対し、画像処理部50による画像処理を経た画像を感光記録媒体に形成する制御を行う。受け渡し対象探索部54Aは、受け渡し対象Uを探索する。本実施形態では、受け渡し対象探索部54Aは、配置制御部46と同様に、取得部44により取得された画像に対し、顔認識処理等の画像解析処理を行う。この画像解析処理によって、受け渡し対象探索部54Aは、設定情報30に含まれる受け渡し対象情報により特定される受け渡し対象Uが画像内に存在するか否かを判定する。受け渡し対象探索部54Aは、この判定が否定判定となった場合は、移動機構26を制御することによる撮影機器12の高さ及び姿勢の変更、駆動部27を制御することによる移動型機器10の移動、及び撮影機器12のズーム倍率の変更の少なくとも1つを行う。この処理を受け渡し対象Uが画像内に存在するようになるまで繰り返すことにより、受け渡し対象探索部54Aは、受け渡し対象Uを探索する。なお、受け渡し対象Uがスマートフォン等の端末を所持している場合は、受け渡し対象探索部54Aは、端末と無線通信を行うことによって受け渡し対象Uを探索してもよい。
【0053】
移動速度導出部54Bは、探索された受け渡し対象Uについて、距離計測部28により計測された受け渡し対象Uとの距離、及び形成制御部52による画像の形成の開始から排出部16による排出の完了までに要する時間から、以下に示す移動速度を導出する。すなわち、この場合、移動速度導出部54Bは、上記距離及び上記時間から、感光性記録媒体を受け渡し対象Uに渡すことが可能な位置で感光性記録媒体が受け渡し可能な状態となる移動速度を導出する。
【0054】
詳細には、移動速度導出部54Bは、以下の(1)式に従って、上記距離を上記時間で除算することによって上記移動速度を導出する。なお、(1)式におけるVは、感光性記録媒体を受け渡し対象Uに渡すことが可能な位置で感光性記録媒体が受け渡し可能な状態となる移動速度を表す。また、(1)式におけるDは、距離計測部28により計測された受け渡し対象Uとの距離を表す。また、(1)式におけるTは、形成制御部52による画像の形成の開始から排出部16による排出の完了までに要する時間を表す。
V=D÷T・・・(1)
なお、(1)式により導出される移動速度は一例であり、この例に限定されない。例えば、この移動速度は予め設定されていてもよい。
【0055】
移動制御部56は、駆動部27を制御することによって、感光性記録媒体を受け渡し対象Uに受け渡すための移動型機器10の移動を制御する。詳細には、移動制御部56は、移動型機器10が受け渡し対象Uに向かって移動速度導出部54Bにより導出された移動速度で移動するように駆動部27を制御する。
【0056】
本実施形態に係る移動型機器10は、前述した移動制御部56による移動の制御の開始と、形成制御部52による画像の形成の開始とを同じタイミングで行う。なお、この2つの開始は同じタイミングに行わなくてもよい。例えば、移動制御部56による移動の制御の開始後に形成制御部52による画像の形成の開始を行ってもよい。この場合、形成制御部52は、移動型機器10の取得可能範囲内への移動が完了する前に、画像の形成の開始を行う。また、例えば、形成制御部52による画像の形成の開始後に移動制御部56による移動の制御の開始を行ってもよい。この場合、移動制御部56は、排出部16による画像が形成された感光性記録媒体の排出が完了する前に、移動の制御の開始を行う。すなわち、移動型機器10は、形成制御部52による感光性記録媒体への画像の形成開始から排出部16による感光性記録媒体の排出の完了までの期間と、移動制御部56による制御によって移動を開始してから完了するまでの期間との少なくとも一部の期間を重複させる。
【0057】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る移動型機器10の作用を説明する。CPU20が記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、
図4に示す受け渡し処理が実行される。
図4に示す受け渡し処理は、例えば、スマートフォン等の端末によって入力された設定情報30を移動型機器10が受信した場合に実行される。
【0058】
図4のステップS10で、受付部40は、スマートフォン等の端末によって入力された設定情報30を通信I/F25を介して受け付け、受け付けた設定情報30を記憶部22に記憶する。ステップS12で、撮影制御部42は、撮影機器12に対し、画像を撮影させる制御を行う。ステップS14で、取得部44は、ステップS12の処理によって撮影機器12による撮影により得られた画像を取得する。
【0059】
ステップS16で、配置制御部46は、前述したように、ステップS10の処理により受け付けられた設定情報30に含まれる撮影対象情報により特定される撮影対象Sが、ステップS14の処理により取得された画像内に存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS18に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS20に移行する。
【0060】
ステップS18で、配置制御部46は、移動機構26を制御することによる撮影機器12の高さ及び姿勢の変更、駆動部27を制御することによる移動型機器10の移動、及び撮影機器12のズーム倍率の変更の少なくとも1つを行う。これにより、配置制御部46は、撮影対象Sが撮影機器12の画角内に配置されるように制御する。ステップS18の処理が終了すると、処理はステップS12に戻る。
【0061】
ステップS20で、配置制御部46は、前述したように、ステップS10の処理により受け付けられた設定情報30に含まれる撮影対象情報により特定される撮影対象Sが設定情報30に含まれる画像の記憶条件を満たすか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS22に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS24に移行する。
【0062】
ステップS22で、配置制御部46は、移動機構26を制御することによる撮影機器12の高さ及び姿勢の変更、駆動部27を制御することによる移動型機器10の移動、及び撮影機器12のズーム倍率の変更の少なくとも1つを行う。これにより、配置制御部46は、撮影対象Sが画像の記憶条件を満たすように制御する。ステップS22の処理が終了すると、処理はステップS12に戻る。
【0063】
ステップS24で、記憶制御部48は、ステップS14の処理により取得された画像を記憶部22に記憶する制御を行う。ステップS26で、画像処理部50は、前述したように、ステップS24の処理による制御により記憶部22に記憶された画像を加工する画像処理を行う。ステップS28で、受け渡し対象探索部54Aは、前述したように、受け渡し対象Uを探索する。
【0064】
ステップS30で、受け渡し対象探索部54Aは、ステップS28の処理により探索された受け渡し対象Uが、ステップS10の処理により受け付けられた設定情報30に含まれる受け渡し可能範囲内に存在するか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、受け渡し処理が終了し、肯定判定となった場合は、処理はステップS32に移行する。
【0065】
ステップS32で、移動速度導出部54Bは、ステップS28の処理により探索された受け渡し対象Uについて、距離計測部28により計測された受け渡し対象Uとの距離、及び形成制御部52による画像の形成の開始から排出部16による排出の完了までに要する時間から、上記(1)式に従って移動速度を導出する。
【0066】
ステップS34で、形成制御部52は、ステップS26の処理による画像処理を経た画像を感光記録媒体に形成する制御を行う。この制御と同じタイミングで、移動制御部56は、移動型機器10が受け渡し対象Uに向かってステップS32の処理により導出された移動速度で移動するように駆動部27を制御する。すなわち、これらの制御により、画像形成装置14による画像の形成、及び移動型機器10の移動が同じタイミングで開始される。画像形成装置14による画像の形成は、排出部16による感光性記録媒体の排出が完了するまで継続して行われる。移動型機器10の移動は、後述するステップS38が実行されるまで継続して行われる。
【0067】
ステップS36で、移動制御部56は、距離計測部28により計測された受け渡し対象Uとの距離が、ステップS10の処理により受け付けられた設定情報30に含まれる取得可能範囲内であるか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、所定の時間間隔でステップS36が再度実行され、肯定判定となった場合は、処理はステップS38に移行する。
【0068】
ステップS38で、移動制御部56は、駆動部27を制御し、ステップS34の処理により開始された移動型機器10の移動を終了する。ステップS38の処理が終了すると、受け渡し処理が終了する。受け渡し対象Uは、近傍まで移動してきた移動型機器10の画像形成装置14の排出部16から排出された感光性記録媒体を取得する。なお、ステップS38の終了後に、処理がステップS12に戻ってもよい。この場合、一度受信した設定情報30を用いて、ステップS12からステップS38までの処理が複数回繰り返して実行される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、記録媒体への画像の形成開始から排出部16による記録媒体の排出の完了までの期間と、移動制御部56による制御によって移動を開始してから完了するまでの期間とを重複させている。従って、画像が形成された記録媒体を速やかに受け渡すことができる。
【0070】
[第2実施形態]
開示の技術の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。まず、
図5を参照して、本実施形態に係る撮影システム100の構成について説明する。
図5に示すように、撮影システム100は、撮影機器12と画像形成装置14とを備える移動型機器10、及び情報処理装置18を含む。移動型機器10と情報処理装置18とは、無線通信により通信可能に接続されている。情報処理装置18の例としては、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等が挙げられる。移動型機器10のハードウェア構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
次に、
図6を参照して、情報処理装置18のハードウェア構成について説明する。
図6に示すように、情報処理装置18は、CPU60、一時記憶領域としてのメモリ61、及び不揮発性の記憶部62を備える。また、情報処理装置18は、液晶ディスプレイ等の表示部63、マウスとキーボード等の入力部64、及び移動型機器10との通信に用いられる通信I/F65を備えている。CPU60、メモリ61、記憶部62、表示部63、入力部64、及び通信I/F65は、バス66を介して接続される。
【0072】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る移動型機器10の機能的な構成について説明する。
図7に示すように、移動型機器10は、受付部40、撮影制御部42、取得部44、配置制御部46、記憶制御部48、形成制御部52、導出部54、移動制御部56、送信部58、及び受信部59を含む。送信部58は第1送信部の一例であり、受信部59は第2受信部の一例である。また、導出部54は、受け渡し対象探索部54A及び移動速度導出部54Bを含む。CPU20が記憶部22に予め記憶されたプログラムを実行することによって受付部40、撮影制御部42、取得部44、配置制御部46、記憶制御部48、形成制御部52、導出部54、移動制御部56、送信部58、及び受信部59として機能する。
【0073】
送信部58は、前述した配置制御部46による判定が肯定判定となった場合、取得部44により取得された画像を、通信I/F25を介して情報処理装置18に送信する。受信部59は、情報処理装置18から送信された画像を、通信I/F25を介して受信する。
【0074】
次に、
図8を参照して、本実施形態に係る情報処理装置18の機能的な構成について説明する。
図8に示すように、情報処理装置18は、受信部70、記憶制御部72、画像処理部74、及び送信部76を含む。受信部70は第1受信部の一例であり、送信部76は第2送信部の一例である。CPU60が記憶部62に予め記憶されたプログラムを実行することによって受信部70、記憶制御部72、画像処理部74、及び送信部76として機能する。
【0075】
受信部70は、移動型機器10から送信された画像を、通信I/F65を介して受信する。記憶制御部72は、受信部70により受信された画像を記憶部62に記憶する制御を行う。画像処理部74は、第1実施形態に係る画像処理部50と同様に、記憶制御部72による制御により記憶部62に記憶された画像を加工する画像処理を行う。送信部76は、画像処理部74による画像処理を経た画像を、通信I/F65を介して移動型機器10に送信する。
【0076】
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施形態に係る撮影システム100の作用を説明する。CPU20が記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、
図9に示す受け渡し処理が実行される。
図9に示す受け渡し処理は、例えば、スマートフォン等の端末によって入力された設定情報30を移動型機器10が受信した場合に実行される。
図9における
図4と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
また、CPU60が記憶部62に記憶されたプログラムを実行することにより、
図10に示す画像加工処理が実行される。
図10に示す画像加工処理は、例えば、移動型機器10から送信された画像を情報処理装置18が受信した場合に実行される。
【0078】
図9のステップS25で、送信部58は、ステップS14の処理により取得された画像を、通信I/F25を介して情報処理装置18に送信する。ステップS27で、受信部59は、後述する画像加工処理のステップS56の処理により情報処理装置18から送信された画像を、通信I/F25を介して受信する。ステップS34では、ステップS27の処理により受信された画像を感光性記録媒体に形成する制御が行われる。なお、本実施形態においても、ステップS38の終了後に、処理がステップS12に戻ってもよい。この場合、一度受信した設定情報30を用いて、ステップS12からステップS38までの処理が複数回繰り返して実行される。
【0079】
図10のステップS50で、受信部70は、受け渡し処理のステップS25の処理により移動型機器10から送信された画像を、通信I/F65を介して受信する。ステップS52で、記憶制御部72は、ステップS50の処理により受信された画像を記憶部62に記憶する制御を行う。
【0080】
ステップS54で、画像処理部74は、ステップS52の処理により記憶部62に記憶された画像を加工する画像処理を行う。ステップS56で、送信部76は、ステップS54の処理による画像処理を経た画像を、通信I/F65を介して移動型機器10に送信する。ステップS56の処理が終了すると、画像加工処理が終了する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、情報処理装置18に保存された画像を用いてフォトアルバムを作成する等のサービスを更に提供することができる。
【0082】
なお、上記各実施形態において、配置制御部46による判定が肯定判定となった場合に、取得部44が、撮影機器12により連続的に撮影された複数の画像を取得してもよい。この場合、形成制御部52は、画像形成装置14に対し、取得部44により取得された複数の画像の少なくとも1つを感光記録媒体に形成する制御を行う形態が例示される。更にこの場合、形成制御部52は、複数の画像から、ぶれ量が最も小さい画像、最も明るい画像、及び撮影対象Sが目を開いている画像等の予め設定された選択条件を満たす画像を選択し、選択した画像を感光記録媒体に形成する制御を行う形態が例示される。
【0083】
また、上記各実施形態では、画像の記憶条件として、撮影対象Sが画像内の予め定められた位置に、予め定められた大きさで存在するとの条件を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、画像の記憶条件として、撮影対象Sにより予め定められたジェスチャー(例えば、ピースサイン等)が行われたとの条件を適用してもよい。また、例えば、画像の記憶条件として、移動型機器10に予め定められた音が入力されたとの条件を適用してもよい。
【0084】
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を実行することにより実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各種処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より詳細には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0085】
また、上記各実施形態では、プログラムが記憶部22、62に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0086】
本願は2018年5月14日出願の日本出願第2018-093045号の優先権を主張すると共に、その全文を参照により本明細書に援用する。