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特許6997931ポリイソシアヌレート硬質フォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ポリイソシアヌレート硬質フォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20220128BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220128BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220128BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20220128BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220128BHJP
   C08G 18/16 20060101ALI20220128BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C08G18/09 020
C08G18/00 H
C08G18/42
C08G18/50 021
C08G18/40 009
C08G18/16
C08G101:00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018560811
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017061911
(87)【国際公開番号】W WO2017198747
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】16170077.8
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】トマシ,ジャンパオロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンデラー,ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】カムプフ,グンナー
(72)【発明者】
【氏名】ガウケスブリンク,ウルリヒ
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0052467(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1732196(CN,A)
【文献】米国特許第05214076(US,A)
【文献】特表2015-520260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、
(A)ポリエステルオール、
泡剤であって、ギ酸が唯一の発泡剤であるか、又はギ酸と水の混合物である発泡剤
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含み、
組成物(A)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、85%を超えるDIN ISO 4590による独立気泡の割合を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、80kPa以上のDIN 53 421/DIN EN ISO 604による圧縮強度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された前記ポリエーテルアルコールが、100~600の範囲のヒドロキシル価を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエステルオールが、フタル酸、又はテレフタル酸、又はそれらの誘導体から製造されたポリエステルオールからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記三量化触媒が、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムオクトエート、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウムオクトエート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒系が、最大6個の窒素原子を有するアミン化合物であるさらなる触媒成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物(A)が2.0質量%未満の水を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物(A)が、安定剤、難燃剤、さらなる触媒及び抗酸化剤から選択されたさらなる成分を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、イソシアネート指数が150~500であるような量で、前記組成物(A)及び(B)を反応させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム、又は請求項12に記載の硬質ポリイソシアヌレートフォームを、断熱材として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、当該方法は、ポリエステルオール、ギ酸を含む発泡剤、及び少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系を含む組成物(A)を、成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネートと反応させることを含み、ここで、組成物(A)がアルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含む。さらに、本発明は、本発明の方法により得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム、及び当該硬質ポリイソシアヌレートフォームを断熱材として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアヌレートフォーム、特に硬質ポリイソシアヌレートフォームは、長い間知られており、文献に広く記載されている。硬質ポリイソシアヌレートフォームの重要な応用分野は複合物要素にある。通常、ポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性を有する水素原子を有する化合物(通常、ポリエーテルオール、ポリエステルオール又はこれらの両方)と180以上のイソシアネート指数で反応させることにより、それらを製造する。これは、反応性水素原子を有する化合物とイソシアネートとの反応によって形成されたウレタン構造の形成だけでなく、イソシアネート基が互いに反応することによってイソシアヌレート構造の形成ももたらす。
【0003】
本発明の目的のため、ポリイソシアヌレートは、ウレタン基だけでなく、さらなる基も含むポリマーイソシアネート付加物である。
【0004】
本発明の目的のため、イソシアネート指数は、100を乗じた、イソシアネート基のイソシアネートに対して反応性を有する基に対する化学量論比である。本発明の目的のため、イソシアネートに対して反応性を有する基は、反応混合物中に含まれており、かつ、イソシアネート(化学発泡剤を含むが、イソシアネート基自体が含まれていない)に対して反応性を有する全ての基である。
【0005】
本発明の目的のため、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、発泡したポリイソシアヌレート、好ましくはDIN 7726によるフォームであり、すなわち、当該フォームが、80kPa以上、好ましくは150kPa以上、特に好ましくは180kPa以上の、DIN 53 421/DIN EN ISO 604による10%変形時の圧縮応力又は圧縮強度を有する。さらに、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、85%を超え、好ましくは90%を超えるDIN ISO 4590による独立気泡の割合を有する。
【0006】
一般的には、発泡触媒及びゲル化触媒の両方(通常、アミン)、並びに三量化触媒は、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造における触媒として使用されている。また、様々な触媒の混合物を含む触媒系も、従来技術において見出されている。
【0007】
通常、物理的又は化学的発泡剤を用いて、これらの硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する。本発明の目的のため、化学的発泡剤は、イソシアネートとの反応により気体生成物を形成する化合物である。物理的発泡剤は、ポリウレタン製造のための出発材料中に溶解又は乳化し、かつ、ポリウレタン形成の条件下で蒸発する化合物である。使用可能な化学的発泡剤は特に、水及びカルボン酸である。使用される物理的発泡剤は、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、炭化水素及び液体COである。
【0008】
好ましくは、硬質イソシアヌレートフォームは、連続プロセスによって、例えばダブルベルトプロセス(double belt process)によって製造される。相当量のイソシアネートがイソシアネートとの反応中に消費され、発泡ガスを発生させるので、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において水を化学的発泡剤として使用することは制限されている。
【0009】
同様に、ポリウレタン発泡体を製造するための化学的発泡剤としてのカルボン酸、主にギ酸の使用は、長い間知られている。
【0010】
US 5,143,945には、三量化触媒、並びに発泡剤としての水及びギ酸を使用してポリイソシアヌレートフォームを製造する方法が開示されている。
【0011】
US 5,214,076には、ギ酸及び発泡触媒(例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン)を含む発泡剤の存在下で、芳香族ポリエステルオール及び芳香族アミンポリエーテルオールから連続気泡カルボジイミドイソシアヌレートフォームを製造する方法が開示されている。
【0012】
EP 1435366には、バッチプロセス及び連続プロセスの両方において、ギ酸を用いて発泡された硬質ポリイソシアヌレートフォーム及びポリウレタン修飾ポリイソシアヌレートフォームの製造にノボラックポリエーテルオールを使用する方法が記載されている。ここでは、1種以上の触媒、例えばペンタメチルジエチレントリアミンなどのアミン触媒、及びカルボン酸のスズ塩などのスズ触媒を使用することが可能である。
【0013】
得られたフォームの燃焼特性を向上させるために、製造プロセスにおいてポリエステルオールをポリオールとして使用する。しかしながら、触媒系、ポリエステルオール及び発泡剤としてのギ酸を含む組成物は、限られた貯蔵安定性しか有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US 5,143,945
【文献】US 5,214,076
【文献】EP 1435366
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、これらの欠点を回避する硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この課題は、
(A)ポリエステルオール、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含む、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法によって解決された。ここで、組成物(A)は、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
驚いたことには、ポリエステルオール、ギ酸を含む発泡剤、及び少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系を含む組成物(A)の貯蔵安定性は、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールを添加することにより向上されたことが見出された。さらに、この方法により得られる硬質ポリイソシアヌレートフォームは、良好な燃焼特性を有する。本発明の方法により得られるフォームは、断熱材としての、良好な機械的特性及び優れた特性を有する。
【0018】
本発明の方法によれば、ポリエステルオール、ギ酸を含む発泡剤、少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、及びアルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールを含む組成物(A)を、成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネートと反応させる。
【0019】
組成物(A)は、アルキレンオキシドをトルエンジアミン(TDA)に添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールを含む。ポリエーテルアルコールの製造において、原則的には、TDAの全ての異性体を使用することが可能である。任意のo-TDAを含まない混合物を使用することが可能である。TDAの質量に対して、少なくとも25質量%のo-TDA(隣接TDA(vicinal TDA)とも称される)を含む混合物が好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、TDA異性体の混合物はTDAの質量に対して、少なくとも95質量%の隣接TDAを含む。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの混合物をTDA中に添加することによって、ポリエーテルアルコールを製造する。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを使用する場合、アルキレンオキシドは、それぞれに連続して又は互いに混合して添加することができる。一実施態様において、まずエチレンオキシドを添加し、次にプロピレンオキシドを添加する。好ましくは、エチレンオキシドの付加反応は、触媒の非存在下で行われ、プロピレンオキシドの付加反応は、塩基性触媒の存在下で行われる。
【0020】
好ましくは、ポリエーテルアルコールは、100~600、好ましくは150~500の範囲のヒドロキシル価を有する。
【0021】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造されたポリエーテルアルコールが100~600の範囲のヒドロキシル価を有する。
【0022】
組成物(A)はさらに、少なくとも1つのポリエステルオールを含む。特に、1.5~8個のOH基を有する化合物を使用する。特に好ましくは、これらのポリエステルオールは、1個の分子当たり、1.5~8個、特に2~4個のOH基を有する。硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用されたポリエステルオールのヒドロキシル価は、好ましくは100~850mg KOH/g、特に好ましくは100~400mg KOH/g、特に150~300mg KOH/gである。好ましくは、分子量が400g/molを超える。
【0023】
通常、2~12個の炭素原子を有する多官能価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール又はペンタエリスリトールと、2~12個の炭素原子を有する多官能価カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートのリサイクレート(recyclates)及びナフタレンジカルボン酸の異性体、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートのリサイクレート及びナフタレンジカルボン酸の異性体、又はそれらの無水物との縮合によって、使用されたポリエステルアルコールを製造する。無水フタル酸及び/又はテレフタル酸及び/又はポリエチレンテレフタレートのリサイクレートから製造されたポリエステルオールが、特に好ましい。
【0024】
ポリエステルの製造におけるさらなる出発材料について、疎水性物質を同時に使用することも可能である。疎水性物質は、無極性有機ラジカルを含み、かつ、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル又はそれらの混合物から選択された少なくとも1つの反応性基を有する水不溶性物質である。疎水性材料の当量は130~1000g/molの範囲にある。例えば、脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸又はリノール酸、並びに、脂肪及びオイル、例えばヒマシ油、トウモロコシ油、ひまわり油、大豆油、ココナッツオイル、オリーブオイル又はトールオイルを使用することが可能である。ポリエステルが疎水性物質を含む場合、疎水性物質の割合は、ポリエステルアルコールの全モノマー含有量に対して、好ましくは1~30モル%、特に好ましくは4~15モル%である。
【0025】
使用されたポリエステルオールは、好ましくは1.5~5、特に好ましくは1.5~4の官能価を有する。
【0026】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、ポリエステルオールが、フタル酸、又はテレフタル酸、又はそれらの誘導体から製造されたポリエステルオールからなる群から選択される。
【0027】
組成物(A)は、好適な量のポリエステルオールを含むことができる。組成物(A)は、例えば組成物(A)の総質量に対して10~90質量%の範囲、好ましくは組成物(A)の総質量に対して20~80質量%の範囲の量のポリエステルオールを含むことができる。通常、組成物(A)は、組成物(A)の総質量に対して1~30質量%の範囲の、好ましくは組成物(A)の総質量に対して2~20質量%の範囲の量で、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造されたポリエーテルアルコールを含む。本発明において、特に説明しない限り、組成物(A)の全ての成分の量の合計は100質量%である。組成物(A)はさらなる成分を含むことができる。
【0028】
組成物(A)は、少なくとも2つのイソシアネート基に対して反応性を有する基を有する少なくとも1つの化合物をさらに含んでもよい。イソシアネート基に対して反応性を有する基、すなわち、イソシアネート基に対して反応性を有する水素原子を有する使用可能な化合物は、特に、分子中に少なくとも1.5個、例えば1.5~5個、好ましくは2個又は3個の、OH基、SH基、NH基、NH基及びCH-酸基から選択された反応性基、好ましくはOH基を有する化合物である。ここでは、分子中の反応性基の数は、イソシアネート基に対して反応性を有する水素原子を有する分子の平均数と見なされる。
【0029】
特に、1.5~8個のOH基を有する化合物を使用する。好ましくは、ポリエーテルオール、ポリエステルオール又はそれらの両方を使用する。
【0030】
ポリエーテルポリオールは、既知の方法により、例えば2~8個、好ましくは2~4個の結合された状態での反応性水素原子を含む少なくとも1つの出発分子を添加して、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド若しくはカリウムイソプロポキシドを触媒として使用するアニオン重合によって、又はルイス酸、例えば五塩化アンチモン、フッ化ホウ素エーテラート若しくは漂白土(bleaching earth)を触媒として使用するカチオン重合によって、1個のアルキレンラジカル当たり2~4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキレンオキシドから製造することができる。
【0031】
好適なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、並びに、好ましくはエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドである。アルキレンオキシドは、それぞれに、交互に連続して、又は混合物として使用することができる。
【0032】
使用可能な出発分子は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、スクロース、ソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’-メチレンジアニリン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び他の二価若しくは多価アルコール、又は単官能若しくは多官能価アミンである。好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びトルエンジアミンを使用する。
【0033】
本発明によれば、組成物(A)はまた、2つ以上の遊離ヒドロキシル基を有する化合物を含んでもよい。好ましくは、これらの化合物は、他の官能基又は反応性基、例えば酸基を含まない。好ましくは、ポリオール、例えばポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを使用してもよい。これらの例としては、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルケニル、ポリエステルジオール、ポリエステルオール、ポリエーテルグリコール、特にポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンエチレングリコール又はそれらの混合物が挙げられる。混合物とは、例えばコポリマーだけでなく、ポリマーの混合物も意味すると理解することができる。
【0034】
また、鎖延長剤及び/又は架橋剤を使用することが可能である。使用された鎖延長剤及び/又は架橋剤は特に、いずれの場合にも400未満、好ましくは60~300の分子量を有する、二官能又は三官能価アミン及びアルコール、特にジオール、トリオール又はそれらの両方である。
【0035】
使用された発泡剤は、ギ酸を含む発泡剤で製造される。これは、唯一の発泡剤として、又は水及び/又は物理的発泡剤との混合物として使用することができる。本発明によれば、少量、例えば5~20質量%の水を含有するギ酸を使用することができる。物理的発泡剤として、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、例えばクロロフルオロカーボン(CFCs)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)又はヒドロフルオロカーボン(HFCs)、及び他の化合物、例えば、過フッ素化されたアルカン、例えばペルフルオロヘキサン、及びエーテル、エステル、ケトン及びアセタール、又はそれらの混合物を使用することが好ましい。さらに、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、例えば(E)1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-プロペン(HFO-1233zd(E))及び1,1,1,4,4,4ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)を使用することができる。ヒドロフルオロカーボン、例えば1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC 365mfc)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC 245fa)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC 134a)又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC 227ea)及びそれらの混合物が好ましい。さらに、炭化水素、例えばペンタンの異性体及び誘導体を物理的発泡剤として有利に使用することができる。
【0036】
好ましくは、ヒドロフルオロカーボン(HFCs)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)及び/又は炭化水素と組み合わせたギ酸を使用する。好ましい実施態様において、発泡剤は、2.0質量%以下の含水量を除いて、水を含まない。組成物(A)の総含水量は、いずれの場合にも組成物(A)の総質量に対して、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは1.5質量%未満、特に好ましくは1.0質量%未満である。さらなる好ましい実施態様において、炭化水素と組み合わせた、特にn-ペンタン又はペンタンの異性体と組み合わせたギ酸を使用する。
【0037】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、前記組成物(A)が2.0質量%未満の水を含む。
【0038】
通常、発泡剤は、組成物(A)の総質量に対して、2~30質量%、好ましくは2.5~25質量%、特に好ましくは3~20質量%の量で使用される。
【0039】
組成物(A)中のギ酸の量は、好ましくは0.5~7質量%の範囲、好ましくは1~6質量%の範囲、特に好ましくは2~5質量%の範囲である。
【0040】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、発泡剤がギ酸及び物理的発泡剤を含む。
【0041】
組成物(A)はさらに、少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系を含む。適切であれば、触媒系はさらなる触媒成分を含んでもよい。
【0042】
好適な三量化触媒は、NCO基の互いの反応を触媒する化合物である。その例としては、カルボン酸の、金属塩、特にアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が挙げられる。好ましくは、1~20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐の、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の脂肪族若しくは芳香族カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、オクタン酸、酒石酸、クエン酸、オレイン酸、ステアリン酸及びリシノール酸)の塩、又は6~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸及びサリチル酸)の塩を使用する。ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムオクトエート、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウムオクトエート、特にギ酸カリウムが好ましい。
【0043】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、前記三量化触媒が、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムオクトエート、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウムオクトエート及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、前記三量化触媒がギ酸カリウムである。
【0045】
さらに、触媒は、NCO基の互いの三量化反応を同様に触媒するアミン含有触媒を含んでもよい。これらには、例えば、1,3,5-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリス-3-ジメチルアミノプロピルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノエチル)フェノールが含まれる。
【0046】
さらなる触媒成分について、触媒系は、最大6個の窒素原子の三量化触媒を有するアミン化合物を含んでもよい。好適な触媒は、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の窒素原子及び5個未満の酸素原子を含む化合物である。特に好ましくは、N-メチルジエタノールアミン、ヘキサメチル-トリエチレンテトラアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエチルN-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミノ-2-プロパノールアミン、テトラ-メチルヘキサメチレンジアミン、トリス-3-ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N-メチルイミダゾール、1,3,5-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノエチル)-フェノール、N-ジメチルアミノプロピルウレア又はビス-(N-ジメチルアミノプロピル)ウレアを使用する。特に、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール又はジメチルエタノールアミンを使用する。
【0047】
好ましくは、ギ酸カリウムと、N,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール又はジメチルエタノールアミン、特にN,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミンの群から選択されたさらなる触媒成分との混合物を使用する。
【0048】
組成物(A)中の三量化触媒の量は、一般に0.2~5質量%の範囲、好ましくは0.5~4質量%の範囲である。
【0049】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、前記触媒系が最大6個の窒素原子を有するアミン化合物であるさらなる触媒成分を含む。
【0050】
組成物(A)は、通常ポリイソシアヌレートの製造にさらに使用することができるさらなる化合物を含むことができる。これらには、泡安定剤、難燃剤、及び他の添加剤、例えばさらなる触媒及び抗酸化剤が含まれる。
【0051】
泡安定剤は、フォーム形成中に規則的なセル構造の形成を促進する物質である。
【0052】
例としては、シリコン含有の泡安定剤、例えばシロキサン-オキシアルキレンコポリマー及び他の有機ポリシロキサンが挙げられる。また、脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレゾルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルコキシル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコールのアルコキシル化生成物、並びにまた、ホルムアルデヒドとアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとジアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとアルキルクレゾール、ホルムアルデヒドとアルキルレゾルシノール、ホルムアルデヒドとアニリン、ホルムアルデヒドとトルイジン、ホルムアルデヒドとナフトール、ホルムアルデヒドとアルキルナフトール、及びまたホルムアルデヒドとビスフェノールAの縮合生成物のアルコキシル化生成物、並びに、これらの泡安定剤の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0053】
泡安定剤は、組成物(A)の総質量に対して、好ましくは0.5~4質量%、特に好ましくは1~3質量%の量で使用される。
【0054】
使用することができる難燃剤は、先行技術から知られている一般的な難燃剤である。好適な難燃剤は、例えば、臭素化エーテル(Ixol B 251)、臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール及びPHT-4-ジオール、並びにまた、塩素化ホスフェート、例えばトリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート及びテトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、又はそれらの混合物である。
【0055】
上述のハロゲンで置換されたホスフェートに加えて、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含む製品、膨張黒鉛、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム、及び硫酸カルシウム若しくはシアヌル酸誘導体(例えばメラミン)、又は少なくとも2つの難燃剤(例えば、ポリリン酸アンモニウム及びメラミン)の混合物、並びにまた、適切であれば、本発明によって製造された硬質ポリイソシアヌレートフォームに難燃性を与えるためのデンプンを使用することが可能である。
【0056】
さらなる液体の無ハロゲン難燃剤として、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPC)などを使用することが可能である。
【0057】
好ましくは、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、又はジフェニルクレシルホスフェート(DPC)を使用する。特に好ましい実施態様において、無ハロゲン難燃剤のみを使用する。
【0058】
本発明の目的のため、難燃剤は、組成物(A)の総質量に対して、好ましくは0~60質量%、特に好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%の量で使用される。
【0059】
さらに、通常の充填剤を使用することができる。
【0060】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、組成物(A)が、安定剤、難燃剤及び他の添加剤から選択されたさらなる成分を含む。
【0061】
本発明の方法によれば、組成物(A)を、成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネートと反応させる。本発明の目的のため、少なくとも1つのポリイソシアネート(以下、成分(B)と称される)は、多官能芳香族及び/又は脂肪族イソシアネート、例えばジイソシアネートを含む。
【0062】
原則的には、全ての既知の有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートを使用することが可能である。特に、通常の脂肪族、脂環式、及び特に芳香族ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを使用する。好ましくは、好適な多官能イソシアネートは、平均で2個から4個以下のNCO基を含む。好適なイソシアネートの例としては、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート誘導体、ジ-及びテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)の異性体、任意に混合物において、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、塩素化及び臭素化ジイソシアネート、含リンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナトフェニル-ペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネート、ヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ビスイソシアナトエチルフタレート、また、反応性ハロゲン原子を有するポリイソシアネート、例えば1-クロロメチルフェニル2,4-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル2,6-ジイソシアネート、3,3-ビスクロロメチルエーテル4,4-ジフェニルジイソシアネートが挙げられる。
【0063】
好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び特に粗MDI、すなわち、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレン-ポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(ポリメリックMDIとして知られている)を使用する。また、イソシアネートは、例えばウレトジオン、カーバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート及び特にウレタン基を組み込むことによって修飾することができる。
【0064】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、粗MDIを使用することが特に好ましい。
【0065】
さらに、プレポリマーをイソシアネート成分として使用することができる。これらのプレポリマーは、上記のイソシアネート、及び下記のポリエーテル若しくはポリエステル、又はそれらの両方から製造され、20~30、好ましくは25~30のNCO価を有する。イソシアヌレート構造は既に、これらのプレポリマー中に含まれていることができる。
【0066】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、前記ポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートである。
【0067】
ポリイソシアネート成分が、1.8~5.0の範囲、より好ましくは1.9~3.5の範囲、最も好ましくは2.0~3.0の範囲のイソシアネート基官能価を有することが有利であり得る。
【0068】
本発明によれば、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、好ましくは、イソシアネート指数が150~500、好ましくは160~400、特に180~350であるような量で、ポリイソシアネート(B)及び組成物(A)を反応させる。
【0069】
したがって、さらなる実施態様によれば、本発明は、上記のような硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関し、ここで、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、イソシアネート指数が150~500であるような量で、組成物(A)及び(B)を反応させる。
【0070】
硬質ポリイソシアヌレートフォームは、既知の方法を用いて、バッチ式又は連続して製造することができる。ここに記載されている発明は、両方のプロセスに関する。
【0071】
バッチ式プロセスにおいて、通常、15~35℃、好ましくは20~30℃の温度で、出発成分を混合する。既知の混合装置を用いて、出発成分の混合を行うことができる。
【0072】
例えば、ダブルベルトプロセスなどの連続プロセスにおいて、フォームに被覆層を適用する能力を向上させるために、上部被覆層(upper covering layer)及び下部被覆層(bottom covering layer)、例えば金属、アルミニウムホイル又は紙の層をロールからロールオフし、適切であれば、賦形し(profiled)、加熱し、コロナ処理する。その後、例えば高圧混合ヘッドで、成分a)~d)、適切であれば、e)を含む反応混合物を混合し、下部被覆層に適用し、ダブルベルトとして知られているもの中の上部被覆層及び下部被覆層の間に硬化させる。次に、要素を所望の長さに切り取る。適切であれば、硬質ポリイソシアヌレートフォーム系を適用する前に、プライマーを下部被覆層にさらに適用する。
【0073】
二成分プロセスを利用することが特に有利であることが見出された。この目的のため、イソシアネートに対して反応性を有する少なくとも2つの基を有する化合物、化学的発泡剤、触媒、並びに、適切であれば、泡安定剤、難燃剤及び他の添加剤はポリオール成分を形成するが、一方で反応に使用されたイソシアネートはイソシアネート成分を形成する。ポリオール成分及びイソシアネート成分の両方とも、物理的発泡剤を含むことができる。実際の硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において、その後、ポリオール成分及びイソシアネート成分を互いに反応させる。
【0074】
硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造中で、又は硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造を開始する前に、発泡剤、特にギ酸をポリオール成分に添加することができる。例えば、メーターを介してポリオール成分中に発泡剤を単独で供給することができる。
【0075】
本発明によれば、既知の混合装置を用いて、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造することができる。既知の混合装置を用いて、出発成分の混合を行うことができる。
【0076】
通常、15~35℃、好ましくは20~30℃の温度で出発成分を混合する。高圧又は低圧計量装置によって、反応混合物を混合することができる。
【0077】
本発明の方法によって製造された硬質フォームの密度は、20~400kg/m、好ましくは30~200kg/m、より好ましくは35~100kg/mである。
【0078】
本発明の方法において、硬質ポリイソシアヌレートフォームを得る。したがって、さらなる態様によれば、本発明はまた、上記の方法によって得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームにも関する。特に、本発明は、
(A)イソシアネート基に対して反応性を有する少なくとも2つの基を有する化合物、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含む、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法によって得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームに関し、
ここで、組成物(A)は、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含む。
【0079】
使用された好ましい化合物及び反応条件について、上記を参照する。
【0080】
また、本発明による硬質フォームは、例えば、火炎高さを測定する場合、測定された特に良好な燃焼特性も有する。火炎高さなどの燃焼特性は、EN ISO 11925-2に従って測定される。本発明による硬質フォームは、好ましくは、15cm未満の火炎高さを有し、したがって、好ましくは、EN ISO 11925-2に従ってクラスEに分類される。好ましくは、本発明による硬質フォームは、EN ISO 11925-2の要求を相応に満たす複合物の製造に使用することができる。
【0081】
さらに、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、冷凍装置、冷蔵庫、容器及び建築物のための良好な断熱材料である。したがって、本発明は、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームを断熱材として含む冷凍装置、冷蔵庫、容器及び建築物を含む。
【0082】
また、さらなる態様によれば、本発明は、上記のような本発明の方法によって得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームを、エンジニアリング材料として又は断熱材に使用する方法に関する。特に、本発明は、上記のような本発明の方法によって得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォームを断熱材として使用する方法に関する。
【0083】
本発明は、以下の実施態様を含み、ここで、これらが、そこに定義されたそれぞれの相互依存性によって示される実施形態の特定の組み合わせを含む。
【0084】
1.硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、
(A)ポリエステルオール、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含み、
組成物(A)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含む、方法。
【0085】
2.前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、85%を超えるDIN ISO 4590による独立気泡の割合を有する、実施態様1に記載の方法。
【0086】
3.前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、80kPa以上のDIN 53 421/DIN EN ISO 604による圧縮強度を有する、実施態様1又は2に記載の方法。
【0087】
4.前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、80kPa以上のDIN 53 421/DIN EN ISO 604による10%変形時の圧縮応力を有する、実施態様1又は2に記載の方法。
【0088】
5.硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、
(A)ポリエステルオール、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含み、
組成物(A)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含み、
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、85%を超えるDIN ISO 4590による独立気泡の割合を有する、方法。
【0089】
6.硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、
(A)ポリエステルオール、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含み、
組成物(A)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含み、
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、80kPa以上のDIN 53 421/DIN EN ISO 604による圧縮強度を有する、方法。
【0090】
7.硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法であって、
(A)ポリエステルオール、
ギ酸を含む発泡剤、
少なくとも1つの三量化触媒を含む触媒系、
を含む組成物(A)、及び
(B)成分(B)としての少なくとも1つのポリイソシアネート
を反応させることを含み、
組成物(A)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された少なくとも1つのポリエーテルアルコールをさらに含み、
前記硬質ポリイソシアヌレートフォームが、80kPa以上のDIN 53 421/DIN EN ISO 604による10%変形時の圧縮応力を有する、方法。
【0091】
8.アルキレンオキシドをトルエンジアミンに添加することによって製造された前記ポリエーテルアルコールが、100~600の範囲のヒドロキシル価を有する、実施態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
9.前記ポリエステルオールが、フタル酸、又はテレフタル酸、又はそれらの誘導体から製造されたポリエステルオールからなる群から選択される、実施態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
10.前記三量化触媒が、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムオクトエート、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウムオクトエート及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
11.前記触媒系が、最大6個の窒素原子を有するアミン化合物であるさらなる触媒成分を含む、実施態様1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
12.前記発泡剤がギ酸及び物理的発泡剤を含む、実施態様1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
13.前記組成物(A)が2.0質量%未満の水を含む、実施態様1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
14.組成物(A)が、安定剤、難燃剤及び他の添加剤から選択されたさらなる成分を含む、実施態様1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
15.前記ポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートである、実施態様1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
16.前記硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、イソシアネート指数が150~500であるような量で、前記組成物(A)及び(B)を反応させる、実施態様1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
17.実施態様1から16のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム。
【0101】
18.実施態様1から16のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる硬質ポリイソシアヌレートフォーム、又は実施態様17に記載の硬質ポリイソシアヌレートフォームを、断熱材として使用する方法。
【0102】
以下、実施例を参照して本発明を説明する。
【実施例
【0103】
以下の実施例により、本発明を説明する。
【0104】
1.一般的な手順
本発明によるポリウレタン硬質フォーム5~7、9及び11、並びに、比較用フォームC1~C4、C8、C10及びC12を製造した。
【0105】
イソシアネートに対して反応性を有する成分、発泡剤、触媒及びさらなる成分を混合して、ポリオール組成物(A-成分)を得た。その後、該ポリオール組成物を、イソシアネートと、150±2の比で(比較例C12の混合比が100:110である)発泡させた。
【0106】
1400rpm及び5秒の混合時間で、混合器を用いて、カップ中で発泡を行った。カップ試験を用いて、自由発泡密度(free foaming density)及び反応時間を測定した。22±2℃の温度で、ポリオール組成物(A-成分)を1日、14日、28日保存した後、カップ試験を繰り返した。
【0107】
EN ISO 11925-2に従って火炎高さを測定した。
【0108】
2.結果
結果を表1a及び1bにまとめる。結果は、本発明による組成物が向上した貯蔵安定性を有することを示している。A成分を14日及び28日保存した後のゲル化時間の増加は僅かである。これと対照的に、比較例は、A成分を14日保存した後のゲル化時間の増加を示している。これは、比較例の系をフォームの製造に使用することを困難又は不可能にする。
【0109】
本発明によるフォームの燃焼特性は良好であり、全ての本発明によるポリイソシアヌレートフォームは欧州規格のクラスE(火炎高さ<15cm)を満たす。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
3.使用した原料
ポリエステル1:無水フタル酸、ジエチレングリコール及びオレイン酸から製造されたポリエステルオール、官能価=2、OHN=210mg KOH/g。
【0113】
ポリエステル2:テレフタル酸、ジエチレングリコール及びオレイン酸から製造されたポリエステルオール、官能価=2.5、OHN=245mg KOH/g。
【0114】
ポリエーテル1:TDA、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから製造されたポリエーテル;官能価=3.8、OHN=390mg KOH/g。
【0115】
ポリエーテル2:エチレンジアミン及びプロピレンオキシドから製造されたポリエーテルオール;官能価=3.9、OHN=470mg KOH/g。
【0116】
ポリエーテル3:サッカロース、ペンタエリトリット(pentaerythrite)、ジエチレングリコール及びプロピレンオキシドから製造されたポリエーテルオール;官能価=3.9、OHN=403mg KOH/g。
【0117】
ポリエーテル4:プロピレングリコール及びプロピレンオキシドから製造されたポリエーテルオール、官能価=2、OHN=104mg KOH/g。
【0118】
安定剤:Momentive社製のNiax silicon L 6900。
【0119】
難燃剤:TCPP(トリスクロロイソプロピルホスフェート)。
【0120】
Dabco TMR2:Air Products社製のPIR触媒。
【0121】
Toyocat TRX:Tosoh社製のPIR触媒。
【0122】
ギ酸カリウム:モノエチレングリコール中、40%
アミン触媒1:ジプロピレングリコール中、70%のビス-2-ジメチルエーテル。
【0123】
アミン触媒2:2-2-ジメチルアミノエチルメチル-アミノ-エタノール。
【0124】
アミン触媒3:N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン。
【0125】
イソシアネート:BASF SE社製のLupranat(登録商標)M20S、31%のNCO含有量及び2.7の平均官能価を有するPMDI。