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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220128BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220128BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20220128BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20220128BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20220128BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220128BHJP
   H05K 5/03 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/04 105
H04N1/10
G03B27/62
G03B27/50 A
G03G21/16 147
G03G21/16 119
G03G21/16 133
H05K5/03 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018028779
(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2018152844
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2017048109
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】川合 拓志
(72)【発明者】
【氏名】長尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】小山内 洋平
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-178743(JP,A)
【文献】特開2009-232279(JP,A)
【文献】特開2007-243611(JP,A)
【文献】特開2011-009987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0328736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
H04N 1/10
G03B 27/62
G03B 27/50
G03G 21/16
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取り面に沿って移動可能な画像読取部と、
前記画像読取部の移動を規制するための規制部材と、
前記画像読取部が内部に収容される筐体と、を備えた画像読取装置であって、
前記規制部材は、前記筐体の外側に位置するように設けられた操作部を有し、前記操作部により、前記画像読取部の移動を規制する規制位置と、前記画像読取部の移動規制を解除する位置であって前記規制位置への移動が可能な第1規制解除位置と、前記画像読取部の移動規制を解除する位置であって前記第1規制解除位置よりも前記規制位置へ移動しにくい第2規制解除位置と、をとり得るように前記筐体に移動可能に保持され
前記第1規制解除位置は前記規制位置と前記第2規制解除位置との間の位置である、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1の画像読取装置において、
前記規制部材は、前記操作部と、前記画像読取部に設けられた被係合部に対して係合可能な係合部と、前記筐体に設けられた被固定部に対して固定される固定部と、を有し、
前記規制部材が前記第2規制解除位置に移動したとき、前記固定部が前記筐体の被固定部に固定されて前記第2規制解除位置に固定され他の位置に移動しないことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2の画像読取装置において、
前記筐体は、前記規制部材の前記係合部と前記固定部とが挿入された状態で該規制部材が移動可能な長孔部が形成され、
前記長孔部から前記規制部材の抜けを防止する抜け防止手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3の画像読取装置において、
前記抜け防止手段は、前記規制部材に形成されたスナップフィット形状部と、前記筐体に形成され前記スナップフィット形状部を受けるための受け形状部とにより構成されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3の画像読取装置において、
前記抜け防止手段は、前記規制部材又は前記筐体のいずれか一方に設けられた抜け止め用凸部と、他方に設けられ該抜け止め用凸部とスライド移動可能に嵌合する抜け止め用凹部とにより構成されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの画像読取装置において、
前記筐体に対して、前記規制部材を、前記規制位置と前記第1規制解除位置と前記第2規制解除位置とで位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6の画像読取装置において、
前記位置決め手段は、前記筐体又は前記規制部材のいずれか一方に設けられた凸部と、他方に設けられ該凸部が挿脱可能な凹部とにより構成されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7の画像読取装置において、
前記凸部又は凹部の少なくとも一方は、前記規制部材の移動方向に沿って複数設けられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項7又は8の画像読取装置において、
前記規制位置及び前記第1規制解除位置における前記凸部を前記凹部に対して挿脱するための挿脱力は、前記第2規制解除位置における前記凸部を前記凹部に対して挿脱する挿脱力に比べて小さくなるように構成されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかの画像読取装置において、
前記筐体に開閉可能に支持され、閉じたときに前記画像読み取り面に載置された原稿を該画像読み取り面に押し付ける原稿押部を更に備え、
前記規制部材が前記規制位置及び前記第2規制解除位置に位置するときに、前記原稿押部を閉じると、該原稿押部と前記操作部とが嵌合する嵌合手段を有し、
前記嵌合手段は、前記規制部材が前記第1規制解除位置に位置するときに、前記原稿押部を閉じると、該原稿押部と前記操作部とが干渉するように構成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10の画像読取装置において、
前記原稿押部は一端部側が開閉し、該一端部側と反対の端部側が前記筐体に回転可能に支持されており、
前記嵌合手段は、前記原稿押部が前記筐体に回転支持される回転支持軸線に近い位置に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項10又は11の画像読取装置において、
前記原稿押部の開閉を検知する開閉検知手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
請求項12の画像読取装置において、
前記開閉検知手段の検知結果に基づいてアラームを報知する報知手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかの画像読取装置において、
前記嵌合手段は、前記規制部材の前記操作部又は前記原稿押部のいずれか一方に嵌合用凸部を有し、他方に、前記原稿押部が閉じたときに、該規制部材の前記規制位置と前記第2規制解除位置とで該嵌合用凸部と嵌合する2箇所の嵌合用凹部を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
請求項14の画像読取装置において、
前記規制部材が前記第1規制解除位置に位置するとき、前記原稿押部を閉じると、前記嵌合用凸部の当接力で前記規制部材を前記第2規制解除位置に移動させるような傾斜部を前記2箇所の嵌合用凹部の間に有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかの画像読取装置において、
前記第1規制解除位置は、前記規制部材が前記規制位置と前記第2規制解除位置との間で移動可能な任意の位置であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項17】
画像読み取り面に沿って移動可能な画像読取部と、
前記画像読取部の移動を規制するための規制部材と、
前記画像読取部が内部に収容される筐体と、
前記筐体に開閉可能に支持され、閉じたときに前記画像読み取り面に載置された原稿を該画像読み取り面に押し付ける原稿押部と、を備えた画像読取装置であって、
前記規制部材は、前記筐体の外側に位置するように設けられた操作部を有し、前記操作部により、前記画像読取部の移動を規制する規制位置と、前記画像読取部の移動規制を解除する規制解除位置と、をとり得るように前記筐体に移動可能に保持され、
前記規制部材が前記規制位置及び前記規制解除位置に位置するときに、前記原稿押部を閉じると、該原稿押部と前記操作部とが嵌合する嵌合手段を有し、
前記嵌合手段は、前記規制部材が前記規制位置と前記規制解除位置との間に位置するときに、前記原稿押部を閉じると、該原稿押部と前記操作部とが干渉するように構成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかの画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読み取り面に沿って移動可能な画像読取部と、その画像読取部の移動を規制するための規制部材と、前記画像読取部が内部に収容される筐体と、を備えた画像読取装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、かかる画像読取装置であって、次のような操作レバーを有するロック部材(規制部材)を備えたものが開示されている。ロック部材は、フレーム部材(筐体)の外側に位置する回転操作可能な操作レバーと、フレーム部材の内側に位置するとともにキャリッジ(画像読取部)に設けられた被係合部に対して係合可能なロック部とを有する。更に、ロック部材は、操作レバーの回転操作によりロック部を被係合部に対するロック位置と解除位置との間で回転して移動できるように支持するための回転軸を有し、ロック部が解除位置のとき、操作レバーがフレーム部材の凹部に収容されるように構成されている。この画像読取装置によれば、操作レバーを回転操作することにより、キャリッジの移動を規制するロック位置とロック解除位置とを切り換えることができるとされている。そして、操作レバーを操作してロック部をロック解除位置に切り換えたとき、操作レバーがフレーム部材の凹部に収容された状態になるので、不用意に操作レバーに触れて動かしてしまうことがなくなるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の画像読取装置では、操作レバーがフレーム部材の凹部に収容されているとき、操作レバーが露出した状態にあるため、ユーザによる操作レバーの誤操作によって画像読取部が固定されてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像読み取り面に沿って移動可能な画像読取部と、前記画像読取部の移動を規制するための規制部材と、前記画像読取部が内部に収容される筐体と、を備えた画像読取装置であって、前記規制部材は、前記筐体の外側に位置するように設けられた操作部を有し、前記操作部により、前記画像読取部の移動を規制する規制位置と、前記画像読取部の移動規制を解除する位置であって前記規制位置への移動が可能な第1規制解除位置と、前記画像読取部の移動規制を解除する位置であって前記第1規制解除位置よりも前記規制位置へ移動しにくい第2規制解除位置と、をとり得るように前記筐体に移動可能に保持されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの操作によって画像読取部の移動を規制する規制位置と規制解除位置とを容易に切り換えることができるとともに、ユーザの誤操作による画像読取部の不必要な固定がされにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機の一例を示す概略構成図。
図2】カラー複写機の走査読取部の構成例を示す概略構成斜視図。
図3】カラー複写機の走査読取部を原稿台側から見た外観を示す斜視図。
図4】(a)は、原稿台を取り外した状態の走査読取部の概略構成斜視図。(b)は、走査読取部に収容される光学走査ユニットに設けられたロック受け部の部分拡大斜視図。
図5】走査読取部の筐体から取り外した原稿台を裏側から見た斜視図。
図6図5におけるロック部材とロック部材を保持する原稿台のロック部材保持部との部分拡大斜視図。
図7】ロック部材の斜視図。
図8】(a)は、ロック部材の正面図。(b)は、ロック部材の下面図。(c)は、ロック部材の側面図。
図9】ロック部材が取り付けられていない状態のロック部材保持部の斜視図。
図10】(a)は、光学走査ユニットをロック部材で固定する前のアンロック状態を示す斜視図。(b)は、光学走査ユニットをロック部材で固定したロック状態を示す斜視図。
図11】(a)は、ロック部材がロック位置にあるときの斜視図。(b)は、ロック部材がロック解除位置に位置するときの斜視図。(c)は、ロック部材がロック解除固定位置に位置するときの斜視図。
図12】(a)は、ロック部材がロック位置にあるときの斜視図。(b)は、ロック部材がロック解除位置に位置するときの斜視図。(c)は、ロック部材がロック解除固定位置に位置するときの斜視図。
図13】抜け防止手段の他の例を示すロック部材保持部とロック部材との斜視図。
図14図13のロック部材の斜視図。
図15】本変形例1に係るカラー複写機において、ADFを開いて原稿載置面を露出させたときのADFと走査読取部との斜視図。
図16】ロック部材の各位置における移動可能方向の関係を説明する説明図。
図17】ADFが閉状態、かつ、ロック部材の操作部がロック位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材とロック部材の操作部との断面図。
図18】ADFが閉状態、かつ、ロック部材の操作部がロック解除位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材とロック部材の操作部との断面図。
図19】ADFが閉状態、かつ、ロック部材の操作部がロック解除固定位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材とロック部材の操作部との断面図。
図20】カラー複写機で初めて原稿をコンタクトガラスに載置して光学走査ユニットをスキャン走査方向に移動させてスキャンするときに、キャリッジロックを解除したことをユーザに確認してもらうための制御のフローチャート。
図21】本変形例2に係るカラー複写機において、ADFを開状態から閉状態に移行しているときにロック部材の操作部がロック解除位置の状態の場合における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材とロック部材の操作部との断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機1の一例を示す概略構成図である。また、図2は、図1のカラー複写機1の走査読取部4の構成例を示す概略構成斜視図である。
図1において、本実施形態のカラー複写機1は、自動原稿搬送部(以下、「ADF」ともいう)2と、給紙部3と、画像読取装置としての走査読取部4と、画像形成部5とを含んで構成されている。
【0009】
上記ADF2は、第1の原稿トレイ11と、第1の原稿トレイ11に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してDFコンタクトガラス71に向かって搬送する各種ローラ等からなる原稿搬送部13とを備えている。ADF2は、各種ローラ等からなる排紙部9を備えており、DFコンタクトガラス71上の原稿が走査読取部4の光学走査ユニット40によって読み取られると、原稿は排紙部9によって排紙トレイ12に排紙される。
【0010】
また、ADF2は、第2の原稿トレイに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して、DFコンタクトガラス71に向かって搬送する各種ローラ等からなる原稿搬送部を備えている。搬送経路としては前述の第1の原稿トレイ11からの搬送経路に、分岐部を通って合流しており、搬送経路が排紙口まで斜めに一直線になるように構成されている。DFコンタクトガラス71は後述するコンタクトガラス7に対して、高さ方向で傾斜のある構成となっている。第2の原稿トレイに載置された原稿を搬送する原稿搬送部を構成する各種ローラ等は、第1の原稿トレイ11に載置された原稿を搬送する原稿搬送部13と一部兼用されている。また、ADF2は、走査読取部4に対してヒンジ等の開閉機構を介して開閉自在に取付けられている。ADF2は、光学走査ユニット40がスキャン走査方向(矢印B方向)に移動してコンタクトガラス7に載置された原稿を読み取る際に、原稿をコンタクトガラス7に押し付けて固定する原稿押部としての機能も有している。
【0011】
上記給紙部3は、用紙サイズの異なる記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21、22と、給紙カセット21、22に収納された記録紙を画像形成部5の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを備えている。
【0012】
上記走査読取部4は、図2に示すように、筐体4a内に画像読取部としての一体型光学走査ユニット(以下、「光学走査ユニット」という)40を備えている。この光学走査ユニット40は、光源及び主走査方向を長手方向(矢印A方向)とする密着イメージセンサを保持し、あるいは光源、レンズ、CCD(電荷結合素子)及びミラーを保持したものである。光学走査ユニット40は、走査読取部4に備えられる駆動手段によって、スキャン走査方向である副走査方向(矢印B方向)に走査(移動)されることによって、コンタクトガラス7に戴置された原稿の2次元カラー画像を読み取るようになっている。また、コンタクトガラス7は、走査読取部4の筐体4aの上部に設けられており、筐体4aの上面を構成している。なお、上記駆動手段は、光学走査ユニット40に固定されたワイヤ、ワイヤに橋架される複数の従動プーリおよび駆動プーリと、駆動プーリを回転させるモータ等によって構成されるものであり、公知のものを用いることができる。
【0013】
上記画像形成部5は、画像形成手段を構成するものであり、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、各感光体ドラム32の周囲に設置された異なる色のトナーを有する現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。各現像装置33に収納されるトナーの色は、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)などである。この画像形成部5は、走査読取部4の光学走査ユニット40によって読み取られて色別分解された画像情報に基づいて複数の感光体ドラム32に色分けして画像を形成し、転写ベルト34に感光体ドラム32上のトナーを重ね合わせて1次転写する。そして、給紙部3から供給された記録紙に転写ベルト34上のトナーを2次転写する。その後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
【0014】
また、カラー複写機1は、画像送受信装置によって読み取った画像を相手先の装置に送信する機能を備えていてもよい。
【0015】
次に、カラー複写機1を輸送するときに走査読取部4に収納された光学走査ユニット40が不用意に矢印B方向に動いてしまわないように移動を規制するロック機構について説明する。
図3は、カラー複写機1の走査読取部4を原稿台41側から見た外観を示す斜視図である。また、図4(a)は、走査読取部4の筐体4aから原稿台41を取り外した状態を示す概略構成斜視図である。図4(b)は、走査読取部4に収容される光学走査ユニット40に設けられたロック受け部材44の部分拡大斜視図である。
【0016】
図3に示すように、走査読取部4の筐体4aの原稿載置面を構成する原稿台41には、コンタクトガラス7と、DFコンタクトガラス71と、規制部材としてのロック部材42が設けられている。また、図4(a)に示すように、走査読取部4の内部には光学走査ユニット40が収容されている。この光学走査ユニット40は、ガイドロッド43に沿って矢印B方向に移動することで、コンタクトガラス7に載置された原稿を読み取る。光学走査ユニット40には、図4(b)に示すように、被係合部としてのロック受け部材44が設けられており、上記ロック部材42と係合することで、走査読取部4の輸送時などに光学走査ユニット40が矢印B方向に不用意に移動してしまうことを防止する。
【0017】
図5は、走査読取部4の筐体4aから取り外した原稿台41を裏側から見た斜視図である。また、図6は、図5におけるロック部材42と、ロック部材42を保持する原稿台41のロック部材保持部45との部分拡大斜視図である。また、図7は、ロック部材42の斜視図である。また、図8(a)はロック部材42の正面図、同図(b)は下面図、同図(c)は側面図である。さらに、図9は、ロック部材42が取り付けられていない状態のロック部材保持部45の斜視図である。
【0018】
図7及び図8(a)~(c)に示すように、ロック部材42は、係合部としてのロック部421と、スナップフィット形状部としての2つの抜け止め用スナップフィット形状部422とが形成されている。また、ロック部材42は、固定部としての位置固定用スナップフィット形状部423と、凸部としての2つの突起部424と、操作部425とが形成されている。ロック部421は、上記光学走査ユニット40に設けられたロック受け部材44と係合することで、光学走査ユニット40が移動しないようにロックする。2つの抜け止め用スナップフィット形状部422の先端部にはそれぞれ外側に向いた爪部422aが形成されている。また、突起部424は、2つの抜け止め用スナップフィット形状部422の外側側面それぞれに1個ずつ形成されている。この突起部424が、図9に示すロック部材保持部45の第1の凹部453a、第2の凹部453b又は第3の凹部453cのいずれかに嵌り込むことで、ロック部材42をその移動方向のいずれかの位置で位置決めする。
【0019】
ロック部材42の突起部424と、ロック部材保持部45の第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cとは、ロック部材42の位置決め手段としての機能を有する。ロック部材42をスライド移動させるときには、2つの抜け止め用スナップフィット形状部422がそれぞれ内側に撓み、突起部424は第1の凹部453a、第2の凹部453b又は第3の凹部453cのいずれかとの嵌り込みから逃げるようになっている。これにより、ロック部材42はスムーズに移動することができる。また、このような構成により、ユーザがロック部材42をスライド移動したときに、適度なクリック感を感じることができる。
【0020】
図9に示すように、ロック部材保持部45は、受け形状部としての2つのロック部材受け部451と、被固定部としての位置固定用スナップフィット受け部452とが形成されている。また、ロック部材保持部45は、2つのロック部材受け部451それぞれの内側側面に第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cと、長孔部としての保持孔部454とが形成されている。第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cは、2つのロック部材受け部451それぞれの内側側面に、ロック部材42の移動方向に沿うようにして、合計6箇所設けられている。受け形状部としての位置固定用スナップフィット受け部452とロック部材42の位置固定用スナップフィット形状部423とは、ロック部材42をロック解除固定位置(第2規制解除位置)に固定する位置固定手段として機能する。また、保持孔部454は、ロック部材42が移動可能な長孔部として機能する。
【0021】
第1の凹部453aは、ロック部材42の突起部424が嵌ったときに、ロック部材42のロック部421が光学走査ユニット40に設けられたロック受け部材44と係合して、光学走査ユニット40の移動を規制する規制位置に対応する位置に形成されている。なお、以下の説明において上記規制位置をロック位置という。
【0022】
また、第2の凹部453bは、突起部424が嵌ったときに、ロック部421がロック受け部材44と係合せず、光学走査ユニット40の移動を規制しない第1規制解除位置に対応する位置に形成されている。なお、以下の説明において上記第1規制解除位置をロック解除位置という。
【0023】
また、第3の凹部453cは、突起部424が嵌ったときに、ロック部材42を第2規制解除位置(規制解除固定位置)に位置決めする位置に形成されている。この第2規制解除位置(規制解除固定位置)は、ロック部421がロック受け部材44と係合せず、光学走査ユニット40の移動を規制しない位置であって、ロック部材42自体の位置が固定される位置である。なお、以下の説明において上記第2規制解除位置(規制解除固定位置)をロック解除固定位置という。
【0024】
なお、突起部424を第1の凹部453a及び第2の凹部453bに対して挿脱するための挿脱力は、突起部424を第3の凹部453cに挿脱するための挿脱力よりも小さくなるように構成されている。これにより、ロック部材42をロック位置及びロック解除位置に移動させる力とこれらの位置から移動させる力とを、ロック部材42をロック解除固定位置に移動させる力に比べて小さく設定することができる。よって、ロック位置及びロック解除位置でのロック部材42のクリック感を小さくしてユーザの操作性を向上させることができる。この構成の一例としては、例えば、第3の凹部453cの深さを第1の凹部453a及び第2の凹部453bの深さよりも浅くして、突起部424との隙間を小さくする。
【0025】
図6に示すように、ロック部材42の2つの抜け止め用スナップフィット形状部422を、原稿台41の表側(原稿載置面側)からロック部材保持部45の保持孔部454に挿入して嵌め込むことで、ロック部材42がロック部材保持部45に保持される。2つの抜け止め用スナップフィット形状部422の外側に向いた爪部422aがそれぞれロック部材受け部451の端面に接触して、ロック部材42がロック部材受け部451から抜けて外れるのを防止する抜け防止手段として機能する。また、ロック部材42は、図中の上下方向にスライド移動可能に保持されており、図示の例は、ロック部材42の突起部424が、ロック部材保持部45の第2の凹部453bに嵌り込んで、ロック部材42がロック解除位置に位置している状態を示している。
【0026】
図6に示す状態からロック部材42が下方向に移動すると、ロック部材42の突起部424が、ロック部材保持部45の第1の凹部453aに嵌り込んで、ロック部材42がロック位置に移動する。一方、図6に示す状態からロック部材42が上方向に移動すると、ロック部材42の突起部424が、ロック部材保持部45の第3の凹部453cに嵌り込んで、ロック部材42がロック解除固定位置に移動する。ロック部材42がロック解除固定位置に移動すると同時に、位置固定用スナップフィット形状部423の先端の爪部423aが、ロック部材保持部45の位置固定用スナップフィット受け部452と係合する。するとロック部材42の位置がロック解除固定位置に固定され、ロック部材42をロック解除位置やロック位置へ移動することができなくなる。これにより、ユーザの誤操作による不必要な光学走査ユニット40の固定を確実に防止することができる。
【0027】
図10は、ロック部材42による光学走査ユニット40の移動の規制を説明するための説明図であって、(a)はロック部材42による移動規制前のアンロック状態を示す斜視図、(b)はロック部材42で移動を規制したロック状態を示す斜視図である。なお、図10(a)、(b)では、便宜的に筐体4a及び原稿台41の図示を省略している。
【0028】
図10(a)に示すように、光学走査ユニット40のアンロック状態で、ロック部材42を矢印方向に移動させると、同図(b)に示すように、ロック部材42のロック部421がロック受け部材44の溝部44aに入り込んで係合する。光学走査ユニット40の移動方向(スキャン走査方向、図2参照)は、ロック部材42の移動方向とほぼ直交する方向に設定されているので、ロック部材42が光学走査ユニット40の移動方向の動きを抑制して、光学走査ユニット40の移動を規制することができる。
【0029】
図11(a)~(c)は、原稿台41のロック部材保持部45に対するロック部材42の位置関係を説明するための説明図であって、原稿台41を裏側から見た部分拡大斜視図である。また、図12(a)~(c)は、ロック部材42と、ロック受け部材44及びロック部材保持部45との位置関係を説明するための斜視図である。また、図11(a)及び図12(a)は、ロック部材42が光学走査ユニット40の移動を規制するロック位置にあるときの図である。また、図11(b)及び図12(b)は、ロック部材42が光学走査ユニット40の移動を規制しないロック解除位置に位置するときの図である。さらに、図11(c)及び図12(c)は、ロック部材42が光学走査ユニット40の移動を規制しない位置であって、ロック部材42の位置が固定されるロック解除固定位置に位置するときの図である。なお、図12(a)、(b)、(c)では、便宜的に筐体4aの図示を省略している。
【0030】
図11(a)及び図12(a)に示すロック部材42のロック位置では、上述したようにロック部材42のロック部421がロック受け部材44に係合することにより、光学走査ユニット40のスキャン走査方向の移動をロックする。そして、光学走査ユニット40のロックが必要なくなったときには、ユーザが操作部425を操作することにより、ロック部材42をロック位置から、図11(b)及び図12(b)に示すロック解除位置に移動させる。
【0031】
ロック解除位置では、ロック部材42による光学走査ユニット40の移動のロックが解除され、光学走査ユニット40はスキャン走査方向に移動することができる。また、ロック解除位置では、ユーザが操作部425を操作することにより、ロック部材42をロック位置、又は、図11(c)及び図12(c)に示すロック解除固定位置に移動させることができる。
【0032】
ロック部材42がロック解除固定位置に移動すると、図11(c)に示すように、位置固定用スナップフィット形状部423の先端の爪部423aが、ロック部材保持部45の位置固定用スナップフィット受け部452と係合する。位置固定用スナップフィット形状部423の先端の爪部423aと位置固定用スナップフィット受け部452との係合は、容易には外れないので、ロック部材42の位置がロック解除固定位置に固定される。すると、ロック部材42は再びロック解除位置やロック位置へ移動することができなくなる。これにより、ユーザの誤操作による不必要な光学走査ユニット40の固定を確実に防止することができる。
【0033】
図13は、ロック部材保持部45からのロック部材42の抜けを防止する抜け防止手段の他の例を示すロック部材保持部45とロック部材42との斜視図である。図14は、図13のロック部材42の斜視図である
図14に示すように、本例に係るロック部材42の2つの抜け止め用スナップフィット形状部422には、突起部424が形成されているが、先端の爪部が形成されていない。また、図13に示すように、ロック部材保持部45の2つのロック部材受け部451の内側にはそれぞれ、ロック部材42の突起部424の先端部が入り込んで摺動しながらスライド移動可能な抜け止め用凹部としてのスライド溝455が形成されている。ロック部材42の突起部424は、抜け止め用凸部としての機能を有している。
【0034】
ロック部材42は、突起部424の先端部がスライド溝455に入り込んで摺動するので、ロック位置、ロック解除位置及びロック解除固定位置の各位置にスライド移動可能である。また、ロック部材42は、スライド移動中に突起部424がスライド溝455に入り込んでいるので、ロック部材保持部45からの抜けが防止される。
【0035】
また、ロック部材42が、ロック位置に位置決めされているときは、突起部424が第1の凹部453aに嵌り込んでロック部材42の抜け防止となる。また、ロック部材42が、ロック解除位置に位置決めされているときは、突起部424が第2の凹部453bに嵌り込んでロック部材42の抜け防止となる。さらに、ロック部材42が、ロック解除固定位置に位置決めされているときは、突起部424が第3の凹部453cに嵌り込んでロック部材42の抜け防止となる。このように、第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cは、ロック部材42の抜けを防止する抜け止め用凹部としても機能する。
【0036】
上述したように、ロック部材42の突起部424と、ロック部材保持部45のロック部材受け部451の内側に形成したスライド溝455、第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cとが抜け防止手段を構成する。また、ロック部材42の抜け止め用スナップフィット形状部422の先端に爪部を形成しないので、ロック部材42の小型化や製造コストの低減を図ることができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、ロック部材42に突起部424を設け、ロック部材保持部45に第1の凹部453a、第2の凹部453b及び第3の凹部453cを設ける構成について説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、ロック部材42に凹部を1箇所設け、この凹部に嵌り込んでロック部材42を所定の位置に位置決するように、ロック部材保持部45側に突起部を3箇所設けてもよい。また、ロック部材42の突起部424はロック部材42の抜けを防止する機能を兼ねているが、突起部424とは別に抜け止め用凸部を設け、この抜け止め用凸部とスライド移動可能に嵌合するようにスライド溝455を形成してもよい。
【0038】
スキャナモジュールの構成要素である光学走査ユニット(走査キャリッジ)を商品輸送時の衝撃から保護するために輸送時に固定する構成(以下、「キャリッジロック」ともいう)において、原稿押部を開閉させてキャリッジロックを解除する技術が知られている。特許文献2には、かかる画像読取装置であって、ADFなどの原稿押部を閉じるとスキャナモジュールの筐体から突き出しているキャリッジロックのアクチュエータが筐体内部に押し込まれ、キャリッジロックが解除されるものが開示されている。特許文献2では、商品輸送時に原稿押部とコンタクトガラスとの間に緩衝材を入れることで、原稿押部を閉状態にしてもキャリッジロックのアクチュエータが筐体内部に押し込まれず、キャリッジロックが解除されないようになっている。
【0039】
しかし、上記特許文献2のキャリッジロック機構は、緩衝材を外してから原稿押部を閉じる動作と連動させてキャリッジロックを解除する構成のため、緩衝材という追加の保護部材が必要でコストアップになるという問題があった。また、アクチュエータとこのアクチュエータを保持する軸受けとの間の摩擦力でキャリッジロックの解除状態を維持しているため、予期しない衝撃やユーザの誤操作でロック状態に戻ってしまうおそれがある。また、特許文献2のキャリッジロック機構では、ロック位置と非ロック位置の間の位置をとることができない。本実施形態のロック機構は、緩衝材などの追加の保護部材は必要なく、しかも衝撃でロック位置に戻ってしまうことはない。また、本実施形態のロック部材42は、ロック位置と非ロック位置(ロック解除固定位置)の間の位置(ロック解除位置)をとることができる。
【0040】
〔変形例1〕
次に、ADF2を閉じる動作によって、ロック部材42の操作部425がロック解除位置(第1規制解除位置)に位置していることを検知することができる構成について説明する。この構成では、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態で、ユーザがコンタクトガラス7上の原稿をスキャンして、光学走査ユニット40を移動させることを防ぐことが可能となる。図15は、本変形例1に係るカラー複写機1において、ADF2を開いて原稿載置面を露出させたときのADF2と走査読取部4との斜視図である。
【0041】
図15に示すように、ADF2は、走査読取部4に対して一対のヒンジ46を介して開閉自在に取り付けられている。図示の状態で走査読取部4のコンタクトガラス7に原稿を置き、ADF2を閉じることで、原稿をコンタクトガラス7に押し付けることができる。また、本などの厚い原稿を読み取る際には、リフト機構を備えたヒンジ46の作用でADF2のヒンジ46側が持ち上がり、ADF2をできるだけ水平に保つことにより原稿をコンタクトガラス7に対して均等に押し付けることができるようになっている。なお、原稿をコンタクトガラス7に押し付けるのは、上記ADF2に限らず、ADF機能を有しない素圧板であってもよい。
【0042】
走査読取部4の筐体4aには、ADF2の開閉状態を検知する開閉検知手段としてのプッシュスイッチ47が設けられており、その可動部分であるアクチュエータが図中の上側に向けて原稿台41から露出するように配設されている。ADF2を閉じると、ADF2の下面がプッシュスイッチ47のアクチュエータをスイッチ内部に押し込み、プッシュスイッチ47の接点がONになってADF2の閉状態を検知する。これに対して、ADF2を開くと、ADF2の下面がプッシュスイッチ47のアクチュエータから離間し、スイッチ内部のばねの付勢力でアクチュエータが押し出され、プッシュスイッチ47の接点がOFFになってADF2の開状態を検知する。
【0043】
図16は、ロック部材42の操作部425の各位置における移動可能方向の関係を説明する説明図である。本変形例1のロック部材42は、図12等を用いて説明した動作と同様であるが、簡単に説明する。
【0044】
ロック部材42の操作部425は、ロック位置、ロック解除位置(第1規制解除位置)及びロック解除固定位置(第2規制解除位置)の3つの位置をとることができる。ロック位置では、ロック部材42が光学走査ユニット40のスキャン走査方向の移動をロックし、キャリッジロックONの状態である。ロック部材42の操作部425はロック解除位置への移動が可能である。また、ロック解除位置では、ロック部材42による光学走査ユニット40の移動のロックが解除されたキャリッジロックOFFの状態であり、光学走査ユニット40はスキャン走査方向に移動することができる。ロック部材42の操作部425はロック位置及びロック解除固定位置に移動可能である。また、ロック解除固定位置では、キャリッジロックOFFの状態で光学走査ユニット40がスキャン走査方向に移動することができる。ロック部材42は、位置固定用スナップフィット形状部423の先端の爪部423aが、ロック部材保持部45の位置固定用スナップフィット受け部452と係合して、ロック解除固定位置に固定され、ロック解除位置に移動できない(図11(c)参照)。上述したように、ロック部材42の操作部425は、ロック位置とロック解除位置との間での移動、及び、ロック解除位置からロック解除固定位置への移動ができるが、ロック解除固定位置に移動するとその位置に固定されてロック解除位置に戻ることはできない。
【0045】
図15に示すように、本変形例1のロック部材42の操作部425は、ヒンジ46側であって走査読取部4の奥側に設けられている。また、ADF2を閉じたときにロック部材42の操作部425に対向するADF2の下面側に、嵌合用凸部241が形成されたロック嵌合部材24が設けられている。
【0046】
図17は、ADF2が閉状態、かつ、ロック部材42の操作部425がロック位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材24とロック部材42の操作部425との断面図である。ロック部材42の操作部425には、ADF2を閉じた状態で、嵌合用凸部241と嵌合可能なロック位置用凹部426aとロック解除固定位置用凹部426bとが形成されている。
【0047】
図17に示すように、ロック部材42の操作部425がロック位置の状態で、ADF2を閉状態にすると、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241が操作部425のロック位置用凹部426aと嵌合する。走査読取部4の輸送時には、ロック部材42が光学走査ユニット40のスキャン走査方向の移動をロックした状態で輸送するが、コンタクトガラス7とADF2との間に特許文献2で説明したような保護部材は必要ない。また、図17において、ADF2を開状態にして、ロック部材42の操作部425を図中の右側にスライド移動すると、操作部425はロック解除固定位置側(ロック解除位置側)に移動する。
【0048】
図18は、ADF2が閉状態、かつ、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材24とロック部材42の操作部425との断面図である。
ロック部材42の操作部425にはロック解除位置の状態で、ADF2を閉状態にしたときに、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241と嵌合可能な凹部は形成されていない。このため、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241とロック部材42の操作部425とが干渉し、ヒンジ46のリフト機構により、ADF2は図17の状態と比べて嵌合用凸部241の凸部高さHの分だけ浮き上がる。このADF2の浮き上がりによって、ユーザはロック部材42の操作部425の位置(状態)が異常(ロック解除位置)であることに気づくことができ、ユーザにADF2を開状態にしてから操作部425のロック解除固定位置へのスライド移動を促すことができる。
【0049】
また、図15に示すように、ロック部材42の操作部425とロック嵌合部材24とは、ヒンジ46の回転支持軸線に近い位置に設けられている。このため、ヒンジ46の回転支持軸線から遠い位置に設けられている場合に比べて、ADF2を閉じて嵌合用凸部241が操作部425に干渉したときのコンタクトガラス7とADF2との間の浮き量Gが装置正面側で大きくなる。また、ヒンジ46の回転支持軸線から遠い位置に設けられている場合に比べて、ADF2の閉じ動作のより早い段階で嵌合用凸部241が操作部425に干渉する。これらにより、ユーザが異常を察知しやすくなる。
【0050】
しかし、ロック解除位置の状態におけるロック部材42の操作部425は、ロック位置及びロック解除固定位置に移動可能なので、誤操作でロック位置側へ移動してしまうおそれがある。ロック部材42の操作部425がロック解除位置からロック位置側に移動すると、ロック部材42のロック部421がロック受け部材44に係合して、光学走査ユニット40のスキャン走査方向の移動をロックしてしまうおそれがある。すると、光学走査ユニット40の駆動モータが起動したときに、光学走査ユニット40がスキャン走査方向に移動できず駆動機構に過大な負荷が掛かったり、駆動力でキャリッジロックが外れて光学走査ユニット40が急に動き出したりするおそれがある。その結果、駆動モータのオーバーロードやギヤの摩耗、あるいは光学走査ユニット40が衝撃を受けてしまうといった不具合が生じるおそれがある。
【0051】
本変形例1によれば、ユーザがコンタクトガラス7に原稿をセットしてADF2を閉じたときに、ADF2の浮き上がりによりロック部材42の操作部425がロック解除位置にあることに気づき、原稿のスキャンを一旦中断することができる。そして、ユーザがロック部材42の操作部425をロック解除固定位置に移動させて、光学走査ユニット40のスキャン走査方向の移動がロックされないようにしてから原稿のスキャンを再開することによって、上述した不具合の発生を防ぐことができる。
【0052】
図19は、ADF2が閉状態、かつ、ロック部材42の操作部425がロック解除固定位置の状態における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材24とロック部材42の操作部425との断面図である。
図19に示すように、ロック部材42の操作部425がロック解除固定位置の状態で、ADF2を閉状態にすると、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241がロック部材42の操作部425のロック解除固定位置用凹部426bと嵌合する。上述したように、ロック部材42の操作部425は、ロック解除固定位置に移動するとその位置に固定され、図中の左方向にスライド移動してロック解除位置側に戻ることはできない。
【0053】
ここで、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241の凸部高さHを大きめに設定し、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241及び操作部425をヒンジ46の回転支持軸線に近い位置に配置してもよい。これにより、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態にあることをプッシュスイッチ47で検知することができる。つまり、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態でADF2を閉じたときに、ADF2の下面がプッシュスイッチ47のアクチュエータを作動させる押込量が接点をONにさせる押込量よりも小さくなるように凸部高さHを設定する。
【0054】
例えば、プッシュスイッチ47がONとなるアクチュエータの押込量が3[mm]で、アクチュエータをロック部材42の表面と同じ高さであるコンタクトガラス7の表面から5[mm]突き出すように配設し、嵌合用凸部241の凸部高さHを3[mm]に設定する。この例では、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態でADF2を閉じると、嵌合用凸部241が操作部425に突き当たり、ヒンジ46のリフト機構でADF2が浮き上がる。このとき、ADF2の下面と原稿載置面との間に3[mm]の浮き量Gが生じ、プッシュスイッチ47のアクチュエータの押込量は2[mm]となり、接点がONするために必要な3[mm]の押込量には達しないためプッシュスイッチ47はONにならない。この結果、ADF2を閉じたにもかかわらずプッシュスイッチ47がADF2の開状態を電気的に検知していることになり、シーケンスプログラムなどのソフトウエア上でロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態であると判断することができる。
【0055】
図20は、カラー複写機1で初めて原稿をコンタクトガラス7に載置して光学走査ユニット40をスキャン走査方向に移動させてスキャンするときに、キャリッジロックを解除したことの確認をユーザに促すための制御のフローチャートである。
【0056】
図20において、原稿をコンタクトガラス7に載置し、光学走査ユニット40をスキャン走査方向に移動させてスキャンする場合、まずADF2又は素圧板などの原稿押部を開く(S101)。このとき、原稿押部が開いたことをプッシュスイッチ47が検知して原稿押部開信号が、カラー複写機1のコントローラに入力される。原稿押部開信号が入力されたコントローラは、メモリに記憶されたデータを参照し、原稿押部閉時での光学走査ユニット40をスキャン走査方向に移動させて原稿をスキャンした履歴があるか否かを判断する(S102)。カラー複写機1において、ユーザへの納入後に製品としての原稿押部閉時でのスキャン履歴がない場合(S102でNO)、光学走査ユニット40を初めてスキャン走査方向に移動させることになるので、キャリッジロックが解除されていない可能性がある。このため、「キャリッジロックを解除していますか?」のエラーメッセージを操作パネルなどに表示して、ユーザへの注意喚起を行なう(S103)。ユーザは、このエラーメッセージを見てキャリッジロックを解除したか否かを確認することができる。キャリッジロックを解除していない場合は、原稿押部を開けて、ロック部材42の操作部425をロック解除固定位置に移動させる。一方、原稿押部閉時でのスキャン履歴がある場合(S102でYES)、既にキャリッジロックは解除されているものとして、通常のスキャンの動作を続行し(S104)、スキャン終了となる。
【0057】
上記S101で原稿押部が開いてコントローラに原稿押部開信号が入力された後、原稿押部を閉じたにもかかわらず、プッシュスイッチ47から原稿押部閉信号がコントローラに入力されない場合がある。これは、厚い原稿のためADF2などの原稿押部が浮き上がってプッシュスイッチ47がONしない場合と、前述したようにロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態のためプッシュスイッチ47がONしない場合とがある。ここで原稿押部閉時でのスキャン履歴がない場合、ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態である可能性が高い。よって、所定時間経過しても原稿押部閉信号が入力されない場合、又は原稿押部閉信号が入力されずにスキャン開始信号が入力された場合、上記S103で「キャリッジロックを解除固定位置に移動していますか?」のエラーメッセージを表示してもよい。
【0058】
本変形例1では、ADF2に嵌合用凸部241を形成し、ロック部材42の操作部425に嵌合用凸部241と嵌合可能なロック位置用凹部426aとロック解除固定位置用凹部426bとを形成する構成について説明したが、逆の構成であってもよい。つまり、ロック部材42の操作部425に嵌合用凸部を形成し、ADF2に嵌合用凸部と嵌合可能なロック位置用凹部とロック解除固定位置用凹部とを形成する構成であってもよい。この構成であっても、同様の動作及び効果を得ることができる。
【0059】
〔変形例2〕
次に、ロック部材42の操作部425がロック解除位置(第1規制解除位置)に位置している場合に、ADF2を閉じたときにロック部材42の操作部425をロック解除固定位置(第2規制解除位置)に自動的に移動する構成について説明する。図21は、ADF2を開状態から閉状態に移行しているときにロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態の場合における、図15中の矢視C方向からみたロック嵌合部材24とロック部材42の操作部425との断面図である。
【0060】
ロック部材42の操作部425には、操作部425がロック解除位置の状態でADF2を閉じたときに、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241と当接して、操作部425に図中の右方向にスライド移動させる力が加わるような傾斜部427が形成されている。この傾斜部427は、ロック解除固定位置用凹部426bの底部に向けた傾斜を有している。嵌合用凸部241が傾斜部427に当接した後、更にADF2を閉じると、ロック部材42の操作部425が図中の右方向にスライド移動し、嵌合用凸部241がロック解除固定位置用凹部426bと嵌合し、操作部425をロック解除固定位置まで移動させる。このようにロック部材42の操作部425に傾斜部427を形成することで、ADF2を閉じる動作と連動して、操作部425をロック解除位置からロック解除固定位置まで自動的に移動させることができる。ロック部材42の操作部425がロック解除位置の状態であってもロック解除固定位置に移動し、ロック位置側に移動しないので、駆動モータのオーバーロード、ギヤの摩耗及び光学走査ユニット40が衝撃を受けるといった不具合の発生を防止できる。
【0061】
本変形例2では、ADF2に嵌合用凸部241を形成し、ロック部材42の操作部425に傾斜部427を形成する構成について説明したが、逆の構成であってもよい。つまり、ロック部材42の操作部425に嵌合用凸部を形成し、ADF2に傾斜部427及びロック位置用凹部とロック解除固定位置用凹部とを形成する構成であってもよい。この構成であっても、同様の動作及び効果を得ることができる。
【0062】
上記変形例1、2では、ロック部材42の操作部425がロック位置、ロック解除位置及びロック解除固定位置の3つの状態をとる構成について説明した。しかし、スライド式ロック機構であれば、ロック状態と非ロック状態の2つの状態をとる構成のロック機構にも適用可能である。つまり、ロック状態をロック位置、非ロック状態をロック解除固定位置の2つの状態でロック部材42の操作部425を位置決めし、特にロック解除位置を設定することなく、ロック状態と非ロック状態との間の任意の位置をとり得る構成とする。この構成において、ユーザの偶発的な操作でロック部材42の操作部425がロック状態(ロック位置)と非ロック状態(ロック解除固定位置)との間の状態にもかかわらずスキャンが開始されてしまう場合がある。この場合も図18で説明したのと同様に、ADF2を閉じたときに、ロック嵌合部材24の嵌合用凸部241とロック部材42の操作部425とが干渉し、ADF2は嵌合用凸部241の凸部高さHの分だけ浮き上がり、操作部425との間に浮き上がりが生じる。このADF2の浮き上がりによって、ユーザはロック部材42の操作部425の位置(状態)が異常(ロック状態と非ロック状態との間の位置)であることに気づくことができ、ユーザに操作部425の非ロック状態へのスライド移動を促すことができる。
【0063】
また、ロック部材42の操作部425に傾斜部427を形成しておくことによって、操作部425がロック状態と非ロック状態との間の状態であっても、図21で説明したように、操作部425をスライド移動させて非ロック状態にすることができる。これにより、上述した不具合の発生を防止することができる。
【0064】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
画像読み取り面に沿って移動可能な光学走査ユニット40などの画像読取部と、画像読取部の移動を規制するためのロック部材42などの規制部材と、画像読取部が内部に収容される筐体4aの原稿台41などの筐体と、を備えた走査読取部4などの画像読取装置であって、規制部材は、筐体の外側に位置するように設けられた操作部425を備え、操作部425により、画像読取部の移動を規制するロック位置などの規制位置と、画像読取部の移動規制を解除する位置であって規制位置への移動が可能な第1規制解除位置と、画像読取部の移動規制を解除する位置であって第1規制解除位置よりも規制位置へ移動しにくい第2規制解除位置と、をとり得るように筐体に移動可能に保持されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ユーザが操作部を操作して規制部材を規制位置と第1規制解除位置との間で移動させることにより、画像読取部の移動を規制する規制位置と規制解除位置とを容易に切り換えることができる。また、ユーザの誤操作によって画像読取部が規制位置へ移動して固定されるのを回避したいときには、ユーザが操作部を操作して規制部材を、画像読取部の移動規制を解除する位置であって第1規制解除位置よりも規制位置へ移動しにくい第2規制解除位置に移動させる。これにより、ユーザの誤操作による画像読取部の不必要な固定がされにくくすることができる。以上のように、ユーザの操作によって画像読取部の移動を規制する規制位置と規制解除位置とを容易に切り換えることができるとともに、ユーザの誤操作による画像読取部の不必要な固定がされにくくすることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、規制部材は、操作部と、画像読取部に設けられたロック受け部材44などの被係合部に対して係合可能なロック部421などの係合部と、筐体に設けられた位置固定用スナップフィット受け部452などの被固定部に対して固定される位置固定用スナップフィット形状部423などの固定部と、を有し、規制部材が第2規制解除位置に移動したとき、固定部が筐体の被固定部に固定されて規制解除固定位置に固定され他の位置に移動しない。
これによれば、上記実施形態について説明したように、規制部材は、第2規制解除位置に移動すると、固定部が筐体の被固定部に固定され、第2規制解除位置に固定されるので、簡易な構成で規制部材を第2規制解除位置で固定できる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、筐体は、規制部材の係合部と固定部とが挿入された状態で規制部材が移動可能な保持孔部454などの長孔部が形成され、長孔部から規制部材の抜けを防止する抜け止め用スナップフィット形状部422などの抜け防止手段を備えた。
これによれば、上記実施形態について説明したように、規制部材は長孔部から抜けることなく、長孔部に沿って移動可能である。
(態様D)
上記態様Cにおいて、抜け防止手段は、規制部材又は筐体のいずれか一方に形成された抜け止め用スナップフィット形状部422などのスナップフィット形状部と、他方に形成されスナップフィット形状部を受けるためのロック部材受け部451などの受け形状部とにより構成される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、簡易な構成で規制部材の抜け止めが可能となる。
(態様E)
上記態様Cにおいて、抜け防止手段は、規制部材又は筐体のいずれか一方に設けられた突起部424などの抜け止め用凸部と、他方に設けられ抜け止め用凸部とスライド移動可能に嵌合するスライド溝455などの抜け止め用凹部とにより構成される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、抜け防止手段を抜け止め用凸部と抜け止め用凹部により簡易に構成でき、規制部材の移動時においても嵌合状態を維持して抜けを防ぎ、規制部材の小型化や製造コストの低減を図ることができる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、筐体に対して、規制部材を、規制位置と第1規制解除位置と第2規制解除位置との各位置で位置決めする位置決め手段を備えた。
これによれば、上記実施形態について説明したように、規制部材を、規制位置と第1規制解除位置と第2規制解除位置との各位置で位置決めすることができる。
(態様G)
上記態様Fにおいて、位置決め手段は、筐体又は規制部材のいずれか一方に設けられた突起部424などの凸部と、他方に設けられ凸部が挿脱可能な第1の凹部453a、第2の凹部453b、第3の凹部453cなどの凹部とにより構成される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、凸部が凹部に嵌り込んで規制部材が位置決めされる。
(態様H)
上記態様Gにおいて、凸部又は凹部の少なくとも一方は、規制部材の移動方向に沿って複数設けられる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、規制部材の移動方向で規制部材を複数箇所で位置決めすることができる。
(態様I)
上記態様G又はHにおいて、規制位置及び第1規制解除位置における凸部を凹部に対して挿脱するための挿脱力は、第2規制解除位置における凸部を凹部に対して挿脱する挿脱力に比べて小さくなるように構成される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、規制部材を規制位置及び第1規制解除位置に移動させる力とこれらの位置から移動させる力を、規制部材を第2規制解除位置に移動させる力に比べて小さく設定することができる。よって、規制位置及び第1規制解除位置での規制部材のクリック感を小さくしてユーザの操作性を向上させることができる。
(態様J)
上記態様A乃至Iのいずれかにおいて、筐体に開閉可能に支持され、閉じたときに画像読み取り面に載置された原稿を画像読み取り面に押し付けるADF2などの原稿押部を更に備え、規制部材が規制位置及び第2規制解除位置に位置するときに、原稿押部を閉じると、原稿押部と操作部425とが嵌合するロック嵌合部材24の嵌合用凸部241、ロック位置用凹部426a及びロック解除固定位置用凹部426bなどの嵌合手段を有し、嵌合手段は、規制部材が第1規制解除位置に位置するときに、原稿押部を閉じると、原稿押部と操作部とが干渉するように構成されている。
これによれば、上記変形例1について説明したように、原稿押部を閉じたときに干渉が生じると、ユーザは規制部材が第1規制解除位置に位置していることを認識でき、規制部材を第2規制解除位置へ移動させることができる。よって、規制部材が第2規制解除位置に固定され、画像読取部の移動が規制されずに原稿の読み取りが行われるので、駆動モータのオーバーロードやギヤの摩耗あるいは画像読取部が衝撃を受けてしまうといった不具合を防止することができる。また、規制部材が画像読取部の移動を規制して画像読取装置を輸送する際に、原稿押部と画像読み取り面との間に挟み込まれる緩衝材などの保護部材は必要ない。
(態様K)
上記態様Jにおいて、原稿押部は一端部側が開閉し、一端部側と反対の端部側が筐体に回転可能に支持されており、嵌合手段は、原稿押部が筐体に回転支持される回転支持軸線に近い位置に配置されている。
これによれば、上記変形例1について説明したように、嵌合手段が回転支持軸線から遠い位置に設けられている場合に比べて、回転支持軸線側と反対側で原稿読み取り面と原稿押部との間の浮き量が大きな時に干渉が生じる。一般的に、ユーザは回転支持軸線側と反対側である正面で操作するので、原稿押部の閉じ動作のより早い段階でユーザが干渉(異常)を察知しやすくなる。
(態様L)
上記J又はKにおいて、原稿押部の開閉を検知するプッシュスイッチ47などの開閉検知手段を備えた。
これによれば、上記変形例1について説明したように、原稿押部の開状態と閉状態とを検知することができる。
(態様M)
上記態様Lにおいて、開閉検知手段の検知結果に基づいてアラームを報知する報知手段を備えた。
これによれば、上記変形例1について説明したように、ユーザが原稿押部を閉じて原稿の読み取りを行うときに、規制部材が第1規制解除位置に位置する場合に、「キャリッジロックを解除していますか?」等のエラーメッセージを報知して、第2規制解除位置へ移動させるように促することができる。
(態様N)
上記J乃至Mのいずれかにおいて、嵌合手段は、規制部材の操作部又は原稿押部のいずれか一方にロック嵌合部材24の嵌合用凸部241などの嵌合用凸部を有し、他方に、原稿押部が閉じたときに、規制部材の規制位置と第2規制解除位置とで嵌合用凸部と嵌合するロック位置用凹部426a及びロック解除固定位置用凹部426bなどの2箇所の嵌合用凹部を有する。
これによれば、上記変形例1について説明したように、簡易な構成で嵌合手段を構成することができる。
(態様O)
上記態様Nにおいて、規制部材が第1規制解除位置に位置するとき、原稿押部を閉じると、嵌合用凸部の当接力で規制部材を第2規制解除位置に移動させるような傾斜部427を2箇所の嵌合用凹部の間に有する。
これによれば、上記変形例2について説明したように、嵌合用凸部が傾斜部427に当接した後、更に原稿押部を閉じると、規制部材がスライド移動し、嵌合用凸部がロック解除固定位置用凹部426bなどの嵌合用凹部と嵌合し、規制部材を第2規制解除位置まで移動させる。このように規制部材に傾斜部427を形成することで、原稿押部を閉じる動作と連動して、規制部材を第1規制解除位置から第2規制解除位置まで自動的に移動させることができる。
(態様P)
上記態様J乃至Oのいずれかにおいて、第1規制解除位置は、規制部材が規制位置と第2規制解除位置との間で移動可能な任意の位置である。
これによれば、上記変形例2について説明したように、第1規制解除位置は、規制部材が規制位置と第2規制解除位置との間で移動可能な位置であれば、任意の位置をとり得ることができる。
(態様Q)
画像読み取り面に沿って移動可能な光学走査ユニット40などの画像読取部と、画像読取部の移動を規制するためのロック部材42などの規制部材と、画像読取部が内部に収容される筐体4aの原稿台41などの筐体と、筐体に開閉可能に支持され、閉じたときに画像読み取り面に載置された原稿を画像読み取り面に押し付けるADF2や素圧板などの原稿押部と、を備えた走査読取部4などの画像読取装置であって、ロック部材42などの規制部材は、筐体の外側に位置するように設けられた操作部425を有し、操作部425により、画像読取部の移動を規制するロック位置などの規制位置と、画像読取部の移動規制を解除するロック解除固定位置などの規制解除位置と、をとり得るように筐体に移動可能に保持され、規制部材が規制位置及び規制解除位置に位置するときに、原稿押部を閉じると、原稿押部と操作部425とが嵌合するロック嵌合部材24の嵌合用凸部241、ロック位置用凹部426a及びロック解除固定位置用凹部426bなどの嵌合手段を有し、嵌合手段は、規制部材が規制位置と規制解除位置との間に位置するときに、原稿押部を閉じると、原稿押部と操作部425とが干渉するように構成されている。
これによれば、上記変形例1又は変形例2について説明したように、規制部材が規制位置と規制解除位置との間に位置するときに、原稿押部を閉じると干渉が生じ、ユーザに対して規制部材を規制解除位置に移動させるように促すことが可能となる。
(態様R)
態様A乃至Qのいずれかの画像読取装置を備えたことを特徴とするカラー複写機1などの画像形成装置である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ユーザの操作によって画像読取部の移動を規制する規制位置と規制解除位置とを容易に切り換えることができるとともに、ユーザの誤操作によって画像読取部が規制位置へ移動して固定されるのを回避したいときにはユーザの誤操作による画像読取部の不必要な固定がされにくくすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 カラー複写機
2 自動原稿搬送部(ADF)
3 給紙部
4 走査読取部
4a 筐体
5 画像形成部
7 コンタクトガラス
24 ロック嵌合部材
40 光学走査ユニット
41 原稿台
42 ロック部材
44 ロック受け部材
44a 溝部
45 ロック部材保持部
46 ヒンジ
47 プッシュスイッチ
241 嵌合用凸部
421 ロック部
422 抜け止め用スナップフィット形状部
422a 爪部
423 位置固定用スナップフィット形状部
423a 爪部
424 突起部
425 操作部
426a ロック位置用凹部
426b ロック解除固定位置用凹部
427 傾斜部
451 ロック部材受け部
452 位置固定用スナップフィット受け部
453a 第1の凹部
453b 第2の凹部
453c 第3の凹部
454 保持孔部
455 スライド溝
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【文献】特開2011-70113号公報
【文献】特開2007-110466号公報
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