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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】クエリ決定装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/335 20190101AFI20220111BHJP
【FI】
G06F16/335
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018091439
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019197413
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲生
(72)【発明者】
【氏名】奥村 優子
(72)【発明者】
【氏名】服部 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 裕香
(72)【発明者】
【氏名】郷原 皓彦
(72)【発明者】
【氏名】米満 文哉
(72)【発明者】
【氏名】中 響子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恭志郎
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0213735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、
複数個の単語のそれぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、
前記記憶部に記憶された全て又は一部の単語に対し、前記平均獲得月齢を第一軸とし、重み値を第二軸とした二次元グラフ上で、前記第二軸方向への山型形状を有する重み値を与えることにより、前記クエリを決定するクエリ決定部と、を含み、
前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記対象者の発達月齢又はその近傍に前記山型形状のピークがあり、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、前記対象者の発達月齢より大きな位置に前記山型形状のピークがある、
クエリ決定装置。
【請求項2】
対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、
複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、
前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢に近い単語に、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢と遠い単語よりも、大きな重み値を与えることにより、前記クエリを決定する第一決定処理と、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、前記記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢より大きい単語に、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢より小さい単語よりも、大きな重み値を与えることにより、前記クエリを決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定部と、
を含むクエリ決定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクエリ決定装置であって、
前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合の、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢より小さい単語の重み値は0である、
クエリ決定装置。
【請求項4】
対象者用の書籍を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、
複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、
前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が小さい単語と、前記対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む複数個の単語を、前記記憶部から選択して、前記クエリとして決定する第一決定処理と、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢以上である単語のみを含む1個以上の単語を、前記記憶部から選択して、前記クエリとして決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定部と、
を含むクエリ決定装置。
【請求項5】
対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定方法であって、
記憶部には、複数個の単語のそれぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶されているとして、
クエリ決定部が、前記記憶部から読み込んだ全て又は一部の単語に対し、前記平均獲得月齢を第一軸とし、重み値を第二軸とした二次元グラフ上で、前記第二軸方向への山型形状を有する重み値を与えることにより、前記クエリを決定するクエリ決定ステップを含み、
前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記対象者の発達月齢又はその近傍に前記山型形状のピークがあり、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、前記対象者の発達月齢より大きな位置に前記山型形状のピークがある、
クエリ決定方法。
【請求項6】
対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定方法であって、
記憶部には、複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶されているとして、
クエリ決定部が、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢に近い単語、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢と遠い単語よりも、大きな重み値を与えることにより、前記クエリを決定する第一決定処理と、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、前記記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢より大きい単語に、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢より小さい単語よりも、大きな重み値を与えることにより、前記クエリを決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定ステップを含む、
クエリ決定方法。
【請求項7】
対象者用の書籍を検索するためのクエリを決定するクエリ決定方法であって、
記憶部には、複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶されているとして、
クエリ決定部が、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より小さい場合には、前記対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が小さい単語と、前記対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む複数個の単語を、前記記憶部から選択して、前記クエリとして決定する第一決定処理と、前記対象者の発達月齢が前記対象者の実月齢より大きい場合には、平均獲得月齢が前記対象者の発達月齢以上である単語のみを含む1個以上の単語を、前記記憶部から選択して、前記クエリとして決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定ステップを含む、
クエリ決定方法。
【請求項8】
請求項1から4の何れかのクエリ決定装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絵本を検索するためのクエリを決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
養育者や保育者が幼い子供に読む絵本を選択する場合、これまでは、専門家や出版社により作成された「おすすめリスト」などから選択するというやり方や、各絵本に付与されている対象年齢に基づき、子供の年齢に合った絵本を選択するというやり方が行われていた。このように、従来は、人間の経験、知識、直感に頼ることにより、絵本を選択することが多かった。
【0003】
一方、最近では、絵本検索システムのピタリエ(例えば、非特許文献1参照。)等の、子供の興味や発達段階に合わせて絵本を推薦するシステムもあり、ICT(Information and Communication Technology)を用いた絵本の推薦が行われるようになってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】服部正嗣、小林哲生、藤田早苗、奥村優子、青山一生 、「ピタリエ:興味・発達段階にピッタリの絵本を見つけます」、NTT技術ジャーナル、28(6)、2016、P.54-59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の絵本を推薦するシステムでは、子供の発達段階の指標となるのは、「0歳か、1歳か、2歳か」等のように、子供の実年齢のみであった。各人の発達状況を正確に把握して絵本の推薦を行う技術は、これまで確立されていない。
【0006】
この発明は、各人の発達状況をより正確に把握して、絵本検索システムで用いられるクエリを決定するクエリ決定装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様によるクエリ決定装置によれば、対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、複数個の単語のそれぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、記憶部に記憶された全て又は一部の単語に対し、平均獲得月齢を第一軸とし、重み値を第二軸とした二次元グラフ上で、第二軸方向への山型形状を有する重み値を与えることにより、クエリを決定するクエリ決定部と、を備えており、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より小さい場合には、対象者の発達月齢又はその近傍に山型形状のピークがあり、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より大きい場合には、対象者の発達月齢より大きな位置に山型形状のピークがある。
【0008】
この発明の一態様によるクエリ決定装置によれば、対象者用の絵本を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より小さい場合には、記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が対象者の発達月齢に近い単語、平均獲得月齢が対象者の発達月齢と遠い単語よりも、大きな重み値を与えることにより、クエリを決定する第一決定処理と、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より大きい場合には、記憶部に記憶された全て又は一部の単語について、平均獲得月齢が対象者の発達月齢より大きい単語に、平均獲得月齢が対象者の発達月齢より小さい単語よりも、大きな重み値を与えることにより、クエリを決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定部と、を備えている。
【0009】
この発明の一態様によるクエリ決定装置によれば、対象者用の書籍を検索するためのクエリを決定するクエリ決定装置であって、複数個の単語それぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶された記憶部と、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より小さい場合には、対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む複数個の単語を、記憶部から選択して、クエリとして決定する第一決定処理と、対象者の発達月齢が対象者の実月齢より大きい場合には、平均獲得月齢が対象者の発達月齢以上である単語のみを含む1個以上の単語を、記憶部から選択して、クエリとして決定する第二決定処理と、を行うクエリ決定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
各人の発達状況をより正確に把握して、絵本検索システムで用いられるクエリを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、クエリ決定装置の機能構成の例を示す図である。
図2図2は、クエリ決定方法の処理手続きの例を示す図である。
図3図3は、実月齢T>発達月齢T'である場合の単語の選択及び重みの付与の例を示す図である。
図4図4は、実月齢T<発達月齢T'である場合の単語の選択及び重みの付与の例を示す図である。
図5図5は、実月齢T<発達月齢T'である場合の単語の選択及び重みの付与の例を示す図である。
図6図6は、実月齢T<発達月齢T'である場合の単語の選択及び重みの付与の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0013】
[クエリ決定装置及び方法]
クエリ決定装置は、図1に示すように、記憶部1と、クエリ決定部2とを例えば備えている。クエリ決定装置には、クエリの決定の対象となる者である対象者の実月齢T及び発達月齢T’が入力され、クエリ決定装置は、入力された対象者の実月齢T及び発達月齢T’に基づいて、対象者用の絵本検索に用いるクエリを決定して出力する。
【0014】
クエリ決定方法は、クエリ決定装置の各部が、以下の各実施形態で説明するステップS2の処理を行うことにより例えば実現される。
【0015】
以下、クエリ決定装置の各部について説明する。
【0016】
[第一実施形態]
第一実施形態のクエリ決定装置は、対象者用の絵本検索に用いるクエリとして、記憶部1に記憶された全て又は一部の単語と、これらの単語のそれぞれに与えられた重み値とを含むクエリを決定して出力する。クエリ決定装置が出力したクエリは、例えば、後述する文書検索システムに入力されて、対象者用の絵本検索に用いられる。
【0017】
[[記憶部1]]
記憶部1には、複数個の単語のそれぞれについて、単語と、当該単語を平均的な人が獲得する月齢(以下、「平均獲得月齢」という)と、の組が予め記憶されている。ここで、人とは、例えば子供のことである。
【0018】
平均獲得月齢の例は、Xを0≦X≦100の所定の数として、平均的な人のX%がその単語を獲得するX%獲得月齢である。Xは例えば50である。
【0019】
ここで、単語を獲得とは、単語を理解できるようになること、又は、単語を発話できるようになることを意味する。
【0020】
より具体的には、記憶部1には、事前の実験などにより平均獲得月齢が既知となっている複数個(例えば約2000個)の単語が予め記憶されている。記憶部1には、平均獲得月齢が既知となっている単語群に含まれるなるべく多くの単語を記憶しておいてもよいし、当該単語群に含まれる一部の単語を除き、残りの単語を記憶しておいてもよい。例えば、記憶部1には、当該単語群に含まれる付属語(例えば、助詞や助動詞など)を除き、残りの単語を記憶しておいてもよい。なお、後述する説明では、単語は平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶されているとする。
【0021】
[[クエリ決定部2]]
クエリ決定部2には、クエリの決定の対象となる者である対象者の実月齢T及び発達月齢T’が入力される。
【0022】
対象者の実月齢Tは、対象者の実際の月齢である。対象者の発達月齢T’は、対象者が獲得した単語から推定される月齢であり、単語チェックリストを用いて人手で予め決められるか、後述する発達月齢決定部4により決められる。
【0023】
クエリ決定部2は、記憶部1に記憶された全て又は一部の単語に対し、平均獲得月齢を第一軸とし、重み値を第二軸とした二次元グラフ上で、第二軸方向への山型形状を有する重み値を与えることによりクエリを決定する(ステップS2)。
【0024】
クエリは、記憶部1に記憶された全て又は一部の単語と、これらの単語のそれぞれに与えられた重み値とを含む。決定されたクエリは、文書検索システムに出力される。
【0025】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が対象者の実月齢Tより小さい場合(実月齢T>発達月齢T’である場合)には第一決定処理を行い、対象者の発達月齢T’が対象者の実月齢Tより大きい場合(実月齢T<発達月齢T’である場合)には第二決定処理を行うことによりクエリを決定する。以下、第一決定処理及び第二決定処理について説明する。なお、対象者の発達月齢T’と対象者の実月齢Tが等しい場合(実月齢T=発達月齢T’の場合)には、クエリ決定部2は、第一決定処理を行ってもよいし、第二決定処理を行ってもよい。
【0026】
(第一決定処理)
クエリ決定部2が行う第一決定処理は、発達が遅い対象者に適した絵本を検索するためのクエリを決定する処理である。対象者の発達が遅い場合には、対象者が覚えたばかりの単語とこれから覚えそうな単語の両方を含む絵本を検索するのが望ましい。そこで、第一実施形態のクエリ決定部2が行う第一決定処理では、記憶部1に記憶された全て又は一部の単語について、上述した重み値の山型形状のピークの平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’付近となるようにしたクエリを決定する。以下、第一決定処理の具体例を説明する。
【0027】
((第一決定処理の具体例1))
具体例1は、記憶部1から選択した一部の単語について、単語と、それぞれの単語に与えられた重み値と、をクエリとして決定する例である。
【0028】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が対象者の実月齢Tより小さい場合(実月齢T>発達月齢T’である場合)には、すなわち対象者の発達が遅い場合には、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む範囲(平均獲得月齢の範囲)にある複数個(N個、Nは予め定めた正の整数)の単語を、記憶部1から選択する。選択する単語数(すなわちN)は、5から15の範囲の値であることが好ましいと考えられるが、この単語数の範囲に含まれない値であってもよく、所望の値を予め定めてクエリ決定部2に記憶しておけばよい。第一決定処理の後述する説明では、選択されたN個の単語を、平均獲得月齢が小さい順にword(1), ..., word(N)とする。
【0029】
なお、ここで選択されたN個の単語は、後述する正の値の重み値が与えられて、対象者用の絵本検索に用いられる。すなわち、後述する文書検索システムなどでは、ここで選択されたN個の単語を重視した絵本検索が行われる。1歳から3歳の子供が新たに覚える単語は多くても1日に10語程度であることが知られている。そこで、上述したように例えばNを5から15の範囲の値としておくことで、対象者が新たに覚えることが可能な単語数も考慮して、対象者用の絵本検索をすることが可能となるのである。
【0030】
N個の単語を選択する際には、記憶部1に記憶された単語のうちの平均獲得月齢が連続するN個の単語を選択するのが好ましい。すなわち、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む範囲にある、連続するN個の単語を選択するのが好ましい。ただし、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、上記の範囲にある1つおきや2つおきのN個の単語を選択してもよい。すなわち、クエリ決定部2は、予め定めた規則に従って、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む範囲にあるN個の単語を選択すればよい。なお、これらの選択の際に、指定された単語(例えば、クエリに含めたくない単語)は選択されないようにしてもよい。指定された単語が選択されないようにするには、クエリ決定装置に図示しない提示部と入力部とを備えて、記憶部1に記憶された単語から上記の予め定めた規則に従って選択した単語を提示部で提示し、選択されないようにする単語を入力部で指定できるようにし、入力部で指定された単語を含まないN個の単語を選択結果とするようにすればよい。
【0031】
また、クエリ決定部2がN個の単語を選択する際には、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語の個数と、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語の個数と、がなるべく近くなるように選択するのが好ましい。(N+1)/2に最も近い整数値をKとすると、クエリ決定部2は、例えば、記憶部1に記憶された単語のうちの、平均獲得月齢が発達月齢T’に最も近い単語をword(K)として選択し、word(K)として選択された単語に平均獲得月齢が発達月齢T’より小さいほうに隣接するK-1個の単語をword(1), ..., word(K-1)として選択し、word(K)として選択された単語に平均獲得月齢が発達月齢T’より大きいほうに隣接するN-K個の単語をword(K+1), ..., word(N)として選択すればよい。Nが偶数である場合には(N+1)/2に最も近い整数値はN/2とN/2+1の2つであるが、これらの何れをKとしてもよい。Nが奇数の場合には(N+1)/2に最も近い整数値は(N+1)/2そのものであるので、これをKとする。なお、記憶部1に記憶された単語に平均獲得月齢が発達月齢T’と等しい単語が複数個ある場合には、クエリ決定部2は、これら複数個の単語のうち、記憶部1に記憶されている順番が発達月齢T’が等しい複数個の単語の中で中央に一番近いものなどを、上述した「平均獲得月齢が発達月齢T’に最も近い単語」と見做して、上述した処理を行えばよい。
【0032】
そして、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、対象者の発達月齢T’又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値を与える。具体的には、クエリ決定部2は、記憶部1から選択したN個の単語word(n) (n=1, ..., N)それぞれに対して、(N+1)/2又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値列に含まれる各重み値を与える。重み値列は、予め定めてクエリ決定部2に記憶しておく。第一決定処理の後述する説明では、重み値列に含まれる各重み値をweight(1), ..., weight(N)とする。また、重み値は正の値であるとする。
【0033】
Nが奇数の場合には、(N+1)/2は整数であるので、重み値列に含まれる全ての重み値weight(1), ..., weight(N)のうちの最大値がweight((N+1)/2)である重み値列を用いればよい。この重み値列を用いれば、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に与えるN個の重み値のうち、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’である単語又は平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語に与える重み値が、最大になるようにできる。すなわち、Nが奇数の場合には、この重み値列を用いることで、記憶部1から選択した単語に対して、対象者の発達月齢T’又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値を与えることができる。
【0034】
Nが偶数の場合であれば、(N+1)/2は整数ではなく、(N+1)/2に最も近い整数値はN/2とN/2+1であるので、重み値列に含まれる全ての重み値weight(1), ..., weight(N)のうちの最大値がweight(N/2)又は/及びweight(N/2+1)である重み値列を用いればよい。例えば、上述した単語を選択する処理でN/2をKとした場合には、最大値がweight(N/2)である重み値列を用いればよく、上述した単語を選択する処理でN/2+1をKとした場合には、最大値がweight(N/2+1)である重み値列を用いればよい。これらの重み値列のうちの対応するものを選択して用いれば、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に与えるN個の重み値のうち、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’である単語又は平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語に与える重み値が、最大になるようにできる。すなわち、Nが偶数の場合には、これらの重み値列のうちの対応するものを用いることで、記憶部1から選択した単語に対して、対象者の発達月齢T’又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値を与えることができる。
【0035】
また、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に近い単語に、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’から遠い単語よりも、大きな重み値を与えてもよい。
【0036】
例えば、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に近い単語ほど大きな重み値を与えてもよい。この場合は、クエリ決定部2は、記憶部1から選択したN個の単語word(n) (n=1, ..., N)それぞれに対して、nの値が(N+1)/2又はその近傍の値以下の範囲においては、nの値が大きくなるほど重み値が大きくなり、nの値が(N+1)/2又はその近傍の値以上の範囲においては、nの値が大きくなるほど重み値が小さくなる、重み値列を用いればよい。
【0037】
Nが奇数の場合であれば、nの値が(N+1)/2以下の範囲の重み値weight(1), ..., weight((N+1)/2)については、nの値が大きくなるほど重み値weight(n)が大きくなり、nの値が(N+1)/2以上の範囲の重み値weight((N+1)/2), ..., weight(N)については、nの値が大きくなるほど重み値weight(n)が小さくなる重み値列を用いればよい。
【0038】
Nが偶数の場合であれば、nの値がN/2以下の範囲の重み値weight(1), ..., weight(N/2)については、nの値が大きくなるほど重み値weight(n)が大きくなり、nの値がN/2+1以上の範囲の重み値weight(N/2+1), ..., weight(N)については、nの値が大きくなるほど重み値weight(n)が小さくなり、weight(N/2)とweight(N/2+1)については、これらに対応する単語であるword(N/2)とword(N/2+1)のうちの平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に近いほうの重み値weight(n)が大きくなるように重み値列を用いればよい。
【0039】
ただし、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して与える重み値が、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に近い単語ほど大きな重み値となる部分に加えて、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に近い単語ほど大きな重み値とならない部分を含んでもよい。例えば、クエリ決定部2は、nの値が(N+1)/2又はその近傍の値以下の範囲において、nの値が大きくなるほど重み値が大きくなる部分に加えて、nの値が大きくなるにもかかわらず重み値が同じである部分や、nの値が大きくなるにもかかわらず重み値が小さくなる部分を含んでいる重み値列を用いてもよい。同様に、クエリ決定部2は、nの値が(N+1)/2又はその近傍の値以上の範囲において、nの値が大きくなるほど重み値が小さくなる部分に加えて、nの値が大きくなるにもかかわらず重み値が同じである部分や、nの値が大きくなるにもかかわらず重み値が大きくなる部分を含んでいる重み値列を用いてもよい。
【0040】
例えば、図3に例示するように、実月齢Tが21.1ヶ月であり、発達月齢T’が19.5ヶ月であり、N=5であり、クエリ決定部2に記憶された重み値がweight(1)=0.3, weight(2)=0.6, weight(3)=0.9, weight(4)=0.6, weight(5)=0.3であったとする。ただし、図3の囲み線付きの「単語」の下の縦線の左右に記載されているのが、記憶部1に記憶された単語とその平均獲得月齢の一部を抜粋したものである。また、一部の単語の右側に記載されているのが、各単語に与える重みである。これらは、後述する図4、5、6についても同様である。図3の例の場合、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が発達月齢T’(19.5ヶ月)より小さい単語(2個)と、平均獲得月齢が発達月齢T’(19.5ヶ月)より大きい単語(2個)と、の両方を含む範囲にある複数個(5個)の単語である「ぶっぶー」「にゃんにゃん」「あーん」「ないない」「くっく」を記憶部1から選択する。そして、クエリ決定部2は、例えば、「ぶっぶー」に0.3、「にゃんにゃん」に0.6、「あーん」に0.9、「ないない」に0.6、「くっく」に0.3の重み値を与える。
【0041】
これらの重み値は、平均獲得月齢が発達月齢T’(19.5ヶ月)と同じ単語である「あーん」に最大の重み値である0.9が与えられていることから、発達月齢T’(19.5ヶ月)にピークがある山形形状を有する重み値となっている。また、これらの重み値は、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’(19.5ヶ月)に近い単語ほど大きな重み値となっている。
【0042】
((第一決定処理の具体例2))
具体例2は、記憶部1から選択した全ての単語について、単語と、それぞれの単語に与えられた重み値と、をクエリとして決定する例である。以下、具体例1と異なる点について説明する。
【0043】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が発達月齢の実月齢Tより小さい場合(実月齢T>発達月齢T’である場合)には、すなわち対象者の発達が遅い場合には、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む範囲(平均獲得月齢の範囲)にある複数個(N個、Nは予め定めた正の整数)の単語を第1群として記憶部1から選択し、第1群として選択しなかった単語を第2群として記憶部1から選択する。第1群の単語の選択方法は具体例1と同様である。
【0044】
そして、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した第1群に含まれるN個の各単語に対して具体例1と同じ方法で重み値を与える。また、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した第2群の各単語に対して0を重み値として与える。ただし、第1群に含まれる単語に与えられる最も小さい重み値より小さい値であれば、0ではない正の値である重み値を第2群の各単語に与えてもよい。
【0045】
(第二決定処理)
クエリ決定部2が行う第二決定処理は、発達が早い対象者に適した絵本を検索するためのクエリを決定する処理である。対象者の発達が早い場合には、対象者がこれから覚えそうな単語を多く含む絵本を検索するのが望ましい。そこで、第一実施形態のクエリ決定部2が行う第二決定処理では、記憶部1に記憶された全て又は一部の単語について、上述した重み値の山型形状のピークの平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’より大きくなるようにしたクエリを決定する。以下、第二決定処理の具体例を説明する。
【0046】
((第二決定処理の具体例1))
具体例1は、記憶部1から選択した一部の単語について、単語と、それぞれの単語に与えられた重み値と、をクエリとして決定する例である。
【0047】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が実月齢Tより大きい場合(実月齢T<発達月齢T’である場合)には、すなわち対象者の発達が早い場合には、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きな月齢T’’を含む範囲にある複数個(M個、Mは予め定めた正の整数)の単語を記憶部1から選択する。選択する単語数(すなわちM)は、5から15の範囲の値であることが好ましいと考えられるが、この単語数の範囲に含まれない値であってもよく、所望の値を予め定めてクエリ決定部に記憶しておけばよい。第二決定処理の後述する説明では、選択されたM個の単語を、平均獲得月齢が小さい順にword(1), ..., word(M)とする。また、後述する説明では、T’’を対象月齢と呼ぶことする。
【0048】
対象月齢T’’を発達月齢T’よりどれくらい大きな値とするかは予め定めておけばよい。例えば、正の数Cをクエリ決定部2に予め記憶しておき、クエリ決定部2が、入力された発達月齢T’と予め記憶されたCとを加算した値T’+Cを対象月齢T’’として得るようにすればよい。Cは、例えば1以上2以下の数である。または、例えば、発達月齢T’に基づいて正の数Cを得る関数C=f(T’)をクエリ決定部2に予め記憶しておき、クエリ決定部2が、入力された発達月齢T’と、入力された発達月齢T’と予め記憶された関数C=f(T’)に基づいて求まるC=f(T’)と、を加算した値T’’=T’+f(T’)を対象月齢T’’として得るようにしてもよい。
【0049】
M個の単語を選択する際には、記憶部1に記憶された単語のうちの平均獲得月齢が連続するM個の単語を選択するのが好ましい。すなわち、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、対象月齢T’’を含む範囲にある連続するM個の単語を選択するのが好ましい。ただし、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、上記の範囲にある、1つおきや2つおきのM個の単語を選択してもよい。すなわち、クエリ決定部2は、予め定めた規則に従って、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語から、対象月齢T’’を含む範囲にある連続するM個の単語を選択すればよい。なお、これらの選択の際に、指定された単語(例えば、クエリに含めたくない単語)は選択されないようにしてもよい。指定された単語が選択されないようにする方法は第一決定処理で説明した方法と同様である。
【0050】
また、クエリ決定部2がM個の単語を選択する際には、平均獲得月齢が対象月齢T’’より小さい単語の個数と、平均獲得月齢が対象月齢T’’より大きい単語の個数と、がなるべく近くなるように選択してもよい。(M+1)/2に最も近い整数値をLとすると、クエリ決定部2は、例えば、記憶部1に記憶された単語のうちの、平均獲得月齢が対象月齢T’’に最も近い単語をword(L)として選択し、word(L)として選択された単語に平均獲得月齢が対象月齢T’’より小さいほうに隣接するL-1個の単語をword(1), ..., word(L-1)として選択し、word(L)として選択された単語に平均獲得月齢が対象月齢T’’より大きいほうに隣接するM-L個の単語をword(L+1), ..., word(M)として選択すればよい。Mが偶数の場合には(M+1)/2に最も近い整数値はM/2とM/2+1であるが、これらの何れをLとしてもよい。Mが奇数の場合には(M+1)/2に最も近い整数値は(M+1)/2そのものであるので、これをMとする。なお、記憶部1に記憶された単語に平均獲得月齢が対象月齢T’’と等しい単語が複数個ある場合には、クエリ決定部2は、これら複数個の単語のうち、これら複数個の単語のうち、記憶部1に記憶されている順番が対象月齢T’’が等しい複数個の単語の中で中央に一番近いものなどを、上述した「平均獲得月齢が対象月齢T’’に最も近い単語」と見做して、上述した処理を行えばよい。
【0051】
そして、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、対象者の発達月齢T’よりも大きい位置にピークがある山型形状を有する重み値を与える。具体的には、クエリ決定部2は、記憶部1から選択したM個の単語word(m) (m=1, ..., M)それぞれに対して、山型形状を有する重み値列に含まれる各重み値を与える。重み値列は、予め定めてクエリ決定部2に記憶しておく。第二決定処理の後述する説明では、重み値列に含まれる各重み値をweight(1), ..., weight(M)とする。また、重み値は正の値であるとする。ただし、後述する図6の例では重み値は0以上の値である。
【0052】
山型形状を有する重み値列には、例えば、(M+1)/2又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値列、すなわち、(M+1)/2に最も近い整数値をLとしたときに、重み値列WEIGHTS(M)に含まれる全ての重み値weight(1), ..., weight(M)のうちの最大値がweight(L)である重み値列、さらに言い換えるとweight(L)に重み値のピークがある重み値列、を用いればよい。この山型形状を有する重み値列を用いることにより、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、対象者の発達月齢T’よりも大きい位置である対象月齢T’’又はその近傍にピークがある山型形状を有する重み値を与えることができる。なお、Mが整数値である場合には、(M+1)/2に最も近い整数値はM/2とM/2+1の2つであるが、これらの何れをLとしてもよい。
【0053】
また、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が対象月齢T’’に近い単語に、平均獲得月齢が対象月齢T’’から遠い単語よりも、大きな重み値を与えてもよい。
【0054】
例えば、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が対象月齢T’’に近い単語ほど大きな重み値を与えてもよい。この場合は、クエリ決定部2は、記憶部1から選択したM個の単語word(n) (n=1, ..., M)それぞれに対して、mの値が(M+1)/2又はその近傍の値以下の範囲においては、mの値が大きくなるほど重み値が大きくなり、mの値が(M+1)/2又はその近傍の値以上の範囲においては、mの値が大きくなるほど重み値が小さくなる、重み値列を用いればよい。ただし、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して与える重み値が、平均獲得月齢が対象月齢T’’に近い単語ほど大きな重み値となる部分に加えて、平均獲得月齢が対象月齢T’’に近い単語ほど大きな重み値とならない部分を含んでもよい。なお、これらの重み値の与え方や重み値については第一決定処理と同様である。
【0055】
例えば、図4に例示するように、実月齢Tが21.1ヶ月であり、発達月齢T’が23.1ヶ月であり、M=5であり、クエリ決定部2に記憶された重み値がweight(1)=0.3, weight(2)=0.6, weight(3)=0.9, weight(4)=0.6, weight(5)=0.3であり、C=0.8であったとする。上述の説明では、Cは例えば1以上2以下の数としたが、ここでは説明の都合上C=0.8とする。この場合、対象月齢T''は23.1+0.8=23.9ヶ月となるため、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が対象月齢T’’=23.9ヶ月を含む範囲にある複数個(5個)の単語である「牛乳」「いぇーい」「ゾウ」「くち」「ぴーぽー」を記憶部1から選択する。そして、クエリ決定部2は、例えば、「牛乳」に0.3、「いぇーい」に0.6、「ゾウ」に0.9、「くち」に0.6、「ぴーぽー」に0.3、の重み値を与える。
【0056】
これらの重み値は、平均獲得月齢が23.9ヶ月である単語である「ゾウ」に最大の重み値である0.9が与えられていることから、発達月齢T’(23.1ヶ月)よりも大きな位置にピークがある山型形状を有する重み値となっている。
【0057】
記憶部1から選択したM個の単語には、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語が含まれる場合がある。この場合、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語に、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語よりも、大きな重み値を与えてもよい。
【0058】
例えば、図5に例示するように、実月齢Tが21.1ヶ月であり、発達月齢T’が22.1ヶ月であり、M=5であり、クエリ決定部2に記憶された重み値がweight(1)=0.3, weight(2)=0.6, weight(3)=0.9, weight(4)=0.6, weight(5)=0.3であり、C=1.0であったとする。この場合、対象月齢T''は22.1+1.0=23.1ヶ月となるため、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が対象月齢T’’=23.1ヶ月を含む範囲にある複数個(5個)の単語である「ぽい」「目」「牛乳」「いぇーい」「ゾウ」を記憶部1から選択する。ここで、「ぽい」はword(1)、「目」はword(2)、「牛乳」はword(3)、「いぇーい」はword(4)、「ゾウ」はword(5)である。そして、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さくない単語word(2)からword(5)については、クエリ決定部2に記憶された重み値weight(2)からweight(5)をそれぞれ与えることで、「目」に0.6、「牛乳」に0.9、「いぇーい」に0.6、「ゾウ」に0.3、の重み値を与える。平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語word(1)については、クエリ決定部2に記憶された重み値weight(1)は0.3であるものの、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語word(3)からword(5)の重み値のうちの最小値であるweight(5)=0.3より小さくない。そこで、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語word(1)については、weight(5)=0.3より小さな値である例えば重み値0.1を与える。すなわち、「ぽい」に0.1の重み値を与える。
【0059】
これらの重み値は、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語「牛乳」「いぇーい」「ゾウ」にそれぞれ0.9,0.6,0.3の重み値が与えられており、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語「ぽい」に0.1の重み値が与えられていることから、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語に、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語よりも、大きな重み値を与えたものになっている。なお、これらの重み値は、平均獲得月齢が23.1ヶ月である単語である「牛乳」に最大の重み値である0.9が与えられていることから、発達月齢T’(22.1ヶ月)よりも大きな位置にピークがある山型形状を有する重み値にもなっている。
【0060】
なお、記憶部1から選択したM個の単語には、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語が含まれる場合には、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語に0の重み値を与えてもよい。
【0061】
例えば、図6に例示するように、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語「目」に0の重み値を与えてもよい。図6の例は、図5の例と同じ場合のものであるが、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さくない単語についてはクエリ決定部2に記憶された重み値列に含まれる重み値をそれぞれ与え、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語については0を重み値として与えることで、「ぽい」に0、「目」に0.6、「牛乳」に0.9、「いぇーい」に0.6、「ゾウ」に0.3、の重み値を与える。なお、この例も図5の例と同様に、記憶部1から選択した単語に対して、平均獲得月齢が発達月齢T’より大きい単語に、平均獲得月齢が発達月齢T’より小さい単語よりも、大きな重み値を与えている。また、これらの重み値は、平均獲得月齢が23.1ヶ月である単語である「牛乳」に最大の重み値である0.9が与えられていることから、発達月齢T’(22.1ヶ月)よりも大きな位置にピークがある山型形状を有する重み値にもなっている。
【0062】
((第二決定処理の具体例2))
具体例2は、記憶部1から選択した全ての単語について、単語と、それぞれの単語に与えられた重み値と、をクエリとして決定する例である。以下、具体例1と異なる点について説明する。
【0063】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が発達月齢の実月齢Tより大きい場合(実月齢T<発達月齢T’である場合)には、すなわち対象者の発達が早い場合には、平均獲得月齢が対象月齢T''を含む範囲にある複数個(M個、Mは予め定めた正の整数)の単語を第1群として記憶部1から選択し、第1群として選択しなかった単語を第2群として記憶部1から選択する。第1群の単語の選択方法は具体例1と同様である。
【0064】
そして、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した第1群に含まれるM個の各単語に対して具体例1と同じ方法で重み値を与える。また、クエリ決定部2は、記憶部1から選択した第2群に含まれる各単語に対して0を重み値として与える。ただし、第1群に含まれる単語に与えられる最も小さい重み値より小さい値であれば、0ではない正の値である重み値を第2群の各単語に対して与えてもよい。
【0065】
[第二実施形態]
第二実施形態のクエリ決定装置は、記憶部1に記憶された単語のうちの一部の単語を選択してクエリとして決定して出力する。クエリ決定装置が出力したクエリは、例えば、後述する文書検索システムに入力されて、対象者用の絵本検索に用いられる。
【0066】
第二実施形態のクエリ決定装置の記憶部1は第一実施形態の記憶部1と同じであるので、以下では、第二実施形態のクエリ決定装置が第一実施形態のクエリ決定装置と異なるクエリ決定部2について説明する。
【0067】
[[クエリ決定部2]]
クエリ決定部2には、クエリの決定の対象となる者である対象者の実月齢T及び発達月齢T’が入力される。クエリ決定部2は、対象者の実月齢T及び発達月齢T’に基づいて、記憶部1に記憶された複数個の単語のうちの一部の単語をクエリとして決定する(ステップS2)。決定されたクエリは、文書検索システムに出力される。
【0068】
クエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’が対象者の実月齢Tより小さい場合(実月齢T>発達月齢T’である場合)にはクエリ決定部2は第一決定処理を行い、対象者の発達月齢T’が対象者の実月齢Tより大きい場合(実月齢T<発達月齢T’である場合)にはクエリ決定部2は第二決定処理を行うことによりクエリを決定する。なお、対象者の発達月齢T’と発達月齢の実月齢Tが等しい場合(実月齢T=発達月齢T’の場合)には、クエリ決定部2は、第一決定処理を行ってもよいし、第二決定処理を行ってもよい。
【0069】
(第一決定処理)
クエリ決定部2が行う第一決定処理は、発達が遅い対象者に適した絵本を検索するためのクエリを決定する処理である。対象者の発達が遅い場合には、対象者が覚えたばかりの単語とこれから覚えそうな単語の両方を含む絵本を検索するのが望ましい。そこで、第二実施形態のクエリ決定部2は、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語と、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語と、の両方を含む複数個の単語を、記憶部1から選択してクエリとして決定する。
【0070】
まず、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語を選択してクエリとして決定する処理を説明する。クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続するA個(Aは正の整数)を選択してクエリとして決定する。ただし、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さい単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続する複数個の単語から、1つおきや2つおきなどの予め定めた規則に従ってA個の単語を選択してもよい。すなわち、クエリ決定部2は、予め定めた規則に従って、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が小さいA個の単語を選択すればよい。なお、これらの選択の際に、指定された単語(例えば、クエリに含めたくない単語)は選択されないようにしてもよい。指定された単語が選択されないようにする方法は第一実施形態の第一決定処理で説明した方法と同様である。
【0071】
次に、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語を選択してクエリとして決定する処理を説明する。クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続するB個(Bは正の整数)を選択してクエリとして決定する。ただし、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きい単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続する複数個の単語から、1つおきや2つおきなどの予め定めた規則に従ってB個の単語を選択してもよい。すなわち、クエリ決定部2は、予め定めた規則に従って、対象者の発達月齢T’よりも平均獲得月齢が大きいB個の単語を選択すればよい。なお、これらの選択の際に、指定された単語(例えば、クエリに含めたくない単語)は選択されないようにしてもよい。指定された単語が選択されないようにする方法は第一実施形態の第一決定処理で説明した方法と同様である。
【0072】
なお、クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’と等しい単語も、記憶部1から選択して、クエリとして決定してもよい。クエリ決定部2は、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’と等しい単語が複数個ある場合には、その全ての単語を選択してクエリとして決定してもよいし、一部の単語を選択してクエリとして決定してもよい。
【0073】
(第二決定処理)
クエリ決定部2が行う第二決定処理は、発達が早い対象者に適した絵本を検索するためのクエリを決定する処理である。対象者の発達が早い場合には、発達が早い子供は単語の定着が早いので既に覚えている語の提示はそれほど必要ではなく、対象者がこれから覚えそうな単語を含む絵本を検索するのが望ましい。そこで、第二実施形態のクエリ決定部2は、平均獲得月齢が発達月齢T’以上である単語のみを含む複数個の単語を記憶部1から選択してクエリとして決定する。
【0074】
クエリ決定部2は、例えば、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、記憶部1に記憶された単語のうちの、平均獲得月齢が発達月齢T’以上である単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続するC個(Cは正の整数)を選択してクエリとして決定する。ただし、クエリ決定部2は、平均獲得月齢が小さい順に記憶部1に記憶された単語のうちの、記憶部1に記憶された単語のうちの、平均獲得月齢が発達月齢T’以上である単語のうちの、平均獲得月齢が対象者の発達月齢T’に最も近い単語を含む連続する複数個の単語から、1つおきや2つおきなどの予め定めた規則に従ってC個の単語を選択してもよい。すなわち、クエリ決定部2は、予め定めた規則に従って、平均獲得月齢が発達月齢T’以上であるC個の単語を選択すればよい。なお、これらの選択の際に、指定された単語(例えば、クエリに含めたくない単語)は選択されないようにしてもよい。指定された単語が選択されないようにする方法は第一実施形態の第一決定処理で説明した方法と同様である。
【0075】
[文書検索システムの実施形態]
対象者に適した絵本検索結果を得る文書検索システムについて説明する。文書検索システムは、図1に示すように、文書検索部3を例えば備えている。以下、文書検索システムの各部について説明する。
【0076】
[文書検索部3]
文書検索部3には、クエリ決定装置が決定したクエリが入力される。すなわち、第一実施形態のクエリ決定装置が決定したクエリが入力される場合には、文書検索部3には、クエリである、単語と、単語に与えられた重み値とが入力され、第二実施形態のクエリ決定装置が決定したクエリが入力される場合には、クエリである単語が入力される。
【0077】
第二実施形態のクエリ決定装置が決定したクエリが入力された場合には、文書検索部3は、まず、入力されたクエリである全ての単語に対して同じ重み値を与える。
【0078】
文書検索部3は、入力された単語をキーワードとする文書検索を、入力された単語に与えられた重みが大きい単語ほど重視して行う。ここでは、文書とは絵本のことである。
【0079】
文書検索部3の例は、例えば特開2014-235723号公報又は特開2016-148927号公報に記載された情報提示装置である。
【0080】
文書検索部3は、各メディアデータの特徴ベクトルvn(n=1,…,N)が記憶されている探索対象メディアデータDBを備えているとする。ここで、メディアデータは、絵本の文書データである。
【0081】
そして、文書検索部3は、探索対象メディアデータDB中の少なくとも一冊に出現する単語の種類数を要素数とする特徴ベクトルについて、入力された単語の対応する要素に単語に与えられた重みが入力され、それ以外の要素が零で構成される特徴ベクトルをクエリ特徴ベクトルvqueryとして、このクエリ特徴ベクトルvqueryと類似度(例えば、コサイン類似度)が高い特徴ベクトルvnを有するメディアデータについての情報を、探索対象メディアデータDBを参照することにより取得する。例えば、文書検索部3は、類似度が高い順に、30個等の予め指定された個数のメディアデータについての情報を取得する。なお、文書検索部3は、入力された単語の中の単語であって、探索対象メディアデータDBに格納されたメディアデータに出現しなかった単語に与えられた重みについては無視して類似度の計算を行う。
【0082】
そして、文書検索部3は、取得されたメディアデータ(すなわち、絵本)についての情報を、入力されたクエリに対応する絵本の検索結果として出力する。
【0083】
なお、文書検索システムには第一実施形態または第二実施形態のクエリ決定装置の各部も含めてもよく、この場合は、文書検索システムは記憶部1とクエリ決定部2と文書検索部3を例えば備えている。この場合は、文書検索システムには絵本検索の対象となる者である対象者の実月齢T及び発達月齢T’が入力され、文書検索システムは入力された対象者の実月齢T及び発達月齢T’に基づいて対象者用の絵本の検索結果を得て出力する。
【0084】
このようにして、クエリを決定し、決定されたクエリに基づいて絵本を検索することで、対象者の発達段階にぴったりな絵本を推薦することが可能になる。こうした技術は、例えば、子育て中の親の絵本選びの支援を実現し、子供の発達段階に合った絵本を効率的に見つけ出すことに役立つと考えられる。また、言語発達遅滞児の訓練を担当する言語聴覚士の医療現場などでも、実年齢によらない対象者の発達レベルに合わせた絵本選びは、有用であると考えられる。このように、この技術は、少なくとも育児の視点及び医療の視点で、有用であると考えられる。
【0085】
[変形例]
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計の変更等があっても、この発明に含まれることはいうまでもない。
【0086】
例えば、上記の説明では、平均獲得月齢及びX%獲得月齢を、月齢を用いて定義したが、平均獲得月齢及びX%獲得月齢は、月齢に代えて日齢、週齢、年齢等の所定の時間を表す指標を用いて定義されてもよい。
【0087】
また、クエリ決定装置に入力される対象者の発達月齢T’は、図1に破線で示す発達月齢決定部4により決定されたものであってもよい。発達月齢決定部4は、例えば参考文献1に記載された語彙推定テストを用いた発達月齢T'の推定技術により、対象者の発達月齢T’を決定する。決定された発達月齢T’は、クエリ決定部2に入力される。
【0088】
参考文献1の技術は、対象者が複数の語のそれぞれを獲得しているか否かについての情報と、複数の語のそれぞれを各齢の人が獲得している確率についての情報とに基づいて、対象者の発達月齢T'を決定するものである。また、参考文献1の技術は、必要に応じて、対象者が獲得している語の品詞情報に基づいて発達月齢T'を補正する。
【0089】
〔参考文献1〕森山佑亮,南泰浩,小林哲生,「幼児の語彙数推定のための簡易語彙チェックリストの提案」,電子情報通信学会技術研究報告,vol.116,no.436,HCS2016-84,2017, P.145-150
なお、クエリ決定装置に入力される対象者の発達月齢T’は、単語チェックリストを用いて人手で予め決定されたものであってもよい。例えば、対象者が子供である場合には、子供の語彙発達状況に関する単語チェックリストを親に回答してもらい、その回答結果から子供の発達月齢T’を決定する。
【0090】
単語チェックリストは、大規模データから推定された語の獲得月齢値(例えば、50%獲得月齢)に基づいて、語をそれぞれピックアップすることにより作成される。例えば、18ヶ月台のリストから「わんわん」、19ヶ月台のリストから「目」、20ヶ月台のリストから「どうぞ」などをピックアップし、それらが理解できるかどうかを、親に回答してもらう。こうした回答結果を参照すれば、各児の実際の月齢によらずに、語彙に関する発達段階がどの程度にあるかを推定できる。例えば、ある子が「わんわん」「目」はチェックしたが、「どうぞ」はチェックされなかったとすると、この場合、そのお子さんは、語の獲得月齢値を基準にすると、簡略的に19ヶ月相当の発達月齢T'にあることがわかる。
【0091】
なお、上述した説明では、対象者用の絵本を検索することとしているが、絵本ではない書籍などの文書を検索することとしてもよい。
【0092】
実施の形態において説明した各種の処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
【0093】
[プログラム、記録媒体]
上記実施形態で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0094】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0095】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0096】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記憶装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0097】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 記憶部
2 クエリ決定部
3 文書検索部
4 発達月齢決定部
図1
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図3
図4
図5
図6