(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】機械加工支援方法、機械加工支援システム、および機械加工支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4097 20060101AFI20220111BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G05B19/4097 B
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2017242708
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2017032426
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】中本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】井上 友貴
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-309713(JP,A)
【文献】特開2006-011808(JP,A)
【文献】特開2006-119935(JP,A)
【文献】特開2008-009806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4097
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行される機械加工支援方法であって、
目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、
前記目標形状の中の特殊部分を近似する近似ステップと、
近似された目標形状と前記素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から
複数の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、
前記
複数の加工プリミティブのうち少なくとも
一つの加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、
単純化された加工プリミティブを含む前記
複数の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、
認識された
複数の加工フィーチャと単純化される前の前記
複数の加工プリミティブとを関連付けることで、前記素材形状から前記目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップと
を含
み、
前記決定ステップでは、前記特殊部分についての特殊な加工フィーチャを前記加工工程に追加する、
機械加工支援方法。
【請求項2】
前記単純化ステップでは、前記少なくとも
一つの加工プリミティブの形状を円柱または直方体のいずれかに単純化する、
請求項1に記載の機械加工支援方法。
【請求項3】
前記抽出ステップでは、前記近似された目標形状と接する面である創成面の少なくとも一部を共有する複数の前記加工プリミティブが存在する場合に、該複数の加工プリミティブを一つの加工プリミティブに結合する、
請求項
1または2に記載の機械加工支援方法。
【請求項4】
目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得部と、
前記目標形状の中の特殊部分を近似する近似部と、
近似された目標形状と前記素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から
複数の加工プリミティブを抽出する抽出部と、
前記
複数の加工プリミティブのうち少なくとも
一つの加工プリミティブの形状を単純化する単純化部と、
単純化された加工プリミティブを含む前記
複数の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識部と、
認識された
複数の加工フィーチャと単純化される前の前記
複数の加工プリミティブとを関連付けることで、前記素材形状から前記目標形状を作製するための加工工程を決定する決定部と
を備え
、
前記決定部は、前記特殊部分についての特殊な加工フィーチャを前記加工工程に追加する、
機械加工支援システム。
【請求項5】
目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、
前記目標形状の中の特殊部分を近似する近似ステップと、
近似された目標形状と前記素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から
複数の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、
前記
複数の加工プリミティブのうち少なくとも
一つの加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、
単純化された加工プリミティブを含む前記
複数の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、
認識された
複数の加工フィーチャと単純化される前の前記
複数の加工プリミティブとを関連付けることで、前記素材形状から前記目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップと
をコンピュータシステムに実行させ
、
前記決定ステップでは、前記特殊部分についての特殊な加工フィーチャを前記加工工程に追加する、
機械加工支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は機械加工支援方法、機械加工支援システム、および機械加工支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械部品または機械製品の製作をコンピュータで支援する技術が知られている。CAM(Computer Aided Manufacturing)ソフトウェアはその一つであり、これは、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアで定義されたモデルの形状データから、数値制御工作機械を用いた加工で必要な数値制御(NC)プログラムを生成するアプリケーション・プログラムである。
【0003】
CAMソフトウェアが要求する情報(加工箇所や加工順序など)の生成には多大な時間と熟練者の知識、経験、および労力とを要し、これが、機械加工の準備のための時間を増大させている。この準備時間を短縮するために、加工工程(例えば加工箇所、工具、加工方法、加工順序など)に関する情報を自動的に決定することが求められている。その決定に重要な要素として加工フィーチャ(加工工程を特徴付ける形状の特徴)があり、これまでに様々な加工フィーチャとその認識手法とが提案されてきた。例えば下記非特許文献1には、目標形状ではなく除去領域から加工フィーチャを認識する手法が記載されている。また、下記非特許文献2には、1台で複数の加工工程を実行できる複合加工機の特徴を活かす加工フィーチャが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Dwijayanti, K. and Aoyama,H., Development of Automatic Process Planning System for Turning-Milling Centerwith 2 Turret System, Journal of the Japan Society for Precision Engineering,Vol. 81, No. 5 (2015), pp. 471-480.
【文献】上野瑛,中本圭一、複合加工機用工程設計支援システムのための加工フィーチャの提案、日本機械学会論文集、Vol. 81, No. 825 (2015), DOI:10.1299/transjsme.15-00108.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械部品および機械製品の形状(目標形状)は一般に複雑であり、その加工フィーチャの認識には膨大な計算を要し、現実的な時間内にその計算を終わらせることが困難である。そのため、まだ、機械加工の準備時間が理想的なレベルまで短縮されていない。そこで、機械加工の準備時間を短縮することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る機械加工支援方法は、少なくとも一つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行される機械加工支援方法であって、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップとを含む。
【0007】
本発明の一側面に係る機械加工支援システムは、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得部と、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出部と、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化部と、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識部と、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定部とを備える。
【0008】
本発明の一側面に係る機械加工支援プログラムは、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップとをコンピュータシステムに実行させる。
【0009】
このような側面においては、目標形状と素材形状との差分である除去領域の加工プリミティブが単純化され、その単純化された加工プリミティブを用いて加工フィーチャが認識されるので、認識すべき加工フィーチャの種類を限られた数に抑えることができる。加工フィーチャの種類が少なくて済むので、その加工フィーチャに基づく加工工程の決定も簡単になり、その決定のための処理時間が短くて済む。したがって、機械加工の準備時間を従来よりも短縮することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、機械加工の準備時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る機械加工支援システムで用いられるコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る機械加工支援システムの機能構成を示す図である。
【
図3】(a)および(b)は目標形状の近似の例を示す図である。
【
図4】除去領域の加工プリミティブを抽出する例を示す図である。
【
図5】(a)~(c)は除去領域の加工プリミティブを抽出する例を示す図である。
【
図6】加工プリミティブの結合の例を示す図である。
【
図7】(a)および(b)は加工プリミティブの単純化の例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る機械加工支援システムの動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る機械加工支援プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[システムの構成]
実施形態に係る機械加工支援システム10は、機械部品または機械製品の製作工程を支援するコンピュータシステムであり、具体的には、加工フィーチャを含む加工工程データを生成するコンピュータシステムである。「加工フィーチャ」とは、加工工程を決定付ける形状の特徴である。機械加工支援システム10で生成された加工工程データはCAMで利用され、そのCAMで生成されるNCデータに従って工作機械が作動することで所望の部品または製品が得られる。工作機械の例として、旋削加工およびフライス加工の双方を実施可能な複合加工機が挙げられる。これに関連して、機械加工支援システム10は旋削加工およびフライス加工の双方に適用可能である。もっとも、機械加工支援システム10と連携する工作機械の種類は何ら限定されず、また、機械加工支援システム10は他の加工法のために用いられてもよい。
【0014】
機械加工支援システム10は1台のコンピュータで構成されてもよいし、複数台のコンピュータで構成されてもよい。複数台のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータがインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つの機械加工支援システム10が構築される。
【0015】
図1は機械加工支援システム10を構成するコンピュータの一般的なハードウェア構成を示す。コンピュータ100は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するプロセッサ(例えばCPU)101と、ROMおよびRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードまたは無線通信モジュールで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力装置105と、モニタなどの出力装置106とを備える。
【0016】
機械加工支援システム10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上に所定のソフトウェア(例えば、後述する機械加工支援プログラムP1)を読み込ませてそのソフトウェアを実行させることで実現される。プロセッサ101はそのソフトウェアに従って、通信制御部104、入力装置105、または出力装置106を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。処理に必要なデータまたはデータベースは主記憶部102または補助記憶部103内に格納される。
【0017】
図2は機械加工支援システム10の機能構成を示す。機械加工支援システム10は機能的構成要素として取得部11、近似部12、抽出部13、単純化部14、認識部15、および決定部16を備える。
【0018】
取得部11は、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する機能要素である。「目標形状」とは、工作機械により作製されようとする機械部品または機械製品の形状である。「素材形状」とは、その機械部品または機械製品のもとになる材料の形状である。複合加工機などの工作機械は素材を削ることで目標形状を得るので、素材形状は目標形状よりも大きい。目標データおよび素材データの取得方法は限定されない。例えば、取得部11はCADから入力または送信されたそれらのデータを受信してもよいし、所定の記憶装置(例えばデータベース)からそれらのデータを読み出してもよい。いずれにしても、取得部11はその目標データを近似部12に出力すると共に素材データを抽出部13に出力する。
【0019】
近似部12は、目標形状の中の特殊部分を近似する機能要素である。「特殊部分」とは、作製しようとする機械部品または機械製品に特有の形状を含み、そのために汎用化または定型化が困難な部分をいう。特殊部分の例として面取り箇所および自由曲面が挙げられるが、特殊部分の形状はこれらに限定されず、他の種類の複雑な形状でもよい。目標形状は1以上の特殊部分を含み得る。
【0020】
「特殊部分を近似する」とは、特殊部分をより単純な形状で埋めることで、その特殊部分を隠す処理である。この近似により目標形状に特有の部分が隠されて目標形状が単純化される。近似部12は近似された目標形状と元の目標形状との差を特殊な加工プリミティブとして求め、その特殊な加工プリミティブを示すデータを生成する。ここで、「加工プリミティブ」とは形状の最小単位であり、複数の加工プリミティブを組み合わせることで所望の形状が得られる。
【0021】
図3は目標形状の特殊部分を近似する例を示し、例(a)は特殊部分が面取り箇所である場合の近似を示し、例(b)は特殊部分が自由曲面である場合の近似を示す。ただし、
図3に示す近似は一例に過ぎず、近似処理の具体的な手法は何ら限定されないことに留意されたい。
【0022】
例えば、近似部12は目標形状201の面取り箇所202を次のように近似する。まず、近似部12はXY平面、YZ平面、およびZX平面のいずれにも存在せず、かつエッジ全体の長さが所定の閾値以下である面202を面取り箇所として認識する。続いて、近似部12は認識した面取り箇所202内の最長のエッジから外方に目標形状の面を拡張し、その拡張した面203上に面取り箇所202を投影する。そして、近似部12は投影された輪郭と目標形状201との間の隙間を埋めることで(領域204を参照)、面取り箇所202が近似された目標形状201Aを得る。また、近似部12は近似された目標形状201Aと元の目標形状201との差分205を特殊な加工プリミティブとして取得する。近似部12は曲線状の角もこの手法で近似する。
【0023】
別の例として、目標形状211が自由曲面212を含む場合について説明する。近似部12は、自由曲面212を内包する最小の直方体213を定義し、その直方体213と目標形状211との和を求めることで、その自由曲面212が近似された目標形状211Aを得る。そして、近似部12は近似された目標形状211Aと元の目標形状211との差分214を特殊な加工プリミティブとして取得する。
【0024】
近似部12は、すべての特殊部分が近似された目標形状を示すデータを抽出部13に出力する。また、近似部12は特殊な加工プリミティブを示すデータを決定部16に出力する。
【0025】
抽出部13は、近似された目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域に対応する1以上の加工プリミティブを抽出する機能要素である。「除去領域」とは、機械加工により素材から取り除かれる部分である。素材の形状は様々であり得るので、ある目標形状を複数個作製する場合には、除去領域は素材により異なり得る。そのため、加工フィーチャは目標形状からではなく除去領域から認識されるのが望ましい。除去領域から加工フィーチャを認識する処理そのものは周知であり、例えば上記の非特許文献1,2にも記載されている。機械加工支援システム10も除去領域から加工フィーチャを認識する。
【0026】
図4を参照しながら加工プリミティブの抽出について説明する。
図4は除去領域の加工プリミティブを抽出する例を示す図である。抽出部13は素材形状221と近似された目標形状222との差分を除去領域223として求める。続いて、抽出部13は除去領域223と近似された目標形状222とが接する面(境界面)224を拡張し、拡張された境界面と除去領域223とで囲まれる領域を加工プリミティブとして抽出する。
図4の例では、抽出部13は平板状の加工プリミティブ225と柱状の加工プリミティブ226とを抽出する。このように、抽出される加工プリミティブ同士が重なり合うことが許容される。本実施形態では、加工プリミティブの面のうち、近似された目標形状と接する面を「創成面」という。機械加工支援システム10は、加工工程を決定するための指標の一つとしてこの創成面を用いる。
図4は、加工プリミティブ225の唯一の創成面225aと加工プリミティブ226の三つの創成面226aとを示す。
【0027】
加工プリミティブを抽出するための除去領域の分割方法は限定されない。例えば、3軸制御のフライス加工を前提とするならば、抽出部13はXY平面(水平面)に平行な面のみで除去領域を分割してもよい。また、抽出部13は複雑な形状の除去領域を分割することもあり得る。例えば、抽出部13は境界面が有する凹エッジ(そのエッジを構成する二つの面の成す角が180°よりも小さいエッジ)を含む除去領域を分割する。具体的には、抽出部13は、凹エッジのうちXY平面に平行な直線のエッジと、Z軸に平行な中心軸を持つ円エッジとを参照して、Z座標が大きい部分から順に加工プリミティブを取得する。
【0028】
図5は凹エッジを含む除去領域から加工プリミティブを抽出する例を示す。例(a)に示すように凹エッジ233につながる面が平面である場合には、抽出部13はその平面より上の除去領域を加工プリミティブ231として抽出する。残りの領域232は別の加工プリミティブとして抽出される。例(b)に示すように凹エッジ243につながる面が円筒面の場合には、抽出部13はその円筒面の内部を含む領域を加工プリミティブ241として抽出する。残りの領域242は別の加工プリミティブとして抽出される。例(c)に示すように除去領域が平面および円筒面の双方を含む場合には、抽出部13は凹エッジ253を含む平面に沿ってその除去領域を切断することで、Z座標が最大の面を有する加工プリミティブ251を先に抽出する。残りの領域252は別の加工プリミティブとして抽出される。Z座標が最大の面を有する加工プリミティブが複数存在する場合には、抽出部13は平面を有する加工プリミティブを先に取得する。
【0029】
抽出部13は、創成面の少なくとも一部を共有する複数の加工プリミティブを一つの加工プリミティブに結合することで、抽出される加工プリミティブの個数を減らしてもよい。その結合により得られる加工プリミティブの形状は、複数の元の加工プリミティブの形状の論理和であるといえる。
図6は加工プリミティブの結合の例を示す。この例では、抽出部13は、素材形状400と目標形状410との差分である除去領域420から加工プリミティブを抽出する。上記の通り、加工プリミティブを抽出するための除去領域の分割方法は限定されないが、この例では、抽出部13は凹エッジに基づいて除去領域420を分割することで、平板状の加工プリミティブ421と、Y軸方向に沿って延びる柱状の加工プリミティブ422と、X軸方向に沿って延びる柱状の加工プリミティブ423とを抽出する。この例では、加工プリミティブ422の下面の一部である領域422aと、加工プリミティブ423の下面の一部である領域423aとが重なるので、加工プリミティブ422,423が創成面の少なくとも一部を共有する。したがって、抽出部13は加工プリミティブ422,423を結合することで加工プリミティブ424を生成する。この処理により、加工プリミティブの個数が3から2に減る。加工プリミティブの個数を減らすことで計算時間を短縮することができる。
【0030】
抽出部13は、除去領域から得られた1以上の加工プリミティブを示すデータを単純化部14に出力する。
【0031】
単純化部14は、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブについて、該加工プリミティブの形状を単純化する機能要素である。「単純化」とは、加工プリミティブの形状をより単純な形状に変換する処理である。抽出部13により得られる加工プリミティブの中には複雑な形状を有するものが存在し得る。その複雑な加工プリミティブをそのまま用いて加工フィーチャを定義しようとすると、必要な加工フィーチャの種類の数が膨大になり、製作に必要な加工フィーチャを得るための計算時間が現実的ではない程度まで増大する可能性がある。加工プリミティブを単純化した上で加工フィーチャを定義することで、必要な加工フィーチャの種類の数を抑えて計算時間を短縮することが可能になる。
【0032】
本実施形態では、単純化部14は単純化すべき加工プリミティブの形状を円柱または直方体のいずれかに変換(単純化)するものとする。具体的には
図7の例(a)に示すように、単純化部14は加工プリミティブを、該加工プリミティブを含む最小の円柱または直方体に変換する。この例では、単純化部14は円錐台状の加工プリミティブ261を円柱の加工プリミティブ262に変換し、円錐形を含む加工プリミティブ271も円柱の加工プリミティブ272に変換する。また、単純化部14はジグザグ状の加工プリミティブ281を直方体の加工プリミティブ282に変換し、角錐台状の加工プリミティブ291も直方体の加工プリミティブ292に変換する。
【0033】
さらに、単純化部14は単純化する前の加工プリミティブ(これを「原加工プリミティブ」ともいう)の創成面に関する情報(創成面情報)を単純化された加工プリミティブに引き継がせる処理を実行する。創成面情報は、創成面の数と、対向し合う創成面のペアの数とを含む。単純化された加工プリミティブに創成面情報を引き継がせることで、単純化された加工プリミティブに基づく加工フィーチャの認識が可能になる。具体的には、単純化部14は、単純化された加工プリミティブの各面の法線のうち原加工プリミティブの創成面の法線と方向が一致するものを特定する。ただし、それぞれの法線は加工プリミティブの外側に向かって延びるものとする。続いて、単純化部14は特定した法線に対応する面を単純化された加工プリミティブの創成面の候補(候補面)として抽出する。続いて、単純化部14はその候補面のそれぞれについて、該候補面に対応する原加工プリミティブの創成面(候補面と法線方向が一致する創成面)の面積に対する、該候補面の面積の比を求める。そして、単純化部14は、その比が所定の閾値以上である場合にのみ、その候補面が創成面であると判定する。この一連の処理により、単純化部14は単純化された加工プリミティブの創成面情報を生成する。単純化部14は単純化された加工プリミティブのそれぞれについてこの処理を実行する。また、単純化部14はそれぞれの加工プリミティブについて、原加工プリミティブと単純化された加工プリミティブとを対応付ける。
【0034】
図7の例(b)は加工プリミティブの単純化と創成面情報の引継ぎとを示す。この例では、単純化された加工プリミティブ310と原加工プリミティブ300との間で、法線311aおよび法線301aの方向が一致し、法線312aおよび法線304aの方向が一致し、法線313aおよび法線303aの方向が一致し、法線314aおよび法線302aの方向が一致する。したがって、単純化部14は法線311a,312a,313a,314aを特定し、これらの法線に対応する候補面311~314を抽出する。続いて、単純化部14は創成面301に対する候補面311の比と、創成面303に対する候補面313の比とが閾値以上であると判定して、これら二つの候補面311,313を創成面と判定する。
【0035】
処理が必要な加工プリミティブのすべてについて単純化と創成面情報の引継ぎとを実行すると、単純化部14は除去領域の加工プリミティブを示すデータを認識部15に出力する。このデータの少なくとも一部は単純化された加工プリミティブを示すものである。
【0036】
認識部15は、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する機能要素である。
【0037】
まず、認識部15は単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブの加工順序を設定する。加工順序を設定する手法は限定されない。例えば、認識部15は創成面情報と加工プリミティブの体積とのうち少なくとも一つを用いて加工順序を設定してもよい。あるいは、認識部15は目標形状の高さ(Z座標)を重視して、Z座標が大きい加工プリミティブから順に加工順序を割り当ててもよい。複数の加工プリミティブの間で座標が同じ場合には、認識部15は体積が大きい加工プリミティブから先に加工順序を割り当ててもよい。Z座標を重視する手法と同様に、認識部15は目標形状の長さ(X座標)または幅(Y座標)を重視して加工順序を設定してもよい。あるいは、認識部15は創成面の数が少ない加工プリミティブから順に加工順序を割り当て、その数が同じ加工プリミティブが複数存在する場合には、創成面の総面積の大きい加工プリミティブから順に加工順序を割り当ててもよい。あるいは、認識部15は工具の交換回数が最も少なくなるように加工順序を割り当ててもよい。あるいは、認識部15は、素材形状を加工する工具の姿勢を維持するように加工順序を割り当ててもよい。
【0038】
続いて、認識部15は各加工プリミティブの形状および創成面情報に基づいて、各加工プリミティブの加工フィーチャを認識する。加工フィーチャの認識とは、加工フィーチャを特定または決定することをいう。機械加工支援システム10はこの認識のために、既定の加工フィーチャを示すデータを用いる。加工フィーチャを示すデータの記憶場所は限定されず、例えば機械加工支援システム10はそのデータを記憶するデータベースを備えてもよいし、他のコンピュータシステムに属するデータベースから読み出してもよい。
【0039】
図8は予め用意される加工フィーチャのリストの一例を示す。このリストは円柱の加工プリミティブに関する加工フィーチャ(A)~(D)および(a)と、直方体の加工プリミティブ(E)~(L)および(b)とから成る。円柱の加工プリミティブの加工フィーチャは、(A)~(D)の単独と、(A)~(D)のいずれか一つと(a)との組合せとの中から一つ選択される。直方体の加工プリミティブの加工フィーチャは、(E)~(L)の単独と、(E)~(L)のいずれか一つと(a)との組合せとの中から一つ選択される。
図8において、加工フィーチャ(A)~(D)の下に表示されている数値“G-C”は、創成面の数(G)および円筒形の創成面の数(C)を示す。加工フィーチャ(E)~(L)の下に表示されている数値“G-O”は、創成面の数(G)および対向し合う創成面のペアの数(O)を示す。例えば、円柱の加工フィーチャ(C)(Blind hole)では、底面および側面(円筒面)が創成面なのでG=2であり、円筒面が創成面なのでC=1であり、したがって“G-C”は“2-1”である。直方体の加工フィーチャ(E)(Through pocket)では、4側面が創成面なのでG=4であり、これら対向し合う創成面のペアが2個あるのでO=2であり、したがって“G-O”は“4-2”である。
【0040】
ある一つの加工プリミティブについて、認識部15は少なくとも該加工プリミティブの形状と、創成面である穴が存在するか否かを示す情報と、穴以外の創成面の数とに基づいて加工フィーチャを特定する。加工プリミティブが円柱であれば、認識部15はさらに側面(円筒面)が創成面であるか否かの情報にも基づいて加工フィーチャを特定する。加工プリミティブが直方体であれば、認識部15はさらに創成面のペアの数にも基づいて加工フィーチャを特定する。認識部15はすべての加工プリミティブについてこの処理を行うことで、それぞれの加工プリミティブがどの加工フィーチャに対応するかを認識する。例えば、ある加工プリミティブが円柱であり、創成面の個数が2であり、側面が創成面でなく、かつ創成面である穴が存在する場合には、その加工プリミティブの加工フィーチャは“Split face C”と“Boss C”との組合せである。別の例で、ある加工プリミティブが直方体であり、創成面の個数が4であり、創成面のペアの個数が2であり、且つ創成面である穴が存在しない場合には、その加工プリミティブの加工フィーチャは“Through pocket”である。
【0041】
認識部15は、それぞれの単純化された加工プリミティブの加工順序および加工フィーチャを示すデータと、原加工プリミティブと単純化された加工プリミティブとの対応関係(リンク)を示すデータとを決定部16に出力する。
【0042】
決定部16は、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する機能要素である。決定部16は、単純化された加工プリミティブと原加工プリミティブとのリンクに従って、単純化された加工プリミティブに対して設定された加工順序および加工フィーチャを、原加工プリミティブに関連付ける。この処理は、加工フィーチャの認識のために単純化していた加工プリミティブを復元することを意味する。加工プリミティブの復元とは、加工順序および加工フィーチャに関する情報を維持しつつ、単純化された加工プリミティブの形状を元の形状に戻すことをいう。単純化された加工プリミティブが復元されるということは、加工プリミティブの集合である除去領域が復元されることを意味する。したがって、単純化された加工プリミティブに対して設定された加工順序および加工フィーチャを原加工プリミティブに関連付けるということは、除去領域の形状を元に戻すことも意味する。
【0043】
続いて、決定部16は近似部12から入力された特殊な加工プリミティブを特別な加工フィーチャとして認識し、さらに、加工順序の最後にその特殊な加工プリミティブおよび特殊な加工フィーチャを追加する。
【0044】
決定部16はこのように各加工プリミティブの加工順序および加工フィーチャを設定することで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する。すなわち、決定部16は、認識された1以上の加工フィーチャと原加工プリミティブとを関連付けることでその加工工程を決定する。決定部16は加工工程に追加の要素を含めてもよく、例えば工具の種類、工具の動作経路、および工具の動作スピードを示す情報を加工工程に含めてもよい。
【0045】
決定部16は決定した加工工程を示すデータ(加工工程データ)を出力する。加工工程データの出力方法は限定されず、例えば、決定部16は加工工程データをCAMに出力してもよいし、所定の記憶装置に格納してもよい。あるいは、決定部16はCAMで生成されるNCデータをモニタ上に表示することで加工工程を可視化してもよい。
【0046】
[システムの動作]
次に、
図9を参照しながら、機械加工支援システム10の動作を説明するとともに本実施形態に係る機械加工支援方法について説明する。
図9は機械加工支援システム10の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、取得部11が目標形状および素材形状を取得する(ステップS11、取得ステップ)。続いて、近似部12が目標形状の中の特殊部分を近似する(ステップS12)。続いて、抽出部13が目標形状と素材形状との差分を求めることで除去領域を特定し(ステップS13、抽出ステップ)、その除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する(ステップS14、抽出ステップ)。続いて、単純化部14が加工プリミティブを単純化する(ステップS15、単純化ステップ)。続いて、認識部15が単純化された加工プリミティブに基づいて加工順序を設定し(ステップS16)、各加工プリミティブの加工フィーチャを認識する(ステップS17、認識ステップ)。続いて、決定部16が原加工プリミティブに加工順序および加工フィーチャを関連付け(加工プリミティブの復元)(ステップS18、決定ステップ)、その加工工程に特殊な加工フィーチャ(特殊部分の加工フィーチャ)を追加する(ステップS19)。最後に、決定部16はその加工工程を示すデータ(加工工程データ)を出力する(ステップS20)。CAMはこの加工工程データを受け付けてNCデータを生成して工作機械(例えば複合加工機)を制御し、これにより所望の機械部品または機械製品が得られる。
【0048】
[プログラム]
次に、
図10を参照しながら、機械加工支援システム10を実現するための機械加工支援プログラムP1を説明する。
図10は機械加工支援プログラムP1の構成を示す図である。
【0049】
機械加工支援プログラムP1は、メインモジュールP10、取得モジュールP11、近似モジュールP12、抽出モジュールP13、単純化モジュールP14、認識モジュールP15、および決定モジュールP16を備える。メインモジュールP10は、加工工程データの生成を統括的に制御する部分である。取得モジュールP11、近似モジュールP12、抽出モジュールP13、単純化モジュールP14、認識モジュールP15、および決定モジュールP16を実行することにより取得部11、近似部12、抽出部13、単純化部14、認識部15、および決定部16が実現する。
【0050】
機械加工支援プログラムP1は、CD-ROMやDVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、機械加工支援プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0051】
[効果]
以上説明したように、本発明の一側面に係る機械加工支援方法は、少なくとも一つのプロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行される機械加工支援方法であって、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップとを含む。
【0052】
本発明の一側面に係る機械加工支援システムは、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得部と、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出部と、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化部と、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識部と、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定部とを備える。
【0053】
本発明の一側面に係る機械加工支援プログラムは、目標形状を示す目標データと素材形状を示す素材データとを取得する取得ステップと、目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、該除去領域から1以上の加工プリミティブを抽出する抽出ステップと、1以上の加工プリミティブのうち少なくとも一部の加工プリミティブの形状を単純化する単純化ステップと、単純化された加工プリミティブを含む1以上の加工プリミティブのそれぞれについて加工フィーチャを認識する認識ステップと、認識された1以上の加工フィーチャと単純化される前の1以上の加工プリミティブとを関連付けることで、素材形状から目標形状を作製するための加工工程を決定する決定ステップとをコンピュータシステムに実行させる。
【0054】
このような側面においては、目標形状と素材形状との差分である除去領域の加工プリミティブが単純化され、その単純化された加工プリミティブを用いて加工フィーチャが認識されるので、認識すべき加工フィーチャの種類を限られた数に抑えることができる。加工フィーチャの種類が少なくて済むので、その加工フィーチャに基づく加工工程の決定も簡単になり、その決定のための処理時間が短くて済む。したがって、機械加工の準備時間を従来よりも短縮することができる。
【0055】
他の側面に係る機械加工支援方法では、単純化ステップにおいて、少なくとも一部の加工プリミティブの形状を円柱または直方体のいずれかに単純化してもよい。この場合には、単純化後の加工プリミティブのパターンが円柱および直方体の2種類に限定されるので、認識すべき加工フィーチャの種類を大幅に削減することができる。
【0056】
他の側面に係る機械加工支援方法では、目標形状の中の特殊部分を近似する近似ステップをさらに含み、抽出ステップにおいて、近似された目標形状と素材形状との差分を除去領域として求め、決定ステップにおいて、特殊部分についての特殊な加工フィーチャを加工工程に追加してもよい。特殊部分をいったん近似して(無視して)加工工程を決定し、その特殊部分についての特殊な加工フィーチャを最後にその加工工程に追加することで、非常に複雑な目標形状を得るための機械加工の準備時間を短縮することができる。
【0057】
他の側面に係る機械加工支援方法では、抽出ステップにおいて、近似された目標形状と接する面である創成面の少なくとも一部を共有する複数の加工プリミティブが存在する場合に、該複数の加工プリミティブを一つの加工プリミティブに結合してもよい。この結合により加工プリミティブの個数が減るので、計算時間を短縮することができる。
【0058】
[変形例]
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0059】
上記実施形態では機械加工支援システム10が近似部12を備えるが、この近似部は省略可能である。すなわち、機械加工支援システムは目標形状の中の特殊部分を近似する処理を実行しなくてもよい。近似部を省略する場合には、当然ながら、決定部は特殊な加工フィーチャを加工工程に追加する処理を省略する。
【0060】
上記実施形態では単純化部14が加工プリミティブの形状を円柱または直方体に変換(単純化)するが、単純化の手法は限定されない。単純化部は円柱とも直方体とも異なる形状に加工プリミティブを単純化してもよい。
【0061】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される機械加工支援の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0062】
機械加工支援システム内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。
【符号の説明】
【0063】
10…機械加工支援システム、11…取得部、12…近似部、13…抽出部、14…単純化部、15…認識部、16…決定部、P1…機械加工支援プログラム、P10…メインモジュール、P11…取得モジュール、P12…近似モジュール、P13…抽出モジュール、P14…単純化モジュール、P15…認識モジュール、P16…決定モジュール。