(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ADAMTS13の皮下投与
(51)【国際特許分類】
A61K 38/48 20060101AFI20220203BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220203BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220203BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20220203BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220203BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K38/48 ZMD
A61K9/08
A61K9/19
A61P7/02
A61P9/10
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2019025097
(22)【出願日】2019-02-15
(62)【分割の表示】P 2016502232の分割
【原出願日】2014-03-13
【審査請求日】2019-03-15
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シーヴィズ アレクサンドラ ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルリーグル ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】プライマウアー バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ロッテンシュタイナー ハンスペーター
(72)【発明者】
【氏名】ムチチュ エヴァ―マリア
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517421(JP,A)
【文献】特許第6484216(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象においてADAMTS13
に関連する疾患または状態を治療するための、治療有効量のADAMTS13の皮下投与用の薬剤の製造における、単離されたADAMTS13を含む組成物の使用。
【請求項2】
前記ADAMTS13
に関連する疾患または状態が、血液凝固障害、
血液凝固障害によって引き起こされる急性炎症、
または血液凝固障害によって引き起こされる慢性炎症
である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記血液凝固障害が、遺伝性TTP、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、および播種性血管内凝固からなる群より選択される、請求項2
に記載の使用。
【請求項4】
前記血液凝固障害が、遺伝性TTPである、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項5】
前記血液凝固障害が、後天性TTPである、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項6】
前記血液凝固障害が、脳梗塞である、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項7】
前記血液凝固障害が、虚血
/再灌流障害である、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項8】
前記血液凝固障害が、心筋梗塞である、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項9】
前記血液凝固障害が、播種性血管内凝固である、請求項2
または3に記載の使用。
【請求項10】
前記治療有効量が、体重1kg当たり少なくとも20~160活性単位を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記治療有効量が、体重1kg当たり20~
500活性単位である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記治療有効量が、体重1kg当たり20~2000活性単位である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~
3000活性単位である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記治療有効量が、体重1kg当たり
20~
160活性単位である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記薬剤が、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与されるものである、請求項1
に記載の使用。
【請求項16】
前記ADAMTS13が組換え型である、請求項1
に記載の使用。
【請求項17】
前記ADAMTS13が血漿由来である、請求項1~
15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記ADAMTS13がヒトADAMTS13である、請求項1
に記載の使用。
【請求項19】
前記対象がヒトである、請求項1
に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物がすぐに投与できる安定な水溶液である、請求項1
に記載の使用。
【請求項21】
前記組成物が凍結乾燥されている、請求項1
に記載の使用。
【請求項22】
前記組成物が、投与前に、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される、請求項
21に記載の使用。
【請求項23】
それを必要とする対象において
、血液凝固障害によって引き起こされる炎症を軽減し、それによって組織損傷を防止または軽減するための、治療有効量のADAMTS13の皮下投与用の薬剤の製造における、単離されたADAMTS13を含む組成物の使用。
【請求項24】
それを必要とする対象において
、再灌流によって引き起こされる梗塞組織に対する二次的損傷から保護するための、治療有効量のADAMTS13の皮下投与用の薬剤の製造における、単離されたADAMTS13を含む組成物の使用。
【請求項25】
前記梗塞が血液凝固障害によって引き起こされる、請求項
24に記載の使用。
【請求項26】
前記梗塞が鈍器外傷または機械的損傷によって引き起こされる、請求項
24に記載の使用。
【請求項27】
前記血液凝固障害が、遺伝性TTP、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、および播種性血管内凝固からなる群より選択される、請求項
23または
25に記載の使用。
【請求項28】
前記血液凝固障害が、遺伝性TTPである、請求項
27に記載の使用。
【請求項29】
前記血液凝固障害が、後天性TTPである、請求項
27に記載の使用。
【請求項30】
前記血液凝固障害が、脳梗塞である、請求項
27に記載の使用。
【請求項31】
前記血液凝固障害が、虚血
/再灌流障害である、請求項
27に記載の使用。
【請求項32】
前記血液凝固障害が、心筋梗塞である、請求項
27に記載の使用。
【請求項33】
前記血液凝固障害が、播種性血管内凝固である、請求項
27に記載の使用。
【請求項34】
それを必要とする対象において血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に関連する疲労を軽減するための、治療有効量のADAMTS13の皮下投与用の薬剤の製造における、単離されたADAMTS13を含む組成物の使用。
【請求項35】
それを必要とする対象において血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に関連する重度の出血を軽減するための、治療有効量のADAMTS13の皮下投与用の薬剤の製造における、単離されたADAMTS13を含む組成物の使用。
【請求項36】
前記TTPが、遺伝性TTPである、請求項
34または35に記載の使用。
【請求項37】
前記TTPが、後天性TTPである、請求項
34または35に記載の使用。
【請求項38】
前記治療有効量が、体重1kg当たり少なくとも20~160活性単位を含む、請求項
23~
37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記治療有効量が、体重1kg当たり20~4000活性単位である、請求項
23~
37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記治療有効量が、体重1kg当たり20~2000活性単位である、請求項23~
37
【請求項41】
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~4000活性単位である、請求項
23~
37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~2000活性単位である、請求項
23~
37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
前記薬剤が、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与されるものである、請求項
23~
42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
前記ADAMTS13が組換え型である、請求項
23~
43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記ADAMTS13が血漿由来である、請求項
23~
43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記ADAMTS13がヒトADAMTS13である、請求項
23~
45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記対象がヒトである、請求項
23~
46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記組成物がすぐに投与できる安定な水溶液である、請求項
23~
47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記組成物が凍結乾燥されている、請求項
23~
47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記組成物が、投与前に、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される、請求項
49に記載の使用。
【請求項51】
前記治療有効量のADAMTS13が、体重1kg当たりの活性単位で測定した場合、ADAMTS13
に関連する疾患もしくは状態に対する、組織損傷の防止もしくは軽減に対する、梗塞組織に対する二次的損傷からの保護に対する、または
TTPに対する標準的な静脈内用量の量の少なくとも120~300%を含む、請求項1~
50のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/794,659号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照により、全ての目的のために全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ADAMTS(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)タンパク質は、亜鉛依存性触媒ドメイン、システインリッチドメイン、ディスインテグリン様ドメイン、及び少なくとも1つの(大抵の場合は複数の)トロンボスポンジン1型リピートを含む多数の保存されたドメインを含有するメタロプロテイナーゼのファミリーである(概要については、Nicholson et al.,BMC Evol Biol.2005 Feb.4;5(1):11(非特許文献1)を参照のこと)。メタロプロテイナーゼのADAM及びMMPファミリーと進化的に関連するこれらのタンパク質(Jones G C,Curr Pharm Biotechnol.2006 February;7(1):25-31(非特許文献2))は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(Moake J L,Semin Hematol.2004 January;41(1):4-14(非特許文献3))、結合組織障害、癌、炎症(Nicholson et al.)、及び重度の熱帯熱マラリア(Larkin et al.,PLoS Pathog.2009 March;5(3):e1000349(非特許文献4))を含む多くの疾患及び状態と関連付けられている分泌酵素である。これらの関連性のために、ADAMTS酵素は、多くの病態の潜在的な治療標的として認識されてきた(Jones G C,Curr Pharm Biotechnol.2006 February;7(1):25-31(非特許文献2))。
【0003】
ADAMTSファミリーメンバーの1つであるADAMTS13は、残基Tyr1605とMet1606との間でフォン・ヴィレブランド因子(vWF)を切断する。ADAMTS13活性の喪失は、TTP(Moake J L,Semin Hematol.2004 January;41(1):4-14(非特許文献3))、急性及び慢性炎症(Chauhan et al.,J Exp Med.2008 Sep.1;205(9):2065-74(非特許文献5))、ごく最近では重度の熱帯熱マラリア(Larkin et al.,PLoS Pathog.2009 March;5(3):e1000349(非特許文献4))を含む多くの状態と関連付けられている。
【0004】
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、種々の程度の組織虚血及び梗塞を引き起こし得る、血栓性微小血管症、血小板減少症、及び毛細血管血栓症を特徴とする障害である。臨床的に、TTP患者は、血小板減少症、分裂赤血球(赤血球断片)、及び乳酸デヒドロゲナーゼレベルの上昇等の症状によって診断される(Moake J L.Thrombotic microangiopathies.N Engl J Med.2002;347:589-600(非特許文献6); Moake J L.von Willebrand factor,ADAMTS-13,and thrombotic thrombocytopenic purpura.Semin Hematol.2004;41:4-14(非特許文献3); Sadler J E,Moake J L,Miyata T,George J N.Recent advances in thrombotic thrombocytopenic purpura.Hematology(Am Soc Hematol Educ Program).2004:407-423(非特許文献7); Sadler J E.New concepts in von Willebrand disease.Annu Rev Med.2005;56:173-191(非特許文献8))。
【0005】
主要な2種類のTTPが存在する:後天性(非遺伝性/突発性)及び家族性(遺伝性)(Tsai H M,Lian E C.Antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease in acute thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J.Med.1998;339:1585-1594(非特許文献9); Furlan M,Lammle B.Deficiency of von Willebrand factor-cleaving protease in familial and acquired thrombotic thrombocytopenic purpura.Baillieres Clin Haematol.1998;11:509-514(非特許文献10))。ADAMTS13遺伝子の遺伝子変異が家族型TTPを引き起こすのに対し、後天性TTPに罹患している人々は変異を有しない。むしろ、後天性TTPは特異的抗体の産生を特徴とする。
【0006】
1982年に、Moakeらは、慢性再発性TTPに罹患している患者の血漿中に、異常に大きなフォン・ヴィレブランド因子(UL-vWF)の多量体を発見した(Moake J L,Rudy C K,Troll J H,Weinstein M J,Colannino N M,Azocar J,Seder R H,Hong S L,Deykin D.Unusually large plasma factor VIII:von Willebrand factor multimers in chronic relapsing thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J Med.1982;307:1432-1435(非特許文献11))。UL-vWFとTTPとの関連は、TTPに罹患している患者のほとんどが、現在はADAMTS13として知られる、vWFを切断する血漿メタロプロテアーゼが欠損しているという、Furlanら、ならびにTsai及びLianによる独立した知見によって支持された(Furlan M,Robles R,Solenthaler M,Wassmer M,Sandoz P,Laemmle B.Deficient activity of von Willebrand factor-cleaving protease in chronic relapsing thrombotic thrombocytopenic purpura.Blood.1997;89:3097-3103(非特許文献12); Tsai H M,Sussman,I I,Ginsburg D,Lankhof H,Sixma J J,Nagel R L.Proteolytic cleavage of recombinant type 2A von Willebrand factor mutants R834W and R834Q:inhibition by doxycycline and by monoclonal antibody VP-1.Blood.1997;89:1954-1962(非特許文献13); Tsai H M,Lian E C.Antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease in acute thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J Med.1998;339:1585-1594(非特許文献9))。
【0007】
ADAMTS13プロテアーゼは、主に肝臓によって産生される190kDaのグリコシル化タンパク質である(Levy G G,Nichols W C,Lian E C,Foroud T,McClintick J N,McGee B M,Yang A Y,Siemieniak D R,Stark K R,Gruppo R,Sarode R,Shurin S B,Chandrasekaran V,Stabler S P,Sabio H,Bouhassira E E,Upshaw J D,Jr.,Ginsburg D,Tsai H M.Mutations in a member of the ADAMTS gene family cause thrombotic thrombocytopenic purpura.Nature.2001;413:488-494(非特許文献14); Fujikawa K,Suzuki H,McMullen B,Chung D.Purification of human von Willebrand factor-cleaving protease and its identification as a new member of the metalloproteinase family.Blood.2001;98:1662-1666(非特許文献15); Zheng X,Chung D,Takayama T K,Majerus E M,Sadler J E,Fujikawa K.Structure of von Willebrand factor-cleaving protease(ADAMTS13),a metalloprotease involved in thrombotic thrombocytopenic purpura.J Biol Chem.2001;276:41059-41063(非特許文献16); Soejima K,Mimura N,Hirashima M,Maeda H,Hamamoto T,Nakagaki T,Nozaki C.A novel human metalloprotease synthesized in the liver and secreted into the blood:possibly,the von Willebrand factor-cleaving protease;J Biochem(Tokyo).2001;130:475-480(非特許文献17); Gerritsen H E,Robles R,Lammle B,Furlan M.Partial amino acid sequence of purified von Willebrand factor-cleaving protease.Blood.2001;98:1654-1661(非特許文献18))。
【0008】
ADAMTS13遺伝子の変異がTTPを引き起こすことが示されている(Levy G G,Nichols W C,Lian E C,Foroud T,McClintick J N,McGee B M,Yang A Y,Siemieniak D R,Stark K R,Gruppo R,Sarode R,Shurin S B,Chandrasekaran V,Stabler S P,Sabio H,Bouhassira E E,Upshaw J D,Jr.,Ginsburg D,Tsai H M.Mutations in a member of the ADAMTS gene family cause thrombotic thrombocytopenic purpura.Nature.2001;413:488-494(非特許文献14))。ADAMTS-13活性を阻害する自己抗体によってしばしば引き起こされる特発性TTPは、成人及びより年長の小児に生じるより一般的な障害であり、患者の11%~36%に定期的な間隔で再発し得る(Tsai H M,Lian E C.Antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease in acute thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J Med.1998;339:1585-1594(非特許文献9); Furlan M,Lammle B.Deficiency of von Willebrand factor-cleaving protease in familial and acquired thrombotic thrombocytopenic purpura.Baillieres Clin Haematol.1998;11:509-514(非特許文献10))。
【0009】
非中和自己抗体もまた、循環からのクリアランスを誘導することによってADAMTS活性を阻害することがあり得る(Scheiflinger F,Knobl P,Trattner B,Plaimauer B,Mohr G,Dockal M,Dorner F,Rieger M.Nonneutralizing IgM and IgG antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease(ADAMTS-13)in a patient with thrombotic thrombocytopenic purpura.Blood.2003;102:3241-3243(非特許文献19))。健常成人の血漿ADAMTS13活性は、50%~178%の範囲である(Moake J L.Thrombotic thrombocytopenic purpura and the hemolytic uremic syndrome.Arch Pathol Lab Med.2002;126:1430-1433(非特許文献20))。家族性TTPまたは後天性TTPに罹患している患者の大部分において、血漿ADAMTS13活性は、存在しないか、または正常の5%未満である。治療を行わなければ死亡率は90%を超えるが、血漿療法によって死亡率は約20%まで減少している(Moake J L.Thrombotic thrombocytopenic purpura and the hemolytic uremic syndrome.Arch Pathol Lab Med.2002;126:1430-1433(非特許文献20))。
【0010】
巨核球及び内皮細胞内で合成されたvWFは、巨大vWF(UL-vWF)として、血小板顆粒及びバイベル・パラーデ小体内に貯蔵される(Moake J L,Rudy C K,Troll J H,Weinstein M J,Colannino N M,Azocar J,Seder R H,Hong S L,Deykin D.Unusually large plasma factor VIII:von Willebrand factor multimers in chronic relapsing thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J Med.1982;307:1432-1435(非特許文献11); Wagner D D,Olmsted J B,Marder V J.Immunolocalization of von Willebrand protein in Weibel-Palade bodies of human endothelial cells.J Cell Biol.1982;95:355-360(非特許文献21); Wagner D D,Bonfanti R.von Willebrand factor and the endothelium.Mayo Clin Proc.1991;66:621-627(非特許文献22); Sporn L A,Marder V J,Wagner D D.von Willebrand factor released from Weibel-Palade bodies binds more avidly to extracellular matrix than that secreted constitutively.Blood.1987;69:1531-1534(非特許文献23); Tsai H M,Nagel R L,Hatcher V B,Sussman,I I.Endothelial cell-derived high molecular weight von Willebrand factor is converted into the plasma multimer pattern by granulocyte proteases.Biochem Biophys Res Commun.1989;158:980-985(非特許文献24); Tsai H M,Nagel R L,Hatcher V B,Sussman,I I.Multimeric composition of endothelial cell-derived von Willebrand factor.Blood.1989;73:2074-2076(非特許文献25))。一旦、内皮細胞から分泌されると、これらのUL-vWF多量体は、循環中にADAMTS13によってvWF分子内の特定の切断部位で分解され、一連のより小さな多量体になる(Tsai H M,Nagel R L,Hatcher V B,Sussman,I I.Endothelial cell-derived high molecular weight von Willebrand factor is converted into the plasma multimer pattern by granulocyte proteases.Biochem Biophys Res Commun.1989;158:980-985(非特許文献24); Dent J A,Galbusera M,Ruggeri Z M.Heterogeneity of plasma von Willebrand factor multimers resulting from proteolysis of the constituent subunit.J Clin Invest.1991;88:774-782(非特許文献26); Furlan M,Robles R,Affolter D,Meyer D,Baillod P,Lammle B.Triplet structure of von Willebrand factor reflects proteolytic degradation of high molecular weight multimers.Proc Natl Acad Sci USA.1993;90:7503-7507(非特許文献27))。
【0011】
ADAMTS13は、成熟vWFサブユニットの中心にあるA2ドメインのTyr842-Met843結合を切断し、活性のために亜鉛またはカルシウムを必要とする(Dent J A,Berkowitz S D,Ware J,Kasper C K,Ruggeri Z M.Identification of a cleavage site directing the immunochemical detection of molecular abnormalities in type IIA von Willebrand factor.Proc Natl Acad Sci USA.1990;87:6306-6310(非特許文献28))。vWFは、電子顕微鏡で見ると、「毛糸玉」及び繊維状の形態で存在する(Slayter H,Loscalzo J,Bockenstedt P,Handin R I.Native conformation of human von Willebrand protein.Analysis by electron microscopy and quasi-elastic light scattering.J Biol.Chem.1985;260:8559-8563(非特許文献29))。さらに、原子間力顕微鏡法により、vWFは、静的条件下では球状の立体構造で存在し、剪断応力に曝露された後は展開した繊維の状態で存在することが確認されている(Siedlecki C A,Lestini B J,Kottke-Marchant K K,Eppell S J,Wilson D L,Marchant R E.Shear-dependent changes in the three-dimensional structure of human von Willebrand factor.Blood.1996;88:2939-2950(非特許文献30))。これは、vWF繊維の一端が表面に固定された場合にin vivoでも起こり得る。
【0012】
TTP患者の血栓にはフィブリンがほとんどなく、主にvWF及び血小板から構成されていることから、血栓症の一因としてvWF媒介性の血小板凝集が示唆される(Asada Y,Sumiyoshi A,Hayashi T,Suzumiya J,Kaketani K.Immunohistochemistry of vascular lesion in thrombotic thrombocytopenic purpura,with special reference to factor VIII related antigen.Thromb Res.1985;38:469-479(非特許文献31))。再発性TTPに罹患している患者は、血漿中に巨大な多量体を有する。阻害因子(抗ADAMTS 13 Ab)の残留によってADAMTS13活性が低下するため、UL-vWF多量体は経時的に蓄積する。UL-vWF多量体は、高活性であり、剪断応力の結果として展開して血小板凝集を引き起こし、結果的に血管内血栓症をもたらす(Tsai H M.Von Willebrand factor,ADAMTS13,and thrombotic thrombocytopenic purpura.J Mol Med.2002;80:639-647; Tsai H M.Deficiency of ADAMTS-13 in thrombotic and thrombocytopenic purpura.J Thromb Haemost.2003;1:2038-2040;discussion 2040-2035(非特許文献32))。
【0013】
ADAMTS13の欠損に起因する血漿中の過反応性UL-vWF多量体の存在が、冠動脈心疾患と関係する動脈血栓症のリスク増加に関連している可能性があると考えられている。さらに、ADAMTS13は、脳梗塞,心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、及び播種性血管内凝固と関連付けられている。したがって、ADAMTS13及びVWFの機能異常に関連する種々の疾患及び状態の治療に適したADAMTS13タンパク質の医薬製剤の必要性が存在する。
【0014】
しかしながら、ADAMTS13等の非常に大きく不安定な分子を含む医薬製剤は、一般的に静脈内に投与することしかできない。なぜなら、そのような医薬製剤は、皮下、筋肉内、及び皮内に投与されると、吸収が不十分であること及び分解が激しいことに起因して、通常、非常に低いバイオアベイラビリティを示すためである。このように、低いバイオアベイラビリティのために、大きく不安定なタンパク質は、直接血流に有効性を提供するように、通常、静脈内投与される。
【0015】
ADAMTS13は、ADAMTS13及びVWFの機能異常に関連する種々の疾患及び状態を治療するために静脈内投与することができるが、それは患者にとって不便であり、対応しづらい。特に、ADAMTS13製剤は、患者の一生を通じて定期的に投与されることが多い。例えば、家族性(遺伝性)TTPに罹患している患者は、生後1年以内に静脈内ADAMTS13を用いた治療を開始する。したがって、ADAMTS13の薬学的組成物を皮下投与することが有利であろう。しかしながら、皮下投与された大きく不安定なタンパク質製剤の低いバイオアベイラビリティが、そのような皮下製剤の開発の妨げとなってきた。
【0016】
以前の研究で、皮下投与に適した特定の凝固因子VII、VIII、及びIXが報告されている。例えば、PCT/SE95/00348は、高度に精製された、加水分解ゼラチン、ヒアルロン酸、及びダイズ油エマルション等の添加剤を含有する第VIII因子製剤について報告している。精製及び添加剤によって、第VIII因子製剤を高濃度にすることが可能となった。この高濃度製剤は、静脈内投与後のバイオアベイラビリティと比較して、皮下、筋肉内、または皮内投与後に、少なくとも約15%、適切には少なくとも約30%のバイオアベイラビリティをもたらした。しかしながら、静脈内投与と比較すると、皮下投与の15~30%のバイオアベイラビリティは依然として非常に低く、ADAMTS13障害を治療する上で効果的ではない。
【0017】
さらに、以前の研究は、大きく不安定なタンパク質の皮下投与のための一般原則を提供していない。むしろ、以前の研究では、大きく不安定なタンパク質の薬学的皮下組成物は、皮下投与に必要なバイオアベイラビリティが不足しているため、該組成物を調製することは困難であるという証拠を提示している。
【0018】
ADAMTS13及びVWFの機能異常に関連する疾患または状態を治療するためにADAMTS13製剤を皮下投与する方法を本明細書に記載する。具体的には、皮下投与されたADAMTS13製剤の最大約70%という予想外に高いバイオアベイラビリティの証拠を本明細書に提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【文献】Nicholson et al.,BMC Evol Biol.2005 Feb.4;5(1):11
【文献】Jones G C,Curr Pharm Biotechnol.2006 February;7(1):25-31
【文献】Moake J L,Semin Hematol.2004 January;41(1):4-14
【文献】Larkin et al.,PLoS Pathog.2009 March;5(3):e1000349
【文献】Chauhan et al.,J Exp Med.2008 Sep.1;205(9):2065-74
【文献】Moake J L.Thrombotic microangiopathies.N Engl J Med.2002;347:589-600
【文献】Sadler J E,Moake J L,Miyata T,George J N.Recent advances in thrombotic thrombocytopenic purpura.Hematology(Am Soc Hematol Educ Program).2004:407-423
【文献】Sadler J E.New concepts in von Willebrand disease.Annu Rev Med.2005;56:173-191
【文献】Tsai H M,Lian E C.Antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease in acute thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J.Med.1998;339:1585-1594
【文献】Furlan M,Lammle B.Deficiency of von Willebrand factor-cleaving protease in familial and acquired thrombotic thrombocytopenic purpura.Baillieres Clin Haematol.1998;11:509-514
【文献】Moake J L,Rudy C K,Troll J H,Weinstein M J,Colannino N M,Azocar J,Seder R H,Hong S L,Deykin D.Unusually large plasma factor VIII:von Willebrand factor multimers in chronic relapsing thrombotic thrombocytopenic purpura.N Engl J Med.1982;307:1432-1435
【文献】Furlan M,Robles R,Solenthaler M,Wassmer M,Sandoz P,Laemmle B.Deficient activity of von Willebrand factor-cleaving protease in chronic relapsing thrombotic thrombocytopenic purpura.Blood.1997;89:3097-3103
【文献】Tsai H M,Sussman,I I,Ginsburg D,Lankhof H,Sixma J J,Nagel R L.Proteolytic cleavage of recombinant type 2A von Willebrand factor mutants R834W and R834Q:inhibition by doxycycline and by monoclonal antibody VP-1.Blood.1997;89:1954-1962
【文献】Levy G G,Nichols W C,Lian E C,Foroud T,McClintick J N,McGee B M,Yang A Y,Siemieniak D R,Stark K R,Gruppo R,Sarode R,Shurin S B,Chandrasekaran V,Stabler S P,Sabio H,Bouhassira E E,Upshaw J D,Jr.,Ginsburg D,Tsai H M.Mutations in a member of the ADAMTS gene family cause thrombotic thrombocytopenic purpura.Nature.2001;413:488-494
【文献】Fujikawa K,Suzuki H,McMullen B,Chung D.Purification of human von Willebrand factor-cleaving protease and its identification as a new member of the metalloproteinase family.Blood.2001;98:1662-1666
【文献】Zheng X,Chung D,Takayama T K,Majerus E M,Sadler J E,Fujikawa K.Structure of von Willebrand factor-cleaving protease(ADAMTS13),a metalloprotease involved in thrombotic thrombocytopenic purpura.J Biol Chem.2001;276:41059-41063
【文献】Soejima K,Mimura N,Hirashima M,Maeda H,Hamamoto T,Nakagaki T,Nozaki C.A novel human metalloprotease synthesized in the liver and secreted into the blood:possibly,the von Willebrand factor-cleaving protease;J Biochem(Tokyo).2001;130:475-480
【文献】Gerritsen H E,Robles R,Lammle B,Furlan M.Partial amino acid sequence of purified von Willebrand factor-cleaving protease.Blood.2001;98:1654-1661
【文献】Scheiflinger F,Knobl P,Trattner B,Plaimauer B,Mohr G,Dockal M,Dorner F,Rieger M.Nonneutralizing IgM and IgG antibodies to von Willebrand factor-cleaving protease(ADAMTS-13)in a patient with thrombotic thrombocytopenic purpura.Blood.2003;102:3241-3243
【文献】Moake J L.Thrombotic thrombocytopenic purpura and the hemolytic uremic syndrome.Arch Pathol Lab Med.2002;126:1430-1433
【文献】Wagner D D,Olmsted J B,Marder V J.Immunolocalization of von Willebrand protein in Weibel-Palade bodies of human endothelial cells.J Cell Biol.1982;95:355-360
【文献】Wagner D D,Bonfanti R.von Willebrand factor and the endothelium.Mayo Clin Proc.1991;66:621-627
【文献】Sporn L A,Marder V J,Wagner D D.von Willebrand factor released from Weibel-Palade bodies binds more avidly to extracellular matrix than that secreted constitutively.Blood.1987;69:1531-1534
【文献】Tsai H M,Nagel R L,Hatcher V B,Sussman,I I.Endothelial cell-derived high molecular weight von Willebrand factor is converted into the plasma multimer pattern by granulocyte proteases.Biochem Biophys Res Commun.1989;158:980-985
【文献】Tsai H M,Nagel R L,Hatcher V B,Sussman,I I.Multimeric composition of endothelial cell-derived von Willebrand factor.Blood.1989;73:2074-2076
【文献】Dent J A,Galbusera M,Ruggeri Z M.Heterogeneity of plasma von Willebrand factor multimers resulting from proteolysis of the constituent subunit.J Clin Invest.1991;88:774-782
【文献】Furlan M,Robles R,Affolter D,Meyer D,Baillod P,Lammle B.Triplet structure of von Willebrand factor reflects proteolytic degradation of high molecular weight multimers.Proc Natl Acad Sci USA.1993;90:7503-7507
【文献】Dent J A,Berkowitz S D,Ware J,Kasper C K,Ruggeri Z M.Identification of a cleavage site directing the immunochemical detection of molecular abnormalities in type IIA von Willebrand factor.Proc Natl Acad Sci USA.1990;87:6306-6310
【文献】Slayter H,Loscalzo J,Bockenstedt P,Handin R I.Native conformation of human von Willebrand protein.Analysis by electron microscopy and quasi-elastic light scattering.J Biol.Chem.1985;260:8559-8563
【文献】Siedlecki C A,Lestini B J,Kottke-Marchant K K,Eppell S J,Wilson D L,Marchant R E.Shear-dependent changes in the three-dimensional structure of human von Willebrand factor.Blood.1996;88:2939-2950
【文献】Asada Y,Sumiyoshi A,Hayashi T,Suzumiya J,Kaketani K.Immunohistochemistry of vascular lesion in thrombotic thrombocytopenic purpura,with special reference to factor VIII related antigen.Thromb Res.1985;38:469-479
【文献】Tsai H M.Von Willebrand factor,ADAMTS13,and thrombotic thrombocytopenic purpura.J Mol Med.2002;80:639-647; Tsai H M.Deficiency of ADAMTS-13 in thrombotic and thrombocytopenic purpura.J Thromb Haemost.2003;1:2038-2040;discussion 2040-2035
【発明の概要】
【0020】
一態様において、本開示は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、1kg当たり20~4,000活性単位を含む、哺乳動物の血液凝固障害を治療するための方法を提供する。
【0021】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、凝固障害は、遺伝性TTP、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、及び敗血症性播種性血管内凝固からなる群より選択される。
【0022】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して50~80%である、
【0023】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%である。
【0024】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%である。
【0025】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも60%である。
【0026】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも65%である。
【0027】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも70%である。
【0028】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも75%である。
【0029】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも80%である。
【0030】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、出血症状は、遺伝性TTPである。
【0031】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、治療有効量は、1kg当たり少なくとも20~160活性単位を含む。
【0032】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、出血症状は、後天性TTPである。
【0033】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、治療有効量は、1kg当たり少なくとも40~2000活性単位を含む。
【0034】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、出血症状は、脳梗塞及び/または虚血再灌流障害である。
【0035】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、治療有効量は、1kg当たり少なくとも40~4000活性単位を含む。
【0036】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、出血症状は、心筋梗塞及び/または虚血再灌流障害である。
【0037】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、治療有効量は、1kg当たり少なくとも40~2000活性単位を含む。
【0038】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与される。
【0039】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は組換え型である。
【0040】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は血漿に由来する。
【0041】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0042】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は、すぐに投与できる安定な水溶液である。
【0043】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は凍結乾燥されている。
【0044】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される。
【0045】
一態様において、本開示は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量が、1kg当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対する標準的な静脈内用量の量の少なくとも120~300%を含む、哺乳動物の出血症状を治療するための方法を提供する。
【0046】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、特定の適応症は、遺伝性TTPであり、標準的な静脈内用量は、1kg当たり10~80活性単位である。
【0047】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、特定の適応症は、後天性TTPであり、標準的な静脈内用量は、1kg当たり20~1000活性単位である。
【0048】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、特定の適応症は、心筋梗塞及び/または虚血再灌流障害であり、標準的な静脈内用量は、1kg当たり20~2000活性単位である。
【0049】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、特定の適応症は、脳梗塞及び/または虚血再灌流障害であり、標準的な静脈内用量は、1kg当たり20~2000活性単位である。
【0050】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して50~80%である。
【0051】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%である。
【0052】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%である。
【0053】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも60%である。
【0054】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも65%である。
【0055】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも70%である。
【0056】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも75%である。
【0057】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも80%である。
【0058】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与される。
【0059】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は組換え型である。
【0060】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、ADAMTS13は血漿に由来する。
【0061】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0062】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は、すぐに投与できる安定な水溶液である。
【0063】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は凍結乾燥されている。
【0064】
本明細書に提供される方法の一実施形態において、組成物は、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される。
[本発明1001]
単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量が、体重1kg当たり20~4,000活性単位である、哺乳動物の血液凝固障害を治療するための方法。
[本発明1002]
前記血液凝固障害が、遺伝性TTP、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、及び敗血症性播種性血管内凝固からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して50~80%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1005]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1006]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも60%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1007]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも65%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1008]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも70%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1009]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも75%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1010]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも80%である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1011]
前記血液凝固障害が遺伝性TTPである、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記治療有効量が、体重1kg当たり少なくとも20~160活性単位を含む、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
出血症状が、後天性TTPである、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~2,000活性単位である、本発明1013の方法。
[本発明1015]
前記出血症状が、脳梗塞及び/または虚血再灌流障害である、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~4,000活性単位である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記出血症状が、心筋梗塞、及び/または虚血再灌流障害である、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記治療有効量が、体重1kg当たり40~2000活性単位である、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記ADAMTS13が、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与される、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記ADAMTS13が組換え型である、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記ADAMTS13が血漿に由来する、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記ADAMTS13がヒトADAMTS13である、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記哺乳動物がヒトである、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記組成物が、すぐに投与できる安定な水溶液である、本発明1001~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記組成物が凍結乾燥されている、本発明1001~1023のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記組成物が、投与前に、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される、本発明1025の方法。
[本発明1027]
単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量が、体重1kg当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対する標準的な静脈内用量の量の少なくとも120~300%を含む、哺乳動物の出血症状を治療するための方法。
[本発明1028]
前記特定の適応症が遺伝性TTPであり、かつ前記標準的な静脈内用量が体重1kg当たり10~80活性単位である、本発明1027の方法。
[本発明1029]
前記特定の適応症が後天性TTPであり、かつ前記標準的な静脈内用量が体重1kg当たり20~1,000活性単位である、本発明1027の方法。
[本発明1030]
前記特定の適応症が心筋梗塞及び/または虚血再灌流障害であり、かつ前記標準的な静脈内用量が体重1kg当たり20~2000活性単位である、本発明1027の方法。
[本発明1031]
前記特定の適応症が脳梗塞及び/または虚血再灌流障害であり、かつ前記標準的な静脈内用量が体重1kg当たり20~2,000活性単位である、本発明1027の方法。
[本発明1032]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して50~80%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1034]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1035]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも60%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1036]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも65%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1037]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも70%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1038]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも75%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1039]
皮下投与後の前記ADAMTS13のバイオアベイラビリティが、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも80%である、本発明1027~1031のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記ADAMTS13が、単回ボーラス注射で、毎月、2週間毎、毎週、週に2回、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、または2時間毎に投与される、本発明1027~1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記ADAMTS13が組換え型である、本発明1027~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
前記ADAMTS13が血漿に由来する、本発明1027~1040のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記ADAMTS13がヒトADAMTS13である、本発明1027~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記哺乳動物がヒトである、本発明1027~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記組成物が、すぐに投与できる安定な水溶液である、本発明1027~1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記組成物が凍結乾燥されている、本発明1027~1044のいずれかの方法。
[本発明1047]
前記組成物が、投与前に、注射に適した薬学的に許容されるビヒクルで再構成される、本発明1046の方法。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、ADAMTS13活性の平均血漿濃度を示す。ADAMTS13活性の場合、皮下投与後のT
maxの中央値は24時間であった。
【
図2】
図2は、ADAMTS13活性の平均血漿濃度を示す。ADAMTS13抗原の場合、皮下投与後のT
maxの中央値は28時間であった。
【
図3】
図3は、個々の動物の観察濃度(丸)及び予測濃度(実線)を示す。静脈内投与後の濃度は2コンパートメントモデルを用いてフィッティングを行い、皮下投与後の濃度は、一次吸収及び一次消失を用いた1コンパートメントモデルを用いてフィッティングを行った。推測される一定の内因性ADAMTS13活性をモデル化するために、さらなる共変数を含めることによって両方のモデルに修正を加えた。
【
図4】
図4は、個々の動物についての、境界値に対して調整された観察濃度と、対応する予測濃度とを示す。静脈内投与後の濃度は2コンパートメントモデルを使用して予測し、皮下投与後の濃度は、一次吸収及び一次消失を用いた1コンパートメントモデルを使用して予測した。
【発明を実施するための形態】
【0066】
発明の詳細な説明
I.序論
ADAMTS13(A13)は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)多量体を切断し、血小板凝集におけるそれらの活性を下方制御する血漿メタロプロテアーゼである。ADAMTS13は、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、及び敗血症性DIC等の播種性血管内凝固(DIC)等の凝固障害と関連している。
【0067】
これらの凝固障害の現在の治療は、ADMTS13製剤の静脈内投与を含む。ADAMTS13は大きなタンパク質であり、大きなタンパク質は、一般的に、皮下投与に適した高いバイオアベイラビリティを有する製剤中で不安定であるため、治療は、現在のところ静脈内投与に限定されている。成熟ADAMTS13は、約145kDaの計算分子量を有するのに対して、精製された血漿由来ADAMTS13は、約180kDaの見かけの分子量を有する:おそらくこれは、10個の潜在的N-グリコシル化部位、ならびにTSP1リピート内のいくつかのO-グリコシル化部位及び1つのC-マンノシル化部位に存在するコンセンサス配列と一致する翻訳後修飾に起因している。
【0068】
ADAMTS13等の大きく不安定なタンパク質及び分子は、皮下投与された場合に製剤のバイオアベイラビリティが低いことから、一般的に静脈内投与に限定される。例えば、以前の研究によって、第VIII因子製剤は、皮下、筋肉内、または皮内に投与されると、吸収が不十分であること及び分解が激しいことに起因して、通常、非常に低いバイオアベイラビリティを示すため、170~300kDaのタンパク質である第VIII因子は典型的には静脈内投与されることが報告されている。PCT/SE95/00348を参照されたい。
【0069】
例えば、分解を防止し、吸収を増加させるために使用される添加剤としてのクエン酸ナトリウムを用いて及び用いずに筋肉内に注射された第VIII因子濃縮物は、正常な血漿レベルのわずか1.4%の最大循環レベルしかもたらさなかったことが報告されている(Pool et al,New England J.Medicine,vol.275,no.10,p.547-548,1966)。研究はさらに、そのようなクエン酸が製剤に添加されるかどうかにかかわらず、循環中に回復される活性には顕著な差が認められなかったことを明らかにした。後の研究で、高純度の第VIII因子が血友病のイヌ及びヒトボランティアに筋肉内投与された(Johnson et al,Br.J.Hematology,vol.21,p.21-41,1971)。用量はPoolらによって使用されたものよりはるかに多かったが、イヌまたはヒトボランティアのいずれも血漿第VIII因子レベルの著しい上昇を示さなかった。実際に、血友病ヒトボランティアの血漿第VIII因子濃度は、正常な血漿レベルの1%未満に留まった:すなわち、バイオアベイラビリティを増加させる添加剤を用いない投与の後でも、重度の血友病Aが優勢であった。
【0070】
第VIII因子及びADAMTS13等の大きく不安定なタンパク質のように分解及び凝集しない第IX因子等の小さなタンパク質の皮下送達は、ある程度成功している。例えば、添加剤を用いない第IX因子の皮下投与が、Berettini et al.,"Subcutaneous factor IX administration to patients with hemophilia B,"Am.J.Hematology,47(1):61-62,1994から知られている。しかしながら、わずか56kDaの第IX因子であっても、不十分かつ非常に緩徐な循環への輸送を示した。
【0071】
上述のように、第VIII因子及び第IX因子等のタンパク質の低いバイオアベイラビリティのために、大きく不安定なタンパク質の皮下送達の方法は一般的に探究されない。むしろ、そのようなタンパク質は、製剤が血流中で直接利用可能となるように、通常、静脈内投与される。しかしながら、皮下投与は低侵襲性の投与様式であるため、薬物を皮下投与することができれば有利であろう。また皮下投与は、短期及び長期の治療に用いることができる、最も用途の広い投与様式でもある。皮下投与は、注射によって、または皮膚表面下への徐放性もしくは持続放出デバイスの移植によって行うことができる。複数の注射またはデバイスが必要とされる場合、注射またはデバイスの部位は順番に変更することができる。
【0072】
したがって、特に、一生の間定期的に製剤を投与しなければならない場合があるため、皮下製剤は患者にとってはるかに対応しやすい(例えば、早ければ小児の生後1年目に開始される)。さらに、皮下送達の簡便性及び速度によって、患者コンプライアンスを高め、必要な時により迅速に薬物にアクセスすることが可能となる。したがって、ADAMTS13の皮下製剤には利点及び必要性が存在する。
【0073】
本発明は、精製ADAMTSタンパク質の液体製剤及び凍結乾燥製剤を成功裡に皮下投与する方法の予期せぬ発見に基づいている。
【0074】
II.定義
本明細書で使用される場合、「ADAMTS13」または「A13」は、Tyr1605とMet1606との間でフォン・ヴィレブランド因子(vWF)を切断するADAMTS(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)ファミリーのメタロプロテアーゼを指す。本発明の文脈において、「ADAMTS13タンパク質」は、あらゆるADAMTS13タンパク質、例えば、霊長類、ヒト(NP620594)、サル、ウサギ、ブタ、ウシ(XP610784)等の哺乳類、げっ歯類、マウス(NP001001322)、ラット(XP342396)、ハムスター、スナネズミ、イヌ、ネコ、カエル(NP001083331)、ニワトリ(XP415435)由来のADAMTS13、及びその生物学的に活性な誘導体を包含する。本明細書で使用される場合、「ADAMTS13タンパク質」は、組換え型及び血漿由来のADAMTS13タンパク質を指す。活性を有する変異及び変種ADAMTS13タンパク質も包含され、ADAMTS13タンパク質の機能的断片及び融合タンパク質も包含される。さらに、本発明のADAMTS13タンパク質は、精製、検出、またはその両方を促進するタグをさらに含んでもよい。本明細書に記載のADAMTS13タンパク質は、治療的部分またはin vitroもしくはin vivoでの画像診断に適した部分でさらに修飾されてもよい。
【0075】
ヒトADAMTS13タンパク質は、限定されないが、GenBank登録番号NP 620594のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそのプロセシングされたポリペプチド、例えば、シグナルペプチド(アミノ酸1~29)及び/またはプロペプチド(アミノ酸30~74)が除去されたポリペプチドを含む。ヒトADAMTS13の多くの天然変異体が当該技術分野で既知であり、本発明の製剤によって包含される:それらのうちのいくつかは、R7W、V88M、H96D、R102C、R193W、T196I、H234Q、A250V、R268P、W390C、R398H、Q448E、Q456H、P457L、P475S、C508Y、R528G、P618A、R625H、I673F、R692C、A732V、E740K、A900V、S903L、C908Y、C951G、G982R、C1024G、A1033T、R1095W、R1095W、R1123C、C1213Y、T12261、G1239V、及びR1336Wより選択される変異を含む。さらに、ADAMTS13タンパク質は、天然のタンパク質及び変異させた組換えタンパク質(例えば、非必須アミノ酸における1つ以上の保存的変異による)を含む。好ましくは、ADAMTS13の酵素活性に不可欠なアミノ酸は変異されない。これらは、例えば、残基83、173、224、228、234、281、及び284等の金属結合に不可欠であることが分かっているかまたは推定される残基、ならびに酵素の活性部位に見られる残基、例えば、残基225を含む。同様に、本発明の文脈において、ADAMTS13タンパク質は、選択的アイソフォーム、例えば、全長ヒトタンパク質のアミノ酸275~305及び/または1135~1190を欠損するアイソフォームを含む。
【0076】
同様に、ADAMTS13タンパク質は、例えば、翻訳後修飾(例えば、ヒト残基142、146、552、579、614、667、707、828、1235、1354より選択される1つ以上のアミノ酸のグリコシル化、または任意の他の天然のもしくは遺伝子操作された修飾部位)によって、または限定されないが、グリコシル化、水溶性ポリマーによる修飾(例えば、ペグ化、シアル酸付加、HESylation等)、タグ付け等を含むex vivoの化学修飾もしくは酵素修飾によって、さらに修飾されてもよい。
【0077】
本明細書で使用される場合、「血液凝固障害」は、血小板動員異常及び好中球動員異常を含む障害として定義される。「血液凝固障害」の非限定的な例として、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、脳梗塞、心筋梗塞、虚血/再灌流障害、深部静脈血栓症、及び敗血症性DIC等の播種性血管内凝固(DIC)が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「1単位のADAMTS13活性」は、使用されるアッセイにかかわらず、1mlのプールされた正常ヒト血漿中の活性の量として定義される。例えば、1単位のADAMTS13のFRETS-VWF73活性は、プールされた正常ヒト血漿1mlによって切断されるのと同じ量のFRETS-VWF73基質(Kokame et al.,Br J Haematol.2005April;129(1):93-100)を切断するのに必要な活性の量である。さらなる活性アッセイも、1単位のADAMTS13の活性を決定するために使用することができる。例えば、SDSアガロースゲル電気泳動を使用して、全長VWF分子またはVWF断片のいずれかの切断を検出するための直接的なADAMTS13を行ってもよく、また、コラーゲン結合アッセイを用いてADAMTS13活性の間接検出を検出してもよい。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ADAMTS13」及び「生物学的に活性な誘導体」という用語は、それぞれ、組換えDNA技術によって得られるポリペプチドも含む。代替として、ADAMTS13はまた、プールされたヒト血液から精製された血漿由来ADAMTS13も指すことができる。組換えADAMTS13(「rADAMTS13」)、例えば、組換えヒトADAMTS13(「r-hu-ADAMTS13」)は、当該技術分野で既知のいずれの方法によって生成されてもよい。1つの特定の例が、参照により、組換えADAMTS13を生成する方法に関して本明細書に組み込まれる第WO02/42441号に開示されている。これは、(i)遺伝子工学によって、例えば、RNAの逆転写及び/またはDNAの増幅を介して組換えDNAを生成し、(ii)トランスフェクションによって、すなわち、電気穿孔またはマイクロインジェクションを介して、原核または真核細胞内に組換えDNAを導入し、(iii)上記形質転換細胞を、例えば、連続法またはバッチ法で培養し、(iv)例えば、構成的にまたは導入時にADAMTS13を発現させ、(v)例えば、培養培地から、または形質転換細胞を採取することによって、上記ADAMTS13を単離して(vi)例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーまたはアフィニティクロマトグラフィーを介して、実質的に精製された組換えADAMTS13を得るための、当該技術分野で既知のいずれの方法を含んでもよい。また「生物学的に活性な誘導体」という用語は、生物学的/薬理学的特性、例えば、哺乳動物、特にヒトの循環系におけるADAMTS13の半減期等を向上させるために、例えば、Igと組み合わせたADAMTS13(またはその生物学的に活性な誘導体)等のキメラ分子も含む。またIgは、任意選択的に変異したFc受容体に結合する部位も有することができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「血栓」という用語は、血塊、特に、血小板を含む血塊、微小血栓、及び/または塞栓を指す。上記血栓は、動脈または静脈血管に付着する場合またはしない場合があり、動脈または静脈血管における血流を部分的にまたは完全に妨げ得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、「治療有効量もしくは用量」または「十分な量もしくは用量」は、それが投与される効果をもたらす用量を指す。正確な用量は、治療の目的に依存し、既知の技術を用いて当業者によって確認されるであろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992); Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999); Pickar,Dosage Calculations(1999); 及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照のこと)。
【0082】
本明細書で使用される場合、塩の「生理的濃度」は、薬学的に許容される塩の約100mM~約200mMの塩濃度を指す。薬学的に許容される塩の非限定的な例として、限定されないが、塩化ナトリウム及び塩化カリウム、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される場合、塩の「生理的濃度未満」は、薬学的に許容される塩の約100mM未満の塩濃度を指す。好ましい実施形態において、生理的濃度未満の塩は、約80mM未満の薬学的塩である。別の好ましい実施形態において、生理的濃度未満の塩は、約60mM未満の薬学的塩である。
【0084】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値から+または-10%の近似範囲を表す。例えば、「約20%」という語句は、18~22%の範囲を包含する。本明細書で使用される場合、約は、正確な量も含む。よって、「約20%」は、「約20%」を意味し、また「20%」も意味する。
【0085】
III.ADAMTS13組成物及び製剤
一態様において、本発明は、米国特許出願第2011/0229455号に記載されているような血漿由来ADAMTS13及び組換えADAMTS13(rADAMTS13)タンパク質の安定な製剤を提供する。他の実施形態において、本明細書に提供される製剤は、長期間保管された場合に著しいADAMTS13活性を保持する。さらに他の実施形態において、本発明の製剤は、ADAMTS13タンパク質の二量体化、オリゴマー化、及び/または凝集を減少または遅延させる。
【0086】
一実施形態において、本発明は、治療有効量または用量のADAMTS13タンパク質、生理的濃度未満~生理的濃度の薬学的に許容される塩、安定化濃度の1つ以上の糖及び/または糖アルコール、非イオン性界面活性剤、製剤に中性のpHを提供する緩衝剤、ならびに任意選択的にカルシウム及び/または亜鉛の塩を含む、ADAMTS13の製剤を提供する。一般的に、本明細書に提供される安定なADAMTS13製剤は薬学的投与に適している。好ましい実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、米国特許出願第2011/0229455号に記載されているようなヒトADAMTS13またはその生物学的に活性な誘導体もしくは断片である。
【0087】
ある実施形態において、ADAMTS13製剤は液体製剤である。他の実施形態において、ADAMTS13製剤は、米国特許出願第2011/0229455号に記載されているような液体製剤から凍結乾燥した凍結乾燥製剤である。本明細書に提供される製剤のある実施形態において、ADAMTS13タンパク質は、米国特許出願第2011/0229455号に記載されているようなヒトADAMTS13もしくは組換えヒトADAMTS13、またはその生物学的に活性な誘導体もしくは断片である。
【0088】
ある実施形態において、ADAMTS13は、約0.05mg/mL~約10mg/mLの治療有効用量で提供される。他の実施形態において、ADAMTS13は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの濃度で存在する。さらに他の実施形態において、ADAMTS13は、約0.1mg/mL~約5mg/mLの濃度で存在する。別の実施形態において、ADAMTS13は、約0.1mg/mL~約2mg/mLの濃度で存在する。さらに他の実施形態において、ADAMTS13は、約0.01mg/mL、または約0.02mg/mL、0.03mg/mL、0.04mg/mL、0.05mg/mL、0.06mg/mL、0.07mg/mL、0.08mg/mL、0.09mg/mL、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1.0mg/mL、1.1mg/mL、1.2mg/mL、1.3mg/mL、1.4mg/mL、1.5mg/mL、1.6mg/mL、1.7mg/mL、1.8mg/mL、1.9mg/mL、2.0mg/mL、2.5mg/mL、3.0mg/mL、3.5mg/mL、4.0mg/mL、4.5mg/mL、5.0mg/mL、5.5mg/mL、6.0mg/mL、6.5mg/mL、7.0mg/mL、7.5mg/mL、8.0mg/mL、8.5mg/mL、9.0mg/mL、9.5mg/mL、10.0mg/mL、またはより高い濃度で存在し得る。一実施形態において、比較的純粋なADAMTS13製剤の濃度は、分光測定法(すなわち、A280で測定される総タンパク質)または他の容積決定法(例えば、Bradfordアッセイ、銀染色、凍結乾燥粉末の重量等)によって決定されてもよい。他の実施形態において、ADAMTS13の濃度は、ADAMTS13のELISAアッセイ(例えば、mg/mL抗原)によって決定されてもよい。
【0089】
さらに他の実施形態において、本明細書によって提供される製剤中のADAMTS13の濃度は、酵素活性のレベルとして表されてもよい。例えば、一実施形態において、ADAMTS13製剤は、約10単位のFRETS-VWF73活性及び約10,000単位のFRETS-VWF73活性、または他の好適なADAMTS13酵素単位(IU)を含有してもよい。他の実施形態において、製剤は、約20単位のFRETS-VWF73(UFV73)活性及び約8,000単位のFRETS-VWF73活性、または約30UFV73~約6,000UFV73、または約40UFV73~約4,000UFV73、または約50UFV73~約3,000UFV73、または約75UFV73~約2,500UFV73、または約100UFV73~約2,000UFV73、または約200UFV73~約1,500UFV73、またはそれらの中の他のおよその範囲を含有してもよい。好ましい実施形態において、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約20~約10,000UFV73を含有する。ある実施形態において、製剤は、約10単位のFRETS-VWF73活性、または約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000、またはそれ以上の単位のFRETS-VWF73活性を含有する。
【0090】
同様に、ある実施形態において、ADAMTS13の濃度は、単位体積当たりの酵素活性、例えば、1mL当たりのADAMTS13酵素単位(IU/mL)として表されてもよい。例えば、一実施形態において、ADAMTS13製剤は、約10IU/mL~約10,000IU/mLを含有してもよい。他の実施形態において、製剤は約20IU/mL~約10,000IU/mL、または約20IU/mL~約8,000IU/mL、または約30IU/mL~約6,000IU/mL、または約40IU/mL~約4,000IU/mL、または約50IU/mL~約3,000IU/mL、または約75IU/mL~約2,500IU/mL、または約100IU/mL~約2,000IU/mL、または約200IU/mL~約1,500IU/mL、またはそれらの間の他のおよその範囲を含有してもよい。好ましい実施形態において、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約150IU/mL~約600IU/mLを含有する。別の好ましい実施形態において、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約100IU/mL~約1,000IU/mLを含有する。ある実施形態において、製剤は、約10IU/mL、または約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000、またはそれ以上のIU/mLを含有する。
【0091】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、米国特許出願第20110229455号に記載されているような1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、及び/または希釈剤をさらに含んでもよい。さらに、一実施形態において、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、米国特許出願第2011/0229455号に記載されているような範囲の浸透圧を有する。
【0092】
さらなる実施形態において、本発明は、米国特許出願第2011/0229455号のセクションIII(「ADAMTS13 Compositions and Formulations」)に記載されている例示的製剤を含むADAMTS13の製剤を提供する。
【0093】
ある実施形態において、ADAMTS13製剤が生成され、添加剤を含む。米国特許出願第2011/0229455号のセクションIV及びVに記載されているようなADAMTS13生成の方法及びその組成物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
IV.治療方法
本明細書に記載の製剤は、治療的または予防的処置のために皮下投与することができる。一般的に、治療用途の場合、製剤は、ADAMTS13もしくはVWFの機能異常に関連する疾患もしくは状態に罹患しているか、またはさもなければそれを必要とする対象に、「治療有効用量」で投与される。製剤及びそれらの使用に有効な量は、疾患または状態の重症度、及び患者の一般的健康状態に依存する。製剤の単回または複数回投与が、必要とされる投与量及び頻度に依存して投与されてもよく、患者によって忍容され得る。
【0095】
本発明の目的のための「患者」または「対象」は、ヒト、及び他の動物、特に哺乳動物の両方を含む。したがって、組成物、製剤、及び方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。具体的な実施形態において、患者は、哺乳動物であり、一実施形態において、ヒトである。ADAMTS13またはVWFの機能異常に関連する状態の他の既知の治療薬及び治療法が、本発明によって提供される製剤及び方法と組み合わせて使用されてもよい。
【0096】
ある実施形態において、ADAMTS13皮下製剤は皮下注射によって投与される。特定の実施形態において、皮下ADAMTS13製剤は、反復または連続注射のために患者の同じ部位に皮下注射される(例えば、上腕、大腿前面、下腹部、または腰に投与される)。他の実施形態において、皮下ADAMTS13製剤は、患者の異なる部位または順番に変更される部位に皮下注射される。ある実施形態において、ADAMTS13皮下製剤は、皮下移植されたデバイスによって投与される。ある実施形態において、移植されたデバイスは、ADAMTS13製剤の持続放出を提供する。ある実施形態において、移植されたデバイスは、ADAMTS13製剤の連続放出を提供する。
【0097】
ある実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、ADAMTS13及びvWFの機能異常の治療及び予防のために使用される。ある実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、血栓性疾患及び状態の治療及び予防のために使用される。ある実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、梗塞の治療及び予防のために使用される。
【0098】
一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~4000UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~2000UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~1000UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~500UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~200UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、20UFV73/kg体重~100UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、40UFV73/kg体重~200UFV73/kg体重の用量で投与される。一実施形態において、ADAMTS13は、40UFV73/kg体重~100UFV73/kg体重の用量で投与される。他の実施形態において、ADAMTS13は、約20UFV73/kg体重、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000UFV73/kg体重、またはそれらの中間の濃度もしくは濃度範囲で投与される。
【0099】
一般的に、哺乳動物に投与されるADAMTS13の用量は、いくつかの要因の中でも特に、治療される疾患または状態、哺乳動物の種、哺乳動物の年齢、哺乳動物の一般的健康状態に依存する。当業者は、異なる哺乳動物の間で、投与量、例えば、マウス用量とヒト用量を容易に変換することができる。動物用量からヒト用量への外挿を行う手段の1つとして体表面積の使用が挙げられるが、これは、例えば、様々な動物における血液量、循環血漿、及び腎機能等のいくつかの代謝パラメータと深く相関していることが分かっている。したがって、哺乳動物の平均体重を平均体表面積と相関させる換算係数(例えば、Km)を使用して、哺乳動物の体重(例えば、kg)当たりのタンパク質の単位(例えば、質量または活性)として表される第1の種類の哺乳動物(例えば、マウス)に使用される薬物の投与量(例えば、ADAMTS13の投与量)を第2の種類の哺乳動物(例えば、ヒト)における対応する用量と関連付けることができる。概要については、Reagan-Shaw et al.,FASEB,22:659-62(2007)を参照のこと。例えば、これは、最初に、第1の種類の哺乳動物に投与される薬物の投与量をその動物について決定された換算係数で乗じ、次いで、その積を第2の種類の動物について決定された換算係数で除すことによって実行することができる。健常な成人ボランティアにおける治療薬に関する初回臨床試験の安全な最大開始用量を推定するために、U.S.Department of Health and Human Servicesのガイドラインから採用したそのような換算係数の例を下の表1に示す。
【0100】
(表1)体表面積に基づく動物用量から等価のヒト用量への換算
a60kgのヒトを仮定。列挙されていない種または標準的な範囲外の重量について。HEDは以下の式から計算することができる。
HED=mg/kgでの動物用量×(kgの動物重量/kgのヒト重量)
0.33
b健常な小児が第1相試験でボランティアになることは稀であるため、このk
m値は参考のみとして提供される。
c例えば、カニクイザル、アカゲザル、及び短尾サル。
【0101】
ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%~少なくとも80%である。ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも60%~少なくとも80%である。ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも50%~70%である。ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%~65%である。ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して少なくとも55%~70%である。
【0102】
ある実施形態において、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同じ用量に対して正規化された静脈内投与と比較して、少なくとも40%、または少なくとも45%、または少なくとも50%、または少なくとも51%、または少なくとも52%、または少なくとも53%、または少なくとも54%、または少なくとも55%、または少なくとも56%、または少なくとも57%、または少なくとも58%、または少なくとも59%、または少なくとも60%、または少なくとも61%、または少なくとも62%、または少なくとも63%、または少なくとも64%、または少なくとも65%、または少なくとも66%、または少なくとも67%、または少なくとも68%、または少なくとも69%、または少なくとも70%、または少なくとも71%、または少なくとも72%、または少なくとも73%、または少なくとも74%、または少なくとも75%、または少なくとも76%、または少なくとも77%、または少なくとも78%、または少なくとも79%、または少なくとも80%、または少なくとも81%、または少なくとも82%、または少なくとも83%、または少なくとも84%、または少なくとも85%である。
【0103】
ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、単回ボーラス注射として皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、毎月皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、2週間毎に皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、毎週皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、週に2回皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13は、毎日皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、12時間毎に皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、8時間毎に皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、6時間毎に皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、4時間毎に皮下投与される。ある実施形態において、ADAMTS13製剤は、2時間毎に皮下投与される。
【0104】
一実施形態において、ADAMTS13製剤は、表2の変形例1~1133より選択される用量及び頻度の組み合わせで皮下投与される。一般的に、哺乳動物に投与されるADAMTS13の用量及び頻度は、いくつかの要因の中でも特に、治療される疾患または状態、哺乳動物の種、哺乳動物の年齢、哺乳動物の一般的健康状態に依存する。
【0105】
(表2)ADAMTS13投与量及び皮下投与頻度の有用な組み合わせ
【0106】
ある実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約120~300%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約120%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約130%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約140%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約150%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約160%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約170%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約180%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約190%が皮下投与される。
【0107】
特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約200%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約210%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約220%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約230%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約240%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約250%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約260%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約270%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約280%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約290%が皮下投与される。特定の実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約300%が皮下投与される。
【0108】
ある実施形態において、1キログラム当たりの活性単位で測定した場合、特定の適応症に対するADAMTS13製剤の標準的な静脈内用量の量の約120%、約122%、約125%、約127%、約130%、約132%、約135%、約137%、約140%、約142%、約145%、約147%、約150%、約152%、約155%、約157%、約160%、約162%、約165%、約167%、約170%、約172%、約175%、約177%、約180%、約182%、約185%、約187%、約190%、約192%、約195%、約97%、約200%、約202%、約205%、約207%、約210%、約212%、約215%、約217%、約220%、約222%、約225%、約227%、約230%、約232%、約235%、約237%、約240%、約242%、約245%、約247%、約250%、約252%、約255%、約257%、約260%、約262%、約265%、約267%、約270%、約272%、約275%、約277%、約280%、約282%、約285%、約287%、約290%、約292%、約295%、約297%、または約300%が皮下投与される。
【0109】
一実施形態において、ADAMTS13製剤は、凝固障害(例えば、梗塞)によって引き起こされる炎症を軽減し、それによって組織損傷(例えば、脳損傷に対する損傷)を防止もしくは軽減するため、及び/または白血球浸潤及び損傷を防止することによって再灌流障害を軽減するために皮下投与される。一実施形態において、ADAMTS13製剤は、再灌流によって引き起こされる梗塞組織(例えば、脳組織及び心筋組織)に対する二次的損傷から保護するために皮下投与される。
【0110】
遺伝性TTP
一実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、遺伝性TTPの治療及び予防のために使用される。遺伝性TTPは、ADAMTS13遺伝子の遺伝子変異に起因する。遺伝性TTPは、神経症状(例えば、精神状態、脳卒中、痙攣、半身麻痺、知覚異常、視覚障害、及び失語症)、疲労、ならびに重度の出血を引き起こし得る。治療せずに放置すると、後天性TTPは、致命的であり得、長期にわたる生理学的損傷を引き起こし得る。さらに、遺伝性TTPは遺伝子変異に起因するため、生涯にわたる治療が必要であり、患者コンプライアンスが要求される。ADAMTS13製剤の静脈内送達は遺伝性TTPの治療に効果的であるが、薬物の静脈内送達は患者にとって対応しづらく(特に、遺伝性TTPに罹患している小児)、患者コンプライアンスを低下させる。したがって、ADAMTS13皮下製剤及びADAMTS13の皮下送達方法を開発することが有益である。
【0111】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0112】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0113】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0114】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0115】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0116】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0117】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0118】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において遺伝性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量及び投与頻度は、表2の変形例1~1133より選択される。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0119】
後天性TTP
特定の実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、後天性TTPの治療及び予防のために使用される。後天性TTPにおいて、患者は、ADAMTS13を標的とする自己免疫抗体の発生に起因して低いADAMTS13活性を有する。免疫複合体を形成したADAMTS13は、不活性化され、中和され、かつ/または血流及び患者の血漿から除去される。ADAMTS13活性の低下は、自発的に血小板に付着し、微小循環で血小板-VWFに富んだ血栓を生じる可能性のある、巨大な非切断型VWF多量体の蓄積をもたらす。遺伝性TTPと同様に、後天性TTPも、神経症状(例えば、精神状態、脳卒中、痙攣、半身麻痺、知覚異常、視覚障害、及び失語症)、疲労、ならびに重度の出血を引き起こし得る。治療せずに放置すると、後天性TTPは、致命的であり得、長期にわたる生理学的損傷を引き起こし得る。したがって、恒久的損傷及び最終的な致死を回避するためにADAMTS13投与の患者コンプライアンスが必要である。よって、上記のように患者にとっての簡便性及びコンプライアンスを高めるために、ADAMTS13皮下製剤及びADAMTS13の皮下送達方法を開発することが有益である。
【0120】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0121】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0122】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0123】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0124】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0125】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0126】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0127】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において後天性TTPを治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量及び投与頻度は、表2の変形例1~1133より選択される。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0128】
心筋梗塞及び再灌流障害
特定の実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、心筋梗塞の治療及び予防のために使用される。特定の実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、虚血/再灌流障害の治療及び予防のために使用される。再灌流は、血液供給の減少に起因する虚血組織への血液供給の再開である。再灌流は、生存可能な虚血組織が回復できるようにし、ひいてはさらなる壊死を制限することによって、梗塞(例えば、心筋梗塞及び脳梗塞)または他の虚血を治療するための手順である。しかしながら、再灌流自体が虚血組織にさらなる損傷を与えて再灌流障害を引き起こす場合がある。例えば、急性心筋梗塞(AMI)は、冠動脈の血栓性閉塞によって引き起こされる。血流が欠乏している間に起こる直接的な損傷に加えて、虚血/再灌流障害は、再灌流から血流が回復した後に起こる組織障害にも関与する。
【0129】
さらに、ADAMTS13は、虚血性再灌流の間の二次的損傷を防止または軽減する抗炎症作用を有すると報告されている。De Meyer et al.("Protective anti-inflammatory effect of ADAMTS13 on myocardial ischemia/reperfusion injury in mice,"Blood,2012,120(26):5217-5223)。De Meyerらによって記載されるように、ADAMTS13は、ほとんどの血栓形成性VWF多量体を、より小さな、止血活性のより低いVWF断片に切断するため、VWF及びADAMTS13は血小板の付着及び血栓形成に関与している。また、De Meyerらは、炎症反応を下方制御する際のADAMTSの役割についても記載している。また、ADAMTS13が血栓症及び炎症(例えば、粥状動脈硬化)を軽減することができることも示されている。Chauhan et al.("ADAMTS13:a new link between thrombosis and inflammation,"J Exp Med.,2008,205:2065-2074); Chauhan et al.("Systemic antithrombotic effects of ADAMTS13,"J Exp Med.,2006,203:767-776; Gandhi et al.("ADAMTS13reduces vascular inflammation and the development of early atherosclerosis in mice,"Blood,2012,119(10):2385-2391。
【0130】
De Meyerらは、ADAMTS13が、VWFを切断することによって、虚血心筋におけるVWF媒介性の過剰な血小板動員及び白血球動員を防止すると提案している。この仮説に基づいて、De Meyerらは、心筋梗塞を誘発した動物の心筋における好中球浸潤が、ADAMTS13で動物を処理した場合に9分の1になったことを示している。このように、De Meyerらは、ADAMTS13が虚血心筋における炎症反応を軽減することを示している。この炎症の軽減は、白血球浸潤及び損傷を防止することによって再灌流障害も軽減する。このように、皮下投与は、医療専門家によって一般的に投与される静脈内組成物よりも容易かつ迅速であるため、梗塞(例えば、心筋梗塞及び脳梗塞)ならびに再灌流の間に組織損傷を引き起こす炎症を回避するためにADAMTS13製剤を患者に皮下投与することが有益である。
【0131】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、心筋梗塞の発見直後に、例えば、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、90分、110分、120分、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間もしくはそれ以上の時間内、またはそれらの任意の組み合わせの時間内に、梗塞及び/または再灌流障害の治療のために投与される。したがって、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。
【0132】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0133】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0134】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0135】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0136】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0137】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0138】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において心筋梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における心筋梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0139】
脳梗塞
一実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、脳梗塞の治療及び/または予防に使用される。脳梗塞は、一般的には脳卒中と称され、脳の一部への血流が妨げられた場合に起こる。脳梗塞は、例えば、脳に血液を供給する血管が血塊によって塞がれると起こり得る。また脳梗塞は、鈍器外傷及び機械的損傷の結果としても生じる場合がある。これは、脳の動脈内の血塊(血栓性脳卒中)、または体の別の部分から脳まで移動する血塊(塞栓性脳卒中)のいずれかによって引き起こされ得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、個体に治療有効量のADAMTS13タンパク質誘導体を含む薬学的組成物を投与し、それによって脳梗塞後の個体における感覚機能及び/または運動機能の回復を向上させる(または該機能への損傷を軽減する)ステップを含む、脳梗塞後の患者における感覚機能及び/または運動機能の回復を向上させる(または該機能への損傷を軽減する)方法を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、脳梗塞の発見直後に、例えば、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、90分、110分、120分、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間もしくはそれ以上の時間内、またはそれらの任意の組み合わせの時間内に、投与される。したがって、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。
【0141】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0142】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0143】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0144】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0145】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0146】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0147】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において脳梗塞を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における脳梗塞の発見から24時間以内に投与される。
【0148】
深部静脈血栓症
一実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、深部静脈血栓症(DVT)の治療及び/または予防のために使用される。DVTは、体の深部にある静脈内に形成する血塊である。大半の深部静脈の血塊は下肢または大腿に起こるが、それらは体全体に起こり得る。血塊が破壊して、例えば、心臓、肺、または脳まで血流を通って移動する(塞栓)可能性があるため、DVTは特に危険な疾患である。そのような塞栓症は、臓器に損傷を与える可能性があり、死に至る場合もある。したがって、上述のように、ADAMTS13製剤を使用してDVT及びその結果生じる塞栓症を治療することができる。さらに、DVTは、急速に発症して損傷を与え得るため、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。したがって、ADAMTS13皮下製剤及びADAMTS13の皮下送達方法を開発することが有益である。
【0149】
いくつかの実施形態において、ADAMTS13薬学的組成物は、深部静脈血栓症の発見直後に、例えば、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、90分、110分、120分、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間もしくはそれ以上の時間内、またはそれらの任意の組み合わせの時間内に投与される。したがって、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。
【0150】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0151】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0152】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0153】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0154】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0155】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0156】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において深部静脈血栓症を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含みADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における深部静脈血栓症の発見から24時間以内に投与される。
【0157】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0158】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0159】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0160】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0161】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0162】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0163】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1ヶ月に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約1週間に2回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約48時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約24時間毎に1回投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、約12時間毎に1回投与される。
【0164】
一実施形態において、本開示は、深部静脈血栓症を発症するリスクのある哺乳動物の予防的治療のための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量及び投与頻度は、表2の変形例1~1133より選択される。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0165】
播種性血管内凝固
特定の実施形態において、本明細書に記載のADAMTS13製剤は、播種性血管内凝固(DIC)、具体的には敗血症性DICの治療及び予防のために使用される。DICは、体中の微小血管に血塊を形成する状態である。これらの血塊は、体中の血流を減少させるかまたは妨げ得、組織及び臓器に損傷を与える結果となり得る。微小血管内の血塊は、凝固活性の増加から生じる。この活性の増加は、利用可能な血小板及び凝固因子を過剰に使用し、その結果、血小板及び凝固因子の利用可能な源を枯渇させることによって、内部及び外部の重度の出血の可能性も高める。したがって、DICに罹患している患者は、血塊及び重度の出血性障害に苦しむ。
【0166】
敗血症、手術/外傷、癌、出産/妊娠の合併症、毒蛇咬傷(ガラガラヘビ及びマムシ)、凍傷、及び火傷等の特定の疾患は、凝固因子の過剰活性化を引き起こし得、DICをもたらし得る。またDICは、急性(数時間もしくは数日にわたって急速に発症する)または慢性(数週間もしくは数ヶ月にわたって発症する)であり得る。どちらも種類のDICも医学的処置を必要とするが、急性DICは、急速に重度の出血を引き起こす微小血管内の過剰な血液凝固を防止するために迅速に処置されなければならない。したがって、DIC、特に、敗血症性DIC等の急性DICを治療するための、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。したがって、ADAMTS13皮下製剤及びADAMTS13の皮下送達方法を開発することが有益である。
【0167】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、播種性血管内凝固の発見直後に、例えば、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、90分、110分、120分、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間もしくはそれ以上の時間内、またはそれらの任意の組み合わせの時間内に投与される。したがって、迅速かつ容易に投与することができる薬学的組成物を有することが重要である。
【0168】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~4000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~4000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0169】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~2000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~2000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0170】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~1000単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~1000UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0171】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~500単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~500UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0172】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0173】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり20~100単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、20UFV73~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、20~100UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0174】
一実施形態において、本開示は、それを必要とする哺乳動物において播種性血管内凝固を治療するための方法を提供し、該方法は、単離されたADAMTS13を含む治療有効量の組成物を哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ADAMTS13の治療有効量は、哺乳動物の体重1キログラム当たり40~200単位のFRETS-VWF73活性(UFV73/kg)である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、40UFV73~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から10分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から30分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から60分以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から4時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から12時間以内に投与される。一実施形態において、40~200UFV73/kgのADAMTS13は、哺乳動物における播種性血管内凝固の発見から24時間以内に投与される。
【0175】
V.ADAMTS13キット
別の態様において、ADAMTS13またはVWFの機能異常に関連する疾患または状態の治療のためのキットが提供される。一実施形態において、キットは、rADAMTS13の製剤を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるキットは、本明細書に提供されるような液体製剤または凍結乾燥製剤の1回以上の用量を含んでもよい。キットが凍結乾燥rADAMTS13製剤を含む場合、一般的に、キットは、液体製剤の再構成に適した液体、例えば、滅菌水または薬学的に許容される緩衝液も含む。いくつかの実施形態において、キットは、医療専門家による皮下投与のためまたは家庭で使用するために、予め注射器内に充填されたADAMTS13製剤を含む。
【0176】
一実施形態において、約10単位のFRETS-VWF73活性~約10,000単位のFRETS-VWF73活性を含むキットが提供される。他の実施形態において、キットは、例えば、約20単位のFRETS-VWF73(UFV73)活性~約8,000単位のFRETS-VWF73活性、または約30UFV73~約6,000UFV73、または約40UFV73~約4,000UFV73、または約50UFV73~約3,000UFV73、または約75UFV73~約2,500UFV73、または約100UFV73~約2,000UFV73、または約200UFV73~約1,500UFV73、またはそれらの中のおよその他の範囲の活性を提供し得る。ある実施形態において、キットは、約10単位のFRETS-VWF73活性、または約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、またはそれ以上の単位のFRETS-VWF73活性を提供し得る。
【0177】
ある実施形態において、キットは、ADAMTS13の単回投与または単回用量向けである。他の実施形態において、キットは、皮下投与のために複数回用量のADAMTS13を含んでもよい。一実施形態において、キットは、医療専門家による皮下投与のためまたは家庭で使用するために、予め注射器内に充填されたADAMTS13製剤を含んでもよい。
【実施例】
【0178】
VI.実施例
実施例1:静脈内及び皮下投与によるrADAMTS13の薬物動態特性
本試験は、静脈内(i.v.)または皮下(s.c.)投与後のゲッチンゲンミニブタにおける組換えADAMTS13の薬物動態特性を評価するために行われた。この試験では、4匹のオスのゲッチンゲンミニブタにADMTS13をi.v.投与し(「静脈内群」)、4匹のオスのゲッチンゲンミニブタにADMTS13をs.c.投与した(「皮下群」)。
【0179】
試験開始前に、オスのゲッチンゲンミニブタを試験手順に協力するよう訓練した。そのため、動物は、麻酔薬または試験物品の投与中及び採血中に保定されなかった。
【0180】
カテーテル挿入のために、1.11mg/kgチレタミン、1.11mg/kgゾラゼパム、0.56mg/kgキシラジン、0.56mg/kgケタミン、及び0.11mg/kgブトルファノール(im)からなるZoletil混合物を使用して動物に麻酔を施した。必要であれば、麻酔維持のためにイソフルランを使用した。手術中、マスクまたは気管内チューブを通して動物に純酸素を与えた。頸静脈領域を剃毛して消毒した。セルジンガー法を使用して中心カテーテルを前大静脈に挿入した。麻酔から回復する前に、4mg/kgカプロフェンを鎮痛のために投与した。
【0181】
静脈内群には、公称用量200FRETS-U/kgのrADAMTS13(i.v.)(0.085mL/kg)を投与した。皮下群には、公称用量1000FRETS-U/kgのrADAMTS13(s.c.)(0.456mL/kg)を投与した。試験物品の投与前、ならびに試験物品の投与後5分、1時間、3時間、6時間、9時間、24時間、32時間、48時間、56時間、及び72時間に、中心静脈カテーテルを介して血液試料を採取した。血液試料は次の通りに調製した:カテーテルロック液(生理食塩水)による希釈を回避するために、最初の0.5~0.7mLを廃棄した。次いで0.8mLの血液を採取し、0.2mLのクエン酸ナトリウムと混合した。血液試料を5700rpmで遠心分離した(1×10分、1×5分)。血漿を<-60℃で保管した。
【0182】
FRETSアッセイ及びELISAによる抗原によってADAMTS13活性を決定した。さらに、ヒトrADAMTS13に対する結合抗体の潜在的な発生、及びrADAMTS13が内因性VWFの多量体パターンに与える影響を評価した。
【0183】
予想された通り、i.v.投与後のT
max(C
maxまでの時間)の中央値は5分であり、即時的なバイオアベイラビリティが示唆された。s.c.投与後のT
maxの中央値は、ADAMTS13活性で24時間、ADAMTS13抗原で28時間であった。ADAMTS13活性の平均血漿濃度を
図1に要約し、ADAMTS13抗原の平均濃度を
図2に要約する。
【0184】
i.v.投与後の用量調節AUC0-tlast[時間*U/mL/U/kg及び時間*μg/mL/μg/kg]は、活性では0.306であり、抗原では0.373であった。AUC0-tlastは、0時点から最終試料採取時間(tlast)までの台形法を用いて計算した。(Hauschke et al.2007)。s.c.投与後の用量調節AUC0-tlastは、活性で0.198、抗原で0.243であった。したがって、s.c.及びi.v.投与後の用量調節AUC0-tlastの比率は、活性で0.646、抗原で0.651であった。IVR[%]は、i.v.投与後に55.8(活性)及び79.3(抗原)であり、s.c.投与後に13.8(活性)及び17.3(抗原)であった。
【0185】
観察期間中、rADAMTS13の血漿レベルが十分に低下しなかったため、終末及び初期半減期の推定は慎重に検討されなければならない。したがって、依存性パラメータ(MRT、Vss、Cls、AUC0-inf)も信頼できない可能性がある。これらのパラメータを評価するための追跡調査が行われる。rADAMTS13に対する結合抗体の評価は、全ての動物由来の全試料について陰性であった。
【0186】
ミニブタのVWF多量体パターンの評価結果は、組換えADAMTS13による内因性VWFの非常に限定された切断を示唆するものであった(表3)。低いVWF-merに近いサテライトバンドは、s.c.投与を受けた動物において経時的に強度が若干増加したが、i.v.投与を受けた動物では増加は見られなかった。どちらの群においてもVWF多量体パターンの高さは変化しなかった。
【0187】
(表3)低解像度及び高解像度アガロースゲルからの組換えADAMTS13の多量体分析
【0188】
実施例2:静脈内及び皮下投与によるrADAMTS13の薬物動態特性
本試験は、静脈内(i.v.)または皮下(s.c.)投与後のゲッチンゲンミニブタにおける組換えADAMTS13の薬物動態特性を評価するために行われた。この試験では、4匹のオスのゲッチンゲンミニブタにADMTS13をi.v.投与し(「静脈内群」)、4匹のオスのゲッチンゲンミニブタにADMTS13をs.c.投与した(「皮下群」)。
【0189】
オスのゲッチンゲンミニブタを試験手順に馴化させ、実施例1に記載されているようにカテーテル挿入のために麻酔を施した。
【0190】
この試験は、群当たり3匹及び5匹のオスのゲッチンゲンミニブタを使用した試験であった。両方の群に、公称用量200FRETS-U/kgのrADAMTS13を投与した。3匹の動物にはi.v.投与を行い、他の5匹にはs.c.投与を行った。試験物品の投与前、ならびに試験物品の投与後5分、1時間、2時間、6時間、5時間、23時間、30時間、47時間、54時間、71時間、78時間、95時間、及び102時間に、中心静脈カテーテルを介して血液試料を採取した。
【0191】
血液試料は次の通りに調製した:カテーテルロック液(生理食塩水)による希釈を回避するために、最初の0.5~0.7mLを廃棄した。次いで0.8mLの血液を採取し、0.2mLのクエン酸ナトリウムと混合した。血液試料を5700rpmで遠心分離した(1×10分、1×5分)。血漿を<-60℃で保管した。
【0192】
FRETSアッセイ及びELISAによる抗原によってADAMTS13活性を決定した。
【0193】
予想された通り、i.v.投与後のT
max(C
maxまでの時間)の中央値は5分であり、即時的なバイオアベイラビリティが示唆された。s.c.投与後のT
maxの中央値は、30時間であった。ADAMTS13活性の平均血漿濃度を
図3に要約し、ADAMTS13抗原の平均濃度を
図4に要約する。
【0194】
i.v.投与後のAUC0-tlast[U/mL/*時間及びμg/mL*時間]は、活性では68.25であり、抗原では39.81であった。s.c.投与後のAUC0-tlastは、活性では47.16であり、抗原では26.23であった。IVR[%]は、i.v.投与後に61.0(活性)及び45.6(抗原)であり、s.c.投与後に13.0(活性)及び9.6(抗原)であった。
【0195】
i.v.投与後の終末半減期[時間]は、活性で46.96、抗原で48.83であった。s.c.投与後の終末半減期は、活性で56.76、抗原で41.25であった。MRT[時間]は、i.v.投与後に64.08(活性)及び66.26(抗原)であり、s.c.投与後に104.2(活性)及び77.52(抗原)であった。
【0196】
要約すると、i.v.投与に対するs.c.投与のバイオアベイラビリティは、ADAMTS13抗原及びADAMTS13活性のそれぞれについて、65.9%及び69.1%であった。