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特許6998447芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置
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  • 特許-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 6/10 20060101AFI20220111BHJP
   C08F 212/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C08F6/10
C08F212/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020502104
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 KR2019009587
(87)【国際公開番号】W WO2020130264
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164399
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0072784
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、チョン-ア
(72)【発明者】
【氏名】シン、テヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ソンクン
(72)【発明者】
【氏名】チュ、ウン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウォン-キュン
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-080404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと、
分離された揮発性成分を、1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップとを含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法であって、
前記揮発槽で分離されて凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒のみ-10℃~40℃の温度でスプレーするステップ、または
前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いるとき、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒のみ又は芳香族ビニル単量体のみ-10℃~40℃の温度でスプレーするステップを含む、
芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項2】
前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に前記有機溶媒をスプレーするステップと、
前記第1凝縮器で凝縮されずに前記第2凝縮器に移送中の前記揮発性成分に前記有機溶媒又は前記芳香族ビニル単量体をスプレーするステップとを含む、
請求項1に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項3】
前記分離された揮発性成分は、ビニルシアン化合物5~35重量%、芳香族ビニル化合物45~80重量%、及び有機溶媒5~50重量%を含む、
請求項1または2に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項4】
前記揮発槽で分離されて前記第1凝縮器に移送中の前記揮発性成分に前記有機溶媒をスプレーするステップにおいて、前記有機溶媒を流量10~200Kg/hrでスプレーする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項5】
前記第1凝縮器で凝縮されずに前記第2凝縮器に移送中の揮発性成分に前記有機溶媒又は前記芳香族ビニル単量体をスプレーするステップにおいて、前記有機溶媒又は前記芳香族ビニル単量体を流量10~220Kg/hrの範囲内でスプレーする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項6】
前記第1凝縮器において、凝縮は、冷媒温度20℃~35℃及び運転圧力3~100torr下で行われる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項7】
前記第2凝縮器において、凝縮は、冷媒温度-3℃~4℃及び運転圧力5~50torr下で行われる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項8】
前記揮発槽で揮発性成分を分離するステップは、温度220~260℃及び圧力35torr以下の条件下で行われる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項9】
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器で凝縮された凝縮物は、回収及び精製されて反応器に再投入される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法。
【請求項10】
芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離する揮発槽と、
前記分離された揮発性成分を凝縮させる1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器とを含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置であって、
前記分離された揮発性成分を前記凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒のみをスプレーするスプレー手段を含むか、または
前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を含むとき、第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒のみ又は芳香族ビニル単量体のみをスプレーするスプレー手段を含む、
芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置。
【請求項11】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置は、前記分離された揮発性成分を前記第1凝縮器に移送する前記移送配管に前記有機溶媒のみをスプレーするスプレー配管を含み、
前記第1凝縮器で凝縮されなかった前記揮発性成分を前記第2凝縮器に移送する前記移送配管に前記有機溶媒のみ又は前記芳香族ビニル単量体のみをスプレーするスプレー配管を含む、
請求項10に記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年12月18日付の韓国特許出願第10-2018-0164399号及び該特許を優先権として2019年06月19日付で再出願された韓国特許出願第10-2019-0072784号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置に関し、より詳細には、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと;分離された揮発性成分を、1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップと;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法であって、前記揮発槽で分離されて凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いるとき、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップ;を含んで残留単量体及び有機溶媒を低減する芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は、成形性、剛性及び電気的特性に優れるので、コンピュータ、プリンタ、複写機などのOA機器、テレビ、オーディオなどの家電製品、電気電子部品、雑貨などを含む様々な産業分野で広範囲に使用されている。特に、耐熱度を高めて外部の高い温度でもよく耐える芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は、家電製品のハウジング用、自動車内装材などの特別な用途に使用されている。
【0004】
芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を有機溶媒下で重合反応させて得られ、このとき、反応後に生成される重合生成物には、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体以外に残留単量体及び有機溶媒が残っているので、これを除去する工程が必須である。
【0005】
反応器から反応後に排出された重合生成物を揮発槽に移送して、残留単量体及び有機溶媒のような揮発性成分と、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体とを分離し、分離された揮発性成分は凝縮器を用いて凝縮させ、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は精製ステップを経た後、最終製品となる。
【0006】
凝縮器は、一般に総2~3個で構成され、凝縮器内の圧力が高いほど、冷媒の温度が低いほど、凝縮される量が増加するが、設備の限界で冷媒の供給温度に限界があるので、凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分が排出されるようになる。また、沸点の低いビニルシアン単量体が多いほど、凝縮効率が低下する。
【0007】
凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分は、廃水処理システムで処理後に排出するか、または大気中に排出するが、これによる多大な費用がかかり、排出された揮発性成分は環境汚染問題を引き起こす。
【0008】
したがって、凝縮器での凝縮効率を増加させることで、大気に排出させるかまたは廃水処理システムに流入する揮発性成分を減少させる芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法の開発が必要であるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0073028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本記載は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと;分離された揮発性成分を、1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップと;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法において、前記揮発槽で分離されて凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いるとき、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップ;を含んで残留単量体及び有機溶媒を低減する芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
本記載の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本記載によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本記載は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと;分離された揮発性成分を、1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップと;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法であって、前記揮発槽で分離されて凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いるとき、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップ;を含むことを特徴とする芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法を提供する。
【0013】
また、本記載は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離する揮発槽と;前記分離された揮発性成分を凝縮させる1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器と;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置であって、前記分離された揮発性成分を凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒をスプレーするスプレー配管を含むか、または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を含むとき、第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするスプレー配管を含むことを特徴とする芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本記載によれば、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造時に、設備を交換することなく、第1凝縮器に移送中の揮発性成分、または第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーして、揮発性成分内に沸点が低いビニルシアン単量体の含量を低下させ、凝縮効率を向上させることによって、凝縮されなかった揮発性成分を処理するための廃水処理費用が低減され、人体に有害な揮発性成分が大気中に排出される量が著しく減少する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本記載に係る、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離及び凝縮するステップを概略的に示した図である。
図2】従来技術に係る、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離及び凝縮するステップを概略的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法を詳細に説明する。
【0017】
本発明者らは、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体を製造する過程において、重合生成物から分離された揮発性成分が凝縮ステップで十分に凝縮されずに排出されることによって発生する廃水処理費用及び環境汚染問題を解決するために鋭意努力した結果、凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は単量体を投入することによって、凝縮効率が上昇し、凝縮されずに排出される揮発性成分が減少する効果を確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して、本発明を完成するようになった。
【0018】
本記載による芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法を詳細に説明すると、次の通りである。
【0019】
本発明の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと;分離された揮発性成分を、1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップと;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法であって、前記揮発槽で分離されて凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いるとき、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップと;を含むことを特徴とし、この場合に、凝縮効率が高くなり、排出される揮発性成分が著しく減少するという効果がある。
【0020】
本記載において、第1凝縮器と第2凝縮器は、直列に接続された2つ以上の凝縮器のうちの任意の2つの凝縮器の間で前段階の凝縮器と後段階の凝縮器を意味する。
【0021】
一例として、本記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽を用いて揮発性成分を分離するステップと;分離された揮発性成分を、直列に接続された2つ以上の凝縮器を用いて凝縮するステップと;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法において、前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;または第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップ;を含むことを特徴とし、この場合に、凝縮効率が高くなり、排出される揮発性成分が著しく減少するという効果がある。
【0022】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法は、一例として、前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップと;第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップと;を含むことができ、この場合に、凝縮効率が高くなり、排出される揮発性成分が著しく減少するという効果がある。
【0023】
一例として、前記揮発性成分を分離するステップの前に、芳香族ビニル化合物とビニルシアン化合物を重合反応させるステップが含まれてもよい。
【0024】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は、一例として、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を有機溶媒下で反応させて製造することができる。
【0025】
前記重合反応は、一例として、開始剤、分子量調節剤及び乳化剤からなる群から選択された1種以上を含んで反応させることができる。
【0026】
前記反応は、一例として、塊状重合法、溶液重合法、または乳化重合法であってもよく、好ましくは、塊状重合法または溶液重合法であってもよく、この場合に、製造された芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の引張強度、衝撃強度などの機械的物性と、耐熱性、熱安定性に優れるという効果がある。
【0027】
本発明において、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体を収得するために反応させる方法は、特に制限されず、通常用いられる重合方法が用いられてもよい。
【0028】
前記揮発槽で揮発性成分を分離するステップは、一例として、220~260℃及び35torr以下、好ましくは、225~255℃及び15~35torrの条件下で行われてもよく、この範囲内で、揮発性成分と、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体との分離が円滑に行われるという効果がある。
【0029】
本記載において、揮発槽は、本発明の属する技術分野で一般に使用される揮発槽であれば、特に制限されず、一般に適用される揮発槽が使用されてもよい。
【0030】
前記分離された揮発性成分は、一例として、ビニルシアン化合物5~35重量%、芳香族ビニル化合物45~80重量%、及び有機溶媒5~50重量%を含むことができる。
【0031】
具体例として、前記分離された揮発性成分は、ビニルシアン化合物5~20重量%、芳香族ビニル化合物45~59重量%、及び有機溶媒25~45重量%を含むか、またはビニルシアン化合物15~35重量%、芳香族ビニル化合物60~80重量%、及び有機溶媒5~25重量%を含むことができる。
【0032】
前記揮発槽を通過した芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体は、一例として、ペレタイザー(pelletizer)に移送されて切断された後、冷却及び乾燥してペレット(pellet)として収得することができる。
【0033】
前記凝縮器は、好ましくは、2つ以上の凝縮器が直列に接続されるか、または2つの凝縮器が直列に接続されてもよく、この場合に、凝縮効率が増加するという効果がある。
【0034】
本記載において、凝縮器は、本発明の属する技術分野で一般に使用される凝縮器であれば、特に制限されず、一般に適用される凝縮器が使用されてもよい。
【0035】
前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップは、一例として、有機溶媒を、流量10~200kg/hr、10~150kg/hr、または15~100kg/hr、好ましくは15~90kg/hr、より好ましくは20~50kg/hrでスプレーすることができ、この場合に、揮発性成分内に沸点の低い残留ビニルシアン単量体の含量比が減少して、凝縮効率が増大するという効果がある。
【0036】
前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップ;及び第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップは、一例として、第1凝縮器に移送中の揮発性成分に、有機溶媒を10~100kg/hr、好ましくは20~90kg/hrでスプレーすることができ、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に、有機溶媒又は芳香族ビニル単量体を10~100kg/hr、好ましくは15~90kg/hrでスプレーすることができ、この場合に、凝縮効率が高くなり、排出される揮発性成分が著しく減少するという効果がある。
【0037】
前記揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒をスプレーするステップは、一例として、有機溶媒を、温度-10℃~40℃、好ましくは0~30℃、より好ましくは15℃~25℃の範囲でスプレーすることができ、この範囲内で、凝縮効率が増大するという効果がある。
【0038】
本発明において、第1凝縮器にスプレーされる有機溶媒の温度は、特に限定されない。
【0039】
前記第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップは、一例として、有機溶媒又は芳香族ビニル単量体を、流量10~200kg/hr、または10~110kg/hr、好ましくは10~90kg/hr、より好ましくは10~40kg/hrでスプレーすることができ、この場合に、揮発性成分内に沸点の低い残留ビニルシアン単量体の含量比が減少して、凝縮効率が増大するという効果がある。
【0040】
本記載において、流量は、流量計で測定するか、または物質収支(mass balance)式で計算することができる。前記物質収支(mass balance)式を用いて、未凝縮の流量は、投入量-生産量-回収量で計算され得る。
【0041】
前記第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするステップは、一例として、有機溶媒又は芳香族ビニル単量体を、温度-10℃~40℃、好ましくは0℃~30℃、より好ましくは15℃~25℃の範囲内でスプレーすることができ、この範囲内で、凝縮効率が増大するという効果がある。
【0042】
本発明において、第2凝縮器にスプレーされる有機溶媒又は芳香族ビニル単量体の温度は、特に限定されない。
【0043】
前記第1凝縮器での凝縮は、一例として、冷媒温度20℃~35℃及び運転圧力3~100torrの条件、好ましくは、冷媒温度25℃~33℃及び運転圧力15~35torrの条件、より好ましくは、冷媒温度25℃~30℃及び運転圧力15~30torrの条件下で行われてもよく、この範囲内で、凝縮効率が増加するという効果がある。
【0044】
本記載において、凝縮器の運転圧力は、凝縮器を運転するときにかかる凝縮器の内圧を意味する。
【0045】
前記第2凝縮器での凝縮は、一例として、冷媒温度-3℃~4℃及び運転圧力5~50torrの条件、好ましくは、冷媒温度-1℃~4℃及び運転圧力7~25torrの条件、より好ましくは、冷媒温度0℃~4℃及び運転圧力10~20torrの条件下で行われてもよく、この範囲内で、凝縮効率が増加するという効果がある。
【0046】
前記第1凝縮器及び第2凝縮器で凝縮された凝縮物は、一例として、回収及び精製されて反応器に再投入されてもよく、この場合に、原料費が低減されるという効果がある。
【0047】
前記第2凝縮器で凝縮されない揮発性成分は、一例として、真空ユニット(vacuum unit)に移送されて水冷式ポンプの循環液に溶解され、廃水処理ステップを経た後、排出され、この過程で一部は大気に放出され得、この場合に、大気に放出される揮発性成分が著しく減少して、環境汚染を防止するという効果がある。
【0048】
前記有機溶媒は、一例として、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、前記重合反応で使用される有機溶媒と前記スプレーされる有機溶媒とが同じものであり、この場合に、揮発性成分内に沸点の高い成分が追加されることによって、沸点の低い成分、すなわち、残留ビニルシアン単量体の含量比が低くなることで、凝縮効率が向上するという効果がある。
【0049】
前記芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-ブロモスチレン、p-クロロスチレン、及びo-ブロモスチレンからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合に、揮発性成分内に沸点の低い残留ビニルシアン単量体の含量比を低下させることで、凝縮効率が向上するという効果がある。
【0050】
本発明の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離する揮発槽と;前記分離された揮発性成分を凝縮させる1つ又は直列に接続された2つ以上の凝縮器と;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置であって、前記分離された揮発性成分を凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒をスプレーするスプレー手段を含むか、または前記直列に接続された2つ以上の凝縮器を含むとき、第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするスプレー手段を含むことを特徴とし、この場合に、凝縮効率が向上して、凝縮後に排出される揮発性成分がほとんど存在しないという効果がある。
【0051】
本記載において、スプレー手段は、移送配管に接続されて移送配管の内部に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体を噴霧できる手段であれば、特に制限されず、一例として、スプレー配管、スプレー容器などであってもよく、スプレーノズルを含むことができる。
【0052】
一例として、本記載の芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物から揮発性成分を分離する揮発槽と;前記分離された揮発性成分を凝縮させる直列に接続された2つ以上の凝縮器と;を含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置であって、前記分離された揮発性成分を第1凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒をスプレーするスプレー配管を含むか、または第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするスプレー配管を含むことを特徴とし、この場合に、凝縮効率が向上して、凝縮後に排出される揮発性成分がほとんど存在しないという効果がある。
【0053】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置は、一例として、前記分離された揮発性成分を第1凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒をスプレーするスプレー配管を含み、第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレーするスプレー配管を含むことができ、この場合に、凝縮効率が向上して、第2凝縮器で凝縮後に排出される揮発性成分がほとんど存在しないという効果がある。
【0054】
前記スプレー配管は、一例として、ノズルを含むことができる。
【0055】
本発明のノズルは、本発明の属する技術分野で一般に使用されるノズルであれば、特に制限されず、一般に適用されるノズルが使用されてもよい。
【0056】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造装置に含まれた揮発槽及び凝縮器などは、上述した内容に従うので、その記載を省略する。
【0057】
本発明に係る芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の製造方法及び製造装置を、下記の図1及び図2を参照して説明する。このような図面は、単に本発明を例示する概略図に過ぎず、描写された実施態様に制限されず、理解し易いように、本発明を説明するために必要な手段のみを描写し、方法及び装置を行うために必要な他の自明な手段は図面から省略した。
【0058】
下記の図1は、本発明に係る実施例1~21に使用された揮発槽(DV)、第1凝縮器(1st CN)、第2凝縮器(2nd CN)、真空ユニット(Vacuum Unit)、移送配管及びスプレー配管を概略的に示した図であって、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体、残留ビニルシアン単量体及び有機溶媒を含む重合生成物を、揮発槽で揮発性成分を分離し、分離された揮発性成分を第1凝縮器に移送する移送配管に、スプレー配管を介して有機溶媒をスプレーするか、または第1凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送する移送配管に、有機溶媒又は芳香族ビニル単量体をスプレー配管を介してスプレーすることを含む製造装置を示したものである。
【0059】
また、第2凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分を、真空ユニットに移送して水冷式ポンプの循環液に溶解させ、廃水処理して排出するか、または大気に排出させる。
【0060】
前記図面に示していないが、第1凝縮器及び第2凝縮器で凝縮された凝縮物は反応器に再投入され得る。
【0061】
また、下記の図2は、比較例1、8及び12に使用された揮発槽(DV)、第1凝縮器(1st CN)、第2凝縮器(2nd CN)及び真空ユニット(Vacuum Unit)を概略的に示した図であって、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体、残留芳香族ビニル単量体及び有機溶媒を含む重合生成物は、揮発槽で揮発性成分が分離されて、第1凝縮器及び第2凝縮器を経て凝縮され、第2凝縮器で凝縮されなかった揮発性成分は、真空ユニットに移送されてポンプを通じて圧縮され、水冷式ポンプの循環液に溶解され、廃水処理されて排出されるか、または大気に排出される。
【0062】
前記図面に示していないが、第1凝縮器及び第2凝縮器で凝縮された凝縮物は反応器に再投入され得る。
【0063】
以下、本記載の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本記載を例示するものに過ぎず、本記載の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0064】
[実施例]
下記の表1~5において各ステップ別の条件は、次の通りである。
【0065】
揮発性成分を分離するステップ
*分離条件A:温度230℃、圧力20torrの条件下で行われ、このとき、揮発槽で分離された揮発性成分は、スチレン単量体55.8重量%、アクリロニトリル単量体7.25重量%、及びトルエン37重量%を含んでいた。
【0066】
*分離条件B:温度250℃、圧力30torrの条件下で行われ、このとき、揮発槽で分離された揮発性成分は、スチレン単量体68.2重量%、アクリロニトリル単量体23.7重量%、及びトルエン9.1重量%を含んでいた。
【0067】
*分離条件C:温度240℃、圧力20torrの条件下で行われ、このとき、揮発槽で分離された揮発性成分は、スチレン単量体62重量%、アクリロニトリル単量体15重量%、及びトルエン23重量%を含んでいた。
【0068】
凝縮ステップ
*凝縮条件A:第1凝縮器は冷媒温度30℃、圧力20torrの条件下で、第2凝縮器は冷媒温度2℃、圧力10torr下で行った。
【0069】
*凝縮条件B:第1凝縮器は冷媒温度30℃、圧力30torrの条件下で、第2凝縮器は冷媒温度2℃、圧力20torrの条件下で行った。
【0070】
*凝縮条件C:第1凝縮器は冷媒温度25℃、圧力15torrの条件下で、第2凝縮器は冷媒温度-1℃、圧力10torr下で行った。
【0071】
*スプレー物質:トルエンは“1”で表し、スチレンは“2”で表し、α-メチルスチレンは“3”で表し、アクリロニトリルは“4”で表し、及びメタクリロニトリルは“5”で表した。
【0072】
実施例1
分離条件A下で揮発性成分を分離した後、分離された揮発性成分を、凝縮条件A下で第1凝縮器で凝縮後、凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送して凝縮させた。このとき、揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に、トルエンを流量45kg/hrでスプレーし、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分にはスプレーしなかった。
【0073】
実施例2
分離条件A下で揮発性成分を分離した後、分離された揮発性成分を、凝縮条件A下で第1凝縮器で凝縮後、凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送して凝縮させた。このとき、揮発槽で分離された後に第1凝縮器に移送中の揮発性成分にはスプレーせず、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に、スチレンを流量30kg/hrでスプレーした。
【0074】
実施例3
分離条件A下で揮発性成分を分離した後、分離された揮発性成分を、凝縮条件A下で第1凝縮器で凝縮後、凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送して凝縮させた。このとき、揮発槽で分離された後に第1凝縮器に移送中の揮発性成分にはスプレーせず、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に、α-メチルスチレンを流量30kg/hrでスプレーした。
【0075】
実施例4
分離条件A下で揮発性成分を分離した後、分離された揮発性成分を、凝縮条件A下で第1凝縮器で凝縮後、凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送して凝縮させた。このとき、揮発槽で分離された後に第1凝縮器に移送中の揮発性成分にはスプレーせず、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に、トルエンを流量80kg/hrでスプレーした。
【0076】
実施例5
分離条件A下で揮発性成分を分離した後、分離された揮発性成分を、凝縮条件A下で第1凝縮器で凝縮後、凝縮されなかった揮発性成分を第2凝縮器に移送して凝縮させた。このとき、揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分に、トルエンを流量20kg/hrでスプレーし、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送中の揮発性成分に、スチレンを流量15kg/hrでスプレーした。
【0077】
実施例6~21
下記の表1~3に記載されたような分離条件及び凝縮条件で揮発性成分を分離及び凝縮し、揮発性成分にスプレー物質をスプレーした。
【0078】
比較例1
実施例1において、揮発槽で分離されて第1凝縮器に移送中の揮発性成分にトルエンをスプレーしなかった以外は、前記実施例1と同様に行った。
【0079】
比較例2~16
下記の表4~5に記載されたような分離条件及び凝縮条件で揮発性成分を分離及び凝縮し、揮発性成分にスプレー物質をスプレーした。
【0080】
[試験例]
前記実施例1~21及び比較例1~16において、第2凝縮器から凝縮されずに排出された揮発性成分の流量を、第2凝縮器と真空ユニットとの間に設置された流量計で測定して、下記の表1~5に示す。
【0081】
また、前記実施例1~14及び比較例1~16において、第1凝縮器で凝縮されずに第2凝縮器に移送されたビニルシアン単量体の含量は、第1凝縮器から第2凝縮器に移送される配管からサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで定量分析して、下記の表1~5に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
前記表1~5に示したように、本記載による実施例1~21は、第2凝縮器から凝縮されずに排出される揮発性成分がないので、これを処理するために廃水処理費用が不要であることが確認できた。一方で、従来の方法による比較例1、8及び12は、第2凝縮器から凝縮されなかった揮発性成分が14.8~58.0kg/hrで多くの量が排出された。
【0088】
また、第1凝縮器に芳香族ビニル単量体をスプレーした場合(比較例2、3、9、13及び14)及び第1凝縮器にビニルシアン単量体をスプレーした場合(比較例4、5、10及び15)は、第2凝縮器から凝縮されずに排出される揮発性成分の含量が急激に増加し、これを処理するための多大な費用がかかることが確認できた。
【0089】
また、第2凝縮器にビニルシアン単量体をスプレーした比較例6、7、11及び16も同様に、第2凝縮器から凝縮されずに排出される揮発性成分の含量が大幅に増加した。
図1
図2