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  • 特許-画像測定機およびプログラム 図1
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図2
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図3
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図4
  • 特許-画像測定機およびプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】画像測定機およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20220111BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20220111BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/0488
G01B11/24 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018003149
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019124994
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 浩一
(72)【発明者】
【氏名】張 玉武
(72)【発明者】
【氏名】石山 拓
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-189318(JP,A)
【文献】特開2017-106932(JP,A)
【文献】特開2015-029171(JP,A)
【文献】特開2016-173703(JP,A)
【文献】特開2011-237818(JP,A)
【文献】特開2005-209221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/0489
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元方向又は3次元方向に移動可能なステージに載置された測定対象物を撮像し、タッチパネルディスプレイに表示された前記測定対象物の撮像画像に基づき、前記測定対象物の寸法や形状を測定する画像測定機であって、
前記タッチパネルディスプレイに表示された前記撮像画像に、所定のコマンドを入力するための、識別子が付記されたボタンを重畳して表示し、利用者により前記識別子の表示部分にタッチ入力操作がされると、前記ボタンに対応するコマンドの動作モードを選択入力するためのメニューを前記タッチパネルディスプレイに更に表示し、前記利用者により前記メニューのいずれかの動作モードがタッチ入力操作で選択されると、選択された動作モードを前記ボタンに設定し、更に、利用者により前記ボタンにタッチ入力操作がされることで、前記動作モードで前記ボタンに対応する前記コマンドを実行する制御手段を更に備える
ことを特徴とする画像測定機。
【請求項2】
前記所定のコマンドは、前記ステージを2次元方向又は3次元方向の各方向に移動させるコマンドであり、
前記識別子が付記されたボタンは、前記2次元方向又は3次元方向の各方向を示す識別子が付記された各方向のボタンであり、
前記動作モードは、微動、ステップ移動、及び連続のいずれか2つ以上を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の画像測定機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記利用者により所定の入力操作が行われることにより前記ボタンを表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像測定機。
【請求項4】
コンピュータを請求項1から3のいずれか1項に記載の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイに表示されたコマンド入力ボタンに対するタッチ操作によりコマンドを実行可能な画像測定機およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物を撮像して得られる画像を用いて、測定対象物の寸法や形状を測定及び評価する測定装置として画像測定機が用いられる。画像測定機では、撮像した測定対象物の画像に含まれる測定対象図形のエッジ情報(位置座標など)を取得し、エッジ情報に基づいて測定対象物の形状や寸法の評価を行う。
【0003】
近年、タッチパネルディスプレイの普及に伴い、ディスプレイなどに触れることで操作できる直感的に使いやすいユーザインタフェースとして、いわゆるタッチインタフェースが広く利用されるようになってきており、画像測定機にも応用されている(例えば、特許文献1参照)。タッチインタフェースでは、ジェスチャによる入力が採用され、例えば、ボタンをマウスクリックする代わりに、ボタンに指やタッチペンでタッチすることでコマンドの入力を行う。
【0004】
ところで、画像測定に際しては測定対象物の測定したい部分を撮像手段によって適切に撮像するため、測定対象物を2次元又は3次元方向に移動可能なステージに載置し、ステージを移動させることで撮像手段に対する測定対象物の位置を調整する。ステージを移動させるコマンドを入力する方法としては、例えば、ディスプレイに表示された測定対象物の撮像画像に重畳して、2次元方向にステージを移動させるボタンを表示し、ボタンを1回クリックするごとに所定のステップでステージを移動させる方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、所定のステップではなく微調整や連続的な移動など、さまざまなモードで移動させたい場合に特定のモードを設定する容易な方法が、これまでは提供されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-173703号公報
【文献】特開平10-197224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、タッチ入力による簡易な操作でコマンドの動作モードを設定可能な画像測定機およびプログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像測定機は、2次元方向又は3次元方向に移動可能なステージに載置された測定対象物を撮像しタッチパネルディスプレイに表示された測定対象物の撮像画像に基づき測定対象物の寸法や形状を測定する画像測定機であって、タッチパネルディスプレイに表示された撮像画像に、所定のコマンドを入力するための識別子が付記されたボタンを重畳して表示し、利用者により識別子の表示部分にタッチ入力操作がされるとボタンに対応するコマンドの動作モードを選択入力するためのメニューをタッチパネルディスプレイに更に表示し、利用者によりメニューのいずれかの動作モードがタッチ入力操作で選択されると選択された動作モードを当該ボタンに設定し、更に、利用者により当該ボタンにタッチ入力操作がされることで設定した動作モードで当該ボタンに対応するコマンドを実行する制御手段を更に備える。
【0009】
例えば、所定のコマンドはステージを2次元方向又は3次元方向の各方向に移動させるコマンドであり、識別子が付記されたボタンは2次元方向又は3次元方向の各方向を示す識別子が付記された各方向のボタンであり、動作モードは微動、ステップ移動、及び連続のいずれか2つ以上を含むようにしてもよい。
【0010】
制御手段は、利用者により所定の入力操作が行われることによりボタンを表示するようにしてもよい。
【0011】
制御手段の機能をプログラムに記述し、コンピュータにより実行することで、制御手段の機能を実現してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、タッチ入力による簡易な操作でコマンドの動作モードを設定可能な画像測定機およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像測定機の全体構成の一例を示す図である。
図2】コンピュータシステムの機能ブロックを示す図である。
図3】タッチパネルディスプレイに表示される表示画面の例を示す図である。
図4】タッチパネルディスプレイに表示される表示画面の例を示す別の図である。
図5】タッチ入力操作による画面遷移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0015】
〔画像測定機の構成〕
図1は、画像測定機の全体構成の一例を示している。画像測定機1は、ステージ100と、筐体110と、コンピュータシステム140とを備える。ステージ100は、その上面が水平面と一致するように配置され、当該上面に測定対象物Wが載置される。ステージ100は、モータ、又は、ハンドル101若しくは102の回転操作により、少なくともX軸方向及びY軸方向に移動可能とされる。筐体110は、透過照明や落射照明などの照明装置を含む光学系や撮像素子を内包するとともに、ハンドル112の回転操作により筐体110自身を光学系及び撮像素子とともにZ軸方向に移動可能とする。
【0016】
コンピュータシステム140は、ステージ100や筐体110を制御して測定対象物Wの撮像画像を取得したり、ユーザに操作環境を提供したりする。コンピュータシステム140は、例えばコンピュータ本体141、キーボード142、マウス143、及びタッチパネルディスプレイ144を備える。コンピュータ本体141は、制御ボード等の回路(ハードウェア)及びCPUで実行されるプログラム(ソフトウェア)によってステージ100や筐体110の動作を制御する。また、コンピュータ本体141は、ステージ100や筐体110から出力される信号に基づき測定対象物Wの情報を取得・演算し、演算結果をタッチパネルディスプレイ144に表示する処理を行う。キーボード142及びマウス143は、コンピュータ本体141に対する入力手段である。タッチパネルディスプレイ144は、コンピュータ本体が出力する画像を表示する表示手段として機能するほか、画面に対する接触による操作を検出しコンピュータ本体141に入力する入力手段としても機能する。
【0017】
図2はコンピュータシステム140の機能ブロック図を示している。コンピュータシステム140の機能ブロックとしては、CPU(Central Processing Unit)211、インタフェース212、出力部213、入力部214、主記憶部215及び副記憶部216が設けられる。
【0018】
CPU211は、各種プログラムの実行によって各部を制御する。インタフェース212は、例えば、ステージ100や筐体110から送られる情報をコンピュータシステム140に取り込む、コンピュータシステム140から情報をステージ100や筐体110へ送る、コンピュータシステム140をLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)に接続する等の役割を持つ、外部機器との情報入出力を行う部分である。
【0019】
出力部213は、コンピュータシステム140で処理した結果を出力する。出力部213は、例えば、図1に示すタッチパネルディスプレイ144や、プリンタなどが用いられる。入力部214は、オペレータから情報を受け付ける。入力部214には、例えば、図1に示すキーボード142、マウス143、タッチパネルディスプレイ144などが用いられる。また、入力部214は、記録媒体MMに記録された情報を読み取る機能を含む。
【0020】
主記憶部215には、例えばRAM(Random Access Memory)が用いられる。主記憶部215の一部として、副記憶部216の一部が用いられてもよい。副記憶部216には、例えばHDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)が用いられる。副記憶部216は、ネット測定対象物を介して接続された外部記憶装置であってもよい。これらの記憶部に、画像表示プログラムや本発明における制御手段の機能が記述された制御プログラムが記憶され、これらのプログラムがCPUに読み出され実行されることで制御手段等の機能が実現される。
【0021】
図3は、画像表示プログラムの実行によってタッチパネルディスプレイ144に表示されるメインウインドウMWの例を示す図である。メインウインドウMWの中には、撮像された測定対象物Wの撮像画像WGが表示されるワークウインドウWWを含む、必要に応じた複数のウインドウが表示される。
【0022】
〔画面表示及び操作による動作〕
次に、コンピュータ本体141のCPU211で実行される制御プログラムによってタッチパネルディスプレイ144に映し出される画面表示について説明する。なお、以下ではボタンへの入力操作に対してステージ100を移動させるコマンドを出力する場合を例示するが、筐体110の各構成要素に対する動作コマンドを出力する場合についても同様に適用可能である。
【0023】
このとき、実行された制御プログラムは、ワークウインドウWWに撮像画像WGに重畳させて、ステージ100を±X方向及び±Y方向のそれぞれに移動させるモータの駆動コマンドを入力するためのボタンBX及びボタンBYを表示する。また、ステージ100がモータにより±Z方向にも移動可能とされている場合には、ステージ100を±Z方向に移動させるモータの駆動コマンドを入力するためのボタンBZも表示する。なお、正確にはボタンBX、ボタンBY、及びボタンBZは、図3に示すように、それぞれ正方向及び負方向にステージを移動させるコマンドを入力する2つのボタンに分かれている。
【0024】
ボタンBX、ボタンBY、及びボタンBZには、図3に示すように各方向を示す識別子が付記される。すなわち、ボタンBXにXが、ボタンBYにYが、ボタンBZにZがそれぞれ付記される。
【0025】
なお、ボタンBX、ボタンBY、及びボタンBZの表示は、撮像画像WGを表示する際に同時に表示してもよいし、当初は表示せずに利用者による何らかの入力操作が行われたことを契機に表示してもよい。この場合例えば、図4に示すようにハンバーガーボタンBHを、撮像画像WGを表示する際に同時に表示しておき、このハンバーガーボタンBHにタッチ入力操作が行われたことを契機に、図3に示すようにボタンBX、BY、及びBZを表示するようにする。
【0026】
利用者によりボタンBX、ボタンBY、又はボタンBZの識別子が表示されている部分に指やタッチペンで触れるタッチ入力操作がされると、実行された制御プログラムは、当該識別子が付記されたボタンに1回タッチ入力がされた際に実行されるコマンドの、動作モードを選択入力するためのメニューを更に表示する。例えば、図5(a)に示すように、利用者がボタンBZに付記された識別子であるZの表示部分に指で触れると、図5(b)に示すように、ボタンに1回タッチ入力がされた際にZ方向にどのような動作モードで移動させるかを選択入力するためのメニューが表示される。ここでは、Fine(微動)、Step(ステップ移動)、Cont(連続移動)を選択入力可能とした場合を例示している。
【0027】
選択可能とする動作モードの種類は、各方向共通でもよいし互いに相違させてもよい。
【0028】
利用者により、メニューのいずれかの動作モードがタッチ入力操作で選択されると、実行された制御プログラムは、選択された動作モードを当該識別子が付記されたボタンに設定する。
【0029】
そして、更に利用者により当該ボタンにタッチ入力操作がされることで、実行された制御プログラムは、当該ボタンに設定された動作モードで当該ボタンに対応するコマンドをステージ110に対して実行する。
【0030】
なお、各ボタンに設定された動作モードの解除方法は任意である。
【0031】
以上説明した本発明の画像測定機によれば、コマンドの入力ボタンからのコマンドの入力に先立ち、コマンドの入力ボタンにコマンドの動作モードをメニュー選択により容易に設定して、以後、設定した動作モードでコマンドを入力することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0033】
1…画像測定機
100…ステージ
101、102、112…ハンドル
110…筐体
140…コンピュータシステム
141…コンピュータ本体
142…キーボード
143…マウス
144…タッチパネルディスプレイ
211…CPU
212…インタフェース
213…出力部
214…入力部
215…主記憶部
216…副記憶部
BH…ハンバーガーボタン
BX、BY、BZ…ボタン
MM…記録媒体
MW…メインウインドウ
W…測定対象物
WW…ワークウインドウ
WG…撮像画像
図1
図2
図3
図4
図5