(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20220111BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20220111BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
H01L23/46 B
H05K7/20 R
F28D15/02 102G
F28D15/02 L
(21)【出願番号】P 2018033558
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】上久保 将大
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-158979(JP,A)
【文献】特開2017-106645(JP,A)
【文献】特開2015-222144(JP,A)
【文献】米国特許第09405335(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動部と非作動部を有する平面型ヒートパイプと、該平面型ヒートパイプと熱的に接続された冷却部材と、該平面型ヒートパイプと該冷却部材との熱的接続部に設けられたグラファイトシートと、を備え
、
前記平面型ヒートパイプが、中空の空洞部を有する平面型のコンテナを有し、前記空洞部の周囲が、一方の板状部材の周縁部と他方の板状部材の周縁部が接することで形成された、前記非作動部となっている閉塞部であり、
前記非作動部と前記作動部との境界には、前記一方の板状部材の塑性変形部の変形量に応じた段差部が形成され、
平面視において、前記冷却部材が、前記非作動部と前記作動部の縁部に重なり合う位置に設けられていることで、前記非作動部及び前記作動部の縁部と前記冷却部材が熱的に接続され、
平面視において、前記作動部の中央部と重なり合う位置に、前記冷却部材が設けられていない冷却装置。
【請求項2】
前記冷却部材が、アルミニウム製である請求項
1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記平面型ヒートパイプの作動部の幅に対する、該平面型ヒートパイプの作動部の幅方向に対して平行方向における該平面型ヒートパイプの作動部上の前記グラファイトシートの寸法割合が、0.20以上1.0以下である請求項1
または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの作動部の縁部から、該平面型ヒートパイプの中心部方向へ20mm以上延出している請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの両主表面のうち、少なくとも一方の主表面全体に設けられている請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの両主表面全体に設けられている請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記平面型ヒートパイプと前記冷却部材と前記グラファイトシートとの厚さの合計が、0.60mm以下である請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記平面型ヒートパイプから外側方向へ延在している、前記平面型ヒートパイプと熱的に接続された熱伝導板をさらに備えた請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記熱伝導板が、グラファイト板である請求項
8に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記平面型ヒートパイプが、前記熱伝導板より重力方向上側に設けられている請求項
8または
9に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記平面型ヒートパイプが、熱伝導性接着剤によって前記冷却部材と接合されている請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記平面型ヒートパイプの主表面が、重力方向に対して0°以上45°以下の角度に配置されるように設置される請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記空洞部内には、ウィック構造体が収容され、
前記ウィック構造体が、該ウィック構造体の厚さ方向に貫通した孔部である蒸気流路を複数備え、
複数の前記蒸気流路が、前記ウィック構造体の平面視中央部から平面視縁部の方向へ伸延し、
前記ウィック構造体は、直線状である仮想線によって、第1の領域と第2の領域とに区分され、前記ウィック構造体の平面視中央部にて前記ウィック構造体を横断する前記仮想線を介して、前記第1の領域に配置されている前記蒸気流路が、前記第2の領域に配置されている他の前記蒸気流路と対向し、
前記第1の領域に配置されている複数の前記蒸気流路と前記第2の領域に配置されている複数の他の前記蒸気流路が、前記仮想線に対して直交方向に伸延している請求項1乃至12のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記第1の領域に配置されている前記蒸気流路の前記仮想線側の端部と、前記第2の領域に配置されている他の前記蒸気流路の前記仮想線側の端部とは離れており、
液相から気相へ相変化した前記空洞部内に封入された作動流体が、前記第1の領域に配置されている前記蒸気流路内及び前記第2の領域に配置されている他の前記蒸気流路内を、前記ウィック構造体の平面視中央部から縁部の方向へ流通し、気相から液相へ相変化した前記作動流体が、前記ウィック構造体の縁部から中心方向へ還流する請求項13に記載の冷却装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の冷却装置に発熱体を熱的に接続して、冷却部材に冷却機構を熱的に接続して、該発熱体を冷却する冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭小空間に設置でき、また、優れた放熱性能を発揮できる冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品やバッテリーは、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、近年、その冷却がより重要となっている。電子部品やバッテリーの冷却方法として、平面型ヒートパイプを備えた冷却装置が使用されることがある。また、電子部品やバッテリー等が収容されるハウジングには、近年、さらなる小型化と軽量化が要求されており、狭小空間に冷却装置を搭載することが必要となる場合がある。
【0003】
また、電気自動車等に搭載されるバッテリーには、バッテリーの安定的動作のために温度管理システムが利用されている。また、バッテリーの出力増大に伴う発熱量の増大に対応し、バッテリーの出力向上や寿命改善のために、近年、温度管理システムにおいて、均熱性能と冷却性能のさらなる向上が要求されている。また、冷却装置の均熱性能と冷却性能を向上させるために、平面型ヒートパイプに加えて、熱伝導性に優れたグラファイトシートも併用されることがある。
【0004】
平面型ヒートパイプとグラファイトシートを併用したバッテリーシステムとして、燃料電池と、燃料電池を覆う断熱体と、断熱体の外表面を覆う伝熱体とを含み、該伝熱体として平面型ヒートパイプとグラファイトシートを併用することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、特許文献1のバッテリーシステムでは、バッテリーの5面が断熱体と伝熱体とで覆われるので、バッテリーシステムの厚さを低減することができず、狭小空間に設置することができない。また、特許文献1では、バッテリーと熱的に接続されていない平面型ヒートパイプ及びグラファイトシートの縁部が放熱部として機能する。従って、特許文献1では、平面型ヒートパイプの熱輸送特性、ひいては、放熱特性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、狭小空間に設置することができ、また、優れた放熱性能を発揮できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、作動部と非作動部を有する平面型ヒートパイプと、該平面型ヒートパイプと熱的に接続された冷却部材と、該平面型ヒートパイプと該冷却部材との熱的接続部に設けられたグラファイトシートと、を備えた冷却装置である。
【0009】
平面型ヒートパイプの作動部とは、平面型ヒートパイプの平面視(平面型ヒートパイプの主表面に対し鉛直方向から視認した状態)において、相変化することで熱輸送機能を発揮する作動流体が封入されている空洞部に対応する部位を意味し、平面型ヒートパイプの非作動部とは、平面型ヒートパイプの平面視において、前記作動部以外の部位を意味する。
【0010】
本発明の態様は、前記冷却部材が、前記作動部に熱的に接続されている冷却装置である。
【0011】
本発明の態様は、前記冷却部材が、前記非作動部に熱的に接続されている冷却装置である。
【0012】
本発明の態様は、前記冷却部材が、アルミニウム製である冷却装置である。
【0013】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプの作動部の幅に対する、該平面型ヒートパイプの作動部の幅方向に対して平行方向における該平面型ヒートパイプの作動部上の前記グラファイトシートの寸法割合が、0.20以上1.0以下である冷却装置である。上記態様では、平面型ヒートパイプの両主表面のうち、少なくともいずれか一方の主表面において、上記寸法割合を満たしている。
【0014】
本発明の態様は、前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの作動部の縁部から、該平面型ヒートパイプの中心部方向へ20mm以上延出している冷却装置である。
【0015】
本発明の態様は、前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの両主表面のうち、少なくとも一方の主表面全体に設けられている冷却装置である。
【0016】
本発明の態様は、前記グラファイトシートが、前記平面型ヒートパイプの両主表面全体に設けられている冷却装置である。
【0017】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプと前記冷却部材と前記グラファイトシートとの厚さの合計が、0.60mm以下である冷却装置である。
【0018】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプから外側方向へ延在している、前記平面型ヒートパイプと熱的に接続された熱伝導板をさらに備えた冷却装置である。
【0019】
本発明の態様は、前記熱伝導板が、グラファイト板である冷却装置である。
【0020】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプが、前記熱伝導板より重力方向上側に設けられている冷却装置である。
【0021】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプが、熱伝導性接着剤によって前記冷却部材と接合されている冷却装置である。
【0022】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプの主表面が、重力方向に対して0°以上45°以下の角度に配置されるように設置される冷却装置である。
【0023】
本発明の態様は、上記冷却装置に発熱体を熱的に接続して、冷却部材に冷却機構を熱的に接続して、該発熱体を冷却する冷却システムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の冷却装置の態様によれば、平面型ヒートパイプが冷却部材と熱的に接続されることにより、平面型ヒートパイプと冷却部材の熱的接続部における厚さの増大及び冷却装置全体の厚さの増大を防止できるので、狭小空間に設置することができる。一方で、平面型ヒートパイプが冷却部材と熱的に接続されると、平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間で大きな温度差が生じる。平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間で大きな温度差が生じると、放熱部で液相の作動流体が貯留しやすくなることで平面型ヒートパイプの熱輸送特性が低減されてしまう可能性がある。しかし、平面型ヒートパイプと冷却部材との熱的接続部にグラファイトシートが設けられることにより、前記熱的接続部における厚さの増大を防止しつつ、グラファイトシートの熱伝導特性と熱拡散特性によって平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間に生じる温度差を低減できる。従って、本発明の冷却装置の態様によれば、狭小空間への設置を可能としつつ、優れた放熱性能を発揮することができる。
【0025】
本発明の態様によれば、冷却部材が、アルミニウム製であることにより、冷却装置を軽量化しつつ、熱伝導性と剛性を付与することができる。
【0026】
本発明の冷却装置の態様によれば、平面型ヒートパイプの作動部の幅に対する、該作動部の幅方向に対して平行方向における該作動部上のグラファイトシートの寸法の割合が、0.20以上1.0以下であることにより、平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減できる。従って、本発明の冷却装置は、さらに優れた放熱性能を発揮することができる。
【0027】
本発明の冷却装置の態様によれば、グラファイトシートが、平面型ヒートパイプの作動部の縁部から、平面型ヒートパイプの中心部方向へ20mm以上延出していることにより、平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減できる。従って、本発明の冷却装置は、さらに優れた放熱性能を発揮することができる。
【0028】
本発明の冷却装置の態様によれば、グラファイトシートが、平面型ヒートパイプの両主表面全体に設けられていることにより、冷却対象の発熱量が増大しても平面型ヒートパイプの受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減できる。従って、本発明の冷却装置は、高発熱量の冷却対象に対しても、さらに優れた放熱性能を発揮することができる。
【0029】
本発明の冷却装置の態様によれば、平面型ヒートパイプから外側方向へ前記平面型ヒートパイプと熱的に接続された熱伝導板が延在していることにより、平面型ヒートパイプの主表面が立設された状態で冷却装置が設置されても、熱伝導板が延在している分、平面型ヒートパイプの高さ方向の寸法を低減できる。従って、平面型ヒートパイプがトップヒートの状態で使用されても、平面型ヒートパイプのドライアウトを防止できる。また、熱伝導板としてグラファイト板が延在していることにより、熱伝導性を有しつつ、グラファイト板の部分も平面型ヒートパイプである場合と比較して、冷却装置を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置を分解した説明図である。
【
図3】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の側面断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置の側面断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の側面断面図である。
【
図6】(a)図は、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置の平面図、(b)図は、(a)図のA-A断面図である。
【
図7】本発明の実施形態例に係る冷却装置で使用される平面型ヒートパイプの封止前の分解斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の使用方法例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。
図1、2、3に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、作動部11と非作動部12を有する平面型ヒートパイプ10と、平面型ヒートパイプ10の作動部11及び非作動部12と熱的に接続された冷却部材30と、平面型ヒートパイプ10の作動部11及び非作動部12と冷却部材30との熱的接続部40に設けられたグラファイトシート50と、を備えている。
【0032】
平面型ヒートパイプ10は、平面視において、平板状であり、平面型ヒートパイプ10の熱輸送方向に主表面13が延在している。平面型ヒートパイプ10の両主表面13を結ぶ面が、平面型ヒートパイプ10の側面14である。
図1、3に示すように、平面型ヒートパイプ10は、中空の空洞部23を有する平面型のコンテナ20と、空洞部23内に封入された作動流体(図示せず)とを有している。また、空洞部23内には、毛細管力を有するウィック構造体25が収容されている。ウィック構造体25は、空洞部23に沿って延在している。作動流体とウィック構造体25が収容された空洞部23が、平面型ヒートパイプ10の作動部11となっている。コンテナ20の外面に、冷却対象である発熱体が熱的に接続される。
【0033】
空洞部23を有するコンテナ20は、対向する2枚の板状部材、すなわち、一方の板状部材21と一方の板状部材21と対向する他方の板状部材22が積層されて形成されている。従って、コンテナ20は2層構造となっている。一方の板状部材21と他方の板状部材22は、相互に、平面視において、重なり合う位置にて積層されている。一方の板状部材21には、他方の板状部材22から視て凹部であって、側面視では凸部である塑性変形部が設けられている。一方の板状部材21と他方の板状部材22が積層されることで、上記塑性変形部が空洞部23を形成する。空洞部23は、平面型ヒートパイプ10の主表面13に沿って延在している。
【0034】
空洞部23の周囲は、一方の板状部材21の周縁部と他方の板状部材22の周縁部が接することで閉塞部32が形成されている。閉塞部32が、平面型ヒートパイプ10の非作動部12となっている。
【0035】
図1、2に示すように、非作動部12は、平面型ヒートパイプ10の周縁部であって、作動部11の外周に形成されている。従って、
図3に示すように、非作動部12と作動部11との境界には、一方の板状部材21に塑性変形部の変形量に応じた段差部33が形成されている。非作動部12の厚さは、段差部33の段差分、作動部11の厚さよりも薄い態様となっている。
【0036】
平面型ヒートパイプ10は、空洞部23の外周部、すなわち、一方の板状部材21の周縁部と他方の板状部材22の周縁部とが、例えば、レーザー溶接やシーム溶接等の熱溶着手段、超音波溶接、ロウ溶接等を用いて接合されて閉塞部32が形成される。閉塞部32が形成されることで空洞部23が封止され、減圧処理されている空洞部13に気密性が付与される。空洞部13の平面視における形状は、特に限定されず、平面型ヒートパイプ10では略長方形状となっている。
【0037】
コンテナ20の材質としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等を挙げることができる。空洞部23に封入する作動流体としては、コンテナ20の材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。
【0038】
図1、2、3に示すように、平面型ヒートパイプ10の非作動部12と作動部11の縁部15に冷却部材30が熱的に接続されている。冷却装置1では、平面視において、冷却部材30が平面型ヒートパイプ10の非作動部12と作動部11の縁部15に重なり合う位置に設けられていることで、平面型ヒートパイプ10の非作動部12及び作動部11の縁部15と冷却部材30が熱的に接続されている。冷却装置1では、非作動部12上と作動部11の縁部15上に冷却部材30が着設されている。平面型ヒートパイプ10の非作動部12及び作動部11の縁部15と冷却部材30が平面視において重なり合う部位が、冷却装置1の熱的接続部40となっている。
【0039】
冷却装置1では、平面視において、平面型ヒートパイプ10の作動部11のうち縁部15以外の部位(すなわち、作動部11の中央部)と重なり合う位置に、冷却部材30は設けられていない。また、冷却装置1では、非作動部12における冷却部材30の厚さは、段差部33の段差分から若干厚い程度に抑えられている。平面型ヒートパイプ10の作動部11における主表面13と冷却部材30表面は、略平面状に位置している。上記から、冷却装置1では、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30の熱的接続部40における厚さの増大、ひいては、冷却装置1全体の厚さの増大を防止できるので、冷却装置1は、狭小空間に設置されることができる。
【0040】
図1、2に示すように、冷却装置1では、平面型ヒートパイプ10の4辺のうちの2辺に、それぞれ冷却部材30が設けられている。また、冷却部材30は、相互に対向するように配置されている。冷却部材30の形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、長尺の平板材であり、非作動部12と作動部11の縁部15の平面視の形状に対応して、平面視略長方形となっている。冷却部材30の材質は、熱伝導性を有する材料であれば、特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼等の金属を挙げることができ、このうち、冷却装置1を軽量化しつつ、熱伝導性と剛性を付与する点から、アルミニウムが好ましい。
【0041】
平面型ヒートパイプ10と冷却部材30との熱的接続手段としては、例えば、熱伝導性接着剤を用いて、非作動部12と作動部11の縁部15に冷却部材30を接着する手段が挙げられる。熱伝導性接着剤を用いて、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30とを接合することにより、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30間の熱伝達性が向上する。また、熱伝導性接着剤を用いて、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30とを接合することにより、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30との間に生じた隙間を熱伝導性接着剤によって埋めることができる。よって、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30間の熱伝達性も向上する。熱伝導性接着剤としては、例えば、エポキシ系、アクリル系等を挙げることができる。
【0042】
また、冷却装置1では、冷却部材30に、フィン部31が設けられている。フィン部31は、冷却部材30と一体となっている。フィン部31は、冷却部材30から、平面型ヒートパイプ10の主表面13に対して鉛直方向に伸延している。平面型ヒートパイプ10から冷却部材30へ伝達された熱は、冷却部材30からフィン部31へ伝達されて、フィン部31から外部へ放出される。
【0043】
また、
図1、2、3に示すように、平面型ヒートパイプ10の非作動部12及び作動部11の縁部15と冷却部材30との熱的接続部40には、グラファイトシート50が設けられている。このグラファイトシート50は、一方の板状部材21上に設けられている。すなわち、熱的接続部40では、平面型ヒートパイプ10の非作動部12及び作動部11、冷却部材30、グラファイトシート50の順で、平面型ヒートパイプ10の非作動部12及び作動部11と冷却部材30とグラファイトシート50とが積層されている。従って、熱的接続部40では、グラファイトシート50が最外層を形成している。
【0044】
平面型ヒートパイプ10が冷却部材30と熱的に接続されると、平面型ヒートパイプ10の受熱部(冷却対象である発熱体と熱的に接続された領域)と放熱部(平面型ヒートパイプ10のうち、冷却部材30と熱的に接続された領域)との間で大きな温度差が生じる。平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間で大きな温度差が生じると、放熱部で液相の作動流体が貯留しやすくなって、平面型ヒートパイプ10の熱輸送特性及び均熱特性が低減されてしまう場合がある。しかし、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30との熱的接続部40にグラファイトシート50が設けられることにより、熱的接続部40における厚さの増大を防止しつつ、グラファイトシート50の熱伝導特性と熱拡散特性によって平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差を低減できる。従って、冷却装置1は、狭小空間への設置を可能としつつ、優れた放熱性能を発揮することができる。
【0045】
グラファイトシート50は、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30との熱的接続部40上に設けられていればよいが、熱的接続部40からさらに平面型ヒートパイプ10の作動部11方向へ伸延していることが好ましい。作動部11の幅に対する、作動部11の幅方向に対して平行方向における作動部11上のグラファイトシート50の寸法の割合は、平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減して、優れた放熱性能を発揮できる点から、0.20以上1.0以下が好ましく、0.40以上1.0以下がより好まく、0.60以上1.0以下が特に好ましい。冷却装置1では、グラファイトシート50は、一方の板状部材21側において、熱的接続部40から平面型ヒートパイプ10の主表面13の作動部11全体にまで設けられている。すなわち、一方の板状部材21側の主表面13全体が、グラファイトシート50で覆われている。従って、冷却装置1では、グラファイトシート50の上記寸法の割合は1.0となっている。なお、グラファイトシート50の上記寸法の割合は、作動部11上の異なる位置に、グラファイトシート50が分割して設けられている場合には、分割されているグラファイトシート50の上記寸法を合算して算出される値である。
【0046】
上記から、冷却装置1では、一方の板状部材21側において、熱的接合部40だけではなく作動部11の中央部でも、グラファイトシート50が最外層を形成している。また、熱的接合部40及び作動部11の中央部では、グラファイトシート50が略平面状に沿って延在している。従って、冷却装置1では、熱的接合部40と作動部11の中央部に対応する部分の厚さは均一化されている。なお、冷却装置1では、グラファイトシート50は、平面型ヒートパイプ10の作動部11から、さらにフィン部31まで伸延している。
【0047】
また、グラファイトシート50が、熱的接続部40からさらに平面型ヒートパイプ10の作動部11方向へ伸延している場合には、平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減する点から、平面型ヒートパイプ10の作動部11の縁部15から、作動部11の中心部方向へ20mm以上延出していることが好ましく、30mm以上延出していることがより好ましく、冷却装置1のように、平面型ヒートパイプ10の主表面13全体に延出していることが特に好ましい。
【0048】
グラファイトシート50は、平面型ヒートパイプ10の両主表面13、すなわち、一方の板状部材21側の主表面13と他方の板状部材22側の主表面13のうち、いずれか一方の主表面13にのみ設けられていてもよく、両方の主表面13に設けられていてもよい。
図3に示すように、冷却装置1では、グラファイトシート50は、一方の板状部材21外面に設けられているだけでなく、他方の板状部材22外面にも設けられている。上記から、グラファイトシート50は、両方の主表面13全体に延在している。両方の主表面13の作動部11全体にグラファイトシート50が設けられていることにより、冷却対象の発熱量が増大しても平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差をさらに確実に低減できる。従って、冷却装置1では、高発熱量の冷却対象に対しても、さらに優れた放熱性能を発揮することができる。
【0049】
平面型ヒートパイプ10と冷却部材30とグラファイトシート50との厚さの合計は、特に限定されないが、厚さを制限して狭小空間へ冷却装置1を確実に設置する点から、0.60mm以下が好ましく、0.50mm以下が特に好ましい。なお、平面型ヒートパイプ10と冷却部材30とグラファイトシート50との厚さの合計の下限値は、機械的強度の点から0.20mmが好ましい。
【0050】
グラファイトシート50を平面型ヒートパイプ10の主表面13及び冷却部材30に取り付ける手段は、特に限定されず、例えば、アクリル系接着剤等、公知の接着剤を用いて、グラファイトシート50を平面型ヒートパイプ10の主表面13及び冷却部材30に接着する方法が挙げられる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置ついて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0052】
第1実施形態例に係る冷却装置では、グラファイトシートは、一方の板状部材外面に設けられているだけでなく、他方の板状部材外面にも設けられていたが、これに代えて、
図4に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置2では、グラファイトシート50は、一方の板状部材21外面に設けられているが、他方の板状部材22外面には設けられていない。上記から、グラファイトシート50は、一方の板状部材21の主表面13全体に延在しているが、他方の板状部材22の主表面13には設けられていない。
【0053】
グラファイトシート50が、いずれか一方の主表面13にのみ設けられていても、冷却対象の発熱量が増大しても平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差を確実に低減できる。従って、冷却装置1では、高発熱量の冷却対象に対しても、優れた放熱性能を発揮することができる。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置ついて、図面を用いながら説明する。なお、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0055】
第1、第2実施形態例に係る冷却装置では、グラファイトシートは、少なくとも一方の主表面13全体が、グラファイトシート50で覆われており、従って、作動部の幅に対する、作動部の幅方向に対して平行方向における作動部上のグラファイトシートの寸法の割合は1.0となっていた。これに代えて、
図5に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置3では、一方の板状部材21の主表面13全体ではなく一部が、グラファイトシート50で覆われている。冷却装置3では、作動部11の幅方向に対して平行方向の主表面13中央には、グラファイトシート50が設けられていない。なお、冷却装置3では、グラファイトシート50は、一方の板状部材21外面にのみ設けられており、他方の板状部材22外面には設けられていない。
【0056】
従って、冷却装置3では、上記寸法の割合は1.0未満となっている。具体的には、冷却装置3では、上記寸法の割合は、約0.60となっている。グラファイトシート50が主表面13全体に設けられていなくても、グラファイトシート50の熱伝導特性と熱拡散特性によって平面型ヒートパイプ10の受熱部と放熱部との間に生じる温度差を低減できる。従って、冷却装置3でも、優れた放熱性能を発揮することができる。
【0057】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。なお、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0058】
図6(a)、(b)に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置4では、平面型ヒートパイプ60の主表面63と略同一平面上に、平面型ヒートパイプ60の縁部64から、さらに、グラファイト板65が延在している。冷却装置4では、冷却装置1における平面型ヒートパイプ10の作動部11について、その一部領域をグラファイト板65で代替した態様となっている。従って、冷却装置4では、平面型ヒートパイプ60とグラファイト板65にて、上記した冷却装置1における平面型ヒートパイプ10の機能を有している。
【0059】
冷却装置4では、冷却部材30は、平面型ヒートパイプ60からグラファイト板65まで延在している。また、グラファイトシート50は、平面型ヒートパイプ60の両主表面63全体とグラファイト板65表面全体に設けられている。
【0060】
グラファイト板65と平面型ヒートパイプ60の熱的接続方法は、特に限定されず、例えば、平面型ヒートパイプ60の非作動部62とグラファイト板65の縁部66を連接し、この連接部に上記熱伝導性接着剤を施与することで、グラファイト板65と平面型ヒートパイプ60を接合する方法が挙げられる。
【0061】
グラファイトは高い熱伝導率を有する素材なので、冷却装置1における平面型ヒートパイプ10の作動部11について、その一部領域をグラファイト板65で代替しても、平面型ヒートパイプ60とグラファイト板65にて優れた均熱性能と冷却性能を発揮することができる。
【0062】
また、冷却装置4では、平面型ヒートパイプ60の主表面63が立設された状態で設置されても、平面型ヒートパイプ60の縁部64からグラファイト板65が延在している分、平面型ヒートパイプ60自体の高さ方向の寸法を低減できる。従って、平面型ヒートパイプ60がトップヒートの状態で使用されても、平面型ヒートパイプ60に封入された液相の作動流体(図示せず)は、放熱部から受熱部へ還流しやすくなる。結果、平面型ヒートパイプ60が立設されて設置されても、平面型ヒートパイプ60のドライアウトを防止できる。また、グラファイト板65が延在していることにより、グラファイト板65の部分が平面型ヒートパイプである場合と比較して、冷却装置2を軽量化できる。
【0063】
冷却装置4では、冷却装置4の冷却対象である発熱体は、平面型ヒートパイプ60の部分に接続されることが好ましい。また、冷却装置4では、平面型ヒートパイプ60が主表面63を重力方向に対し略平行に設置する場合には、平面型ヒートパイプ60がグラファイト板65よりも重力方向上側に配置されることが好ましい。
【0064】
次に、本発明の実施形態例に係る冷却装置を用いた冷却システムについて、図面を用いながら説明する。ここでは、第1実施形態例に係る冷却装置1を用いて、平面型ヒートパイプ10の主表面13が重力方向に対し略平行(すなわち、重力方向に対し略0°の角度)となるように冷却装置1が設置される場合について、その冷却システムを説明する。
【0065】
まず、平面型ヒートパイプ10の空洞部23に収容されているウィック構造体25の詳細について、
図7を用いながら説明する。ウィック構造体25は、コンテナ20及び空洞部23の平面視における形状が略矩形状であることに対応して、略矩形のシート状となっている。コンテナ20及び空洞部23の長手方向Xにウィック構造体25の長手方向Xが対応し、コンテナ20及び空洞部23の短手方向Yにウィック構造体25の短手方向Yが対応している。
【0066】
ウィック構造体25には、複数の蒸気流路26が形成されている。また、ウィック構造体25の蒸気流路26以外の部位が、毛細管力を有するウィック部27となっている。蒸気流路26は、ウィック構造体25の厚さ方向に貫通した孔部である。貫通孔である蒸気流路26は、ウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部から平面視縁部の方向へ伸延している。従って、蒸気流路26の長手方向は、ウィック構造体25の長手方向Xに対応している。
【0067】
蒸気流路26は、ウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部にてウィック構造体25を横断する直線状の仮想線Lを介して、対向して配置されている。ウィック構造体25は、仮想線Lによって、第1の領域R1と、第1の領域R1と略同じ形状と面積を有する第2の領域R2とに区分されている。
図7に示すように、第1の領域R1では、複数の蒸気流路26が、仮想線Lに沿って並列配置され、第2の領域R2では、他の複数の蒸気流路26が、同じく、仮想線Lに沿って並列配置されている。また、第1の領域R1及び第2の領域R2では、それぞれの蒸気流路26は、仮想線Lに対して直交方向に伸延している。
【0068】
第1の領域R1の蒸気流路16と第2の領域R2の蒸気流路16は、仮想線Lを介して対向配置され、これに対応して、ウィック部27は、仮想線Lに沿って延在した第1ウィック28を、一つ有している。第1ウィック28は、ウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部にて、ウィック構造体25の長手方向Xを形成する一方の縁部から該一方の縁部と対向する他方の縁部まで延在している。また、複数の蒸気流路26が仮想線Lに沿って並列配置されていることに対応して、ウィック部27は、蒸気流路26間を蒸気流路26の長手方向に沿って延在した第2ウィック29を有している。
【0069】
平面型ヒートパイプ10の主表面13が重力方向に対し略平行となるように冷却装置1が設置される場合、第1ウィック28が重力方向に対して略平行となるように設置されると、液相の作動流体が第1ウィック28(すなわち、ウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部)を第1ウィック28の伸延方向に沿って、重力方向下方から上方へ還流できる。また、蒸気流路26はウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部から縁部の方向へ伸延している。よって、気相の作動流体はウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部から縁部の方向へ流通できる。
【0070】
上記から、平面型ヒートパイプ10の主表面13が鉛直方向に設置された状態で、平面型ヒートパイプ10の中心を受熱部、縁部(
図7では、短手方向Yを形成する縁部)を放熱部としても、受熱部にて液相から気相へ相変化した作動流体は、蒸気流路26内を、ウィック構造体25の長手方向Xにおける平面視中央部から縁部の方向へ流通できる。また、平面型ヒートパイプ10の縁部で気相から液相へ相変化した作動流体が、重力の作用により重力方向下方へ流動しても、重力方向下方へ流動した液相の作動流体は、第1ウィック28によって重力方向下方から上方へ還流される。また、重力方向下方へ流動しなかった液相の作動流体または重力方向下方へ流動しきれなかった液相の作動流体は、第2ウィック29によって、蒸気流路26の長手方向に沿って、ウィック構造体25の平面部の縁部から中心方向へ還流される。結果、液相の作動流体は、ウィック構造体25の縁部から中心方向へ還流できる。
【0071】
図8に示すように、平面型ヒートパイプ10のいずれか一方の主表面13に冷却対象である発熱体100を熱的に接続することで、冷却装置1に発熱体100を熱的に接続する。発熱体100は、主表面13に設けられたグラファイトシート50上に取り付けられる。発熱体100は、鉛直方向に立設されている状態で設置されている。これに対応して、平面型ヒートパイプ10の主表面13を重力方向に対し略平行(すなわち、重力方向に対し略0°の角度)に設置し、主表面13の中心とその近傍に対応する部分に発熱体100を熱的に接続して、平面型ヒートパイプ10の受熱部とする。冷却装置1では、作動部11の両縁部と作動部11の両縁部(
図8では、平面型ヒートパイプ10の短手方向Yかつウィック構造体の短手方向Yを形成する両縁部)から延出した非作動部12に、冷却部材30が取り付けられている。また、必要に応じて、冷却部材30に、水冷ジャケット等の冷却機構(図示せず)を熱的に接続して、発熱体100に対する冷却効果をさらに向上させてもよい。
【0072】
このように、平面型ヒートパイプ10を立てるような状態で冷却装置1を設置しても、上記ウィック構造体25の作用により、気相の作動流体は、円滑に、平面型ヒートパイプ10の中心から作動部の両縁部方向へ流通でき、液相の作動流体は、円滑に、平面型ヒートパイプ10の作動部の両縁部から中心方向へ還流できる。よって、冷却装置1は、発熱体100に対して優れた均熱、冷却性能を発揮できる。
【0073】
次に、本発明の冷却装置の他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例に係る冷却装置では、平面型ヒートパイプの4辺のうちの2辺に、長尺の平板材である冷却部材が設けられていたが、これに代えて、冷却部材を枠体とし、平面型ヒートパイプの非作動部に枠体の冷却部材を取り付けてもよい。この場合、平面型ヒートパイプの4辺に冷却部材が設けられる態様となる。上記各実施形態例に係る冷却装置では、長尺の平板材である冷却部材が、非作動部上に着設されていたが、これに代えて、ブロック状の冷却部材が、非作動部上に着設されてもよい。また、ブロック状の冷却部材に溝部を設け、該溝部に非作動部を挿入し、冷却部材をカシメ処理することで、非作動部にブロック状の冷却部材を接合してもよい。
【0074】
また、上記各実施形態例では、平面型ヒートパイプの非作動部から作動部の縁部にかけて冷却部材が熱的に接続されて熱的接続部が形成されていた。すなわち、平面型ヒートパイプの非作動部及び作動部の縁部と冷却部材が平面視において重なり合うことで、熱的接続部が形成されていた。これに代えて、平面型ヒートパイプの非作動部のみが冷却部材と熱的に接続されてもよく、平面型ヒートパイプの作動部のみが冷却部材と熱的に接続されてもよい。すなわち、平面型ヒートパイプの非作動部のみと冷却部材が平面視において重なり合うことで熱的接続部が形成されていてもよく、平面型ヒートパイプの作動部のみと冷却部材が平面視において重なり合うことで熱的接続部が形成されていてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態例では、長尺の平板材である冷却部材にフィン部が設けられていたが、これに代えて、非作動部を外側へさらに伸延させて冷却部材としてもよい。さらに、非作動部を外側へさらに伸延させた部位を鉛直方向に折り曲げて、冷却部材にフィン部が設けられている態様としてもよい。
【0076】
上記使用方法例では、平面型ヒートパイプの主表面は、重力方向に対し略0°の角度に設置されたが、これに代えて、重力方向に対し0°超45°以下の角度に設置されてもよく、また、重力方向に対し45°超90°未満に設置されてもよく、重力方向に対し90°(すなわち、平面型ヒートパイプの主表面が水平方向)に設置されてもよい。
【0077】
また、第4実施形態例に係る冷却装置では、平面型ヒートパイプの縁部から、さらに、グラファイト板が延在していたが、熱伝導性を有する板材であれば、グラファイト板に限定されず、例えば、銅、アルミニウム等の金属板等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の冷却装置は、狭小空間でも設置でき、また、優れた冷却性能を発揮できるので、例えば、バッテリーセルの冷却分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10、60 平面型ヒートパイプ
11、61 作動部
12、62 非作動部
13 主表面
30 冷却部材
40 熱的接続部
50 グラファイトシート
65 グラファイト板