(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20220111BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20220111BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220111BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
B60R16/02 622
F16L5/02 A
(21)【出願番号】P 2018066517
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥林 良介
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 隆史
(72)【発明者】
【氏名】小原 光貴
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-73403(JP,A)
【文献】特開2001-352643(JP,A)
【文献】特表2008-536277(JP,A)
【文献】特開平11-166669(JP,A)
【文献】特開2002-101532(JP,A)
【文献】特表2015-524646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H01B 17/58
H01B 17/282
H02G 3/04
H01B 7/00
B60R 16/02
F16L 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを挿通保持する筒部と、前記筒部の長手方向の中間部において前記筒部よりも大径に形成されて取り付け対象であるパネルに形成された貫通状態の取り付け穴に嵌め込まれる嵌合鍔部を備えたグロメットであって、
前記嵌合鍔部に、取り付け先端側における前記筒部よりも外周側の部位に形成された周濠状の凹溝と、前記凹溝を形成する内周壁と外周壁を内外に連結する複数のリブが備えられ、
前記リブとして、前記外周壁寄りの部位が前記内周壁寄りの部位よりも、前記筒部の中心線から前記嵌合鍔部の外周へ径方向に延びる仮想の基準線に対して互いに近づく方向に傾斜する一対の傾斜リブを複数有している
グロメット。
【請求項2】
前記凹溝を形成する前記内周壁が前記筒部に形成され、
前記凹溝を形成する前記外周壁が前記嵌合鍔部に形成された
請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記一対の傾斜リブの前記基準線に対する傾斜角度が同一である
請求項1または請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記一対の傾斜リブが前記凹溝の周方向に沿って均等に配設された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項5】
前記一対の傾斜リブにおける前記内周壁に接する部分の間隔が、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブ同士の前記内周壁に接する部分の間隔よりも広く設定された
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項6】
前記リブとして、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブ同士の間で径方向に沿って延びる径方向リブが形成された
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項7】
前記一対の傾斜リブと前記径方向リブの数が同一である
請求項6に記載のグロメット。
【請求項8】
前記径方向リブの厚さが前記一対の傾斜リブの厚さより厚い
請求項6または請求項7に記載のグロメット。
【請求項9】
前記一対の傾斜リブで囲まれる部分の面積が、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブと前記径方向リブで囲まれる部分の面積よりも大きく設定された
請求項6から請求項8のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項10】
すべての前記リブが、前記筒部の中心線を通り前記嵌合鍔部の径方向に延びる複数の仮想の直径線上に、前記中心線を基準にして対称に配設され、
前記直径線のうちの少なくとも1つが前記リブを線対称に配設する対称軸となる
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項11】
すべての前記リブが前記凹溝の底まで延びている
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項12】
すべての前記リブの前記内周壁側の部位の厚さが前記外周壁側の部位の厚さより厚く形成された
請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項13】
前記嵌合鍔部における前記取り付け先端側とは反対の取り付け後端側における、前記筒部よりも外周側において前記取り付け先端方向へ向けて入り込む環状の変形凹溝が形成されて、前記変形凹溝と前記凹溝が前記外周壁を隔てて隣接する構造であり、
前記凹溝の底を前記筒部に向けて傾斜して延びる先細り形状にして前記外周壁が円錐形状に形成された
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【請求項14】
前記筒部が長手方向の一方の大径部と長手方向の他方の小径部を有するとともに、
前記大径部が取り付け先端側に形成され、
前記筒部の内周面における前記大径部と前記小径部との間に円錐面が形成され、
前記凹溝の底の先端が、前記円錐面と前記大径部との境界位置よりも前記小径部側の位置に形成された
請求項1から請求項13のうちいずれか一項に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車のダッシュパネルなどのパネルに取り付けられて、パネルを貫通するワイヤハーネスの保護や防水を図るためのグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
グロメットは、パネルを貫通するワイヤハーネスを保護しつつパネルに取り付けるものであるため、下記特許文献1に開示されているように、ワイヤハーネスを挿通保持する筒部と、パネルに対する取り付けのための嵌合鍔部を一体に備えた構造である。
【0003】
筒部はワイヤハーネスを保持するのに必要な長さであり、筒部の長手方向の中間部に嵌合鍔部が形成されている。嵌合鍔部は外周に張り出しており、取り付け対象であるパネルに形成された貫通状態の取り付け穴に嵌め込まれる。
【0004】
嵌合鍔部は取り付け穴に嵌めて固定するために、嵌合鍔部における筒部の長手方向に対応する方向の中間部に、取り付け穴に嵌まるくびれた形状の嵌合溝部を有している。嵌合溝部よりも取り付け先端側の部分には、嵌合溝部よりも外周へ張り出す嵌合段部と、取り付け先端側ほど小径となるテーパ面が順に形成されている。一方、嵌合溝部よりも取り付け後端側の部分には、嵌合段部よりも大きく外周に張り出す受け部が形成されている。受け部と、受け部の内周側に位置する筒部との間には、取り付け先端方向へ向けてテーパ面の裏側にかけて入り込む環状の変形凹溝が形成され、取り付け穴に対するグロメットの取り付け時に、嵌合段部の変形を可能にしている。
【0005】
嵌合鍔部は、パネルからの不測の脱落や変位のない安定した強固な取り付け状態を維持する必要があるので、嵌合鍔部には強度が要求されている。このため、肉厚となる部分はこれまで中実に形成されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、必要な取り付け強度を確保しながらも、軽量化を図ることができるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、ワイヤハーネスを挿通保持する筒部と、前記筒部の長手方向の中間部において前記筒部よりも大径に形成されて取り付け対象であるパネルに形成された貫通状態の取り付け穴に嵌め込まれる嵌合鍔部を備えたグロメットであって、前記嵌合鍔部に、取り付け先端側における前記筒部よりも外周側の部位に形成された周濠状の凹溝と、前記凹溝を形成する内周壁と外周壁を内外に連結する複数のリブが備えられ、前記リブとして、前記外周壁寄りの部位が前記内周壁寄りの部位よりも、前記筒部の中心線から前記嵌合鍔部の外周へ径方向に延びる仮想の基準線に対して互いに近づく方向に傾斜する一対の傾斜リブを複数有しているグロメットである。
【0009】
この構成では、嵌合鍔部の凹溝は、中実構造の場合に比べてグロメットの軽量化に寄与しており、筒部に対してワイヤハーネスを挿入する際には、筒部と嵌合鍔部の内周壁が外周側に広がる変形を許容する。この変形に際しては正面視略台形状をなす一対の傾斜リブが湾曲して荷重を弾力的に支持する。取り付け穴に対する取り付け状態においては、重力や振動、引っ張りなどによって外力がかかって外周側からの荷重がかかると、外周壁に向けて幅狭に傾いている一対の傾斜リブが互いに近接する方向に傾きながら圧縮応力を生じさせて荷重を弾力的に支持する。また嵌合鍔部の凹溝は、軽量化によって、重力や振動によってグロメットに生じる負荷を軽減する。
【0010】
この発明の態様として、前記凹溝を形成する前記内周壁が前記筒部に形成され、前記凹溝を形成する前記外周壁が前記嵌合鍔部に形成されたものとしてもよい。
【0011】
この構成では、凹溝における径方向の距離を大きくとることが可能で、軽量化に資する。
【0012】
この発明の態様として、前記一対の傾斜リブの前記基準線に対する傾斜角度を同一にして、正面視略等脚台形状としてもよい。
この構成では、基準線に対する傾斜角度が同一の一対の傾斜リブが、外周側からかかる荷重を安定性良く支持することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記一対の傾斜リブが前記凹溝の周方向に沿って均等に配設されたものとしてもよい。
この構成では、凹溝の周方向に均等に配設された一対の傾斜リブが、外周側からかかる荷重を、かかる部位にかかわらず、バランス良く支持することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記一対の傾斜リブにおける前記内周壁に接する部分の間隔を、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブ同士の前記内周壁に接する部分の間隔よりも広く設定してもよい。
この構成では、一対の傾斜リブ同士の内周壁に接する部分の間隔よりも広い一対の傾斜リブ部分が、内周側から外周側への変位を許容する部分を確保しつつ、外周側からの荷重を良好に支持する。
【0015】
この発明の態様として、前記リブとして、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブ同士の間で径方向に沿って延びる径方向リブを形成することができる。
この構成では、径方向リブが一対の傾斜リブ同士の間において外周側からかかる荷重に圧縮応力や曲げ応力で対抗して弾力的に支持し、一対の傾斜リブ間の変形を抑制する。
【0016】
径方向リブを備える場合、前記一対の傾斜リブと前記径方向リブの数を同一としてもよい。
この構成では、同数ずつ備えられた一対の傾斜リブと径方向リブが、隣接位置において異なる作用をして全体として均質な支持を実現することができる。
【0017】
径方向リブを備える場合はまた、前記径方向リブの厚さが前記一対の傾斜リブの厚さより厚くすることができる。
この構成では、外周側ほど間隔があく互いに隣り合う一対の傾斜リブ同士の間の径方向リブが、一対の傾斜リブよりも大なる厚さでもって、必要な強度を確保し、より効果的で有意義な軽量化を可能にする。
【0018】
径方向リブを備える場合はさらに、前記一対の傾斜リブで囲まれる部分の面積を、互いに隣り合う前記一対の傾斜リブと前記径方向リブで囲まれる部分の面積よりも大きく設定することができる。
この構成では、一対の傾斜リブ内の略台形をなす部分の空間の大きさが、隣接する一対の傾斜リブと径方向リブの間の略三角形をなす部分り空間よりも大きいので、一対の傾斜リブが凹溝の周方向に幅狭となったり、基準線に対する傾斜が緩すぎたりすることを回避して一対の傾斜リブを活かし、強度確保と軽量化の両立が可能となる。
【0019】
この発明の態様として、すべての前記リブを、前記筒部の中心線を通り前記嵌合鍔部の径方向に延びる複数の仮想の直径線上に、前記中心線を基準にして対称に配設し、前記直径線のうちの少なくとも1つが前記リブを線対称に配設する対称軸となるようにすることができる。
この構成では、仮想の直径線上に対称配置されたリブは、直径方向に突っ張って、取り付け状態を強力に維持する。
【0020】
この発明の態様として、前記リブが前記凹溝の底まで延ばすことができる。
この構成では、リブは荷重を凹溝の底にまで伝えて、強固に支持する。
【0021】
この発明の態様として、前記リブの前記内周壁側の部位の厚さが前記外周壁側の部位の厚さより厚く形成することができる。
この構成では、リブの根元ともいうべき内周壁側の部位の方が先端といえる外周壁側の部位よりも厚く、外周側からかかる荷重を強力に支持し、軽量化を図りつつも効果的な支持を実現する。
【0022】
この発明の態様として、前記嵌合鍔部における前記取り付け先端側とは反対の取り付け後端側における、前記筒部よりも外周側において前記取り付け先端方向へ向けて入り込む環状の変形凹溝が形成されて、前記変形凹溝と前記凹溝が前記外周壁を隔てて隣接する構造であり、前記凹溝の底を前記筒部に向けて傾斜して延びる先細り形状にして前記外周壁が円錐形状に形成されたグロメットとすることができる。
この構成では、円錐形状の外周壁が、筒部の外周側への変形を行いやすくする。
【0023】
この発明の態様として、前記筒部が長手方向の一方の大径部と長手方向の他方の小径部を有するとともに、前記大径部が取り付け先端側に形成され、前記筒部の内周面における前記大径部と前記小径部との間に円錐面が形成され、前記凹溝の底の先端が、前記円錐面と前記大径部との境界位置よりも前記小径部側の位置に形成されたグロメットとすることができる。
この構成では、円錐面と大径部との境界位置よりも深く形成された凹溝の底が、筒部の外周側への変形しやすさを増長する。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、必要な取り付け強度の確保と軽量化を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】グロメットの使用態様を示す一部断面側面図。
【
図4】グロメットの取り付け先端側の面を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0027】
図1に、グロメット11を取り付け先端側から見た斜視図を示す。グロメット11は、ゴムや合成樹脂で形成されており、
図2に示したように自動車のパネルダッシュパネルなどのパネル21を貫通するワイヤハーネス25に固定されて、このワイヤハーネス25をパネル21に取り付ける。
図2では、上半分に断面を、下半分に側面を示している。パネル21に対しての取り付けは、ワイヤハーネス25と一体になったグロメット11の取り付け先端側をパネル21に形成された貫通状態の取り付け穴22に向けて押し込むか(
図2の白抜き矢印F1参照)、グロメット11の取り付け先端側を取り付け穴22の反対側から引っ張るかして(
図2の白抜き矢印F2参照)行われる。
【0028】
このようなグロメット11は、ワイヤハーネス25を挿通保持する筒部13と、筒部13の長手方向の中間部で外周に張り出して、換言すれば筒部13よりも大径に形成されてパネル21の取り付け穴22に嵌め込まれる嵌合鍔部15を一体に備えている。
【0029】
筒部13は、ワイヤハーネス25を一体に保持するのに必要な長さに形成されている。ワイヤハーネス25は筒部13に挿通されたのち、筒部13の両端に粘着テープ(図示せず)を巻いて固定されるが、筒部13の全体がワイヤハーネス25の太さに見合った同じ太さであると、ワイヤハーネス25を挿入する際に拡径工具(図示せず)の拡径部分を挿入しにくいので、筒部13は、長手方向の一方にワイヤハーネス25の太さよりも大径の大径部31を有し、長手方向の他方にワイヤハーネス25の太さに見合った小径部32を有している。
【0030】
図示例のグロメット11では、大径部31が取り付け先端側に形成されている。大径部31は、挿通保持するワイヤハーネス25の太さよりも太いので、端部から長手方向に沿って切り込む切り込み部33が相対向する位置に2本形成されている。これは、粘着テープによる固定を行えるようにするためである。すなわち、切り込み部33で筒部13の大径部31を分割することによって、ワイヤハーネス25に対する粘着テープの巻き付けが段階的に行える。具体的には、切り込み部33で分割された大径部31の一方側の部分31aをワイヤハーネス25に固定し、このあと、切り込み部33で分割された大径部31の他方側の部分31bを、先に一体化したワイヤハーネス25と大径部31の一方側の部分31aに固定する。
【0031】
筒部13の内周面における大径部31と小径部32との間には、円錐面34が形成される。円錐面34の傾斜角度は、筒部13の長手方向における小径部32から大径部31への移行部分の長さも考慮して、所望の変形性が得られるように、例えば筒部13の長手方向に対して40°~55°程度の角度に設定される。
【0032】
嵌合鍔部15は、円形をなす取り付け穴22に固定するために、筒部13の長手方向に対応する方向の中間部に、取り付け穴22に嵌るくびれた形状の嵌合溝部51を有している。嵌合溝部51よりも取り付け先端側の部分には、嵌合溝部51よりも外周へ張り出す嵌合段部52と、取り付け先端側ほど小径となるテーパ面53が、嵌合溝部51側から順に形成されている。嵌合段部52とテーパ面53の外表面には、筒部13の長手方向と対応する方向に沿って延びる複数の突条54を全周にわたって均等に備えて、取り付け穴22に対する取り付け時の接触抵抗の低減を図っている。テーパ面53よりも取り付け先端側には、取り付け穴22よりも小径の円形をなす先端面部55が形成されている。
【0033】
嵌合鍔部15における嵌合溝部51よりも取り付け後端側、つまり取り付け先端側とは反対側の部分には、嵌合段部52よりも大径の円環状をなす受け部56が形成されている。受け部56は、所望の剛性を有する中実構造であり、外周縁に、取り付け先端側に向けて斜めに延びるリップ部56aを有している。
【0034】
嵌合鍔部15における取り付け後端側の面の筒部13よりも外周側の部位、つまり受け部56と、受け部56の内周側に位置する筒部13との間には、
図2、
図3に示すように取り付け先端方向へ向けて入り込む環状の変形凹溝57が形成されている。変形凹溝57は、嵌合段部52とテーパ面53の裏側に至る部位まで入り込む大きさであり、嵌合段部52のうちの最も外周側に張り出す部位には、径方向外側に向けて切り込む逆V字形の切り込み57aによって薄肉部52aが形成されている。
【0035】
図3に、グロメット11を取り付け後端側から見た斜視図を示す。前述したように筒部13の内周面に円錐面34が形成されているため、変形凹溝57の内周側面58は、円錐面34の裏側に位置するとともに、円錐面34に対応させて、略円錐状に形成されている。
【0036】
変形凹溝57が形成されることによって、取り付け穴22に対するグロメット11の取り付け時に嵌合段部52の変形が許容されるとともに、グロメット11の重量が低減される。
【0037】
嵌合鍔部15における前述の先端面部55、つまり取り付け先端側の面の筒部13よりも外周側の部位には、
図1、
図2に示したように周濠状の凹溝61が形成されて、軽量化がなされる。
【0038】
凹溝61は、筒部13の外周と嵌合鍔部15の内周との間に形成されている。つまり、凹溝61を形成する内周壁63は筒部13に形成され、凹溝61を形成する外周壁64は嵌合鍔部15に形成されることになる。
図2に示した例では、筒部13の大径部31の外周面位置よりも大径の段差部63aを有しているのが、ここでは、この段差部63aも筒部13の一部であるものとする。
【0039】
なお、筒部13と嵌合鍔部15の境界は必ずしも明確に区分できるものではなく、凹溝61は、前述のように筒部13の外周と嵌合鍔部15の内周との間に形成されるものであるほか、嵌合鍔部15のみに形成されるものであってもよい。
【0040】
凹溝61には、リブ62、つまり凹溝61を形成する内周壁63と外周壁64を内外に連結する複数のリブ62が備えられる。
【0041】
図4は、グロメット11の取り付け先端側の面を示し、
図5は
図4のA-A断面図、つまりリブ62の中心を通る位置で切断した断面図であり、
図6は
図4のB-B断面図、つまりリブ62の間を通る位置で切断した断面図である。また
図7は、リブ62の間を通る位置で切断した斜視図である。
【0042】
これらの図にも示したように、嵌合鍔部15における取り付け後端側には、前述のような変形凹溝57が形成されており、変形凹溝57は円錐状の内周側面58を有しているので、凹溝61は、凹溝61を形成する外周壁64を隔てて変形凹溝57と隣接することになり、凹溝61の底は筒部13の小径部32に向けて傾斜して延びる先細り形状であって、外周壁64は円錐状である。つまり、凹溝61の断面形状は略三角形状又は略扇形形状である。そして、外周壁64の内周方向の延長線上には、小径部32にかけて円錐状壁65が連設されており、円錐状壁65の内面が、前述した筒部13の円錐面34となる。
【0043】
凹溝61の底の先端61aは、
図6、
図7に示したように、円錐面34と大径部31との境界位置34aよりも小径部32側の位置に形成される。換言すれば、凹溝61はより深い位置まで形成されている。
【0044】
前述のリブ62としては、
図4に示したように、一対の傾斜リブ66と、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66同士の間に形成された径方向リブ67の二種類のリブ62を、それぞれ複数備えている。一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67は、凹溝61の周方向に沿って均等に配設されており、一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67の数は同一である。具体的には一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67は4個ずつであり、同一種類のリブ62は90°間隔で配設されている。
【0045】
図8は、わかりやすくするために
図4に表した表面の立体形状を示す細線を除去して、グロメット11の取り付け先端側の面を簡素化して描いたものである。この図を用いて一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67について説明する。
【0046】
一対の傾斜リブ66は、2本の傾斜リブ担体66aからなり、傾斜リブ担体66aは、外周壁64寄りの部位が内周壁63寄りの部位よりも、筒部13の中心線Cから嵌合鍔部15の外周へ径方向に延びる仮想の基準線Dに対して互いに近づく方向に傾斜している。一対の傾斜リブ66の基準線Dに対する傾斜角度αは同一である。また傾斜リブ担体66aにおける内周壁63寄りの部位から外周壁64寄りの部位にかけての厚さは均一である。
【0047】
傾斜リブ担体66aの傾斜角度αは、凹溝61を形成する内周壁63と外周壁64との間隔や、内周壁63や外周壁64の直径などの条件に応じて適宜設定されるが、例をあげれば、基準線Dに対して15°~20°程度の傾きに設定するとよい。
【0048】
図示例においては、一対の傾斜リブ66を構成する傾斜リブ担体66aは互いに接することなく、内周壁63と接する部位はもちろんのこと、外周壁64と接する部位でも互いに離れている。このため、一対の傾斜リブ66と内周壁63と外周壁64で区画される部分は、正面視で略等脚台形となる。
【0049】
また、複数配設される一対の傾斜リブ66の配設間隔は、一対の傾斜リブ66における内周壁63に接する部分の間隔aが、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66同士の内周壁63に接する部分の間隔bよりも広くなるように、つまりa>bとなるように設定される。ここで、間隔を示す基準位置は、傾斜リブ担体66a幅方向の中間位置、つまり傾斜リブ担体66aの中心線位置としている。
【0050】
径方向リブ67は、径方向に沿って直線状に延びるものである。径方向リブ67における内周壁63寄りの部位から外周壁64寄りの部位にかけての厚さは均一である。また、径方向リブ67の形成位置は、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66の間の中間位置に設定されている。
【0051】
前述したように一対の傾斜リブ66と径方向リブ67は、凹溝61の周方向に沿って均等に配設され、一対の傾斜リブ66と径方向リブ67の数は同一であって、巨視的にみると、すべてのリブ62、つまり一対の傾斜リブ66と径方向リブ67は、筒部13の中心線Cを通り嵌合鍔部15の径方向に延びる複数の仮想の直径線E上に、中心線Cを基準にして対称に配設されて、直径線Eのうちの少なくとも1つがリブ62を線対称に配設する対称軸となることになる。「対称に配設」とは、仮想の直径線E上の中心線Cを通って仮想の直径線Eに直交する線を対称軸として線対称となる配設の意味であり、一対の傾斜リブ66同士が中心線Cを境に仮想の直径線E上で対峙し、径方向リブ67同士が中心線Cを境に仮想の直径線E上で対峙する。
【0052】
径方向リブ67は一対の傾斜リブ66とは異なり傾斜していないので、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67と内周壁63と外周壁64で区画される部分は、正面視で略三角形又は三角形に近い略台形となる。
【0053】
一対の傾斜リブ66と内周壁63と外周壁64で区画される部分の面積S1と、一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67と内周壁63と外周壁64で区画される部分の面積S2の観点から付言すると、前者の面積S1、つまり一対の傾斜リブ66で囲まれる部分の面積S1は、後者の面積S2、つまり互いに隣り合う一対の傾斜リブ66と径方向リブ67で囲まれる部分の面積S2よりも大きく、S1>S2に設定される。換言すれば、一対の傾斜リブ66と内周壁63と外周壁64で区画される部分の空間は、一対の傾斜リブ66及び径方向リブ67と内周壁63と外周壁64で区画される部分の空間よりも大きい。
【0054】
また、すべてのリブ62は、内周壁63と外周壁64を部分的に連結しているのではなく、リブ62は内周壁63と外周壁64で形成される凹溝61の底まで延びており、リブ62によって複数に分割される凹溝61の中空空間61bは、リブ62を介して互いに連通することのない完全な独立構造となる。
【0055】
一対の傾斜リブ66と径方向リブ67の厚さは、軽量化と強度を考慮して適宜設定されるが、二種類のリブ(一対の傾斜リブ66と径方向リブ67)の関係では、径方向リブ67の厚さt1を一対の傾斜リブ66の厚さt2以上、または一対の傾斜リブ66の厚さt2を径方向リブ67の厚さt1以下とするとよい。つまり、t1≧t2であり、
図1、
図4に示した例では、一対の傾斜リブ66と径方向リブ67の厚さは同一にしたが、
図9の(a)に示したように、径方向リブ67の方を厚くすることもできる。
【0056】
またリブ62の厚さは、
図1、
図4に示した例では内周壁63側の部位と外周壁64側の部位で違いのない均一な厚さとしたが、
図9の(b)に示したように、リブ62の内周壁63側の部位の厚さt3を外周壁64側の部位の厚さt4より厚く、つまりt3>t4となるように形成することもできる。
【0057】
以上のように構成されたグロメット11は、筒部13にワイヤハーネス25が挿通保持されたのち、嵌合鍔部15がパネル21の取り付け穴22に嵌めつけられる。
【0058】
まず、筒部13に対してワイヤハーネス25を挿通保持する際には、大径部31に拡径工具を差し込んで筒部13を拡径する。このとき、筒部13自体は拡径変形可能であるとともに、筒部13から外周側に張り出すように存在する嵌合鍔部15には凹溝61が形成されているので、この凹溝61が筒部13の拡径変形を許容する。しかも、一対の傾斜リブ66は、外周側にかけてすぼむように傾斜しているので、筒部13を形成する部位でもある内周壁63に接する部分は傾斜リブ担体66aが接していない部位を広く取れるので、拡径変形は比較的自由に行える。このため、筒部13に対するワイヤハーネス25の挿入作業は行いやすい。
【0059】
筒部13にワイヤハーネス25を挿通したあとは、筒部13の上から粘着テープを巻き付けてワイヤハーネス25と一体化する。このとき、大径部31においては、切り込み部33で分割された一方側の部分31aと他方側の部分31bのいずれかを先にワイヤハーネス25に固定してから、残りの部位を先に一体化した部分に固定する。このようにして固定をするため、作業の仕方によっては固定のバランスが悪くなって、嵌合鍔部15の先端面部55の近傍や嵌合鍔部15とワイヤハーネス25の位置関係に歪みが生じるおそれがあるが、万が一歪みが生じるような場合になっても、均等配置された一対の傾斜リブ66と径方向リブ67が中空空間61bと協働して歪を吸収する。
【0060】
そして、ワイヤハーネス25を固定した状態においては、ワイヤハーネス25と一体であり、筒部13と嵌合鍔部15の位置関係は強固に保持される。このため、嵌合鍔部15をパネル21の取り付け穴22に嵌めつける際には、ワイヤハーネス25やグロメット11を持って嵌合鍔部15を取り付け穴22に対して押しつけて嵌める場合でも、取り付け穴22の反対側から引っ張って嵌める場合でも、ワイヤハーネス25又はグロメット11にかけた押しつけ力や引張力は、嵌合鍔部15に対して良好に伝わる。このため、取り付け穴22に対する嵌合鍔部15の所望の嵌めつけが確実に行える。
【0061】
嵌合鍔部15を取り付け穴22に嵌めた状態においては、嵌合鍔部15が凹溝61を有するものの、凹溝61に形成された一対の傾斜リブ66と径方向リブ67が嵌合鍔部15の変形を抑制するので、取り付け穴22に対する嵌めつけ状態が強固に維持され、不測の脱落や変位を防止できる。
【0062】
具体的には、
図10の(a)に示したように、重力や振動、ワイヤハーネス25の引っ張りなどによって、嵌合鍔部15に外周側から荷重がかかった場合であって一対の傾斜リブ66の中心線方向ら力が作用したときには、一対の傾斜リブ66の傾斜リブ担体66aが互いに接近する内側に倒れる方向の荷重を受け、主に圧縮応力で抵抗して、嵌合鍔部15の変形を抑制する。一対の傾斜リブ66の中心線からずれた方向から力が作用したときには、一対の傾斜リブ66を構成する傾斜リブ担体66aがそれぞれに圧縮応力や曲げ応力で抵抗して、嵌合鍔部15の変形を抑制する。
【0063】
嵌合鍔部15に外周側から荷重がかかった場合であって径方向リブ67の中心線方向から力が作用したときには、径方向リブ67は圧縮応力で抵抗して、嵌合鍔部15の変形を抑制する。径方向リブ67の中心線からずれた方向から力が作用したときには、曲げ応力で抵抗して、嵌合鍔部15の変形を抑制する。
【0064】
これらいずれの場合でも、隣接位置にある一対の傾斜リブ66または径方向リブ67も同時に荷重に対して抵抗することはもちろんである。
【0065】
このような作用をするので、グロメット11の嵌合鍔部15の不測の変形は抑制され、重力や振動、引張力がかかった場合でも、取り付け穴22に対する取り付け状態を維持できる。
【0066】
一方、挿通保持したワイヤハーネス25に荷重がかかって、筒部13に対して嵌合鍔部15との間で相対変位する力が作用した場合には、前述した筒部13に対するワイヤハーネス25の挿入作業時のように、内側から外周側には柔軟に変形できるので、
図10の(b)に示したように、内側からかかる荷重による歪を吸収することができる。つまり、内側から外周方向に荷重がかかっても、その荷重による歪は外周部には伝達されないので、この点からも嵌合鍔部15の変形を抑制して、取り付け穴22に対する取り付け状態を維持できる。
【0067】
そして、嵌合鍔部15の凹溝61は、凹溝61の反対側に形成された変形凹溝57とともにグロメット11の軽量化を行う。特に凹溝61を形成する内周壁63は筒部13に形成され、凹溝61を形成する外周壁64は嵌合鍔部15に形成されているので、凹溝61における径方向の距離を大きくとることで、より軽くすることができる。この軽量化によって、重力や振動に起因するグロメット11に対する負荷も低減されるので、肉抜きによる単なる軽量化だけではなく、取り付け強度も向上できるという相乗効果が得られる。
【0068】
また、軽量化を図りつつも、凹溝61を形成する内周壁63は段差部63aを有しているので、嵌合鍔部15を有する部位に必要な剛性を持たせることもできる。
【0069】
以上のように、前述のような構成のグロメット11では、必要な取り付け強度の確保と軽量化の両立を図ることができる。
【0070】
特に、一対の傾斜リブ66における内周壁63に接する部分の間隔aは、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66同士の内周壁63に接する部分の間隔bよりも広いので、内周側から外周側への変位を許容する部分を確保しつつ、外周側からの荷重を良好に支持するので、前述した外側からの圧力に強く、内側からの広がりには柔軟であるという効果を増長できる。
【0071】
内側からの広がりには柔軟であるという効果は、凹溝61の底が筒部13に向けて傾斜して延びており、外周壁64と円錐状壁65が円錐形であることと、凹溝61の底の先端61aが筒部13の円錐面34と大径部31との境界位置34aよりも小径部32側の位置に形成されていることによって高められる。つまり、凹溝61の底が筒部13の長手方向と直交する方向に延びる平面である場合と比較して、円錐形であるので柔軟に変形できる。
【0072】
また、一対の傾斜リブ66の基準線Dに対する傾斜角度αは同一であるので、外周側からかかる荷重は安定性良く支持できる。
【0073】
しかも、一対の傾斜リブ66と径方向リブ67が凹溝61の周方向に沿って同数ずつ均等に配設されているので、この点からも、外周側からかかる荷重を、かかる部位にかかわらず、バランス良く、全体として均質に効果的に支持して、変形抑制をすることができる。
【0074】
そのうえ、すべてのリブ62は、筒部13の中心線Cを通り嵌合鍔部15の径方向に延びる複数の仮想の直径線E上に、中心線Cを基準にして対称に配設されているので、仮想の直径線E上に対称配置されたリブ62は、直径方向に突っ張ることになる。このため、取り付け状態を強力に維持できる。
【0075】
さらに、一対の傾斜リブ66に加えて、一対の傾斜リブ66同士の間で径方向に沿って延びる径方向リブ67を備えており、径方向リブ67は外周側からかかる荷重に対して圧縮応力や曲げ応力で対抗して弾力的に支持するので、これとは作用の異なる一対の傾斜リブ66の作用を補助するとともに、一対の傾斜リブ66と協働して嵌合鍔部15の変形を抑制するので、変形抑制効果が高い。
【0076】
加えて、一対の傾斜リブ66で囲まれる部分の面積S1を、互いに隣り合う一対の傾斜リブ66と径方向リブ67で囲まれる部分の面積S2よりも大きく設定しているので、一対の傾斜リブ66の形態が凹溝61の周方向に幅狭となったり基準線Dに対する傾斜が緩すぎたりすることはなく、一対の傾斜リブ66を活かして、強度確保と軽量化の両立を図ることができる。
【0077】
図9の(a)に示したように径方向リブ67の厚さt1を一対の傾斜リブ66の厚さt2以上とすると、外周側ほど間隔があく一対の傾斜リブ66同士の間の径方向リブ67が、一対の傾斜リブ66よりも大なる厚さでもって必要な強度を確保するので、より効果的で有意義な軽量化が実現できる。
【0078】
図9の(b)に示したようにリブ62の内周壁側の部位の厚さt3を外周壁側の部位の厚さt4以上に形成した場合には、圧力がかかることによって高い応力が発生しやすいリブ62の根元側の部位の強度を高めることができる。このため、必要な部分の強度を高めて軽量化を図りつつも効果的な支持を実現することができる。
【0079】
また、リブ62は凹溝61の底まで延びているので、リブ62は荷重を凹溝61の底にまで伝えて、強固に支持することができ、軽量化を図りながらも必要な取り付け強度を確保できる。
【0080】
図11に応力解析を行った結果を示す。
図11の(a)は、一対の傾斜リブ66の中心線方向から外力が作用した状態であり、(b)は径方向リブ67の中心線方向から外力が作用した状態である。これらに示すように、いずれの場合も荷重を良好に支持して嵌合鍔部15の外周部の変形が抑制されることが判る。
【0081】
図11の(c)と(d)は、比較例であり、前述の(a)、(b)のグロメットと同じ体積で放射状に延びるリブを等間隔に8本備えた構造の場合を示している。同じ体積であるため、(c)、(d)の場合はリブの厚さが(a)、(b)の場合よりも厚くなっている。
【0082】
図11の(c)に見られるようにリブの中心線方向から荷重がかかった場合には荷重を支持できるものの、
図11の(d)に示したように2本のリブの中間位置に対応する方向から荷重がかかった場合には、嵌合鍔部の外周部に過大な応力が生じており、嵌合鍔部の外周部に変形のおそれがあることが判る。
【0083】
このことから、同一の体積、つまり同一の重量のグロメット11であっても、前述の(a)、(b)のグロメット11のほうが嵌合鍔部15の変形を抑制できるといえる。
【0084】
前述の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0085】
たとえば、パネル21の取り付け穴22は円形に限らず、例えば楕円形などであってもよく、このような場合にはリブは一律な均等ではなく、形状に合わせて均等にバランスよく配設されるとよい。
【符号の説明】
【0086】
11…グロメット
13…筒部
15…嵌合鍔部
21…パネル
22…取り付け穴
25…ワイヤハーネス
31…大径部
32…小径部
34…円錐面
57…変形凹溝
61…凹溝
62…リブ
63…内周壁
64…外周壁
65…円錐状壁
66…一対の傾斜リブ
67…径方向リブ