(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/25 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
G02B6/25
(21)【出願番号】P 2019042804
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】森 健二
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-057204(JP,U)
【文献】特開2012-008472(JP,A)
【文献】特開2008-203815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/24 - 6/255
G02B 6/36 - 6/40
G02B 6/46 - 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを切断する切断装置であって、
円盤状の刃部材と、
前記刃部材の位置を規制する位置決め部を有する位置決め部材を備えるベース部材と、
前記刃部材とともに回転可能な歯車と、
前記歯車と噛み合う爪部を有するアーム部材と、
前記アーム部材を動作させる操作部と、
前記ベース部材に対して高さが変化可能に配置され、前記刃部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記位置決め部の方向へ押圧する弾性部材と、
を具備し、
前記操作部を一方に移動させることで、前記アーム部材が前記歯車及び前記刃部材を前記弾性部材の押圧方向とは逆方向に引き戻しながら回転させて、前記刃部材の周方向位置を
変更可能であり、
前記ベース部材は、前記弾性部材の押圧方向に前記歯車と噛み合う係止部を更に備え、
前記操作部を一方に移動させることで、前記アーム部材は、前記弾性部材の押圧方向とは逆方向に前記歯車及び前記刃部材を引き戻し、前記歯車と前記係止部との噛み合いを解除しつつ前記歯車を回転させることが可能であることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記アーム部材は、前記歯車に沿った湾曲形状であり、前記弾性部材の押圧方向と、前記操作部の移動方向が略直交する方向であることを特徴とする請求項
1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記位置決め部材はスリットを有し、前記刃部材の一部が前記スリットの裏側から挿入され、前記刃部材の刃部の両側が前記スリットの内縁部と接触し、前記刃部材の先端が、前記スリットの表面側に突出し、
前記係止部が、前記歯車の中心よりも前記スリット側に配置されることを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを切断する切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを融着接続する際には、まず、光ファイバ心線の被覆を除去した後、所定の寸法に光ファイバが切断される。光ファイバを切断するための切断装置としては、光ファイバ心線の被覆を除去してガラスファイバ部を露出させ、該ガラスファイバ部分に円盤状の刃部材を接触させて表面に傷をつけ、切断するものがある。
【0003】
しかし、上述の切断装置は、刃部材が光ファイバと接触を繰り返すことにより劣化することがある。そのため、切断作業時に刃部材を回転させることにより、光ファイバとの接触位置を更新するものが提案されている。
【0004】
このような切断装置としては、例えば、刃部材の回転位置等の情報の取得が可能な演算部や記憶部等を有し、予め設定された順に、刃部材を、所定の回転角度や高さに制御することが可能な光ファイバ切断システムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシステムは大掛かりであり、複雑である。このため、より簡易な構造で刃部材の回転を行うことが可能な切断装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構造で刃部材を容易に回転させることが可能な切断装置を提供することを目的とする。
【0008】
前述した目的を達成するために本発明は、光ファイバを切断する切断装置であって、円盤状の刃部材と、前記刃部材の位置を規制する位置決め部を有する位置決め部材を備えるベース部材と、前記刃部材とともに回転可能な歯車と、前記歯車と噛み合う爪部を有するアーム部材と、前記アーム部材を動作させる操作部と、前記支持部材を前記位置決め部の方向へ押圧する弾性部材と、を具備し、前記操作部を一方に移動させることで、前記アーム部材が前記歯車及び前記刃部材を前記弾性部材の押圧方向とは逆方向に引き戻しながら回転させて、前記刃部材の周方向位置を変更可能であり、前記ベース部材は、前記弾性部材の押圧方向に前記歯車と噛み合う係止部を更に備え、前記操作部を一方に移動させることで、前記アーム部材は、前記弾性部材の押圧方向とは逆方向に前記歯車及び前記刃部材を引き戻し、前記歯車と前記係止部との噛み合いを解除しつつ前記歯車を回転させることが可能であることを特徴とする切断装置である。
【0010】
前記アーム部材は、前記歯車に沿った湾曲形状であり、前記弾性部材の押圧方向と、前記操作部の移動方向が略直交する方向であってもよい。
【0011】
前記位置決め部材はスリットを有し、前記刃部材の一部が前記スリットの裏側から挿入され、前記刃部材の刃部の両側が前記スリットの内縁部と接触し、前記刃部材の先端が、前記スリットの表面側に突出し、前記係止部が、前記歯車の中心よりも前記スリット側に配置されてもよい。
【0012】
本発明によれば、操作部を操作することで歯車とともに刃部材を回転させるため、構造が簡易である。また、作業者は、任意のタイミングで刃部材を回転させることができるため、刃部材の使用状態や切断された光ファイバの断面の状態等に応じて刃部材の回転タイミングを決めることができる。
【0013】
また、歯車の回転を規制する係止部によって、意図せずに刃部材が回転することを抑制することができる。また、操作部を一方向に操作することで、歯車の係止部との噛み合いの解除と回転とを同時に行うことができるため、操作が容易であるとともに、操作部を元の位置に戻す際には、歯車と係止部とを噛み合わせて、逆回転を規制することができる。
【0014】
特に、アーム部材を、歯車に沿った湾曲形状とすることで、弾性部材の押圧方向と操作部の移動方向とを略直交する方向とすることができる。このようにすることで、操作部の位置の自由度が大きく、例えば、操作部を切断装置の底面側に配置することもできる。このため、通常の使用時に、操作部が作業の邪魔になることがない。
【0015】
また、位置決め部材がスリットを有し、刃部材をスリットの内縁部と接触させて刃部材の先端をスリットの表面側に突出させることで、刃部材の回転軸が偏心している場合でも、確実に、刃部材のスリットからの突出高さを一定とすることができる。また、係止部を歯車の中心よりもスリット側に配置することで、歯車をスリットへ押圧するとともに、歯車と係止部とを確実に噛み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構造で刃部材を容易に回転させることが可能な切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は、切断装置1を示す平面図、(b)は、切断装置1を示す側面図。
【
図4】(a)、(b)は切断装置1の動作を示す図。
【
図5】(a)、(b)は切断装置1の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は、切断装置1を示す平面図であり、
図1(b)は切断装置1を示す側面図であり、
図2は、
図1(a)のA-A線断面図である。
【0019】
切断装置1は、ベース部材3、支持部材5、位置決め部材7、刃部材9、歯車15、操作部17、弾性部材19、アーム部材23等から構成される。切断装置1は、光ファイバを所定の位置で切断するための装置である。図示を省略した光ファイバに対して、切断装置1をスライド動作させることで、刃部材9によって光ファイバに傷をつけることができる。また、光ファイバの傷部分に曲げ応力等を加えることで、光ファイバを切断することができる。
【0020】
ベース部材3は、上方に、位置決め部材7を備える。位置決め部材7の上部にはスリット11が形成される。スリット11の内縁部は、刃部材9の位置を規制するための位置決め部7aとなる。なお、位置決め部7aによる刃部材9の位置決め方法については詳細を後述する。
【0021】
図2に示すように、位置決め部材7には、刃部材9を支持する支持部材5が取り付けられる。支持部材5の一端は、位置決め部材7に対してヒンジ部13によって接合される。支持部材5は、位置決め部材7に対してヒンジ部13を中心に回動可能である。支持部材5の一端がヒンジ部13に接合され、他端が位置決め部材7に対して回動することで、支持部材5の高さが変化する。すなわち、刃部材9を支持する支持部材5は、ベース部材3に対して高さが変化可能に配置される。
【0022】
ベース部材3には、支持部材5を上方へ押圧する弾性部材19が設けられる。すなわち、支持部材5は、弾性部材19によって、位置決め部材7の上方(ベース部材3から離れる方向)の位置決め部7aの方向へ押圧される。
【0023】
支持部材5には、円盤状の刃部材9が回転可能に取り付けられる。刃部材9には、歯車15が同一軸上に固定される。すなわち、歯車15は、刃部材9とともに回転可能であり、歯車15を回転させることで、刃部材9を回転させることができる。したがって、歯車15によって、前述したスリット11から突出する刃部材9の周方向位置を変更することができる。このため、光ファイバと接触する刃部材9の周方向位置を変えることが可能である。
【0024】
歯車15の外周部には、アーム部材23が配置される。アーム部材23の一方の端部には、爪部23aが配置される。爪部23aは歯車15と噛み合う部位である。アーム部材23の他方の端部には、操作部17が接続される。操作部17によって、アーム部材23を動作させることができる。操作部17の一部は、切断装置1の下面に露出し、使用者が操作可能である。
【0025】
操作部17は、弾性部材19の押圧方向(図中上方)に対して略直交する方向(図中左右方向)に移動可能である。例えば、操作部17は、通常時には、弾性部材25によって、図中右側に押圧されている。この際には、アーム部材23も操作部17とともに図中右側に移動する。なお、この状態では、爪部23aと歯車15とは噛み合っていなくてもよい。この状態から、操作部17を図中左側に移動させることで、操作部17とともにアーム部材23を左側に移動させることができる。
【0026】
ベース部材3に備えられた位置決め部材7の内面には、係止部21が設けられる。係止部21は、歯車15の上方(弾性部材19の押圧方向)に配置される。すなわち、係止部21は、歯車15の中心よりも前述したスリット11側に配置される。前述したように、支持部材5は、弾性部材19によって位置決め部7a方向(上方)に押圧される。このため、支持部材5で支持される刃部材9及び歯車15も、上方に押圧される。歯車15の上方には係止部21が配置されるため、歯車15は係止部21へ押圧される。この結果、歯車15は係止部21と噛み合い、回転が規制される。
【0027】
ここで、アーム部材23は、歯車15の形状に沿った湾曲形状である。このため、アーム部材23の先端の爪部23aを、歯車15の外周部において、操作部17から離れた位置に配置することができる。すなわち、爪部23aと歯車15とが噛み合う、歯車15の周方向の位置を任意に設定することができる。なお、歯車15の周方向に対する爪部23aと歯車15との噛み合い位置としては、係止部21の位置(図中F)を起点(0度)として、回転方向(図中時計周り)に45度から135度の範囲(図中G)であることが望ましい。刃部材9の回転操作については、詳細を後述する。
【0028】
次に、刃部材9の位置決め方法について詳細に説明する。
図3は、
図2のB-B線部分断面図である。前述したように、刃部材9は支持部材5に取り付けられる。また、支持部材5は、弾性部材19によって位置決め部7aに常に押圧される。このため、刃部材9は、スリット11と接触する。
【0029】
より詳細には、刃部材9の刃部の両側にはテーパ部が形成され、刃部の両側のテーパ部が、スリット11の内縁部の位置決め部7aと接触する。すなわち、刃部材9の一部は、スリット11の裏側から挿入され、刃部材9の刃部の両側がスリット11の内縁部と接触し、刃部材9の先端が、スリット11の表面側に突出する。なお、スリット11の内面は、刃部材9の刃先のテーパ形状に対応するテーパ形状である。
【0030】
ここで、刃部材9は、円盤状であって、光ファイバと接触する周方向位置を変えることができる。この際、刃部材9の回転中心から刃先までの長さ(
図3のD)が周方向で完全に一定であれば、刃部材9を回転させても、刃先の位置は変わらない。一方、刃部材9の回転軸がわずかに偏心していると、刃部材9を回転させることで、刃部材9の回転中心から刃先までの距離が変化する。
【0031】
これに対し、本発明では、刃部材9の先端部近傍はスリット11の内縁部と接触して位置決めされる。したがって、刃部材9は、位置決め部7aによって位置が規制され、スリット11から突出する刃部材9の刃先の長さ(
図3のC)は、略一定となる。
【0032】
このように、刃部材9の高さを規制する位置決め部7aへ、刃部材9を押圧する弾性部材19を設けることにより、スリット11からの刃部材9の刃先の突出代が一定となるため、ベース部材3から刃部材9の刃先までの距離(
図3のE)を、刃部材9の偏心によらず、略一定とすることができる。従って、光ファイバと刃部材9との位置関係を略一定に維持することができ、常に一定の条件で、光ファイバに傷をつけることができる。このため、傷の深さのばらつきによって生じる、光ファイバの切断面の形状バラツキや切断不良などが生じることを抑制することができる。なお、刃部材9の偏心量は、支持部材5の高さ変化で吸収することができる。
【0033】
なお、刃部材9の先端位置を調整するためには、位置決め部材7の高さを調整することもできる。例えば、位置決め部材7とベース部材3とをネジ留めし、ネジ留め位置を調整することで、ベース部材3に対する位置決め部材7の高さを微調整することができる。したがって、ベース部材3に対して、刃部材9の先端位置を微調整することができる。
【0034】
次に、刃部材9の回転操作について説明する。
図4(a)は、通常時における歯車15とアーム部材23の位置関係を示した図である。なお、以下の図において、主に刃部材9の回転動作の説明に必要な構造を図示し、説明に不要な一部の部材は透視したものとする。
【0035】
前述したように、歯車15は、刃部材9及び刃部材9を支持する支持部材5とともに、弾性部材19によって上方に押圧される。このため、歯車15の上方に配置された係止部21と歯車15とが噛み合い、歯車15の回転が規制される。このため、光ファイバの切断作業時に、刃部材9が意図せず回転することを防止することができる。また、操作部17は、弾性部材25によって図中右方向へ押圧されるため、アーム部材23は、歯車15から離れた位置に待機する。
【0036】
この状態から操作部17を、弾性部材25に対抗して一方に移動させると(図中矢印H)、アーム部材23が操作部17とともに歯車15方向に移動し(図中矢印I)、爪部23aが歯車15に噛み合う。
【0037】
この際、爪部23aと歯車15の周方向の噛み合い位置が、係止部21に近い位置(
図2のF~Gの範囲)であるため、歯車15には、係止部21から引き戻す力と、歯車15を回転させる力とが付与される(図中矢印J)。このため、弾性部材19の押圧方向とは反対方向に支持部材5が下向きに引き戻され、歯車15が下方に移動する(図中矢印K)。すなわち、アーム部材23によって、弾性部材19の押圧方向とは逆方向に歯車15が引き戻される。この結果、歯車15と係止部21との噛み合いが解除される。
【0038】
この際、歯車15には同時に回転方向の力も付与されているため、
図5(a)に示すように、歯車15が回転する(図中矢印L)。すなわち、操作部17を一方に移動させることで、歯車15と係止部21との噛み合いを解除しつつ、歯車15を回転させることが可能である。なお、操作部17の一度の操作に伴う回転量は、例えば、歯車15の歯の一ピッチ分とすることができる。このようにすることで、操作部17の操作によって、歯車15を所定の角度だけ回転させることができる。
【0039】
なお、操作部17を離すと、
図5(b)に示すように、弾性部材25によって、操作部17は元の一に戻る(図中矢印M)。この際、爪部23aの移動によって歯車15には逆回転方向の力が付与される恐れがあるが、弾性部材19によって支持部材5が上方に押圧されているため、操作部17を元の位置を戻す際には、歯車15は直ちに上方に移動する(図中矢印N)。
【0040】
このため、歯車15が係止部21と噛み合い、歯車15の回転が規制される。すなわち、操作部17を戻す際には、刃部材9の逆回転が規制される。このように、操作部17を一方に移動させることで、アーム部材23が歯車15及び刃部材9を弾性部材19の押圧方向とは逆方向に引き戻しながら回転させて、刃部材9の周方向位置を変更することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、刃部材9に歯車15を固定して、歯車15を操作部17の操作によって回転させるため、使用者は、任意のタイミングで刃部材9を所定角度回転させ、周方向の切断位置を変えることができる。この際、操作部17によって歯車を回転させる構造であるため、構造が簡易である。
【0042】
また、刃部材9を支持する支持部材5を上方に押圧する弾性部材19を設け、歯車15に対して、弾性部材19の押圧方向に係止部21を配置することで、歯車15と係止部21とを噛み合わせた状態を維持することができる。このため、通常使用時に歯車15及び刃部材9が意図せず回転することを抑制することができる。
【0043】
また、アーム部材23の先端部の爪部23aと歯車15との噛み合い位置を適切な位置に設定することで、操作部17による操作によって、歯車15に対して、回転方向の力のみではなく、弾性部材19による押圧方向に対して引き戻す方向の力を付与することができる。このため、操作部17の操作によって、歯車15と係止部21の解除と、歯車15の回転を同時に行うことができる。
【0044】
また、操作部17の操作を終えると、弾性部材25によって操作部17を元の位置に戻すことができる。この際、歯車15は上方に移動して係止部21と噛み合うため、爪部23aによって逆回転方向の力が付与されても、歯車15及び刃部材9が逆回転することを抑制することができる。
【0045】
なお、弾性部材19による押圧方向は、スリット11からの刃部材9の突出方向である。このため、歯車15に弾性部材19の押圧方向とは逆方向の力を加えるために、操作部17の移動方向を、弾性部材19の押圧方向(上下方向)とすると、操作部17を切断装置1の側面に配置する必要がある。このため、操作部17と他の構造との干渉の恐れや、操作部17の操作が困難となる恐れがある。
【0046】
これに対し、アーム部材23を湾曲させて、弾性部材19の移動方向に対して操作部17の移動方向を略垂直にすることで、操作部17を切断装置1の底面に配置することができるため、レイアウトの自由度が高く、操作も容易である。
【0047】
また、刃部材9の高さを規制する位置決め部7aへ刃部材9を押圧する弾性部材19を設けることにより、刃部材9の回転軸が偏心している場合でも、スリット11の表面側に突出する刃部材9の先端の高さを一定とすることができる。すなわち、光ファイバと刃部材9の刃部との位置関係を一定に維持できる。
【0048】
このため、常に一定の条件で、光ファイバに傷をつけることができる。この結果、傷の深さのばらつきによって生じる、光ファイバの切断面の形状バラツキや切断不良などが生じることを抑制することができる。したがって、光ファイバの切断品質を高めることができる。
【0049】
また、刃部材9の回転軸の加工精度が多少悪くてもよいため、刃部材9の製造が容易となり、刃部材9の加工コストを抑制することができる。
【0050】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0051】
例えば、操作部17の操作によって、歯車15を任意のタイミングで所定角度回転可能であれば、アーム部材23の配置や形状は図示した例には限られない。また、通常時及び操作部17を元の位置に戻す際に、歯車15の逆回転を抑制可能であれば、歯車15と係止部21との位置関係や構造は図示した例には限られない。また、刃部材9を位置決め部7aに押圧可能であれば、弾性部材19の配置や支持部材5の構造などは図示した例には限られない。
【符号の説明】
【0052】
1………切断装置
3………ベース部材
7………位置決め部材
7a………位置決め部
5………支持部材
9………刃部材
11………スリット
13………ヒンジ部
15………歯車
17………操作部
19、25………弾性部材
21………係止部
23………アーム部材
23a………爪部