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特許6998945ルテニウムライナーと共に銅のエレクトロマイグレーションを改善するドープされた選択的な金属キャップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ルテニウムライナーと共に銅のエレクトロマイグレーションを改善するドープされた選択的な金属キャップ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20220111BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20220111BHJP
   C23C 28/02 20060101ALI20220111BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H01L21/88 R
C23C28/02
C25D7/12
H01L21/285 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019517849
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017051566
(87)【国際公開番号】W WO2018063815
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-06-03
(31)【優先権主張番号】62/403,186
(32)【優先日】2016-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ナイク, メユール ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チーユアン
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0357236(US,A1)
【文献】米国特許第09780035(US,B1)
【文献】特開2010-225682(JP,A)
【文献】特開2014-099627(JP,A)
【文献】特表2013-526012(JP,A)
【文献】特開2011-146711(JP,A)
【文献】特表2014-534609(JP,A)
【文献】特開2011-086787(JP,A)
【文献】特開2007-311799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
C25D 7/12
C23C 16/06-16/20
C23C 28/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのための配線構造であって、
金属領域と、前記金属領域を取り囲む誘電体領域と、前記金属領域と前記誘電体領域との間に配置された中間領域とを含む基板であって、前記中間領域は、
前記誘電体領域に隣接するバリア層と、
前記バリア層の上に形成された、Ruを含むライナー層と、
前記ライナー層の上に形成されたシード層と
を含む、基板と、
前記金属領域及び前記中間領域の上に形成されたコバルト含有合金キャップ層であって、アルミニウム、ルテニウム、又はマンガンを含む、コバルト含有合金キャップ層と、
を含む、半導体デバイスのための配線構造。
【請求項2】
記シード層は純銅を含む、請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
記シード層は約0.1重量%から約10重量%の含有量のMnを有する銅マンガン(CuMn)合金を含む、請求項1に記載の配線構造。
【請求項4】
記シード層は約0.1重量%から約10重量%の含有量のAlを有する銅アルミニウム(CuAl)合金を含む、請求項1に記載の配線構造。
【請求項5】
基板を処理するための方法であって、
金属領域と、前記金属領域を取り囲む誘電体領域とを含む基板を提供することと、
前記基板を第1の前駆体と第2の前駆体に露出することによって、前記金属領域の上にコバルト含有合金キャップ層を選択的に形成することであって、前記第1の前駆体と前記第2の前駆体は、アルミニウム含有前駆体、コバルト含有前駆体、ルテニウム含有前駆体、及びマンガン含有前駆体からなる群から選択され、前記第1の前駆体は前記第2の前駆体とは異なる、形成することと、
前記金属領域と前記誘電体領域との間に、Ru、Pt、Pd、Os、又はNiを含むライナー層を含む中間領域を形成することと、
を含む、基板を処理するための方法。
【請求項6】
記中間領域は、
前記誘電体領域に隣接するバリア層であって、前記ライナー層は前記バリア層の上に形成されている、バリア層と、
記ライナー層の上に形成されたシード層と
更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バリア層はTa、Ti、TiN、TaN、Mn、MnN、又はこれらの組み合わせを含み、記シード層は銅、コバルト、ニッケル、金、銀、マンガン、スズ、アルミニウム、ルテニウム、又はこれらの合金を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シード層は銅を含み、前記ライナー層はルテニウム(Ru)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シード層は、純銅、約0.1重量%から約10重量%の含有量のAlを有する銅アルミニウム(CuAl)合金、又は、約0.1重量%から約10重量%の含有量のMnを有する銅マンガン(CuMn)合金である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
基板に構造を形成するための方法であって、
誘電体層の凹部の露出面の上にバリア層を形成することと、
前記バリア層の上に、Ru、Pt、Pd、Os、又はNiを含むライナー層を形成することと、
前記ライナー層の上にシード層を形成することと、
金属充填処理によって前記シード層上に金属充填を形成し、電気メッキ処理を用いて前記凹部に過剰に積載を行うことと、
前記誘電体層の上面を露出するため、平坦化処理を実施することと、
前記基板をコバルト含有前駆体及びアルミニウム含有前駆体に露出することによって、前記バリア層、前記ライナー層、前記シード層、及び前記金属充填の上に、コバルトアルミニウム合金キャップ層を選択的に形成することと、
を含む、基板に構造を形成するための方法。
【請求項11】
前記ライナー層はRuを含み、前記シード層は銅を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シード層は純銅である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シード層は、約0.1重量%から約10重量%の含有量のMnを有する銅マンガン(CuMn)合金である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記シード層は、約0.1重量%から約10重量%の含有量のAlを有する銅アルミニウム(CuAl)合金である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は概して、半導体デバイスの配線(interconnects)の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 集積回路(IC)は、基板の上にある誘電体材料の層の内部又は上に形成される様々な半導体デバイスを含む。誘電体層の内部又は上に形成されうるこのようなデバイスは、トランジスタ、バイポーラトランジスタ、ダイオード、及び抵抗を含む。誘電体材料の内部又は上に形成されうる他のデバイスは、薄膜抵抗及びコンデンサを含む。金属ラインは半導体デバイスを相互接続し、このようなデバイスに電力を供給し、このようなデバイスが情報を共有及び交換できるようにする。このような配線は、誘電体層内のデバイス間で水平に、また、誘電体層間で垂直に延在する。これらの金属ラインは一連の配線によって、互いに接続される。配線又は金属ラインは、あとで金属が充填される垂直及び水平の凹部特徴(ビア及びトレンチ)を形成するため、誘電体層内に最初にパターン形成される。その結果生まれる、誘電体内に存在する金属充填ラインを含む層は、金属化層と称される。
【0003】
[0003] 金属配線を生成するための従来の銅充填は、エレクトロマイグレーションによる欠陥によってボイドを生むことがある。エレクトロマイグレーションは、導電線の金属原子が高い電流密度にさらされるとき(例えば、回路が動作しているとき)に発生する。電流密度が十分に高い場合には、金属原子は電子流の方向に移動し、これによって、金属イオンが分離するボイドを形成し、また、金属配線の長さに沿って、金属又は誘電体バリアの外へ突出する金属材料からなる突出物を形成する。ボイドによって銅配線は薄くなり、最終的には完全に分離して開回路を引き起こす。しかも、突出物は、銅金属が銅配線を越えて隣接する銅ラインへ延在する原因となりうるため、これによって短絡を引き起こす。
【0004】
[0004] 銅充填中のボイドの形成を避けるため、ライナー層が使用されて、ライナー層上部での銅のリフローが促進され、これによって、小さなトレンチ及びビアに対してもボイドのない間隙充填が得られる。しかしながら、銅はライナー層上で移動しやすいため、エレクトロマイグレーションによる欠陥も起こりうる。
【0005】
[0005] したがって、当該技術では、上述の問題に対処する方法の改善を施すことが必要となる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の実装は、加工対象物に配線構造を形成するための改良された方法を提供する。一実施形態では、本方法は、基板に凹部を形成することと、基板の露出面と凹部の露出面にバリア層を形成することと、バリア層の上に中間層を形成することと、中間層の上に金属充填層を形成し、凹部を過充填することと、バリア層、中間層、及び基板の上面を露出するため金属充填層を平坦化することと、金属充填層の上にコバルト層を選択的に形成することと、コバルト層の少なくとも上面にコバルトアルミニウム合金層を選択的に形成するため、基板をアルミニウム含有前駆体に露出することとを含む。
【0007】
[0007] 別の実施形態では、本方法は、垂直面と水平面を有する凹部を基板に形成することと、凹部の垂直面と水平面の上にバリア層を形成することと、バリア層の上にライナー層を形成することと、ライナー層の上にシード層を形成することと、電気メッキ処理を用いてシード層の上に金属充填層を形成することと、金属充填層をリフローして凹部を部分的に充填するのに十分な温度まで、金属充填層を加熱することと、凹部が金属充填層で過充填されるまで、シード層の上での金属充填層の形成と金属充填層の加熱を繰り返すことと、バリア層、ライナー層、シード層、及び基板の上面を露出するため金属充填層を平坦化することと、バリア層、ライナー層、シード層、及び金属充填層の上にコバルトキャップ層を選択的に形成することと、コバルトキャップ層の上面にコバルトアルミニウム合金層を選択的に形成するため、基板をアルミニウム含有前駆体に露出することとを含む。
【0008】
[0008] さらに別の実施形態では、半導体デバイスのための配線構造が提供される。配線構造は、誘電体基板の厚みを通って形成された凹部を有する誘電体基板と、凹部内に形成されたバリア層と、凹部の露出面を覆うバリア層と、バリア層の上に形成されたライナー層と、ライナー層の上に形成されたシード層と、シード層の上に形成され、凹部を充填する金属充填層であって、金属充填層の上面、シード層の上面、ライナー層の上面、バリア層の上面、及び誘電体基板の上面が同一平面上にある金属充填層と、金属充填層の上面、シード層の上面、ライナー層の上面、及びバリア層の上面に形成されたコバルトキャップ層と、コバルトキャップ層の上面に形成されたコバルトアルミニウム合金層と、を含む。
【0009】
[0009] 上記で簡潔に要約され、以下でより詳細に説明される本開示の実施形態は、添付の図面に示した本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解することができる。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】トレンチとビアを含む加工対象物の特徴の中に配線構造を作るための方法のフロー図を示す。
図2A図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の断面図を示す。
図2B図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の断面図を示す。
図2B-2】図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の拡大断面図を示す。
図2C図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の断面図を示す。
図2D図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の断面図を示す。
図2E図1のフロー図による様々な製造段階での単純化された概念的な配線構造の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0012] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりには描かれておらず、明確性のために簡略化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうることが想定される。
【0012】
[0013] 本開示の実装は、半導体ウエハ又はデバイスなどの加工対象物の処理方法を対象としている。加工対象物、ウエハ、及び半導体ウエハなどの用語は、任意の平坦な媒体又は物品であってよく、半導体ウエハ及びその他の基板又はウエハ、ガラス、マスク、光学媒体又はメモリ媒体、MEMS基板、或いは、マイクロ電気デバイス、マイクロ機械デバイス、又はマイクロ電気機械デバイスを有する他の任意の加工対象物を含む。本書で使用されている「加工対象物」という用語はまた、処理中の任意の点においてあらかじめ堆積されて形成されたあらゆる構造と層を含み、図に描かれたこれらの構造及び層に限定されない。
【0013】
[0014] 図1は、トレンチとビアを含みうる加工対象物の配線構造を作る方法100のフロー図を示している。幾つかの実装では、本方法は、小さな特徴の配線、例えば30nm以下、例えば14nm以下、例えば10nm以下の幅又は直径を有する特徴作るために用いられうる。しかしながら、本開示の方法は任意の特徴サイズに適用可能であることを理解されたい。本開示で説明する寸法サイズは、特徴の上部開口部でのエッチング後の特徴寸法になりうる。本書に記載の方法は、様々な形態の銅、コバルト、ニッケル、金、銀、マンガン、スズ、アルミニウム、及び合金堆積、例えば、シングルダマシン応用又はデュアルダマシン応用のいずれかのダマシン応用に適用されうる。
【0014】
[0015] 本開示では一般的に金属堆積と記述されているが、「金属」という用語は金属合金も想定しうることを理解されたい。このような金属及び金属合金は、シード層を形成するために、或いは、特徴を完全に又は部分的に充填するために使用されうる。例示的な銅合金は、限定するものではないが、銅マンガン及び銅アルミニウムを含みうる。非限定的な例として、合金組成比は、第1合金金属(例えば、Cu、Co、Ni、Ag、Au、Mn、Sn又はAl)に対して、約0.1%から約10%の第2合金金属の範囲内にあってよい。
【0015】
[0016] 図1は、図2Aから図2Eを参照して例示的に説明されており、図2Aから図2Eは、図1のフロー図による、製造の様々な段階における単純化された概念的な配線の断面図を示している。当業者であれば、図2A図2Eの構造は、理解を容易にするために大まかな相対的なサイズ又は寸法を示すために描かれたものであって、正確な比率で描かれていないことを理解するであろう。当業者は更に、配線及び関連する構造を形成する全工程が図示されているわけではなく、本書で説明されているわけでもないことを理解するであろう。その代わりに、単純化及び明確化のために、配線及び関連する構造を形成するための工程のうち、本開示で独自の、或いは、本開示を理解するために必要なものの大半を図示し、説明している。加えて、様々なステップが図示され、本書で説明されているが、これらのステップの順序、中間のステップの有無に関しては制限がないことが示唆されている。順を追って描かれている、或いは説明されているステップは、明示的に示していない限り、説明のためにそのようになっているに過ぎず、各ステップは、全体的にではないまでも少なくとも部分的には、実際に同時に、或いは重なるように実行される可能性があることを排除しない。
【0016】
[0017] 方法100は、図2Aに示したように、ブロック102で、加工対象物の基板100に凹部102を形成することで開始される。凹部102は、配線ラインの特徴が後の段階で形成されるトレンチを表す。本書に記載の方法はまた、ビア構造又はデュアルダマシントレンチとビアの構造などの他の種類の配線にも適用されてよく、下部の金属領域(図示せず)は配線特徴によって接触される。そのため、凹部102は、トレンチ、ビア開口部、トレンチとビアを結合した開口部、又は任意の垂直及び水平の特徴となりうる。凹部102は、任意の適切なリソグラフィ/エッチング技術を用いて形成されうる。
【0017】
[0018] 基板100は、デバイス層又は金属化層と別の金属化層との間に配置された、層間誘電体層を表しうる。基板100は、任意の誘電体層又は誘電体層の組み合わせになりうる。例示的な一実装では、基板は低誘電率材料である。低誘電率材料は、4未満、例えば、3.6未満の誘電率を有する材料を意味する。低誘電率材料の例には、シリコン及び窒素含有材料、又はシリコン及び炭素含有材料、或いはこれらの組み合わせが含まれうる。幾つかの例示的な低誘電率材料には、水素化シリコンカーボン酸化物(SiCOH)、多孔性SiCOHなどの多孔性誘電体材料、又は有機材料が含まれうる。幾つかの実装では、基板は、誘電率が4程度であるシリコン及び酸素含有材料を含みうる。
【0018】
[0019] ブロック104では、図2Aに示したように、基板100の上にオプションのバリア層106が形成される。凹部102を一列に並べ、これによって金属が基板100の中へ拡散するのを防止するように、バリア層106は基板100の露出面の上に(例えば、共形に)形成されうる。適切なバリア層106は、例えば、Ta、Ti、TiN、TaN、Mn、MnN、或いはこれらの組み合わせを含みうる。適切なバリア堆積方法は、物理的気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、又は化学気相堆積(CVD)を含みうる。一実装では、バリア層106はPVD TaNである。別の実装では、バリア層106はALD TaNとPVD TaNの2層である。さらに別の実装では、バリア層106はPVD TaNとPVD Taの2層である。TaNとTaが使用された場合では、PVD TaNは約2~25オングストローム(A)の厚みを有し、PVD Taは約2~25Aの厚みを有しうる。バリア層は典型的には、銅又は銅合金を基板から分離するために使用される。しかしながら、他の金属配線の場合には、拡散は問題にならないことがあり、したがって、バリア層は必要とされないことがある。
【0019】
[0020] ブロック106では、図2Aで示したように、中間層108が、バリア層106の露出面の上に形成される。中間層108は、PVD銅シード層などの単一層、或いは、ライナー層とシード層(非限定的な例として、CVD Ruライナー層とPVD銅シード層)からなる層スタックになりうる。しかしながら、中間層108を堆積させる他の方法も本開示によって検討されていることを理解されたい。一実装では、中間層108は、Ruライナー層とRuライナー層の上に堆積された銅シード層である。
【0020】
[0021] 図2B-2は、中間層108が、ライナー層130とシード層132を有する層スタックである一実装を示している。シード層132は、銅、コバルト、ニッケル、金、銀、マンガン、スズ、アルミニウム、ルテニウム、及びこれらの合金などの、薄い連続した金属のウェッティング(結合)層になりうる。ライナー層132は、PVD、ALD、CVD、又はその他の適切な堆積方法を用いて堆積されうる。シード層132は、マンガン、アルミニウム、金、カルシウム、亜鉛、カドミウム、銀、スズ、或いはエレクトロマイグレーション性能を高める他の適切な材料でドープされうる。一実装では、シード層132はマンガン(Mn)(例えば、CuMn合金)でドープされた銅である。銅マンガン合金のマンガン(Mn)含有量は、約0.1重量%から約10重量%の間の範囲にありうる。ドープされたCuシード層(例えば、CuMn)の使用は、エレクトロマイグレーション性能を高めると考えられている。
【0021】
[0022] ライナー層130は、不連続シード問題を緩和し、シード層132のバリア層106への接着を改善する。ライナー層130はまた、ライナー層130の上でのその後の銅リフローを促進し、小さなトレンチ及びビアに対してボイドのない間隙充填をもたらす。一実装では、ライナー層130はRuである。一実装では、ライナー層130はCoである。ライナー層は、Pt、Pd、及びOsなどの貴金属になりうるが、一覧はまたNiを含みうる。ライナー層130は、CVD、PVD、ALD、又はその他の適切なプロセスを用いて形成されうる。ライナー層130の厚みは、ダマシン応用の場合、約5Aから50Aの範囲内にありうる。
【0022】
[0023] 任意の表面酸化物を取り除き、ライナー層130を高密度化し、堆積物の表面特性を改善するため、ライナー層130は、フォーミングガス環境(例えば、窒素内に3~5%の水素、或いはヘリウム内に3~5%の水素)で約100°Cから約500°Cの温度で熱処理又はアニールされうる。ライナー層130は、表面の酸化を防止するため、気体窒素(Nガス)或いは他の緩和環境(passifying environments)に浸すことによってさらに不動態化されうる。
【0023】
[0024] ブロック108で、ライナー層130とシード層132が堆積されると、図2Aに示したように、金属充填層110が中間層108の上に形成される。金属充填層110は、スパッタリング処理で形成されうる。場合によっては、シード層132と金属充填層110は共に、スパッタリング処理で実行されうる。このような場合、シード層132と金属充填層110は、1つの処理チャンバ内で実施される連続堆積であってよい。金属充填層110はまた、CVD、ALD、蒸発、又は他の適切な堆積技術などの金属の共形層をもたらす技術、例えば、電気メッキなどの電気化学堆積(ECD)処理を用いて、形成されうる。
【0024】
[0025] 金属充填層110に適した材料には、限定するものではないが、Cu、Co、Ni、Au、Ag、Mn、Sn、W及びAlなどが含まれる。一実装では、金属充填層110は、ECD堆積プロセスによって堆積された銅の共形層である。ECD堆積プロセスは、酸性の堆積化学物質を使用してもよく、この中には、例えば、硫酸銅、硫酸、塩酸、及びpHが約8から約10の範囲内にある有機添加物(促進剤、抑制剤、及びレベラー)などが含まれる。しかしながら、正しい有機添加物を用いた酸性化学物質も、共形ECD堆積を実施するために使用されうることを理解されたい。
【0025】
[0026] ECD堆積後、基板100は回転・すすぎ・乾燥(SRD)処理又は他の洗浄処理にさらされることがある。次に金属充填層110は、金属充填層110のリフローには十分であるが、加工対象物又は加工対象物の要素に損傷を及ぼすこと或いは劣化させることはない温度まで加熱される。Ruライナー層又はRuシード層の使用は、ルテニウム上での銅のリフローを高めると考えられている。
【0026】
[0027] 金属充填層110は、熱処理工程又はアニーリング工程を用いて加熱されうる。本開示の様々な実装では、金属充填層110は熱処理又はアニーリングにさらされると流動可能となる。凹部102での金属層リフローでは、温度は約100°Cから約500°Cの範囲内にありうる。適切な熱処理又はアニーリングの温度は約100°Cから約500°Cの間にあり、約100°Cから約400°Cの範囲内、例えば、約250°Cから約350°Cの温度範囲で持続する温度を維持できる機器によって実現されうる。熱処理又はアニーリングは、金属充填層110の一部又はすべてをリフローさせる結果となる。
【0027】
[0028] 熱処理又はアニーリング工程は、形成ガス又は不活性ガス、純粋な水素、或いはアンモニア(NH)などの還元ガスを用いて実施されうる。リフロー中、金属堆積物が特徴の底部に溜まる(すなわち、ボトムアップ充填)ように、堆積物の形状は変化する。熱処理工程中のリフローに加えて、金属堆積物は大きな粒に成長し、膜抵抗を低下させることがある。加熱後、加工対象物を冷却するため、不活性ガスが使用されうる。
【0028】
[0029] 熱処理又はアニーリングは、凹部102を部分的に充填するように実施されうる。一実装では、図2Bに示したように、金属充填層110は凹部102に流れ込み、部分的な充填部分112を形成する。幾つかの実装では、本書に記載のECD堆積及びリフローステップは、所望の充填(すなわち、充填部分112)特性が実現されるまで反復されうる。これに関連して、実質的にボイドがない状態で特徴を充填するため、工程には、一又は複数のECD堆積プロセス、洗浄(SRDなど)、及び熱処理サイクルが含まれうる。ステップの反復回数は、例えば、構造のサイズに依存しうる。一実装では、図2Cに示したように、凹部102を金属充填層110で完全に充填するか、過充填するまで、ECD堆積及びリフローの工程は反復される。金属充填層110は、5nmから1,000nmの厚さまで凹部102を過充填しうる。金属充填層110の厚さは、その後のCMPプロセスの基準となるように適切に選択される。その後、過剰な金属充填層110は、基板100の上面107、バリア層106(使用される場合)の上面109、及び中間層108の上面111を露出するため、化学機械研磨(CMP)プロセスを用いてエッチバックされる。したがって、基板100の上面107、バリア層106(使用される場合)の上面109、及び中間層108の上面111、及び金属充填層110の上面103は、図2Cに示したように、実質的に同一平面上にある。
【0029】
[0030] ブロック110では、金属キャップ層114は、図2Dに示したように、凹部102内に完全に充填された金属充填層110の上に選択的に形成される。幾つかの実装では、金属キャップ層114の部分は、図2Eに示したように、バリア層106の上面109及び中間層108の上面111まで延在される。隣接ライン/導電性素子が短くなるのを防止するため、選択的な堆積プロセスは、基板100の上面107の上に金属キャップ層114を形成しない。金属キャップ層114は、Cuと誘電体バリアの接着を高めることによって、下部の銅充填のエレクトロマイグレーション性能を改善すると考えられている。金属キャップ層114はまた、次の金属化層との接着を促進し、これによってエレクトロマイグレーション性能をさらに高める。
【0030】
[0031] 金属キャップ層114に適した材料には、限定するものではないが、金属配線の用途に応じて、Co、Ni、Au、Ag、Mn、Sn、W、Al、これらの任意の組み合わせ、或いは、他の任意の金属材料を含みうる。一実装では、金属キャップ層114はコバルトで形成されるか、少なくともコバルトを含む。選択的な堆積プロセスは、前駆体及び表面に依存しうる。選択的な堆積プロセスは、プラズマ処理、PECVD(プラズマ化学気相堆積)、PEALD、或いはこれらの任意の組み合わせなど、任意の適切な技術を用いて実施されうる。代替的に、選択的な堆積プロセスは、選択性を実現するため、異なる化学物質(プラズマなし)による熱表面処理を用いて実施されうる。金属キャップ層114は、メッキ、電気メッキ、或いはCVD、PVD、ALDなどの他の適切な堆積技術を用いて適用されうる。
【0031】
[0032] ブロック112では、図2Eに示したように、金属キャップ層114をドープするため、或いは、金属キャップ層114の少なくとも上面に合金層116を形成するため、基板100はアルミニウム含有前駆体に露出される。金属キャップ層114がコバルトから形成される例示的な一実装では、加工対象物のアルミニウム含有前駆体への露出は、金属キャップ層114の上にコバルトアルミニウム合金(すなわち、合金層116)を選択的に形成することができる。幾つかの実装では、コバルトアルミニウム合金116は、選択的なCo堆積とその後の選択的なAl堆積によって形成されうる。幾つかの実装では、コバルトアルミニウム合金116は、選択的なAl堆積とその後の選択的なCo堆積によって形成されうる。幾つかの実装では、コバルトアルミニウム合金116は、Co-Al-Co-Al堆積などの選択的な循環プロセスによって形成されうる。幾つかの実装では、コバルトアルミニウム合金116は、コバルト含有前駆体とアルミニウム含有前駆体が共に流れることによって形成されうる。
【0032】
[0033] 適切なコバルト含有前駆体には、メチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル(MeCpCo(CO))、エチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(EtCpCo(CO))、ジコバルトオクタ(カルボニル)(Co(CO))、及びニトロシルコバルトトリス(カルボニル)((ON)Co(CO))などのコバルト前駆体が含まれる。適切なコバルト含有前駆体にはまた、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(CpCo(CO))、トリカルボニルアリルコバルト((CO)Co(CHCH=CH))、ジコバルトヘキサカルボニルブチルアセチレン(CCTBA、(CO)Co(HC≡CtBu))、ジコバルトヘキサカルボニルメチルブチルアセチレン((CO)Co(MeC≡CtBu))、及びジコバルトヘキサカルボニルフェニルアセチレン((CO)Co(HC≡CPh))などの、コバルトカルボニル化合物又は複合体が含まれる。適切なコバルト含有前駆体にはまた、ビス(ジ(ブチルジメチルシリル)アミド)コバルト(((BuMeSi)N)Co)、ビス(ジ(エチルジメチルシリル)アミド)コバルト((EtMeSi)N)Co)、ビス(ジプロピルジメチルシリル)アミド)コバルト(((PrMeSi)N)Co)、及びビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)コバルト(((MeSi)N)Co)などの、コバルトアミジネート又はコバルトアミド複合体が含まれる。
【0033】
[0034] 適切なアルミニウム含有前駆体には、限定するものではないが、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)、トリメチルアルミニウム(TMA、AlMe又は(AlMe)、トリエチルアルミニウム(AlEt、(AlEt、又はTEA)、トリターシャリブチルアルミニウム(TTBA)、水素化アルミニウム(AlH)、及びこれらの組み合わせなどが含まれる。一実装では、アルミニウム含有前駆体はDMAHである。
【0034】
[0035] 金属キャップ層114内のコバルトは移動して、下部の銅充填領域又はライナー領域(例えば、中間層108)に拡散するため、金属キャップ層114の上に形成されたコバルトアルミニウム合金は、金属キャップ層114内部、及び金属キャップ層114と充填部分112との間の界面又はその近傍にコバルトを保持することができ、これによって、ライナー層130、中間層108、132及び/又は金属充填層110へのコバルトの望ましくない移動を防止し、その結果、エレクトロマイグレーションの全体的な有効性を改善する。
【0035】
[0036] 合金層116は、CVD法などの任意の適切な技術を用いて形成されうるが、PVD又はALDなどの他の堆積技術も用いられうる。アルミニウム含有前駆体は、加工対象物が(300mmの基板に対して)、約10sccmから約3,000sccmの間、例えば、約20sccmから約1,500sccmの間、約30sccmから約200sccmの間の流量で配置される処理チャンバの中に導入されてもよい。処理中の加工対象物又は基板ペデスタルの温度は、約200°Cから約800°Cの範囲内、約350°Cから約550°Cの範囲内、例えば、約400°Cから約500°Cの範囲内にありうる。別の実装では、加工対象物は加熱され、約100°Cから約600°Cの範囲内、約120°Cから約500°Cの範囲内、例えば、約150°Cから約425°Cの範囲内の温度に保持されうる。処理チャンバは、約1mTorrから約100Torrの範囲内、約1Torrから約10Torrの範囲内、例えば、約2Torrから約5Torrの範囲内で加圧される制御された環境を有しうる。結果として得られる合金層116の厚さは、約2Aから約200Aの間、例えば約5Aから約40Aの間になりうる。
【0036】
[0037] 幾つかの実装では、合金層116は、水素及び/又はアルゴンを含む環境内で、約100°Cから約500°Cの間の温度で、熱的に処理されうる。幾つかの実装では、合金層116は、水素又は窒素を含むフォーミングガス環境内で、約100°Cから約500°Cの間の温度で熱処理又はアニールされうる。例えば、フォーミングガス環境は、窒素中に約3~5%の水素、或いはヘリウム中に3~5%の水素を含みうる。熱処理又はアニーリング処理は、望ましくない表面酸化物を取り除き、層構造を高密度化し、合金層116の表面特性を改善する。基板又は加工対象物は、表面の酸化を防止するため、気体窒素(N又はNHガス)又は他の緩和環境に浸すことによって、さらに不動態化されうる。
【0037】
[0038] 本書ではアルミニウム含有前駆体について説明されているが、金属キャップ層114と反応して、その上に合金層を形成するために、Ru、Mn、又はWなどの他のドープ前駆体も使用されうることを理解されたい。ドープ前駆体は、コバルト(又は金属キャップ層114で使用される他の金属)の銅充填領域又はライナー領域(例えば、中間層108)への移動又は拡散を防止するように、選択されなければならない。ドープ前駆体は金属キャップ層114の材料に応じて変化しうることが想定される。
【0038】
[0039] ブロック112の後、金属配線を完了するために、或いは、半導体デバイスを完成するために必要な他の特徴を形成するために、複数の製造技術が採用されうる。
【0039】
[0040] 本開示の利点には、銅ラインの上に形成される選択的なコバルトキャップ層をアルミニウム含有前駆体に露出することによって、金属化構造の金属原子のエレクトロマイグレーションを最小限にすることが含まれる。アルミニウム含有前駆体のアルミニウムは選択的なコバルトキャップ層と反応し、コバルトアルミニウム合金を形成し、銅ラインの下に配置されたライナー領域及び/又はシード領域へのコバルトの望ましくない移動又は拡散を防止する。コバルトアルミニウム合金は、金属配線内で銅ラインのエレクトロマイグレーションを最小限にするために使用される選択的なコバルトキャップ層を有することに大きな影響を及ぼす。その結果、エレクトロマイグレーションの全体的な有効性が改善される。
【0040】
[0041] 上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されうる。
図1
図2A
図2B
図2B-2】
図2C
図2D
図2E