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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】伝送路監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20220111BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20220111BHJP
   G01K 11/3206 20210101ALI20220111BHJP
【FI】
G01R31/08
G01R31/58
G01K11/3206
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017131734
(22)【出願日】2017-07-05
(65)【公開番号】P2019015559
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】391020986
【氏名又は名称】日本高周波株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】川井 陽史
(72)【発明者】
【氏名】平田 真一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 智彦
(72)【発明者】
【氏名】有住 豊
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏章
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 良和
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆行
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-292109(JP,A)
【文献】特開2004-361284(JP,A)
【文献】実開平06-069864(JP,U)
【文献】特開2008-249515(JP,A)
【文献】特開2007-206004(JP,A)
【文献】特開2004-170313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
G01R 31/50-31/60
G01K 11/3206
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向へ延びる内部導体と前記内部導体を包被して一方向へ延びる外部導体とを備えた同軸給電管から形成された伝送路の異常の有無を監視する伝送路監視装置において、
前記伝送路監視装置では、FBG光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティングセンサ)が利用され、軸方向へ並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部が1本のFBG光ファイバセンサに形成され、
前記FBG光ファイバセンサのうちの一方のFBG光ファイバセンサの前記複数の第1~第nFBGセンサ部が、前記内部導体どうしの接続箇所の外周面において該内部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、前記FBG光ファイバセンサのうちの他方のFBG光ファイバセンサの前記複数の第1~第nFBGセンサ部が、前記外部導体どうしの接続箇所の外周面において該外部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、
前記伝送路監視装置が、前記一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を多点で測定する内部導体接続箇所温度測定手段と、前記他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を多点で測定する外部導体接続箇所温度測定手段と、前記内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体接続箇所温度と前記外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体接続箇所温度とに基づいて前記同軸給電管の接続箇所における異常の有無を判定する異常有無判定手段とを有し、
前記異常有無判定手段が、あらかじめ設定された設定温度と前記外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度とを比較するとともに、あらかじめ設定された設定温度と前記内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度とを比較し、前記設定温度と前記外部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記外部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、前記同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、前記設定温度と前記内部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記内部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、前記同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常なしと判定し、
前記異常有無判定手段が、前記設定温度と前記外部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度の全てが前記設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、前記同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常ありと判定し、前記設定温度と前記内部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度の全てが前記設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、前記同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常ありと判定することを特徴とする伝送路監視装置。
【請求項2】
一方向へ延びる内部導体と前記内部導体を包被して一方向へ延びる外部導体とを備えた同軸給電管から形成された伝送路の異常の有無を監視する伝送路監視装置において、
前記伝送路監視装置では、FBG光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティングセンサ)が利用され、軸方向へ並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部が1本のFBG光ファイバセンサに形成され、
前記FBG光ファイバセンサのうちの一方のFBG光ファイバセンサの前記複数の第1~第nFBGセンサ部が、前記内部導体どうしの接続箇所の外周面において該内部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、前記FBG光ファイバセンサのうちの他方のFBG光ファイバセンサの前記複数の第1~第nFBGセンサ部が、前記外部導体どうしの接続箇所の外周面において該外部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、
前記伝送路監視装置が、前記一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を多点で測定する内部導体接続箇所温度測定手段と、前記他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を多点で測定する外部導体接続箇所温度測定手段と、前記FBG光ファイバセンサを利用して前記伝送路が位置する箇所の室温を測定する室温測定手段と、前記内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体接続箇所温度と前記外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体接続箇所温度と前記室温測定手段によって測定した室温とに基づいて前記同軸給電管の接続箇所における異常の有無を判定する異常有無判定手段とを有し、
前記異常有無判定手段が、前記室温測定手段によって測定した室温と前記外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度とを比較するとともに、前記室温測定手段によって測定した室温と前記内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度とを比較し、前記室温と前記外部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記外部導体接続箇所温度が前記室温に対して許容温度範囲にある場合、前記同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、前記室温と前記内部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記内部導体接続箇所温度が前記室温に対して許容温度範囲にある場合、前記同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常なしと判定し、
前記異常有無判定手段が、前記室温と前記外部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度の全てが前記室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、前記同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常ありと判定し、前記室温と前記内部導体接続箇所温度とを比較した結果、前記複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度の全てが前記室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、前記同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常ありと判定することを特徴とする伝送路監視装置。
【請求項3】
前記内部導体接続箇所温度測定手段が、前記複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔で測定し、前記外部導体接続箇所温度測定手段が、前記複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して前記外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を所定の時間間隔で測定し、前記内部導体接続箇所温度測定手段及び前記外部導体接続箇所温度測定手段では、前記内部導体の接続箇所における複数部位のそれら内部導体接続箇所温度と前記外部導体の接続箇所における複数部位のそれら外部導体接続箇所温度とを同一の時間間隔で同期して測定する請求項1又は請求項2に記載の伝送路監視装置。
【請求項4】
前記伝送路監視装置では、前記外部導体どうしの接続箇所を貫通する貫通孔に前記FBG光ファイバセンサが挿通され、そのFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部が前記内部導体どうしの接続箇所に設置される請求項1ないし請求項3いずれかに記載の伝送路監視装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部導体と内部導体を包被する外部導体とを備えた同軸給電管から形成された伝送路の異常の有無を監視する伝送路監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸給電線の軸方向に沿ってその同軸給電線の外周面に螺旋状に巻き付けられた光ファイバーケーブルと、光ファイバーケーブルにレーザパルス光を入射するレーザパルス光入射手段と、光ファイバーケーブルを通過するレーザパルス光のラマン散乱光の強度を連続測定し、その測定値から同軸給電線の温度に関する異常を検出する温度異常検出手段とを備え、同軸給電線の接続部における光ファイバーケーブルの巻き付けピッチを同軸給電線の接続部を除く他の箇所のそれよりも短くした同軸給電線異常検知システムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
この同軸給電線異常検知システムは、同軸給電線に巻き付けた光ファイバーケーブルの出射端からのレーザパルス光のラマン散乱光を連続的に測定することで、同軸給電線の位置(距離)をともなったラマン散乱光の強度を同軸給電線の温度変化として知ることができ、ラマン散乱光よって同軸給電線の異常箇所を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-69864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大電力の通信用送信機や放送用送信機からアンテナに高周波電力を伝送する伝送路として内部導体と外部導体とから形成された同軸給電管が使用されている。同軸給電管は、その外部導体の接続箇所や内部導体の接続箇所に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じると、外部導体の接続箇所や内部導体の接続箇所の温度が上昇するから、外部導体や内部導体の温度を測定することでそれら導体の接続箇所における異常を検出することができる。前記特許文献1に開示の同軸給電線異常検知システムは、光ファイバーケーブルが同軸給電線の外周面に巻き付けられているから、光ファイバーケーブルを通過するレーザパルス光のラマン散乱光の強度によって同軸給電線の外部導体の温度が測定され、測定した外部導体の所定の箇所における温度が上昇した場合に外部導体の所定の箇所における異常を検出することができる。
【0006】
しかし、同軸給電線の内部導体の所定の箇所に異常が生じて内部導体の温度が上昇したとしても、その温度が外部導体と内部導体との間の絶縁層を伝播して外部導体に伝わるまでに相当な時間を要し、内部導体の異常が外部導体の温度の上昇となって表れるまでに時間のズレが生じるから、特許文献1に開示の同軸給電線異常検知システムでは内部導体の異常を迅速に検出することができない。内部導体の異常を迅速に検出することができないと、内部導体の異常が所定時間放置されてその補修が遅れることになり、通信用送信機や放送用送信機からアンテナに高周波電力を安定して伝送することができない場合があり、内部導体の異常時に高周波電力の安定供給を可能にするその他の対策を講じなければならない。
【0007】
本発明の目的は、同軸給電管の内部導体の接続箇所における異常を迅速に検出することができ、異常が生じた内部導体の迅速な補修を可能にすることができる伝送路監視装置を提供することにある。本発明の他の目的は、通信用送信機や放送用送信機からアンテナへの高周波電力の安定供給を可能にすることができる伝送路監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、一方向へ延びる内部導体と内部導体を包被して一方向へ延びる外部導体とを備えた同軸給電管から形成された伝送路の異常の有無を監視する伝送路監視装置である。
【0009】
前記前提における本発明の第1の特徴として、伝送路監視装置では、FBG光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティングセンサ)が利用され、軸方向へ並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部が1本のFBG光ファイバセンサに形成され、FBG光ファイバセンサのうちの一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部が、内部導体どうしの接続箇所の外周面において内部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、FBG光ファイバセンサのうちの他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部が、外部導体どうしの接続箇所の外周面において外部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、伝送路監視装置が、一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を多点で測定する内部導体接続箇所温度測定手段と、他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を多点で測定する外部導体接続箇所温度測定手段と、内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体接続箇所温度と外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体接続箇所温度とに基づいて同軸給電管の接続箇所における異常の有無を判定する異常有無判定手段とを有し、異常有無判定手段が、あらかじめ設定された設定温度と外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度とを比較するとともに、あらかじめ設定された設定温度と内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した前記内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度とを比較し、設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、外部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常なしと判定し、異常有無判定手段が、設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度の全てが設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常ありと判定し、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度の全てが設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常ありと判定する。
【0010】
前記前提における本発明の第2の特徴として、伝送路監視装置では、FBG光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティングセンサ)が利用され、軸方向へ並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部が1本のFBG光ファイバセンサに形成され、FBG光ファイバセンサのうちの一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部が、内部導体どうしの接続箇所の外周面において内部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、FBG光ファイバセンサのうちの他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部が、外部導体どうしの接続箇所の外周面において外部導体の周り方向へ等間隔離間して複数部位に設置され、伝送路監視装置が、一方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を多点で測定する内部導体接続箇所温度測定手段と、他方のFBG光ファイバセンサの複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を多点で測定する外部導体接続箇所温度測定手段と、FBG光ファイバセンサを利用して伝送路が位置する箇所の室温を測定する室温測定手段と、内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体接続箇所温度と外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体接続箇所温度と室温測定手段によって測定した室温とに基づいて同軸給電管の接続箇所における異常の有無を判定する異常有無判定手段とを有し、異常有無判定手段が、室温測定手段によって測定した室温と外部導体接続箇所温度測定手段によって測定した外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度とを比較するとともに、室温測定手段によって測定した室温と内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度とを比較し、室温と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、外部導体接続箇所温度が室温に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、室温と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が室温に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常なしと判定し、異常有無判定手段が、室温と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度の全てが室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常ありと判定し、室温と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、複数の第1~第nFBGセンサ部によって測定された内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度の全てが室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常ありと判定する。
【0011】
前記第1及び第2の特徴を有する本発明の一例としては、内部導体接続箇所温度測定手段が、複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して内部導体どうしの接続箇所における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔で測定し、外部導体接続箇所温度測定手段が、複数の第1~第nFBGセンサ部を利用して外部導体どうしの接続箇所における複数部位の外部導体接続箇所温度を所定の時間間隔で測定し、内部導体接続箇所温度測定手段及び外部導体接続箇所温度測定手段では、内部導体の接続箇所における複数部位のそれら内部導体接続箇所温度と外部導体の接続箇所における複数部位のそれら外部導体接続箇所温度とを同一の時間間隔で同期して測定する。
【0012】
前記第1及び第2の特徴を有する本発明の他の一例として、伝送路監視装置では、外部導体どうしの接続箇所を貫通する貫通孔にFBG光ファイバセンサが挿通され、そのFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部が内部導体どうしの接続箇所に設置される。
【発明の効果】
【0013】
FBG光ファイバセンサ(ファイバブラッググレーティングセンサ)の第1~第nFBGセンサ部を利用し、内部導体どうしの接続箇所における内部導体接続箇所温度を測定するとともに、外導体どうしの接続箇所における外部導体接続箇所温度を測定し、測定した内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度に基づいて同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における異常の有無を判定する本発明の伝送路監視装置によれば、内部導体や外部導体の接続箇所に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じ、内部導体や外部導体の接続箇所の温度が上昇した場合、FBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によってその温度変化を直ちに検出することができるから、FBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部を利用して同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における異常を迅速に検出することができ、異常が生じた内部導体や外部導体の迅速な補修を可能にすることができる。伝送路監視装置は、それを利用して内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常を即座に検出することで、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常を迅速に補修することができるから、通信用送信機や放送用送信機からアンテナへの高周波電力の安定供給を可能にすることができる。伝送路監視装置は、FBG光ファイバセンサに所定波長の紫外光を照射することによって同軸給電線の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における温度変化を検出するから、紫外光によって駆動するFBG光ファイバセンサが熱的な影響を受けることはなく、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における温度変化を高い精度で検出することができる。
【0014】
あらかじめ設定された設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較するとともに、あらかじめ設定された設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較し、内部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常なしと判定するとともに、外部導体接続箇所温度が設定温度内である場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、内部導体接続箇所温度が設定温度を超えた場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所に異常ありと判定するとともに、外部導体接続箇所温度が設定温度を超えた場合、同軸給電管の外部導体の接続箇所に異常ありと判定する伝送路監視装置は、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常がない場合の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の温度を設定温度として事前に設定し、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に異常が生じた場合、内部導体接続箇所温度や外部導体接続箇所温度が設定温度を超えて上昇するから、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に設置されたFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によってその温度変化を直ちに検出することで、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における異常を迅速に検出することができる。伝送路監視装置は、FBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によって測定した内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度とあらかじめ設定された設定温度とを比較することで、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所(同軸給電管の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機や放送用送信機からアンテナへの高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0015】
FBG光ファイバセンサを利用して伝送路が位置する箇所の室温を測定し、内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度と室温とを比較しつつ、内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度が室温に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に異常なしと判定し、内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に異常ありと判定する伝送路監視装置は、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常がない場合、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の温度は室温と略同一であるが、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に異常が生じた場合、内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇するから、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に設置されたFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によってその温度変化を直ちに検出することで、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における異常を迅速に検出することができる。伝送路監視装置は、FBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によって測定した室温と内部導体接続箇所温度及び外部導体接続箇所温度とを比較することで、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所(同軸給電管の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機や放送用送信機からアンテナへの高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0016】
FBG光ファイバセンサを利用して外部導体どうしの接続箇所における外部導体接続箇所温度を測定し、内部導体接続箇所温度と外部導体接続箇所温度とを比較しつつ、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管の接続箇所に異常なしと判定し、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管の接続箇所に異常ありと判定する伝送路監視装置は、同軸給電管の内部導体の接続箇所に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常がない場合、内部導体の接続箇所の温度は外部導体接続箇所温度と略同一であるが、内部導体の接続箇所に異常が生じた場合、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇するから、内部導体の接続箇所に設置されたFBG光ファイバセンサによってその温度変化を直ちに検出することで、同軸給電管の内部導体の接続箇所における異常を迅速に検出することができる。伝送路監視装置は、FBG光ファイバセンサによって測定した外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較することで、内部導体の接続箇所(同軸給電管の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体の接続箇所の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体の接続箇所の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機や放送用送信機からアンテナへの高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0017】
外部導体どうしの接続箇所を貫通する貫通孔にFBG光ファイバセンサが挿通され、そのFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部が内部導体どうしの接続箇所に設置される伝送路監視装置は、FBG光ファイバセンサを外部導体どうしの接続箇所の貫通孔から内部導体どうしの接続箇所に到達させ、FBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部を内部導体どうしの接続箇所に設置することで、FBG光ファイバセンサによって内部導体の接続箇所の温度変化を確実に捉えることができ、同軸給電管の内部導体の接続箇所における異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【0018】
軸方向(一方向)へ並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部が1本の前記FBG光ファイバセンサに形成され、1本のFBG光ファイバセンサに形成されたそれらFBGセンサ部を利用して内部導体どうしの接続箇所における内部導体接続箇所温度を多点で測定するとともに、1本のFBG光ファイバセンサに形成されたそれらFBGセンサ部を利用して外部導体どうしの接続箇所における外部導体接続箇所温度を多点で測定する伝送路監視装置は、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の特定部位に異常が生じた場合、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の特定部位の温度が上昇する場合があるが、1本のFBG光ファイバセンサに形成された複数のFBGセンサ部によって内部導体の接続箇所における内部導体接続箇所温度や外部導体の接続箇所における外部導体接続箇所温度を多点で測定することで、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所の特定部位の温度変化をそれらFBGセンサ部によって的確に捉えることができ、同軸給電管の内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に部分的に異常が生じた場合であっても、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所に設置されたFBG光ファイバセンサの第1~第nFBGセンサ部によってその温度変化を直ちに検出することができ、内部導体の接続箇所や外部導体の接続箇所における部分的な異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一例として示す伝送路監視装置のシステム構成図。
図2】直線給電管どうしの接続の一例を示す部分破断斜視図。
図3】直線給電管とエルボ型給電管との接続の一例を示す部分破断斜視図。
図4】FBG光ファイバセンサの内部構造の一例を示す図。
図5】FBG光ファイバセンサの測定原理を示す図。
図6】FBG光ファイバセンサの測定方式の一例を示す図。
図7】FBG光ファイバセンサの測定方式の他の一例を示す図。
図8】伝送路が位置する箇所および内部導体の接続箇所に対するFBG光ファイバセンサの設置の一例を示す図。
図9】内部導体の接続箇所に対するFBG光ファイバセンサの設置の一例を示す図。
図10】同軸給電管の外部導体の接続箇所および内部導体の接続箇所に対するFBG光ファイバセンサの設置の一例を示す図。
図11】同軸給電管の外部導体の接続箇所および内部導体の接続箇所に対するFBG光ファイバセンサの設置の他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一例として示す伝送路監視装置10のシステム構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる伝送路監視装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、直線給電管25どうしの接続の一例を示す側面図であり、図3は、直線給電管25とエルボ型給電管26との接続の一例を示す側面図である。図4は、FBG光ファイバセンサ11の内部構造の一例を示す図であり、図5は、FBG光ファイバセンサ11の測定原理を示す図である。図6は、FBG光ファイバセンサ11の測定方式の一例を示す図であり、図7は、FBG光ファイバセンサ11の測定方式の他の一例を示す図である。図1では、図4の掃引光源方式を採用している。図2,3では、FBG光ファイバセンサ11の図示を省略している。
【0021】
伝送路監視装置10は、FBG光ファイバセンサ11(ファイバブラッググレーティングセンサ)と、FBGセンサモニタユニット12と、コントローラー13(制御装置)とから形成されている。伝送路監視装置10は、伝送路14の異常の有無を連続的に監視し、伝送路14に異常が生じた場合、その異常を外部に通知する。伝送路14は、通信用送信機15や放送用送信機15に接続され、通信用送信機15や放送用送信機15から出力された高周波電力をアンテナ16(空中線)に伝送する。図1では、1本の伝送路14を図示しているが、実際には、複数本の伝送路14が存在する。
【0022】
伝送路14は、一方向(軸方向)へ延びる内部導体17と内部導体17を包被して一方向(軸方向)へ延びる外部導体18とを備えた同軸給電管19から形成されている(図2,3参照)。内部導体17や外部導体18には、銅製の円筒状に成形されたパイプやアルミ製の円筒状に成形されたパイプが使用されている。内部導体17と外部導体18との間には、空間20が形成され、空間20に存在する空気によって絶縁層が形成されている。
【0023】
内部導体17の外周面21には、合成樹脂(フッ化エチレン樹脂等)から作られた円環状(ドーナツ状)の複数のスペーサ22が嵌め込まれている。スペーサ22は、内部導体17の一方向(軸方向)へ所定寸法離間して並んでいる。スペーサ22は、内部導体17が外部導体18内に収容されたときにその外周縁23が外部導体18の内周面24に当接し、内部導体17と外部導体18との同軸状態を保持する。
【0024】
同軸給電管19には、直状に延びる直線給電管25や所定の角度で折れ曲がるエルボ型給電管26等がある。通信用送信機15や放送用送信機15とアンテナ16とが所定距離離間し、伝送路14が長尺になる場合、複数の直線給電管25どうしを接続(連結)し、直線給電管25とエルボ型給電管26とを接続(連結)することで伝送路14が構築される。
【0025】
それら直線給電管25は、図2に示すように、外部導体18の端部27に径方向外方へ延びる連結フランジ28が形成されたフランジ接続型である。直線給電管25の内部導体17の一方の端部29は、雄型端部29aになっており、直線給電管25の内部導体17の他方の端部29は、雌型端部29bになっている。それら直線給電管25は、内部導体17の雌型端部29bに内部導体17の雄型端部29aが挿入され、内部導体17どうしが接続(連結)されているとともに、外部導体18の端部27に形成された連結フランジ28どうしが軸方向へ重なり合い、それら連結フランジ28どうしが連結金具30(ボルトおよびナット)によって強固に連結されて外部導体18どうしが接続(連結)されている。
【0026】
外部導体18の端部27に連結フランジ28が形成されておらず、それら直線給電管25がフランジ接続型ではなく、内部導体17の両端部29が雌型端部29bである場合、それら直線給電管25の内部導体17の雌型端部29bが一方向(軸方向)へ延びるインナーコネクタに挿入され、インナーコネクタを介して内部導体17どうし(端部29どうし)が接続(連結)され、それら直線給電管25の外部導体18がアウターコネクタに挿入され、アウターコネクタの外周面に巻き付けられた締結バンドによって外部導体18がアウターコネクタに強固に固定されることで、外部導体18どうし(端部27どうし)が接続(連結)される。
【0027】
直線給電管25の外部導体18どうしの接続箇所31(端部27)や直線給電管25の内部導体17どうしの接続箇所32(端部29)に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じると、その箇所31,32に放電が発生し、その箇所31,32の温度が上昇する。したがって、直線給電管25の外部導体18の接続箇所31の温度変化や直線給電管25の内部導体17の接続箇所32の温度変化を測定することで、直線給電管25の外部導体18の接続箇所31の異常や直線給電管25の内部導体17の接続箇所32の異常を検出することができる。
【0028】
直線給電管25とエルボ型給電管26とは、図3に示すように、それら給電管25,26の外部導体18の端部27に径方向外方へ延びる連結フランジ28が形成されたフランジ接続型である。直線給電管25およびエルボ型給電管26の内部導体17の一方の端部29は、雄型端部29aになっており、直線給電管25およびエルボ型給電管26の内部導体17の他方の端部29は、雌型端部29bになっている。直線給電管25とエルボ型給電管26とは、内部導体17の雌型端部29bに内部導体17の雄型端部29aが挿入され、内部導体17どうしが接続(連結)されているとともに、外部導体18の端部27に形成された連結フランジ28どうしが軸方向へ重なり合い、それら連結フランジ28どうしが連結金具30(ボルトおよびナット)によって強固に連結されて外部導体18どうしが接続(連結)されている。
【0029】
外部導体18の端部27に連結フランジ28が形成されておらず、直線給電管25とエルボ型給電管26とがフランジ接続型ではなく、内部導体17の両端部29が雌型端部29bである場合、直線給電管25の内部導体17の雌型端部29bとエルボ型給電管26の内部導体17の雌型端部29bとが一方向(軸方向)へ延びるインナーコネクタに挿入され、インナーコネクタを介して内部導体17どうし(端部29どうし)が接続(連結)され、直線給電管25の外部導体18とエルボ型給電管26の外部導体18とがアウターコネクタに挿入され、アウターコネクタの外周面に巻き付けられた締結バンドによって外部導体18がアウターコネクタに強固に固定されることで、外部導体18どうし(端部27どうし)が接続(連結)される。
【0030】
直線給電管25の外部導体18とエルボ型給電管26の外部導体18との接続箇所31や直線給電管25の内部導体17とエルボ型給電管26の内部導体17との接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じると、その箇所31,32に放電が発生し、その箇所31,32の温度が上昇する。したがって、直線給電管25の外部導体18とエルボ型給電管26の外部導体18との接続箇所31の温度変化や直線給電管25の内部導体17とエルボ型給電管26の内部導体17との接続箇所32の温度変化を測定することで、直線給電管25の外部導体18とエルボ型給電管26の外部導体18との接続箇所31の異常や直線給電管25の内部導体17とエルボ型給電管26の内部導体17との接続箇所32の異常を検出することができる。
【0031】
光ファイバ33は、コア部34とクラッド部35との2重構造であり、コア部34にGeをドープしてコア部34の屈折率をクラッド部35のそれよりも高くすることで光の閉じ込めを行っている。FBG光ファイバセンサ11は、図4に示すように、コア部34の軸方向に屈折率が周期的に変化する回折格子36を備えたデバイスであり、回折格子36の間隔で決まる特定の波長の光信号を反射する特性を有する。FBG光ファイバセンサ11に外部から温度が加えられると、コア部34に形成された回折格子36の格子間隔や屈折率が変化し、FBG光ファイバセンサ11の反射信号の中心波長が変化する。この中心波長の変化量と温度の物理量とを対応付けることによって温度の変化を測定することができる。FBG光ファイバセンサ11の温度測定範囲は、-20~80℃である。
【0032】
FBG光ファイバセンサ11は、受動素子であるから素子を駆動するための電源が不要である。FBG光ファイバセンサ11は、それに所定波長の紫外光を照射することによって温度変化を検出するから、紫外光によって駆動するFBG光ファイバセンサ11が熱的な影響を受けることはなく、温度変化を高い精度で検出することができる。異なるブラッグ波長を有する複数の第1~第nFBGセンサ部37a~37nを1本のFBG光ファイバセンサ11にデイジーチェーン接続することが可能であり、1本のFBG光ファイバセンサ11に軸方向(一方向)へ離間して並ぶ複数の第1~第nFBGセンサ部37a~37nを形成することができ、それらFBGセンサ部37a~37nによって多点での温度測定が可能である。それらFBGセンサ部37a~37nに光スペクトル内の固有の波長範囲を割り当て、屈曲や伝送に起因した光強度の損失/減衰が生じてもFBG光ファイバセンサ11の測定精度がFBGの波長特性によって維持される。
【0033】
FBGセンサモニタ11には、掃引光源方式とスペクトラムアナライザ方式とがある。掃引光源方式は、図6に示すように、掃引光源38と光サーキュレータ39とPD40(Photo Diode)とから形成されている。掃引光源38から出射された光は、光サーキュレータ39を介してFBG光ファイバセンサ11(光ファイバ33)に照射され、FBG光ファイバセンサ11からの反射光は、光サーキュレータ39に入射し、PD40によって検出される。掃引光源38の波長とPD40で検出される光パワーとを対応付けることにより、FBG光ファイバセンサ11のスペクトラムを検出することができる。FBG光ファイバセンサ11のスペクトラムのピーク値を掃引毎に検出することによって時間的に変化するFBG光ファイバセンサ11の出力値を求めることができる。
【0034】
スペクトラムアナライザ方式は、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源やSLD(Super Luminescent Diode)光源等の広帯域光源41と光サーキュレータ39と光スペクトラムアナライザ42とから形成されている。広帯域光源41からFBG光ファイバセンサ(光ファイバ33)に光を照射し、その反射光を光スペクトラムアナライザ42で検出することによってFBG光ファイバセンサ11のスペクトラムを検出する。
【0035】
FBGセンサモニタユニット12は、インターフェイス(有線または無線)を介してコントローラー13に接続されている。FBGセンサモニタユニット12は、所定波長のレーザ光を出射する掃引光源モジュール43と、駆動回路44と、光サーキュレータ39と、PD(Photo Diode)モジュール45と、信号処理ボード46とから形成されている。FBGセンサモニタユニット12は、4ポートタイプであり、掃引光源の出力をカプラー47によって4分岐し、それぞれのポートに接続されたFBG光ファイバセンサ11の信号を光サーキュレータ39を介してPDモジュール45で検出する。
【0036】
掃引光源モジュール43は、外部共振器型の光源であり、LDヘッドとスキャニングフィルタとを偏波保持ファイバで接続したレーザ光源であってマルチモード発振を行う。LDヘッドは、LDチップ、2つのコリメータレンズ、アイソレータから形成されている。LDチップの共振器側の端面にはARコートが施され、不要な共振モードを抑制している。
【0037】
スキャニングフィルタは、グレーティングとMEMS光スキャナとを用いたリットマンタイプのフィルタであり、MEMS光スキャナを回転往復運動させて波長を掃引している。掃引光源では、LDヘッドのHR面とMEMSミラー表面との間で共振器を形成している。エタロンは、共振器の波長を構成するために使用される。共振器の零次光を基準エタロンに入力し、その透過プロファイルをPD(Photo Diode)で検出し、FBG信号の波長を校正している。
【0038】
信号処理ボード46は、ADコンバータとタイマーとを備え、FBG光ファイバセンサ11の反射光を測定したPD信号と掃引光源の波長基準信号とをデジタル信号に変換し、ピーク検出と波長補正とを行った後、FBG光ファイバセンサ11のピーク信号とその時刻とをコントローラー13に出力する。信号処理ボード46には、コントローラー13から送信されたFBG光ファイバセンサ11の温度測定の時間間隔(たとえば、5分間隔や30分間隔、3時間間隔等)が格納(記憶)されている。信号処理ボード46は、温度測定の時間間隔にしたがって所定の時間間隔でFBG光ファイバセンサ11による温度測定を実施する。なお、FBG光ファイバセンサ11による温度測定を連続して実施することもできる。
【0039】
コントローラー13は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(メインメモリおよびキャッシュメモリ)とを有して独立したオペレーティングシステム(OS)によって動作するコンピュータ(仮想マシンを含む)であり、大容量記憶デバイス(大容量ハードディスク等)を実装している。コントローラー13には、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイ49やプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。コントローラー13のメモリには、伝送路監視装置10の各手段を実施するドライバーソフトがインストールされている。
【0040】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサに11)よる温度測定の時間間隔(連続測定を含む)、室温に対する許容温度範囲(たとえば、室温+5℃や室温+30℃、室温+50℃)、または、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常なしを推定し得る設定温度(たとえば、-10~50℃)、あるいは、外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲(たとえば、外部導体接続箇所温度+5℃や外部導体接続箇所温度+30℃、外部導体接続箇所温度+50℃)が格納(記憶)されている。
【0041】
さらに、伝送路14を特定する伝送路データ(伝送路識別子)、同軸給電管19の外部導体18どうしの接続箇所31および内部導体17どうしの接続箇所32を特定する接続箇所データ(接続箇所識別子)が格納(記憶)されている。なお、温度測定の時間間隔や室温に対する許容温度範囲、設定温度、外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲は、何時でも変更可能であり、自由に設定することができる。温度測定を連続して実施する場合は、温度測定の時間間隔をゼロに設定する。
【0042】
コントローラー13は、OSによる制御に基づいてメモリに格納されたドライバーソフトを起動し、起動したドライバーソフトにしたがって以下の各手段を実施する。コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサに11)を利用して同軸給電管19(直線給電管25、エルボ型給電管26)の内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度を測定する内部導体接続箇所温度測定手段を実施する。
【0043】
コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサに11)を利用して伝送路14が位置する箇所の室温を測定する室温測定手段を実施し、または、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサに11)を利用して同軸給電管19(直線給電管25、エルボ型給電管26)の外部導体18どうしの接続箇所31における外部導体接続箇所温度を測定する外部導体接続箇所温度測定手段を実施する。コントローラー13は、内部導体接続箇所温度測定手段によって測定した内部導体接続箇所温度に基づいて同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所32)における異常の有無を判定する異常有無判定手段を実施する。
【0044】
図8は、伝送路14が位置する箇所および内部導体17の接続箇所32に対するFBG光ファイバセンサ11a,11bの設置の一例を示す図である。同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31には、外部導体18を貫通する貫通孔48が形成されている。FBG光ファイバセンサ11のうちの一方のセンサ11aには、複数の第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)が形成されている。センサ11aは、外部導体18に形成された貫通孔48に挿通され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に達している。
【0045】
FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、所定寸法離間しつつ内部導体17の接続箇所32の複数部位に配置され、内部導体17の接続箇所32における複数部位の温度を測定する。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、内部導体17の接続箇所32の外周面21において接続箇所32(内部導体17)の周り方向(円筒状に成形された内部導体17の接続箇所32の外周に沿った方向)へ所定寸法離間(等間隔離間)して設置されている。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、内部導体17の接続箇所32の外周面21において周り方向へ90°離間して並んでいる。
【0046】
他方のFBG光ファイバセンサ11aでは、それらFBGセンサ部37a~37dを利用して内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度を多点で測定する。なお、図8では、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において4点で測定しているが、内部導体17の接続箇所32に配置するFBGセンサ部の数に特に制限はなく、2つまたは3つのFBGセンサ部を接続箇所32に設置して内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において2点または3点で測定してもよく、5つ以上のFBGセンサ部を接続箇所32に設置して内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において5点以上で測定してもよい。また、センサ11aの1つのFBGセンサ部37aのみを内部導体17の接続箇所32に設置して内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度を1点で測定してもよい。FBG光ファイバセンサ11のうちの他方のセンサ11bは、伝送路14が位置する箇所(屋内)に設置され、室温を測定する。
【0047】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)による温度測定の時間間隔(連続測定を含む)が伝送路データおよび接続箇所データに関連付けられた状態で格納され、室温に対する許容温度範囲が伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けられた状態で格納されている。温度測定の時間間隔や室温に対する許容温度範囲は、内部導体17の接続箇所32のすべてに同一の時間間隔や同一の許容温度範囲を設定することができ、または、内部導体17の接続箇所32毎に個別の時間間隔や個別の許容温度範囲を設定することができる。
【0048】
伝送路監視装置10が起動すると、コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12に室温および内部導体接続箇所温度の温度測定信号を送信するとともに、温度測定の時間間隔を送信する。FBGセンサモニタユニット12は、コントローラー13から送信された温度測定信号と温度測定の時間間隔とにしたがい、FBG光ファイバセンサ11bを利用して伝送路14が位置する箇所(屋内)の室温の測定を開始し、伝送路14が位置する箇所の室温を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定するとともに(室温測定手段)、FBG光ファイバセンサ11aを利用して同軸給電管19の内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度の測定を開始し、内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定する(内部導体接続箇所温度測定手段)。
【0049】
なお、室温と内部導体17の接続箇所32における複数部位のそれら内部導体接続箇所温度とは、同一の時間間隔で同期して測定される。FBGセンサモニタユニット12は、FBG光ファイバセンサ11aによって測定した内部導体17の接続箇所32の複数部位の内部導体接続箇所温度とそれらの測定時間とをコントローラー13に送信するとともに、FBG光ファイバセンサ11bによって測定した室温とその測定時間とをコントローラー13に送信する。
【0050】
コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12から室温および測定時間とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間とを受信すると、受信した室温および測定時間(温度測定日時)とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)する。
【0051】
次に、コントローラー13は、室温と内部導体接続箇所温度とを比較する。コントローラー13は、室温と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が室温に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常なしと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常なし)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で格納(記憶)するとともに、判定結果(異常なし)メッセージをディスプレイ49に表示する。
【0052】
コントローラー13は、室温と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの少なくとも1つが室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常あり)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)するとともに、判定結果(異常あり)メッセージと異常が発生した伝送路14とその伝送路14の異常が発生した内部導体17の接続箇所32とをディスプレイ49に表示する。
【0053】
なお、コントローラー13は、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの全て(全ての第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体接続箇所温度)が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定してもよい(異常有無判定手段)。
【0054】
伝送路監視装置10は、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて内部導体17の接続箇所32の温度が上昇し、内部導体接続箇所温度が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、内部導体17の接続箇所32に設置されたFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによってその温度変化を直ちに検出することができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を迅速に検出することができる。また、異常が発生した内部導体17の接続箇所32を表示することで、異常が発生した接続箇所32を特定することができ、異常が発生した特定の接続箇所32を把握することができる。
【0055】
伝送路監視装置10は、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)によって測定した室温と内部導体接続箇所温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体17の接続箇所32の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体17の接続箇所32の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機15や放送用送信機15からアンテナ16への高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0056】
内部導体17の接続箇所32の特定部位に異常が生じた場合、内部導体17の接続箇所32の特定部位の温度が上昇する場合があるが、伝送路監視装置10は、1本のFBG光ファイバセンサ11aに形成された複数の第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)によって内部導体17の接続箇所32における内部導体接続箇所温度を多点で測定することで、内部導体17の接続箇所32の特定部位の温度変化を第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって的確に捉えることができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に部分的に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて内部導体17の接続箇所32の温度が部分的に上昇し、内部導体接続箇所温度が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合であっても、その温度変化をFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって素早く検出することができ、内部導体17の接続箇所32における部分的な異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【0057】
図9は、内部導体17の接続箇所32に対するFBG光ファイバセンサ11の設置の一例を示す図である。図9に基づいて説明する伝送路監視装置10が図8に基づいて説明した伝送路監視装置10と異なるところは、室温を測定することなく、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常なしを推定し得る設定温度がコントローラー13の記憶デバイスに格納され、コントローラー13が内部導体接続箇所温度と設定温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を検出する点にある。
【0058】
FBG光ファイバセンサ11aは、図8のそれと同様に、外部導体18に形成された貫通孔48に挿通され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に達している。FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)は、所定寸法離間しつつ内部導体17の接続箇所32の複数部位に配置され、内部導体17の接続箇所32における複数部位の温度を測定する。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、内部導体17の接続箇所32の外周面21において接続箇所32(内部導体17)の周り方向へ所定寸法離間(等間隔離間)して設置されている。
【0059】
FBG光ファイバセンサ11aでは、それらFBGセンサ部37a~37dを利用して内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度を多点で測定する。なお、2つまたは3つのFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において2点または3点で測定してもよく、5つ以上のFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において5点以上で測定してもよい。また、センサ11aの1つのFBGセンサ部37aのみを内部導体17の接続箇所32に設置し、内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度を1点で測定してもよい。
【0060】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a)による温度測定の時間間隔(連続測定を含む)が伝送路データおよび接続箇所データに関連付けられた状態で格納され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常なしを推定し得る設定温度が伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けられた状態で格納されている。温度測定の時間間隔や設定温度は、内部導体17の接続箇所32のすべてに同一の時間間隔や同一の設定温度を設定することができ、または、内部導体17の接続箇所32毎に個別の時間間隔や個別の設定温度を設定することができる。
【0061】
伝送路監視装置10が起動すると、コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12に内部導体接続箇所温度の温度測定信号を送信するとともに、温度測定の時間間隔を送信する。FBGセンサモニタユニット12は、コントローラー13から送信された温度測定信号と温度測定の時間間隔とにしたがい、FBG光ファイバセンサ11aを利用して同軸給電管19の内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度の測定を開始し、内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定する(内部導体接続箇所温度測定手段)。
【0062】
FBGセンサモニタユニット12は、FBG光ファイバセンサ11aを利用して測定した内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度とそれらの測定時間とをコントローラー13に送信する。コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12からそれら内部導体接続箇所温度および測定時間を受信すると、受信したそれら内部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)する。
【0063】
次に、コントローラー13は、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較する。コントローラー13は、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が設定温度内にある場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常なしと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常なし)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で格納(記憶)するとともに、判定結果(異常なし)メッセージをディスプレイ49に表示する。
【0064】
コントローラー13は、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの少なくとも1つが設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常あり)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)するとともに、判定結果(異常あり)メッセージと異常が発生した伝送路14とその伝送路14の異常が発生した同軸給電管19の接続箇所32とをディスプレイ49に表示する。
【0065】
なお、コントローラー13は、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの全て(全ての第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体接続箇所温度)が設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定してもよい(異常有無判定手段)。
【0066】
伝送路監視装置10は、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常がない場合の内部導体17の接続箇所32の温度を設定温度として事前に設定し、内部導体17の接続箇所32に異常が生じて内部導体接続箇所温度が設定温度を超えて上昇した場合、内部導体17の接続箇所32に設置されたFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによってその温度変化を直ちに検出することができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を迅速に検出することができる。また、異常が発生した内部導体17の接続箇所32を表示することで、異常が発生した接続箇所32を特定することができ、異常が発生した特定の接続箇所32を把握することができる。
【0067】
伝送路監視装置10は、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定した内部導体接続箇所温度とあらかじめ設定された設定温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体17の接続箇所32の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体17の接続箇所32の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機15や放送用送信機15からアンテナ16への高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0068】
伝送路監視装置10は、1本のFBG光ファイバセンサ11aに形成された複数の第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって内部導体17の接続箇所32における内部導体接続箇所温度を多点で測定することで、内部導体17の接続箇所32の特定部位の温度変化をそれらFBGセンサ部37a~37dによって的確に捉えることができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に部分的に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて内部導体17の接続箇所32の温度が部分的に上昇し、内部導体接続箇所温度が設定温度を超えて上昇した場合であっても、その温度変化をFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって素早く検出することができ、内部導体17の接続箇所32における部分的な異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【0069】
図10は、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31および内部導体17の接続箇所32に対するFBG光ファイバセンサ11a,11bの設置の一例を示す図である。図10に基づいて説明する伝送路監視装置10が図8に基づいて説明した伝送路監視装置10と異なるところは、室温を測定することなく同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31の外部導体接続箇所温度を測定し、コントローラー13が外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を検出する点にある。
【0070】
FBG光ファイバセンサ11のうちの一方のセンサ11aは、図8のそれと同様に、外部導体18に形成された貫通孔48に挿通され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に達している。他方のFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)は、所定寸法離間しつつ内部導体17の接続箇所32の複数部位に配置され、内部導体17の接続箇所32における複数部位の温度を測定する。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、内部導体17の接続箇所32の外周面21において接続箇所32(内部導体17)の周り方向へ所定寸法離間(等間隔離間)して設置されている。FBG光ファイバセンサ11のうちの一方のセンサ11bは、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31に設置されている。
【0071】
FBG光ファイバセンサ11aでは、それらFBGセンサ部37a~37dを利用して内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度を多点で測定する。なお、2つまたは3つのFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において2点または3点で測定してもよく、5つ以上のFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において5点以上で測定してもよい。また、センサ11aの1つのFBGセンサ部37aのみを内部導体17の接続箇所32に設置し、内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度を1点で測定してもよい。
【0072】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)による温度測定の時間間隔(連続測定を含む)が伝送路データおよび接続箇所データに関連付けられた状態で格納され、外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲が伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けられた状態で格納されている。温度測定の時間間隔および外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲は、内部導体17の接続箇所32のすべてに同一の時間間隔や同一の許容温度範囲を設定することができ、または、内部導体17の接続箇所32毎に個別の時間間隔や個別の許容温度範囲を設定することができる。
【0073】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサに11)よる温度測定の時間間隔(連続測定を含む)が伝送路データおよび接続箇所データに関連付けられた状態で格納され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常なしを推定し得る設定温度が伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けられた状態で格納されている。温度測定の時間間隔や設定温度は、外部導体18および内部導体17の接続箇所31,32のすべてに同一の時間間隔や同一の設定温度を設定することができ、または、外部導体18および内部導体17の接続箇所31,32毎に個別の時間間隔や個別の設定温度を設定することができる。
【0074】
伝送路監視装置10が起動すると、コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12に内部導体接続箇所温度および外部導体接続箇所温度の温度測定信号を送信するとともに、温度測定の時間間隔を送信する。FBGセンサモニタユニット12は、コントローラー13から送信された温度測定信号と温度測定の時間間隔とにしたがい、FBG光ファイバセンサ11aを利用して同軸給電管19の内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度の測定を開始し、内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定するとともに(内部導体接続箇所温度測定手段)、FBG光ファイバセンサ11bを利用して同軸給電管19の外部導体18どうしの接続箇所31の外部導体接続箇所温度の測定を開始し、外部導体18の接続箇所31の外部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定する(外部導体接続箇所温度測定手段)。
【0075】
なお、外部導体18の接続箇所31の外部導体接続箇所温度と内部導体17の接続箇所32における複数部位のそれら内部導体接続箇所温度とは、同一の時間間隔で同期して測定される。FBGセンサモニタユニット12は、FBG光ファイバセンサ11aによって測定した内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度とそれらの測定時間とをコントローラー13に送信するとともに、FBG光ファイバセンサ11bによって測定した外部導体18の接続箇所31の外部導体接続箇所温度とその測定時間とをコントローラー13に送信する。
【0076】
コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12から外部導体接続箇所温度および測定時間とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間とを受信すると、受信した外部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)する。
【0077】
次に、コントローラー13は、外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較する。コントローラー13は、外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対して許容温度範囲にある場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常なしと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常なし)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で格納(記憶)するとともに、判定結果(異常なし)メッセージをディスプレイ49に表示する。
【0078】
コントローラー13は、外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの少なくとも1つが外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常あり)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)するとともに、判定結果(異常あり)メッセージと異常が発生した伝送路14とその伝送路14の異常が発生した同軸給電管19の接続箇所31,32とをディスプレイ49に表示する。
【0079】
なお、コントローラー13は、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの全て(全ての第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体接続箇所温度)が外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定してもよい(異常有無判定手段)。
【0080】
伝送路監視装置10は、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて内部導体17の接続箇所32の温度が上昇し、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、内部導体17の接続箇所32に設置されたFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによってその温度変化を直ちに検出することができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を迅速に検出することができる。また、異常が発生した内部導体17の接続箇所32を表示することで、異常が発生した接続箇所32を特定することができ、異常が発生した特定の接続箇所32を把握することができる。
【0081】
伝送路監視装置10は、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)によって測定した外部導体接続箇所温度と内部導体接続箇所温度とを比較することで、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に生じた異常を即座に検出することができるから、内部導体17の接続箇所32の異常をタイムリーに知ることができ、内部導体17の接続箇所32の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機15や放送用送信機15からアンテナ16への高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0082】
伝送路監視装置10は、1本のFBG光ファイバセンサ11aに形成された複数の第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)によって内部導体17の接続箇所32における内部導体接続箇所温度を多点で測定することで、内部導体17の接続箇所32の特定部位の温度変化を第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって的確に捉えることができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に部分的に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて内部導体17の接続箇所32の温度が部分的に上昇し、内部導体接続箇所温度が外部導体接続箇所温度に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合であっても、その温度変化をFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって素早く検出することができ、内部導体17の接続箇所32における部分的な異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【0083】
図11は、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31および内部導体17の接続箇所32に対するFBG光ファイバセンサ11b,11aの設置の他の一例を示す図である。図11に基づいて説明する伝送路監視装置10が図8に基づいて説明した伝送路監視装置10と異なるところは、室温を測定することなく、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)および同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常なしを推定し得る設定温度がコントローラー13の記憶デバイスに格納され、コントローラー13が内部導体接続箇所温度と設定温度とを比較するとともに、外部導体接続箇所温度と設定温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常や外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)における異常を検出する点にある。
【0084】
FBG光ファイバセンサ11のうちの一方のセンサ11aは、図8のそれと同様に、外部導体18に形成された貫通孔48に挿通され、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32に達している。一方のFBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)は、所定寸法離間しつつ内部導体17の接続箇所32の複数部位に配置され、内部導体17の接続箇所32における複数部位の温度を測定する。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、内部導体17の接続箇所32の外周面21において接続箇所32(内部導体17)の周り方向へ所定寸法離間(等間隔離間)して設置されている。
【0085】
FBG光ファイバセンサ11aでは、それらFBGセンサ部37a~37dを利用して内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度を多点で測定する。なお、2つまたは3つのFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において2点または3点で測定してもよく、5つ以上のFBGセンサ部を接続箇所32に設置し、内部導体接続箇所温度を接続箇所32の周り方向において5点以上で測定してもよい。また、センサ11aの1つのFBGセンサ部37aのみを内部導体17の接続箇所32に設置し、内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度を1点で測定してもよい。
【0086】
FBG光ファイバセンサ11のうちの他方のセンサ11bは、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31に設置されている。他方のFBG光ファイバセンサ11bの第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)は、所定寸法離間しつつ外部導体18の接続箇所31の複数部位に配置され、外部導体18の接続箇所31における複数部位の温度を測定する。第1~第4FBGセンサ部37a~37dは、外部導体18の接続箇所31(外部導体18)の外周面において接続箇所31の周り方向へ所定寸法離間(等間隔離間)して設置されている。
【0087】
FBG光ファイバセンサ11bでは、それらFBGセンサ部37a~37dを利用して外部導体18どうしの接続箇所31の周り方向における外部導体接続箇所温度を多点で測定する。なお、2つまたは3つのFBGセンサ部を接続箇所31に設置し、外部導体接続箇所温度を接続箇所31の周り方向において2点または3点で測定してもよく、5つ以上のFBGセンサ部を接続箇所31に設置し、外部導体接続箇所温度を接続箇所31の周り方向において5点以上で測定してもよい。また、センサ11bの1つのFBGセンサ部37aのみを外部導体18の接続箇所31に設置し、外部導体18どうしの接続箇所31における外部導体接続箇所温度を1点で測定してもよい。
【0088】
コントローラー13の記憶デバイスには、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)による温度測定の時間間隔(連続測定を含む)が伝送路データおよび接続箇所データに関連付けられた状態で格納され、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31における異常なしおよび内部導体17の接続箇所32における異常なしを推定し得る設定温度が伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けられた状態で格納されている。温度測定の時間間隔や設定温度は、外部導体18の接続箇所31および内部導体17の接続箇所32のすべてに同一の時間間隔や同一の設定温度を設定することができ、または、外部導体18の接続箇所31および内部導体17の接続箇所32毎に個別の時間間隔や個別の設定温度を設定することができる。
【0089】
伝送路監視装置10が起動すると、コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12に外部導体接続箇所温度および内部導体接続箇所温度の温度測定信号を送信するとともに、温度測定の時間間隔を送信する。FBGセンサモニタユニット12は、コントローラー13から送信された温度測定信号と温度測定の時間間隔とにしたがい、FBG光ファイバセンサ11aを利用して同軸給電管19の内部導体17どうしの接続箇所32における内部導体接続箇所温度の測定を開始し、内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定するとともに(内部導体接続箇所温度測定手段)、FBG光ファイバセンサ11bを利用して同軸給電管19の外部導体18どうしの接続箇所31における外部導体接続箇所温度の測定を開始し、外部導体18の接続箇所31における複数部位の外部導体接続箇所温度を所定の時間間隔(連続測定を含む)で測定する(外部導体接続箇所温度測定手段)。
【0090】
なお、外部導体18の接続箇所31における複数部位のそれら外部導体接続箇所温度と内部導体17の接続箇所32における複数部位のそれら内部導体接続箇所温度とは、同一の時間間隔で同期して測定される。 FBGセンサモニタユニット12は、FBG光ファイバセンサ11aによって測定した内部導体17の接続箇所32における複数部位の内部導体接続箇所温度とそれらの測定時間とをコントローラー13に送信するとともに、FBG光ファイバセンサ11bによって測定した外部導体18の接続箇所31における複数部位の外部導体接続箇所温度とそれらの測定時間とをコントローラー13に送信する。
【0091】
コントローラー13は、FBGセンサモニタユニット12からそれら外部導体接続箇所温度および測定時間とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間とを受信すると、受信したそれら外部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とそれら内部導体接続箇所温度および測定時間(温度測定日時)とを同軸給電管19の接続箇所を示す接続箇所データ(識別番号)に関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)する。
【0092】
次に、コントローラー13は、設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較するとともに、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較する。コントローラー13は、設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、外部導体接続箇所温度が設定温度内にある場合、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)に異常なしと判定し(異常有無判定手段)、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、内部導体接続箇所温度が設定温度内にある場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常なしと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、判定結果(異常なし)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31,32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で格納(記憶)するとともに、判定結果(異常なし)メッセージをディスプレイ49に表示する。
【0093】
コントローラー13は、設定温度と外部導体接続箇所温度とを比較した結果、FBG光ファイバセンサ11bの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された外部導体18どうしの接続箇所31の周り方向における外部導体接続箇所温度のうちの少なくとも1つが設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、外部導体18の接続箇所31の判定結果(異常あり)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所31を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)するとともに、判定結果(異常あり)メッセージと異常が発生した伝送路14とその伝送路14の異常が発生した外部導体18の接続箇所31とをディスプレイ49に表示する。
【0094】
なお、コントローラー13は、FBG光ファイバセンサ11bの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された外部導体18どうしの接続箇所31の周り方向における外部導体接続箇所温度のうちの全て(全ての第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された外部導体接続箇所温度)が設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定してもよい(異常有無判定手段)。
【0095】
コントローラー13は、設定温度と内部導体接続箇所温度とを比較した結果、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの少なくとも1つが設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定する(異常有無判定手段)。コントローラー13は、内部導体17の接続箇所32の判定結果(異常あり)と温度測定日時とを伝送路14を特定する伝送路データおよび接続箇所32を特定する接続箇所データに関連付けた状態で記憶デバイスに格納(記憶)するとともに、判定結果(異常あり)メッセージと異常が発生した伝送路14とその伝送路14の異常が発生した内部導体17の接続箇所32とをディスプレイ49に表示する。
【0096】
なお、コントローラー13は、FBG光ファイバセンサ11aの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体17どうしの接続箇所32の周り方向における内部導体接続箇所温度のうちの全て(全ての第1~第4FBGセンサ部37a~37dによって測定された内部導体接続箇所温度)が設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)に異常ありと判定してもよい(異常有無判定手段)。
【0097】
伝送路監視装置10は、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32の温度が上昇し、外部導体接続箇所温度や内部導体接続箇所温度が設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合、外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32に設置されたFBG光ファイバセンサ11a,11bの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによってその温度変化を直ちに検出することができ、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31(同軸給電管19の接続箇所)や内部導体17の接続箇所32(同軸給電管19の接続箇所)における異常を迅速に検出することができる。また、異常が発生した外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32を表示することで、異常が発生した接続箇所31,32を特定することができ、異常が発生した特定の接続箇所31,32を把握することができる。
【0098】
伝送路監視装置10は、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31のみに接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じた場合、その異常を直ちに検出することができ、同軸給電管19の内部導体17の接続箇所32のみに接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じた場合、その異常を直ちに検出することができるとともに、外部導体18の接続箇所31および内部導体17の接続箇所32の両者に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じた場合、それら異常を直ちに検出することができる。
【0099】
伝送路監視装置10は、FBGセンサモニタユニット12(FBG光ファイバセンサ11a,11b)によって測定した外部導体接続箇所温度および内部導体接続箇所温度と設定温度とを比較することで、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31に生じた異常や内部導体17の接続箇所32に生じた異常を即座に検出することができるから、外部導体18の接続箇所31の異常や内部導体17の接続箇所32の異常をタイムリーに知ることができ、外部導体18の接続箇所31の異常や内部導体17の接続箇所32の異常を迅速に補修することができるとともに、通信用送信機15や放送用送信機15からアンテナ16への高周波電力の安定供給を可能にすることができる。
【0100】
伝送路監視装置10は、1本のFBG光ファイバセンサ11a,11bに形成された複数の第1~第4FBGセンサ部37a~37d(第1~第nFBGセンサ部37a~37n)によって、外部導体18の接続箇所31における外部導体接続箇所温度を多点で測定するとともに、内部導体17の接続箇所32における内部導体接続箇所温度を多点で測定することで、外部導体18の接続箇所31の特定部位の温度変化や内部導体17の接続箇所32の特定部位の温度変化をそれらFBGセンサ部37a~37dによって的確に捉えることができ、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32に部分的に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32の温度が部分的に上昇し、外部導体接続箇所温度や内部導体接続箇所温度が設定温度を超えて所定温度以上に上昇した場合であっても、その温度変化をFBG光ファイバセンサ11a,11bのFBGセンサ部37a~37dによって素早く検出することができ、外部導体18の接続箇所31における部分的な異常や内部導体17の接続箇所32における部分的な異常を迅速かつ確実に検出することができる。
【0101】
図11に基づいて説明した伝送路監視装置10は、内部導体接続箇所温度と設定温度とを比較するとともに、外部導体接続箇所温度と設定温度とを比較することで、内部導体17の接続箇所32における異常や外部導体18の接続箇所31における異常を検出するが、FBG光ファイバセンサ11c(図示せず)を利用して室温を測定し、室温と内部導体接続箇所温度とを比較するとともに、室温と外部導体接続箇所温度とを比較し、内部導体17の接続箇所32における異常や外部導体18の接続箇所31における異常を検出してもよい。
【0102】
室温と内部導体接続箇所温度とを比較するとともに室温と外部導体接続箇所温度とを比較し、内部導体17の接続箇所32における異常や外部導体18の接続箇所31における異常を検出する場合、外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32に接続不良や接触不良、変形、折損等の異常が生じて外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32の温度が上昇し、外部導体接続箇所温度や内部導体接続箇所温度が室温に対する許容温度範囲を超えて所定温度以上に上昇した場合、外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32に設置されたFBG光ファイバセンサ11a,11bの第1~第4FBGセンサ部37a~37dによってその温度変化を直ちに検出することができ、同軸給電管19の外部導体18の接続箇所31や内部導体17の接続箇所32における異常を迅速に検出することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 伝送路監視装置
11 FBG光ファイバセンサ
11a FBG光ファイバセンサ
11b FBG光ファイバセンサ
12 FBGセンサモニタユニット
13 コントローラー
14 伝送路
15 通信用送信機、放送用送信機
16 アンテナ
17 内部導体
18 外部導体
19 同軸給電管
20 空間
21 外周面
22 スペーサ
23 外周縁
24 内周面
25 直線給電管
26 エルボ型給電管
27 端部
28 連結フランジ
29 端部
29a 雄型端部
29b 雌型端部
30 連結金具(ボルトおよびナット)
31 接続箇所
32 接続箇所
33 光ファイバ
34 コア部
35 クラック部
36 回折格子
37 FBGセンサ部
37a~37n 第1~第nFBGセンサ部
38 掃引光源
39 光サーキュレータ
40 PD(Photo Diode)
41 広帯域光源
42 光スペクトラムアナライザ
43 掃引光源モジュール
44 駆動回路
45 PD(Photo Diode)モジュール
46 信号処理ボード
47 カプラー
48 貫通孔
49 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11