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特許6999344焦点監視及び制御を用いた可変焦点距離レンズシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】焦点監視及び制御を用いた可変焦点距離レンズシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20220111BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220111BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20220111BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20220111BHJP
【FI】
G02B21/00
G01B11/00 B
G01C3/06 120P
G02B7/28 H
G02B7/28 J
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017188546
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2018077461
(43)【公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】15/280,501
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジェラード グラドニック
(72)【発明者】
【氏名】キム アサートン
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-1531(JP,A)
【文献】特開2000-316120(JP,A)
【文献】特開2015-175822(JP,A)
【文献】特開2015-219034(JP,A)
【文献】特開昭58-142242(JP,A)
【文献】特開昭57-60243(JP,A)
【文献】実開昭51-2266(JP,U)
【文献】特開2004-4634(JP,A)
【文献】特開昭61-154360(JP,A)
【文献】特開平9-133856(JP,A)
【文献】特開2016-53491(JP,A)
【文献】特開2012-13820(JP,A)
【文献】特表2000-502472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0177376(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104407436(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/00 - 3/32
G02B 7/28 - 7/40
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点距離(VFL)レンズシステムであって、
光学パワーが、ある範囲にわたってある動作周波数で周期的に変更するように動作する可変音響式屈折率分布型(TAG)レンズと、
前記VFLレンズシステムの焦点状態を監視するための光学焦点監視構成と、を備え、
前記光学焦点監視構成は、
前記周期的な変更の間に焦点検出光を前記TAGレンズに入力するように構成された監視光源であって、
入力された前記焦点検出光は、光断面の外形形状が略円形である入力照明パターン内に分布した光エネルギ入力量を与えるように構成され、
前記入力照明パターンの少なくとも中央部分は、前記周期的な変更の間に前記TAGレンズを透過して、前記TAGレンズから対応する出力照明パターンを与え、前記出力照明パターンは前記TAGレンズの前記光学パワーに応じたサイズ及び強度を有する、監視光源と、
前記TAGレンズから所定の距離に位置決めされて、前記TAGレンズから出力された前記出力照明パターンに含まれる焦点検出光を受光する光学焦点信号検出器部と、を備え、
前記光学焦点信号検出器部は、フィルタリング構成と、受光した全光エネルギに応じて変動する焦点出力信号を与える焦点光検出器と、を備え、
前記フィルタリング構成は、前記出力照明パターンを受光すると共に前記焦点光検出器に到達する前記焦点検出光の含有量を制限し、前記焦点光検出器により与えられる前記焦点出力信号に基づいて焦点監視信号が与えられる、
VFLレンズシステム。
【請求項2】
前記焦点検出光は、前記入力照明パターンを形成する、コリメートされた形態のビームである、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項3】
前記入力照明パターンは、前記対応する出力照明パターンが中実のパターンを含むように構成され、
前記フィルタリング構成は、前記焦点光検出器の範囲によって画定された空間フィルタリング開口を備え、
前記中実のパターンは、前記周期的な変更の間は前記焦点光検出器より大きい、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項4】
前記フィルタリング構成は、空間フィルタリング開口を備えたマスクを含み、
前記マスクは、前記周期的な変更の間は前記出力照明パターンの遮断部分を遮断し、
前記空間フィルタリング開口は、前記出力照明パターンの透過部分を透過させ、
前記空間フィルタリング開口は、前記透過部分と前記遮断部分との比が前記出力照明パターンのサイズに応じて変動するような形状になっている、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項5】
前記入力照明パターンは、前記対応する出力照明パターンが環状パターンを含むように構成されている、請求項4に記載のVFLレンズシステム。
【請求項6】
前記フィルタリング構成は、前記出力照明パターンのサイズに応じて前記出力照明パターンの透過を減衰させるように構成された非均一密度パターンを有する密度フィルタを備えたマスクを含む、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項7】
前記密度フィルタは、前記周期的な変更の間は前記出力照明パターン全体を受光して前記焦点光検出器へ透過させるように構成されている、請求項6に記載のVFLレンズシステム。
【請求項8】
前記入力照明パターンは、前記対応する出力照明パターンが環状パターンを含むように構成され、
前記非均一密度パターンは線対称であり、
前記非均一密度パターンの密度は、前記出力照明パターン内の半径の関数として変動する、請求項6に記載のVFLレンズシステム。
【請求項9】
前記周期的な変更は、少なくとも50kHzの周波数に対応し、
前記焦点監視信号は、変更される期間全体にわたる前記TAGレンズの前記焦点状態を示す時変信号を含み、
前記時変信号は、前記焦点状態に対して100ナノ秒以下のレイテンシで提供される、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項10】
前記TAGレンズの光学パワーを前記範囲にわたって前記動作周波数で周期的に変更するために、共振周波数で前記TAGレンズを駆動するように動作する制御部を備え、
前記焦点監視信号は、前記制御部に入力され、前記TAGレンズの前記周期的な変更の振幅、周波数、又は位相の少なくとも1つを調整するため用いられる、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項11】
前記TAGレンズ、対物レンズ、及びカメラ部を備えた撮像構成を更に備え、
前記対物レンズは、前記撮像構成の視野(FOV)内でワークピースの撮像表面領域からのワークピース光を入力し、前記ワークピース光を前記TAGレンズに透過させ、
前記カメラ部は、前記TAGレンズからの前記ワークピース光を受光し、前記撮像構成に対する合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を有する対応した撮像システム焦点面で合焦されるように画像露光を実行し、
前記撮像システム焦点面の前記合焦距離又はZ高さの少なくとも一方は、前記TAGレンズの光学パワーによって制御され、
前記焦点監視信号は、前記撮像システム焦点面の前記合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を示す、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項12】
前記VFLレンズシステムは、各合焦距離又はZ高さを各焦点監視信号値に関連付ける較正データを含む、請求項11に記載のVFLレンズシステム。
【請求項13】
前記VFLレンズシステムは、前記対応した撮像システム焦点面を決定する画像露光タイミングを用いて前記画像露光を制御するように構成され、
前記VFLレンズシステムは、前記画像露光タイミングを与えるため、前記VFLレンズシステムに含まれる制御可能ストロボ光源のタイミング又は前記カメラ部の制御可能画像積分期間のタイミングの少なくとも一方を制御するように構成されている、請求項11に記載のVFLレンズシステム。
【請求項14】
前記画像露光タイミングに相当する時点の焦点監視信号値をラッチするように構成されたラッチ回路を更に備え、
前記ラッチされた焦点監視信号値は、対応する前記画像露光の前記合焦距離又はZ高さを示す、請求項13に記載のVFLレンズシステム。
【請求項15】
前記焦点監視信号と、所望の撮像合焦距離又はZ高さに関連付けられた基準信号とを入力し、前記焦点監視信号が前記基準信号と一致した時に生成するよう前記画像露光タイミングを制御するトリガ信号を出力するように構成された比較器回路を更に備える、請求項13に記載のVFLレンズシステム。
【請求項16】
前記監視光源は、前記入力照明パターンにおいて第1の波長セットにより構成される焦点検出光を与えるように構成され、
前記光学焦点監視構成は更に、
前記対物レンズと前記TAGレンズとの間に配置され、前記監視光源からの焦点検出光を受光し、前記入力照明パターンを前記ワークピース光と共に前記TAGレンズに通過させる第1のビームスプリッタと、
前記TAGレンズと前記カメラ部との間に配置された第2のビームスプリッタであって、前記ワークピース光と共に前記TAGレンズからの前記出力照明パターンを受光し、前記出力照明パターンに含まれる前記第1の波長セットを前記光学焦点信号検出器部の方へ反射させ、前記ワークピース光に含まれる他の波長を前記カメラ部へ透過させるように構成された第2のビームスプリッタと、
を備える、請求項11に記載のVFLレンズシステム。
【請求項17】
前記光学焦点監視構成は、第1の分割出力照明パターンを前記光学焦点信号検出器部へ誘導すると共に第2の分割出力照明パターンを正規化光学検出器へ誘導するビームスプリッタを更に備え、
前記正規化光学検出器は、前記第2の分割出力照明パターン全体を正規化光検出器へ伝送するように構成され、
前記正規化光検出器は、前記正規化光検出器が受光した全光エネルギに応じて変動する正規化出力信号を与え、
前記VFLレンズシステムは、前記焦点出力信号及び前記正規化出力信号を入力すると共に正規化された焦点監視信号を生成するように構成された焦点監視出力回路を更に備え、
前記出力照明パターンに含まれる全光エネルギのばらつきによる前記焦点出力信号のばらつきは、前記正規化出力信号に基づいて補償される、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項18】
前記監視光源は、前記TAGレンズに入力される前記入力照明パターンの形状を決定するパターン生成器を備え、この結果として前記TAGレンズからの前記出力照明パターンの対応した形状が得られる、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項19】
前記入力照明パターン内に分布した前記光エネルギ入力量は一定である、請求項1に記載のVFLレンズシステム。
【請求項20】
可変音響式屈折率分布型(TAG)レンズを備える可変焦点距離(VFL)レンズシステムの焦点状態を光学的に監視し、前記焦点状態を反映する焦点監視信号を与えるための方法であって、
前記TAGレンズの光学パワーを、ある範囲にわたってある動作周波数で周期的に変更するように前記TAGレンズを動作させることと、
前記周期的な変更の間に焦点検出光を前記TAGレンズに入力することであって、前記入力された焦点検出光は、光断面の外形形状が略円形である入力照明パターン内に分布した光エネルギ入力量を与えるように構成される、ことと、
前記入力照明パターンの少なくとも中央部分を、前記周期的な変更の間に前記TAGレンズを透過させて、前記TAGレンズから対応する出力照明パターンを与えることであって、前記出力照明パターンは前記TAGレンズの前記光学パワーに応じたサイズ及び強度を有する、ことと、
前記TAGレンズから所定の距離に位置決めされた光学焦点信号検出器部を用いて前記出力照明パターンに含まれる焦点検出光を受光することであって、前記光学焦点信号検出器部は、フィルタリング構成と、受光した全光エネルギに応じて変動する焦点出力信号を与える焦点光検出器と、を備え、前記フィルタリング構成は前記出力照明パターンを受光すると共に前記焦点光検出器に到達する前記焦点検出光の含有量を制限する、ことと、
前記焦点光検出器により与えられる前記焦点出力信号に基づいて焦点監視信号を与えることと、
を備える方法。
【請求項21】
前記焦点検出光は、前記入力照明パターンを形成する、コリメートされた形態のビームである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルタリング構成は、空間フィルタリング開口を備えたマスクを含み、
前記マスクは、前記周期的な変更の間は前記出力照明パターンの遮断部分を遮断し、
前記空間フィルタリング開口は、前記出力照明パターンの透過部分を透過させ、
前記空間フィルタリング開口は、前記透過部分と前記遮断部分との比が前記出力照明パターンのサイズに応じて変動するような形状になっている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルタリング構成は、前記出力照明パターンのサイズに応じて前記出力照明パターンの透過を減衰させるように構成された非均一密度パターンを有する密度フィルタを備えたマスクを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記周期的な変更は、少なくとも50kHzの周波数に対応し、
前記焦点監視信号は、変更される期間全体にわたる前記TAGレンズの前記焦点状態を示す時変信号を含み、
前記時変信号は、前記焦点状態に対して100ナノ秒以下のレイテンシで提供される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記VFLレンズシステムは、前記TAGレンズ、対物レンズ、及びカメラ部を備えた撮像構成を更に備え、
前記対物レンズは、前記撮像構成の視野(FOV)内でワークピースの撮像表面領域からのワークピース光を入力し、前記ワークピース光を前記TAGレンズに透過させ、
前記カメラ部は、前記TAGレンズからの前記ワークピース光を受光し、前記撮像構成に対する合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を有する対応した撮像システム焦点面で合焦された画像を提供し、
前記撮像システム焦点面の前記合焦距離又はZ高さの少なくとも一方は、前記TAGレンズの光学パワーによって制御され、
前記焦点監視信号は、前記撮像システム焦点面の前記合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を示す、請求項20に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変焦点レンズを用いた精密計測に関し、更に、可変焦点距離レンズが周期的に合焦位置を変更できるマシンビジョン検査システム及び他のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
精密マシンビジョン検査システム(又は略して「ビジョンシステム」)は、物体を測定し検査するために使用可能である。そのようなシステムは、コンピュータと、カメラと、光学システムと、ワークピースの走査を可能とするために移動するステージと、を含み得る。汎用の「オフライン」精密ビジョンシステムとして特徴付けられる1つの例示的なシステムは、イリノイ州オーロラに位置するMitutoyo America Corporation(MAC)から入手可能なQUICK VISION(登録商標)シリーズのPCベースのビジョンシステム及びQVPAK(登録商標)ソフトウェアである。QUICK VISION(登録商標)シリーズのビジョンシステム及びQVPAK(登録商標)ソフトウェアの機能及び動作については、概ね、例えば2003年1月に発表されたQVPAK 3D CNCビジョン測定機ユーザガイドに記載されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。このタイプのシステムは、顕微鏡型の光学システムを利用し、小型又は大型のワークピースの検査画像を様々な倍率で提供するようにステージを移動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
様々な用途において、固定検査システム又はノンストップ移動検査システムのいずれかで高いスループットを得るため、高速測定を実行することが望ましい。一般に「ベストフォーカス(best focus)」の高さ決定に基づいたZ高さ測定に関して、Z高さ測定を実行できる速度は、Z高さ合焦位置の調整又は移動の速度によって制限され得る。しかしながら、いくつかの革新的な可変焦点レンズは極めて高いレートで焦点を変えることができるが、焦点変動レートに対応したレートで実際の合焦位置を高精度で決定することには問題があることがわかっている。高速精密検査動作に用いられる様々な高速可変焦点レンズについて、Z高さ測定の精度及び速度の向上が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この概要は、以下で「発明を実施するための形態」において更に記載するいくつかの概念を簡略化した形態で紹介するために提示する。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲の決定に役立てるため用いることも意図していない。
【0005】
可変音響式屈折率分布型(TAG)レンズ及び光学焦点監視構成を含む可変焦点距離(VFL)レンズシステムが提供される。光学焦点監視構成は、高い精度でかつ著しいレイテンシを生じることなくVFLレンズシステムの焦点状態を反映した焦点監視信号を与えるためのものである。TAGレンズは、その光学パワーを、ある範囲にわたってある動作周波数で周期的に変更するように動作する。光学焦点監視構成は、監視光源及び光学焦点信号検出器部を含む。監視光源は、周期的な変更の間に焦点検出光をTAGレンズに入力するように構成されている。様々な実施において、入力された焦点検出光は、ほぼ一定のサイズを有する入力照明パターン内に分布した光エネルギ入力量を与えるように構成されている。いくつかの実施において、光エネルギ入力量はほぼ一定である。入力照明パターンの少なくとも中央部分は、周期的な変更の間にTAGレンズを透過して、TAGレンズから対応する出力照明パターンを与える。この出力照明パターンは、TAGレンズの光学パワーに応じたサイズ及び強度を有する。光学焦点信号検出器部は、TAGレンズからほぼ一定の距離に位置決めされて、TAGレンズから出力された出力照明パターンに含まれる焦点検出光を受光する。光学焦点信号検出器部は、フィルタリング構成と、受光した全光エネルギに応じて変動する焦点出力信号を与える焦点光検出器と、を備えている。フィルタリング構成は、出力照明パターンを受光し、焦点光検出器に到達する焦点検出光の含有量を制限する。焦点光検出器により与えられる焦点出力信号に基づいて焦点監視信号が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】汎用の精密マシンビジョン検査システムの種々の典型的な構成要素を示す図である。
図2図1のものと同様の、本発明に開示する特徴を含むビジョンシステムの制御システム部及びビジョン構成要素部のブロック図である。
図3】本明細書に開示する原理に従って動作することができる光学焦点監視部を含む可変焦点距離レンズシステムの概略図である。
図4A】入力照明パターンの第1の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図である。
図4B】入力照明パターンの第1の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図である。
図5A】入力照明パターンの第2の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図であり、様々な実施で使用することができる空間フィルタリング開口又はマスクの異なる構成を示す。
図5B】入力照明パターンの第2の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図であり、様々な実施で使用することができる空間フィルタリング開口又はマスクの異なる構成を示す。
図5C】入力照明パターンの第2の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図であり、様々な実施で使用することができる空間フィルタリング開口又はマスクの異なる構成を示す。
図5D】入力照明パターンの第2の例示的な実施を含む光学焦点監視部の図であり、様々な実施で使用することができる空間フィルタリング開口又はマスクの異なる構成を示す。
図6】正規化部を含む光学焦点監視部の図である。
図7】様々な光学焦点監視部について、焦点監視信号とZ高さ(合焦距離)との関係を示すグラフである。
図8】検出器信号処理部の第1の例示的な実施のブロック図である。
図9】検出器信号処理部の第2の例示的な実施のブロック図である。
図10】可変焦点距離レンズシステムを動作させるためのルーチンの1つの例示的な実施を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本明細書に開示する原理に従って使用可能である1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。ビジョンシステム10は画像測定機12を含み、これは、制御コンピュータシステム14、モニタ又はディスプレイ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26と、データ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。モニタ又はディスプレイ16は、ビジョンシステム10の制御及び/又はプログラミングのためのユーザインタフェースを表示することができる。タッチスクリーンタブレット等によって、これらの構成要素のいずれか又は全ての機能を代用すること又は強化することができる。
【0008】
より一般的には、制御コンピュータシステム14は、任意のコンピューティングシステム又はデバイス、及び/又は分散型コンピューティング環境等を含むことができるか又はそれらから構成可能であり、本明細書に記載する機能を実現するためにソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含み得る。プロセッサには、プログラマブル汎用又は特殊用途マイクロプロセッサ、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等、又はそれらの組み合わせが含まれる。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等、又はそれらの組み合わせに記憶することができる。また、ソフトウェアは、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他の任意のタイプの不揮発性記憶媒体に記憶することができる。ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含み得る。プログラムモジュールの機能性は、有線又は無線のいずれかの構成において、多数のコンピューティングシステム又はデバイスにまたがるように組み合わせるか又は分散させ、サービスコールを介してアクセスすることができる。
【0009】
画像測定機12は、可動ワークピースステージ32と、ズームレンズ又は交換可能レンズを含み得る光学撮像システム34と、を含む。ズームレンズ又は交換可能レンズは一般に、様々な倍率(例えば0.5倍から100倍まで)を与える。同様のビジョンシステムが、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,324,682号、第7,454,053号、第8,111,905号、及び第8,111,938号にも記載されている。これらの各々は援用により全体が本願にも含まれるものとする。
【0010】
図2は、図1のビジョンシステムと同様の、本明細書に記載する特徴を含むビジョンシステム100の制御システム部120及びビジョン構成要素部200のブロック図である。制御システム部120を用いてビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200は、光学アセンブリ部205と、光源220、230、240、及び243と、中央の透明部212を有するワークピースステージ210と、を含む。ワークピースステージ210は、ワークピース20を位置決めすることができるステージの表面に対して概ね平行な面内にあるx軸及びy軸に沿って制御可能に移動させることができる。
【0011】
光学アセンブリ部205は、カメラ/検出器260(例えばカメラ部及び/又は任意選択的に共焦点光学焦点検出器等)、可変焦点距離(VFL:Variable Focal Length)レンズ270、検出器構成277を含み、更に、交換可能対物レンズ250、レンズ286と288を有するターレットレンズアセンブリ280も含む場合がある。ターレットレンズアセンブリの代わりに、固定もしくは手作業で交換可能な倍率可変レンズ(magnification-altering lens)、又はズームレンズ構成等を含んでもよい。
【0012】
様々な実施において、光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることで、x軸及びy軸に概ね直交したz軸に沿って制御可能に移動させることができる。制御可能モータ294はアクチュエータを駆動して、画像の焦点を変えるために光学アセンブリ部205をz軸に沿って動かす。制御可能モータ294は信号ライン296を介して入出力インタフェース130に接続されている。以下で詳述するように、VFLレンズ270も、合焦位置を周期的に変更するように動作させることができる。撮像対象の1つ又は複数のワークピース20は、ワークピースステージ210上に配置されている。ワークピースステージ210は、光学アセンブリ部205に対して(例えばx軸及びy軸方向に)移動することで、撮像エリアが1つ又は複数のワークピース20上の複数の位置の間で移動するようになっている。
【0013】
信号ライン又はバス221、231、及び241を介して制御システム部120に接続された透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240(例えばリング光)の1つ以上が、既知の原理に従って、それぞれ光源光222、232、及び/又は242を発して、1つ又は複数のワークピース20を照明することができる。図2において、光源光232は反射面290によって反射されてワークピース20を照明する。光源光はワークピース光255として反射又は透過され、ワークピース光255は(例えば撮像のために用いられる場合)、交換可能対物レンズ250、ターレットレンズアセンブリ280、及びVFLレンズ270を通過して、カメラ/検出器260に至る。様々な実施において、カメラ/検出器260は、画像データ及び/又は他の信号を、制御システム部120への信号ライン又はバス262上に出力することができる。制御システム部120は、ターレットレンズアセンブリ280を軸284を中心として回転させることで、信号ライン又はバス281を介して制御されるようにターレットレンズの倍率を選択することができる。以下で詳述するように、様々な実施において、光源230(又は他の光源)は制御可能ストロボ光源とすることができ、(例えば制御部125及び/又は照明制御インタフェース133等における)ストロボ制御部に(例えば信号ライン又はバス231を介して)動作可能に接続されると共に、それによって制御される。ストロボ制御部には焦点監視信号が入力され、ストロボ制御部は、少なくとも部分的にこの焦点監視信号に基づいて、制御可能ストロボ光源のストロボタイミングを制御することができる。
【0014】
図3及び図4を参照して以下で詳述するように、光源243は、(例えば撮像と干渉しない所望の波長の)焦点検出光245を発することができる。焦点検出光245は、反射面246によって反射されてVFLレンズ270を通過し、更に反射面246’によって反射されて検出器構成277へと進むことができる。検出器構成277は焦点検出光245を入力し、制御システム部120の検出器信号処理部278への信号ライン又はバス278’上に信号データ(例えば焦点出力信号及び/又は焦点監視信号等を含む)を出力することができる。光源243は、信号ライン又はバス244を介して制御システム部120に接続することができる。
【0015】
図2に示すように、種々の例示的な実施において制御システム部120は、制御部125、入出力インタフェース130、メモリ140、ワークピースプログラム生成器及び実行器170、及び電源部190を含む。これらの構成要素及び以下で説明する追加の構成要素の各々は、直接接続によって、又は1つ以上のデータ/制御バス及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、相互接続することができる。入出力インタフェース130は、撮像制御インタフェース131、移動制御インタフェース132、及び照明制御インタフェース133を含む。移動制御インタフェース132は、位置制御要素132a、及び速度/加速度制御要素132bを含み得るが、これらの要素はマージされる及び/又は区別できない場合もある。照明制御インタフェース133は、照明制御要素133a、133n、及び133flを含むことができ、これらは、ビジョンシステム100の様々な対応する光源について、例えば選択、パワー、オン/オフ切り換え、及びストロボパルスタイミングを適用可能な場合に制御する。
【0016】
本明細書に開示される原理に従って、入出力インタフェース130は更に、レンズ制御部/インタフェース271、焦点信号処理部275、及び検出器信号処理部278を含み得る。これらについては図3図6を参照して以下で詳述する。簡潔に述べると、1つの実施において、レンズ制御部/インタフェース271は、レンズ合焦動作回路及び/又はルーチン等を含むレンズ制御部を含み得る。レンズ制御部/インタフェース271は、ユーザ及び/又は動作プログラムによって構成又は制御することができ、信号ライン271’を用いてVFLレンズ270を制御してその光学パワーを(例えば正弦波状に)周期的に変更させることで、Z高さ方向に沿った複数の合焦位置にわたって撮像システムの合焦位置を決められた動作周波数で周期的に変更することができる。周期的に変更されたVFLレンズの光学パワーは、周期的な焦点変更を規定する。以下で図8を参照して詳述するように、1つの実施において、検出器信号処理部278はラッチ回路を含むことができ、(例えば光源230の)ストロボタイミングが、このストロボタイミングで決定された画像露光タイミングにおけるZ高さを示す焦点監視信号値のラッチをトリガする。以下で図9を参照して詳述するように、1つの実施において、検出器信号処理部278は比較器回路を含むことができ、この比較器回路は焦点監視信号とZ高さに関連付けた基準信号とを入力し、基準信号を関連付けたZ高さにおいて制御可能ストロボ光源(例えば光源230)をトリガする。様々な実施において、焦点信号処理部275は、追加的に又は代替的に、カメラ/検出器260(例えばカメラ部、共焦点光学検出器等を含む)からの信号データによって撮像されたワークピース表面領域が合焦位置にあることが示される時に対応した合焦位置指示信号の提供及び/又は焦点監視信号値の決定を行うことができる。
【0017】
様々な実施において、撮像制御インタフェース131及び/又はレンズ制御部/インタフェース271は拡大被写界深度モードを更に含み得る。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2015/0145980号に更に詳しく記載されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。VFLレンズを含む他のシステム及び方法については、2015年7月9日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Adaptable Operating Frequency of a Variable Focal Length Lens in an Adjustable Magnification Optical System」と題する米国特許出願第14/795,409号、2015年8月31日に出願された「Multi-Level Image Focus Using a Tunable Lens in a Machine Vision Inspection System」と題する米国特許出願第14/841,051号、及び、2015年9月15日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Chromatic Aberration Correction in Imaging System Including Variable Focal Length Lens」と題する米国特許出願第14/854,624号に記載されている。これらの出願の各々は援用により全体が本願にも含まれるものとする。
【0018】
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141、エッジ検出メモリ部140ed、ワークピース検査プログラムメモリ部142、及びビデオツール部143を含むことができる。ビデオツール部143は、対応する各ビデオツールのためのGUIや画像処理動作等を確定するビデオツール部143a及び他のビデオツール部(例えば143n)、並びに様々なビデオツールにおける動作をサポートする関心領域(ROI:region of interest)生成器143roiを含む。自動合焦ビデオツール143afは、いくつかの焦点高さ測定動作のためのGUIや画像処理動作等を確定することができる。自動合焦ビデオツール143afは更に高速焦点高さツールも含むことができる。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2014/0368726号に詳述されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。様々な実施において、本明細書に記載される光学焦点監視(例えば検出器構成277、検出器信号処理部278、及び/又はその他の関連する要素の利用を含む)は、ビデオツールの1つ以上と併用されるか、又は他の方法でそれらに含ませることができる。
【0019】
本開示のコンテキストにおいて、当業者に既知であるように、「ビデオツール」という言葉は概ね、マシンビジョンユーザが、ビデオツールに含まれる動作の段階的シーケンスを生成することなく、比較的シンプルなユーザインタフェースを介して実施可能である自動又はプログラミングされた動作のことである。例えばビデオツールは、あらかじめプログラミングされた複雑な画像処理動作セットを含み、これらは、少数の変数又はパラメータを調整することによって特定のインスタンスで適用及びカスタム化できる。ビデオツールは、このような基礎をなす動作及び計算の他に、ビデオツールの特定のインスタンス向けにそれらのパラメータをユーザが調整することを可能とするユーザインタフェースも備えている。場合によっては、ユーザインタフェース機能がビデオツールと称され、基礎をなす動作は暗黙的に含まれる。
【0020】
カメラ/検出器260からの信号ライン262、VFLレンズ270からの信号ライン271’、検出器構成277からの信号ライン278’、及び制御可能モータ294からの信号ライン296は全て、入出力インタフェース130に接続されている。信号ライン262は、画像データの伝達に加えて、特定のプロセス(例えば画像の取得、共焦点輝度の測定等)を開始する制御部125からの信号も伝達することができる。
【0021】
ユーザインタフェースのディスプレイデバイス136(例えば図1のディスプレイ16)及び入力デバイス138(例えば図1のジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26)も、入出力インタフェース130に接続することができる。いくつかの実施形態において、ディスプレイデバイス136は、レンズ制御部/インタフェース271、焦点信号処理部275、検出器信号処理部278等に関連付けられたユーザインタフェース機能を表示することができる。
【0022】
図3は、ビジョンシステムに適合させることができ、本明細書に開示する原理に従って動作することができるVFLレンズシステム300の概略図である。以下で別段の記載がない限り、図3の3XXと付番されたいくつかの構成要素は、図2の2XXと同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又は同様の動作を有し得ることは認められよう。図3に示すように、VFLレンズシステム300は、光源330及び343、対物レンズ350、チューブレンズ351、リレーレンズ352、VFLレンズ370、リレーレンズ386、レンズ制御部371、カメラ/検出器360、光学焦点監視部376、及び焦点監視信号(FMS:Focus Monitoring Signal)較正部373を含む。様々な実施において、様々な構成要素は、直接接続によって、又は1つ以上のデータ/制御バス(例えばシステム信号及び制御バス395)、及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、相互接続することができる。
【0023】
動作において、図3に示す実施では、光源330は「落射照明(coaxial)」光源又は他の光源であり、(例えばストロボ又は連続照明を用いた)光源光332を、ビームスプリッタ390を含む経路に沿って対物レンズ350を介してワークピース320の表面へと発するように構成することができる。対物レンズ350は、ワークピース320に近接した合焦位置FPで集束されたワークピース光355を受光し、ワークピース光355をチューブレンズ351に出力する。チューブレンズ351はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ352に出力する。他の実施では、同様の光源によって視野を非同軸に照明することも可能である。例えば、リング光源によって視野を照明することができる。様々な実施において、対物レンズ350は交換可能対物レンズとすることができ、チューブレンズ351はターレットレンズアセンブリの一部として含めることができる(例えば図2の交換可能対物レンズ250及びターレットレンズアセンブリ280と同様のもの)。様々な実施において、本明細書で言及する他のレンズの任意のものは、個別のレンズ、複合レンズ等から形成するか、又はそれらのレンズと連携して動作することができる。
【0024】
リレーレンズ352はワークピース光355を受光し、これをVFLレンズ370に出力する。VFLレンズ370はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ386に出力する。リレーレンズ386はワークピース光355を受光し、これをカメラ/検出器360に出力する。様々な実施において、カメラ/検出器360は画像露光期間中にワークピース320の画像をキャプチャし、この画像データを制御システム部に提供することができる。他の実施において、カメラ/検出器360は、これに加えて又はこの代わりに、共焦点光学検出器等も含み得る。
【0025】
様々な実施において、光学焦点信号処理部375は、カメラ/検出器360からデータを入力し、(例えばワークピース320の)撮像表面領域がいつ合焦位置にあるか判定するために使用されるデータ又は信号を提供することができる。例えばカメラ/検出器360がカメラを含む実施では、このカメラによって取得された1つ以上の画像(例えば画像スタック)を、既知の「最大コントラスト」解析を用いて解析して、ワークピース320の撮像表面領域がいつ合焦位置にあるか判定することができる。そのような解析のための例示的な技法は、米国特許第6,542,180号及び第9,060,117号に教示されている。これらの各々は本発明の譲受人に譲渡され、援用により全体が本願にも含まれる。カメラ/検出器360が共焦点光学検出器を含む実施では、信号データの少なくとも一部が、検知された共焦点輝度に対応し得る。そのような実施では、VFLレンズ370の光学パワーの周期的な変更の間に光学焦点信号処理部375を用いて、ワークピース320の合焦位置に対応する最大共焦点輝度がいつ発生するか判定することができる。
【0026】
VFLレンズ370は、(例えば1回以上の画像露光中に又は画像露光と画像露光との間に)撮像システムの合焦位置FPを変えるよう電子的に制御可能である。合焦位置FPは、合焦位置FP1と合焦位置FP2によって画定される範囲R内で動かすことができる。様々な実施において、範囲Rはユーザによって選択可能であるか、又は設計パラメータから与えられ得るか、又は他の方法で自動的に決定され得ることは認められよう。一般に図3の例に関して、図示した寸法のいくつかは一定の縮尺通りに描かれていない場合があることは認められよう。例えば、VFLレンズ370は図示するものと異なる比例的寸法を有し得る(例えば、所望の量の屈折力(lensing power)等を与えるため、いくつかの用途では幅がより狭く長さが50mm以上であり得る)。
【0027】
様々な実施において、ビジョンシステムは、VFLレンズシステム300の合焦位置を周期的に変更するため、レンズ制御部371と連携して動作するか又は他の方法でVFLレンズ370を制御するように構成可能な制御システム(例えば図2の制御システム部120)を備えることができる。いくつかの実施では、VFLレンズ370は迅速に合焦位置を周期的に調整又は変更することができる。様々な実施において、レンズ制御部371は、VFLレンズ光学パワーをある光学パワー範囲にわたって動作周波数で周期的に変更するため、共振周波数でVFLレンズ370(例えばTAGレンズ)を駆動するように動作可能である。以下で詳述するように、焦点監視信号を(例えばフィードバック信号として)レンズ制御部371に入力し、VFLレンズ370の制御を調整するため用いることができる。様々な実施において、VFLレンズ370の制御の調整は、VFLレンズ370の周期的な変更の振幅、周波数、又は位相の少なくとも1つを調整することを含み得る。
【0028】
1つの例示的な実施において、合焦位置FPを移動できる範囲Rは、(例えば1倍の対物レンズ350では)約10mmとすることができる。様々な実施において、VFLレンズ370は、合焦位置FPを変えるために撮像システムの巨視的な機械的調整及び/又は対物レンズ350とワークピース320との間の距離の調整を必要としないように、有利に選択される。
【0029】
様々な実施において、VFLレンズ370は可変音響式屈折率分布型(「TAG」:tunable acoustic gradient index of refraction)レンズとすることができる。可変音響式屈折率分布型レンズは、流体媒質中で音波を用いて合焦位置を変更する高速VFLレンズであり、焦点距離範囲を数百kHzの周波数で周期的にスイープすることができる。このようなレンズは、論文「High-speed varifocal imaging with a tunable acoustic gradient index of refraction lens」(Optics Letters、Vol.33、No.18、2008年9月15日)の教示によって理解することができる。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。可変音響式屈折率分布型レンズ及びこれに関連した制御可能信号生成器は、例えばTAG Optics, Inc.(ニュージャージー州プリンストン)から入手可能である。例えば、モデルTL2.B.xxxシリーズのレンズは最大で約600KHzの変更が可能である。
【0030】
VFLレンズ370は、VFLレンズ370を動作させる信号を生成することができるレンズ制御部371によって駆動され得る。一実施形態において、レンズ制御部371は市販の制御可能信号生成器とすればよい。いくつかの実施では、レンズ制御部371は、(例えば図2を参照して先に概説したようなレンズ制御部/インタフェース271を介して)ユーザ及び/又は動作プログラムによって構成又は制御され得る。いくつかの実施では、レンズ制御部371は、VFLレンズ370を制御してその光学パワーを(例えば正弦波状に)周期的に変更させることで、Z高さ方向に沿った複数の合焦位置にわたって撮像システムの合焦位置を高い動作周波数(例えば400kHz又は600kHzの高さ)で周期的に変更することができるが、様々な実施及び/又は用途ではより低い合焦位置変更周波数が望ましい場合がある。例えば様々な実施では、300Hz、又は3kHz、又は70kHz、又は250kHz等の周期的な変更を使用可能である。低速の周期的合焦位置調整を用いる実施では、VFLレンズ370は制御可能液体レンズ(fluid lens)等を含み得る。様々な実施において、周期的に変更されるVFLレンズ光学パワーは周期的な焦点変更を規定することができる。
【0031】
様々な実施において、レンズ制御部371は駆動信号生成部372を含み得る。駆動信号生成部372は、(例えばタイミングクロック372’と連携して)動作して、TAGレンズ等の高速VFLに周期駆動信号を与えることができる。様々な実施において、周期信号は、周期的に変更されるVFLレンズ光学パワーと同一の動作周波数を有することができ、従来技術のTAGレンズでは、TAGレンズの近似焦点高さ又はZ高さは、駆動信号の同時状態に基づいて決定される。しかしながら、TAGレンズの高い焦点変動周波数やその他の動作特性のため、駆動信号がTAGレンズの実際の焦点高さ又はZ高さ変動からわずかに位相がずれて、Z高さ測定エラー及び/又は複雑なエラー補正スキームの必要が生じる可能性がある。エラー補正スキームは例えば、2016年5月3日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Phase Difference Calibration In A Variable Focal Lens System」と題する米国特許出願第15/145,682号に記載されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれる。本明細書に開示される原理を用いて、TAGレンズのような高速VFLの精密Z高さ測定を行うため、従来技術の欠点を克服し、及び/又は複雑なエラー補正スキームの必要を排除することができる。
【0032】
本明細書に開示される原理に従って、ほぼリアルタイムで周期的な焦点変更を直接示す焦点監視信号を決定することができる。これについては以下で詳述する。様々な実施において、Z高さに対する焦点監視信号較正部373は、各Z高さを各焦点監視信号値に関連付けるZ高さに対する焦点監視信号値特徴付けを行うことができる。一般的には、Z高さに対する焦点監視信号較正部373は、記録された較正データを含む。このため、別個の要素として示す図3の表現は単に概略的なものであり、限定ではない。様々な実施形態において、関連する記録された較正データは、レンズ制御部371、又は光学焦点監視部376、又はシステム信号及び制御バス395に接続されたホストコンピュータシステムとマージされる及び/又は区別できない場合もある。
【0033】
図4を参照して以下に記載するように、光学焦点監視部376は、VFLレンズ370を通過した焦点検出光345を入力し、焦点出力信号(例えば光検出器からの焦点出力信号)を生成することができる。様々な実施では、焦点出力信号に基づいて焦点監視信号を与えることができる。例えば1つの実施では、焦点出力信号を焦点監視信号として直接提供できる。別の例として、代替的な実施では、焦点出力信号の更に別の信号処理に基づいて焦点監視信号を生成できる。
【0034】
以下で詳述するように、様々な実施において、VFLレンズシステム300は更にパターン生成器343Gを含むことができる。パターン生成器343Gは、光源343と組み合わされて入力照明パターンPATinを生成し、これはVFLレンズ370(例えばTAGレンズ)に入力され、VFLレンズ370からの出力照明パターンPAToutを得る。様々な実施において、VFLレンズ370を含む光路は更に、第1のビームスプリッタ346及び第2のビームスプリッタ346’も含み得る。第1のビームスプリッタ346は、対物レンズ350とVFLレンズ370との間に配置され、監視光源343からの焦点検出光345を受光し、焦点検出光345の少なくとも一部を誘導してVFLレンズ370を通過させる。第2のビームスプリッタ346’は、VFLレンズ370とカメラ/検出器360との間に配置され、VFLレンズ370からの出力照明パターンPAToutを受光し、出力照明パターンPAToutを、光学焦点信号検出器部を含む光学焦点監視部376の方へ誘導する(例えば図4図6を参照して以下で詳述する)。
【0035】
図3の特定の構成において、パターン生成器343Gと組み合わされる光源343は、コリメートされたビームの形態(例えば入力照明パターンPATinの形態)の焦点検出光345を生成し、そのうち少なくとも一部はビームスプリッタ346によって受光され、VFLレンズ370を通過するよう誘導される。ビームスプリッタ346’は、VFLレンズ370を通過した焦点検出光345の少なくとも一部(例えば出力照明パターンPAToutの形態)を受光し、焦点検出光を光学焦点監視部376の方へ誘導する。VFLレンズ370の配置及び光学パワー変更のため、焦点検出光345がVFLレンズから出力する際に発散/収束が生じ、これに応じて外側ビーム寸法は最大外側ビーム経路Bmaxと最小外側ビーム経路Bminとの間で変化(modulate)及び変動する(例えば、これに応じて出力照明パターンPAToutの寸法が変化/変動し得る。これについては図4A図4B、及び図5A図5Dを参照して以下で詳述する)。
【0036】
1つの実施において、ビームスプリッタ346及び346’はダイクロイックビームスプリッタとすることができ、光源343からの焦点検出光345は光源330からの光源光332とは異なる波長とすることができる。様々な実施において、監視光源343は、第1の波長セットにより構成される焦点検出光345を生成し、撮像光源330は、第1の波長セットを除外した第2の波長セットにより構成される光源光332を生成することができる。ダイクロイックビームスプリッタ346及び346’は各々、第1の波長セットを反射すると共に第2の波長セットを透過させることができる。一例として、1つの特定の実施では、光源343は連続モードで動作し、波長λが約735nmのコリメートされた焦点検出光345を生成できる。これに対して、ダイクロイックビームスプリッタ346及び346’の一方又は双方は、720nmを超える波長の光の大部分は反射、700nm未満の波長の光の大部分は透過等の特徴を有し得る(例えば、光源343からの所望の焦点検出光345を反射しながら、光源330から光源光332によって得られたワークピース光355が透過光としてカメラ/検出器360へと通過できるように)。
【0037】
上述のように、光源330からの光源光332は、(例えばワークピース320の)撮像表面領域の方へ誘導されて、ワークピース光355を生成することができる(例えばこれを用いて、撮像表面領域の画像の生成及び/又は撮像表面領域がいつ合焦しているかの判定を行う)。光源光332は、焦点検出光345とは異なる波長を有し得る(例えば光源光332はλ<700nmであり、焦点検出光345はλ>720nmである等)。様々な実施では、光源343に735nmのLEDを用いて焦点検出光345を生成することは、いくつかの利点を有し得る(例えばシリコン応答性に対する良好な整合性や、コヒーレンス/スペックルがほとんど又は全く存在しないこと等)。更に大きいパワーを必要とする別の例として、785/805nmダイオードレーザを閾値未満で動作させて利用すること等も可能である。
【0038】
様々な実施において、撮像構成は、少なくとも対物レンズ350、VFLレンズ370、及びカメラ/検出器360を含むものとして示すことができる。上述のように、対物レンズ350は、撮像構成の視野(FOV:Field of View)内でワークピース320の撮像表面領域からのワークピース光355を入力し、ワークピース光355をVFLレンズ370に透過させ、カメラ/検出器360は、VFLレンズ370からのワークピース光355を受光し、撮像構成に対する合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を有する撮像システム焦点面で合焦された画像を提供する。様々な実施において、撮像システム焦点面の合焦距離又はZ高さの少なくとも一方は、VFLレンズ光学パワーによって制御される。そのような実施では、光学焦点監視部376によって生成された焦点監視信号の瞬時値が、撮像システム焦点面の瞬時合焦距離又はZ高さの少なくとも一方を表すことができる。様々な実施において、焦点監視信号及び/又は焦点出力信号は、変更される期間全体にわたるVFLレンズ370の合焦状態を高精度で示す時変信号(time-varying signal)を含み、この時変信号は、合焦状態に対して著しいレイテンシを生じることなく提供できる。1つの具体的な例示的構成では、周期的な変更は少なくとも50kHzの周波数に対応し、時変信号は、合焦状態に対して100ナノ秒以下のレイテンシで提供できる。いくつかの実施形態では、例えば50ナノ秒以下、又は25ナノ秒以下のように、更に小さいレイテンシを達成することも可能である。適切な超高速光検出器及びこれに関連した増幅回路は当技術分野において既知であり、例えば、Hamamatsu Corporation(カリフォルニア州サンホゼ)及び/又はNewport Corporation(カリフォルニア州サンタクララ)によって市販されている。そのような光検出器は、例えば約40ピコ秒の立ち上がり時間を有し得る。従って、これに伴うレイテンシ又は信号遅れは、TAGレンズのような周期的に変更される高速VFLレンズを用いた撮像システムにおいて問題にならない程度の焦点測定エラー又はZ高さエラーに相当し得る。これは、小さいレイテンシ期間中に生じる焦点変化が、VFLレンズを含む撮像システムの焦点深度のごく一部であり得るからである。様々な実施において、残留レイテンシがある場合は、VFLレンズシステム300の回路(例えば図8及び図9の検出器信号処理部478に含まれる)及び/又は他の構成要素によって補償するか又は他の方法で対処することができる。本明細書に開示する原理に従って、VFLレンズの実際の光学パワーをほぼリアルタイムで監視することにより、従来技術の方法に悪影響を及ぼす様々な不安定性(例えばレンズ又は回路の温度感受性)があるにもかかわらず、VFLレンズシステムのZ高さ測定及び/又は他の動作を精度高く実行できることは認められよう。
【0039】
様々な実施において、焦点監視信号は、VFLレンズシステム300の動作に関する様々な目的に利用できる。例えば、焦点監視信号を制御部に入力し、この制御部が焦点監視信号を(例えばフィードバック信号として)用いて、VFLレンズ370の制御を調整することができる。別の例として、VFLレンズシステムは概して、対応する撮像システム焦点面を決定する画像露光タイミングを用いて画像露光を制御するように構成することができる。VFLレンズシステムは、画像露光タイミングを与えるため、VFLレンズシステムに含まれる制御可能ストロボ光源のタイミング又はカメラ部の制御可能画像積分期間のタイミングの少なくとも一方を制御するように構成できる。いくつかの実施形態では、ラッチ回路が、画像露光タイミングに相当する時点の焦点監視信号値をラッチするように構成され、ラッチされた焦点監視信号値が、対応する画像露光の合焦距離又はZ高さを示す。いくつかの実施形態では、比較器回路が、焦点監視信号を入力すると共に所望の撮像合焦距離又はZ高さに関連した基準信号を入力するように構成され、焦点監視信号が基準信号と一致した時に生成するよう画像露光タイミングを制御するトリガ信号を出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、画像露光タイミングを制御するための制御部に焦点監視信号を入力することができ、又は、焦点監視部376は、制御可能ストロボ光源のストロボタイミング及び/又はカメラ部の画像積分期間を少なくとも部分的に焦点監視信号に基づいて制御するため使用される回路を含むことができる。例示的な特定の実施については、後に図8及び図9を参照して詳述する。
【0040】
図3の例では、リレーレンズ352及び386並びにVFLレンズ370は4f光学構成に含まれるものとして示され、リレーレンズ352及びチューブレンズ351はケプラー式望遠鏡構成に含まれるものとして示され、チューブレンズ351及び対物レンズ350は顕微鏡構成に含まれるものとして示されている。ここに示す構成は全て単なる例示であり、本開示に対する限定でないことは理解されよう。様々な実施において、図示の4f光学構成は、VFLレンズ370(例えばTAGレンズのような開口数(NA)の小さいデバイスであり得る)を、対物レンズ350のフーリエ面FPLに配置することを可能とする。この構成は、ワークピース320におけるテレセントリシティ(telecentricity)を維持すると共に、尺度変化及び画像歪みを最小限に抑えることができる(例えば、ワークピース320の各Z高さ及び/又は合焦位置FPで一定の倍率を与えることを含む)。ケプラー式望遠鏡構成(例えばチューブレンズ351及びリレーレンズ352を含む)は、顕微鏡構成と4f光学構成との間に含めることができ、画像収差を最小限に抑える等のため、VFLレンズの位置において対物レンズ有効径(clear aperture)の望ましいサイズの投影を与えるように構成可能である。
【0041】
図4A及び図4Bは、入力照明パターンPATinの第1の例示的な実施を含む光学焦点監視部376’の図である。光学焦点監視部376’は、図3に示す光学焦点監視部376の1つの実施であると理解すればよい。図3に示すビームスプリッタ346’は、簡略化のため、図4に示す概略的に表現された光路では省略されている。図4Aの例において、光学焦点監視部376’は、検出器構成477’及び検出器信号処理部478を含む(これらは例えば、図2の検出器構成277及び検出器信号処理部278に相当するか又は同様のものとすることができる)。検出器構成477’は、第1の監視レンズLNS1と第1の光学検出器DET1とを含む第1の光学焦点信号検出器部DP1を含む。第1の光学検出器DET1は、第1の焦点光検出器PD1及び第1のフィルタリング構成MSK1(例えばマスク)を含む。図6を参照して以下で詳述するように、代替的な構成では、検出器構成の一部として第2の検出器部DP2を含むことができる。
【0042】
図3を参照して上述したように、監視光源343は、周期的な変更の間に焦点検出光345をVFLレンズ370に入力するよう構成されている。図4A図6の例では、VFLレンズ370はTAGレンズとして示されている。図4Aに例示するように、いくつかの実施形態では、入力された焦点検出光345は、(例えば一定の直径Din等で示されるような)ほぼ一定のサイズを有する入力照明パターンPATin(例えば図3のパターン生成器343Gで生成する)内に分布した光エネルギ入力量Einを与えるように構成されている。いくつかの実施形態では、光エネルギ入力量はほぼ一定である。焦点検出光345は、入力照明パターンPATinにおいて少なくとも概ねコリメートされている。
【0043】
様々な実施において、入力照明パターンPATinの形態の入力焦点検出光345は、静的光ビームを含み得る。1つのそのような実施において、静的光ビームは、TAGレンズ370に含まれる限界開口(limiting aperture)より大きい(overfill)中実の(solid)光断面を含み、TAGレンズ370の限界開口は、入力照明パターンPATinのほぼ一定のサイズ(例えば直径Din等を含む)を画定することができる。別のそのような実施では、静的光ビームは、入力照明パターンPATin全体がTAGレンズ370を通過して出力照明パターンPAToutを形成できるほど小さい一定サイズの入力照明パターンPATinに構成することができる。
【0044】
様々な実施において、少なくとも入力照明パターンPATinの中央部分は、周期的な変更の間にTAGレンズ370を透過して、TAGレンズ370から対応する出力照明パターンPAToutを与える。出力照明パターンPAToutのサイズ及び強度は、TAGレンズ370の光学パワーに応じる。例えば図4Bに示すように、出力照明パターンPAToutのサイズは、最大直径Dout_maxと最小直径Dout_minとの間で変化/変動し得る。この変動が生じる少なくとも一つの原因は、TAGレンズ370の配置及び光学パワー変更の結果として、焦点検出光345がTAGレンズから出力する際に発散/収束が生じ、これに応じて外側ビーム寸法が最大外側ビーム経路限界Bmaxと最小外側ビーム経路限界Bminとの間で変化及び変動することである。
【0045】
光学焦点信号検出器部DP1は、TAGレンズ370からほぼ一定の距離に位置決めされて、TAGレンズ370から出力された出力照明パターンPAToutに含まれる焦点検出光345を受光する。第1の監視レンズLNS1は、焦点検出光を第1のフィルタリング構成MSK1及び第1の焦点光検出器PD1の方へ集束させる。様々な実施において、第1のフィルタリング構成MSK1及び/又は第1の焦点光検出器PD1は、第1の監視レンズLNS1のベストフォーカスに又はその近傍に位置決めすることができる。様々な実施において、第1の監視レンズLNS1は、出力照明パターンPAToutを入力し、サイズを縮小してこれをフィルタリング構成MSK1へと透過させる。焦点光検出器PD1は、焦点光検出器PD1が受光した全光エネルギに応じて変動する焦点出力信号478Aを(例えば図2の信号ライン/バス278’に対応して)与える。フィルタリング構成MSK1は、出力照明パターンPAToutを受光し、焦点光検出器PD1に到達する焦点検出光345の含有量を制限する。
【0046】
図4A及び図4Bの例では、入力照明パターンPATinは中実のパターンを含み、TAGレンズから出力される対応した出力照明パターンPAToutが中実のパターンを含むように構成されている。フィルタリング構成MSK1は、焦点光検出器PD1の範囲(limits)によって画定される空間フィルタリング開口AP1を含む(このため、例えば焦点光検出器PD1に到達する中実のパターンPAToutの量は、焦点光検出器PD1の動作可能エリアに対して指定されたサイズである)。中実のパターンPAToutは、周期的な変更の間は常に開口AP1及び/又は焦点光検出器PD1より大きい。
【0047】
焦点光検出器PD1によって与えられた焦点出力信号478Aに基づいて、焦点監視信号が与えられる。1つの実施において、焦点出力信号478Aは、増幅された焦点監視信号に相当し、直接この信号として与えることができる。代替的な実施では、焦点出力信号478Aに更なる信号処理を行うことができ、及び/又は他の方法で変更を行うことも可能である(例えば既知の線形化及び/又は正規化回路技法によって)。第1の焦点出力信号478Aに基づいて処理/変更した信号を焦点監視信号として提供することができる。いくつかの実施では、図8及び図9を参照して以下で詳述するように、検出器信号処理部478が第1の焦点出力信号478Aを入力し、これを(例えば他の信号と組み合わせて)処理して、出力信号479を出力することができる(これは例えば、制御可能ストロボ光源をトリガするため、又は制御可能ストロボ光源がトリガされた時に対応したZ高さを決定するため利用される)。
【0048】
様々な実施において、焦点光検出器PD1は、迅速に変化するTAGレンズ370の光学パワーをリアルタイムで高精度に監視するため利用される高速光検出器とすることができる。例えばいくつかの実施では、VFLレンズ370の光学パワーは、50kHz、70kHz、又は250kHz、又は400kHzのような高いレートで変更され得るので、レイテンシを最小限に抑えながら高精度の監視を行うため、高速焦点光検出器(例えば本明細書で前述したようなもの)が必要となり得る。いくつかの実施では、焦点光検出器PD1は、トランスインピーダンス増幅器を用いた高速逆バイアスシリコンフォトダイオード(SiPD:Silicon Photodiode)とすればよい。そのような構成で使用できるデバイス及び回路の一例が、米国特許第4,029,976号、第8,907,729号、及び第6,064,507号に記載されている。これらは各々、援用によりその全体が本願にも含まれる。
【0049】
図5A図5Dは、入力照明パターンPATin’の第2の例示的な実施を含む光学焦点監視部376’’の図であり、様々な実施で使用することができる空間フィルタリング開口AP1’~AP1’’’及びそれらに対応したフィルタリング構成MSK1’~MSK1’’’ の異なる構成を示す。以下で別段の記載がない限り、図5A図5Dの様々な要素は、同様又は同一の参照番号を含む図4A及び図4Bの要素と同様又は同一とすることができ、同様に動作するものと理解される。図5Aの例において、光学焦点監視部376’’は、検出器構成477’’及び検出器信号処理部478を含む。検出器構成477’’は、第1の監視レンズLNS1と第1の光学検出器DET1’とを含む第1の光学焦点信号検出器部DP1’を含む。第1の光学検出器DET1’は、第1の焦点光検出器PD1及び第1のフィルタリング構成MSK1’(例えばマスク)を含む。
【0050】
図4Aの構成と比べた場合の図5Aの構成の1つの相違点は、入力照明パターンPATin’が中空の環状パターンであり、対応する出力照明パターンPATout’も環状パターン(例えば円形リングパターン)を含むように構成されていることである。図5B図5Dに示すように、出力照明パターンPATout’のサイズは、対応する最大パターン厚さT_Dout_maxを有する最大直径Dout_maxと、対応する最小パターン厚さT_Dout_minを有する最小直径Dout_minとの間で変化/変動する。
【0051】
図5B図5Dは、異なるタイプの空間フィルタリング開口AP1’~AP1’’’をそれぞれ含むフィルタリング構成MSK1’~MSK1’’’(例えばマスク)の異なる構成を示す。図7を参照して以下で詳述するように、異なるフィルタリング構成MSK1’~MSK1’’’の結果として、焦点監視信号と決定されるZ高さ(合焦距離)との間に異なるタイプの関係が生じる。図5B及び図5Cに示すように、フィルタリング構成MSK1’及びMSK1’’の各々で、マスクの空間フィルタリング開口AP1’及びAP1’’は、異なる形状を有する。更に具体的には、空間フィルタリング開口AP1’は一定の幅Wap’を有するが、空間フィルタリング開口AP1’’は湾曲し、関数kDout^2で定義される幅Wap’’を有する。フィルタリング構成MSK1’及びMSK1’’の各マスクは、周期的な変更の間は常に出力照明パターンPAToutの遮断部分を遮断する。また、空間フィルタリング開口AP1’及びAP1’’の各々は、常に出力照明パターンPAToutの透過部分を透過させる。更に、空間フィルタリング開口AP1’及びAP1’’の各々は、出力照明パターンPAToutの透過部分と遮断部分との比が出力照明パターンPAToutのサイズに応じて変動するような形状になっている。これは、例えば透過部分と遮断部分との比が一定のままである「パイ形」空間フィルタリング開口とは対照的である。図7を参照して以下で詳述するように、空間フィルタリング開口AP1’’(すなわちWap’’=kDout^2)の形状によって、焦点出力信号及び/又は焦点監視信号を、可変焦点距離(VFL)レンズシステムの焦点状態に比例させる。
【0052】
図5Dに示すように、フィルタリング構成MSK1’’’は、出力照明パターンPAToutのサイズ(例えば直径Dout)に応じて出力照明パターンPAToutの透過を減衰させるように構成された非均一密度パターンを有する密度フィルタAP1’’’を備えたマスクを含む。図5Dの例では、非均一密度パターンは線対称であり、密度はパターン内の半径の関数として変動する(例えば、密度=kDoutのようにDoutの関数として定義される)。密度フィルタAP1’’’は、周期的な変更の間は常に出力照明パターンPATout全体を受光して光検出器PD1へ透過させるが、非均一密度パターンによってフィルタをかけるように構成されている。図7を参照して以下で詳述するように、密度フィルタAp1’’’の非均一密度パターン(例えば密度=kDoutのような透過関数を用いる)によって、焦点出力信号及び/又は焦点監視信号を、可変焦点距離(VFL)レンズシステムの焦点状態に比例させることができる。
【0053】
図6は、正規化部DP2を含む光学焦点監視部376’’’の図である。以下で別段の記載がない限り、図6のいくつかの要素は、同様又は同一の参照番号を含む図4A図4B及び図5A図5Dの要素と同様又は同一であり、同様に動作するものと理解される。具体的には、光学焦点信号検出器部DP1’’は、先に概説した光学焦点信号検出器部DP1又はDP1’の実施形態のいずれかと同様に構成することができる。図6の例では、光学焦点監視部376’’’は、検出器構成477’’’及び検出器信号処理部478を含む。検出器構成477’’’は、ビームスプリッタBS1、第1の光学焦点信号検出器部DP1’’、及び第2の光学焦点信号検出器部DP2(例えば正規化信号検出器部DP2とも称する)を含む。第1の光学焦点信号検出器部DP1’’は、第1の監視レンズLNS1及び第1の光学検出器DET1’’を含む。第1の光学検出器DET1’’は、第1の焦点光検出器PD1及び第1のフィルタリング構成MSK1’’(例えばマスク)を含む。正規化信号検出器部DP2は、第2の監視レンズLNS2(例えば正規化レンズLNS2とも称する)と、第2の焦点光検出器PD2(例えば正規化光検出器PD2とも称する)を含む第2の光学検出器DET2(例えば正規化光学検出器DET2とも称する)と、を含む。
【0054】
動作において、ビームスプリッタBS1(例えば非偏光50/50ビームスプリッタ)は、TAGレンズ370を通過した(例えば図3のビームスプリッタ346’からの)出力照明パターンPAToutの一部として焦点検出光345を受光し、少なくとも一部の焦点検出光を、第1の分割出力照明パターンとして、前述の原理に従って動作する光学焦点信号検出器部DP1’’の方へ透過させる。また、少なくとも一部の焦点検出光は、第2の分割出力照明パターンとして、正規化信号検出器部DP2の方へ誘導される。正規化レンズLNS2を含む正規化信号検出器部DP2は、第2の分割出力照明パターン全体を入力し、第2の分割出力照明パターン全体を、サイズを縮小して正規化光検出器PD2へ透過させる。正規化光検出器PD2は、受光した全光エネルギに応じて変動する正規化出力信号478Bを(例えば図2の信号ライン/バス278’に対応して)与える。様々な実施において、検出器信号処理部478は、焦点出力信号478A及び正規化出力信号478Bを入力するように、更に正規化焦点出力信号及び/又は正規化焦点監視信号を生成するように構成された焦点監視出力回路を含むかその一部とすることができる。この場合、出力照明パターンPAToutに含まれる全光エネルギのばらつきによる焦点出力信号478Aのばらつきは、既知の技法に従って正規化出力信号478Bに基づいて(例えば、焦点出力信号478Aを正規化出力信号478Bで除算することによって)補償される。
【0055】
図7は、様々な光学焦点構成について、焦点監視信号(例えば焦点光検出器から出力される)とZ高さ(合焦距離)との関係を示すグラフ700である。図7に示すように、曲線710は、図4Bのフィルタリング構成MSK1を用いた場合の焦点光検出器PD1からの出力を表す。曲線720は、図5Bのフィルタリング構成MSK1’を用いた場合の焦点光検出器PD1からの出力を表す。曲線730は、図5Cのフィルタリング構成MSK1’’を用いた場合又は図5Dのフィルタリング構成MSK1’’’を用いた場合の焦点光検出器PD1からの出力を表す。曲線710~730は、以下の数式を参照してより良く理解することができる。以下の数式において、定数Kは、数式に存在し得る全ての定数の組み合わせ値を表すものとして示すので、1つ以上の定数値が存在する各数式では、包括的な定数(generic constant)Kが1つだけ示される。
【0056】
第1の適用される数式として、マスク面におけるパターン内の強度i(t)は以下によって表すことができる。
i(t)=Ein/A(t) (数式1)
ここで、Einは入力パターンPATin内の全エネルギであり、A(t)はマスク面における出力パターンの全面積である。信号S(t)について、以下が成り立つ。
S(t)=I(t)*Tr (数式2)
ここで、Trは透過面積であるか、あるいは透過面積にフィルタリング係数を乗算したものとすることができる。以下の数式において、ZfocusはDoutにほぼ比例し、以下であると仮定する。
Zfocus(t)=K(Dout(t)) (数式3)
【0057】
図4A及び図4Bの中実のパターン及びスポット構成について、以下が成り立つ。
A(t)=pi*(Dout(t)/2)2 (数式4)
これについて、常に中実のパターンより小さい図4Bの固定マスク開口(Tr=一定)を用いる場合、信号は強度に比例する。すなわち以下のようになる。
S(t)=K*i(t)=K[Ein/pi*(Dout(t)/2)2] (数式5)
【0058】
Einが一定であると仮定し(いくつかの実施形態で該当し得る)、並べ変える(更に、変更した比例定数を表すため上述のようにKを用いる)と、以下のようになる。
S(t)=K/(Dout(t)/2)2 (数式6)
これによって以下が得られる。
Zfocus(t)=K[(1/S(t)]1/2 (数式7)
【0059】
すなわち、Zfocusは信号S(t)の平方根にほぼ反比例する。様々な実施において、関連した較正テーブルを与えるか、又は変換を解析的に行うことができる。
【0060】
図5Bの環状パターン及びフィルタリング構成については、以下が成り立つ。
A(t)≒pi*[Dout(t)*T(Dout)] (数式8)
これについて、フィルタリング構成MSK1’は、D(又はDout)の全ての値に対して一定の幅Wap’を有するマスク開口AP1’を用いる。そのような構成では、以下が成り立つ。
Tr=2*Wap’*T(Dout) (数式9)
【0061】
数式2を参照し、Trに数式9を代入すると共にi(t)に数式1を代入すると、以下のようになる。
S(t)=i(t)*Tr=Tr*i(t)=Tr*[Ein/A(t)]=Wap’*T(Dout)*[Ein/A(t)] (数式10)
更に、A(t)に数式8を代入すると、以下のようになる。
S(t)=Wap’*T(Dout)Ein/[pi*Dout(t)*T(Dout)] (数式11)
【0062】
Einが一定であると仮定し(いくつかの実施形態で該当し得る)、並べ変える(更に、Ein及びPi等の変更した比例定数としてKを用いる)と、以下のようになる。
S(t)=K*Wap’/Dout(t) (数式12)
【0063】
ZfocusがDoutにほぼ反比例する実施では、これによって以下が得られる。
Zfocus(t)=K Wap’/S(t) (数式13)
【0064】
あるいは、図5Bの実施形態ではWap’は一定であるので、以下のようになる。
Zfocus(t)=K/S(t) (数式14)
【0065】
すなわち、図7の曲線720で示すように、Zfocusは信号S(t)にほぼ反比例する。上記の数式を参照することで、開口の形状を用いてZfocusと信号S(t)との関係に影響を及ぼし得ることは認められよう。
【0066】
この概念を用いて、数式12でWap’=K*Dout2である場合、信号はDoutに比例し、その結果としてZfocus(t)は信号S(t)に比例する。1つのそのような構成が図5Cに示されている(例えば、開口AP1’’はホーン型に広がってDが大きくなり、Doutが大きくなるほど出力照明パターンPATout’の大きい部分又は角度を含むようになっている)。あるいは、図5Dの構成において、フィルタリング構成MSK1’’は環状出力照明パターンPATout’の全体を使用するが、密度フィルタAP1’’’を含む「開口」でフィルタをかける。そのような構成では、出力照明パターンPATout’は、マスク開口幅でフィルタをかけるのではなく、Doutの関数であるマスク密度関数でフィルタをかける。この密度フィルタ関数F(Dout)は、図5Cを参照して上述した幅関数Wap’’に類似している。すなわち、環状出力照明パターンPATout’の360度が常に透過されるが、直径に応じた「開口幅」でなく、直径に応じた透過係数F(Dout)で透過される。前記の式の類推から、また出力パターン全体が常にフィルタを透過されることから、この構成では以下が成り立つ。
Tr=F(Dout)*A(t) (数式15)
【0067】
この場合、F(Dout)は透過の割合を規定する。このような例では、より大きなFは、より多くの透過に等しい。数式2を参照し、Trに数式15を代入すると共にi(t)に数式1を代入すると、以下のようになる。
S(t)=i(t)*Tr=Tr*i(t)=Tr*[Ein/A(t)]=F(Dout)*A(t)*[Ein/A(t)] (数式16)
Ein等の変更した比例定数を表すためKを用い、数式16を簡略化し、更に、Doutが時間の関数Dout(t)であることを注記すると、以下のようになる。
S(t)=K*F(Dout(t)) (数式17)
【0068】
すなわち、出力信号S(t)は一般に、その特定の時点における出力環状パターンの任意の特定の出力パターン直径での密度関数の値に比例する。そのような構成は、Dout及び/又はZfocusの特定の値に関連した特定の信号を生成するため、任意の密度関数が選択され得ることを示す。例えば以下である場合、
F(Dout)=K*Dout (数式18)
式18を式16に代入すると、以下のようになる。
S(t)=K*Dout(t) (数式19)
【0069】
ZfocusがDoutに少なくとも概ね比例する実施において、これは以下を示す。
Zfocus(t)=(1/K)*S(t) (数式20)
【0070】
従って、図5Dの構成においてこの特定の密度関数では、信号はDoutに比例する。これは、Zfocus(t)が信号S(t)に比例することを示す。様々な実施において、これは、システムの直感的な理解と信号処理等のため好都合な構成であり得る。この結果は、図5Cの構成でWap’’=K*Dout2について上述した結果と同様であることに留意すべきである。
【0071】
図8は、(例えば図4A及び図5Aの検出器信号処理部478の1つの実施としての)検出器信号処理部478’の第1の例示的な実施の概略図である。図8に示すように、検出器信号処理部478’はラッチ回路810を含む。ラッチ回路810は、(例えば図4A又は図5Aの第1の光検出器PD1によって与えられる)焦点出力信号478Aを焦点監視信号として受信し、ラッチ信号812を受信し、出力信号479’を提供する。1つの実施において、ラッチ信号812は、撮像構成の視野(FOV)内でワークピース320の表面領域を撮像するためのタイミングを決定する(例えば光源330の)ストロボタイミング信号に相当し得る。そのような実施では、ラッチ信号812のストロボタイミングが、ラッチ回路810において対応した焦点監視信号値のラッチをトリガする。ラッチされた焦点監視信号値は、出力信号479’として提供され、ストロボタイミングによって決定された画像露光タイミングにおけるZ高さを示す。図9は、(例えば図4A及び図5Aの検出器信号処理部478の1つの実施としての)検出器信号処理部478’’の第2の例示的な実施の概略図である。図9に示すように、検出器信号処理部478’は比較器回路910を含む。比較器回路910は、(例えば図4A又は図5Aの焦点光検出器PD1によって与えられる)焦点出力信号478Aを焦点監視信号として受信し、基準信号912を受信し、出力信号479’を提供する。1つの実施において、基準信号912は、撮像構成の視野(FOV)内でワークピース320の表面領域を撮像するための所望のZ高さに対応した焦点監視信号値に関連付けることができる。例えば基準信号912は、Z高さに対する焦点監視信号較正部373における記憶データから決定すればよい。比較器回路910の動作においては、焦点監視信号478Aによって示される撮像システムの焦点変更が、基準信号912を関連付けたZ高さにある場合、基準信号912は、制御可能ストロボ光源(例えば光源330)のためのストロボタイミングを出力信号479’’上でトリガする。
【0072】
図10は、VFLレンズシステムを動作させるためのルーチン1000の1つの例示的な実施を示すフロー図である。ブロック1010では、VFLレンズシステムの一部であるTAGレンズを動作させて、TAGレンズ光学パワーをある範囲にわたってある動作周波数で周期的に変更する。ブロック1020では、周期的な変更の間に焦点検出光をTAGレンズに入力する。入力した焦点検出光は、ほぼ一定のサイズを有する入力照明パターン内に分布した光エネルギ入力量を与えるように構成されている。いくつかの実施形態では、光エネルギ入力量はほぼ一定である。ブロック1030では、周期的な変更の間に入力照明パターンの少なくとも中央部分をTAGレンズに透過させて、TAGレンズから対応する出力照明パターンを与える。出力照明パターンは、TAGレンズの光学パワーに応じたサイズ及び強度を有する。
【0073】
ブロック1040では、TAGレンズからほぼ一定の距離に位置決めされた光学焦点信号検出器部を用いて、出力照明パターンに含まれる焦点検出光を受光する。様々な実施において、光学焦点信号検出器部は、フィルタリング構成と、受光した全光エネルギに応じて変動する焦点出力信号を与える光検出器と、を備えている。フィルタリング構成は、出力照明パターンを受光し、光検出器に到達する焦点検出光の含有量を制限する。ブロック1050では、光検出器によって与えられた焦点出力信号に基づいて焦点監視信号を与える。焦点監視信号は、高い精度で、かつ著しいレイテンシを生じることなく、VFLレンズシステムの焦点状態を反映する。
【0074】
本開示の好適な実施について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した特徴の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。例えば、上記の多くの例及び実施形態では、ほぼ一定のサイズを有する入力照明パターン内にほぼ一定の量の光エネルギが分布すると仮定しており、この場合、いくつかの実施形態では、(例えば増幅した形態の)焦点出力信号を焦点監視信号として使用できるので、動作の説明及び理解が簡単になる。しかしながら、そのような実施形態は単なる例示であり限定ではない。具体的には、図6に示す実施形態は、正規化出力信号を提供し使用することを開示している。そのような実施形態では、焦点出力信号及び正規化出力信号を組み合わせて用いて、信頼性の高い焦点監視信号として使用され得る「正規化焦点出力信号」を与えることができる。そのような実施形態では、入力光エネルギが一定である必要はない。別の代替的な実施形態においては、焦点出力信号(又は正規化焦点出力信号)をフィードバックとして用いて、焦点出力信号(又は正規化焦点出力信号)を一定に保つように光源343を調節することができる。典型的に、光源は極めて高いレート(例えば5~20MHz補正レート)に調節することができる。そのような実施形態では、一定の焦点出力信号を維持するために用いられる光源駆動信号のレベルに基づいて、焦点監視信号を与えることができる。
【0075】
前述の例は、種々の代替的な形態を用いて本明細書に開示した原理を実施してもよいことを示している。更に、上述の様々な実施を組み合わせて別の実施を提供することも可能である。本明細書において言及した米国特許及び米国特許出願は全て援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施を提供するために必要な場合は、上述の実施の態様は変更可能である。
【0076】
前述の記載に照らして、実施に対してこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、用いる用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施を包含するものとして解釈される。
【符号の説明】
【0077】
10 マシンビジョン検査システム
12 画像測定機
14 制御コンピュータシステム
16 ディスプレイ
18 プリンタ
20 ワークピース
22 ジョイスティック
24 キーボード
26 マウス
32 可動ワークピースステージ
34 光学撮像システム
100 ビジョンシステム
120 制御システム部
125 制御部
130 入出力インタフェース
131 撮像制御インタフェース
132 移動制御インタフェース
132a 位置制御要素
132b 加速度制御要素
133 照明制御インタフェース
133a 照明制御要素
136 ディスプレイデバイス
138 入力デバイス
140 メモリ
140ed エッジ検出メモリ部
141 画像ファイルメモリ部
142 ワークピース検査プログラムメモリ部
143 ビデオツール部
143af 自動合焦ビデオツール
143roi 関心領域生成器
170 実行器
190 電源部
200 ビジョン構成要素部
205 光学アセンブリ部
210 ワークピースステージ
212 透明部
220 透過照明光源
221,231,241,244,262,278,281 バス
222,232 光源光
230 落射照明光源
240 斜め照明光源
243 光源
245 焦点検出光
246 反射面
250 交換可能対物レンズ
255 ワークピース光
260 カメラ/検出器
270,286,288 レンズ
271 インタフェース
271 レンズ制御部/インタフェース
275 焦点信号処理部
277 検出器構成
278 検出器信号処理部
280 ターレットレンズアセンブリ
284 軸
290 反射面
294 制御可能モータ
296 信号ライン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10