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特許6999345植物性食材用組成物及び植物性食材の調理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】植物性食材用組成物及び植物性食材の調理方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220203BHJP
   A23L 27/24 20160101ALI20220203BHJP
   A23L 27/26 20160101ALI20220203BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20220203BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/24
A23L27/26
A23J3/00 502
A23J3/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017189768
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2018057373
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2016194603
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】小泉 太一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 朋子
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-140345(JP,A)
【文献】特開2002-345436(JP,A)
【文献】特開平11-332516(JP,A)
【文献】小島 史人,キッコーマンの加工技術 醤油もろみ,キッコーマン技術情報,2004年03月25日,141号,4-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
しょうゆもろみを含有する、植物性食材の加熱調理物の風味増強用組成物であって、
前記植物性食材は、粒状大豆たん白である、前記組成物
【請求項2】
しょうゆもろみを含有し、しょうゆもろみの含有量が使用する食材の全量に対して0.1~3.5質量%になるような量であり、かつ、塩分が使用する食材の全量に対して0.04質量%以上2質量%未満になるような量である、加熱調理のための植物性食材用組成物であって、
前記植物性食材は、粒状大豆たん白である、前記組成物
【請求項3】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物と、植物性食材として粒状大豆たん白とを原料として含む、加熱調理物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を用いて、植物性食材として粒状大豆たん白を加熱調理する工程を含む、植物性食材の調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性食材に利用するための植物性食材用組成物及び植物性食材の調理方法に関する。さらに、本発明は、植物性食材用組成物及び植物性食材を利用した加熱調理物に関する。
【背景技術】
【0002】
肉類は、タンパク質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が豊富に含まれており、さらに栄養学的に重要な食材である。しかし、肉類には脂質、特に飽和脂肪酸が多く含まれており、さらに他の食材と比してもエネルギーが過大であることから、肉類の過剰な摂取はメタボリックシンドロームをはじめとする種々の慢性疾患の病因になり得る。
【0003】
そこで、肉類の過剰摂取を抑えるために、あたかも肉類を加工した食品と思われるような、肉様食品の利用が注目されている。肉様食品は、肉類に比べて飽和脂肪酸が少なく低エネルギーでありながら、肉類と同量程度のタンパク質を含む食材を利用した食品である。肉食品に代替して、肉様食品を摂取することは、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防や改善などに繋がり得る。
【0004】
肉様食品の代表として、大豆を利用した肉様食品が知られている(例えば、特許文献1を参照)。大豆は食物繊維が豊富であることから、大豆を利用した肉様食品は、飽和脂肪酸を低減しつつ、食物繊維が豊富であるという、摂食者の健康に適した肉様食品となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-75358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている大豆を利用した肉様食品は、普段から大豆を摂食する食習慣を有する者にとっては、肉類の代替物として有用である。しかし、大豆には豆特有の臭いや苦味などがあることから、肉類に代替して、肉類と同様に塩や胡椒などの調味料を用いて調理したとしても、肉食品のような風味は得られないとの問題がある。
【0007】
また、大豆をはじめとして、植物性食材を肉類の代わりに用いる際に大きく問題になることは、植物性食材には肉類のようなジューシーさや味のあつみがないことから、植物性食材を加熱調理したものはコクやうま味が乏しく、肉食品を食することで得られる満足感や満腹感が得られないことである。
【0008】
このような問題により、肉類のように植物性食材単独で主菜になる機会は少なく、植物性食材の食品としての用途は限定的である。また、植物性食材を利用して、肉らしい風味を呈する加熱調理物を調製するための優れた調味料や加熱調理法については知られていない。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、植物性食材の有効利用に資するような、肉類に代替して植物性食材を用いながらも、肉らしい風味を呈する加熱調理物を得るための組成物及び調理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ね、数多くの調味料を植物性食材に適用して肉らしい風味を呈する加熱調理物が得られるか試行錯誤した。その結果、植物性食材を調理する際によく用いられているしょうゆでは植物性食材の加熱調理物について肉らしい風味を呈することができないことがわかった。
【0011】
しかし、驚くべきことに、しょうゆの製造方法における途中の工程で得られる熟成もろみを用いて植物性食材を加熱調理することにより、得られる加熱調理物は肉らしい風味を呈することを見出した。そして、肉類に代替して植物性食材を用いながらも、肉らしい風味を呈する加熱調理物を得るための、しょうゆもろみを含有する組成物及び該組成物を利用した調理方法を創作することに成功した。本発明はこのような知見や成功例に基づいて完成するに至った発明である。
【0012】
したがって、本発明の各一態様によれば、以下のものが提供される:
[1]しょうゆもろみを含有する、植物性食材の加熱調理物の風味増強用組成物。
[2]しょうゆもろみの含有量が使用する食材の全量に対して0.1~3.5質量%になるような量であり、かつ、塩分が使用する食材の全量に対して0.04~2質量%になるような量である、植物性食材用組成物。
[3]前記組成物は、加熱調理のための植物性食材用組成物である、[2]に記載の組成物。
[4]前記植物性食材は、大豆、えんどう豆、小麦、きのこ類及びそれらを由来とする成分からなる群から選ばれる植物性食材である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5][1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物と、植物性食材とを原料として含む、加熱調理物。
[6][1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物を用いて、植物性食材を加熱調理する工程を含む、植物性食材の調理方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様である組成物、加熱調理物及び調理方法によれば、肉類に比べてジューシーさのない植物性食材を用いながらも、肉類を用いる場合と同様に、コクやうま味がある肉らしい風味を呈する加熱調理物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一態様である組成物、加熱調理物及び調理方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0015】
本発明の一態様の組成物は、しょうゆもろみを少なくとも含有する、植物性食材の加熱調理物の風味増強用組成物である。また、本発明の別の一態様の組成物は、少なくとも、しょうゆもろみの含有量が使用する食材の全量に対して0.1~3.5質量%になるような量であり、かつ、塩分が使用する食材の全量に対して0.04質量%以上2質量%未満になるような量である、植物性食材用組成物である。本明細書において、これらの組成物を総称して、本発明の一態様の組成物とよぶ。
【0016】
本発明の一態様の組成物は、植物性食材を加熱調理する際に用いることにより、得られる植物性食材の加熱調理物に対して、コクやうま味がある肉らしい風味を付与することができるという風味増強作用を有する。
【0017】
本発明の一態様の組成物に供される植物性食材は、肉類に代替して使用し得るような、食経験のある植物体の一部及び全部であれば特に限定されないが、例えば、肉類と同程度又はそれ以上の量のタンパク質、ビタミン、ミネラル及び/又は食物繊維を含有するものが挙げられ、これらのうち大豆やえんどう豆などの豆類、エリンギやえのきなどのきのこ類、小麦や大麦などの麦類、海藻などの藻類、菌糸体などが好ましく、大豆、えんどう豆、小麦及びエリンギなどのきのこ類がより好ましい。
【0018】
植物性食材は、植物体を構成する成分などの植物体に由来する成分であってもよい。植物体に由来する成分としては、例えば、えんどう豆や大豆などに由来するタンパク質が挙げられる。大豆に由来するタンパク質(以下、大豆たん白ともよぶ。)は特に限定されないが、例えば、粒状大豆たん白、組織状大豆たん白及び分離大豆たん白などが挙げられ、粒状大豆たん白が好ましい。
【0019】
植物性食材は、上記に例示したものの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
植物性食材は、水分を保持した状態のものを使用する。植物性食材が乾燥している場合は、植物性食材を水に浸漬するなどして水戻しした状態にする。植物性食材を水戻しする方法は特に限定されないが、例えば、植物性食材を水に数分間から数十分間浸漬すること、植物性食材を水に数秒間から数十秒間浸漬することを数回繰り返すこと及びこれらを組み合わせることなどの方法が挙げられる。植物性食材は、水戻しした後に、軽く搾るなどして水をきるようにする。
【0021】
植物性食材は、加熱調理の態様によっては、本発明の一態様の組成物を供する前に素焼きして、その質量が素焼き前と比べて6~8割程度になるように素焼き状態にすることが好ましい。植物性食材を素焼きする方法は特に限定されないが、例えば、植物性食材を、油をひいた加熱調理器具に加え、その質量が6~8割程度、好ましくは7割程度になるまで植物性食材の各面を焼き、次いで室温で軽く冷ますことなどの方法が挙げられる。
【0022】
しょうゆもろみは、通常知られているとおりのしょうゆの製造過程において得られるものであれば、特に限定されない。
【0023】
例えば、一般的なしょうゆの製造方法は、大豆や小麦などの原料を処理する原料処理工程;原料処理物に種麹を混ぜて処理する製麹工程;しょうゆ麹を食塩水と共に仕込んで得たしょうゆもろみにしょうゆ発酵用の乳酸菌及び酵母を添加して発酵及び熟成して熟成もろみを調製する発酵工程;熟成もろみを圧搾して生しょうゆを得る圧搾工程;及び生しょうゆを火入れ等した後に、容器に充填して製品化する製品化工程を含む。
【0024】
この際、発酵工程で得られる熟成もろみは、しょうゆらしい風味を呈しながらも、原料である大豆や小麦に由来する成分が多く残っていることから繊維質が豊富であり、しょうゆに比べてとろみやコクがある。また、熟成もろみは、エステル香などの香り成分を多く含む。本明細書では、特段の断りがなければ、熟成もろみをしょうゆもろみとよぶ。しょうゆもろみは、しょうゆに比べて可溶性固形分の量が多く、例えば、30質量%以上の可溶性固形分を含有し、好ましくは40質量%以上の可溶性固形分を含有し、より好ましくは45質量%以上の可溶性固形分を含有する。
【0025】
しょうゆもろみの含有量は、植物性食材の加熱調理物に肉らしい風味を付与することができる程度の量であれば特に限定されないが、例えば、使用する食材の全量に対して0.1~3.5質量%になるような量であり、植物性食材の加熱調理物に対して優れた肉らしい風味を付与することができるとの観点から、使用する食材の全量に対して0.2~3.0質量%になるような量が好ましい。なお、この際の基準となるべき使用する食材の全量は、水戻しをした後に水を軽く搾った状態の植物性食材に加えて、玉ねぎ、パン粉、砂糖、食塩などの加熱調理物を調理する際に使用する食材の合計量を指す。
【0026】
また、しょうゆもろみの含有量は、本発明の一態様の組成物の全量に対する量としては、合わせて配合する食塩、水、みりんその他の成分の種類や量に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物の全量に対して、1.0~100質量%であり、好ましくは3.0~90質量%である。
【0027】
可溶性固形分の測定方法は、当業界において通常用いられている飲食品における可溶性固形分の測定方法であれば特に限定されないが、例えば、しょうゆもろみ及び糖用屈折計を20℃に保ったときの示度を読み取ることにより、該しょうゆもろみにおける可溶性固形分を測定する方法などが挙げられる。可溶性固形分を構成する成分は特に限定されず、大豆その他の原料に由来する成分などが挙げられる。
【0028】
本発明の一態様の組成物の塩分(食塩相当量)は、植物性食材の加熱調理物に肉らしい風味を付与することができる程度の量であれば特に限定されない。本発明の一態様の組成物の塩分は、使用する食材の種類や量、例えば、植物性食材や野菜食材などの種類や量、しょうゆもろみの使用量などに応じて適宜変更し得る。例えば、本発明の一態様の組成物の塩分の下限は、使用する食材の全量に対して0.04質量%以上になるような量であることが好ましく、植物性食材の加熱調理物に対して優れた肉らしい風味を付与することができるとの観点から、使用する食材の全量に対して0.1質量%以上になるような量であることがより好ましい。本発明の一態様の組成物の塩分の上限は、使用する食材の全量に対して2質量%未満になるような量であることが好ましく、使用する食材の全量に対して1.9質量%以下になるような量であることがより好ましく、使用する食材の全量に対して1.7質量%以下になるような量であることがさらに好ましく、使用する食材の全量に対して1.6質量%以下になるような量であることがさらに好ましい。また、本発明の一態様の組成物の塩分は、しょうゆもろみとの関係では、使用する食材の全量に対して、しょうゆもろみの含有量と同程度又はそれ以下の量であることが好ましく、しょうゆもろみの含有量の1.5倍以下の量であることがより好ましい。
【0029】
塩分の測定方法は、当業界において通常用いられている飲食品における塩分の測定方法であれば特に限定されないが、例えば、電位差滴定法やモール法により測定する方法などが挙げられる。また、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」などを参照して、本発明の一態様の組成物に配合される成分の塩分及び配合量から、本発明の一態様の組成物の塩分を算出することができる。
【0030】
本発明の一態様の組成物は、しょうゆもろみに加えて、その他の成分を含有することができる。その他の成分は特に限定されないが、例えば、調味料成分や食材であり、具体的には水、アルコール、しょうゆ、食塩、甘味成分(砂糖、みりん、液糖、水飴など)、酸味成分(食酢、ゆず、レモンといった香酸柑橘など)、穀類成分(パン粉、小麦粉、片栗粉、オートミールなど)、油脂成分(ごま油、オリーブオイル、サラダ油、バターなど)、酒類成分(ワイン、清酒、料理酒など)、果肉(りんご果肉、もも果肉など)、果汁(りんご果汁など)、香辛料(生姜、唐辛子、こしょう、バジル、オレガノなど)、野菜成分(大根、ニンジン、玉ねぎ、にんにくなど)、動物成分(卵など)、種実類(ごまなど)、増粘剤(澱粉、加工でん粉、増粘多糖類など)、酵母エキス、肉エキス(チキンエキス、ポークエキスなど)、化学調味料(グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダなど)、フレーバーなどが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その他の成分の含有量は、本発明の課題を解決し得る限り、適宜設定することができる。
【0031】
本発明の一態様の組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、通常知られているとおりの調味料を混ぜ合わせて調味液を製造する方法などが挙げられ、具体的にはしょうゆもろみ及び食塩その他の成分、並びに必要に応じて水やみりんなどの液性成分を、室温下、低温下又は加温下で撹拌処理などの混合手段に供して混合することを含む方法を挙げることができる。
【0032】
本発明の一態様の組成物は、容器に詰めて密封した容器詰組成物とすることができる。容器は特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、紙、PETやPTPなどのプラスチック、ガラスなどを素材とする1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋、レトルトパウチ、真空パック、アルミ容器、プラスチック容器、瓶、缶などの包装容器が挙げられるが、このうち食品の包装容器として実績のあるラミネートフィルム及びレトルトパウチが好ましく、袋内への空気及び光の通過が遮断される材質を用いたラミネートフィルム及びレトルトパウチがより好ましい。本発明の一態様の組成物は、経時的な変質を避けるために、容器に詰めて密封した後に、加圧及び/又は加熱などにより殺菌処理したものであることが好ましい。
【0033】
本発明の一態様の組成物を利用して植物性食材を加熱調理する方法は特に限定されず、植物性食材の種類や量、植物性食材の調理形態などに応じて適宜設定することができるが、例えば、本発明の一態様の組成物が入った容器に植物性食材を加えて、次いで本発明の一態様の組成物を該植物性食材にからめて、次いで本発明の一態様の組成物がからまった植物性食材をフライパンなどの調理器具を用いて加熱調理に供することを含む方法;本発明の一態様の組成物が入った容器に加熱調理後の植物性食材を加えて、次いで本発明の一態様の組成物を該植物性食材にあえることを含む方法などが挙げられる。このように、本発明の一態様の組成物は、下ごしらえとして加熱調理前の植物性食材と接触するように使用してもよく、味付けとして加熱調理後の植物性食材と接触するように使用してもよいが、加熱調理前の植物性食材と接触するように使用することが好ましい。
【0034】
植物性食材は事前にぶつ切りや乱切りなどの切り加工に供してもよい。また、切り加工に供した植物性食材と野菜類その他の食材とを混合したものに、本発明の一態様の組成物を加えて練り合わせて、次いで練り合わせたものを加熱調理に供することにより、肉らしい風味を呈する唐揚げ、しぐれ煮、ハンバーグ、ミートボール、ミートローフ、メンチカツ、ギョーザ、シューマイ、ワンタン、春巻、肉まんなどの態様の加熱調理物が得られる。この際、その他の食材として肉類を加えてもよい。加熱調理物は、上記したものに限られず、例えば、通常調味料成分としてしょうゆを使用する加熱調理物などが挙げられる。
【0035】
本発明の一態様の組成物は、その全量を植物性食材に供することが好ましい。そこで、本発明の一態様の組成物を用いてからめ焼きを調理する場合には、本発明の一態様の組成物の全量を植物性食材にからめることが好ましく、又はからめることができなかった本発明の一態様の組成物の残部についても加熱調理する際に加えることが好ましい。
【0036】
本発明の一態様の組成物の非限定的な具体的態様として、例えば、しょうゆもろみの量及び塩分がそれぞれ以下(1)-1及び(2)-1のとおりである液性組成物が挙げられる:
(1)-1 しょうゆもろみ:
-使用する食材の全量に対する量:0.1~3.5質量%、好ましくは0.2~3.0質量%
(2)-1 塩分:
-使用する食材の全量に対する量:0.04質量%以上2質量%未満、好ましくは0.1~1.9質量%
【0037】
本発明の一態様の組成物の非限定的な具体的態様として、例えば、しょうゆもろみの量及び塩分がそれぞれ以下(1)-2及び(2)-2のとおりである液性組成物が挙げられる:
(1)-2 しょうゆもろみ:
-使用する食材の全量に対する量:0.1~3.5質量%、好ましくは0.5~3.0質量%、より好ましくは0.5~2.5質量%
(2)-2 塩分:
-使用する食材の全量に対する量:0.05~1.6質量%
【0038】
本発明の一態様の組成物の非限定的な具体的態様として、例えば、しょうゆもろみの量及び塩分がそれぞれ以下(1)-3及び(2)-3のとおりである液性組成物が挙げられる:
(1)-3 しょうゆもろみ:
-使用する食材の全量に対する量:1~3質量%
(2)-3 塩分:
-使用する食材の全量に対する量:0.3~1.6質量%
【0039】
本発明の一態様の組成物は、その植物性食材の加熱調理物の風味増強作用の程度については特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物を使用した植物性食材の加熱調理物と使用しない植物性食材の加熱調理物とを実際に喫食することにより、本発明の一態様の組成物を使用した方が、使用しない方よりも、肉食品にみられるジューシーさ、味のあつみ、コク及びうま味のいずれか1種の肉らしい風味が改善又は良好になったか否かを官能的に評価することにより確認できる。
【0040】
本発明の一態様の加熱調理物は、本発明の一態様の組成物と、植物性食材とを原料として少なくとも含む。本発明の一態様の加熱調理物は、本発明の一態様の組成物を原料として含まない加熱調理物と比べると、肉らしい風味を呈するものである。本発明の一態様の加熱調理物は、原料である本発明の一態様の組成物及び植物性食材を加熱調理することにより得られる。加熱調理物が通常肉類や肉エキスを使用するものである場合、肉類に代えて植物性食材を用い、肉エキスに代えて本発明の一態様の組成物を用いることにより、肉類成分が低減された、又は肉類成分を実質的に含まないヘルシーな加熱調理物が得られ得る。
【0041】
本発明の一態様の調理方法は、本発明の一態様の組成物を用いて、植物性食材を加熱調理する工程を少なくとも含む。本発明の一態様の調理方法の具体的態様としては、上記した植物性食材を加熱調理する方法を挙げることができるが、これに限定されない。本発明の一態様の調理方法によって得られる加熱調理物は、本発明の一態様の組成物による風味増強作用を発揮せしめるために、加熱調理後速やかに、又は室温下に数分間おいた後に喫食することが好ましい。
【0042】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例
【0043】
[1.調味液の調製]
通常のしょうゆの製造方法に従い、脱脂加工大豆及び小麦を原料としてしょうゆ麹を調製し、これを食塩水と共に仕込んでしょうゆもろみを調製し、これに乳酸菌及び酵母を添加して約6ヶ月間発酵熟成させて熟成もろみを得た。次いで、得られた熟成もろみを、粗くろ過した後、殺菌処理に供して、殺菌済み熟成もろみを得た。本実施例では、このようにして得られた殺菌済み熟成もろみを単に「しょうゆもろみ」とよぶ。
【0044】
しょうゆもろみは、標準分析値として、可溶性固形分が37.0質量%であり;食塩分が14.0質量%であり;pHが4.7であり;及び比重が1.18であった。みりんは、「マンジョウ本みりん」(キッコーマン食品社製)を用いた。
【0045】
下記表1に示す配合量の各成分を軽く混ぜ合わせることにより、例1~例9の調味液を調製した。表1には、後述する官能評価結果並びにしょうゆもろみ及び塩分の割合を合わせて示す。なお、塩分(食塩相当量)は、しょうゆもろみ及び食塩の含有量から算出した。
【0046】
【表1】
【0047】
[2.大豆たん白の調製]
ボウルに乾燥状態にある大豆たん白(「アペックス950」;不二製油社製) 約4.5gを入れ、次いで浄水を入れて、30分間静置することにより水戻しした。水戻し後の大豆たん白から軽く水を搾った。次いで、大豆たん白を再度水に30秒ほどつけて、さらに軽く水を搾ることを、合計で3回繰り返することにより、吸水大豆たん白を得た。
【0048】
吸水大豆たん白を、サラダ油(「日清キャノーラ油」;日清オイリオ社製)をひいたフライパンに加え、180℃程度で加熱した。吸水大豆たん白は、その質量が7割程度(約10.5g)になるまで両面を焼き、次いで室温で軽く冷ますことによって、素焼き大豆たん白を得た。
【0049】
[3.大豆たん白のからめ焼き]
例1~例9の調味液の全量が入った白カップに、素焼き大豆たん白 約10.5gを加え、調味液の全量を素焼き大豆たん白にからめた。次いで、調味液をからめた素焼き大豆たん白を、サラダ油をひいたフライパンに加えて180℃程度で加熱し、片面あたり10秒程度で両面を焼くことにより、からめ焼き大豆たん白を得た。得られたからめ焼き大豆たん白を室温で軽く冷ましたものを食品サンプルとした。
【0050】
[4.官能評価]
食品サンプルについて、専門パネル4名により、官能評価を行った。官能評価は、肉らしいコク及び味のあつみに基づく肉らしい風味の優劣により、肉らしい風味として優れたものを4点、肉らしい風味が感じられるものを3点、肉らしい風味がわずかに感じられるものを2点、肉らしい風味が全く感じられないものを1点として、4段階で点数付けをした。また、専門パネルの点数の平均をとり、以下のとおりに評価した。
○:3.0点以上;顕著に肉らしい風味が感じられたもの
△:2.5点以上3.0点未満;肉らしい風味が感じられたもの
×:2.5点未満;肉らしい風味が感じられない、又は乏しいもの
【0051】
表1に示すとおり、しょうゆもろみの含有量が、使用する食材の全量に対して、0.1~2.8質量%である調味液を用いることにより、からめ焼きした大豆たん白は、肉らしい風味を呈した。特に、しょうゆもろみの含有量が0.2~1.9質量%であるもろみ含有調味液を用いることにより、からめ焼きした大豆たん白は、より肉らしい風味を呈した。
【0052】
以上の結果より、しょうゆもろみの含有量が、水戻し状態の吸水大豆たん白に対して、0.1~2.8質量%である調味液を用いて大豆たん白などの植物性食材をからめ焼きなどのように加熱調理することにより、肉類に比べてジューシー感や味のあつみが乏しい植物性食材を用いながらも、肉らしい風味を有する加熱調理物が得られた。
【0053】
[5.塩分の評価]
上記1~4を参照して、調味液中の塩分について評価すべく、下記表2に示す例10~例18の調味液を調製した。表3には、官能評価結果並びにしょうゆもろみ及び塩分の割合を合わせて示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示されているとおり、みりん及び食塩を用いない場合であっても、塩分が、使用する食材の全量に対して0.04質量%以上である調味液を用いることにより、からめ焼きした大豆たん白は、肉らしい風味を呈した。
【0056】
同様に、下記表3に示す例19~例24の調味液を調製した。表3には、官能評価結果並びにしょうゆもろみ及び塩分の割合を合わせて示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3に示されているとおり、塩分が使用する食材の全量に対して0.1~1.4質量%であるしょうゆもろみ含有調味液を用いることにより、からめ焼きした大豆たん白は、肉らしい風味を呈した。また、しょうゆもろみに加えて、食塩などの他の成分が配合された調味液の方が、からめ焼きした大豆たん白は肉らしい風味を呈する傾向にあった。
【0059】
[6.調味成分の評価]
上記1~4を参照して、調味液中の調味成分について評価すべく、下記表4に示す例25~例27の調味液を調製した。表4には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。なお、生しょうゆは、「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」(可溶性固形分が30質量%未満;食塩分が16.0質量%;キッコーマン社製)を用いた。
【0060】
【表4】
【0061】
表4に示されているとおり、しょうゆもろみを圧搾及び殺菌して得られる生しょうゆを用いた場合、からめ焼きした大豆たん白には肉らしい風味がほとんど感じられなかった。一方で、しょうゆもろみを用いた場合は、大豆たん白に肉らしい風味が感じられた。
【0062】
同様に、下記表5に示す例28~例30の調味液を調製した。表5には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。
【0063】
【表5】
【0064】
表5に示されているとおり、生しょうゆを用いた場合はからめ焼きした大豆たん白には肉らしい風味がほとんど感じられなかったが、しょうゆもろみを用いた場合は大豆たん白に肉らしい風味が感じられた。
【0065】
[7.加熱調理物の評価(1)]
上記1を参照して、下記表6に示す配合量の各成分を軽く混ぜ合わせることにより、例31~例34の調味液を調製した。表6には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。なお、チキンエキスには「チキンエキスKK」(食塩分が15質量%;司食品工業社製)、にんにくには「特選本香り生にんにく」(ハウス食品社製)及び料理酒には「マンジョウ国産米こだわり仕込み料理の清酒」(キッコーマン食品社製)を用いた。
【0066】
【表6】
【0067】
ボウルに乾燥状態にあるエンドウ・大豆たん白(「ソイミート唐揚げタイプ」;かるなぁ社製) 約20gを入れ、次いでお湯を入れて、20~30分間静置することにより湯戻しした。湯戻し後のエンドウ・大豆たん白から軽く水を搾った。次いで、エンドウ・大豆たん白を水に30秒ほどつけて、さらに軽く水を搾ることを、合計で3回繰り返すことにより、吸水エンドウ・大豆たん白を得た。
【0068】
ビニール袋に吸水エンドウ・大豆たん白 80g及び例31~例34の調味液 全量を入れ、全体を袋の上から揉み、下味を付けた。次いで、下味を付けた吸水エンドウ・大豆たん白に片栗粉(「星東 片栗粉」;川光物産社製)をまぶし、180℃のサラダ油で4分間揚げて、エンドウ・大豆たん白の唐揚げを得た。得られた唐揚げについて、上記4と同様にして官能評価試験を実施した。
【0069】
表6に示すとおり、しょうゆもろみを含有する調味液を用いることにより、生しょうゆを用いる場合や肉エキスであるチキンエキスを用いる場合に比べて、唐揚げにしたエンドウ・大豆たん白は、肉らしい風味を呈した。
【0070】
[8.加熱調理物の評価(2)]
上記1を参照して、下記表7に示す配合量の各成分を軽く混ぜ合わせることにより、例35~例38の調味液を調製した。表7には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。なお、ポークエキスには「ポークエキスKK」(食塩分が15質量%;司食品工業社製)、生姜には「特選本香り生しょうが」(ハウス食品社製)及びごま油には「金印純正ごま油」(かどや製油社製)を用いた。
【0071】
【表7】
【0072】
ボウルに乾燥状態にある大豆たん白(「ソイミートビーフタイプ」;かるなぁ社製) 約7gを入れ、次いでお湯を入れて、20~30分間静置することにより湯戻しした。湯戻し後の大豆たん白から軽く水を搾った。次いで、大豆たん白を水に30秒ほどつけて、さらに軽く水を搾ることを、合計で3回繰り返すことにより、吸水大豆たん白を得た。
【0073】
フライパンに吸水大豆たん白 20g及び例35~例38の調味液 全量を入れ、180℃程度で3分間程度加熱した。汁気がなくなった時点で加熱を止めて、大豆たん白のしぐれ煮を得た。得られたしぐれ煮について、上記4と同様にして官能評価試験を実施した。
【0074】
表7に示すとおり、しょうゆもろみを含有する調味液を用いることにより、生しょうゆを用いる場合や肉エキスであるポークエキスを用いる場合に比べて、しぐれ煮にした大豆たん白は、肉らしい風味を呈した。
【0075】
また、下記に示すように、しょうゆもろみを含有する調味液を用いて、大豆たん白をハンバーグ様に加熱調理して得た大豆バーグやエリンギをミートボール様に加熱調理して得たきのこボールは、肉らしい風味を呈した。
【0076】
[9.加熱調理物の評価(3)]
上記1を参照して、下記表8に示す配合量の各成分を軽く混ぜ合わせることにより、例39~例42の調味液を調製した。表8には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。なお、オリーブオイルには「BOSCOエクストラバージン・オリーブオイル」(日清オイリオグループ社輸入)、無塩バターには「雪印北海道バター 食塩不使用」(雪印メグミルク社製)、パン粉には「専門店仕様の生パン粉」(フライスター社製)、インスタントオートミールには「日食プレミアム ピュア オートミール」(日本食品製造合資社製)を用いた。
【0077】
【表8】
【0078】
水で軽く洗った後のエリンギ及び玉ねぎを4mm角にみじん切りした。また、水で軽く洗った後のにんにくを2mm角にみじん切りした。次いで、熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、みじん切りにしたエリンギを強めの中火で炒めた。このフライパンに、塩及び無塩バターを投入した後、みじん切りにしたにんにく及び玉ねぎを投入した。フライパン内の食材を、水分を飛ばすように炒めた後、さらにインスタントオートミール、パン粉及び調味成分を投入して混ぜた。得られた調理物をフライパンからボウルに移して粗熱を取った。このボウルに全卵を加えてヘラで混ぜた後、ラップをして冷蔵庫で4時間程度寝かせて、きのこボールのタネを得た。きのこボールのタネを、7個のボール状に成形して、160℃で約3分間揚げて、ミートボール様のきのこボールを得た。得られたきのこボールについて、上記4と同様にして官能評価試験を実施した。
【0079】
表8に示すとおり、しょうゆもろみを含有する調味液を用いることにより、生しょうゆを用いる場合や肉エキスであるポークエキスを用いる場合に比べて、エリンギを主成分とするきのこボールは、肉らしい風味を呈した。
【0080】
[10.加熱調理物の評価(4)]
上記1を参照して、下記表9に示す配合量の各成分を軽く混ぜ合わせることにより、例43~例46の調味液を調製した。表9には、官能評価結果並びに調味成分及び塩分の割合を合わせて示す。なお、小麦粉には「日清フラワー」(日清フーズ社製)を用いた。
【0081】
【表9】
【0082】
ボウルに乾燥状態にある大豆たん白(「ソイミートミンチタイプ」;かるなぁ社製) 約90gを入れ、次いでお湯を入れて、20~30分間静置することにより湯戻しした。湯戻し後の大豆たん白から軽く水を搾った。次いで、大豆たん白を水に30秒ほどつけて、さらに軽く水を搾ることを、合計で3回繰り返すことにより、吸水大豆たん白を得た。
【0083】
玉ねぎを4mm角にみじん切りした。ボウルに吸水大豆たん白、みじん切りした玉ねぎ及び例43~例46に記載の調味液 全量を入れて、粘りが出るまで手で捏ねることにより、大豆バーグのタネを得た。
【0084】
サラダ油をしいて150℃に熱したフライパンに、大豆バーグのタネをハンバーグの形に成形しながら並べて両面を3分程度焼くことにより、大豆バーグを得た。得られた大豆バーグについて、上記4と同様にして官能評価試験を実施した。
【0085】
表9に示すとおり、しょうゆもろみを含有する調味液を用いることにより、肉エキスであるポークエキスを用いる場合に比べて、大豆たん白及び玉ねぎを主成分とする大豆バーグは、肉らしい風味を呈した。また、生しょうゆを用いた大豆バーグも肉らしい風味を呈したが、しょうゆもろみを用いた方がより肉らしい風味を呈した。
【0086】
[11.まとめ]
以上の結果より、しょうゆもろみを含有する調味液は、大豆たん白などの植物性食材をからめ焼き、唐揚げ、しぐれ煮、ハンバーグ、ミートボールなどの加熱調理に供することにより、得られる植物性食材の加熱調理物について、肉らしい風味を呈するように風味を増強する作用を有することがわかった。特に、しょうゆもろみの含有量が使用する食材の全量に対して0.1~3.5質量%になるような量である調味液や、しょうゆもろみを含有し、かつ、塩分が使用する食材の全量に対して0.04質量%以上2質量%未満になるような量である調味液は、優れた植物性食材の加熱調理物の風味増強作用を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の一態様の組成物は、植物性食材を用いながらも、肉類を用いる場合と同様に、コクがあり、うま味を呈する加熱調理物を調理する際に利用できるものであることから、植物性食材の有効利用に資するものであり、さらに植物性食材に由来する人体に好適な栄養素から、広く人々の健康に貢献できるものである。また、本発明の一態様の加熱調理物及び本発明の一態様の調理方法によって得られる加熱調理物は、肉類を用いた調理物と同等の嗜好性を有するものでありながら、低エネルギーかつ高タンパク質のものであることから、健康指向性に優れた食品として利用することが期待できるものである。